JP2000297341A - 水性塗料対応の飲料缶エンド用または食缶ボディ用アルミニウム合金圧延板およびそれらの製造方法 - Google Patents

水性塗料対応の飲料缶エンド用または食缶ボディ用アルミニウム合金圧延板およびそれらの製造方法

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JP2000297341A
JP2000297341A JP10210599A JP10210599A JP2000297341A JP 2000297341 A JP2000297341 A JP 2000297341A JP 10210599 A JP10210599 A JP 10210599A JP 10210599 A JP10210599 A JP 10210599A JP 2000297341 A JP2000297341 A JP 2000297341A
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Satoru Suzuki
覚 鈴木
Hidemiki Matsumoto
英幹 松本
Satoru Shoji
了 東海林
Hiroyuki Matsuura
浩之 松浦
Yasuo Toba
安雄 鳥羽
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性塗料対応の飲料缶エンド用アルミニウム
合金圧延板を提供する。 【解決手段】 Mg1.5wt%以上2.8wt%未満、Mn0.10〜
0.28wt% 、Cu0.20wt%以下、Fe0.30wt% 以下、Si
0.20wt% 以下を含有し、さらに必要に応じてCr0.01〜
0.10wt% およびTi 0.001〜0.05wt% のうち1種または
2種を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる飲料
缶エンド用Al合金圧延板であって、前記Al合金圧延
板の圧延方向に直角な面におけるAl−Mn系晶出物の
面積率が1.0%以下で且つその径が1μm以上の個数が15
00個/mm2以下、Mg2 Si晶出物の面積率が0.8%以下で
且つその径が1μm以上の個数が2000個/mm2以下、 180
〜220 ℃で5〜30分間保持または最高到達温度 210〜26
0 ℃で2分以内保持する塗装焼付後の強度が圧延方向の
耐力で 220〜250MPaである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性塗料対応の飲
料缶エンド用または食缶ボディ用アルミニウム合金圧延
板およびそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、飲料缶エンドはJIS5052
(Al−Mg系)などの合金板を塗装焼付後にタップを
リベット成形して製造され、また食缶ボディはJIS3
105やJIS3004(Al−Mn系)、或いはJI
S5052などの硬質または半硬質合金板を塗装焼付後
カップ状に深絞り加工して製造されている。最近、焼付
塗料には、環境保全のため、溶剤型塗料に代わって水性
塗料が用いられるようになった。水性塗料は、溶剤型塗
料と比べて、焼付時にヒュームが発生しないため作業環
境が良く、また焼付温度が低いため燃料が節約できるな
どの利点がある。一方、深絞り加工での絞り比は、食缶
でも2以上に大きくなってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のよう
に、水性塗料は焼付温度が低いため塗装焼付後に加工組
織が十分回復せず、そのため、飲料缶エンドにあっては
開缶荷重が大きくなり、食缶ボディにあっては深絞り加
工時にせん断帯が発生して、外観不良、せん断帯に沿う
割れの発生、内容物を保護する内面塗膜の損傷などが起
きる。このようなことから、本発明者らは、水性塗料に
対応した飲料缶エンド用または食缶ボディ用アルミニウ
ム合金板の開発に取り組み、Al−Mg−Mn−Cu系
合金の組成とそこに含まれる晶出物の個数および面積率
を規定すれば、塗装焼付け温度が低くても、飲料缶エン
ドおよび食缶ボディに要求される特性を満足させ得るこ
とを知見し、さらに研究を進めて本発明を完成させるに
至った。本発明は、水性塗料対応の飲料缶エンド用また
