JP2000295991A - 新規ポリペプチドおよびそのdna - Google Patents

新規ポリペプチドおよびそのdna

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JP2000295991A
JP2000295991A JP11104081A JP10408199A JP2000295991A JP 2000295991 A JP2000295991 A JP 2000295991A JP 11104081 A JP11104081 A JP 11104081A JP 10408199 A JP10408199 A JP 10408199A JP 2000295991 A JP2000295991 A JP 2000295991A
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polypeptide
dna
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Yasuaki Ito
康明 伊藤
Kazunori Nishi
一紀 西
Kazuhiro Oogi
和宏 大儀
Shoichi Okubo
尚一 大久保
Shinichi Mogi
伸一 茂木
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】新規ポリペプチド、ポリペプチドの新規用途提
供。 【解決手段】新規ポリペプチドおよびそれをコードする
DNA、該DNAを含有する組換えベクター、形質転換
体、該タンパク質の製造法、該タンパク質もしくはDN
A含有してなる医薬、該タンパク質に対する抗体、該タ
ンパク質の活性を促進または阻害する化合物またはその
塩のスクリーニング方法/スクリーニング用キット、該
スクリーニングによって得られる化合物、該化合物を含
有してなる医薬など。 【効果】本発明のポリペプチドおよびそれをコードする
DNAは、例えば、唾液腺疾患、免疫疾患、口腔消化管
傷害の診断、治療、予防に使用することができる。ま
た、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドの
活性を促進もしくは阻害する化合物またはその塩のスク
リーニングのための試薬として有用である

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なポリペプチ
ド、ポリペプチドの新規用途などに関する。
【0002】
【従来の技術】生体は、細胞間、または組織間で互いに
情報伝達をすることにより、発生、分化、成長、修復、
恒常性の維持などの統合の取れた調節を行っているが、
多くの場合、細胞外に分泌されるタンパク性因子が情報
伝達物質として重要な役割を果たしている。例えば、サ
イトカインと呼ばれる一連の分泌性因子(液性因子)
は、物質的には分子量2万〜5万程度のしばしば糖鎖修
飾を受けたポリペプチドで、主として免疫系、造血系に
作用するホルモン様分子である。これまで、単球系細胞
から放出されるマクロファージ活性化因子や遊走阻止因
子として見いだされた各種モノカインや、種種の細胞を
活性化して抗ウイルス作用を発揮させるインターフェロ
ンα、β、γ、またT細胞から産生されリンパ球増殖分
化因子と考えられてきた各種リンホカインと呼ばれるポ
リペプチド群も、その後相次いで多彩な生物活性が報告
され、総称的にサイトカインの範疇に含まれて呼ばれる
ことが多い。サイトカインの作用の特徴として、オート
クラインかパラクラインとしての活性が優位であること
が挙げられる。一方、内分泌組織から生産されるペプチ
ドホルモンや増殖因子などの液性因子は、エンドクライ
ン的な活性を示し、これら液性因子の多くについて疾病
との関連性を探る研究や医薬としての可能性を追求する
開発研究が盛んに行われている。ところで、こうした生
体にとって重要なタンパク性因子は、これまでその多く
が固有の生物活性を指標にして発見されたり、既存の生
理活性ポリペプチドとの構造上の類似性を手がかりにし
て発見されてきたものである。しかし、哺乳動物などの
高等生物で見られる生体の恒常性の巧妙な維持を考えた
場合、こうした公知の生理活性ポリペプチドやペプチド
以外にも多くの未知の因子が存在し、重要な機能を担っ
ていることが十分予想される。近年、ヒトをはじめ各種
生物のcDNAライブラリーの大規模塩基配列決定やゲノム
構造解析プロジェクトにより膨大な数の新規遺伝子候補
が挙がってきており、コンピュータによる情報処理解析
技術を駆使してそれらの遺伝子産物の機能を予測し、生
物学、医学、獣医学、農学などに応用しようとする試み
が行われつつある[トレンド イン バイオテクノロジ
ー(Trends in Biotechnology),14卷,294(1996
年)]。しかし一般にそうした配列情報は断片的で不正
確なものが多く、これらの中から直接的に全く新しい有
用な新規遺伝子を選択することは容易でないのが現状で
ある。例えば、大規模塩基配列決定で得られた配列情報
の中には部分的な読み間違いが多々あり、正しいオープ
ンリーディングフレーム(ORF)やアミノ酸配列を知
るには、正確に塩基配列を決定し、かつ全長であること
を確認するため、mRNAの大きさを把握する必要がある。
また新規遺伝子産物が本当に分泌性因子(液性因子)と
して存在するかどうかは、アミノ酸配列だけからは断定
できず、実際に動物細胞などを使って、遺伝子産物が培
養上清に分泌されることを確認する必要がある。さら
に、情報伝達物質としての作用を期待するためには、組
織特異的、臓器特異的な発現を示す遺伝子を選択する必
要があった。従って、医薬研究への応用を考察する場
合、真にその有用性や可能性を評価するためには、詳細
な実験と解析が不可欠であるのが現状である。ところ
で、過去に外分泌腺としてのみ認識されてきた唾液腺の
機能が見直されてきている[ニューロイムノモジュレー
ション(Neuroimmunomodulation),2卷,184(1
995)]。すなわち、唾液は健康な口腔組織を維持す
る上で重要であるが、その他にも生体の恒常性の維持の
ための役割を担っていることが判明してきている。例え
ば、唾液腺の機能として、EGF、NGF、カリクレイ
ン、TGF-βなどの成長因子の分泌、腸管保護作用、
抗癌作用、タンニン中和作用、抗菌作用、レニン、IgA
の分泌、唾液腺ホルモン(パロチン)の分泌などが知ら
れている。中でも、EGF、NGF、カリクレインなど
は、唾液中のみならず、血中にも分泌されていることが
示されていて、唾液腺が内分泌器官としての働きも有す
ることが判明してきた。また、唾液中に分泌されている
ある種のプロリンリッチタンパク(PRP)は、プロテ
アーゼによるプロセシングを受けて、切り出されたペプ
チドが血中に存在していることも示されている[ヨーロ
ピアンジャーナル オブ バイオケミストリー(Eur.
