JP2000296582A - 農業用多層フィルム - Google Patents
農業用多層フィルムInfo
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Abstract
かつ、柔軟性に優れ、ハウスの気密性、作業性および輸
送・保管効率に優れた農業用多層フィルムを提供する。 【解決手段】少なくとも内層A、中間層Bおよび外層C
で構成された農業用多層フィルムであって、内層Aが、
酢酸ビニル含有量2〜10重量%であるエチレン−酢酸
ビニル共重合体(a)を主成分とした組成物から構成さ
れ、外層Cが、シングルサイト触媒を用いて重合された
密度(dc)0.88〜0.92g/cm3のエチレン−α−
オレフィン共重合体(c)を主成分とした組成物から構
成され、中間層Bが、単層フィルムとしたときの引張弾
性率が前記エチレン−α−オレフィン共重合体(c)を
単層フィルムとしたときの引張弾性率より大きい熱可塑
性樹脂(b)を主成分とし防曇剤1.0〜10重量%が
添加された組成物から構成された農業用多層フィルム。
Description
被覆する農業用多層フィルムに関する。更に詳しくは、
強靱性および柔軟性を有し、かつ、優れた低温防曇性を
有する農業用多層フィルムに関する。
被覆資材として様々のプラスチックフィルムが使用され
ている。それらの代表的なものとして、ポリ塩化ビニル
フィルム(以下農ビと称す。)、ポリエチレンフィルム
(以下農ポリと称す。)、エチレン酢酸ビニル共重合体
フィルム(以下農酢ビと称す。)等を挙げることができ
る。なかでも農ビは、保温性、透明性、強靭性、防曇
性、ハウス密着性および経済性等に優れているところか
ら、最も多く使用されている。
る添加剤が除々にフィルム表面に滲出し、これによりフ
ィルム表面にベタツキが発生し、作業性および防塵性を
悪化させるという欠点を有している。また、農ビを焼却
廃棄する時に、有害ガスが発生するという問題が取り上
げられており、有害ガスの発生しない農ビ代替品が望ま
れている。
および廃棄処理のしやすさという点においては農ビより
優れているが、保温性、防曇性、強靱性等が農ビより劣
ることから改良が望まれてきた。
るために特開昭60−104141号公報に赤外線吸収
性を有する特定のフィラーを添加する技術が開示されて
いる。また、防曇性や強靱性を改良するために特開昭5
8−90960号公報には、外層(ハウスやトンネルの
外側大気に接する層)に線状低密度ポリエチレン、中間
層にエチレン−酢酸ビニル共重合体やオレフィン−ビニ
ルアルコール共重合体、内層(ハウスやトンネルの内側
大気の接する層)に線状低密度ポリエチレンやエチレン
−酢酸ビニル共重合体を用いた農業用積層フィルムが提
案されている。
の赤外線吸収特性は農ビに近づけることが可能となって
きているが、いずれもフィルムの柔軟性が劣り農業用ハ
ウスへの密着性に欠け気密性が保たれないことから十分
な保温性が得られていない。また、フィルムを畳んだり
した場合に柔軟性がないことから嵩張ってしまい作業性
が悪く、その輸送効率や保管効率の大幅な低下をきたし
ていた。
ルムの内層(ハウスやトンネルの内側大気に接する層)
および外層(ハウスやトンネルの外側大気に接する層)
に酢酸ビニルの含有量を多くしたエチレン−酢酸ビニル
共重合体を使用したり、密度の低いエチレン−α−オレ
フィン共重合体を使用することが考えられるが、酢酸ビ
ニル含有量の多いエチレン酢酸ビニル共重合体は融点が
低く、これを用いたフィルム同志が融着するといった問
題があった。また、従来のチーグラー触媒のようなマル
チサイト触媒を用いてエチレンとα−オレフィンを共重
合して得られる共重合体の密度を下げるためには、α−
オレフィン含有量の高い共重合体とする必要があるが、
かかるα−オレフィンを均一に共重合することができ
ず、得られた共重合体を用いたフィルムはべたつき、フ
ィルム同志が密着や融着し、実用に耐えないものであっ
た。
えてシングルサイト触媒を用いる重合によるエチレン−
α−オレフィン共重合体である線状低密度ポリエチレン
の開発が進み、特開平09−052332号公報には密
度が0.925〜0.940g/cm3のエチレン−α−オ
レフィン共重合体からなる外層、密度が0.880〜
0.910 g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体
からなる中間層および密度が0.905〜0.930 g
/cm3からなるエチレン−αオレフィン共重合体からなる
内層が積層された農業用積層フィルムが、また、特開平
08−276542号公報にはエチレン−酢酸ビニル共
重合体を中間層とし、内層および外層にシングルサイト