は食缶ボディ用アルミニウム合金圧延板およびそれらの
製造方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
Mg1.5wt%以上2.8wt%未満、Mn0.10〜
0.28wt%、Cu0.20wt%以下、Fe0.30wt
%以下、Si0.20wt%以下を含有し、さらに必要に
応じてCr0.01〜0.10wt%およびTi0.00
1〜0.05wt%のうち1種または2種を含有し、残部
がAlと不可避不純物からなる飲料缶エンド用アルミニ
ウム合金圧延板であって、前記アルミニウム合金圧延板
の圧延方向に直角な面におけるAl−Mn系晶出物の面
積率が1.0%以下で且つその径が1μm以上の個数が
1500個/mm2 以下、Mg2 Si晶出物の面積率が
0.8%以下で且つその径が1μm以上の個数が200
0個/mm2 以下、180〜220℃で5〜30分間保
持または最高到達温度210〜260℃で2分以内保持
する塗装焼付後の圧延方向の強度が耐力で220〜25
0MPaであることを特徴とする水性塗料対応の飲料缶
エンド用アルミニウム合金圧延板である。
【0005】請求項2記載の発明は、Mg1.5wt%以
上2.8wt%未満、Mn0.10〜0.28wt%、Cu
0.20wt%以下、Fe0.30wt%以下、Si0.2
0wt%以下を含有し、さらに必要に応じてCr0.01
〜0.10wt%およびTi0.001〜0.05wt%の
うち1種または2種を含有し、残部がAlと不可避不純
物からなる食缶ボディ用アルミニウム合金圧延板であっ
て、前記アルミニウム合金圧延板の表面におけるAl−
Mn系晶出物の面積率が1.0%以下で且つその径が1
μm以上の個数が1500個/mm2 以下、Mg2 Si
晶出物の面積率が0.8%以下で且つその径が1μm以
上の個数が2000個/mm2 以下、180〜220℃
で5〜30分間保持または最高到達温度210〜260
℃で2分以内保持する塗装焼付後の圧延方向の強度が耐
力で220〜250MPaであることを特徴とする水性
塗料対応の食缶ボディ用アルミニウム合金圧延板であ
る。
【0006】請求項3記載の発明は、Mg1.5wt%以
上2.8wt%未満、Mn0.10〜0.28wt%、Cu
0.20wt%以下、Fe0.30wt%以下、Si0.2
0wt%以下を含有し、さらに必要に応じてCr0.01
〜0.10wt%およびTi0.001〜0.05wt%の
うち1種または2種を含有し、残部がAlと不可避不純
物からなるAl合金鋳塊に、450〜550℃で1時間
以上の均質化処理を施し、次いで熱間圧延および冷間圧
延を順に施し、必要に応じて冷間圧延開始前または冷間
圧延途中で中間焼鈍を施すことを特徴とする請求項1記
載の水性塗料対応の飲料缶エンド用アルミニウム合金圧
延板の製造方法である。
【0007】請求項4記載の発明は、Mg1.5wt%以
上2.8wt%未満、Mn0.10〜0.28wt%、Cu
0.20wt%以下、Fe0.30wt%以下、Si0.2
0wt%以下を含有し、さらに必要に応じてCr0.01
〜0.10wt%およびTi0.001〜0.05wt%の
うち1種または2種を含有し、残部がAlと不可避不純
物からなるAl合金鋳塊に、450〜550℃で1時間
以上の均質化処理を施し、次いで熱間圧延および冷間圧
延を順に施し、必要に応じて冷間圧延開始前または冷間
圧延途中で中間焼鈍を施すことを特徴とする請求項2記
載の水性塗料対応の食缶ボディ用アルミニウム合金圧延
板の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の飲料缶エンド用
または食缶ボディ用アルミニウム合金板に含まれる合金
元素について説明する。MgはAlマトリックスに固溶
して強度向上に寄与する。Mgの含有量を1.5wt%以
上2.8wt%未満に規定する理由は、1.5wt%未満で
は剛性が不足して飲料缶エンドにあってはタップを持ち
上げて開缶する際支点となるリベットが浮き上がって開
口不良が起き、食缶ボディにあってはその形状保持が困
難になり、2.8wt%以上では強度が高くなって、飲料
缶エンドにあっては開缶荷重が大きくなり、食缶ボディ
にあっては深絞り加工時にせん断帯が発生するためであ
る。
【0009】Mnは強度向上に寄与し、また結晶粒を微
細化して深絞り加工性を改善する。Mnの含有量を0.
