JP2000302839A - エポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体及びこれを含有する柔軟性熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体及びこれを含有する柔軟性熱硬化性樹脂組成物

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JP2000302839A JP11114733A JP11473399A JP2000302839A JP 2000302839 A JP2000302839 A JP 2000302839A JP 11114733 A JP11114733 A JP 11114733A JP 11473399 A JP11473399 A JP 11473399A JP 2000302839 A JP2000302839 A JP 2000302839A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】柔軟性基材の被覆材料として必要な、柔軟性や
硬化時の反りの小ささなどの諸特性を十分に満足し、さ
らに、一般絶縁材料として必要な密着性、電気絶縁性、
耐薬品性などの諸特性も満足する硬化物を与えることが
でき、保存安定性も優れている熱硬化性組成物を提供す
る。 【解決手段】 (A)カルボキシル基含有水添ポリブタ
ジエン樹脂とエポキシ基を有するビニル系単量体の重合
体から構成されるエポキシ基含有水添ポリブタジエン変
性重合体からなる主剤と(B)特殊ビニルエーテルでブ
ロック化したカルボキシル基を有する化合物を硬化剤と
して含有する熱硬化性組成物にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁性、密着
性、耐薬品性などの絶縁材料に求められる基本性能を満
たし、かつ、柔軟性を併せ持つ硬化物を与えることがで
き、さらには、優れた貯蔵安定性を併せ持つ新規な熱硬
化性組成物、それに使用できる新規なエポキシ基含有水
添ポリブタジエン変性重合体及び前記熱硬化性組成物か
ら成るフレキシブル回路基板用オーバーコート剤に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カルボキシル基を有する化合物
と、該カルボキシル基と加熱により化学結合を形成しう
る反応性官能基、例えばエポキシ基、オキサゾリン基、
シラノール基、アルコキシシラン基、アミノ基、イミノ
基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、
シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオ
エーテル基、アミノメチロール基、アルキル化アミノメ
チロール基、アセタール基、ケタール基などを有する化
合物との組合せから成る熱硬化性組成物は公知である。
そのような公知技術として、例えばカルボキシル基とエ
ポキシ基との組合せから成る組成物としては、日本国特
許公開公報、特開昭51−114429号、欧州特許公
開公報29,595号、米国特許4,371,667
号、同4,650,718号、同4,681,811
号、同4,703,101号、同4,764,430号
に公開されている。また、カルボキシル基とオキサゾリ
ン基との組合せから成る組成物としては、米国特許3,
505,297号、日本国特許公開公報、特開昭60−
88038号、同特開平2−115238号に公開され
ている。
【0003】これら熱硬化性組成物は、得られる硬化物
の化学性能、物理性能、さらには耐候性などが優れてい
ることから、例えば塗料、インク、接着剤、あるいはプ
ラスチック成形品などの分野において広く利用されてい
る。しかしながら、カルボキシル基と前記反応性官能基
とは反応性が高いため、カルボキシル基含有化合物と該
反応性官能基を含有する化合物とが共存する組成物にお
いては、貯蔵中にゲル化を起こしたり、可使時間が短く
なるなどの問題が生じる。また、従来の上記熱硬化性組
成物に使用されるカルボキシル基含有化合物は、カルボ
キシル基の強い水素結合性の故に、汎用有機溶媒への溶
解性が低い、あるいはカルボキシル基と反応する官能基
を有する化合物との相溶性が悪いといった欠点を有して
いる。このような問題を解決する方法として、例えばカ
ルボキシル基をt−ブチルエステルとしてブロック化
し、加熱によりイソブテン脱離分解により遊離のカルボ
キシル基が再生するといった方法が提案されている(特
開平1−104646号公報)。しかしながら、この方
法は、t−ブチル基の熱分解に170〜200℃程度の
高温を必要とすること、及び、分解反応生成物であるイ
ソブテンガスの発泡により、脱泡跡が硬化物表面に残る
といった問題があり、必ずしも十分に満足しうる方法と
はいえない。本発明者らは、既に上記の問題点を解決す
るために、カルボキシル基をビニルエーテル等でブロッ
ク化した官能基を有する化合物と、その官能基と反応す
る反応性官能基を有する化合物からなる熱硬化性組成物
を提案している(欧州特許公開公報643,112号)
が、用途によってはさらに加工性、耐屈曲性等の優れた
塗膜性能を与える熱硬化性組成物が要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た貯蔵安定性有し、かつ、優れた電気絶縁性、密着性、
耐薬品性及び柔軟性を併せ持つ硬化物を与える熱硬化性
組成物、その熱硬化性組成物に主剤として使用できる成
分及び前記熱硬化性組成物から成るフレキシブル回路基
板用オーバーコート剤を得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する熱硬化性組成物を開発すべく鋭意研
究を重ねた結果、(A)特定の方法により得られるエポ
キシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体を熱硬化性組
成物の主剤とし、さらに(B)下記一般式(1)で表さ
れる特殊なビニルエーテル類、ビニルチオエーテル類、
あるいは酸素原子又はイオウ原子をヘテロ原子とするビ
ニル型二重結合をもつ複素環式類でブロック化されたカ
ルボキシル基2個以上を1分子中に有する化合物を必須
成分とする熱硬化性組成物によりその目的を達成しうる
ことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(A)(a)数平均
分子量500〜10,000であり、且つ樹脂酸価10
〜250mgKOH/gのカルボキシル基含有水添ポリ
ブタジエン樹脂から成る構成部分と(b)エポキシ基を
有するビニル系単量体の重合体から成る構成部分を有
し、該カルボキシル基と該エポキシ基の一部とが、
(b)成分の重合体のエポキシ基に対する(a)成分の
カルボキシル基の当量比が0.2以下の割合で反応して
結合されており、エポキシ当量が200〜2000g/
molであることを特徴とするエポキシ基含有水添ポリ
ブタジエン変性重合体を提供するものである。また、本
発明は、(A)(a)数平均分子量500〜10,00
0であり、且つ樹脂酸価10〜250mgKOH/gの
カルボキシル基含有水添ポリブタジエン樹脂から成る構
成部分と(b)エポキシ基を有するビニル系単量体の重
合体から成る構成部分を有し、該カルボキシル基と該エ
ポキシ基の一部とが、(b)成分の重合体のエポキシ基
に対する(a)成分のカルボキシル基の当量比が0.2
以下の割合で反応して結合されており、エポキシ当量が
200〜2000g/molのエポキシ基含有水添ポリ
ブタジエン変性重合体、及び(B)一分子中に、一般式
(1)
【0007】
【化2】
【0008】(式中のR、R及びRはそれぞれ水
素原子又は炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜
18の有機基であって、RとRはたがいに結合して
をヘテロ原子とする複素環を形成していてもよく、
は酸素原子又はイオウ原子である)で表される官能
基2個以上を有する化合物を含有することを特徴とする
熱硬化性組成物を提供するものである。また、本発明
は、上記熱硬化性組成物において、(A)成分における
エポキシ基を有するビニル系単量体の重合体が、(b)
エポキシ基を有するビニル系単量体と(c)他のビニル
系単量体との重合体である熱硬化性組成物を提供するも
のである。また、本発明は、上記熱硬化性組成物におい
て、(A)成分における(a)成分から成る構成部分の
