JP2000297342A - 表面調質超硬合金、被覆表面調質超硬合金およびその製法 - Google Patents
表面調質超硬合金、被覆表面調質超硬合金およびその製法Info
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】超硬合金の表面を調質もしくは改質し、超硬合
金の寿命を向上させること、また表面調質された超硬合
金上にCVD法あるいはPVD法により硬質膜を被覆し
て表面被覆超硬合金の寿命を向上させる。 【解決手段】WCを主成分とする超硬合金における少な
くとも一面は、機械加工と腐蝕により表面調質面が形成
されており、該表面調質面の表面に存在するWCと該超
硬合金の内部に存在するWCとをX線回折したときに、
該表面調質面の表面におけるWCの(001)結晶面の
ピーク高さをhs(001)WC、(101)結晶面のピ
ーク高さをhs(101)WC、該超硬合金の内部におけ
るWCの(001)結晶面のピーク高さをhi(00
1)WC、(101)結晶面のピーク高さをhi(10
1)WCと表すと、hs(001)WC/hs(101)WC
≧1.2×hi(001)WC/hi(101)WCを満足
する表面調質超硬合金。
金の寿命を向上させること、また表面調質された超硬合
金上にCVD法あるいはPVD法により硬質膜を被覆し
て表面被覆超硬合金の寿命を向上させる。 【解決手段】WCを主成分とする超硬合金における少な
くとも一面は、機械加工と腐蝕により表面調質面が形成
されており、該表面調質面の表面に存在するWCと該超
硬合金の内部に存在するWCとをX線回折したときに、
該表面調質面の表面におけるWCの(001)結晶面の
ピーク高さをhs(001)WC、(101)結晶面のピ
ーク高さをhs(101)WC、該超硬合金の内部におけ
るWCの(001)結晶面のピーク高さをhi(00
1)WC、(101)結晶面のピーク高さをhi(10
1)WCと表すと、hs(001)WC/hs(101)WC
≧1.2×hi(001)WC/hi(101)WCを満足
する表面調質超硬合金。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超硬合金の表面を
機械加工と腐蝕処理を施して、表面に存在する炭化タン
グステン粒子の(001)結晶面を増大させた表面調質
超硬合金、この表面調質超硬合金の表面に硬質膜を被覆
し、超硬合金と硬質膜との密着性を改善して工具寿命を
向上させた被覆表面調質超硬合金およびこれらの製法に
関する。
機械加工と腐蝕処理を施して、表面に存在する炭化タン
グステン粒子の(001)結晶面を増大させた表面調質
超硬合金、この表面調質超硬合金の表面に硬質膜を被覆
し、超硬合金と硬質膜との密着性を改善して工具寿命を
向上させた被覆表面調質超硬合金およびこれらの製法に
関する。
【0002】
【従来の技術】超硬合金の表面にTiC,TiCN,T
iN,Al2O3などの硬質膜を化学蒸着法(以下、「C
VD法」という)あるいは物理蒸着法(以下、「PVD
法」という)で被覆してなる被覆超硬合金は、母材の強
度,靱性と硬質膜の耐摩耗性を兼備しているため、切削
工具や耐摩耗工具,部品として多用されている。しか
し、超硬合金と硬質膜との密着性が劣ると、使用時の膜
剥離によって急激に摩耗し、寿命が低下する。そこで、
密着性を確保するため、超硬合金の表面の調整処理,硬
質膜の膜質選定,硬質膜のコーティング条件を最適化す
るなど種々の方法が試みられている。
iN,Al2O3などの硬質膜を化学蒸着法(以下、「C
VD法」という)あるいは物理蒸着法(以下、「PVD
法」という)で被覆してなる被覆超硬合金は、母材の強
度,靱性と硬質膜の耐摩耗性を兼備しているため、切削
工具や耐摩耗工具,部品として多用されている。しか
し、超硬合金と硬質膜との密着性が劣ると、使用時の膜
剥離によって急激に摩耗し、寿命が低下する。そこで、
密着性を確保するため、超硬合金の表面の調整処理,硬
質膜の膜質選定,硬質膜のコーティング条件を最適化す
るなど種々の方法が試みられている。
【0003】超硬合金と硬質膜との密着性を高める種々
の方法のうち、超硬合金の表面に存在する炭化タングス
テンの結晶面と、超硬合金の表面に隣接して被覆される
硬質膜としての下地層の結晶面との結晶方位関係に着目
し、炭化タングステンと下地層の相互整合面を積極的に
増加させるという方法がある。この方法としては、下地
層のコーティング条件を調整して特定結晶面を配向成長
させる方法、超硬合金の表面に存在する炭化タングステ
ン結晶の特定面を予め増大させる方法などが検討されて
いる。しかし、一般に超硬合金は、研削加工などにより
用途に応じた形状を作製しているため、加工表面上の炭
化タングステン粒子は特定の結晶面が増大することな
く、合金内部と同じ結晶面割合となっている。
の方法のうち、超硬合金の表面に存在する炭化タングス
テンの結晶面と、超硬合金の表面に隣接して被覆される
硬質膜としての下地層の結晶面との結晶方位関係に着目
し、炭化タングステンと下地層の相互整合面を積極的に
増加させるという方法がある。この方法としては、下地
層のコーティング条件を調整して特定結晶面を配向成長
させる方法、超硬合金の表面に存在する炭化タングステ
ン結晶の特定面を予め増大させる方法などが検討されて
いる。しかし、一般に超硬合金は、研削加工などにより
用途に応じた形状を作製しているため、加工表面上の炭
化タングステン粒子は特定の結晶面が増大することな
く、合金内部と同じ結晶面割合となっている。
【0004】超硬合金と硬質膜との密着性を高めるため
の先行技術のうち、超硬合金と硬質膜との界面における
整合性に関する代表的なものとして、特開平9ー170
067号公報がある。また、超硬合金の表面の調整法に
関する代表的なものとして、特開平5ー123903号
公報、特開平6ー173009号公報、特開昭63ー1
34660号公報、特表平10−510877号公報お
よび特開平8ー92741号公報がある。
の先行技術のうち、超硬合金と硬質膜との界面における
整合性に関する代表的なものとして、特開平9ー170
067号公報がある。また、超硬合金の表面の調整法に
関する代表的なものとして、特開平5ー123903号
公報、特開平6ー173009号公報、特開昭63ー1
34660号公報、特表平10−510877号公報お
よび特開平8ー92741号公報がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの先行技術のう
ち、特開平9ー170067号公報には、超硬合金と窒
化チタンーアルミニウムなどの硬質膜との界面がヘテロ
エピタキシャル関係を保つよう被覆されている整合性界
面を有した高強度被覆部材について開示されている。同
公報に開示されている整合性界面は、基材表面の結晶面
を調整せずに、硬質膜の被覆条件のみで整合性界面を得
ようとしているため、密着性が不十分であるという問題
がある。
ち、特開平9ー170067号公報には、超硬合金と窒
化チタンーアルミニウムなどの硬質膜との界面がヘテロ
エピタキシャル関係を保つよう被覆されている整合性界
面を有した高強度被覆部材について開示されている。同
公報に開示されている整合性界面は、基材表面の結晶面
を調整せずに、硬質膜の被覆条件のみで整合性界面を得
ようとしているため、密着性が不十分であるという問題
がある。
【0006】その他の先行技術のうち、特開平5ー12
3903号公報には、超硬合金の表面を研削処理した後
に高圧の不活性ガス雰囲気中、液相出現温度以上で再焼
結し、この再焼結した超硬合金の表面にCVD法にて硬
質膜を被覆した表面被覆超硬合金製切削工具部材の製造
方法が開示されている。同公報に開示されている再焼結
超硬合金の再焼結肌面は、合金内部とは異なる結晶配向
性を示すものの、最適な特定結晶面を制御することが困
