JP2000299246A - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

積層セラミック電子部品の製造方法

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JP2000299246A
JP2000299246A JP11105158A JP10515899A JP2000299246A JP 2000299246 A JP2000299246 A JP 2000299246A JP 11105158 A JP11105158 A JP 11105158A JP 10515899 A JP10515899 A JP 10515899A JP 2000299246 A JP2000299246 A JP 2000299246A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミックグリーンシートと内部電極とを交
互に積層した積層ブロック体をチップ状に切断、分離す
る際に、分離作業が容易で、チップどうしのくっつき不
良が無く、負荷荷重を加えた再分離作業による変形、か
け、われ等のチップの外観不良を防ぐことができ、生産
性に優れ、外観品質の良好な積層セラミックコンデンサ
などの積層セラミック部品を得ることを目的とする。 【解決手段】 支持台パレットの上面にセラミックグリ
ーンシートと内部電極とを交互に積層した積層ブロック
体をチップ状に切断、分離する際に、前記支持台パレッ
トと前記積層ブロック体との間にバインダーあるいはバ
インダーと可塑剤の混合物からなる粘着層を形成し、前
記積層ブロック体を前記支持台パレットの上面に固着す
る工程と、前記支持台パレットの上面に積層した積層ブ
ロック体を切断後に240℃〜600℃の加熱処理を行
い、その次に分離する積層セラミック部品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層セラミックコン
デンサなどの積層セラミック電子部品の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の積層セラミック電子部品として、
積層セラミックコンデンサの製造方法を例に説明を行
う。
【0003】先ず、セラミック材料粉末にバインダー等
を加えたスラリーを用い、ドクターブレード法等でセラ
ミックグリーンシートを作製する。
【0004】次に、セラミックグリーンシート面に内部
電極を形成した後、これを支持台パレットの上に複数枚
加熱積層し積層グリーンブロックを作製する。尚、内部
電極を形成したセラミックグリーンシートは一層ごと交
互に内部電極の長手方向に所定寸法ずらしながら積層を
行う。
【0005】次いで、積層グリーンブロックを所定の積
層グリーンチップ形状に切断した後、これを支持台パレ
ットから分離した後、サヤ詰めし、600℃前後の温度
で脱バイに続いて焼成を行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】最近の積層セラミック
コンデンサは小型、大容量化に伴う内部電極及びセラミ
ックグリーンシートの高積層品は、内部電極の積層及び
積層グリーンチップの切断に高い精度が要求されてい
る。高精度の対応には、支持台パレット上に積層するセ
ラミックグリーンシートの面積を小さくし、切断時の位
置ずれを防止するかまたは支持台パレットと積層グリー
ンブロックの間に100℃程度の加熱で発泡して、切断
後の積層グリーンチップの分離が容易な粘着発泡シート
を介在させ積層グリーンブロックを固定し、切断時の積
層グリーンブロックの位置ずれを防止する方法が用いら
れている。
【0007】前者は生産性が悪いという課題が有り、後
者は粘着発泡シートを用いるためコストアップとなるこ
とに加え、粘着発泡シートから積層グリーンチップを分
離する際に加熱するため、セラミックグリーンシート中
のバインダーや可塑剤が流動性を増し、切断した積層グ
リーンチップどうしを最融着させその分解が困難にな
る。特にセラミックグリーンシートの積層数が多く、製
品寸法の厚い大容量積層セラミックコンデンサにおいて