(b)成分の重合体又は(b)成分と(c)成分の重合
体から成る構成部分に対する重量比が10/90から8
0/20である熱硬化性組成物を提供するものである。
さらに、本発明は、上記熱硬化性組成物から成ることを
特徴とするフレキシブル回路基板用オーバーコート剤を
提供するものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、(A)成分のエ
ポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体は、ビニル
系単量体の重合体と水添ポリブタジエン樹脂の複合重合
体であり、二種の異なった重合体の相当部分が化学的に
結合を有しているために、互いに大きく相分離すること
なく本発明の熱硬化性組成物にビニル系単量体の重合体
と水添ポリブタジエン双方の優れた特徴を付与すること
ができる。すなわち、(A)成分のエポキシ基含有水添
ポリブタジエン変性重合体は、本質的に(a)数平均分
子量500〜10,000であり、且つ樹脂酸価10〜
250mgKOH/gのカルボキシル基含有水添ポリブ
タジエン樹脂から成る構成部分と、(b)エポキシ基を
有するビニル系単量体の重合体から成る構成部分を有す
る。(a)成分のカルボキシル基含有水添ポリブタジエ
ン樹脂は、分子主鎖骨格が炭素と水素で構成されるた
め、オレフィン系ポリマーとの親和性に富むことを特徴
としており、(A)成分のエポキシ基含有水添ポリブタ
ジエン変性重合体に柔軟性を付与する成分である。その
分子量は、数平均分子量で500〜10,000であ
り、好ましくは1000〜5000であり、さらに好ま
しくは1500〜3000である。該数平均分子量が5
00未満の場合には、得られる重合体の機械物性が劣り
好ましくない。また、数平均分子量が10,000を超
える場合には、有機溶剤に対する溶解性が乏しくなり好
ましくない。
【0010】また、(a)成分のカルボキシル基含有水
添ポリブタジエン樹脂の樹脂酸価は、10〜250mg
KOH/gであり、好ましくは25〜100mgKOH
/g、さらに好ましくは35〜70mgKOH/gであ
る。樹脂酸価が10mgKOH/g未満の場合では、
(a)成分のカルボキシル基と(b)成分のビニル系単
量体の重合体との化学結合の量が乏しくなり相分離が起
こりやすく、安定なエポキシ基含有水添ポリブタジエン
変性重合体を得ることが困難となり好ましくない。ま
た、樹脂酸価250mgKOH/g以上の場合には、
(a)成分と(b)成分を単量体として含むビニル系単
量体の重合体との化学結合の量が極度に多くなるため、
反応系全体がゲル化を起こす等して好ましくない。
(a)成分として使用されるカルボキシル基含有水添ポ
リブタジエン樹脂は、上記特性を満足しておれば特に制
限はなく、市販品や公知の手法により水添ポリブタジエ
ン樹脂より誘導される樹脂が使用できる。水添ポリブタ
ジエン樹脂としては、例えば、トランス−1,4−ポリ
ブタジエン、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジ
エンなどの水添物などが挙げられる。水添ポリブタジエ
ン樹脂には、ブタジエン以外の他のモノマーを共重合し
たものも含まれる。市販されているカルボキシル基含有
水添ポリブタジエン樹脂としては、例えば、CI−10
00(商品名、日曹油化工業社製)などが挙げられる。
カルボキシル基含有水添ポリブタジエン樹脂は、1種又
は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】(A)成分のエポキシ基含有水添ポリブタ
ジエン変性重合体におけるもう一つの構成部分であるエ
ポキシ基を有するビニル系重合体は、(b)エポキシ基
を有するビニル系単量体の重合体である。該(b)成分
の具体例としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレ
ート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)
アクリレート、グリシジル(メタ)アリルエーテル、
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アリル
エーテル等のエポキシ基を有するビニル系単量体が挙げ
られる。このうちラジカル重合及びエポキシ基/カルボ
キシル基間の反応性がより高い、(メタ)アクリル酸エ
ステル体であるグリシジル(メタ)アクリレート、3,
4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレー
トがより好ましい(b)成分として挙げられる。
【0012】上記エポキシ基を有するビニル系重合体
は、(b)エポキシ基を有するビニル系単量体と(c)
他のビニル系単量体との共重合体とすることが好まし
い。上記(b)成分と共重合させる(c)成分の他のビ
ニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エ
ステル類、好ましくは、一般式(2)
【0013】
【化3】
【0014】(式中Rは水素原子叉はメチル基を示
し、Rは1〜20の飽和炭化水素基、又は水酸基等の
反応性官能基を含む有機基を示す)で表される化合物で
ある。この(メタ)アクリル酸エステル類の具体例とし
ては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)
アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸
ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシプロピル等が挙げられる。その他のビニル系
単量体のうち好ましいものとしては、例えば、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸等のエステル類、スチレン、
ビニルトルエン、ジメチルスチレン、エチルスチレン等
の核置換スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩
化ビニル等を挙げられる。これらは単一種類で用いても
複数種類用いても良い。一方、共重合するビニル系単量
体として好ましくないものの例としては、(メタ)アク
リル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の様に共
重合する条件下で、(b)成分のエポキシ基と反応する
可能性がある官能基を有する単量体が挙げられる。該エ
ポキシ基を有するビニル系重合体は、上記(b)成分の
ビニル系単量体、又は(b)成分のビニル系単量体と
(c)成分の他のビニル系単量体の重合により得ること
ができる。なお、上記ビニル系重合体は、本発明の効果
を損なわない範囲内で他の構成成分を含んでもよい。
【0015】(A)成分のエポキシ基含有水添ポリブタ
ジエン変性重合体においては、(a)成分のカルボキシ
ル基とエポキシ基を有するビニル系重合体のエポキシ基
の一部とが反応して結合されており、いわゆるグラフト
ポリマーやブロックポリマーを形成する。これにより、
二種の異なった重合体の相溶性を著しく改善することが
できる。(a)成分のカルボキシル基とエポキシ基を有
するビニル系重合体のエポキシ基の結合している割合
は、エポキシ基を有するビニル系重合体のエポキシ基に
対する(a)成分のカルボキシル基の当量比が0.2以
下の割合であり、好ましくは0.18以下であり、さら
に好ましくは0.16以下である。この様な(a)成分
のカルボキシル基に対して大過剰の(b)成分を用いる
ことにより、重合反応進行と同時に効率よくビニル系単
量体の重合体と(a)成分との間に化学結合を生成する
ことができる。逆に(b)成分のエポキシ基に対する
(a)成分のカルボキシル基の当量比が0.2を超える
場合には、(b)成分のビニル系単量体と(a)成分と
の化学結合が十分に得られずに相分離する傾向があり好
ましくない。
【0016】さらに、(A)成分のエポキシ基含有水添
ポリブタジエン変性重合体の樹脂当たりのエポキシ当量
は、200〜2000g/molであり、好ましくは3
00〜1500g/molであり、さらに好ましくは4
00〜1000g/molである。エポキシ当量が20
00g/molを超える場合には、(A)成分のエポキ
シ基含有水添ポリブタジエン変性重合体を本発明の熱硬
化性組成物として使用しようとした場合の硬化性が不足
し、逆に200g/mol未満となる場合には、架橋密