10〜0.28wt%に規定する理由は、0.10wt%未
満ではSiを含むAl−Mn系晶出物が減少し、その代
わりにMg2 Si晶出物が増加して、0.28wt%を超
えるとAl−Mn系晶出物が粗大化すると同時に数量も
増えて、いずれの場合も、飲料缶エンドにあっては落下
強度が低下し、食缶ボディにあっては深絞り加工性が低
下するためである。
【0010】CuはAlマトリックスに固溶して強度向
上に寄与する。Cuの含有量を0.20wt%以下に規定
する理由は、0.20wt%を超えると製造加工性および
耐食性が低下するためである。
【0011】FeおよびSiは通常Al地金中に含まれ
る不純物であり、それぞれ0.30wt%以下、0.20
wt%以下に規定する理由は、FeまたはSiが前記規定
値を超えるとAl−Fe−Mn晶出物やMg2 Si晶出
物が増加して、飲料缶エンドにあっては落下強度が低下
し、食缶ボディにあっては深絞り加工性が低下するため
である。
【0012】Crは強度向上に寄与し、また結晶粒を微
細化して深絞り加工性を高める。Crの含有量を0.0
1〜0.10wt%に規定する理由は、0.01wt%未満
では剛性が不足して飲料缶エンドにあってはタップを持
ち上げて開缶する際支点となるリベットが浮き上がって
開口不良が起き、食缶ボディにあっては深絞り加工性が
低下し、また0.10wt%を超えるとCrを含む粗大な
晶出物が生成して、飲料缶エンドにあっては落下強度が
低下し、食缶ボディにあっては深絞り加工性が低下する
ためである。
【0013】Tiは鋳造組織を微細化して製造加工性を
高める。Tiの含有量を0.001〜0.05wt%に規
定する理由は、0.001wt%未満ではその効果が十分
に得られず、0.05wt%を超えるとTiを含む粗大な
晶出物が増加して、飲料缶エンドにあっては落下強度が
低下し、食缶ボディにあっては深絞り加工性が低下する
ためである。
【0014】請求項1記載の発明において、アルミニウ
ム合金圧延板の圧延方向に直角な面におけるAl−Mn
系晶出物を面積率1.0%以下、その径が1μm以上の
個数を1500個/mm2 以下に規定し、Mg2 Si晶
出物を面積率0.8%以下、その径が1μm以上の個数
を2000個/mm2 以下に規定する理由は、前記両晶
出物のいずれかの面積率または個数が規定値を超える
と、前記両晶出物はいずれも割れの起点となって飲料缶
エンドの落下強度が低下するためである。
【0015】請求項2記載の発明において、アルミニウ
ム合金圧延板の表面におけるAl−Mn系晶出物を面積
率1.0%以下、その径が1μm以上の個数を1500
個/mm2 以下に規定し、Mg2 Si晶出物を面積率
0.8%以下、その径が1μm以上の個数を2000個
/mm2 以下に規定する理由は、表面に露出する前記両
晶出物のいずれもが食缶ボディ表面の塗膜の密着性を低
下させるためである。なお、この発明において、前記晶
出物の面積率および個数を規定する表面とは表面乃至表
面から20μm深さまでの領域とする。
【0016】請求項1、2記載の発明において、前記面
積率と個数は、測定面を鏡面に仕上げ、この面を光学顕
微鏡で所定倍率に拡大して写真撮影し、この写真をもと
に測定するものとし、観察視野によるバラツキを無くす