はこの課題が顕著で、分離の際に機械的な負荷を積層グ
リーンチップに加えると、割れ、欠けなどが発生し品質
的な問題も有していた。
【0008】また、積層グリーンチップどうしの再融着
を低減する方策として、セラミックグリーンシートのバ
インダー量を減量する方法があるが、この場合、積層時
にセラミックグリーンシートどうしの接着性が低下し、
最終焼結体の内部にデラミネーション等の内部構造欠陥
が発生しやすい。
【0009】本発明は積層グリーンブロックを精度良く
積層グリーンチップ形状に切断し、これを分離する際に
積層グリーンチップどうしの再融着と、外観不良の発生
を防ぎ、しかも生産性の優れた積層セラミックコンデン
サ等の積層セラミック電子部品の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、支持台パレットの上にセラミックグリーン
シートと内部電極とを交互に複数層積層した積層グリー
ンブロックを所定の積層グリーンチップ形状に切断した
後、分離、脱バイ、焼成を行い積層セラミック電子部品
を製造する製造工程において、支持台パレットと積層グ
リーンブロックとの間にセラミックグリーンシートのバ
インダーまたはこれより低沸点の粘結剤あるいはバイン
ダーと可塑剤の混合物からなる粘着層を介在させ、これ
によって積層グリーンブロックを支持台パレットの上に
強固に固定し、積層グリーンブロックの切断を行い、切
断時の積層グリーンブロックの位置ずれを防止し、支持
台パレット上に積層グリーンチップを載置したまま、2
40℃〜600℃の温度で加熱処理を行い、粘着層及び
積層グリーンチップのバインダー、可塑剤の除去を行っ
た後、積層グリーンチップを支持台パレットからの分離
を行い、支持台パレット上に積層グリーンチップを整列
して脱バイを行うため、積層グリーンチップの再融着が
防止され、しかも局部的な発熱がなく、均一に脱バイ処
理ができ、内部構造欠陥等の不良低減に対しても有効な
手段である。
【0011】この製造方法によって、積層、切断精度が
高まり、また切断後の積層グリーンチップの分離作業が
容易となり、外観不良の発生を抑制し、しかも生産性が
向上することができるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、支持台パレットの上にセラミックグリーンシートと
内部電極とを交互に複数層積層して積層グリーンブロッ
クを形成し、その積層グリーンブロックを所定形状の積
層グリーンチップに切断後、分離、脱バイ、焼成を行っ
て積層セラミック電子部品を製造する製造工程におい
て、前記支持台パレット面に粘結剤あるいは粘結剤と可
塑剤の混合物からなる粘着層を形成し、粘着層を介して
支持台パレット上にセラミックグリーンシート及び内部
電極を交互に積層固着する積層セラミック電子部品の製
造方法であり、最近の積層セラミックコンデンサに代表
される積層セラミック電子部品は、小型化、大容量に対
応しセラミックグリーンシート及び内部電極の高積層化
が進行すると共に、内部電極の積層及び積層グリーンチ
ップの切断に高い精度が要求され、これに対処するため
に生産効率を下げて支持台パレット上に小さい面積のセ
ラミックグリーンシートを積層し積層グリーンチップ切
断時の積層グリーンブロックの位置ずれを防止するか、
または支持台パレットと積層グリーンブロックの間に1
00℃程度の加熱により発泡する発泡粘着を用いて積層
グリーンブロックを固定し、積層グリーンブロックの切
断時の位置ずれを防止する必要があったが本発明はコス
トの高い粘着発泡シートに替えて、セラミックグリーン
シートと同じバインダーまたはこれより低沸点の粘結剤
を用い支持台パレット上に粘着層を形成し、これによっ
て積層グリーンブロックを強固に固着するものであり、
広い面積のセラミックグリーンシートを用い積層グリー
ンブロックを積層した場合においても、積層グリーンチ
ップ形状に切断時に積層グリーンブロックを強固に支持
台パレットに固着できる粘結層で、積層グリーンブロッ
クの位置ずれを防止して、切断寸法精度の高い積層セラ
ミック電子部品の製造方法を提供することができるもの
である。
【0013】本発明の請求項2に記載の発明は、粘結剤