触媒を用いて得られたエチレン−α−オレフィン共重合
体を使用した農業用多層フィルムが提案されている。
向上するものの柔軟性に欠けることから、前記作業性、
保管効率および輸送効率の課題は解消されないままであ
った。
善するべく鋭意検討した結果、中間層に引張弾性率の高
い熱可塑性樹脂を用い、内外層に引張弾性率の小さい特
定のエチレン−α−オレフィン共重合体を用いた農業用
多層フィルムが上記課題を改良できることを見出した
が、シングルサイト触媒により重合されたエチレン−α
−オレフィン共重合体を内層に使用した農業用多層フィ
ルムは、農業用ハウス内が高湿度で低温の環境下の場
合、防曇性の発現が不十分であり、病害虫が発生した
り、太陽光線の透過率低減から作物の生育不良等が懸念
される。
性および低温時でも良好な防曇性を有し、かつ、柔軟性
に優れ、ハウスの気密性、作業性および輸送・保管効率
に優れた農業用多層フィルムを提供することにある。
善するべく鋭意検討した結果、各層が特定の組成を有
し、かつ、少なくとも内層A、中間層Bおよび外層Cで
構成された農業用多層フィルムが上記課題を改良できる
ことを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至
った。
する。 (1)少なくとも内層A、中間層Bおよび外層Cで構成
された農業用多層フィルムであって、内層Aが、酢酸ビ
ニル含有量2〜10重量%であるエチレン−酢酸ビニル
共重合体(a)を主成分とした組成物から構成され、外
層Cが、シングルサイト触媒を用いて重合された密度
(dc)0.88〜0.92g/cm3のエチレン−α−オレ
フィン共重合体(c)を主成分とした組成物から構成さ
れ、中間層Bが、単層フィルムとしたときの引張弾性率
が前記エチレン−α−オレフィン共重合体(c)を単層
フィルムとしたときの引張弾性率より大きい熱可塑性樹
脂(b)を主成分とし防曇剤1.0〜10重量%が添加
された組成物から構成された農業用多層フィルム。 (2)中間層Bを構成する組成物の主成分である熱可塑
性樹脂がシングルサイト触媒を用いて重合された密度
(db1)0.90〜0.94g/cm3のエチレン−α−オ
レフィン共重合体(b1)であって、かつ、db 1>dc
である前記(1)項記載の農業用多層フィルム。 (3)内層A、中間層Bおよび外層Cを構成する組成物
に対し、BET比表面積が5〜50m2/gの無機質フ
ィラーが、それぞれ0.05〜5重量%、1〜10重量
%および1〜10重量%添加され、無機質フィラーの外
層Cを構成する組成物への添加量が内層Aを構成する組
成物への添加量よりも多い前記(1)または(2)項記
載の農業用多層フィルム。 (4)中間層Bを構成する組成物に添加される防曇剤
が、下記式1で示される化合物とそれらの有機酸との中
和塩の群から選ばれた1種または2種以上である前記
(1)〜(3)項の何れか1項記載の農業用多層フィル
ム。
フィルムについて詳細に説明する。本発明の農業用多層
フィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(a)、エ
チレン−α−オレフィン共重合体(c)と(b1)、熱
可塑性樹脂(b)、防曇剤および無機質フィラーの何れ
か1種または2種以上を成分とする組成物から構成され
る3層以上の多層フィルムである。なお、本発明に関わ
る各層を構成する組成物の「主成分」とは、該組成物に
50重量%以上含まれた成分を指す。
の農業用多層フィルムにおいて内層Aを構成する組成物
に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(a)はエ
チレンと酢酸ビニルを公知の高圧ラジカル重合プロセス
により反応させて製造され、JIS K 7210によ
り測定されるメルトフローレート(以下MFRと称す
る)は0.1〜10g/10分、好ましくは0.5〜5g/10
分のものが使用される。MFRが0.5g/10分未満であ
るとフィルムの成形性、特に押出加工性、高速延伸性が
悪くなるおそれがあり、MFRが5g/10分を越えるとフ
ィルムの成形性、特にインフレーション成形におけるバ
ブルの安定性が欠ける場合がある。
ビニル含有量は2〜10重量%であり、2重量%未満で
は、得られる農業用多層フィルムの所期の防曇性、特に
低温時の防曇効果が得られず、防曇持続性も低下するこ
ととなる。また、10重量%を越える場合には、前記の
フィルム同志が密着したり、屋外に放置した際に太陽光
線により蓄熱し、フィルム同志が融着したりするおそれ
がある。
発明の農業用多層フィルムにおいて中間層Bおよび外層C
を構成する組成物の主成分として用いられるエチレン−