ために1試料につき10か所以上(測定面積にして合計
0.4mm2 以上)測定し、その平均値とする。前記A
l−Mn系晶出物とMg2 Si晶出物の径は前記晶出物
の断面が円形の場合はその直径、非円形の場合は断面が
円であるとした場合の等価直径とする。鏡面仕上げの方
法としては、エメリー研磨→バフ研磨による方法、エメ
リー研磨→バフ研磨→電解研磨による方法などが適用さ
れる。
【0017】請求項1または2記載の発明において、1
80〜220℃で5〜30分間保持または最高到達温度
210〜260℃で2分以内保持する塗装焼付け後の強
度を圧延方向の耐力で220〜250MPaに規定する
理由は、220MPa未満では、飲料缶エンドにあって
は剛性が不足して開口不良が起き易くなり、食缶ボディ
にあっては形状が十分保持されなくなるためであり、ま
た250MPaを超えると、飲料缶エンドにあっては開
缶荷重が大きくなり、食缶ボディにあっては深絞り加工
性が低下するためである。
【0018】本発明の飲料缶エンド用または食缶ボディ
用アルミニウム合金圧延板は、鋳造、鋳塊の均質化処
理、熱間圧延、冷間圧延を順に施して製造される。必要
に応じ冷間圧延前または冷間圧延途中に中間焼鈍を施
す。前記鋳造には半連続鋳造法など任意の鋳造法が適用
できる。前記鋳塊の均質化処理温度を450〜550℃
に規定する理由は、450℃未満では、均質化処理中に
粗大なMg2 Si晶出物が生成して、飲料缶エンドにあ
っては落下強度が低下し、食缶ボディにあっては塗膜密
着性が低下し、550℃を超えると局部的に溶融してそ
の部分が表面欠陥となるためである。また均質化処理時
間を1時間以上とする理由は、1時間未満では鋳造組織
が十分均質化されないためである。熱間圧延は、開始温
度400〜500℃、終了温度280〜350℃程度に
すると均質な圧延組織が得られ望ましい。
【0019】本発明の飲料缶エンド用または食缶ボディ
用アルミニウム合金圧延板は、塗装焼付条件が180〜
220℃で5〜30分保持、または最高到達温度210
〜260℃で2分以内保持の水性塗料の塗装焼付条件の
ときにそれぞれに要求される適正な特性が得られるもの
である。即ち、前記塗装焼付条件が下限値未満の場合は
材料強度が高くなって、飲料缶エンドにあっては開缶荷
重が大きくなり、食缶ボディにあっては深絞り加工性が
低下する。一方、前記塗装焼付条件が上限値を超えると
材料強度が低下して、飲料缶エンドにあっては剛性が不
足して開口不良が起き易くなり、食缶ボディにあっては
形状保持が困難になる。
【0020】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)表1に示す本発明規定組成(単位wt%)の
合金(No.A〜E)を半連続鋳造法により鋳造して鋳塊と
し、これに均質化処理、熱間圧延、冷間圧延を順に施し
て厚さ0.25mmの板材を製造した。熱間圧延は開始
温度450℃終了温度330℃とした。冷間圧延開始厚
さは2.3mmで、冷間圧延途中で1試料を除き中間焼
鈍を施した。
【0021】(比較例1)表1に示す本発明規定組成外
の合金(No.F〜L)を用いた他は、実施例1と同じ方法に
より厚さ0.25mmの板材を製造した。
【0022】(比較例2)本発明規定組成の合金(No.