J. Biochem.),219卷,765頁(1994)]。
また、唾液中に存在するPRPやヒスタチンなどが、食
物中に含まれていて生体に対して有害なタンニンと結合
することで、タンニンの毒性を中和し、生体防御的な生
理機能の一翼を担っていることが提唱されている。[バ
イオケミカル ジャーナル(Biochem. J.),311
巻,341頁(1995年)][アーカイブス オブ オラ
ル バイオロジー(Archives of Oral Biology),43
巻,717頁(1998年)]。これらのことから、唾液腺
に特異的に多く発現している分泌性蛋白は、生体調節に
深く関与していることが期待され、医薬品開発のための
重要なターゲットであると考えられる。本発明のヒト由
来cDNA配列及びアミノ酸配列は、WO 98/21332に記
載されているが、その具体的な用途に関する記載は全く
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生物学、医
学、獣医学などに利用可能な新規ポリペプチド、その部
分ペプチド、またはそれらの塩、組換えベクター、形質
転換体、該ポリペプチドの製造法、該ポリペプチド、部
分ペプチドを含有する医薬、および該ポリペプチドなど
に対する抗体、および既知ポリペプチドの新規用途など
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために誠意研究を重ねた結果、唾液腺、リ
ンパ節、虫垂などで発現しているcDNAを見いだし、
それにコードされる蛋白質が実際に細胞外に分泌される
液性因子であることを明らかにした。とりわけ唾液腺で
多く発現している本遺伝子産物は、上記に記載の理由
で、本目的に合致した遺伝子産物である。本発明者ら
は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねた結
果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)配列番号:10で表わされるアミノ酸配列を含有
することを特徴とするポリペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一もし
くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴
とする上記(1)記載のポリペプチドまたはその塩、
(3)上記(1)記載のポリペプチドをコードする塩基
配列を含有するDNAを含有するDNA、(4)配列番
号:12で表される塩基配列を含有する上記(3)記載
のDNA、(5)配列番号:4で表される塩基配列を含
有する上記(3)記載のDNA、(6)上記(3)記載
のDNAを含有する組換えベクター、(7)上記(6)
記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(8)上記(7)記載の形質転換体を培養し、該ポリペ
プチドを生成せしめることを特徴とする上記(1)記載
のポリペプチドまたはその塩の製造法、(9)上記
(1)記載のポリペプチドまたはその塩に対する抗体、
(10)上記(1)記載のポリペプチドまたはその塩を
用いることを特徴とする 上記(1)記載のポリペプチドまたはその塩の活性を促
進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング
方法、(11)上記(1)記載のポリペプチドまたはそ
の塩を含有してなる上記(1)記載のポリペプチドまた
はその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその
塩のスクリーニング用キット、(12)上記(10)記
載のスクリーニング方法または上記(6)記載のスクリ
ーニング用キットを用いて得られる、上記(1)記載の
ポリペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害する
化合物またはその塩、(13)上記(10)記載のスク
リーニング方法または上記(11)記載のスクリーニン
グ用キットを用いて得られる上記(1)記載のポリペプ
チドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物ま
たはその塩を含有してなる医薬、(14)上記(1)記
載のポリペプチドまたはその塩を含有してなる医薬、
(15)上記(1)記載のポリペプチドまたはその塩を
含有してなる唾液腺疾患、免疫疾患、口腔消化管傷害ま
たは感染症疾患の予防・治療剤、(16)配列番号:9
で表わされるアミノ酸配列を含有することを特徴とする
ポリペプチドまたはその塩を含有してなる唾液腺疾患、
免疫疾患、口腔消化管傷害または感染症疾患の予防・治
療剤、(17)ポリペプチドが配列番号:1で表される
アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配
列を含有するポリペプチドである上記(16)記載の予
防・治療剤、および(18)上記(1)記載のポリペプ
チドまたは上記(16)記載のポリペプチドをコードす
る遺伝子のプロモーターの下流に目的タンパク質をコー
ドするDNAを連結し、非ヒト温血動物に導入すること
を特徴とする目的タンパク質を非ヒト温血動物の唾液腺
で発現させる方法などに関する。
【0005】さらには、本発明は、(19)配列番号:
2で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸
配列が、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列と約5
0%以上(好ましくは約60%以上、さらに好ましくは
約70%以上、より好ましくは約80%以上、特に好ま
しくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上)の
相同性を有するアミノ酸配列である上記(2)記載のポ
リペプチド、(20)配列番号:2で表わされるアミノ
酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:
2で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好
ましくは、1〜30個程度)のアミノ酸が欠失したアミ
ノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列に
1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度)のア
ミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:2で表わ
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1〜30個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換
されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたア
ミノ酸配列である上記(2)記載のポリペプチドなどを
提供する。さらに本発明は、分子量マーカー、組織マー
カー、染色体マッピング、遺伝病の同定、プライマー、
プローブの設計などの基礎研究に利用できる可能性があ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:10で表わさ
れるアミノ酸配列を含有するポリペプチド(以下、本発
明のポリペプチドと称することがある)および配列番
号:9で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド
(以下、ヒト型ポリペプチドと称することがある)は、
ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウ
ス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルな
ど)の細胞(例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリ
ア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ラ
ンゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊
維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞
(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキ
ラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単
球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細
胞、破骨細胞、乳腺細胞、もしくは間質細胞、またはこ
れら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)も
しくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、
脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海
馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、
下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆の
う、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、
小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、唾液腺、末梢血、前
立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、軟骨、関節、骨格
筋などに由来するポリペプチドであってもよく、組換え
ポリペプチドであってもよく、合成ポリペプチドであっ
てもよい。また、本発明のポリペプチドおよびヒト型は
シグナルペプチドを有しているので、ポリペプチドを効
率よく細胞外に分泌させることができる。配列番号:1
0で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドと
して具体的には、例えば、配列番号:6で表わされるア
ミノ酸配列を含有するポリペプチドなどがあげられる。
さらに具体的には、配列番号:2で表わされるアミノ酸
配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプ
チドなどがあげられる。配列番号:2で表わされるアミ
ノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列
番号:2で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好
ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以
上、より好ましくは約80%以上、特に好ましくは約9
0%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有す
るアミノ酸配列などが挙げられる。
【0007】本発明の配列番号:2で表わされるアミノ
酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプ
チドとしては、例えば、前記の配列番号:2で表わされ
るアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、
配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有するポリペ
プチドと実質的に同質の性質を有するポリペプチドなど
が好ましい。実質的に同質の性質としては、例えば、分
泌され液性因子として作用することなどが挙げられる。
実質的に同質とは、それらの性質が定性的に同質である
ことを示す。したがって、分泌作用や溶解度などの性質
が同等(例、約0.1〜100倍、好ましくは約0.5
〜10倍、より好ましくは0.5〜2倍)であることが
好ましいが、これらの性質の程度、ポリペプチドの分子
量などの量的要素は異なっていてもよい。
【0008】また、本発明のポリペプチドとしてより具
体的には、例えば、配列番号:2で表わされるアミノ
酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個
程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数
(1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
配列番号:2で表わされるアミノ酸配列に1または2個
以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ
酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:2で表わされ
るアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜
30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好まし
くは数(1〜5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸
配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列中の1
または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好まし
くは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)
個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配
列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配列を含有
するポリペプチドなどのいわゆるムテインも含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または置換され
ている場合、その挿入、欠失または置換の位置として
は、特に限定されないが、配列番号:6、配列番号:1
0のそれぞれの配列番号で表わされるアミノ酸配列に共
通するアミノ酸配列以外の位置などが挙げられる。配列
番号:9で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチ
ド(ヒト型ポリペプチド)として具体的には、例えば、
配列番号:5で表されるアミノ酸配列を含有するポリペ
プチド、より具体的には、配列番号:1で表されるアミ
ノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含
有するポリペプチドなどがあげられる。配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列
としては、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と約
50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましく
は約70%以上、より好ましくは約80%以上、特に好
ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の
相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドとしては、例えば、前記
の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同
一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるア
ミノ酸配列を有するポリペプチドと実質的に同質の性質
を有するポリペプチドなどが好ましい。実質的に同質の
性質としては、例えば、分泌され液性因子として作用す
ることなどが挙げられる。実質的に同質とは、それらの
性質が定性的に同質であることを示す。したがって、分
泌作用や溶解度などの性質が同等(例、約0.1〜10
0倍、好ましくは約0.5〜10倍、より好ましくは
0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの性質
の程度、ポリペプチドの分子量などの量的要素は異なっ
ていてもよい。また、ヒト型ポリペプチドとしてより具
体的には、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個
程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数
(1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1または2個
以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ
酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜
30個程度、好ましくは1〜10個程度、さらに好まし
くは数(1〜5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸
配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1
または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好まし
くは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)
個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配
列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配列を含有
するポリペプチドなどのいわゆるムテインも含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または置換され
ている場合、その挿入、欠失または置換の位置として
は、特に限定されないが、配列番号:5、配列番号:9
のそれぞれの配列番号で表わされるアミノ酸配列に共通
するアミノ酸配列以外の位置などが挙げられる
【0009】本明細書におけるポリペプチドは、ペプチ
ド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右
端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをは
じめとする、本発明のポリペプチドは、C末端が通常カ
ルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート
(−COO-)であるが、C末端がアミド(−CON
2)またはエステル(−COOR)であってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチ
ルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、
シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例え
ば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、
例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2
アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフ
チル−C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほ
か、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシ
メチル基などが用いられる。本発明のポリペプチドまた
はヒト型ポリペプチドがC末端以外にカルボキシル基
(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボ
キシル基がアミド化またはエステル化されているものも
本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドに含ま
れる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC
末端のエステルなどが用いられる。さらに、本発明のポ
リペプチドまたはヒト型ポリペプチドには、N末端のア
ミノ酸残基(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基
(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカ
ノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているも
の、生体内で切断されて生成するN末端のグルタミン残
基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の
側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、アミノ基、イ
ミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適
当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC
1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護さ
れているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ポリ
ペプチドなどの複合ポリペプチドなども含まれる。
【0010】本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチ
ドまたはそれらの塩としては、生理学的に許容される酸