度が高くなりすぎて柔軟性等が損なわれる。
【0017】(A)成分のエポキシ基含有水添ポリブタ
ジエン変性重合体においては、(a)成分から成る構成
部分の(b)成分の重合体又は(b)成分と(c)成分
との重合体から成る構成部分に対する重量比は、10/
90〜80/20の範囲が好ましく、より好ましくは1
5/85〜70/30の範囲であり、さらに好ましくは
20/80〜50/50の範囲である。10/90より
も(b)成分から成る重合体又は(b)成分及び(c)
成分との重合体から成る構成部分の量が多くなる場合に
は、(A)成分のエポキシ基含有水添ポリブタジエン変
性重合体の柔軟性が不十分となるため好ましくない。一
方、80/20よりも(b)成分から成る重合体又は
(b)成分及び(c)成分との重合体から成る構成部分
の比率が少なくなる場合には、(A)成分のエポキシ基
含有水添ポリブタジエン変性重合体の硬度、耐薬品性、
耐水性が低下するため好ましくない。
【0018】また、(b)成分と(c)成分を共重合さ
せている重合体の場合、(b)成分と(c)成分との重
量比は、(b)成分のエポキシ当量にもよるが、7/9
3〜80/20の範囲が好ましく、より好ましくは10
/90〜70/30の範囲であり、さらに好ましくは1
5/85〜60/40の範囲である。(b)成分と
(c)成分の重量比が7/93よりも(b)成分が少な
くなる場合には、(A)成分のエポキシ基含有水添ポリ
ブタジエン変性重合体を熱硬化性組成物に用いようとす
る場合の硬化性が不足するため好ましくない。一方、8
0/20よりも(b)成分が多くなる場合には、(A)
成分のエポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体の
柔軟性が損なわれるため好ましくない。(A)成分のエ
ポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体は、上記構
成成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で他の構
成成分を含んでもよい。(A)成分のエポキシ基含有水
添ポリブタジエン変性重合体は、50±1%の不揮発分
となる有機溶媒溶液の20℃における粘度が通常1〜2
000ポイズが適当である。
【0019】次に、(A)成分のエポキシ基含有水添ポ
リブタジエン変性重合体の好ましい製造方法について説
明する。(A)成分のエポキシ基含有水添ポリブタジエ
ン変性重合体は、(a)数平均分子量500〜10,0
00であり、且つ樹脂酸価10〜250mgKOH/g
のカルボキシル基含有水添ポリブタジエン樹脂及び有機
溶媒の存在下で、(b)エポキシ基を有するビニル系単
量体をラジカル重合開始剤により重合させる方法により
製造することができる。この製造方法においては、
(b)エポキシ基を有するビニル系単量体と共に(c)
他のビニル系単量体を重合させることが好ましい。
【0020】(b)成分のエポキシ基を有するビニル系
単量体は、(b)成分のエポキシ基を有するビニル系単
量体同士と重合するか、又は(b)成分のエポキシ基を
有するビニル系単量体と(c)成分の他のビニル系単量
体と共重合するとともに、(a)成分中のカルボキシル
基と化学結合を形成することにより、ビニル系単量体の
重合体と(a)成分の水添ポリブタジエンとの間の化学
結合を形成する作用があり、その結果、二種の異なった
重合体の相溶性を著しく改善することができる。さらに
(b)成分のエポキシ基のうち、(a)成分中のカルボ
キシル基と反応せずに残ったエポキシ基により、(A)
成分のエポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体
に、多量のエポキシ基を導入することができる。
【0021】(A)成分のエポキシ基含有水添ポリブタ
ジエン変性重合体の製造方法に用いられるラジカル重合
開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、
1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジ
メチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化
合物、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサ
ノンペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノン
ペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビ
ス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、2,2
−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、t−ブチル
ヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペ
ルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミル
ペルオキシド、イソブチルペルオキシド、ラウロイルペ
ルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピル
ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2
−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシネオデ
カネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブ
チルペルオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸
化物が挙げられる。以上は単一種類用いても複数種類用
いても差し支えない。なお、本発明では(b)成分を含
むビニル系単量体混合物の重合反応と、(a)成分のカ
ルボキシル基と(b)成分のエポキシ基間の反応とを同
時に進行する必要性から、上記のラジカル重合開始剤の
中より、10時間半減期温度が50℃以上のアゾ化合
物、あるいは有機過酸化物から選択することが好まし
い。その様なアゾ化合物あるいは有機過酸化物の例とし
ては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、、メチ
ルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオ
キシド、3,5,5−トリメチルヘキサノンペルオキシ
ド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブ
チルペルオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t
−ブチルペルオキシ)オクタン、t−ブチルヒドロペル
オキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシ
ド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキ
シド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシ
ド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルペルオキシネオデカネート、t−ブチル
ペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプ
ロピルカーボネート等が挙げられる。これらのラジカル
重合開始剤の系においては必要に応じてジメチルアニリ
ン、硫酸第1鉄、塩化第1鉄、酢酸第1鉄等の第1鉄
塩、酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロン
ガリット等の還元剤を組み合わせても差し支えないが、
重合温度が低くなりすぎないように留意して選択する必
要がある。
【0022】本発明の(A)成分の製造において用いら
れる有機溶媒は(a)成分のカルボキシル基または
(b)成分のエポキシ基と反応する官能基を有さないも
のが好ましい。本発明の(A)成分の製造において用い
られる有機溶媒の適当な例としては、例えばシクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、トル