と可塑剤の混合物において可塑剤の含有比率を70重量
%以下とする請求項1に記載の積層セラミック電子部品
の製造方法であり、これは、支持台パレットの上に形成
した粘着層が積層グリーンブロックを強固に接着するこ
とのできる粘着層の組成比率を規定したものであり、組
成比率を規定した理由は、可塑剤の含有比率が多くなる
と粘着層の接着力が低下し、支持台パレット上で積層グ
リーンブロックの固着が弱く、剥がれ易くなり、このた
め積層グリーンチップ形状に切断する際に積層グリーン
ブロックが位置ずれし、切断精度が悪化するのを防止す
るためである。
【0014】本発明の請求項3に記載の発明は、離型層
を設けたフィルムの上面に有機溶剤、粘結剤及び可塑剤
からなる混合物を塗布して粘着層を形成し、この粘着層
を支持台パレットの面に転写した後フィルムを剥離し、
支持台パレット面に粘着層を形成する請求項1または請
求項2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法であ
り、これは前もって長期間の保存の可能な粘着層シート
を作製し、積層セラミック電子部品の製造の際に支持台
パレットに転写することで容易に粘着層を形成すること
ができ、積層セラミック電子部品の生産効率を高めるこ
とができ、より実用的な手段となるものである。
【0015】本発明の請求項4に記載の発明は、有機溶
剤、粘結剤及び可塑剤からなる混合物を支持台パレット
の面に印刷した後、乾燥し支持台パレット面に粘着層を
形成する請求項1または請求項2に記載の積層セラミッ
ク電子部品の製造方法であり、これは粘着層材料を粘結
剤と可塑剤を混合したビヒクルとして保存しておき、積
層セラミック電子部品の製造の際に支持台パレットに印
刷することで、容易に粘着層を形成することができ積層
セラミック電子部品の生産効率を高めるより実用的な手
段となるものであり、また請求項3に記載のフィルムの
使用が節約できる低コストの製造手段が実現できる。
【0016】本発明の請求項5に記載の発明は、支持台
パレットの上で積層グリーンブロックを所定の積層グリ
ーンチップ形状に切断した後、支持台パレットと共に2
40℃〜600℃の温度で加熱処理を行い、次に支持台
パレットから積層グリーンチップを分離する請求項1に
記載の積層セラミック電子部品の製造方法であり、これ
は従来方法では積層グリーンチップ状に切断した後、粘
着層から分離する際に積層グリーンチップに大きな機械
的な力を加える必要があり、この負荷が積層グリーンチ
ップの割れ、欠けの原因となり外観不良を誘発する惧れ
が有ったが、これを防止するために切断した積層グリー
ンチップを支持台パレットと共に240℃〜600℃の
温度で加熱処理を行い粘結層及び積層グリーンチップに
含まれるバインダー、可塑剤を分解除去した後、分離を
行う方法では粘結層が分解除去されているため、ごく僅
かな力で支持台パレットから分離でき外観不良を発生さ
せることがなく、更に積層グリーンチップからバインダ
ー、可塑剤が分解除去されているため切断した積層グリ
ーンチップの再融着が発生しないという作用を有するも
のである。尚、加熱処理温度を240℃〜600℃とし
た理由は、粘着層及び積層グリーンチップのバインダ
ー、可塑剤の分解除去に必要な温度範囲を規定したもの
であり、処理温度が低い場合は、積層グリーンチップに
含まれるバインダー、可塑剤の除去が不十分となり積層
グリーンチップどうしが再融着し、処理温度が高い場合
は積層グリーンチップ中のセラミック粒子間でネッキン
グが始まり、分離ができなくなるのを防止するためであ
る。
【0017】本発明の請求項6に記載の発明は、加熱処
理を非酸化性雰囲気中で行う請求項1または請求項5に
記載の積層セラミック電子部品の製造方法であり、これ
は、切断した積層グリーンチップを同時に大量処理して
も非酸化性雰囲気中であるため、バインダー、可塑剤の
急激な発熱を伴う燃焼を抑制するとともに、最近の積層
セラミック電子部品には低コスト化を図るために、内部
電極にニッケル等の卑金属を用いるものが主流となって
きており、この酸化を防止するためである。
【0018】本発明の請求項7に記載の発明は、粘着層
の厚みを20μm以下に形成する請求項1から請求項4