α−オレフィン共重合体(b1)および(c)、はエチ
レンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとのラン
ダム共重合体であり、メタロセン触媒のようなシングル
サイト触媒を用いて共重合される。
しては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセン、1-エイコセンなどが挙げられ、ランダム共重合
体中の前記α−オレフィンの含有割合は1〜45重量
%、好ましくは2〜35重量%である。
ルコニウム、ハフニウム、バナジウムなどの周期律表第
IV又はV族遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミ
ニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せが用い
られる。
個のシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニ
ル基、ヒドロカルビル珪素などによって架橋されたも
の、さらにシクロペンタジエニル基が酸素、窒素、燐原
子に架橋されたものを配位子とする公知のメタロセン化
合物をいずれも使用できる。
は、ジメチルシリル(2、4-ジメチルシクロペンタジエニ
ル)(3'、5'-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロライド、ジメチルシリル(2、4-ジメチルシクロ
ペンタジエニル)(3'、5'-ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ハフニウムジクロライドなどのケイ素架橋型メタロ
セン化合物、エチレンビスインデニルジルコニウムジク
ロライド、エチレンビスインデニルハフニウムジクロラ
イド、エチレンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジ
クロライド、エチレンビス(メチルインデニル)ハフニウ
ムジクロライドなどのインデニル系架橋型メタロセン化
合物を挙げることができる。
有機アルミニウム化合物としては、一般式−(Al
(R)O)n−で示される直鎖状、あるいは環状重合体
(Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲ
ン原子及び/又はRO基で置換されたものも含む。nは重合
度であり、5以上、好ましくは10以上である)であ
り、具体例としてRがそれぞれメチル、エチル、イソブ
チル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサ
ン、イソブチルエチルアルモキサンなどが挙げられる。
としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロ
ゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウ
ム、アルケニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアル
ミニウム、セスキアルキルハイドロアルミニウムなどが
挙げられる。
チオン成分であり、カルボニウムイオン、トロピリウム
カチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオ
ン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が
挙げられる。また、Yはイオン性化合物のアニオン成分
であり、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンと
なる成分であって、有機硼素化合物アニオン、有機アル
ミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオ
ン、有機燐化合物アニオン、有機砒素化合物アニオン、
有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられる。
とα−オレフィンの共重合方法としては公知の重合方法
が用いられ、気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法
などが挙げられる。
重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体の数平均
分子量は1×104〜100×104の範囲にあり、重量
平均分子量と数平均分子量の比であるQ値は1.5〜
3.5の範囲にあり、従来のチーグラーナッタ触媒のよ
うなマルチサイト触媒を用いて共重合した場合と比較し