難であるという問題がある。
3903号公報には、超硬合金の表面を研削処理した後
に高圧の不活性ガス雰囲気中、液相出現温度以上で再焼
結し、この再焼結した超硬合金の表面にCVD法にて硬
質膜を被覆した表面被覆超硬合金製切削工具部材の製造
方法が開示されている。同公報に開示されている再焼結
超硬合金の再焼結肌面は、合金内部とは異なる結晶配向
性を示すものの、最適な特定結晶面を制御することが困
難であるという問題がある。
【0007】また、特開平6ー173009号公報に
は、超硬合金の表面にタングステンのフッ化物を用いた
熱CVD法により炭化タングステンの硬質膜を設け、超
硬合金中のCoを硬質膜に拡散浸透させた被覆超硬合金
が開示されている。同公報に開示されている超硬合金の
表面は、CVD法の条件により炭化タングステンの特定
結晶面を配向成長させることが困難であるという問題が
ある。
は、超硬合金の表面にタングステンのフッ化物を用いた
熱CVD法により炭化タングステンの硬質膜を設け、超
硬合金中のCoを硬質膜に拡散浸透させた被覆超硬合金
が開示されている。同公報に開示されている超硬合金の
表面は、CVD法の条件により炭化タングステンの特定
結晶面を配向成長させることが困難であるという問題が
ある。
【0008】一方、電解研磨に関する先行技術のうち、
特開昭63ー134660号公報には、炭化チタン基サ
ーメットの表面を予めアルカリ処理(電解も含む)した
後、CVD法で硬質膜を被覆した表面被覆炭化チタン基
サーメットの製造方法が開示されている。同公報に開示
されているアルカリ(NaOH,KOH)溶液を用いた
電解処理は、表面を活性化することにより硬質膜の密着
性を改善することは期待できるが、水酸化チタン,チタ
ン酸ナトリウムなどの電解生成物が表面を覆うために、
電解研磨そのものが困難であるという問題がある。
特開昭63ー134660号公報には、炭化チタン基サ
ーメットの表面を予めアルカリ処理(電解も含む)した
後、CVD法で硬質膜を被覆した表面被覆炭化チタン基
サーメットの製造方法が開示されている。同公報に開示
されているアルカリ(NaOH,KOH)溶液を用いた
電解処理は、表面を活性化することにより硬質膜の密着
性を改善することは期待できるが、水酸化チタン,チタ
ン酸ナトリウムなどの電解生成物が表面を覆うために、
電解研磨そのものが困難であるという問題がある。
【0009】さらに、特表平10−510877号公報
には、超硬合金を有機溶剤中に過塩素酸と硫酸を溶解し
た電解質に浸漬して電解し、超硬合金製工具の刃先に丸
みを付けるという電解研磨技術により切削工具インサー
トの刃先を所定の半径に形成する方法が開示されてお
り、特開平8ー92741号公報には、超硬合金の表面
にセラミックス粒子を埋め込んだ後、鉱酸を電解液とし
た電解エッチング処理することより、三角錐状の突起か
らなる凹凸を形成したダイヤモンド堆積用超硬合金の表
面処理方法が開示されている。これら両公報に開示され
ている電解研磨技術は、酸化性の強酸と電気化学反応に
より超硬合金の結合相を優先的に溶解除去するもので、
炭化タングステン粒子の特定結晶面を増大させることは
できないという問題がある。
には、超硬合金を有機溶剤中に過塩素酸と硫酸を溶解し
た電解質に浸漬して電解し、超硬合金製工具の刃先に丸
みを付けるという電解研磨技術により切削工具インサー
トの刃先を所定の半径に形成する方法が開示されてお
り、特開平8ー92741号公報には、超硬合金の表面
にセラミックス粒子を埋め込んだ後、鉱酸を電解液とし
た電解エッチング処理することより、三角錐状の突起か
らなる凹凸を形成したダイヤモンド堆積用超硬合金の表
面処理方法が開示されている。これら両公報に開示され
ている電解研磨技術は、酸化性の強酸と電気化学反応に
より超硬合金の結合相を優先的に溶解除去するもので、
炭化タングステン粒子の特定結晶面を増大させることは
できないという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、長年に
亘り、超硬合金と硬質膜との密着性を大幅に改善させる
被覆超硬合金について検討していた所、超硬合金の表面
に存在する炭化タングステンの結晶方位と超硬合金の表
面に隣接して被覆される下地層の結晶方位とを調整して
整合関係を持たせると両者の界面における粒子間の結合
力が飛躍的に向上すること、硬質膜としての下地層がチ
タン化合物(代表的なものとして、窒化チタン,炭化チ
タン,炭窒化チタン、これらを「TiX」と表記する)
からなる場合には、これらTiXの(111)結晶面と
母材表面に存在する炭化タングステンの(001)結晶
面が最もミスフィットが小さくて、エピタキシャル成長
できる整合関係にあること、この両者の整合関係を増大
させるには超硬合金の表面に存在する炭化タングステン
結晶を(001)結晶面に方位し、同結晶面が増大する
ように配向させれば良いという第1の知見を得た。
亘り、超硬合金と硬質膜との密着性を大幅に改善させる
被覆超硬合金について検討していた所、超硬合金の表面
に存在する炭化タングステンの結晶方位と超硬合金の表
面に隣接して被覆される下地層の結晶方位とを調整して
整合関係を持たせると両者の界面における粒子間の結合
力が飛躍的に向上すること、硬質膜としての下地層がチ
タン化合物(代表的なものとして、窒化チタン,炭化チ
タン,炭窒化チタン、これらを「TiX」と表記する)
からなる場合には、これらTiXの(111)結晶面と
母材表面に存在する炭化タングステンの(001)結晶
面が最もミスフィットが小さくて、エピタキシャル成長
できる整合関係にあること、この両者の整合関係を増大
させるには超硬合金の表面に存在する炭化タングステン
結晶を(001)結晶面に方位し、同結晶面が増大する
ように配向させれば良いという第1の知見を得た。
【0011】一方、機械的加工で除去された超硬合金の
表面は、炭化タングステンの(001)結晶面が内部と
同様に少ないこと、この機械加工された表面で炭化タン
グステンの(001)結晶面を増大させるには(00
1)結晶面以外の結晶面を優先的に除去すれば良いこ
と、特定結晶面の優先除去には電解研磨処理が有効なこ
と、電解研磨には周期律表の1a族金属の水酸化物,亜
硝酸塩,亜硫酸塩,亜燐酸塩,炭酸塩の中から選ばれた
少なくとも1種を必須成分とする水溶液中で電解するこ
とが最適であり、そして電解処理した超硬合金の表面に
硬質膜を被覆した被覆超硬合金は、剥離強度に優れると
いう第2の知見を得た。これら第1および第2の知見に
基づいて、本発明を完成するに至ったものである。
表面は、炭化タングステンの(001)結晶面が内部と
同様に少ないこと、この機械加工された表面で炭化タン
グステンの(001)結晶面を増大させるには(00
1)結晶面以外の結晶面を優先的に除去すれば良いこ
と、特定結晶面の優先除去には電解研磨処理が有効なこ
と、電解研磨には周期律表の1a族金属の水酸化物,亜
硝酸塩,亜硫酸塩,亜燐酸塩,炭酸塩の中から選ばれた
少なくとも1種を必須成分とする水溶液中で電解するこ
とが最適であり、そして電解処理した超硬合金の表面に
硬質膜を被覆した被覆超硬合金は、剥離強度に優れると
いう第2の知見を得た。これら第1および第2の知見に
基づいて、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】本発明の表面調質超硬合金は、炭化タング
ステンを主成分とする硬質相と鉄族金属を主成分とする
結合相を含有する超硬合金における少なくとも一面は、
機械加工と腐蝕により表面調質面が形成されており、該
表面調質面の表面に存在する炭化タングステンと該超硬
合金の内部に存在する炭化タングステンとをX線回折し
たときに、該表面調質面の表面における炭化タングステ
ンの(001)結晶面のピーク高さをhs(00