(例、無機酸、有機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)
などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される
酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無
機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との
塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン
酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン
酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。本発明の
ポリペプチド、ヒト型ポリペプチドまたはそれらの塩
は、前述したヒトや温血動物の細胞または組織から自体
公知のポリペプチド(タンパク質)の精製方法によって
製造することもできるし、後述するポリペプチドをコー
ドするDNAを含有する形質転換体を培養することによ
っても製造することができる。また、後述のペプチド合
成法に準じて製造することもできる。ヒトや哺乳動物の
組織または細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組
織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行
ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換
クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合
わせることにより精製単離することができる。
【0011】本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチ
ドまたはそれらの塩、またはそれらのアミド体の合成に
は、通常市販のポリペプチド(タンパク質)合成用樹脂
を用いることができる。そのような樹脂としては、例え
ば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズ
ヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジル
オキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒド
リルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチ
ルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミ
ド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシ
メチル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェ
ニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げる
ことができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と
側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするポ
リペプチドの配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従
い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からポリペ
プチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに
高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施
し、目的のポリペプチドまたはそれらのアミド体を取得
する。上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、ポリペ
プチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることが
できるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイ
ミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピルカルボジイ
ミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロリル)カル
ボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化には
ラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt, HOOBt)とともに保
護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水
物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあ
らかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添
加することができる。
【0012】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、ポリペプチド(タンパク質)縮
合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選
択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,
N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドン
などの酸アミド類、塩化メチレン,クロロホルムなどの
ハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどの
アルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシ
ド類、ピリジン,ジオキサン,テトラヒドロフランなど
のエーテル類、アセトニトリル,プロピオニトリルなど
のニトリル類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル
類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反
応温度はポリペプチド(タンパク質)結合形成反応に使
用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、
通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活
性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用
いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮
合が不十分な場合には保護基の脱離を行なうことなく縮
合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことが
できる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないと
きには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて
未反応アミノ酸をアセチル化することによって、後の反
応に影響を与えないようにすることができる。
【0013】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソボ
ルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシ
カルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニ
ル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2
−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノ
チオイル、Fmocなどが用いられる。
【0014】カルボキシル基は、例えば、アルキルエス
テル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、
t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロ
ヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直
鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラ
ルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニ
トロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステ
ル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエス
テル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカル
ボニルヒドラジド化、t−ブトキシカルボニルヒドラジ
ド化、トリチルヒドラジド化などによって保護すること
ができる。
【0015】セリンの水酸基は、例えば、エステル化ま
たはエーテル化によって保護することができる。このエ
ステル化に適する基としては、例えば、アセチル基など
の低級(C1-6)アルカノイル基、ベンゾイル基などの
アロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカ
ルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられ
る。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベ
ンジル基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基などで
ある。チロシンのフェノール性水酸基の保護基として
は、例えば、Bzl、C12-Bzl、2−ニトロベンジル、Br-
Z、t−ブチルなどが用いられる。ヒスチジンのイミダ
ゾールの保護基としては、例えば、Tos、4-メトキシ-
2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジル
オキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられ
る。
【0016】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノ
ール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタ
ルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原
料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対
応するリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱
離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd-炭
素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、
また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれら
の混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルア
ミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなど
による塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによ
る還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応
は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、
酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、
チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジ
メチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタン
ジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効で
ある。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用
いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理
により除去され、トリプトファンのインドール保護基と
して用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオー
ル、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による
脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニア
などによるアルカリ処理によっても除去される。
【0017】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。ポリペプチドのアミド体を得る別
の方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ
酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、ア
ミノ基側にペプチド(ポリペプチド)鎖を所望の鎖長ま
で延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の
保護基のみを除いたポリペプチドとC末端のカルボキシ
ル基の保護基のみを除去したポリペプチドとを製造し、
この両ポリペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合
させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。
縮合により得られた保護ポリペプチドを精製した後、上
記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ポリペ
プチドを得ることができる。この粗ポリペプチドは既知
の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥
することで所望のポリペプチドのアミド体を得ることが
できる。ポリペプチドのエステル体を得るには、例え
ば、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所
望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、
ポリペプチドのアミド体と同様にして、所望のポリペプ
チドのエステル体を得ることができる。
【0018】本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチ
ドまたはそれらの塩は、自体公知のペプチドの合成法に
従って製造することができる。ペプチドの合成法として
は、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによって
も良い。すなわち、本発明の部分ペプチドを構成し得る
部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合さ
せ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離するこ
とにより目的のペプチドを製造することができる。公知
の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の
〜に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明のポリペプチドまた
はヒト型ポリペプチドを精製単離することができる。上
記方法で得られるポリペプチドまたはヒト型ポリペプチ
ドが遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに準
じる方法によって適当な塩に変換することができるし、
逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準
じる方法によって遊離体または他の塩に変換することが
できる。
【0019】本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペ
プチドをコードするDNAとしては、前述した本発明の
ポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドをコードする塩
基配列を含有するものであればいかなるものであっても
よい。また、ゲノムDNA、前記した細胞・組織由来の
cDNA、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリー
に使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミ
ド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよ
い。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAまたは
mRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Tran
scriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-P
CR法と略称する)によって増幅することもできる。本
発明のポリペプチドをコードするDNAとしては、例え
ば、配列番号:12で表わされる塩基配列を含有するD
NA、または配列番号:12で表わされる塩基配列とハ
イストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基
配列を有し、本発明のポリペプチドと実質的に同質の性
質(例、免疫原性など)を有するポリペプチドをコード
するDNAなどを有し、本発明のポリペプチドと実質的
に同質の性質を有するポリペプチドをコードするDNA
であれば何れのものでもよい。より具体的には、配列番
号:8で表わされる塩基配列を含有するDNA、または
配列番号:8で表わされる塩基配列とハイストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、本
発明のポリペプチドと実質的に同質の性質(例、免疫原
性など)有するポリペプチドをコードするDNAなどを
有し、本発明のポリペプチドと実質的に同質の性質を有
するポリペプチドをコードするDNAなどがあげられ、
さらに具体的には、配列番号:4で表わされる塩基配列
を含有するDNA、または配列番号:4で表わされる塩
基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズする塩基配列を有し、本発明のポリペプチドと実質的
に同質の性質(例、免疫原性など)を有するポリペプチ
ドをコードするDNAなどを有し、本発明のポリペプチ
ドと実質的に同質の性質を有するポリペプチドをコード
するDNAなどがあげられる。
【0020】配列番号:4で表わされる塩基配列とハイ
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDN
Aとしては、例えば、配列番号:4で表わされる塩基配
列と約60%以上、好ましくは約70%以上、さらに好
ましくは約80%以上の相同性を有する塩基配列を含有
するDNAなどが用いられる。ヒト型ポリペプチドをコ
ードするDNAとしては、例えば、配列番号:11で表
わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:
11で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、ヒト型ポリ
ペプチドと実質的に同質の性質(例、免疫原性など)を
有するポリペプチドをコードするDNAなどを有し、ヒ
ト型ポリペプチドと実質的に同質の性質を有するポリペ
プチドをコードするDNAであれば何れのものでもよ
い。より具体的には、配列番号:7で表わされる塩基配
列を含有するDNA、または配列番号:7で表わされる
塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズする塩基配列を有し、ヒト型ポリペプチドと実質的
に同質の性質(例、免疫原性など)を有するポリペプチ
ドをコードするDNAなどを有し、ヒト型ポリペプチド
と実質的に同質の性質を有するポリペプチドをコードす
るDNAなどがあげられ、さらに具体的には、配列番
号:3で表わされる塩基配列を含有するDNA、または
配列番号:3で表わされる塩基配列とハイストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、ヒ
ト型ポリペプチドと実質的に同質の性質(例、免疫原性
など)を有するポリペプチドをコードするDNAなどを
有し、ヒト型ポリペプチドと実質的に同質の性質を有す
るポリペプチドをコードするDNAなどがあげられる。
【0021】配列番号:3で表わされる塩基配列とハイ
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDN
Aとしては、例えば、配列番号:3で表わされる塩基配
列と約60%以上、好ましくは約70%以上、さらに好
ましくは約80%以上の相同性を有する塩基配列を含有
するDNAなどが用いられる。ハイブリダイゼーション