て、分子量分布が狭く、α−オレフィンの高含有量のも
のも均一に重合され、ラメラ間のタイ分子が多い等の特
徴があることから、低分子量成分が少なく耐ブロッキン
グ性に優れ、透明性、耐衝撃性、強靱性に優れた特性を
有する。また、前記エチレン−α−オレフィン共重合体
の密度は、通常、0.870〜0.960g/cm3の範囲
にある。
間層Bを構成する組成物に用いられる熱可塑性樹脂
(b)は、単層フィルムとしたときの引張弾性率が、外
層Cを構成する組成物の主成分であるエチレン−α−オ
レフィン共重合体(c)を単層フィルムとしたときの引
張弾性率より大きい熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂
(b)から得られる単層フィルムの引張弾性率が、前記
のエチレン−α−オレフィン共重合体(c)から得られ
る単層フィルムの引張弾性率と比べて同等もしくは小さ
い場合、得られる農業用多層フィルムの強靭性が低くな
るおそれがある。
の高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密
度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂をはじめとし
て、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂が挙げられるが、中間層Bが内層Aおよび外層C
と積層される際の接着性の良さの点から、上述のシング
ルサイト触媒を用いて重合したエチレン−α−オレフィ
ン共重合体が好適に用いられる。
れるエチレン−α−オレフィン共重合体(b1)は、密
度(db1)が0.90〜0.94g/cm3である。密度
(db1)が0.90g/cm3未満の場合には、得られる単
層フィルムの引張弾性率が所期の値を達成しにくく、
0.94g/cm3を越える場合には、得られる農業用多層
フィルムの柔軟性が不十分である。
層Cを構成する組成物の主成分として用いられるエチレ
ン−α−オレフィン共重合体(c)の密度(dc)は
0.88〜0.92g/cm3であり、dcが0.88g/cm3
未満の場合には、製膜加工性が劣り、また、融点が低く
なるために太陽光線により蓄熱し融着する場合がある。
また、0.92g/cm3を越える場合には所期の柔軟性が
十分得られないおそれがある。また、前記dcとd
b1は、dc<db1の関係にある必要である。dc≧db1で
ある場合は、得られる多層フィルムの引張弾性率が同等
であっても柔軟性が劣ることから農業用ハウスとして気
密性が保たれず十分な保温性が得られない。また、フィ
ルムを畳んだりした場合に柔軟性がないことから嵩張っ
てしまい作業性が悪く、その輸送効率や保管効率の低下
を来すこととなる。
触媒により重合されたエチレン−α−オレフィン共重合
体(c)および(b1)は、190℃、2.16kgfの
荷重条件におけるMFRが0.2〜20g/10分の範囲の
ものがフィルム用として好適に用いられ、示差走査熱量
測定法(DSC)による融解ピークは2つ以上であって
も構わないが、フィルムの透明性及び強靱性を向上させ
るためには1つであることが望ましい。
おいて、中間層Bを構成する組成物には、防曇剤が1〜
10重量%添加される。1重量%未満では防曇性の持続
効果が十分ではなく、10重量%を越える場合には、フ
ィルム表面への吹き出しが多くなりフィルムが不透明と
なったり、製膜加工時に発泡するなどの問題が生じる。
なお、前記防曇剤は中間層Bだけでなく必要に応じ内層A
または内層Aと外層Cに添加しても構わない。
性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、
両性界面活性剤等から、防曇剤のエステル化度、アルキ
ル基の鎖長、アルキレンオキサイドの付加モル数、また
はそれらの純度を変化させることによって得られるもの
が挙げられる。それらの例としてソルビタンモノラウレ
ート、ジグリセリンセスキラウレート、グリセリンモノ
オレート等の多価アルコールの部分カルボン酸エステル
類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレート等の多価アル
コールの部分カルボン酸エステルのポリオキシエチレン
誘導体、アミン類および脂肪酸アミド類が挙げられる。
その中でも下記式1で表される化合物とそれらの有機酸
との中和塩が好適に用いられ、特に、本発明の農業用多
層フィルムにおいて低温時に優れた防曇性の発現と持続
性を示すことが明らかとなった。
オキシエチレン(8モル)ステアリルアミン、ポリオキ
シエチレン(2モル)ラウリルアミン、ポリオキシエチ