1)WC、(101)結晶面のピーク高さをhs(10
1)WC、該超硬合金の内部における炭化タングステンの
(001)結晶面のピーク高さをhi(001)WC、
(101)結晶面のピーク高さをhi(101)WCと表
すと、hs(001)WC/hs(101)WC≧1.2×
hi(001)WC/hi(101)WCを満足する合金で
ある。
ステンを主成分とする硬質相と鉄族金属を主成分とする
結合相を含有する超硬合金における少なくとも一面は、
機械加工と腐蝕により表面調質面が形成されており、該
表面調質面の表面に存在する炭化タングステンと該超硬
合金の内部に存在する炭化タングステンとをX線回折し
たときに、該表面調質面の表面における炭化タングステ
ンの(001)結晶面のピーク高さをhs(00
1)WC、(101)結晶面のピーク高さをhs(10
1)WC、該超硬合金の内部における炭化タングステンの
(001)結晶面のピーク高さをhi(001)WC、
(101)結晶面のピーク高さをhi(101)WCと表
すと、hs(001)WC/hs(101)WC≧1.2×
hi(001)WC/hi(101)WCを満足する合金で
ある。
【0013】
【発明の実施の態様】本発明の表面調質超硬合金を構成
している硬質相は、具体的には、炭化タングステンのみ
からなる場合、硬質相中の50重量%以上が炭化タング
ステンからなり、残りが周期律表の4a,5a,6a族
金属の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの相互固
溶体の中の1種以上の立方晶構造化合物でなる場合を挙
げることができる。これらの硬質相は、それぞれの用途
に合わせて組成成分を調整すればよく、特に、後述する
被覆表面調質超硬合金として使用する場合には、硬質相
中の20重量%以下が立方晶構造化合物でなると、寿命
向上に対する効果が高くなることから好ましいことであ
る。
している硬質相は、具体的には、炭化タングステンのみ
からなる場合、硬質相中の50重量%以上が炭化タング
ステンからなり、残りが周期律表の4a,5a,6a族
金属の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの相互固
溶体の中の1種以上の立方晶構造化合物でなる場合を挙
げることができる。これらの硬質相は、それぞれの用途
に合わせて組成成分を調整すればよく、特に、後述する
被覆表面調質超硬合金として使用する場合には、硬質相
中の20重量%以下が立方晶構造化合物でなると、寿命
向上に対する効果が高くなることから好ましいことであ
る。
【0014】これらの硬質相の他に含有するもう一つの
主要成分としての結合相は、具体的には、コバルトおよ
び/またはニッケルのみからなる場合、結合相中の50
重量%がコバルトおよび/またはニッケルからなり、残
りがタングステン、クロム、モリブデン、バナジウム、
炭化クロム、炭化バナジウムの中の少なくとも1種を含
有したコバルトおよび/またはニッケルを主成分とする
固溶物体からなる場合を挙げることができる。この結合
相の含有量は、超硬合金全体に対して1〜30重量%、
好ましくは2〜15重量%からなる場合である。
主要成分としての結合相は、具体的には、コバルトおよ
び/またはニッケルのみからなる場合、結合相中の50
重量%がコバルトおよび/またはニッケルからなり、残
りがタングステン、クロム、モリブデン、バナジウム、
炭化クロム、炭化バナジウムの中の少なくとも1種を含
有したコバルトおよび/またはニッケルを主成分とする
固溶物体からなる場合を挙げることができる。この結合
相の含有量は、超硬合金全体に対して1〜30重量%、
好ましくは2〜15重量%からなる場合である。
【0015】このような硬質相と結合相を含有する超硬
合金の少なくとも一面は、この表面に存在する炭化タン
グステン粒子の(001)結晶面が合金内部より1.2
倍以上多くなるように表面調質されており、具体的に
は、X線回折におけるWCの(101)結晶面のピーク
強度を基準としたピーク強度比が、(合金の表面)≧
1.2×(合金の内部)となるものである。このときの
表面調質された超硬合金の面は、機械加工と腐蝕により
行われるのであるが、機械加工としては、具体的には、
砥石研削,ブラシ研削,ラップ加工,ブラスト加工,超
音波加工,電解研削加工などの方法により、表面から数
μm以上の深さに除去された面であり、腐蝕としては、
化学的腐蝕(コロージョン)および/または電気的腐蝕
(エロージョン)により行われる方法、好ましくは両方
法を同時に行う電解研磨腐蝕法を例示することができ
る。
合金の少なくとも一面は、この表面に存在する炭化タン
グステン粒子の(001)結晶面が合金内部より1.2
倍以上多くなるように表面調質されており、具体的に
は、X線回折におけるWCの(101)結晶面のピーク
強度を基準としたピーク強度比が、(合金の表面)≧
1.2×(合金の内部)となるものである。このときの
表面調質された超硬合金の面は、機械加工と腐蝕により
行われるのであるが、機械加工としては、具体的には、
砥石研削,ブラシ研削,ラップ加工,ブラスト加工,超
音波加工,電解研削加工などの方法により、表面から数
μm以上の深さに除去された面であり、腐蝕としては、
化学的腐蝕(コロージョン)および/または電気的腐蝕
(エロージョン)により行われる方法、好ましくは両方
法を同時に行う電解研磨腐蝕法を例示することができ
る。
【0016】本発明の表面調質超硬合金における表面
は、一部に機械的加工されていない焼結肌面を有すると
(001)結晶面が増加して後述する硬質膜との密着性
が向上すること、加工時間が短縮されることから好まし
いことである。この焼結肌面は、焼結肌面の表面に存在
する炭化タングステンと超硬合金の内部に存在する炭化
タングステンとをX線回折したときに、焼結肌面におけ
る炭化タングステンの(001)結晶面のピーク高さを
ha(001)WC、(101)結晶面のピーク高さをha
(101)WC、超硬合金の内部における炭化タングステ
ンの(001)結晶面のピーク高さをhi(00
1)WC、(101)結晶面のピーク高さをhi(10
1)WCと表すと、ha(001)WC/ha(101)WC≧
1.2×hi(001)WC/hi(101)WCを満足す
る場合には、焼結肌面と後述する硬質膜との密着性がよ
り一層向上することから好ましいことである。
は、一部に機械的加工されていない焼結肌面を有すると
(001)結晶面が増加して後述する硬質膜との密着性
が向上すること、加工時間が短縮されることから好まし
いことである。この焼結肌面は、焼結肌面の表面に存在
する炭化タングステンと超硬合金の内部に存在する炭化
タングステンとをX線回折したときに、焼結肌面におけ
る炭化タングステンの(001)結晶面のピーク高さを
ha(001)WC、(101)結晶面のピーク高さをha
(101)WC、超硬合金の内部における炭化タングステ
ンの(001)結晶面のピーク高さをhi(00
1)WC、(101)結晶面のピーク高さをhi(10
1)WCと表すと、ha(001)WC/ha(101)WC≧
1.2×hi(001)WC/hi(101)WCを満足す
る場合には、焼結肌面と後述する硬質膜との密着性がよ
り一層向上することから好ましいことである。
【0017】また、表面調質面および/または焼結肌面
は、それぞれの表面の結合相量が内部より多いと硬質膜
の被覆条件により、結合相と硬質膜との相互拡散が促進
されるために密着性が向上するので好ましい。この好ま
しい関係は、具体的には、X線回折におけるWC(10
1)面のピーク強度を基準とした結合相の(111)結
晶面のピーク強度比が、(表面調質面および/または焼
結肌面の表面)≧(合金内部)となるものである。
は、それぞれの表面の結合相量が内部より多いと硬質膜