E) を用い、均質化処理条件を本発明規定外とした他
は、実施例1と同じ方法により厚さ0.25mmの板材
を製造した。
【0023】実施例1、比較例1、2で得られた各々の
板材にアルカリエッチング処理およびリン酸クロメート
処理を順に施し、次いでエポキシアクリル系水性塗料を
連続塗装ラインにて焼付けた。焼付温度は210、23
0、260℃の3通りとし、保持時間は0sec(焼付
温度到達後直ちに冷却)とした。塗膜量は外面10mg
/dm2 、内面50mg/dm2 とした。
【0024】このようにして得られた各々の塗装焼付材
について、機械的性質(引張強さ、耐力、伸び)と
耐食性を調べた。また飲料缶エンド固有の特性として
リベット成形性、開口性、開缶荷重、落下強度を
調べた。
【0025】機械的性質はJISZ2201に準じて
測定した。 耐食性は10ppmのCu2+を添加した水道水中に4
週間浸漬した後の孔食深さを測定して評価した。孔食深
さが125μm未満のとき耐食性良好(○)、125μ
m以上のとき耐食性不良(×)と判定した。
【0026】リベット成形性は0.25mmの板材を
ステイオンタブ式飲料缶エンド(飲料缶エンド)に成形
する際のリベット割れの発生頻度で評価した。1000
個成形して割れが皆無のものを良好(○)、1つでも割
れたものを不良(×)と判定した。開口性と開缶荷重は
ステイオンタブ式飲料缶を作製して調べた。 開口性は、タブを垂直方向に対しリベット側に20°
の角度引上げた際にスコア全長の3/4以上が切れたと
き合格、3/4未満のとき不合格とし、各10缶づつ試
験して全て合格なら良好(○)、1缶でも不合格があれ
ば不良(×)と判定した。 開缶荷重は、10缶試験して、全てが2.0kgf以
下のとき良好(○)、1缶でも2.0kgfを超えたと
き不良(×)と判定した。 落下強度は前記ステイオンタブ式飲料缶をエンドを下
にして一定の高さから10缶落下させ、スコア割れ(飲
み口の切れ)が皆無だと、落下高さを10cm高くして
落下させてスコア割れが起きない限界高さを求めた。限
界高さが120cm以上を良好(○)、110cm以下
を不良(×)と判定した。
【0027】製造条件および機械的性質を表2に、晶出
物(Al−Mn系晶出物とMg2 Si晶出物)の面積率
と個数(径が1μm以上の個数)、耐食性、および缶エ
ンド特性を表3に示す。表3に示した晶出物の面積率と
個数は下記のようにして測定した。即ち、前記Al合金
板の圧延方向に直角な面をエメリー研磨後バフ研磨して
鏡面に仕上げ、この面を光学顕微鏡で400倍に拡大し
て写真に撮影し、写真から晶出物の個数と面積率を測定
した。観察視野によるバラツキを無くすために1試料に
つき10か所(測定面積は合計0.4mm2 )を写真撮
影した。晶出物の個数と面積率は、画像解析処理装置を
用い、晶出物とマトリックスのコントラスト差を2値化
して測定した。Al−Mn系晶出物とMg2 Si晶出物
は色調が異なる(前者は灰色、後者は黒色)ので容易に
識別できた。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表2、3より明らかなように、本発明例の
No.1〜11の飲料缶エンド用アルミニウム合金板はいずれ
も晶出物の面積率、個数、および塗装焼付後の耐力が本
発明規定値内にあり、また耐食性に優れ、さらにリベッ
ト成形性、開缶性、落下強度にも優れ飲料缶エンドに要
求される特性を満足し、総合的に優れるものである。こ
れに対し、比較例の No.12はSi、Feが多いため、 N
o.14はMnが多いため、 No.15はMnが少ないため、 N
o.17はCrが多いため、 No.18はTiが多いため、いず
れも晶出物の面積率または/および個数が本発明規定値
を超えたため落下強度が低下した。また No.13はCuが
多いため耐食性が低下し、製造加工性も低下した。 No.