レン(2モル)牛脂アミン等のアミン化合物、ポリオキ
シエチレンラウリルアミド、ポリオキシエチレンステア
リルアミド等のアミド化合物、およびこれらアミン化合
物およびアミド化合物とラウリン酸、ステアリン酸、ベ
ヘニン酸、オレイン酸等の脂肪酸との脂肪酸エステルが
挙げられる。また、有機酸としてはカルボン酸、スルホ
ン酸、フェノールカルボン酸等があり、中でもカルボン
酸が該化合物との反応性および安定性の点で好ましい。
具体的には、ラウリル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、
オレイン酸および安息香酸等を挙げることができる。こ
れらの防曇剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて
用いられる。
ィルムにおいては、内層A、中間層Bおよび外層Cを構成
する組成物に無機質フィラーを添加することが好まし
い。一般に農業用フィルム分野においては、無機質フィ
ラーは、保温性能を付与する目的とフィルム同志の密着
性を改良する目的で使用されるが、防曇性の発現および
防曇持続性をコントロールすることができる。本発明の
農業用多層フィルムにおいて外層Cを構成する組成物へ
の無機質フィラーの添加量は、内層Aを構成する組成物
への無機質フィラーの添加量よりも多いことが望まし
く、これにより防曇剤や防霧剤が外層Cの表面に析出し
難くなり、防曇性や防霧性の持続性が伸びることとな
る。
ィラーの添加量は0.05〜5重量%が好ましく、添加
量が0.05重量%未満では、防曇剤や防霧剤が速やか
に内層Aの表面に移行するため防曇性や防霧性の持続性
が十分でなく、5重量%を越えると防曇剤や防霧剤の移
行が不十分で防霧性の持続性の発現が十分でなくなる。
中間層Bおよび外層Cを構成する組成物に対する無機質フ
ィラーの添加量はそれぞれ1〜10重量%が好ましく、
添加量が1重量%未満では、防曇剤や防霧剤を保持しに
くいため防曇性や防霧性の持続性が不十分であり、10
重量%を越えると機械物性の低下や透明性の低下を招く
おそれがある。
8830に準じて測定されるBET比表面積が5〜5
0m2/g、好ましくは5〜20m2/gのものが好適に
用いられる。BET比表面積が50m2/gを越える場
合は、防曇剤や防霧剤を吸着してしまい所期の防曇性能
や防霧性能が得られないこととなる。また、5m2/g
未満の場合にはフィラーへの吸着が低下することからフ
ィルム表面への防曇剤や防霧剤の移行が速やかに進み、
フィルムがべたついたり、防曇性や防霧性の持続性が不
十分となる。
酸化珪素、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸
カルシウム等の珪酸化合物、アルミノ珪酸カルシウム、
アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム等のア
ルミノ珪酸化合物、アルミナ、アルミン酸ナトリウム、
アルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウム等のアルミ
ン酸化合物、炭酸カルシウム、下記式2や式3で示され
るリチウム・アルミニウム複合水酸化物塩や下記式4で
示されるハイドロタルサイト類が挙げられ、これらは、
単独もしくは2種以上の組み合わせで用いられる。
る数、xは0≦x<1の範囲にある数、yは2≦y≦4
の範囲にある数を示す。)
選ばれた少なくとも1種の2価金属イオンを示し、An-
はn価のアニオン、xおよびmは次の条件、0<x<
0.5、0≦m≦2を満足する。)
ムにおいて、内層A、中間層Bおよび外層Cを構成する
組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で各種の物
質を添加しても構わない。製膜加工性を向上させるため
に各層を構成する組成物中へ高圧法低密度ポリエチレン
等の公知の熱可塑性樹脂を添加することが出来る。ま
た、柔軟性を向上させるためにシングルサイト触媒や公
知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾
性共重合体、エチレンープロピレン弾性共重合体、スチ
レン−ブタジエン系弾性共重合体等の弾性共重合体を添
加しても構わない。更に、通常農業用フィルムに用いら
れている公知のヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収
剤、防霧剤(フッ素系界面活性剤)、帯電防止剤、滑
剤、酸化防止剤、熱安定剤、抗菌剤、色素・着色剤など
を配合することができる。
用する場所や耐用年数等により異なるが、一般的に0.