の被覆条件により、結合相と硬質膜との相互拡散が促進
されるために密着性が向上するので好ましい。この好ま
しい関係は、具体的には、X線回折におけるWC(10
1)面のピーク強度を基準とした結合相の(111)結
晶面のピーク強度比が、(表面調質面および/または焼
結肌面の表面)≧(合金内部)となるものである。
【0018】このX線回折におけるピーク強度比の関係
を具体的に表示すると、表面調質面および/または焼結
肌面と超硬合金の内部とに存在する炭化タングステンと
結合相とをX線回折したときに、表面調質面の表面にお
ける炭化タングステンの(101)結晶面のピーク高さ
をhs(101)wc、結合相の(111)結晶面のピ
ーク高さをhs(111)b、焼結肌面の表面における
炭化タングステンの(101)結晶面のピーク高さをh
a(101)wc、結合相の(111)結晶面のピーク
高さをha(111)b、超硬合金の内部における炭化タ
ングステンの(101)結晶面のピーク高さをhi(1
01)wc、結合相の(111)結晶面のピーク高さを
hi(111)bと表すと、hs(111)b/hs
(101)W C>hi(111)b/hi(101)WC、
もしくはha(111)b/ha(101)WC>hi(1
11)b/hi(101)WCのどちらか一方、または両
方を満足する合金からなる場合である。
を具体的に表示すると、表面調質面および/または焼結
肌面と超硬合金の内部とに存在する炭化タングステンと
結合相とをX線回折したときに、表面調質面の表面にお
ける炭化タングステンの(101)結晶面のピーク高さ
をhs(101)wc、結合相の(111)結晶面のピ
ーク高さをhs(111)b、焼結肌面の表面における
炭化タングステンの(101)結晶面のピーク高さをh
a(101)wc、結合相の(111)結晶面のピーク
高さをha(111)b、超硬合金の内部における炭化タ
ングステンの(101)結晶面のピーク高さをhi(1
01)wc、結合相の(111)結晶面のピーク高さを
hi(111)bと表すと、hs(111)b/hs
(101)W C>hi(111)b/hi(101)WC、
もしくはha(111)b/ha(101)WC>hi(1
11)b/hi(101)WCのどちらか一方、または両
方を満足する合金からなる場合である。
【0019】以上に述べてきた本発明の表面調質超硬合
金は、表面の平坦性と平滑性が向上することから、この
ままの状態でも種々の用途で効果を発揮することができ
る。この表面調質超硬合金を母材とし、この母材上に硬
質膜を被覆した本発明の被覆表面調質超硬合金は、母材
と硬質膜との密着性が改善されるために工具寿命がさら
に向上するものである。
金は、表面の平坦性と平滑性が向上することから、この
ままの状態でも種々の用途で効果を発揮することができ
る。この表面調質超硬合金を母材とし、この母材上に硬
質膜を被覆した本発明の被覆表面調質超硬合金は、母材
と硬質膜との密着性が改善されるために工具寿命がさら
に向上するものである。
【0020】この被覆表面調質超硬合金における硬質膜
は、具体的には、例えば周期律表の4a,5a,6a族
元素,アルミニウム,シリコン,の炭化物,窒化物,酸
化物、およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた1種
の単層または2層以上の積層でなる0.5〜20μmの
総膜厚さからなる場合を挙げることができる。
は、具体的には、例えば周期律表の4a,5a,6a族
元素,アルミニウム,シリコン,の炭化物,窒化物,酸
化物、およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた1種
の単層または2層以上の積層でなる0.5〜20μmの
総膜厚さからなる場合を挙げることができる。
【0021】この硬質膜について、さらに詳細に例示す
ると、CVD法、PVD法あるいはプラズマCVD法に
より作製される炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタ
ン、窒化チタンージルコニウム、窒化チタンーアルミニ
ウム、窒化クロムなどに代表される単層からなる硬質
膜、母材側からTiC層ーTiN層ーTiCN層ーTi
N層でなる積層、TiN層ーTiC層ーAl2O3層でな
る積層、TiN層ーTiCN層ーTiC層ーAl2O3層
ーTiN層でなる積層、TiN層ー(Ti,Al)N層
ーTiN層でなる積層、TiN層ーSi3N4層でなる積
層、CrN層ーVN層でなる積層に代表される硬質膜を
挙げることができる。
ると、CVD法、PVD法あるいはプラズマCVD法に
より作製される炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタ
ン、窒化チタンージルコニウム、窒化チタンーアルミニ
ウム、窒化クロムなどに代表される単層からなる硬質
膜、母材側からTiC層ーTiN層ーTiCN層ーTi
N層でなる積層、TiN層ーTiC層ーAl2O3層でな
る積層、TiN層ーTiCN層ーTiC層ーAl2O3層
ーTiN層でなる積層、TiN層ー(Ti,Al)N層
ーTiN層でなる積層、TiN層ーSi3N4層でなる積
層、CrN層ーVN層でなる積層に代表される硬質膜を
挙げることができる。
【0022】これらの硬質膜のうち、上述に例示したよ
うに、母材に隣接する下地層が炭化チタン、窒化チタン
または炭窒化チタンからなる場合で、この下地層上に被
覆される酸化アルミニウムの外層とを含有する積層でな
る場合には、母材と下地層との界面において、母材表面
に存在する炭化タングステン粒子の(001)結晶面に
下地層の(111)結晶面が方位されるように配向し、
整合面が増大してより一層密着性が向上することから好
ましいことである。これらの硬質膜は、化学量論組成お
よび/または非化学量論組成からなっている場合があ
る。
うに、母材に隣接する下地層が炭化チタン、窒化チタン
または炭窒化チタンからなる場合で、この下地層上に被
覆される酸化アルミニウムの外層とを含有する積層でな
る場合には、母材と下地層との界面において、母材表面
に存在する炭化タングステン粒子の(001)結晶面に
下地層の(111)結晶面が方位されるように配向し、
整合面が増大してより一層密着性が向上することから好
ましいことである。これらの硬質膜は、化学量論組成お
よび/または非化学量論組成からなっている場合があ
る。
【0023】上述してきた本発明の表面調質超硬合金お
よび被覆表面調質超硬合金は、種々の方法により作製す
ることができる可能性があるが、以下の方法で行うと簡
易な方法であること、品質管理上からも優れていること
から好ましいことである。
よび被覆表面調質超硬合金は、種々の方法により作製す
ることができる可能性があるが、以下の方法で行うと簡
易な方法であること、品質管理上からも優れていること
から好ましいことである。
【0024】まず、本発明の表面調質超硬合金の製法
は、炭化タングステンを主成分とする硬質相と鉄族金属
を主成分とする結合相を含有する超硬合金を準備し、こ
の超硬合金の少なくとも一面は機械的に加工を施した機
械加工面とし、この機械加工面が形成された超硬合金を
電解処理し、少なくとも機械加工面に存在する炭化タン
グステンの特定結晶面を優先的に除去して表面改質する
製法である。
は、炭化タングステンを主成分とする硬質相と鉄族金属
を主成分とする結合相を含有する超硬合金を準備し、こ
の超硬合金の少なくとも一面は機械的に加工を施した機
械加工面とし、この機械加工面が形成された超硬合金を
電解処理し、少なくとも機械加工面に存在する炭化タン
グステンの特定結晶面を優先的に除去して表面改質する
製法である。
【0025】この表面調質超硬合金の製法における電解
処理は、具体的には、アルカリ性を示すNaOH,KO
H,LiOH,NaNO2,KNO2,Na2S03,Na