は、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例え
ば、モレキュラー・クローニング(Molecular Clonin
g)2nd(J. Sambrook etal., Cold Spring Harbor La
b. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうこと
ができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、
添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことがで
きる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に
従って行なうことができる。ハイストリンジェントな条
件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、
好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70
℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト型ポリペ
プチドをコードするDNAとしては、配列番号:3で表
わされる塩基配列を有するDNAなどが、配列番号:2
で表わされるアミノ酸配列を有する本発明のポリペプチ
ドをコードするDNAとしては、配列番号:4で表わさ
れる塩基配列を有するDNAなどが、配列番号:5で表
わされるアミノ酸配列を有するヒト型ポリペプチドをコ
ードするDNAとしては、配列番号:7で表わされる塩
基配列を有するDNAなどが、配列番号:6で表わされ
るアミノ酸配列を有する本発明のポリペプチドをコード
するDNAとしては、配列番号:8で表わされる塩基配
列を有するDNAなどが、配列番号:9で表わされるア
ミノ酸配列を有するヒト型ポリペプチドをコードするD
NAとしては、配列番号:11で表わされる塩基配列を
有するDNAなどが、配列番号:10で表わされるアミ
ノ酸配列を有する本発明のポリペプチドをコードするD
NAとしては、配列番号:12で表わされる塩基配列を
有するDNAなどが用いられる。
【0022】本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペ
プチドを完全にコードするDNAのクローニングの手段
としては、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプ
チドの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用
いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクタ
ーに組み込んだDNAを本発明のポリペプチドまたはヒ
ト型ポリペプチドの一部あるいは全領域をコードするD
NA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとの
ハイブリダイゼーションによって選別することができ
る。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J.
Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 19
89)に記載の方法などに従って行なうことができる。ま
た、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説
明書に記載の方法に従って行なうことができる。DNA
の塩基配列の変換は、PCRや公知のキット、例えば、
MutantTM-G(宝酒造(株))、MutantTM-K(宝酒造
(株))などを用いて、Gupped duplex法やKunkel法な
どの自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従っ
て行なうことができる。クローン化されたポリペプチド
をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望
により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりし
て使用することができる。該DNAはその5’末端側に
翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側
には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTA
Gを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳
終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付
加することもできる。本発明のポリペプチドまたはヒト
型ポリペプチドの発現ベクターは、例えば、(イ)本発
明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドをコードす
るDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)
該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの
下流に連結することにより製造することができる。
【0023】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TK
プロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMV
(サイトメガロウイルス)プロモーター、SRαプロモ
ーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア
属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、
lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿主が
バチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、S
PO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主
が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプ
ロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター
などが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘ
ドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好まし
い。
【0024】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイ
ニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含
まない培地によっても選択できる。また、必要に応じ
て、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のポリペプチ
ドまたはヒト型ポリペプチドのN端末側に付加する。宿
主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル
配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属
菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブ
チリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合
は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列な
ど、宿主が動物細胞である場合には、インシュリン・シ
グナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗
体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。この
ようにして構築された本発明のポリペプチドまたはヒト
型ポリペプチドをコードするDNAを含有するベクター
を用いて、形質転換体を製造することができる。
【0025】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K1
2・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60
巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・
アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9
巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オ
ブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecul
ar Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB
101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジ
ー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネテ
ィックス(Genetics),39巻,440(1954)〕な
どが用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチ
ルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114
〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21
〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of
Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用
いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,A
H22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B
−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccha
romyces pombe)NCYC1913,NCYC203
6、ピキア パストリス(Pichia pastoris)KM71
などが用いられる。
【0026】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞または
Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイル
スがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mor
i N 細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞
としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf
21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In V
ivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫と
しては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田
ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(198
5)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−
7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニ
ーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhf
-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−2
0,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細
胞などが用いられる。エシェリヒア属菌を形質転換する
には、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユ
ーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69
巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,1
07(1982)などに記載の方法に従って行なうことが
できる。
【0027】バチルス属菌を形質転換するには、例え
ば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティッ
クス(Molecular & General Genetics),168巻,
111(1979)などに記載の方法に従って行なうこと
ができる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ
・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),194巻,182−187(1991)、プロシ
ージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(197
8)などに記載の方法に従って行なうことができる。昆
虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ
/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))
などに記載の方法に従って行なうことができる。動物細
胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細
胞工学実験プロトコール.263−267(1995)
(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,
456(1973)に記載の方法に従って行なうことがで
きる。このようにして、ポリペプチドをコードするDN
Aを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体
を得ることができる。宿主がエシェリヒア属菌、バチル
ス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用され
る培地としては液体培地が適当であり、その中には該形
質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他
が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコ
ース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源
としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コー
ンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、
大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、
無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水
素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。ま
た、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを添加しても
よい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0028】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,450
5(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培
地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。
培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は
通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要
に応じて通気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆
虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grac
e's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Natur
e),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の
添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpH
は約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通
常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や
撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養
する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛
血清を含むMEM培地〔サイエンス(Seience),12
2巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジ
ー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI
1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・
メディカル・アソシエーション(The Jounal of the Am
erican Medical Association)199巻,519(19
67)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソ
サイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding of the Society for the Biological Med
icine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。
pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30
℃〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通
気や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細
胞膜に本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド
を生成せしめることができる。
【0029】上記培養物から本発明のポリペプチドまた
はヒト型ポリペプチドを分離精製するには、例えば、下
記の方法により行なうことができる。本発明のポリペプ
チドまたはヒト型ポリペプチドを培養菌体あるいは細胞
から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あ
るいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
ポリペプチドの粗抽出液を得る方法などが適宜用いられ
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変
性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含ま
れていてもよい。培養液中にポリペプチドが分泌される
場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体ある
いは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このように
して得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるポ
リペプチドの精製は、自体公知の分離・精製法を適切に
組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分
離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を
利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およ
びSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主
として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマト
グラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニテ
ィークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する
方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の
差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差
を利用する方法などが用いられる。