05〜0.3mm程度のものが好適に用いられる。内層
の厚みTa、中間層の厚みTbおよび外層の厚みTcは特
に限定されるものではないが、Ta:Tb:Tcは、1
〜5:1〜5:1〜5の範囲が好ましい。
ーション法もしくはTダイ法等の公知の技術により製造
することができ、製造後に防曇性の発現効果を向上させ
る目的でコロナ放電処理を施しても構わない。また、中
間層Bの他に、保温性を付与した中間層D、防曇性を向
上させるための中間層E、再生原料を入れた中間層Fな
どを積層した4層以上の多層フィルムであっても構わな
い。更に、防塵塗布剤や防曇塗布剤等を塗布・乾燥し、
表面に塗布膜を形成させても構わない。本発明の農業用
多層フィルムは、透明でも、梨地でも、半梨地であって
もいずれでも良く、農業用ハウス(温室)、トンネル等
の被覆用以外のマルチング用、袋掛け用等の用途に使用
しても良い。
明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定さ
れるものではない。なお、実施例および比較例における
農業用多層フィルムの評価は、下記のように実施した。
D 882に準拠しフィルムサンプルの縦方向と横方向
の引張弾性率を測定し、両者の平均値を示した。 2)引張強さ;JIS K 7113に準拠し縦方向と
横方向の引張破断強さを測定し、両者の平均値を示し
た。 3)柔軟性;幅10mm×長さ100mmのサンプルを
用い、サンプル長さ方向の端部から中央までの50mm
を水平に支持し、残りの50mmを自由状態とし、支持
部端部からサンプル先端までの水平方向の距離を測定
し、柔軟性の指標とした。該水平方向の距離が短くなる
ほど柔軟性が向上していることを示す。 4)低温防曇性;傾斜10度、直径7.6cmの天窓を有
するウォーターバスを使用し、該ウォーターバスの天窓
にフィルムサンプルを固定し、環境温度23℃、水温4
5℃の条件下で12日間放置後、環境温度5℃、水温1
5℃の条件下で2日間放置し、サンプルのウォーターバ
ス側表面の防曇性を5段階基準にて目視判定し、低温防
曇性を評価した。5段階の数字が大きい程、低温防曇性
に優れる。 <低温防曇性 評価基準> 評価5:水滴の付着がなく均一な水膜を形成。 評価4:水滴の付着が15%未満である。 評価3:水滴の付着が40%未満である。 評価2:水滴の付着が65%未満である。 評価1:水滴の付着が65%以上である。 5)防曇持続性;傾斜10度、直径3インチの天窓を有
するウォーターバスを使用し、該ウォーターバスの天窓
に実施例および比較例で得られたフィルムサンプルを固
定し、環境温度23℃、水温45℃の条件下で昼夜放置
し、防曇性が維持された期間を目視評価した。日数が長
い程、防曇持続性が良いことを示す。
なお、S-LLDPEはシングルサイト触媒により重合された
エチレン−α−オレフィン共重合体、M-LLDPEはマルチ
サイト触媒により重合されたエチレン−α−オレフィン
共重合体を示す。 ユメリット(商標) 1520F 宇部興産(株)製 ・シンク゛ルサイト触媒系エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(S-LLDPE) ・MFR;2.0g/10min.、密度;0.913g/cm3、引張弾性率;
1300kgf/cm2 ユメリット(商標) 0540F 宇部興産(株)製 ・シンク゛ルサイト触媒系エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(S-LLDPE) ・MFR;4.0g/10min.、密度;0.904g/cm3、引張弾性率;
800kgf/cm2 UBEポリエチレン R500 宇部興産(株)製 ・高圧法低密度ホ゜リエチレン(LDPE) ・MFR0.5g/10min.、密度0.922g/cm3、引張弾性率;2500
kgf/cm2 NUC3270 日本ユニカー(株)製 ・エチレン酢酸ヒ゛ニル共重合体樹脂(酢酸ヒ゛ニル含有量7.5%)(EV
A) ・MFR;2.3g/10min.、密度;0.925g/cm3、引張弾性率;
1300kgf/cm2 ウルトラセン(商標) 630 東ソー(株)製 ・エチレン酢酸ヒ゛ニル共重合体樹脂(酢酸ヒ゛ニル含有量15%)(EVA) ・MFR;1.5g/10min.、密度;0.936g/cm3、引張弾性率;
570kgf/cm2 ニポロン−L(商標) FR151A 東ソー(株)製 ・マルチサイト触媒系エチレン-α-オレフィン共重合体樹脂(M-LLDPE) ・MFR;0.9g/10min.、密度;0.924g/cm3、引張弾性率;
2800kgf/cm2 チッソ ポリプロ(商標) FM414 チッソ(株)
製 ・ホ゜リフ゜ロヒ゜レン(PP) ・MFR8.0g/10min.、密度0.90g/cm3、引張弾性率5200kgf
/cm2
は、下記条件にて測定を実施した。 1)MFR;JIS K 7210に準じて〜まで
のエチレン系共重合体樹脂は190℃、2.16kgfの
条件で、また、のポリプロピレン系組成物は230
℃、2.16kgfの条件で測定した。 2)密度;JIS K 7112に準じて測定した。 3)引張弾性率(ヤング率);40mmφ単層インフレー
ション製膜装置を用い、押出温度180℃、ブロー比
1.5、製膜速度15m/分の条件で成形された厚み50
μmのフィルムの縦方向の引張弾性率をASTM D
882に従い測定した。
を用い、成形温度190℃、ブロー比2.5にて、0.