2HPO3,Na2C03など周期律表の1a族金属の水酸
化物,亜硝酸塩,亜硫酸塩,亜燐酸塩,炭酸塩の中から
選ばれた少なくとも1種を必須成分とし、酒石酸ナトリ
ウム,硝酸カリウム,燐酸ナトリウム,硫酸ナトリウ
ム,硼砂,ロッシェル塩,タングステン酸ナトリウム,
フェリシアン化カリウムなど塩類の少なくとも1種を必
要に応じて添加し、これを水溶液もしくはアミン類,ア
ルコール類などの有機溶媒液に溶解した電解液を用い
て、化学的腐蝕および/または電気的腐蝕を行わせる方
法を挙げることができる。
処理は、具体的には、アルカリ性を示すNaOH,KO
H,LiOH,NaNO2,KNO2,Na2S03,Na
2HPO3,Na2C03など周期律表の1a族金属の水酸
化物,亜硝酸塩,亜硫酸塩,亜燐酸塩,炭酸塩の中から
選ばれた少なくとも1種を必須成分とし、酒石酸ナトリ
ウム,硝酸カリウム,燐酸ナトリウム,硫酸ナトリウ
ム,硼砂,ロッシェル塩,タングステン酸ナトリウム,
フェリシアン化カリウムなど塩類の少なくとも1種を必
要に応じて添加し、これを水溶液もしくはアミン類,ア
ルコール類などの有機溶媒液に溶解した電解液を用い
て、化学的腐蝕および/または電気的腐蝕を行わせる方
法を挙げることができる。
【0026】これらの電解液は、ナトリウムおよび/ま
たはカリウムの亜硝酸塩あるいは炭酸塩を主成分とする
と、母材表面に存在する炭化タングステンの(001)
結晶面が増加し、かつ母材表面に存在する結合相量も適
度に調整されるために、母材と硬質膜との密着性が向上
するので好ましい。この電解処理における電流密度は、
0.01〜0.2A/cm2により行うと、母材表面の
腐蝕の調整が容易になることから好ましいことである。
たはカリウムの亜硝酸塩あるいは炭酸塩を主成分とする
と、母材表面に存在する炭化タングステンの(001)
結晶面が増加し、かつ母材表面に存在する結合相量も適
度に調整されるために、母材と硬質膜との密着性が向上
するので好ましい。この電解処理における電流密度は、
0.01〜0.2A/cm2により行うと、母材表面の
腐蝕の調整が容易になることから好ましいことである。
【0027】また、表面調質超硬合金の製法における機
械加工面は、砥石研削,ブラシ研削,ラップ加工,ブラ
スト加工,超音波加工,電解研削加工の中の少なくとも
1種で加工された面とすると、その後の母材表面の調整
が容易となることから好ましいことである。
械加工面は、砥石研削,ブラシ研削,ラップ加工,ブラ
スト加工,超音波加工,電解研削加工の中の少なくとも
1種で加工された面とすると、その後の母材表面の調整
が容易となることから好ましいことである。
【0028】さらに、本発明の被覆表面調質超硬合金の
製法は、上述のようにして得られた表面調質超硬合金母
材とし、該母材表面を洗浄および乾燥後、従来から行わ
れているCVD法、PVD法、プラズマCVD法の中の
少なくとも1種の方法により、該母材表面に硬質膜を被
覆する製法である。
製法は、上述のようにして得られた表面調質超硬合金母
材とし、該母材表面を洗浄および乾燥後、従来から行わ
れているCVD法、PVD法、プラズマCVD法の中の
少なくとも1種の方法により、該母材表面に硬質膜を被
覆する製法である。
【0029】
【作用】本発明の表面調質超硬合金は、表面調質面、焼
結肌面に存在する炭化タングステンの(001)結晶面
の増大により、それぞれの面の平坦化、平滑化が向上す
る作用となるものである。また、本発明の被覆表面調質
超硬合金は、母材表面で増大された炭化タングステンの
(001)結晶面に硬質膜の(111)結晶面が方位さ
れるように配向する作用が生じて、母材と硬質膜との密
着性を高めているものである。さらに、これらに関する
本発明の製法は、電解処理による化学的腐蝕、電気的腐
蝕により、超硬合金の表面に存在する炭化タングステン
の結晶面の調整を容易にするという作用をしているもの
である。
結肌面に存在する炭化タングステンの(001)結晶面
の増大により、それぞれの面の平坦化、平滑化が向上す
る作用となるものである。また、本発明の被覆表面調質
超硬合金は、母材表面で増大された炭化タングステンの
(001)結晶面に硬質膜の(111)結晶面が方位さ
れるように配向する作用が生じて、母材と硬質膜との密
着性を高めているものである。さらに、これらに関する
本発明の製法は、電解処理による化学的腐蝕、電気的腐
蝕により、超硬合金の表面に存在する炭化タングステン
の結晶面の調整を容易にするという作用をしているもの
である。
【0030】
【実施試験1】88.0WC−2.0TaC−10.0
Co(重量%)の組成からなるISO規格によるSNG
N120408形状の超硬合金チップ素材を用い、この
チップの上下面と外周面を270#のダイヤモンド砥石
で研削加工を施し、刃先部に400#ダイヤモンド砥石
により−25°×0.10mmのホーニング加工を施し
た後、表1に示した電解液,電圧,電流値,処理時間で
もって室温で電解処理を施し、本発明品1〜8の超硬合
金チップを得た。また、比較品として、本発明品と同一
超硬合金素材チップを用いて、電解処理のみを施してい
なく、その他は本発明品と同様に処理して比較品1の超
硬合金チップを得た。また、比較品1と同様に処理した
後、真空炉中,1200℃−60分で再焼結して比較品
2の超硬合金チップを得た。さらに、比較品1と同様に
処理した後、表面全体を800#のアルミナ粉末による
ブラスト処理を追加して比較品3の超硬合金チップを得
た。
Co(重量%)の組成からなるISO規格によるSNG
N120408形状の超硬合金チップ素材を用い、この
チップの上下面と外周面を270#のダイヤモンド砥石
で研削加工を施し、刃先部に400#ダイヤモンド砥石
により−25°×0.10mmのホーニング加工を施し
た後、表1に示した電解液,電圧,電流値,処理時間で
もって室温で電解処理を施し、本発明品1〜8の超硬合
金チップを得た。また、比較品として、本発明品と同一
超硬合金素材チップを用いて、電解処理のみを施してい
なく、その他は本発明品と同様に処理して比較品1の超
硬合金チップを得た。また、比較品1と同様に処理した
後、真空炉中,1200℃−60分で再焼結して比較品
2の超硬合金チップを得た。さらに、比較品1と同様に
処理した後、表面全体を800#のアルミナ粉末による
ブラスト処理を追加して比較品3の超硬合金チップを得
た。
【0031】
【表1】
【0032】こうして得た本発明品1〜8および比較品
1〜3の超硬合金チップについて、各チップの外周の1
面を1000#のダイヤモンド砥石で約0.1mm研削
した後、0.3μmのダイヤモンドペーストでラップ加
工した。そして、ラップ仕上した外周面を合金内部、ラ
ップ仕上されていない外周面を表面とし、Cuターゲッ
トを使用したX線回折を行い、表面と内部での各ピーク
強度比としてhs(001)WC/hs(101)WC、h
i(001)WC/hi(101)WC、hs(111)b
/hs(101)WC、hi(111)b/hi(10
1)WCを求めて、その結果を表2に示した。これらの本
発明品1〜8および比較品1〜3の表面粗さを測定した
結果、本発明品1〜8は、比較品1〜3に対比して、表
面が平坦で、かつ平滑になっていることが確認された。
1〜3の超硬合金チップについて、各チップの外周の1
面を1000#のダイヤモンド砥石で約0.1mm研削
した後、0.3μmのダイヤモンドペーストでラップ加
工した。そして、ラップ仕上した外周面を合金内部、ラ
ップ仕上されていない外周面を表面とし、Cuターゲッ
トを使用したX線回折を行い、表面と内部での各ピーク
強度比としてhs(001)WC/hs(101)WC、h
i(001)WC/hi(101)WC、hs(111)b
/hs(101)WC、hi(111)b/hi(10