エン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族ナフサ等の芳
香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロ
ン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢
酸イソブチル、酢酸3−メトキシブチル、アジピン酸ビ
ス(2−エチルヘキシル)等のエステル系溶剤、ジブチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、1,3,5−トリオキサン等のエーテル系溶剤、ア
セトニトリル、バレロニトリル、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の含窒素系
溶剤が挙げられる。以上は単独であっても、あるいは複
数種類の混合溶剤であっても差し支えない。この際、エ
ポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体の不揮発成
分濃度は重合体の分散安定性を損なわない範囲において
任意に選ぶことができるが、通常不揮発成分濃度で10
〜70%である。なお、必要に応じて、(a)成分のカ
ルボキシル基と(b)成分のエポキシ基間の反応を促進
する目的で、ルイス酸、三級アミン、アンモニウム塩、
ホスホニウム塩等の公知の反応触媒も用いることができ
る。
【0023】(A)成分のエポキシ基含有水添ポリブタ
ジエン変性重合体の製造に際して(a)成分及び(b)
成分、又は(b)成分と(c)成分の混合物から成るビ
ニル系単量体の混合方法、有機溶媒及びラジカル重合開
始剤の添加方法は任意であるが、重合熱、反応熱をコン
トロールする目的で、(a)成分あるいはその有機溶媒
溶液を反応槽に仕込み撹拌しながら、滴下槽より(b)
成分、又は(b)成分と(c)成分との混合物から成る
ビニル系単量体の混合物あるいはその有機溶媒溶液を滴
下する方法、又は(a)成分あるいはその有機溶媒溶
液、(b)成分、又は(b)成分と(c)成分との混合
物から成るビニル単量体あるいはその有機溶媒溶液の双
方を滴下槽より滴下する方法が好ましい。
【0024】上記重合時の重合温度はラジカル重合開始
剤の種類、併用する還元剤の有無、カルボキシル基とエ
ポキシ基の反応触媒の有無によって異なるが、50〜2
00℃の条件で行うことが好ましく、80℃から160
℃の条件で行うことがさらに好ましい。重合温度が50
℃以下の場合には、(a)成分のカルボキシル基と
(b)成分のエポキシ基の反応が十分に進行せず、ビニ
ル系単量体と水添ポリブタジエン樹脂とが相分離し易く
なるため好ましくない。一方200℃を越える場合には
予期せぬ解重合等の副反応が起こり得るため好ましくな
い。本発明の(A)成分であるエポキシ基含有水添ポリ
ブタジエン変性重合体は、共重合時の(a)成分の樹脂
酸価や分子量、(b)成分、又は(b)成分と(c)成
分との混合物から成るビニル系単量体の重合体の分子量
や(b)成分、又は(b)成分と(c)成分との混合物
から成るビニル系単量体の含量、さらには溶剤の種類に
より透明な溶液となったり、乳白色な分散液となったり
する。このうち、乳白色な分散液となるのは、生成する
エポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体の水添ポ
リブタジエン部分とビニル系単量体の重合体部分がミク
ロ相分離しているためと考えられるが、本発明の範囲内
のエポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体におい
てはその分散液の安定性が優れており、貯蔵時の安定
性、製膜時の透明性、光沢に何ら問題が生じない。本発
明の熱硬化性組成物において、(B)成分として用いら
れる化合物は、一般式(1)
【0025】
【化4】
【0026】(式中のR、R及びRはそれぞれ水
素原子又は炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜
18の有機基であって、RとRは互いに結合してY
をヘテロ原子とする複素環を形成してもよく、Y
酸素原子又はイオウ原子である。)で表される官能基2
個以上、好ましくは2〜50個を1分子中に有する化合
物であって、前記一般式(1)で表される官能基は、カ
ルボキシル基と一般式(3)
【0027】
【化5】
【0028】(式中のR、R、R、R及びY
は、前記と同じ意味を持つ。)で表されるビニルエーテ
ル化合物、ビニルチオエーテル化合物あるいは酸素原子
又はイオウ原子をヘテロ原子とするビニル型二重結合を
持つ複素環式化合物との反応により、容易に形成させる
ことができる。
【0029】前記一般式(1)及び(3)における
、R及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1
〜18のアルキル基、アリール基、アルカリール基など
の有機基、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アリー
ル基、アルカリール基などの有機基であって、これらの
有機基は適当な置換基を有していてもよく、またR
は、互いに結合してYをヘテロ原子とする置換基
を有しない又は有する複素環を形成していてもよい。R
、R及びRの好ましいものとしては、水素原子、
炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルカリー
ル基であり、Rの好ましいものとしては、炭素数1〜
10のアルキル基、アリール基、アルカリール基であ
る。
【0030】上記アルキル基の適当な具体例としては、
例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペン
チル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチ
ル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、
3−メチルペンチル、エチルブチル、n−ヘプチル、2
−メチルヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシ
ル、3−メチルヘプチル、n−ノニル、メチルオクチ
ル、エチルヘプチル、n−デシル、n−ウンデシル、n
−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘプタデシル、n
−オクタデシル基などが挙げられ、また、このアルキル
基には、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシク
ロアルキル基も含まれる。好ましいアルキル基は、炭素
数1〜10のアルキル基であり、具体的には、メチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イ
ソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペン
チル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチル
ブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペン
チル、エチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシ
ル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘ
プチル、n−ノニル、メチルオクチル、エチルヘプチ
ル、n−デシル及びシクロヘキシル基が挙げられる。
【0031】また、このアルキル基には、アラルキル基
も含まれる。その適当な具体例としては、ベンジル、1
−フェニルエチル、2−フェニルエチル、2−フェニル
プロピル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチ
ル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、1
−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフ
ェニル)エチル、2−メチルベンジルなどが挙げられ
る。上記アリール基及びアルカリール基の適当な具体例
としては、例えばフェニル、トリル、キシリル、ナフチ