のいずれか一つに記載の積層セラミック電子部品の製造
方法であり、これは、積層グリーンブロックを支持台パ
レットに固着させるに十分な粘着層を確保し、積層グリ
ーンチップ形状に切断する際に積層グリーンブロックの
位置ずれを防ぎ、精度の高い切断を可能にする粘着層の
厚さを規定すると共に、240℃〜600℃の温度での
加熱処理で容易に分解除去できる厚さを規定したもので
ある。
【0019】本発明の請求項8に記載の発明は、アクリ
ル系の粘結剤を用いる請求項1から請求項7のいずれか
一つに記載の積層セラミック電子部品の製造方法であ
り、これは、240℃〜600℃の温度範囲で完全に分
解し、かつ非酸化性雰囲気で加熱処理を行っても粘着層
が分解しやすい材質を規定したものである。
【0020】本発明の請求項9に記載の発明は、支持台
パレットにアルミナまたはアルミナ質磁器を用いる請求
項1から請求項8のいずれか一つに記載の積層セラミッ
ク電子部品の製造方法であり、これは、支持台パレット
に金属を用いた場合、繰返しの使用で支持台パレットの
表面が酸化され粗れたり、また形成された酸化物皮膜が
積層グリーンチップの表面に付着し製品性能を劣化させ
る惧れがあり、また更に、支持台パレットが600℃近
傍温度で熱歪みを受け変形し積層グリーンシート及び内
部電極の積層または積層グリーンチップの切断の精度に
悪影響を与え、これを防止するため支持台パレットに耐
酸化性、耐熱性のアルミナまたはアルミナ系磁器を用い
ることにより、前記課題を解消することができるもので
ある。
【0021】以下、本発明の実施の形態について説明す
る。
【0022】(実施の形態1)まず、チタン酸バリウム
を主成分とする誘電体セラミック粉末に、バインダーと
してポリビニールブチラール、可塑剤としてジブチルフ
タレート、有機溶剤として酢酸ブチルを加えスラリー化
した後、公知のドクターブレード法を用いて厚さ10μ
mのグリーンシートを作製する。
【0023】また、これとは別に粘結剤のアクリル酸エ
ステル重合体、可塑剤のジブチルフタレート、有機溶剤
の酢酸ブチルを(表1)に示す組成比で混合し、公知の
ドクターブレード法を用いて表面に離型層を設けたポリ
エチレン製のフィルム面に厚さ10μmの粘着層シート
を作製した。次に、これをアルミナ質磁器製の支持台パ
レットの面に転写した後フィルムを剥離し粘着層を形成
した。
【0024】次に、セラミックグリーンシートを20c
m角に切断した後、この面にパラジウムを主成分とする
電極ペーストを用いて内部電極を印刷塗工し、内部電極
を形成したセラミックグリーンシートを一層ごと交互に
内部電極の長手方向に所定寸法ずらしながら、粘結層を
形成した支持台パレットの上に順次100枚積層し積層
セラミックコンデンサの積層グリーンブロックを作製し
た。
【0025】次いで積層グリーンブロックを最終の積層
セラミックコンデンサの完成製品寸法が長さ3.2m
m、幅1.6mmの寸法になるように考慮し積層グリー
ンチップ形状に切断を行った。
【0026】その後、積層グリーンチップを支持台パレ
ットに載置したまま(表1)に示す大気中の温度で一時
間加熱処理を行った後、支持台パレットから積層グリー
ンチップを分離し、フルイを通して、積層グリーンチッ
プどうしのくっつき発生数と、顕微鏡で分離した積層グ
リーンチップの変形、欠け、割れ等の外観不良発生数及
び内部電極が露出している端部を観察し切断ずれ不良発
生品を検査しその結果を併せて(表1)に示した。尚、
切断ずれは、図1に示したように内部電極1の端部から
セラミックグリーンシート2の端部までのサイドマージ
ンS1、S2のいずれかが100μmより小さいものを
不良としてカウントした。
【0027】
【表1】
【0028】(表1)からわかるように、可塑剤の混合
比率が多いNo.5は粘着層の接着性が弱いために、切
断時に積層グリーンブロックが支持台パレットより剥が
れやすくなり、位置ずれを起こし切断不良が多発してい
る。しかしながらいずれともくっつき及び外観不良の発
生は認められなかった。これから粘着層の可塑剤の混合
比率を70%より少なくすることで良好な接着性を有す
る粘着層が形成されることが明らかとなる。
【0029】(実施の形態2)先ず、(表1)のNo.