1)WCを求めて、その結果を表2に示した。これらの本
発明品1〜8および比較品1〜3の表面粗さを測定した
結果、本発明品1〜8は、比較品1〜3に対比して、表
面が平坦で、かつ平滑になっていることが確認された。
【0033】
【表2】
【0034】以上に調査した超硬合金チップとはそれぞ
れ別のチップを準備し、本発明品2,3,4,5および
8と比較品1〜3を母材とし、これらの母材をアセトン
中で超音波洗浄した後、CVDコーティング装置を用い
て、母材側から0.5μm膜厚のTiN層と3.5μm
膜厚の柱状晶TiCN層と0.5μm膜厚のAl2O3層
と0.5μm膜厚のTiN層からなる総膜厚5.0μm
の積層でなる硬質膜を被覆し、母材の番号順に本発明品
9〜13と比較品4〜6の表面被覆超硬合金チップを得
た。
れ別のチップを準備し、本発明品2,3,4,5および
8と比較品1〜3を母材とし、これらの母材をアセトン
中で超音波洗浄した後、CVDコーティング装置を用い
て、母材側から0.5μm膜厚のTiN層と3.5μm
膜厚の柱状晶TiCN層と0.5μm膜厚のAl2O3層
と0.5μm膜厚のTiN層からなる総膜厚5.0μm
の積層でなる硬質膜を被覆し、母材の番号順に本発明品
9〜13と比較品4〜6の表面被覆超硬合金チップを得
た。
【0035】こうして得た本発明品9〜13および比較
品4〜6について、被膜表面からCuターゲットを使用
したX線回折を行い、母材表面上でのWCのピーク強度
比:h(001)WC/h(101)WCと、母材に隣接し
た下地層であるTiN層のピーク強度比:h(111)
TiN/h(111)TiN+h(200)TiN+h(22
0)TiNを求めて、その結果を表3に示した。
品4〜6について、被膜表面からCuターゲットを使用
したX線回折を行い、母材表面上でのWCのピーク強度
比:h(001)WC/h(101)WCと、母材に隣接し
た下地層であるTiN層のピーク強度比:h(111)
TiN/h(111)TiN+h(200)TiN+h(22
0)TiNを求めて、その結果を表3に示した。
【0036】次に、本発明品9〜13および比較品4〜
6の被覆超硬合金チップについて、被削材:SCM44
0(加工面形状:50W×200L),切削速度:13
5m/min,切込み:2.0mm,送り:0.36m
m/刃,乾式の条件でフライス切削試験を行った。試験
の評価として、40pass加工した時点でチップ刃先
のすくい面に生じた熱クラック(逃げ面に垂直)と機械
クラック(逃げ面に平行)の全長と本数および母材から
の膜の剥離面積を測定し、その損傷結果を表3に併記し
た。
6の被覆超硬合金チップについて、被削材:SCM44
0(加工面形状:50W×200L),切削速度:13
5m/min,切込み:2.0mm,送り:0.36m
m/刃,乾式の条件でフライス切削試験を行った。試験
の評価として、40pass加工した時点でチップ刃先
のすくい面に生じた熱クラック(逃げ面に垂直)と機械
クラック(逃げ面に平行)の全長と本数および母材から
の膜の剥離面積を測定し、その損傷結果を表3に併記し
た。
【0037】
【表3】 *表3中の(111)TiN割合は、(111)TiN/(111)TiN +(200)
TiN +(220)TiN
TiN +(220)TiN
【0038】
【実施試験2】92.0WC−2.0TaC−6.0C
o(重量%)の組成からなるISO規格によるSNMG
120408形状の超硬合金チップを用い、このチップ
の上下面(すくい面)のみを270#のダイヤモンド砥
石で研削加工し、刃先部に320#の炭化けい素砥粒を
含有したナイロン製ブラシで半径0.08mmのホーニ
ング加工後、表4に示した電解液,電圧,電流値,処理
時間でもって室温で電解処理を施し、本発明品14〜1
6の超硬合金を得た。また、比較品7〜9として、電解
処理を施してしないチップ、主に焼結肌の外周面(逃げ
面)を600#のガラス製ビーズでブラスト処理したチ
ップ、外周面(逃げ面)を1000#のダイヤモンド砥
粒を含有したナイロン製ブラシで研磨したチップも別に
用意した。
o(重量%)の組成からなるISO規格によるSNMG
120408形状の超硬合金チップを用い、このチップ
の上下面(すくい面)のみを270#のダイヤモンド砥
石で研削加工し、刃先部に320#の炭化けい素砥粒を
含有したナイロン製ブラシで半径0.08mmのホーニ
ング加工後、表4に示した電解液,電圧,電流値,処理
時間でもって室温で電解処理を施し、本発明品14〜1
6の超硬合金を得た。また、比較品7〜9として、電解
処理を施してしないチップ、主に焼結肌の外周面(逃げ
面)を600#のガラス製ビーズでブラスト処理したチ
ップ、外周面(逃げ面)を1000#のダイヤモンド砥
粒を含有したナイロン製ブラシで研磨したチップも別に
用意した。
【0039】こうして得た本発明品14〜16と比較品
7〜9の超硬合金チップついて、実施試験1と同様の方
法で上下面、外周面、合金内部での各ピーク強度比を求
めて、その結果を表4に示した。
7〜9の超硬合金チップついて、実施試験1と同様の方
法で上下面、外周面、合金内部での各ピーク強度比を求
めて、その結果を表4に示した。
【0040】
【表4】
【0041】以上に調査した超硬合金とは別チップでな
る本発明品14〜16と比較品7〜9を母材とし、これ
らの母材をアセトン中で超音波洗浄した後、CVDコー
ティング装置を用いて、母材側から0.5μm膜厚のT
iN層と3.5μm膜厚の柱状晶TiCN層と0.7μ
m膜厚のAl2O3層と0.3μm膜厚のTiN層でなる
総膜厚5.0μmの積層の硬質膜を被覆し、本発明品1
7〜19と比較品10〜12の表面被覆超硬合金チップ
を得た。これらについて、実施試験1と同様の方法によ
り、チップの上下面、外周面、合金内部におけるX線ピ
ーク強度比を求め、その結果を表5に示した。
る本発明品14〜16と比較品7〜9を母材とし、これ
らの母材をアセトン中で超音波洗浄した後、CVDコー
ティング装置を用いて、母材側から0.5μm膜厚のT
iN層と3.5μm膜厚の柱状晶TiCN層と0.7μ
m膜厚のAl2O3層と0.3μm膜厚のTiN層でなる
総膜厚5.0μmの積層の硬質膜を被覆し、本発明品1
7〜19と比較品10〜12の表面被覆超硬合金チップ
を得た。これらについて、実施試験1と同様の方法によ
り、チップの上下面、外周面、合金内部におけるX線ピ
ーク強度比を求め、その結果を表5に示した。
【0042】次に、本発明品17〜19および比較品1
0〜12の表面被覆超硬合金チップについて、被削材:
FC250(加工面形状:150W×300L×20T
に3個のφ70mm穴),切削速度:200m/mi
n,切込み:2.0mm,送り:0.30mm/刃,乾
式の条件によるフライス切削試験を行った。試験の評価
として、40pass加工した時点での逃げ面の平均摩
耗量(VB)と境界摩耗量(VN)を測定し、その結果を
表5に併記した。
0〜12の表面被覆超硬合金チップについて、被削材:
FC250(加工面形状:150W×300L×20T
に3個のφ70mm穴),切削速度:200m/mi
n,切込み:2.0mm,送り:0.30mm/刃,乾
式の条件によるフライス切削試験を行った。試験の評価
として、40pass加工した時点での逃げ面の平均摩
耗量(VB)と境界摩耗量(VN)を測定し、その結果を
表5に併記した。
【0043】
【表5】 *表5中、(111)TiN割合は(111)TiN/(111)TiN +(200)
TiN +(220)TiN
TiN +(220)TiN
【0044】
【実施試験3】市販されている超硬合金製ソリッドエン
ドミル(6φmm,2枚刃)を実施試験1の表1に記載
した本発明品2の条件で電解処理を施し、処理なし品
(比較品用母材)と一緒にアセトン中で超音波洗浄した
後、アークイオンプレーティング装置に挿入し、約3.
