JP2000296575A - ガスバリア材およびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア材およびその製造方法

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JP2000296575A
JP2000296575A JP11108580A JP10858099A JP2000296575A JP 2000296575 A JP2000296575 A JP 2000296575A JP 11108580 A JP11108580 A JP 11108580A JP 10858099 A JP10858099 A JP 10858099A JP 2000296575 A JP2000296575 A JP 2000296575A
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gas
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inorganic compound
layer
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Tetsuya Niijima
哲也 新島
Takashi Miyamoto
隆司 宮本
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無機化合物やPVDCをガスバリア層として用
いたガスバリア材と比べて、十分なガスバリア性を有
し、さらに引っ張り等の応力による変形に対するクラッ
クの発生を抑制しガスバリア性を維持することのできる
ガスバリア材およびその製造方法を提供する。 【解決手段】高分子樹脂組成物からなる基材の少なくと
も片面上に設けた金属酸化物を主成分とする無機化合物
からなるガスバリア層の厚さ方向に、有機化合物が均一
に分布し、無機と有機複合体を形成したガスバリア材を
用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品や医薬品等の
包装に適した酸素および水蒸気の透過に対して高度のガ
スバリア性と可撓性を併せ持ったガスバリア材およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、包装材料としては内容物の保存の
ためにガスバリア性が重要であり、酸素や水蒸気に対す
るガスバリア性を備えた包装材料として、アルミ箔やポ
リ塩化ビニリデン( 以下PVDCと称す) コートが使わ
れてきた。
【0003】しかしアルミ箔は優れたガスバリア性を持
つものの、不透明であるため内容物の確認ができない、
内容物の金属探知器による検査が出来ない、マイクロ波
が通らないため電子レンジ食品等には使えない、焼却過
程で溶融し炉底にたまって炉を傷めるといった多くの問
題点があった。
【0004】PVDCは透明であるもののガスバリア性
が不十分であるうえに、塩素を分子内に含有することか
ら、その焼却過程で有毒な塩素系ガスを排出するため環
境衛生上好ましくなく、かつ塩素ガスによって焼却炉の
腐食等をもたらす問題もあった。
【0005】上記両者の問題点を解決するものとして、
最近では金属酸化物等からなる無機化合物をガスバリア
層として高分子樹脂基材上に設けたガスバリア材が開発
されている。しかし、これらはアルミ箔に比べて透明で
あるが、ガスバリア性が不十分であること、また、引っ
張り等の応力が加わると無機化合物層に割れ(クラッ
ク)が発生することからガスバリア性が低下し、ガスバ
リア材としての用途が制限されていた。
【0006】これらの欠点を補うため、特開平7−16
4591号公報に記載されるように、高分子樹脂基材に
無機化合物からなる真空蒸着層を第1層とし、水溶性高
分子と(a)1種以上のアルコキシドまたは/およびそ
の加水分解物または(b)塩化錫の少なくとも一方を含
む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とす
るコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリ
ア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とする
ガスバリア性積層フィルムが開示されている。
【0007】無機化合物層上にガスバリア性を持つ有機
化合物層を積層することによって、ガスバリア性が向上