16はMgが多いため強度が高くなり開缶荷重が大きくな
った。No.19は均質化処理温度が低かったためMg2
i晶出物が粗大化して落下強度が低下した。 No.20は焼
付温度が低かったため開缶荷重が大きくなり、 No.21は
焼付温度が高かったため開口不良が生じた。
【0032】(実施例2)実施例1で製造した各々の塗
装焼付材について、食缶ボディに関係する限界絞り比
(L.D.R.)、せん断帯模様の発生状況、塗膜密着性に
ついて調べた。
【0033】限界絞り比は前記板材を直径33mm、
肩部の曲率半径4.5mmのポンチを用いてカップ状に
深絞り加工して割れが入るまでの限界絞り比(D/d、
D:ブランク直径、d:ポンチ直径)で評価した。限界
絞り比が2.0以上のものを良好(○)、2.0未満の
ものを不良と判定した。 せん断帯模様の発生は、限界絞り比で深絞り加工した
カップの側壁のせん断帯模様の有無を観察し、せん断帯
模様の発生しなかったものを良好(○)、発生したもの
を不良(×)と判定した。 塗膜密着性は限界絞り比で深絞り加工したカップを水
道水中で125℃で30分間加熱するレトルト処理を行
い、処理後において塗膜剥離が認められないものを良好
(○)、塗膜剥離が認められるものを不良(×)と判定
した。
【0034】前記調査結果を表4に示す。表4には合金
板表面における晶出物の面積率と個数を併記した。合金
組成、製造条件、機械的性質は表1、2に示したものと
同じである。晶出物の個数と面積率は下記のようにして
測定した。即ち、前記Al合金板の表面をエメリー研磨
後バフ研磨して鏡面に仕上げ、この面を光学顕微鏡で4
00倍に拡大して写真に撮影し、この写真を画像解析処
理装置にかけて晶出物の個数と面積率を、晶出物とマト
リックスのコントラスト差を2値化して測定した。Al
−Mn系晶出物とMg2 Si晶出物は前述のように灰色
と黒色の色調差で識別した。観察視野によるバラツキを
無くすために1試料につき10か所(測定面積は合計
0.4mm2 )を写真撮影した。晶出物の測定位置は表
面から10μm(研磨厚さ)下の部分である。
【0035】
【表4】
【0036】表4より明らかなように、本発明例のNo.1
〜11の食缶ボディ用アルミニウム合金板はいずれも晶出
物の面積率、個数および塗装焼付後の耐力が本発明規定
値内にあり、また限界絞り比が大きく、せん断帯模様が
発生せず、塗膜密着性が良好で食缶ボディに要求される
深絞り加工性に優れ、総合的に優れるものである。これ
に対し、比較例の No.12はSi、Feが多いため、 No.
14はMnが多いため、 No.15はMnが少ないため、 No.
17はCrが多いため、 No.18はTiが多いため、いずれ
も晶出物の面積率または/および個数が本発明規定値を
超えたため限界絞り比が低下した。また No.13はCuが
多いため耐食性が低下し製造加工性も低下した。 No.16
はMgが多いため強度が高くなりせん断帯模様が発生し
た。さらにNo.12,14,15,19はいずれも晶出物の面積率ま
たは/および個数が本発明規定値を超えたため塗膜密着
性が低下した。 No.19は均質化処理温度が低かったため
Mg2 Si晶出物が粗大化して塗膜密着性が低下した。
No.20は焼付温度が低かったため耐力が高くなり限界絞
り比が低下した。 No.21は焼付温度が高かったため耐力
が低くなり形状保持に必要な強度が得られなかった。
【0037】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の飲料缶エ
ンド用または食缶ボディ用アルミニウム合金板は、M
g、Mn、Cu、Fe、Siを所定量含有し、さらに必
要に応じてCr、Tiのうち1種または2種を所定量含
有し、残部がAlと不可避不純物からなり、これに含ま
れるAl−Mn系晶出物およびMg2 Si晶出物の面積
率および個数をそれぞれ所定値以下に規定し、水性塗料
焼付け後の強度を圧延方向の耐力で220〜250MP
aに規定するため、飲料缶エンドにあってはリベット成
形性、開缶性、落下強度に優れ、食缶ボディにあっては
深絞り加工性、せん断帯模様の抑制、塗膜密着性に優
れ、水性塗料化に良好に対応できる。また本発明の飲料
缶エンド用または食缶ボディ用アルミニウム合金板は、
鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延(必要に応じて
中間焼鈍を施す)を施す常法において前記均質化処理温
度を450〜550℃に規定することにより容易に製造