0μm膜厚の(Ti,Al)N膜を被覆して本発明品2
0と比較品13のPVD被覆超硬エンドミルを得た。被
覆品の外周面ついて実施試験1と同様にX線回折した結
果、(001)WC/(101)WCは本発明品20が0.46、比較品1
3が0.34であり、また(111)TiNの割合は本発明品20が
0.26、比較品13が0.14であった。
ドミル(6φmm,2枚刃)を実施試験1の表1に記載
した本発明品2の条件で電解処理を施し、処理なし品
(比較品用母材)と一緒にアセトン中で超音波洗浄した
後、アークイオンプレーティング装置に挿入し、約3.
0μm膜厚の(Ti,Al)N膜を被覆して本発明品2
0と比較品13のPVD被覆超硬エンドミルを得た。被
覆品の外周面ついて実施試験1と同様にX線回折した結
果、(001)WC/(101)WCは本発明品20が0.46、比較品1
3が0.34であり、また(111)TiNの割合は本発明品20が
0.26、比較品13が0.14であった。
【0045】この本発明品20と比較品13を用いて、
被削材:プリハードン鋼(HRC=40),切削速度:
30m/min,切込み:10mm,テーブル送り:6
4mm,刃当り送り:0.02mm/刃,湿式の条件で
溝加工試験を行い、切削長さが50mの時点で切れ刃の
逃げ面摩耗幅を測定した。その結果、本発明品20が
0.07mmであるのに対し、比較品13は0.11m
mであった。
被削材:プリハードン鋼(HRC=40),切削速度:
30m/min,切込み:10mm,テーブル送り:6
4mm,刃当り送り:0.02mm/刃,湿式の条件で
溝加工試験を行い、切削長さが50mの時点で切れ刃の
逃げ面摩耗幅を測定した。その結果、本発明品20が
0.07mmであるのに対し、比較品13は0.11m
mであった。
【0046】
【発明の効果】本発明の表面調質超硬合金は、表面を機
械加工された従来の超硬合金に対比して、加工変質層が
除去されて、突発的な微細破壊が生じ難く、安定した品
質となること、また焼結肌面を有する従来の超硬合金に
対して、表面が平坦および平滑になり、被削材などの相
手材料との耐溶着性が向上し、耐久性および寿命が向上
するという効果がある。さらに、本発明の被覆表面調質
超硬合金は、従来の被覆超硬合金に対比して、母材と硬
質膜との密着性が高くなり、硬質膜の耐剥離性が向上
し、各種の工具として使用すると、一層の長寿命となる
という効果がある。
械加工された従来の超硬合金に対比して、加工変質層が
除去されて、突発的な微細破壊が生じ難く、安定した品
質となること、また焼結肌面を有する従来の超硬合金に
対して、表面が平坦および平滑になり、被削材などの相
手材料との耐溶着性が向上し、耐久性および寿命が向上
するという効果がある。さらに、本発明の被覆表面調質
超硬合金は、従来の被覆超硬合金に対比して、母材と硬
質膜との密着性が高くなり、硬質膜の耐剥離性が向上
し、各種の工具として使用すると、一層の長寿命となる
という効果がある。
【0047】以上から、本発明の表面調質超硬合金およ
び被覆表面調質超硬合金は、例えば旋削工具,フライス
工具,ドリル,エンドミルに代表される切削用工具、特
に被削材が鋳物や鋼であり、耐衝撃性を必要とする断続
切削工具や回転切削工具として、ダイス,パンチなどの
型工具からスリッタ−などの切断刃,裁断刃などの耐摩
耗用工具として、ノズルや塗付工具などの耐腐食耐摩耗
用工具として、鉱山,道路,土建などに用いられる切断
工具,掘削工具,窄孔工具,破砕工具に代表される土木
建設用工具として優れた効果を発揮することができるも
のである。
び被覆表面調質超硬合金は、例えば旋削工具,フライス
工具,ドリル,エンドミルに代表される切削用工具、特
に被削材が鋳物や鋼であり、耐衝撃性を必要とする断続
切削工具や回転切削工具として、ダイス,パンチなどの
型工具からスリッタ−などの切断刃,裁断刃などの耐摩
耗用工具として、ノズルや塗付工具などの耐腐食耐摩耗
用工具として、鉱山,道路,土建などに用いられる切断
工具,掘削工具,窄孔工具,破砕工具に代表される土木
建設用工具として優れた効果を発揮することができるも
のである。
フロントページの続き Fターム(参考) 3C046 FF03 FF11 FF13 FF17 FF18 FF19 FF22 FF23 FF25 4K029 AA02 BA58 BA60 BB01 BB07 BC02 BD05 CA03 DD06 FA04 4K030 BA36 BA38 BA41 BA43 BB01 BB12 CA03 DA03 LA01 LA21 4K044 AA09 BA12 BA13 BA14 BA18 BB02 BC05 CA04 CA07 CA13 CA14
Claims (16)
- 【請求項1】炭化タングステンを主成分とする硬質相と
鉄族金属を主成分とする結合相を含有する超硬合金にお
ける少なくとも一面は、機械加工と腐蝕により表面調質
面が形成されており、該表面調質面の表面に存在する炭
化タングステンと該超硬合金の内部に存在する炭化タン
グステンとをX線回折したときに、該表面調質面の表面
における炭化タングステンの(001)結晶面のピーク
高さをhs(001)WC、(101)結晶面のピーク高
さをhs(101)WC、該超硬合金の内部における炭化
タングステンの(001)結晶面のピーク高さをhi
(001)WC、(101)結晶面のピーク高さをhi
(101)WCと表すと、hs(001)WC/hs(10
1)WC≧1.2×hi(001)WC/hi(101)WC
を満足する表面調質超硬合金。 - 【請求項2】上記超硬合金は、少なくとも一部の面に焼
結肌面が残存している請求項1に記載の表面調質超硬合
金。 - 【請求項3】上記焼結肌面は、該焼結肌面の表面に存在
する炭化タングステンと上記超硬合金の内部に存在する
炭化タングステンとをX線回折したときに、該焼結肌面
における炭化タングステンの(001)結晶面のピーク
高さをha(001)WC、(101)結晶面のピーク高
さをha(101)WC、該超硬合金の内部における炭化
タングステンの(001)結晶面のピーク高さをhi
(001)WC、(101)結晶面のピーク高さをhi
(101)WCと表すと、ha(001)W C/ha(10
1)WC≧1.2×hi(001)WC/hi(101)WC
を満足する請求項2に記載の表面調質超硬合金。 - 【請求項4】上記超硬合金は、上記表面調質面および/
または上記焼結肌面と該超硬合金の内部とに存在する炭
化タングステンと結合相とをX線回折したときに、該表
面調質面の表面における炭化タングステンの(101)
結晶面のピーク高さをhs(101)wc、結合相の
(111)結晶面のピーク高さをhs(111)b、該
焼結肌面の表面における炭化タングステンの(101)
結晶面のピーク高さをha(101)wc、結合相の
(111)結晶面のピーク高さをha(111)b、該超
硬合金の内部における炭化タングステンの(101)結
晶面のピーク高さをhi(101)wc、結合相の(1
11)結晶面のピーク高さをhi(111)bと表す
と、hs(111)b/hs(101)WC>hi(11
1)b/hi(101)WC、もしくはha(111)b/
ha(101)WC>hi(111)b/hi(101)WC