し、さらに可撓性も若干向上する。しかしこの方法によ
っても可撓性は不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
ような問題点を解決するものであり、その課題とすると
ころは、無機化合物やPVDCをガスバリア層として用
いたガスバリア材と比べて、十分なガスバリア性を有
し、さらに引っ張り等によるクラックの発生を抑制しガ
スバリア性を維持することのできるガスバリア材および
その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記の手段
によって解決できる。
【0010】請求項1記載の発明は、基材の少なくとも
片面上にガスバリア層を設けた積層型ガスバリア材にお
いて、前記ガスバリア層が、金属酸化物を主成分とする
無機化合物層中に有機化合物が均一に分散されたもので
あることを特徴とするガスバリア材である。
【0011】緻密で高いガスバリア性を有するが可撓性
に欠ける無機化合物に、有機化合物を均一に分散させる
ことによって高度のガスバリア性と可撓性を併せ持つガ
スバリア材を提供することができる。
【0012】ここで有機化合物を均一に分布せしめるこ
とによって、可撓性のない部分を無くし、その部分にお
ける応力集中による破壊が起きないようになり、ガスバ
リア材としての性能の低下を防ぐことができる。
【0013】また、請求項2記載の発明は、前記有機化
合物が重合性有機化合物であり、前記無機化合物層中で
重合されたものであることを特徴とするガスバリア材で
ある。重合性有機化合物を無機化合物層中で重合させる
ことで、無機化合物層中に有機化合物が分散されたガス
バリア層を設けることができる。
【0014】また、請求項3記載の発明は、前記無機化
合物層の形成と、その中への重合性有機化合物の分散、
重合とを逐次的に行うことを特徴とする。
【0015】また、請求項4記載の発明は、前記無機化
合物の形成が、非酸化性ガスを含む雰囲気中での真空蒸
着によって行われることを特徴とするガスバリア材の製
造方法である。真空蒸着は緻密な無機化合物層を形成す
るに適する方法であるが、層の形成が非酸化性ガスを含
む雰囲気中で行われることによって無機化合物層中に有
機化合物を分散させることの出来る微細な空隙(以下ポ
アと言う)が形成される。
【0016】また、請求項5記載の発明は、前記非酸化
性ガスがヘリウムガスであることを特徴とするガスバリ
ア材の製造方法である。ガス分子径が小さく、不活性で
あるヘリウムガスを用いることで、該無機化合物層中に
形成されるポアの大きさや数(量)の制御を容易にした
ものである。
【0017】また、請求項6記載の発明は、前記重合性
有機化合物の前記無機化合物層中での重合が放射線照射
によって行われることを特徴としたガスバリア材の製造
方法である。熱重合と比べ、希釈剤を必要としない無溶
剤系である、オーブン乾燥を必要とする熱重合に比べ作
業面積を大幅に縮小できるといった利点がある。
【0018】また、請求項7記載の発明は、前記放射線
照射が、電子線照射であることを特徴とするガスバリア
材の製造方法である。放射線照射手段の中でも、電子線
照射は、重合速度が速く重合開始剤を必要としないため
重合物中の不純物の残留を抑えることができる。さらに
基材、無機化合物層にかかる熱も少なく、変質、変形を
防ぐことができる重合手段でもある。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0020】本発明において使用される基材は、例えば
高分子樹脂基材が用いられるが、分子量などは何ら具体
的に問うものではなく、原理的には樹脂でなくとも適用
可能である。また、透明基材の他、半透明基材などの
他、遮断性質のものでも本発明は原理的には適用可能で
ある。
【0021】ガスバリア材の使用目的、被包装物の物
性、特性、経済性等から適宜選択することができる。具
体的にはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコー
ル、セルロース、ポリアクリレート、ポリウレタン、セ
ロハン、ポリエチレンテレフタレート、アイオノマー等
の延伸または未延伸の樹脂フィルムを挙げることができ
る。
【0022】このような基材の厚みはガスバリア材の使
用目的、製造時の安定性等から適宜設定することができ
るが、例えば5〜100μm程度とすることができる。
また、この高分子樹脂基材の表面に、ガスバリア層との
密着性を良くするための前処理として、コロナ処理、低