することができる。依って、工業上顕著な効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 685 685 686 686 691 691B 691C (72)発明者 松浦 浩之 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 鳥羽 安雄 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg1.5wt%以上2.8wt%未満、M
    n0.10〜0.28wt%、Cu0.20wt%以下、F
    e0.30wt%以下、Si0.20wt%以下を含有し、
    さらに必要に応じてCr0.01〜0.10wt%および
    Ti0.001〜0.05wt%のうち1種または2種を
    含有し、残部がAlと不可避不純物からなる飲料缶エン
    ド用アルミニウム合金圧延板であって、前記アルミニウ
    ム合金圧延板の圧延方向に直角な面におけるAl−Mn
    系晶出物の面積率が1.0%以下で且つその径が1μm
    以上の個数が1500個/mm2 以下、Mg2 Si晶出
    物の面積率が0.8%以下で且つその径が1μm以上の
    個数が2000個/mm 2 以下、180〜220℃で5
    〜30分間保持または最高到達温度210〜260℃で
    2分以内保持する塗装焼付後の圧延方向の強度が耐力で
    220〜250MPaであることを特徴とする水性塗料
    対応の飲料缶エンド用アルミニウム合金圧延板。
  2. 【請求項2】 Mg1.5wt%以上2.8wt%未満、M
    n0.10〜0.28wt%、Cu0.20wt%以下、F
    e0.30wt%以下、Si0.20wt%以下を含有し、
    さらに必要に応じてCr0.01〜0.10wt%および
    Ti0.001〜0.05wt%のうち1種または2種を
    含有し、残部がAlと不可避不純物からなる食缶ボディ
    用アルミニウム合金圧延板であって、前記アルミニウム
    合金圧延板の表面におけるAl−Mn系晶出物の面積率
    が1.0%以下で且つその径が1μm以上の個数が15
    00個/mm2 以下、Mg2 Si晶出物の面積率が0.
    8%以下で且つその径が1μm以上の個数が2000個
    /mm2 以下、180〜220℃で5〜30分間保持ま
    たは最高到達温度210〜260℃で2分以内保持する
    塗装焼付後の圧延方向の強度が耐力で220〜250M
    Paであることを特徴とする水性塗料対応の食缶ボディ
    用アルミニウム合金圧延板。
  3. 【請求項3】 Mg1.5wt%以上2.8wt%未満、M
    n0.10〜0.28wt%、Cu0.20wt%以下、F
    e0.30wt%以下、Si0.20wt%以下を含有し、
    さらに必要に応じてCr0.01〜0.10wt%および
    Ti0.001〜0.05wt%のうち1種または2種を
    含有し、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金鋳
    塊に、450〜550℃で1時間以上の均質化処理を施
    し、次いで熱間圧延および冷間圧延を順に施し、必要に
    応じて冷間圧延開始前または冷間圧延途中で中間焼鈍を
    施すことを特徴とする請求項1記載の水性塗料対応の飲
    料缶エンド用アルミニウム合金圧延板の製造方法。
  4. 【請求項4】 Mg1.5wt%以上2.8wt%未満、M
    n0.10〜0.28wt%、Cu0.20wt%以下、F
    e0.30wt%以下、Si0.20wt%以下を含有し、
    さらに必要に応じてCr0.01〜0.10wt%および
    Ti0.001〜0.05wt%のうち1種または2種を
    含有し、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金鋳
    塊に、450〜550℃で1時間以上の均質化処理を施
    し、次いで熱間圧延および冷間圧延を順に施し、必要に
    応じて冷間圧延開始前または冷間圧延途中で中間焼鈍を
    施すことを特徴とする請求項2記載の水性塗料対応の食
    缶ボディ用アルミニウム合金圧延板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007070711A (ja) * 2005-09-09 2007-03-22 Furukawa Sky Kk 高強度キャップ用アルミニウム合金およびその製造方法

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