3に示すビヒクルをアルミナ質磁器製の支持台パレット
面に厚さ5μmで印刷、乾燥し粘着層を形成した。
【0030】次に、実施の形態1と同様に、パラジウム
を主成分とする電極ペーストで内部電極を形成した20
cm角のセラミックグリーンシートを、一層ごと交互に
内部電極の長手方向に所定寸法ずらしながら、粘結層を
形成した前記支持台パレットの上に順次100枚積層し
積層セラミックコンデンサの積層グリーンブロックを作
製した。
【0031】次いで、積層グリーンチップ形状に切断し
た後、支持台パレットごと(表2)に示す大気中の温度
で一時間加熱処理を行い、支持台パレットから分離し、
実施の形態1と同じ評価方法で、くっつき不良と外観不
良の発生数を調査しその結果を(表2)に併せて示し
た。
【0032】
【表2】
【0033】(表2)からわかるように、加熱処理を行
わなかったNo.6は支持台パレットから分離する際
に、大きな機械的負荷を積層グリーンチップに加えたた
めに外観不良が多発し、また加熱処理温度が本発明の範
囲より低いNo.7は逆に、積層グリーンチップのバイ
ンダーが中途半端な加熱で流動性を増し、切断した積層
グリーンチップを再融着させくっつき不良が多発すると
共に、粘着層の分解が不十分で粘着力を有しているた
め、支持台パレットから分離する際に大きな機械的負荷
を積層グリーンチップに加えたために外観不良も多発し
ている。
【0034】また更に、加熱処理温度が本発明の範囲よ
り高いNo.10は積層グリーンチップのセラミック粒
子のネッキングが始まり、これにより積層グリーンチッ
プどうしのくっつき不良発生数が多くなる。これに対し
て、加熱処理を240℃〜600℃の範囲で実施したN
o.8、9は、粘着層及び積層グリーンチップのバイン
ダー、可塑剤が完全に除去されているため容易に支持台
パレットから分離され、またセラミック粒子のネッキン
グも起こっていないため、くっつき不良、外観不良の発
生も認められない。この結果から切断した積層グリーン
チップを支持台パレットと共に240℃〜600℃の温
度で熱処理を行うことが有効な手段であることが明らか
となる。
【0035】(実施の形態3)先ず、実施の形態2と同
様に(表1)のNo.3に示すビヒクルをアルミナ質磁
器製の支持台パレット面に厚さ5μmで印刷、乾燥し粘
着層を形成した。
【0036】次に、実施の形態1と同様の方法で作製し
た20cm角のセラミックグリーンシート面にニッケル
を主成分とする電極ペーストを用い内部電極を形成し
た。
【0037】次いで、内部電極を印刷したセラミックグ
リーンシートを、一層ごと交互に内部電極の長手方向に
所定寸法ずらしながら粘結層を形成した前記支持台パレ
ットの上に順次100枚積層し積層セラミックコンデン
サの積層グリーンブロックを作製した。
【0038】その後、積層グリーンブロックを積層グリ
ーンチップ形状に切断した後、支持台パレットごと(表
3)に示す非酸化性雰囲気中の温度で一時間加熱処理を
行い、支持台パレットから分離し、実施の形態1と同じ
評価方法で、くっつき不良と外観不良の発生数を調査し
その結果を(表3)に併せて示した。
【0039】
【表3】
【0040】(表3)からわかるように、加熱処理温度
が本発明の範囲より低いNo.11は、積層グリーンチ
ップのバインダーが中途半端な加熱温度で流動性を増
し、切断した積層グリーンチップを再融着させくっつき
不良が多発すると共に、粘着層の分解が不十分で粘着力
を有しているため、支持台パレットから分離する際に大
きな機械的負荷を積層グリーンチップに加えたために外
観不良も多発している。また、加熱処理温度が本発明の
範囲より高いNo.15はグリーンチップのセラミック
粒子のネッキングが始まり、これにより積層グリーンチ
ップどうしのくっつき不良発生数が多くなる。これに対
して、本発明の範囲内の温度で加熱処理を実施したN
o.12〜No.14は非酸化性雰囲気中においても粘
着層及び積層グリーンチップのバインダー、可塑剤が完
全に除去されているため容易に支持台パレットから分離
することができ、またセラミック粒子間のネッキングも
起こっていないためくっつき不良の発生が少なく、外観
不良の発生も認められなかった。この結果から内部電極
にニッケルを用いた積層グリーンチップにおいても非酸
化性雰囲気中で支持台パレットと共に240℃〜600