温プラズマ処理、イオンボンバード処理等が施されてい
ても良く、更に薬品処理、溶剤処理等が施されていても
よい。
【0023】上記のような透明な高分子樹脂からなる基
材上に、まず金属酸化物を主成分とする無機化合物層を
付着させる。
【0024】金属酸化物としては珪素酸化物、カルシウ
ム酸化物、マグネシウム酸化物、アルミニウム酸化物の
中から任意に選択することができる。これらの金属酸化
物をドライコーティングする方法として、真空蒸着法、
スパッタリング法、プラズマCVD法等が用いられる。
【0025】中でも真空中で金属もしくは金属酸化物を
加熱し蒸発させ基材に付着させる真空蒸着法は、成膜速
度が速く生産性に優れた方法である。さらに、成膜過程
において本来不活性ガスを必要としない方法であるた
め、空隙形成だけを目的として不活性ガスを導入するこ
とができる。真空蒸着法における加熱方式は抵抗加熱、
誘導加熱、電子線加熱などがあり、蒸着材料および目的
に応じて適宜選択できる。
【0026】本発明における真空蒸着法によって形成さ
れる金属酸化物層はその構造中にポアを均一に有するも
のであり、ポアの形成方法は広範囲に選択が可能であ
る。しかし次工程で、重合性有機化合物によってこのポ
アを埋めることを考慮すると、このポア表面の化学的反
応性がよい方が好都合である。そのため、ポアを有する
金属酸化物層の形成を不活性ガス雰囲気中、なかでも分
子径が小さいヘリウムガス雰囲気中で行うことが特に好
ましい。
【0027】一例として、高分子樹脂基材の少なくとも
片面上に作製されたアルミニウム酸化物層に分散させる
には多くの手段が利用可能であり、例えばグラビアロー
ルコーター、流延、スプレー等の手段をあげることがで
きる。この他に前記重合性有機化合物を気化させて吹き
付け金属酸化物中に凝縮させる方法でも良い。塗布する
手段は重合性有機化合物の物性によって任意に選択する
ことが出来る。このように塗布された重合性有機化合物
がアルミニウム酸化物層内に設けられたポアに浸透す
る。
【0028】塗布後の重合性有機化合物は、製造後の物
性の安定性等から、重合固化させることが望ましい。重
合させる方法としては、熱重合、反応性重合、プラズマ
重合、紫外線または電子線を使用する放射線照射による
重合を含む様々な方法があり、重合性有機化合物の物性
や、経済性などから適宜選択することができる。
【0029】この中で放射線重合は、希釈剤を必要とし
ない無溶剤系であること、オーブン乾燥を必要とする熱
重合に比べ作業面積を大幅に縮小できるといった利点が
ある。さらに放射線照射の中でも電子線照射は、重合開
始剤を必要としない、硬化速度が速く生産性に優れる、
高分子樹脂基材、無機化合物層に与える熱が少なく、変
質、変形と言った熱ダメージを最小限に抑えられるとい
った利点がある。
【0030】電子線照射に用いる装置としては250k
V以下の加速電圧で電子線を取り出すことができる装置
が望ましい。250kVを超えるような加速電圧では電
子線のエネルギーが高すぎ、X線が大量に発生し、装置
に大規模のシールドを設ける必要が生じる。また照射に
よる電子線の到達深度が深く、高分子樹脂基材に達し基
材組成の変質を引き起こす。特にガスバリア層が薄い場
合はこの深度が深く基材の変質は顕著となる。
【0031】電子線照射においては照射雰囲気中に酸素
が存在すると、オゾンが発生し、被照射物表面における
反応が阻害されるため、窒素等の不活性ガスによって照
射雰囲気を置換することが望ましい。
【0032】重合性有機化合物としてはアクリル樹脂
系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹
脂系等の各々モノマー、オリゴマーから任意のものを選
ぶことが可能であり、更に複数種類を混合して用いても
よい。なかでも重合速度およびポアへ埋め込むことを考
慮するとアクリレートモノマーが本発明の用途に適して
いる。
【0033】アクリレートモノマーとしては単官能アク
リレートとして例えばイソアミルアクリレート、ラウリ
ルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエ
チルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール、
メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート、メト
キシ−ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシ
ジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチ
ルアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール
アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、
イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等があ
げられる。
【0034】二官能アクリレートとしては例えばトリエ
チレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリ
コールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアク
リレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、
ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1.6−
ヘキサンジオールジアクリレート、1.9−ノナンジオ
ールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカン
ジアクリレート等があげられる。
【0035】その他にも多官能アクリレートとしてトリ
メチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート等をあげることができる。
【0036】上記のようなアクリレートモノマーを適宜
選び、無機化合物からなるガスバリア層内に埋め込み、
電子線照射によって重合させる。モノマーは1種類であ
る必要はなく、2種類以上のモノマーの混合物であって
も良い。有機化合物がガスバリア層上および/または基
材とガスバリア層との間に存在してもよいが、本発明に
おいて重要なことは、真空蒸着によって作られた無機化
合物層中のポアに重合性有機化合物が浸透し重合される
ことによって、無機化合物層中に有機化合物が均一に分
散されたガスバリア層が形成されていることである。
【0037】次に本発明のガスバリア材の製造方法を図
面を用いて説明する。図1は、本発明のガスバリア材の
製造方法に使用する真空蒸着装置1の一例を示したもの
である。真空蒸着装置1は、巻き出し巻き取り室2、真
空蒸着室3、周辺の原料ガス供給部4からなる。
【0038】更に詳しくは真空蒸着装置1内に巻き出し
ロール5、巻き取りロール6、冷却ロール7、補助ロー
ル8、遮蔽板9、坩堝10、電子ビーム発生部11、偏
向コイル12、ガス供給パイプ13、酸素ガスボンベ1
4、非酸化性ガスボンベ15、酸素ガス流量調整器1
6、非酸化性ガス流量調整器17、ガス混合器18、巻
き出し巻き取り室用真空ポンプ19、真空蒸着室用真空
ポンプ20からなる。
【0039】上記真空蒸着装置1において遮蔽板9によ
り巻き出し巻き取り室2と真空蒸着室3に分け、それぞ
れ巻き出し巻き取り室用真空ポンプ19、真空蒸着室用
真空ポンプ20により所定の真空度に設定できる。これ
らの真空度は独自の値で制御できるが同一の真空度であ
ってもよい。
【0040】上記のような真空蒸着装置1の巻き出しロ
ール5に高分子樹脂基材の原反を装着し、補助ロール
8、冷却ロール7、補助ロール8、を介して巻き取りロ
ール6に至る原反搬送パスを形成する。真空蒸着装置1
内を巻き出し巻き取り室用真空ポンプ19および真空蒸
着室用真空ポンプ20により減圧して、巻き出し巻き取
り室2、真空蒸着室3ともに真空度10-2Torr以
上、好ましくは真空度10 -4Torr以上とする。
【0041】次に電子ビーム発生部11から電子線を坩
堝10内の蒸着原料に照射して原料表面を蒸気化させ
る。アルミニウム酸化物の真空蒸着における蒸着原料と
しては金属アルミニウム、アルミニウム酸化物のいずれ
を用いることも可能である。
【0042】金属アルミニウムを蒸着原料として用いた
場合には、ガス供給パイプ13から酸素ガスとヘリウム
等の非酸化性ガスとの混合ガスを真空蒸着室3へ供給す
る。またアルミニウム酸化物を直接蒸着原料として用い
た場合には、ガス供給パイプ13からは非酸化性ガスの
みを供給する。
【0043】図1は金属アルミニウムを蒸着原料として
用いた場合の図である。酸素ガスボンベ14および非酸
化性ガスボンベ15からそれぞれの流量調整器16、1
7やガス混合器18、ガス供給パイプ13を通じて真空
蒸着室3に供給する。
【0044】供給する酸素ガスの量はアルミニウム酸化