1mm厚の多層フィルムを成形した。各多層フィルムの
配合例と評価結果を表1〜3に示す。
の内容以外として、外層Cにヒンダードアミン系耐候剤
0.5重量%、紫外線吸収剤0.05重量%、フェノー
ル系安定剤0.1重量%、リン系安定剤0.1重量%、
アンチブロッキング剤0.05重量%を、中間層Bには
ヒンダードアミン系耐候剤0.5重量%、紫外線吸収剤
0.05重量%、フッ素系界面活性剤0.2重量%、フ
ェノール系安定剤0.1重量%、リン系安定剤0.1重
量%を、内層Aにはヒンダードアミン系耐候剤0.5重
量%、紫外線吸収剤0.05重量%、フッ素系界面活性
剤0.2重量%、フェノール系安定剤0.1重量%、リ
ン系安定剤0.1重量%、アンチブロッキング剤0.0
5%を添加した。
けでなく、柔軟性に優れることから展張・回収作業性や
輸送・保管効率の向上が図れ、ハウスの気密性向上によ
る保温性向上が図れる。また、ハウス内面側の内層をエ
チレン−酢酸ビニル共重合体とし、更に、特定の無機質
フィラーと特定の防曇剤を用いることにより、これまで
低温高湿度の特定条件の環境下で懸念されていた防曇性
不良を解消することが可能となったことから、ハウスや
トンネル等の農業用被覆資材として好適に用いることが
できる。
Claims (4)
- 【請求項1】少なくとも内層A、中間層Bおよび外層C
で構成された農業用多層フィルムであって、内層Aが、
酢酸ビニル含有量2〜10重量%であるエチレン−酢酸
ビニル共重合体(a)を主成分とした組成物から構成さ
れ、外層Cが、シングルサイト触媒を用いて重合された
密度(dc)0.88〜0.92g/cm3のエチレン−α−
オレフィン共重合体(c)を主成分とした組成物から構
成され、中間層Bが、単層フィルムとしたときの引張弾
性率が前記エチレン−α−オレフィン共重合体(c)を
単層フィルムとしたときの引張弾性率より大きい熱可塑
性樹脂(b)を主成分とし防曇剤1.0〜10重量%が
添加された組成物から構成された農業用多層フィルム。 - 【請求項2】中間層Bを構成する組成物の主成分である
熱可塑性樹脂がシングルサイト触媒を用いて重合された
密度(db1)0.90〜0.94g/cm3のエチレン−α
−オレフィン共重合体(b1)であって、かつ、db 1>
dcである請求項1記載の農業用多層フィルム。 - 【請求項3】内層A、中間層Bおよび外層Cを構成する
組成物に対し、BET比表面積が5〜50m2/gの無
機質フィラーが、それぞれ0.05〜5重量%、1〜1
0重量%および1〜10重量%添加され、無機質フィラ
ーの外層Cを構成する組成物への添加量が内層Aを構成
する組成物への添加量よりも多い請求項1または請求項
2記載の農業用多層フィルム。 - 【請求項4】中間層Bを構成する組成物に添加される防
曇剤が、下記式1で示される化合物とそれらの有機酸と
の中和塩の群から選ばれた1種または2種以上である請
求項1〜3の何れか1項記載の農業用多層フィルム。 【化1】
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---|---|---|---|---|
JP2004255808A (ja) * | 2003-02-27 | 2004-09-16 | Chisso Corp | 農業用熱可塑性樹脂多層フィルム |
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