【0030】かくして得られるポリペプチドが遊離体で
得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じ
る方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得ら
れた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法
により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生するポリペプチドを、精製前また
は精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることによ
り、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除
去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、
トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチ
ダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用
いられる。かくして生成する本発明のポリペプチドまた
はヒト型ポリペプチドまたはその塩の存在は、特異抗体
を用いたエンザイムイムノアッセイやWestern blotting
などにより測定することができる。
【0031】本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチ
ドまたはそれらの塩に対する抗体は、本発明のポリペプ
チド、ヒト型ポリペプチドまたはそれらの塩を認識し得
る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル
抗体の何れであってもよい。本発明のポリペプチド、ヒ
ト型ポリペプチドまたはそれらの塩に対する抗体は、本
発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチドを抗原として
用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製
造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチドまたはそれ
らの塩は、温血動物に対して投与により抗体産生が可能
な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与さ
れる。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロ
イントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを
投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計
2〜10回程度行われる。用いられる温血動物として
は、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウ
ス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げられるが、
マウスおよびラットが好ましく用いられる。モノクロー
ナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免疫された
温血動物、例えばマウスから抗体価の認められた個体を
選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採
取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種
動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクロー
ナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。
抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化ポリ
ペプチドと抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した
標識剤の活性を測定することにより行なうことができ
る。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルス
タインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (197
5)〕に従い実施することができる。融合促進剤として
は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセン
ダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが
用いられる。
【0032】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄
腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられ
る。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細
胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、
PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)
が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、
好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベート
することにより効率よく細胞融合を実施できる。モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには
種々の方法が使用できるが、例えば、ポリペプチド抗原
を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイ
クロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次
に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗
体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウ
ス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテイン
Aを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出す
る方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸
着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射
性物質や酵素などで標識したポリペプチドを加え、固相
に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙
げられる。モノクローナル抗体の選別は、自体公知ある
いはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通
常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジ
ン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。
選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育
できるものならばどのような培地を用いても良い。例え
ば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清
を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血
清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハ
イブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水
製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、
通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時
間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間で
ある。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0033】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。
【0034】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗
原(ポリペプチド抗原)自体、あるいはそれとキャリア
ー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗
体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動
物から本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチドまた
はそれらの塩に対する抗体含有物を採取して、抗体の分
離精製を行なうことにより製造することができる。温血
動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー
蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およ
びキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架
橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くでき
れば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよい
が、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリ
ン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約
0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせ
る方法が用いられる。また、ハプテンとキャリアーのカ
プリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、
グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性
エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活
性エステル試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動
物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは
担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産
生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完
全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、
通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行な
われる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫され
た温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取
することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の
測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測
定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモ
ノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの
分離精製法に従って行なうことができる。
【0035】本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペ
プチドをコードするDNA(以下、アンチセンスDNA
の説明においては、これらのDNAを本発明のDNAと
略記する)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配
列を有するアンチセンスDNAとしては、本発明のDN
Aに相補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有
し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するものであ
れば、いずれのアンチセンスDNAであってもよい。本
発明のDNAに実質的に相補的な塩基配列とは、例え
ば、本発明のDNAに相補的な塩基配列(すなわち、本
発明のDNAの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基
配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好
ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の
相同性を有する塩基配列などが挙げられる。特に、本発
明のDNAの相補鎖の全塩基配列うち、本発明のポリペ
プチドまたはヒト型ポリペプチドのN末端部位をコード
する部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配
列など)の相補鎖と約70%以上、好ましくは約80%
以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約
95%以上の相同性を有するアンチセンスDNAが好適
である。これらのアンチセンスDNAは、公知のDNA
合成装置などを用いて製造することができる。
【0036】本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペ
プチドは、シグナルペプチドを有するため、細胞外に効
率よく分泌され、液性因子として、シグナル伝達や自己
防衛などのための重要な生物活性を有する。以下に、本
発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドまたはそ
れらの塩(以下、本発明のポリペプチド等と略記する場
合がある)、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペ
プチドをコードするDNA(以下、本発明のDNAと略
記する場合がある)、本発明のポリペプチド、ヒト型ポ
リペプチドまたはそれらの塩に対する抗体(以下、本発
明の抗体と略記する場合がある)、およびアンチセンス
DNAの用途を説明する。
【0037】(1)本発明のポリペプチドは、組織特異
的に発現しているため、組織マーカーとして使用するこ
とができる。すなわち組織の分化、病態、癌の転移など
の検出のためのマーカーとして有用である。また、対応
するレセプター、リガンド、結合ポリペプチドなどの分
取にも利用できる。さらに、自体公知のハイスループッ
トスクリーニングのためのパネルにして、生物活性を調
べるのに利用できる。また、染色体マッピングを行い、
遺伝病の研究にも利用できる。 (2)本発明のポリペプチドが関与する各種疾病の治療
・予防剤 本発明のポリペプチドなどは、生体内で液性因子として
存在するため、本発明のポリペプチドなどまたは本発明
のDNAなどに異常があったり、欠損している場合ある
いは発現量が異常に減少または高進している場合、例え
ば、唾液腺疾患(例えば、口腔乾燥症、シェーグレン症
候群、唾液腺腫、唾液腺結石など)、免疫疾患(例え
ば、自己免疫疾患、免疫不全症候群、免疫増殖性症候
群、アレルギーなど)または感染症(例えば、HIV感
染、HBV感染、HCV感染、結核菌感染、日和見感染
症など)また、口腔から胃腸にかけての消化器官の疾病
(口腔消化管障害)などの種々の疾病が発症する。した
がって、本発明のポリペプチド等および本発明のDNA
は、例えば、唾液腺疾患(例えば、口腔乾燥症、シェー
グレン症候群、唾液腺腫、唾液腺結石など)、免疫疾患
(例えば、自己免疫疾患、免疫不全症候群、免疫増殖性
症候群、アレルギーなど)または感染症(例えば、HI
V感染、HBV感染、HCV感染、結核菌感染、日和見
感染症など)また、口腔から胃腸にかけての消化器官の
疾病(口腔消化管障害)などの種々の疾病の治療・予防
剤などの医薬として使用することができる。例えば、生
体内において本発明のポリペプチドなどが減少あるいは
欠損しているために、細胞における情報伝達が十分に、
あるいは正常に発揮されない患者がいる場合に、(イ)
本発明のDNAを該患者に投与し、生体内で本発明のポ
リペプチド等を発現させることによって、(ロ)細胞に
本発明のDNAを挿入し、本発明のポリペプチド等を発
現させた後に、該細胞を患者に移植することによって、
または(ハ)本発明のポリペプチド等を該患者に投与す
ることなどによって、該患者における本発明のポリペプ
チド等の役割を十分に、あるいは正常に発揮させること
ができる。本発明のDNAを上記の治療・予防剤として
使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイル
スベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス
アソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクタ
ーに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動
物に投与することができる。本発明のDNAは、そのま
まで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的
に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイド
ロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与でき
る。本発明のポリペプチド等を上記の治療・予防剤とし
て使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95
%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは
99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
【0038】本発明のポリペプチド等は、例えば、必要
に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル
剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは
水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性
溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使
用できる。例えば、本発明のポリペプチド等を生理学的
に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐
剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤
実施に要求される単位用量形態で混和することによって
製造することができる。これら製剤における有効成分量
は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするも
のである。錠剤、カプセル剤などに混和することができ
る添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、
ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例
えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)など
と併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、
大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベン
ジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。ま
た、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム
緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウ
ム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清
アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤
(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸
化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、
通常、適当なアンプルに充填される。本発明のDNAが
挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、
非経口的に使用される。
【0039】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。本発明のポリペプチド等の投