物の厚さ、酸化度等の成膜条件によって異なり、非酸化
性ガスの種類と量は、目的とするポアの数、大きさ、巻
き取り速度および用いる真空蒸着装置等によって異なっ
てくる。しかしポアの作製に用いる非酸化性ガスとして
は、ポアの大きさ、数の制御の容易さから、ガス分子径
の小さいヘリウムガスが最も適している。
【0045】真空蒸着室3に供給する酸素ガス量は、蒸
着原料である金属アルミニウムの蒸発速度に対し酸素ガ
ス量が、O2 /Alモル比換算で0.15〜0.75、
またヘリウムガス量は、ヘリウムガス/Alモル比換算
で0.08〜0.5であることが望ましい。
【0046】酸素ガス比が小さいと金属アルミニウムの
酸化度が低く着色が顕著となり、反対に酸素ガス比が大
きいとアルミニウム酸化物層中に過剰な酸素ガス分子に
よって大きなポアが増加し、有機化合物による穴埋めが
不十分となってガスバリア性、可撓性ともに十分な効果
が発揮できなくなる場合がある。
【0047】またヘリウムガス比が小さいとアルミニウ
ム酸化物層中に有効なポアを形成できない場合が生じ
る。反対にヘリウムガス比が大きいとポアの数、大きさ
が過剰になり、有機化合物による穴埋めが十分行えず、
ガスバリア性を持たない。
【0048】前記のようにして作製されたアルミニウム
酸化物ガスバリア層に、重合性有機化合物を塗布し、ポ
ア内に浸透させる。塗布した重合性有機化合物の一部が
ガスバリア層上に残り有機化合物層を形成し、ガスバリ
ア層と有機化合物が積層されていてもよい。この有機化
合物層は次工程の電子線照射によって重合させるため、
電子線照射に適する厚さであることが望ましく、例えば
0.01〜10μmとすることができるが、必ずしもこ
の範囲である必要はない。
【0049】重合性有機化合物の塗布後、アルミニウム
酸化物層上に塗布された層とともに、ポア内に浸透した
重合性有機化合物を、電子線照射により重合させること
で、目的とするガスバリア材を得ることができる。
【0050】
【実施例】次に本発明を実施例により、具体的に説明す
る。
【0051】<実施例1>図1に示すように、高分子樹
脂基材として厚み12μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム原反を、真空蒸着装置1の巻出しロール5に
装着した。次に真空蒸着装置1のチャンバー内を1×1
-5Torrまで減圧した。
【0052】続いて電子ビーム発生部11に15kWの
電力を供給して電子ビームを発生させ、偏向コイル12
を用いて、坩堝10内の蒸発材料であるアルミニウムに
照射して蒸発させた。
【0053】この時ガス供給パイプ13を通じてアルミ
ニウムの酸化剤として酸素を、アルミニウム蒸発速度に
対し0.40の割合で、およびポア作成のためにヘリウ
ムを0.15の割合で導入し、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムを速度2m/秒で搬送して、この蒸着雰囲
気中にさらすことによって、ポアを含むアルミニウム酸
化物の薄膜を高分子樹脂基材上に形成した。
【0054】上記で得られたポアを含むガスバリア層上
に、重合性有機化合物としてトリエチレングリコールジ
アクリレートをグラビアコーターを用いて20m/分で
搬送しながら塗布し、アルミニウム酸化物層中に重合性
有機化合物を浸透させた。
【0055】重合性有機化合物塗布に連続して、電子線
照射を行った。照射条件は加速電圧150kV、電子電
流10mAであった。大気中の酸素による重合阻害を防
ぐため窒素を導入し窒素雰囲気下で照射した。
【0056】<実施例2>ヘリウムガス導入量をアルミ
ニウム蒸発速度との比で0.40としたこと以外は実施
例1と同条件でガスバリア材を作成した。
【0057】<比較例1>ヘリウムガスを導入しないこ
と以外は実施例1と同じ条件でガスバリア材を作成し
た。
【0058】<比較例2>重合性有機化合物を塗布しな
いこと以外は実施例1と同じ条件でガスバリア材を作成
した。
【0059】<比較例3>重合性有機化合物を塗布しな
いこと以外は実施例2と同じ条件でガスバリア材を作成
した。
【0060】<比較例4>重合性有機化合物を塗布しな
いこと以外は比較例1と同じ条件でガスバリア材を作成
した。
【0061】上記実施例1、2および比較例1〜4で得
られたガスバリア材について、以下の評価を行い、その
結果を表1に示した。
【0062】[評価方法] 酸素バリア性・・温度30℃、湿度70%RHの雰囲気
下で、Mocon Oxtran10/50A酸素ガス