ルなどのアリール基;4−メチルフェニル、3,4−ジ
メチルフェニル、3,4,5−トリメチルフェニル、2
−エチルフェニル、n−ブチルフェニル、tert−ブ
チルフェニル、アミルフェニル、ヘキシルフェニル、ノ
ニルフェニル、2−tert−ブチル5−メチルフェニ
ル、シクロヘキシルフェニル、クレジル、オキシエチル
クレジル、2−メチル−4−tert−ブチルフェニ
ル、ドデシルフェニルなどのアルカリール基などが挙げ
られ、好ましくは炭素数6〜10のフェニル、トリル、
キシリル、4−メチルフェニル、3,4−ジメチルフェ
ニル、3,4,5−トリメチルフェニル、2−エチルフ
ェニル、n−ブチルフェニル、tert−ブチルフェニ
ルなどのアリール基、アルカリール基が好ましい。
【0032】前記一般式(3)で表される化合物の具体
例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニ
ルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビ
ニルエーテル、secーブチルビニルエーテル、ter
tーブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニル
エーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどの脂肪族
ビニルエーテル化合物及びこれらに対応する脂肪族ビニ
ルチオエーテル化合物、さらには2,3−ジヒドロフラ
ン、3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H
−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−
ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒ
ドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、
3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,
4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウ
ムなどの環状ビニルエーテル化合物及びこれらに対応す
る環状ビニルチオエーテル化合物などが挙げられる。
【0033】該(B)成分の化合物は、1分子中に2個
以上、好ましくは2〜50個のカルボキシル基を有する
化合物と、前記一般式(3)で表される化合物との反応
により得ることができる。1分子中に2個以上のカルボ
キシル基を有する化合物としては、例えばコハク酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジ
カルボン酸などの炭素数2〜22の脂肪族ポリカルボン
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸、
テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチル
ヘキサヒドロフタル酸などの脂環式ポリカルボン酸、及
び1分子中にカルボキシル基2個以上を有するポリエス
テル樹脂、アクリル樹脂、マレイン化ポリブタジエン樹
脂、更にはカルボキシル基含有シリコーンオイル、例え
ばX−22−162A、X−22−162C(いずれも
商品名、信越化学工業(株)製)などが挙げられる。ま
た、前記1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する
化合物は、例えば(1)1分子当たりヒドロキシル基2
個以上、好ましくは2〜50個を有するポリオールと酸
無水物とをハーフエステル化させる、(2)1分子当た
りイソシアネート基2個以上、好ましくは2〜50個を
有するポリイソシアネート化合物とヒドロキシカルボン
酸又はアミノ酸とを付加させる、(3)カルボキシル基
含有α,β−不飽和単量体を単独重合又は他のα,β−
不飽和単量体と共重合させる、(4)カルボキシル基末
端のポリエステル樹脂を合成する、などの方法により得
られる。
【0034】前記1分子当たりヒドロキシル基2個以上
を有するポリオールとしては、例えばエチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレ
ングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ジエチレングリコール、ペンタンジオー
ル、ジメチルブタンジオール、水添ビスフェノールA、
グリセリン、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、
1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、
1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタン
トリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マニトー
ル、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジペン
タエリスリトールなどの多価アルコール類;これらの多
価アルコール類とγ−ブチロラクトンやε−カプロラク
トンなどのラクトン化合物との開環付加体;該多価アル
コール類と、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメ
タンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネート
化合物とのアルコール過剰下での付加体;該多価アルコ
ール類とエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエ
チレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジ
ビニルエーテル、ペンタンジオールジビニルエーテル、
ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールジビニルエーテルなどのビニルエー
テル化合物とのアルコール過剰下での付加体;及び該多
価アルコール類とアルコキシシリコーン化合物、例えば
KR−213、KR−217、KR−9218(いずれ
も商品名、信越化学工業(株)製)などとのアルコール
過剰下での縮合体などを挙げることができる。さらに、
水酸基含有シリコーンオイル、例えばX−22−160
AS、KF−6001(いずれも商品名、信越化学工業
(株)製)が挙げられる。
【0035】一方、これらのポリオールと反応させる酸
無水物としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカル
ボン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロ
メリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタ
ル酸などの多価カルボン酸の酸無水物体を挙げることが
できる。また、1分子当たりイソシアネート基2個以上
を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、
p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシ
アネート、トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメ
チル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,
4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−
1,6−ジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイ
ソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネー
ト、ビス(イソシアネートエチル)フマレート、イソホ
ロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシ
アネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソ
シアネートヘキサノエート及びこれらのビュレット体、
イソシアヌレート体などを挙げることができる。
【0036】また、ヒドロキシカルボン酸としては、例
えば乳酸、クエン酸、ヒドロキシピバリン酸、12−ヒ
ドロキシステアリン酸、リンゴ酸などを挙げることがで
き、アミノ酸としては、例えば、DL−アラニン、L−
グルタミン酸、グリシン、L−テアニン、グリシルグリ
シン、γ−アミノカプロン酸、L−アスパラギン酸、L
−チトルリン、L−アルギニン、L−ロイシン、L−セ
リンなどを挙げることができる。さらに、カルボキシル
基含有α,β−不飽和単量体としては、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイ
ン酸、フマル酸などを挙げることができ、他のα,β−
不飽和単量体としては、例えば、メチルアクリレート、
メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメ
タクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピ
ルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプ
ロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−
ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソ
ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、
sec−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリ
レート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレー
ト、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、
スチレン、α−メチルスチレン、p−ビニルトルエン、
アクリロニトリルなどを挙げることができる。
【0037】また、該(B)成分の化合物は、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイン
酸、フマル酸などのα,β−不飽和カルボン酸と前記一
般式(3)で表される化合物との反応生成物を単独重合
させることによっても得ることができるし、該反応生成
物を他の反応性官能基を持たないα,β−不飽和単量体
と共重合させることによっても得ることができる。この
反応性官能基を持たないα,β−不飽和単量体として
は、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−
プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、
イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレー
ト、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレー
ト、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタ
クリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキ
シルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルア
クリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアク
リレート、ラウリルメタクリレート、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−ビニルトルエン、アクリロニトリル
などを挙げることができる。
【0038】また、カルボキシル基末端のポリエステル
樹脂は、多価アルコールに対して多塩基酸過剰下での通
常のポリエステル樹脂の合成法に従い、容易に形成させ
ることができる。前記の1分子中にカルボキシル基2個
以上を有する化合物と前記一般式(3)で表される化合
物との反応は、通常酸性触媒の存在下、室温ないし10
0℃の範囲の温度において行われる。また、(B)成分
は、本発明の熱硬化性組成物の貯蔵安定性を損なわない
範囲で、前記一般式(1)と化学結合を形成しうる反応
性官能基を導入した自己架橋型化合物であることも可能
である。該反応性官能基としては、例えば、エポキシ
基、オキサゾリン基、シラノール基、アルコキシシラン
基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネ
ート基、ブロック化イソシアネート基、シクロカーボネ
ート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ア
ミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、ア
セタール基及びケタール基等が挙げられる。この様な自
己架橋型の化合物は、1分子中にカルボキシル基1個以
上、好ましくは2〜50個と上記反応性官能基1個以
上、好ましくは2〜50個とを有する化合物を出発原料
とし、前記(B)成分の化合物の製法で説明したのと同
様な方法で製造することができるし、あるいは前記一般
式(1)で表される官能基を有する不飽和化合物と前記
の反応性官能基を有する不飽和化合物とを共重合させる
ことによっても製造することができる。本発明の熱硬化
性組成物においては、この(B)成分の化合物は1種用
いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】本発明の熱硬化性組成物は、前記(A)成
分並びに(B)成分を必須成分としている。(A)成分
並びに(B)成分の混合比は、該熱硬化性組成物中の前
記一般式(1)で表される官能基と、これと化学結合を
形成しうるエポキシ基並びに場合によって導入される
(B)成分中の反応性官能基とが当量比0.2:1.0
ないし1.0:0.2の割合になるように各成分を含有
させることが望ましい。本発明の(B)成分の一般式
(1)で表される官能基は加熱下において、遊離カルボ
キシル基を再生し、(A)成分の反応性官能基と化学結
合を形成するものであるが、この反応の他に分子内分極
構造に基き、(A)成分のエポキシ基、あるいは(B)
成分の反応性官能基に直接付加反応を起こし得る。この
際には、架橋反応時に脱離反応を伴わないため、揮発性
有機物質の排出低減にも貢献することができる。
【0040】本発明の熱硬化性組成物の硬化に要する温
度及び時間については、前記一般式(1)で表されるブ
ロック化官能基から、遊離カルボキシル基を再生する温
度、酸触媒の種類などにより異なるが、通常50〜30
0℃の範囲の温度で、5秒ないし1時間程度加熱するこ
とにより、硬化が完了する。本発明の熱硬化性組成物
は、上記した成分を混合し、必要に応じて各種添加剤を
配合することにより製造することができる。各成分の配
合方法及び各種添加剤の添加方法は、特に制限されるも
のではなく、種々の方法により行うことができ、混合順
序及び添加順序も種々の順序で行うことができる。
【0041】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定され
るものではない。 (製造例1及び2) (A)成分:エポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重
合体の合成 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた4つ
口フラスコに、それぞれ表1に示す初期仕込み溶剤、カ
ルボキシル基含有水添ポリブタジエン樹脂を仕込み、撹
拌下で加熱して、140℃を保った。次に140℃の温
度で、表1記載の組成の単量体、重合開始剤の混合物
(滴下成分)を2時間かけて滴下ロートより等速滴下し
た。滴下終了後140℃の温度を1時間保ち、その後、
温度を110℃に下げ、表1記載の組成の重合開始剤溶
液(追加触媒)を添加し、さらに110℃の温度を2時
間保ったところで反応を終了したところ、それぞれ表1
記載の特性を有するエポキシ基含有水添ポリブタジエン
変性重合体を得た。表1に示すとおり、本発明のエポキ
シ基含有水添ポリブタジエン変性重合体は透明な溶液、
もしくは安定な分散液となり、50℃で1カ月放置して