与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差
異はあるが、例えば、唾液腺疾患の治療目的で本発明の
ポリペプチド等を経口投与する場合、一般的に成人(6
0kgとして)においては、一日につき該ポリペプチド
等を約1mg〜1000mg、好ましくは約10〜50
0mg、より好ましくは約10〜200mg投与する。
非経口的に投与する場合は、該ポリペプチド等の1回投
与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例
えば、唾液腺疾患の治療目的で本発明のポリペプチド等
を注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する
場合、一日につき該ポリペプチド等を約1〜1000m
g程度、好ましくは約1〜200mg程度、より好まし
くは約10〜100mg程度を患部に注射することによ
り投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60
kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0040】(2)疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング 本発明のポリペプチド等は生体内(特に唾液腺、リンパ
節など)で液性因子として存在するため、本発明のポリ
ペプチド等の機能を促進する化合物またはその塩は、例
えば、唾液腺疾患(例えば、口腔乾燥症、シェーグレン
症候群、唾液腺腫、唾液腺結石など)、免疫疾患(例え
ば、自己免疫疾患、免疫不全症候群、免疫増殖性症候
群、アレルギーなど)または感染症(例えば、HIV感
染、HBV感染、HCV感染、結核菌感染、日和見感染
症など)また、口腔から胃腸にかけての消化器官の疾病
(口腔消化管障害)などの治療・予防剤などの医薬とし
て使用できる。一方、本発明のポリペプチド等の機能を
阻害する化合物またはその塩は、本発明のポリペプチド
等の産生過剰に起因する疾患の治療・予防剤などの医薬
として使用できる。したがって、本発明のポリペプチド
等は、本発明のポリペプチド等の機能を促進または阻害
する化合物またはその塩のスクリーニングのための試薬
として有用である。すなわち、本発明は、 (1)本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチドまた
はそれらの塩を用いることを特徴とする本発明のポリペ
プチド、ヒト型ポリペプチドまたはそれらの塩の機能を
促進する化合物もしくはその塩(以下、促進剤と略記す
る場合がある)、または本発明のポリペプチド、ヒト型
ポリペプチドまたはそれらの塩の機能を阻害する化合物
(以下、阻害剤と略記する場合がある)のスクリーニン
グ方法を提供する。本発明のスクリーニング用キット
は、本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチドまたは
それらの塩を含有するものである。
【0041】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物であ
り、本発明のポリペプチド等の機能を促進または阻害す
る化合物である。該化合物の塩としては、前記した本発
明のポリペプチドの塩と同様のものが用いられる。
【0042】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療
・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、前記した本発明のポリペプチ
ド等を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、
エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁
液剤などとすることができる。このようにして得られる
製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温
血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。該化合物またはその塩の投与
量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなど
により差異はあるが、例えば、唾液腺疾患治療の目的で
本発明のポリペプチド等の機能を促進する化合物を経口
投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)に
おいては、一日につき該化合物を約0.1〜100m
g、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約
1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合
は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などに
よっても異なるが、例えば、唾液腺疾患治療の目的で本
発明のポリペプチド等の機能を促進する化合物を注射剤
の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一
日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好まし
くは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1
〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量
を投与することができる。一方、本発明のポリペプチド
等の機能を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的
に成人(体重60kgとして)においては、一日につき
該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0
〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与す
る。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量
は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、本発明
のポリペプチド等の機能を阻害する化合物を注射剤の形
で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日に
つき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは
約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜1
0mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。
【0043】(3)本発明のポリペプチド、ヒト型ポリ
ペプチドまたはそれらの塩の定量 本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等に対
する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)
は、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等
を特異的に認識することができるので、被検液中の本発
明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等の定量、
特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用する
ことができる。すなわち、本発明は、(i)本発明の抗
体と、被検液および標識化された本発明のポリペプチド
またはヒト型ポリペプチド等とを競合的に反応させ、該
抗体に結合した標識化された本発明のポリペプチドまた
はヒト型ポリペプチド等の割合を測定することを特徴と
する被検液中の本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリ
ペプチド等の定量法、および(ii)被検液と担体上に不
溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の
抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検
液中の本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド
等の定量法を提供する。
【0044】また、本発明のポリペプチドまたはヒト型
ポリペプチド等に対するモノクローナル抗体(以下、本
発明のモノクローナル抗体と称する場合がある)を用い
て本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等の
定量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこ
ともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用
いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、
あるいはFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用
いる本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等
の定量法は、 特に制限されるべきものではなく、被測
定液中の抗原量(例えば、ポリペプチドまたはヒト型ポ
リペプチド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗
原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、
これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準
曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用
いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノ
メトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられる
が、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用
いるのが特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用い
られる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵
素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位
元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、
3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素として
は、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β
−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフ
ォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵
素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フル
オレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなど
が用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノー
ル、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど
が用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との
結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
【0045】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常ポリペプチドあるいは
酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を
用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキ
ストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、ある
いはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては
不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応
させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド量を定
量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に
行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらし
て行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記
のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法
による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用
抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はな
く、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体
の混合物を用いてもよい。本発明のサンドイッチ法によ
る本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等の
測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本
発明のモノクローナル抗体は、本発明のポリペプチドま
たはヒト型ポリペプチド等の結合する部位が相異なる抗
体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2
次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いら
れる抗体が、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペ
プチド等のC端部を認識する場合、1次反応で用いられ
る抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識
する抗体が用いられる。
【0046】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0047】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等の測定系
を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細に
ついては、総説、成書などを参照することができる。例
えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ〕(講談社、
昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセ
イ〕(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素
免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治
ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和5
7年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3
版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZ
YMOLOGY」Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part
A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part
B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part
C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part
D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunoche
mical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and
General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immu
nochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology
and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレ
ス社発行)などを参照することができる。以上のように
して、本発明の抗体を用いることによって、本発明のポ
リペプチドまたはヒト型ポリペプチド等を感度良く定量
することができる。さらには、本発明の抗体を用いて本
発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等の濃度
を定量することによって、(1)本発明のポリペプチド
またはヒト型ポリペプチド等の濃度の減少が検出された
場合、例えば、唾液腺疾患(例えば、口腔乾燥症、シェ
ーグレン症候群、唾液腺腫、唾液腺結石など)、免疫疾
患(例えば、自己免疫疾患、免疫不全症候群、免疫増殖
性症候群、アレルギーなど)または感染症(例えば、H
IV感染、HBV感染、HCV感染、結核菌感染、日和
見感染症など)また、口腔から胃腸にかけての消化器官
の疾病(口腔消化管障害)などの疾病である、または将
来罹患する可能性が高いと診断することができる。ま
た、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在
する本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等
を検出するために使用することができる。また、本発明
のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等を精製する
ために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の
本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等の検
出、被検細胞内における本発明のポリペプチドまたはヒ
ト型ポリペプチドの挙動の分析などのために使用するこ
とができる。
【0048】(4)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、例えば、プローブとして使用するこ
とにより、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)における本発明のポリペ
プチドまたはヒト型ポリペプチドをコードするDNAま
たはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することがで
きるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突
然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの
増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用で
ある。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例
えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼーションやP
CR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第5
巻,874〜879頁(1989年)、プロシージング
ズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings ofthe Na
tinal Academy of Sciences of the United States of
America),第86巻,2766〜2770頁(198
9年))などにより実施することができる。例えば、ノ
ーザンハイブリダイゼーションにより発現低下が検出さ
れた場合やPCR−SSCP法によりDNAの突然変異
が検出された場合は、例えば、唾液腺疾患(例えば、口
腔乾燥症、シェーグレン症候群、唾液腺腫、唾液腺結石
など)、免疫疾患(例えば、自己免疫疾患、免疫不全症
候群、免疫増殖性症候群、アレルギーなど)または感染
症(例えば、HIV感染、HBV感染、HCV感染、結
核菌感染、日和見感染症など)また、口腔から胃腸にか
けての消化器官の疾病(口腔消化管障害)などの疾病で
ある可能性が高いと診断することができる。
【0049】(5)アンチセンスDNAを含有する医薬 本発明のDNAに相補的に結合し、該DNAの発現を抑
制することができるアンチセンスDNAは、生体内にお
ける本発明のポリペプチド、ヒト型ポリペプチド等また
は本発明のDNAの機能を抑制することができるので、
例えば、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチ
ドなどの発現過多に起因する疾患の治療・予防剤として