透過度測定装置(モダンコントロール社製)にて測定
し、酸素透過度とした。
【0063】水蒸気バリア性・・温度40℃、湿度90
%RH雰囲気下で、Mocon PermatranW
6水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製)に
て測定し、水蒸気透過度とした。
【0064】可撓性・・ガスバリア材の試料を長さ40
cm、幅14cmに切り出し、長さ方向に定速で所定の
歪み(3%、6%)まで引っ張った後、元に戻して酸素
バリア性、水蒸気バリア性を透過度として測定した。
【0065】なお、表中の酸素透過度の単位は、cc/
2 ・day・atm、水蒸気透過度の単位は、g/m
2 ・dayである。
【0066】
【表1】
【0067】この表に示すように、本発明によって示さ
れたガスバリア材は金属酸化物からなる無機化合物層中
に重合性有機化合物が浸透し重合することで無機と有機
複合体を形成しているため、比較例に示されるガスバリ
ア材に比べ、初期のガスバリア性に優れさらに所定の歪
みまで引っ張った後のガスバリア性に優れ十分な可撓性
を示すことが確認された。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、高分子樹脂基材の少な
くとも片面に設けた金属酸化物を主成分とする無機化合
物からなるガスバリア層の厚さ方向に、重合性有機化合
物が均一に分布し、無機と有機複合体を形成しているこ
とにより、ガスバリア性が向上すると共に無機化合物の
脆さを克服できることから引っ張り等による変形に対し
てもクラックの発生を抑制し、ガスバリア性を維持する
ことのできるガスバリア材およびその製造方法を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポアを有するアルミニウム酸化物蒸着
層の形成に関わる真空蒸着装置を説明する部分断面説明
図である。
【符号の説明】
1……真空蒸着装置 2……巻き出し巻き取り室 3……真空蒸着室 4……原料ガス供給部 5……巻き出しロール 6……巻き取りロール 7……冷却ロール 8……補助ロール 9……遮蔽板 10…坩堝 11…電子ビーム発生部 12…偏向コイル 13…ガス供給パイプ 14…酸素ガスボンベ 15…非酸化性ガスボンベ 16…酸素ガス流量調整器 17…非酸化性ガス流量調整器 18…ガス混合器 19…巻き出し巻き取り室用真空ポンプ 20…真空蒸着室用真空ポンプ
フロントページの続き Fターム(参考) 3E067 AB01 AB81 BB14A BB15A BB16A BB22A BB25A CA04 CA11 EE32 4F100 AA01B AA17B AA19 AB10 AH00B AH00H AK01B AK25 AK25K AK42 AR00B AT00A BA02 EA061 EH112 EH662 EJ532 EJ592 EJ602 GB23 JD02 JD02B JK03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の少なくとも片面上にガスバリア層を
    設けた積層型ガスバリア材において、前記ガスバリア層
    が、金属酸化物を主成分とする無機化合物層中に有機化
    合物が均一に分散されたものであることを特徴とするガ
    スバリア材
  2. 【請求項2】前記有機化合物が重合性有機化合物であ
    り、前記無機化合物層中で重合されたものであることを
    特徴とする請求項1記載のガスバリア材
  3. 【請求項3】前記無機化合物層の形成と、その中への重
    合性有機化合物の分散、重合とを逐次的に行うことを特
    徴とするガスバリア材の製造方法
  4. 【請求項4】前記無機化合物層の形成が、非酸化性ガス
    を含む雰囲気中での真空蒸着によって行われることを特
    徴とした請求項3記載のガスバリア材の製造方法
  5. 【請求項5】前記非酸化性ガスがヘリウムガスであるこ
    とを特徴とする請求項3、4何れか記載のガスバリア材
    の製造方法
  6. 【請求項6】前記重合性有機化合物の前記無機化合物層
    中での重合が放射線照射によって行われることを特徴と
    した請求項3記載のガスバリア材の製造方法
  7. 【請求項7】前記放射線照射が、電子線照射であること
    を特徴とする請求項3から7何れか記載のガスバリア材
    の製造方法
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