も安定に存在していることが判明した。また、これらの
エポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体を透明な
ガラス板に流し塗りしたキャスト膜は良好な透明性を有
していた。
【0042】
【表1】
【0043】注 1)表中の略号は以下の通りである。 GMA:グリシジルメタクリレート St:スチレン BMA:n−ブチルメタクリレート MMA:メチルメタクリレート BPL:t−ブチルペルオキシラウレート AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル CI−1000:日曹油化工業(株)製、カルボキシル
基含有水添ポリブタジエン樹脂:樹脂酸価49.2、数
平均分子量1,500 2)性状:目視によるエポキシ基含有水添ポリブタジエ
ン変性重合体の外観を示す。 3)不揮発分:50℃、0.1mmHgで3時間乾燥し
た残分を測定した。 4)エポキシ当量:過剰の0.2N塩酸ジオキサン溶液
でエポキシ基の開環反応を行った後、未反応の塩酸を
0.1N KOHエタノール溶液にて逆滴定し、樹脂当
たりのエポキシ当量を算出した。 5)粘度:20℃において、JIS K−5400(1
990)4.5.3回転粘度計法により測定した。な
お、貯蔵後の粘度は、貯蔵安定性試験を行った試料の粘
度を測定した。 6)キャスト膜の透明性;エポキシ基含有水添ポリブタ
ジエン変性重合体を透明なガラス板に流し塗りして14
0℃30分の条件で溶剤を蒸発させた後の外観を目視に
て確認した。 7)貯蔵安定性;50℃の恒温槽に1カ月、エポキシ基
含有水添ポリブタジエン変性重合体の溶液または分散液
を入れて樹脂の分離・ゲル化などの異常の有無を検討し
た。
【0044】製造比較例1 エポキシ基含有アクリル
樹脂(溶液)の合成 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた4つ
口フラスコに、初期仕込み溶剤40重量部を仕込み、撹
拌下で加熱し、100℃を保った。次に100℃の温度
で、表2記載の組成の単量体、重合開始剤及び溶剤の混
合物(滴下成分)を2時間かけて滴下ロートより等速滴
下した。滴下終了後、100℃の温度を1時間保ち、表
2記載の組成の重合開始剤溶液(追加触媒)を添加し、
さらに100℃の温度を2時間保ったところで反応を終
了し、表2記載のアクリル樹脂溶液を得た。
【0045】
【表2】
【0046】注 1)表中の略号は以下の通りである。 GMA:グリシジルメタクリレート BMA:n−ブチルメタクリレート MMA:メチルメタクリレート EHA:2−エチルヘキシルアクリレート AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 2)不揮発分:50℃、0.1mmHgで3時間乾燥し
た残分を測定した。 3)エポキシ当量:過剰の0.2N塩酸ジオキサン溶液
でエポキシ基の開環反応を行った後、未反応の塩酸を
0.1N KOHエタノール溶液にて逆滴定し、樹脂当
たりのエポキシ当量を算出した。 4)粘度:20℃において、JIS K−5400(1
990)4.5.3回転粘度計法により測定した。
【0047】製造例3 (B)成分化合物B−1の製造 (1)ポリカルボン酸B’−1の製造 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた4つ
口フラスコに下記成分を仕込み、撹拌下で加熱し120
℃に昇温した。 ペンタエリスリトール 136.0重量部 メチルイソブチルケトン 538.7重量部 次いで、120℃を保ちながらメチルヘキサヒドロフタ
ル酸無水物672.0重量部を2時間かけて滴下し、混
合物の酸価(ピリジン/水重量比=9/1混合液で約5
0重量倍に希釈し、90℃で30分間加熱処理した溶液
を水酸化カリウム標準溶液で滴定)が、170以下にな
るまで加熱撹拌を継続することによって、表3記載の特
性を有する4官能ポリカルボン酸化合物B’−1の溶液
を得た。
【0048】(2)化合物B−1の製造 前記の方法で得られたポリカルボン酸化合物溶液を用い
て、前記と同様のフラスコ中に下記組成の混合物を仕込
み、50℃を保ちながら撹拌した。 前記(1)のポリカルボン酸化合物溶液 336.7重量部 イソブチルビニルエーテル 120.2重量部 35wt%塩酸 0.2重量部 メチルイソブチルケトン 46.3重量部 混合物の酸価が12以下となったところで反応を終了
し、放冷後分液ロートに生成物を移した。得られた生成
物は、分液ロート中で10wt%炭酸水素ナトリウム水
溶液100重量部でアルカリ洗浄後、洗浄液のpHが7
以下になるまで300重量部の脱イオン水で水洗を繰り
返した。その後、有機層中にモレキュラーシーブ4A1
/16を加え、室温で3日間乾燥することによって、表
3記載の特性を有する化合物B−1を得た。
【0049】
【表3】
【0050】注 不揮発分:50℃、0.1mmHgで3時間乾燥した残
分を測定した。 ガードナー粘度(25℃):JIS K−5400(1
990)4.5.1のガードナー型泡粘度計法による。
【0051】製造例4 (B)成分化合物B−2の製造 (1)ポリカルボン酸B’−2の製造 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた4つ
口フラスコに下記成分を仕込み、撹拌下で加熱し120
℃に昇温した。 ペンタエリスリトール 127.6重量部 ε−カプロラクトン 364.1重量部 メチルイソブチルケトン 675.0重量部 次いで、120℃を保ちながらヘキサヒドロフタル酸無
水物520.8重量部を2時間かけて滴下し、混合物の
酸価(ピリジン/水重量比=9/1混合液で約50重量
倍に希釈し、90℃で30分間加熱処理した溶液を水酸
化カリウム標準溶液で滴定)が、140以下になるまで
加熱撹拌を継続することによって、表4記載の特性を有
する4官能ポリカルボン酸化合物B’−2の溶液を得
た。
【0052】(2)化合物B−2の製造 前記の方法で得られたポリカルボン酸化合物溶液を用い
て、前記と同様のフラスコ中に下記組成の混合物を仕込
み、50℃を保ちながら撹拌した。 前記(1)のポリカルボン酸化合物溶液 499.0重量部 イソブチルビニルエーテル 120.2重量部 35wt%塩酸 0.2重量部 メチルイソブチルケトン 46.3重量部 混合物の酸価が12以下となったところで反応を終了
し、放冷後分液ロートに生成物を移した。得られた生成
物は、分液ロート中で10wt%炭酸水素ナトリウム水
溶液100重量部でアルカリ洗浄後、洗浄液のpHが7
以下になるまで300重量部の脱イオン水で水洗を繰り
返した。その後、有機層中にモレキュラーシーブ4A1
/16を加え、室温で3日間乾燥することによって、表
4記載の特性を有する化合物B−2を得た。
【0053】
【表4】
【0054】注 不揮発分:50℃、0.1mmHgで3時間乾燥した残
分を測定した。 ガードナー粘度(25℃):JIS K−5400(1
990)4.5.1のガードナー型泡粘度計法による。
【0055】(B)成分化合物B−3溶液の製造 製造例5 α,β−不飽和化合物の製造 温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた4つ口フラスコ
に、それぞれ表5の組成の混合物を仕込み、50℃を保
ちながら撹拌した。混合物の酸価が30以下となったと
ころで反応を終了し、放冷後分液ロートに生成物を移し
た。得られた生成物は、分液ロート中で10wt%炭酸
水素ナトリウム水溶液100重量部でアルカリ洗浄後、
洗浄液のpHが7以下になるまで200重量部の脱イオ
ン水で水洗を繰り返した。その後、有機層中にモレキュ
ラーシーブ4A1/16[和光純薬(株)製、商品名]
を加え、室温で3日間乾燥することによって、表5記載
の有効分含有量を有するα,β−不飽和化合物を得た。
【0056】
【表5】 注 1)有効分含有量はガスクロマトグラフィーにより
求めた。
【0057】製造例6 化合物B−3溶液の製造 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた4つ
口フラスコに、それぞれ初期仕込み溶剤(キシレン)2
00重量部を仕込み、撹拌下で加熱し、80℃を保っ
た。次に80℃の温度で、表6記載の組成の単量体及び
重合開始剤混合物(滴下成分)を2時間かけて滴下ロー
トより等速滴下した。滴下終了後、80℃の温度を1時
間保ち、表6記載の組成の重合開始剤溶液(追加触媒)