使用することができる。上記アンチセンスDNAを上記
の治療・予防剤として使用する場合、前記した本発明の
DNAを含有する各種疾病の治療・予防剤と同様にして
実施することができる。例えば、該アンチセンスDNA
を用いる場合、該アンチセンスDNAを単独あるいはレ
トロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデ
ノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適
当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施する
ことができる。該アンチセンスDNAは、そのままで、
あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認め
られる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲル
カテーテルのようなカテーテルによって投与できる。さ
らに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞における本
発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断
用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもで
きる。
【0050】(6)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド等の活
性を中和する作用を有する本発明の抗体は、例えば、本
発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドなどの発
現過多に起因する疾患の治療・予防剤などの医薬として
使用することができる。本発明の抗体を含有する上記疾
患の治療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当
な剤型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例、
ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サ
ルなど)に対して経口的または非経口的に投与すること
ができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与
ルートなどによっても異なるが、例えば、本発明の抗体
を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程
度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さら
に好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1
〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射に
より投与するのが好都合である。他の非経口投与および
経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができ
る。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量し
てもよい。本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬
組成物として投与することができる。上記投与に用いら
れる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容
され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものであ
る。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤
形として提供される。すなわち、例えば、経口投与のた
めの組成物としては、固体または液体の剤形、具体的に
は錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸
剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含
む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。か
かる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分
野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤
を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤
としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネ
シウムなどが用いられる。
【0051】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方
法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射
剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁
または乳化することによって調製する。注射用の水性液
としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補
助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、
例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコー
ル(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of
hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ま
しくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有し
てもよい。
【0052】(7)DNA転移動物 本発明は、外来性の本発明のポリペプチドまたはヒト型
ポリペプチド等をコードするDNA(以下、本発明の外
来性DNAと略記する)またはその変異DNA(本発明
の外来性変異DNAと略記する場合がある)を有する非
ヒト哺乳動物を提供する。すなわち、本発明は、 (1)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有
する非ヒト哺乳動物、 (2)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)記載
の動物、 (3)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第(2)
記載の動物、および (4)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを含
有し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターを提
供するものである。 本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非
ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移動物と略記す
る)は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を
含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動
物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単
細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以
前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェ
クション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パ
ーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などによ
り目的とするDNAを転移することによって作出するこ
とができる。また、該DNA転移方法により、体細胞、
生体の臓器、組織細胞などに目的とする本発明の外来性
DNAを転移し、細胞培養、組織培養などに利用するこ
ともでき、さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体
公知の細胞融合法により融合させることにより本発明の
DNA転移動物を作出することもできる。
【0053】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BAL
B/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、
Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動物に
おいて発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」
としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが挙げ
られる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が
本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳
動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。本発
明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配
列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体
的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生
じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれ
る。該異常DNAとしては、異常な本発明のポリペプチ
ドまたはヒト型ポリペプチドを発現させるDNAを意味
し、例えば、正常な本発明のポリペプチドまたはヒト型
ポリペプチドの機能を抑制するポリペプチドを発現させ
るDNAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、
対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物
由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物
に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現
させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンスト
ラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本
発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高
い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マ
ウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモータ
ーの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコン
ストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精
卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクション
することによって本発明のDNAを高発現するDNA転
移哺乳動物を作出することができる。
【0054】本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペ
プチドの発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、
λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病
ウィルスなどのレトロウィルス、ワクシニアウィルスま
たはバキュロウィルスなどの動物ウイルスなどが用いら
れる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来
のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好まし
く用いられる。上記のDNA発現調節を行なうプロモー
ターとしては、例えば、ウイルス(例、シミアンウイ
ルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイル
ス、JCウイルス、乳癌ウイルス、ポリオウイルスな
ど)に由来するDNAのプロモーター、各種哺乳動物
(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスタ
ー、ラット、マウスなど)由来のプロモーター、例え
ば、アルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、
エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋ク
レアチンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グル
タチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子
β、ケラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI
型およびII型、サイクリックAMP依存タンパク質キ
ナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗
性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因
子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2
と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸
化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメ
ント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプ
ロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原
(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水
酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペ
プチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、α
およびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエ
リン基礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免
疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイド
Pコンポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑
筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシ
ンなどのプロモーターなどが用いられる。なかでも、全
身で高発現することが可能なサイトメガロウイルスプロ
モーター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1
α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプ
ロモーターなどが好適である。
【0055】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する
配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有しているこ
とが好ましく、例えば、ウィルス由来および各種哺乳動
物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましく
は、シミアンウィルスのSV40ターミネターなどが用
いられる。その他、目的とする外来性DNAをさらに高
発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、
エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部など
をプロモーター領域の5´上流、プロモーター領域と翻
訳領域間あるいは翻訳領域の3´下流 に連結すること
も目的により可能である。該翻訳領域は転移動物におい
て発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロ
モーターの下流および所望により転写終結部位の上流に
連結させる通常のDNA工学的手法により作製すること
ができる。受精卵細胞段階における本発明の外来性DN
Aの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のす
べてに存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在
することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞お
よび体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持する
ことを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこ
の種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべて
に本発明の外来性DNAを有する。
【0056】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持
することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おける本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確
保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において
本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動
物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発
明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発
明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNA
を過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つ
ホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配す
ることによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するよ
うに繁殖継代することができる。本発明の正常DNAを
有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現
させられており、内在性の正常DNAの機能を促進する
ことにより最終的に本発明のポリペプチドの機能亢進症
を発症することがあり、その病態モデル動物として利用
することができる。例えば、本発明の正常DNA転移動
物を用いて、本発明のポリペプチドの機能亢進症や、本
発明のポリペプチドが関連する疾患の病態機序の解明お
よびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能
である。また、本発明の外来性正常DNAを転移させた
哺乳動物は、遊離した本発明のポリペプチドの増加症状
を有することから、本発明のポリペプチドに関連する疾
患に対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能で
ある。
【0057】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科とし
て用いることができる。プロモーターとのDNAコンス
トラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製する
ことができる。受精卵細胞段階における本発明の異常D
NAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の
全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味す
る。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の
子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異
常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。本発明の異常DNAを有す
る非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させ
られており、内在性の正常DNAの機能を阻害すること