のどちらか一方、または両方を満足する請求項1〜3の
いずれか1項に記載の表面調質超硬合金。 - 【請求項5】上記超硬合金は、コバルトおよび/または
ニッケルを主成分とする結合相を2〜15重量%と、残
りが炭化タングステンからなる硬質相、または炭化タン
グステンと周期律表の4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物,炭窒化物およびこれらの相互固溶体の中の
1種以上の立方晶構造化合物の硬質相とからなる請求項
1〜4のいずれか1項に記載の表面調質超硬合金。 - 【請求項6】上記請求項1〜5のいずれか1項に記載の
超硬合金を母材とし、該母材の表面に該母材よりも高硬
度の硬質膜が被覆されている被覆表面調質超硬合金。 - 【請求項7】上記硬質膜は、周期律表の4a,5a,6
a族元素,アルミニウム,シリコン,の炭化物,窒化
物,酸化物、およびこれらの相互固溶体の中から選ばれ
た1種の単層または2層以上の積層でなる0.5〜20
μmの膜厚さの硬質膜が被覆されている請求項6に記載
の被覆表面調質超硬合金。 - 【請求項8】 上記硬質膜は、上記母材に隣接して被覆
される下地層と該下地層上に被覆される酸化アルミニウ
ムの外層とを含み、該下地層が炭化チタン、窒化チタ
ン、炭窒化チタン、炭化チタンーアルミニウム、窒化チ
タンーアルミニウム、炭窒化チタンーアルミニウム、の
中の1種の単層または2種以上の積層でなる請求項6に
記載の被覆表面調質超硬合金。 - 【請求項9】上記母材と上記下地層は、該母材の表面調
質面および/または焼結肌面に存在する炭化タングステ
ンの(001)結晶面に該下地層の(111)結晶面が
方位されるように配向されている請求項8に記載の被覆
表面調質超硬合金。 - 【請求項10】炭化タングステンを主成分とする硬質相
と鉄族金属を主成分とする結合相を含有する超硬合金を
準備し、該超硬合金の少なくとも一面は機械的に加工を
施した機械加工面とし、該機械加工面が形成された該超
硬合金を電解処理し、少なくとも該機械加工面に存在す
る炭化タングステンの特定結晶面を優先的に除去して表
面改質する表面調質超硬合金の製法。 - 【請求項11】上記機械加工面は、砥石研削,ブラシ研
削,ラップ加工,ブラスト加工,超音波加工,電解研削
加工の中の少なくとも1種で加工された面である請求項
10に記載の表面調質超硬合金の製法。 - 【請求項12】上記の電解処理は、アルカリ性の電解液
中で処理する請求項10または11に記載の表面調質超
硬合金の製法。 - 【請求項13】上記電解液は、周期律表の1a族金属の
水酸化物,亜硝酸塩,亜硫酸塩,亜燐酸塩,炭酸塩の中
から選ばれた少なくとも1種を必須成分とする水溶液で
あることを特徴とする請求項12に記載の表面調質超硬
合金の製法。 - 【請求項14】上記電解液は、ナトリウムおよび/また
はカリウムの亜硝酸塩あるいは炭酸塩を主成分とする請
求項12に記載の表面調質超硬合金の製法。 - 【請求項15】上記電解処理は、電流密度が0.01〜
0.2A/cm2により行う請求項10〜14のいずれ
か1項に記載の表面調質超硬合金の製法。 - 【請求項16】上記請求項10〜15のいずれか1項に
記載の製法により得られた超硬合金を母材とし、該母材
表面を洗浄および乾燥後、化学蒸着法、物理蒸着法、プ
ラズマ化学蒸着法の中の少なくとも1種の方法により、
該母材表面に硬質膜を被覆する被覆表面調質超硬合金の
製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10431899A JP2000297342A (ja) | 1999-04-12 | 1999-04-12 | 表面調質超硬合金、被覆表面調質超硬合金およびその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10431899A JP2000297342A (ja) | 1999-04-12 | 1999-04-12 | 表面調質超硬合金、被覆表面調質超硬合金およびその製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000297342A true JP2000297342A (ja) | 2000-10-24 |
Family
ID=14377597
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10431899A Pending JP2000297342A (ja) | 1999-04-12 | 1999-04-12 | 表面調質超硬合金、被覆表面調質超硬合金およびその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000297342A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4593681B1 (ja) * | 2010-02-16 | 2010-12-08 | 昭和電工株式会社 | 表面被覆サーメット部材及びその製造方法 |
JP2011074473A (ja) * | 2009-10-01 | 2011-04-14 | Toyota Central R&D Labs Inc | 被覆超硬合金部材 |
JP5111379B2 (ja) * | 2006-08-31 | 2013-01-09 | 京セラ株式会社 | 切削工具及びその製造方法並びに切削方法 |
WO2018105403A1 (ja) * | 2016-12-09 | 2018-06-14 | 住友電工ハードメタル株式会社 | 表面被覆切削工具 |
WO2018225497A1 (ja) * | 2017-06-08 | 2018-12-13 | 株式会社トクヤマ | 洗浄装置、および洗浄方法 |
-
1999
- 1999-04-12 JP JP10431899A patent/JP2000297342A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2011168801A (ja) * | 2010-02-16 | 2011-09-01 | Showa Denko Kk | 表面被覆サーメット部材及びその製造方法 |
WO2018105403A1 (ja) * | 2016-12-09 | 2018-06-14 | 住友電工ハードメタル株式会社 | 表面被覆切削工具 |
WO2018225497A1 (ja) * | 2017-06-08 | 2018-12-13 | 株式会社トクヤマ | 洗浄装置、および洗浄方法 |
JPWO2018225497A1 (ja) * | 2017-06-08 | 2020-04-09 | 株式会社トクヤマ | 洗浄装置、および洗浄方法 |
JP7063896B2 (ja) | 2017-06-08 | 2022-05-09 | 株式会社トクヤマ | 洗浄装置、および洗浄方法 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041005 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050221 |