を添加し、さらに80℃の温度を4時間保ったところで
反応を終了し、表6記載の特性を有する化合物B−3溶
液を得た。
【0058】
【表6】
【0059】注 1)不揮発分:50℃、0.1mmHgで3時間乾燥し
た残分を測定した。 2)粘度:ガードナー粘度(25℃) JIS K−5400(1990)4.5.1のガード
ナー型泡粘度計法による。
【0060】(実施例1〜4及び比較例1〜4)次に、
上記製造例1〜6及び製造比較例1で合成した(A)成
分および(B)成分を用いた組成物を調製し、一般的な
オーバーコート剤としての基本特性評価を行った。 組成物の調製 表7記載の樹脂組成物を調製した。尚、ブロック化カル
ボン酸を用いる場合はルイス酸系触媒、カルボン酸を用
いる場合は3級アミンを適宜添加した。試験片の調製及
び塗膜性能の評価方法次の方法に従い、試験塗膜を作成
し各評価を行った。尚、サンプルの硬化条件は総て80
℃×30分→150℃×30分とした。
【0061】<塗膜特性の評価方法> 1.PI(ポリイミド)の反り 100mm×100mm×75ミクロンのポリイミドフィル
ム(ユーピレックス)上に90mm×90mm×30ミクロ
ンのワニスをバーコート塗布し、硬化後の四隅の反りの
高さを測定した。 ○:4隅の反りの合計5mm以下、△:4隅の反りの合計5
〜20mm、×:4隅の反りの合計20mm以上 . 2.PI密着性 上記の塗膜を内外に180度10回づつ折り曲げ、剥離
の有無を観察した。 3.耐屈曲性評価(JISK-5400に準拠) 150×50×0.8mmブリキ板にワニスを約30ミク
ロンの厚さでバーコート塗布し、硬化後の試験板を屈曲
試験器にセット、各心棒での折り曲げ試験を行い塗膜の
状態を観察した。 ○:心棒2mmで異常なし、△:心棒4〜10mmで異常なし、
×:心棒10mmで異常あり
【0062】4.銅箔密着性(碁盤目試験)(JISK-540
0に準拠) 80×120×1.5mm銅張り積層板にワニスを約30
ミクロンの厚さでバーコート 塗布し、硬化後の試験板
をカッターガイドに沿って1mm画の升目を100個つく
り、セロテープ剥離後の状態を観察した。○:100/10
0、△:90/100以上、×:90/100以下 5.鉛筆硬度 80×120×1.5mm銅張り積層板にワニスを約30
ミクロンの厚さでバーコート塗布し、硬化後の塗膜を鉛
筆引っ掻き試験法で評価した。 6.電気絶縁性 導体幅0.318mmのくし形電極に、厚さ約30ミクロンに
なるようワニスを塗布し、硬化後の電気絶縁性を測定し
た。 7.耐薬品性 アセトンをしみ込ませたウエスで塗膜をラビング後塗膜
の状態を観察した。 ○:異常なし ×:塗膜劣化 8.保存安定性(ライフ) 容量50ccのガラス瓶にワニスを入れ、25度での粘度の
経時的な変化をB型粘度計(ローターNo.5)で測定し
た。初期粘度の2倍に達するまでの時間をライフとし
た。
【0063】
【表7】
【0064】組成物の配合と評価結果 (A)成分であるエポキシ基含有水添ポリブタジエン変
性重合体を使用した実施例1〜4では柔軟な塗膜が得ら
れ、特に、硬化時の反りの小ささや優れた耐屈曲性など
の点でフレキシブル性を有する基材の被覆材として好ま
しい特性を示すことがわかった。また、銅箔への密着性
や、電気絶縁性、耐薬品性など、一般的な電気回路基板
の絶縁材料としての基本特性も有していることが確認さ
れ、特にフレキシブル回路基板用オーバーコート剤とし
ても有用であることがわかった。さらには、保存性も良
好であるため1液になり、取り扱い性にも優れることが
わかった。これに対して、エポキシ基含有水添ポリブタ
ジエン変性重合体を使用しない比較例1〜2は塗膜の柔
軟性が不十分で耐屈曲性に劣ることがわかった。また、
比較例3〜4ではカルボキシル基をブロックしていない
ため、保存安定性に劣ることがわかった。
【0065】
【発明の効果】本発明の熱硬化性組成物は、耐薬品性、
柔軟性、密着性、電気絶縁性に優れる硬化物を与えるこ
とができるとともに、貯蔵安定性にも優れており、例え
ば、フレキシブル性を有する基材の被覆材などに好適で
あり、さらにはフレキシブル回路基板用オーバーコート
剤などへの応用も可能である。従って、本発明の熱硬化
性組成物は、包装材料の被覆材や、レジスト材、さらに
は積層フィルム分野などにおいて極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武本 正幸 神奈川県横浜市都筑区大丸10番5−305号 (72)発明者 坂本 弘志 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社アミノサイエンス研究所内 (72)発明者 横田 忠彦 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社アミノサイエンス研究所内 (72)発明者 織壁 宏 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社アミノサイエンス研究所内 Fターム(参考) 4J002 AC11X BG07X CD18W CD19W CD20W CF27X CP05X CP10X EH006 ET006 GH01 4J031 AA13 AA14 AA17 AA20 AA23 AA29 AA47 AB01 AB02 AC03 AD01 AE13 AF12 AF23 4J036 AK03 AK09 AK11 CD04 DB23 DC32 FB03 FB05 FB11 FB16 JA01 5E314 AA32 AA37 FF06 GG03 GG11 GG14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)数平均分子量500〜10,
    000であり、且つ樹脂酸価10〜250mgKOH/
    gのカルボキシル基含有水添ポリブタジエン樹脂から成
    る構成部分と(b)エポキシ基を有するビニル系単量体
    の重合体から成る構成部分を有し、該カルボキシル基と
    該エポキシ基の一部とが、(b)成分の重合体のエポキ
    シ基に対する(a)成分のカルボキシル基の当量比が
    0.2以下の割合で反応して結合されており、エポキシ
    当量が200〜2000g/molであることを特徴と
    するエポキシ基含有水添ポリブタジエン変性重合体。
  2. 【請求項2】(A)(a)数平均分子量500〜10,
    000であり、且つ樹脂酸価10〜250mgKOH/
    gのカルボキシル基含有水添ポリブタジエン樹脂から成
    る構成部分と(b)エポキシ基を有するビニル系単量体
    の重合体から成る構成部分を有し、該カルボキシル基と
    該エポキシ基の一部とが、(b)成分の重合体のエポキ
    シ基に対する(a)成分のカルボキシル基の当量比が
    0.2以下の割合で反応して結合されており、エポキシ
    当量が200〜2000g/molのエポキシ基含有水
    添ポリブタジエン変性重合体、及び(B)一分子中に、
    一般式(1) 【化1】 (式中のR、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭
    素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基
    であって、RとRはたがいに結合してYをヘテロ
    原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原
    子又はイオウ原子である)で表される官能基2個以上を
    有する化合物を含有することを特徴とする熱硬化性組成
    物。
  3. 【請求項3】(A)成分におけるエポキシ基を有するビ
    ニル系単量体の重合体が、(b)エポキシ基を有するビ
    ニル系単量体と(c)他のビニル系単量体との重合体で
    ある請求項2に記載の熱硬化性組成物。
  4. 【請求項4】(A)成分における(a)成分から成る構
    成部分の(b)成分の重合体又は(b)成分と(c)成
    分の重合体から成る構成部分に対する重量比が10/9
    0から80/20である請求項2又は3に記載の熱硬化
    性組成物。
  5. 【請求項5】請求項2〜4のいずれかに記載の熱硬化性
    組成物から成ることを特徴とするフレキシブル回路基板
    用オーバーコート剤。
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