℃の温度で熱処理を行うことが有効な手段であることが
明らかとなる。
【0041】(実施の形態4)先ず、実施の形態2と同
様に(表1)のNo.3に示すビヒクルを用い、ポリエ
ステル製のフィルム面に公知のドクターブレード法を
(表4)に示す厚さの粘着層を形成した後、これをアル
ミナ質磁器製の支持台パレット面にそれぞれ転写を行い
粘着層を形成した。
【0042】次に、粘着層を形成した支持台パレット上
に実施の形態と同様に、内部電極を印刷した20cm角
のセラミックグリーンシートを、一層ごと交互に内部電
極の長手方向に所定寸法ずらしながら、順次100枚積
層し積層セラミックコンデンサの積層グリーンブロック
を作製した。
【0043】次いで、積層グリーンブロックを積層グリ
ーンチップ形状に切断した後、支持台パレットごと(表
4)に示す大気中の温度で一時間加熱処理を行い、次に
支持台パレットから積層グリーンチップを分離、フルイ
を通して、実施の形態1と同様の評価方法で、くっつき
不良と外観不良の発生数を調査しその結果を併せて(表
4)に示した。
【0044】
【表4】
【0045】(表4)からわかるように、粘着層の厚み
が本発明の範囲より厚いNo.18は、450℃の温度
で一時間加熱処理を行っても粘着層の分解除去が不十分
なため、支持台パレットから積層グリーンチップを分離
する際に機械的負荷を加える必要があり、このため取り
外し不良が発生している。これに対し、粘着層の厚みが
本発明の範囲内のNo.16とNo.17は、一時間の
加熱処理で粘着層が十分に分解され、外観不良が発生し
ていないことが明らかである。この結果から粘着層の厚
さは20μm以下に制御する必要があることが分かる。
【0046】(実施の形態5)先ず、実施の形態2と同
様に(表1)のNo.3に示すビヒクルをアルミナ質磁
器製の支持台パレットと、ステンレス製の支持台パレッ
ト面にそれぞれ厚さ5μmで印刷、乾燥し粘着層を形成
した。
【0047】次に、実施の形態1と同様にパラジウムを
主成分とする電極ペーストで内部電極を形成した20c
m角のセラミックグリーンシートを、一層ごと交互に内
部電極の長手方向に所定寸法ずらしながら粘着層を形成
した前記それぞれの支持台パレットの上に順次100枚
積層し積層セラミックコンデンサの積層グリーンブロッ
クを作製した。
【0048】次いで、積層グリーンチップ形状に切断し
た後、支持台パレットごと(表5)に示す大気中の温度
で一時間加熱処理を行った後、積層グリーンチップを支
持台パレットから分離し、支持台パレットの表面粗れ、
変形、凹凸の有無を目視検査した。支持台パレットに異
常がない場合は、再度その支持台パレット面に粘着層を
形成した後、積層グリーンブロックの積層、積層グリー
ンチップの切断、支持台パレットごと(表5)に示す大
気中の温度で一時間加熱処理、及び支持台パレットから
積層グリーンチップの分離の作業を繰り返し行いなが
ら、支持台パレットの表面粗れ、変形、凹凸の有無の目
視検査を行った。この繰り返し作業において、表面粗
れ、変形、凹凸などの異常が確認された場合、その支持
台パレットの使用限界とし、その結果を併せて(表5)
に示した。
【0049】
【表5】
【0050】(表5)からわかるように、ステンレス製
の支持台パレットは、加熱処理温度が高くなるに従って
表面粗れ、変形、凹凸などの異常が早期に発生しやす
く、耐久性に問題があることが分かる。これに対して、
アルミナ質の支持台パレットは、高い温度で加熱処理を
繰り返し行っても、表面粗れ、変形、凹凸などの異常が
発生せず、耐久性が高いことが明らかである。この結果
から600℃前後の温度で繰り返し長期間使用するため
にはアルミナ質磁器等のセラミック材料が有効な材料と
なることが明らかとなる。
【0051】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、支持台パ
レットの上にセラミックグリーンシートと内部電極とを
交互に複数層積層して積層グリーンブロックを形成し、
その積層グリーンブロックを所定形状の積層グリーンチ
ップに切断後、分離、脱バイ、焼成を行って積層セラミ
ック電子部品を作製する製造工程において、先ず支持台
パレット面に粘結剤、あるいは粘結剤と可塑剤の混合物
からなる粘着層を形成し、次に、この粘着層を形成した
支持台パレット上にセラミックグリーンシート及び内部
電極を交互に積層した積層グリーンブロックを作製し、
次いで、積層グリーンブロックを所定の積層グリーンチ
ップ形状に切断を行った後、支持台パレット上に積層グ
リーンチップを載置したまま、240℃〜600℃の温
度で加熱処理を行って、積層グリーンチップを支持台パ
レットから分離する製造方法によれば、切断した積層グ
リーンチップを支持台パレットから分離する際に、積層
グリーンチップに機械的負荷を加えることなく容易に分
離することができるため、変形、欠け、割れ等の外観不
良の発生を防ぎ、しかも切断した積層グリーンチップど
うしの再融着の発生もなくなり、生産性に優れた積層セ
ラミック電子部品を容易に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層セラミック電子部品の製造方法に
おける積層グリーンチップに切断したときの切断ずれを
説明する説明図
【符号の説明】
1 内部電極 2 セラミックグリーンシート

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持台パレットの上にセラミックグリー
    ンシートと内部電極とを交互に複数層積層して積層グリ
    ーンブロックを形成し、その積層グリーンブロックを所
    定形状の積層グリーンチップに切断後、分離、脱バイ、
    焼成を行う積層セラミック電子部品の製造工程におい
    て、前記支持台パレット面に粘結剤あるいは粘結剤と可
    塑剤の混合物からなる粘着層を形成し、粘着層を介して
    支持台パレット上にセラミックグリーンシート及び内部
    電極を交互に積層固着する積層セラミック電子部品の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 可塑剤の含有比率を70重量%以下とす
    る請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 表面に離型層を設けたフィルムの上面
    に、有機溶剤、粘結剤及び可塑剤からなる混合物を塗布
    して粘着層を形成し、この粘着層を支持台パレットの面
    に転写した後フィルムを剥離し、支持台パレット面に粘
    着層を形成する請求項1または請求項2に記載の積層セ
    ラミック電子部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機溶剤、粘結剤及び可塑剤からなる混
    合物を支持台パレットの面に印刷した後、乾燥し支持台
    パレット面に粘着層を形成する請求項1または請求項2
    に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 支持台パレット上で積層グリーンブロッ
    クを所定形状に切断後、支持台パレットと共に240℃
    〜600℃の温度で加熱処理を行った後、支持台パレッ
    トから積層グリーンチップを分離する請求項1に記載の
    積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 加熱処理を非酸化性雰囲気中で行う請求
    項1または請求項5に記載の積層セラミック電子部品の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 粘着層の厚みを20μm以下に形成する
    請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の積層セラ
    ミック電子部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 アクリル系の粘結剤を用いる請求項1か
    ら請求項7のいずれか一つに記載の積層セラミック電子
    部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 支持台パレットにアルミナまたはアルミ
    ナ質磁器を用いる請求項1から請求項8のいずれか一つ
    に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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