により最終的に本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリ
ペプチドの機能不活性型不応症となることがあり、その
病態モデル動物として利用することができる。例えば、
本発明の異常DNA転移動物を用いて、本発明のポリペ
プチドまたはヒト型ポリペプチドの機能不活性型不応症
の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行
なうことが可能である。また、具体的な利用可能性とし
ては、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のポリ
ペプチドまたはヒト型ポリペプチドの機能不活性型不応
症における本発明の異常ポリペプチドまたは異常ヒト型
ポリペプチドによる正常ポリペプチドまたは正常ヒト型
ポリペプチドの機能阻害(dominant negative作用)を
解明するモデルとなる。また、本発明の外来異常DNA
を転移させた哺乳動物は、遊離した本発明のポリペプチ
ドまたはヒト型ポリペプチドの増加症状を有することか
ら、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドの
機能不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験
にも利用可能である。
【0058】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはR
NAを直接分析するか、またはDNAにより発現された
ポリペプチド組織を分析することによる、本発明のポリ
ペプチドまたはヒト型ポリペプチドにより特異的に発現
あるいは活性化するポリペプチドとの関連性についての
解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異ポリペプチドまたは変異ヒト型ポリペプ
チドを単離精製およびその抗体作製などが考えられる。 さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のポ
リペプチドまたはヒト型ポリペプチドの機能不活性型不
応症などを含む、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポ
リペプチドに関連する疾患の臨床症状を調べることがで
き、また、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプ
チドに関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な
病理学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらに
は、該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献す
ることができる。また、本発明のDNA転移動物から各
臓器を取り出し、細切後、トリプシンなどのポリペプチ
ド(タンパク質)分解酵素により、遊離したDNA転移
細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行
なうことが可能である。さらに、本発明のポリペプチド
またはヒト型ポリペプチド産生細胞の特定化、アポトー
シス、分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにお
けるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べるこ
となどができ、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリ
ペプチドおよびその作用解明のための有効な研究材料と
なる。さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発
明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドの機能不活
性型不応症を含む、本発明のポリペプチドまたはヒト型
ポリペプチドに関連する疾患の治療薬の開発を行なうた
めに、上述の検査法および定量法などを用いて、有効で
迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供すること
が可能となる。また、本発明のDNA転移動物または本
発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発明のポ
リペプチドまたはヒト型ポリペプチドが関連する疾患の
DNA治療法を検討、開発することが可能である。
【0059】(8)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来の
β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不
活性化された第(1)項記載の胚幹細胞、(3)ネオマ
イシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、(4)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記載の胚幹
細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである第(4)項記載
の胚幹細胞、(6)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(7)該DNAがレポ
ーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポー
ター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制
御下で発現しうる第(6)項記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(6)項記
載の非ヒト哺乳動物、(9)ゲッ歯動物がマウスである
第(8)項記載の非ヒト哺乳動物、および(10)第
(7)項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポータ
ー遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のD
NAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0060】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドの活
性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的に
本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドの発現
能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称
することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、E
S細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、
前記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為
的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的
手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DN
Aを挿入または置換させることによって行なうことがで
きる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り
枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能
を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作
製すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト
哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES
細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)
の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物
が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分に
ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子
を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−
ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコ
ールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とする
レポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機
能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分
に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、poly
A付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャー
RNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝
子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA
鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、
例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得
られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその
近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイ
ゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上の
DNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した
本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマ
ーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウト
ES細胞を選別することにより得ることができる。
【0061】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでも
よい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的
には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的
背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免
疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなど
の目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/
6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善し
たBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2との
1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。B
DF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫である
という利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持
つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマ
ウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバックク
ロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウス
に代えることが可能である点で有利に用い得る。また、
ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の
胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚
盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期
胚を取得することができる。また、雌雄いずれのES細
胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列
キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の
手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行
なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法として
は、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の
遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例として挙げる
ことができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析
をするのに約106個の細胞数を要していたのに対し
て、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むの
で、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを
雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の
選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削
減できる。
【0062】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望ま
れる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るま
で単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊
培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々
のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J.
Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292
巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第7
8巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナ
ル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメン
タル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発
明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現
不全細胞は、インビトロにおける本発明のポリペプチド
またはヒト型ポリペプチドの細胞生物学的検討において
有用である。本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して間
接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区
別することが可能である。該非ヒト哺乳動物としては、
前記と同様のものが用いられる。
【0063】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のポリペプ
チドまたはヒト型ポリペプチドのヘテロ発現不全個体で
あり、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド
のヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から
本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドのホモ
発現不全個体を得ることができる。卵細胞を使用する場
合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション
法でDNA溶液を注入することによりターゲッティング
ベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒ
ト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニ
ック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより
本発明のDNA座に変異のあるものを選択することによ
り得られる。
【0064】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のポリペプチドま
たはヒト型ポリペプチドにより誘導され得る種々の生物
活性を欠失するため、本発明のポリペプチドまたはヒト
型ポリペプチドの生物活性の不活性化を原因とする疾病
のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び
治療法の検討に有用である。
【0065】(8a)本発明のDNAの欠損や損傷など
に起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物
のスクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病(例、唾液腺疾患
(例えば、口腔乾燥症、シェーグレン症候群、唾液腺
腫、唾液腺結石など)、免疫疾患(例えば、自己免疫疾
患、免疫不全症候群、免疫増殖性症候群、アレルギーな
ど)または感染症(例えば、HIV感染、HBV感染、
HCV感染、結核菌感染、日和見感染症など)また、口
腔から胃腸にかけての消化器官の疾病(口腔消化管障
害)など)に対して治療・予防効果を有する化合物のス
クリーニングに用いることができる。すなわち、本発明
は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合
物を投与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴
とする、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾
病に対して治療・予防効果を有する化合物またはその塩
のスクリーニング方法を提供する。該スクリーニング方
法において用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺
乳動物としては、前記と同様のものが挙げられる。試験
化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプ
チド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、
植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、こ
れら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化
合物であってもよい。具体的には、本発明のDNA発現
不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の
対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状
などの変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を
試験することができる。試験動物を試験化合物で処理す
る方法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用
いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわ
せて適宜選択することができる。また、試験化合物の投
与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適
宜選択することができる。例えば、膵臓機能障害に対し
て治療・予防効果を有する化合物をスクリーニングする
場合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に糖負荷
処置を行ない、糖負荷処置前または処置後に試験化合物
を投与し、該動物の血糖値および体重変化などを経時的
に測定する。
【0066】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物
であり、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチ
ド等の欠損や損傷などによって引き起こされる疾患
(例、唾液腺疾患(例えば、口腔乾燥症、シェーグレン
症候群、唾液腺腫、唾液腺結石など)、免疫疾患(例え
ば、自己免疫疾患、免疫不全症候群、免疫増殖性症候
群、アレルギーなど)または感染症(例えば、HIV感
染、HBV感染、HCV感染、結核菌感染、日和見感染
症など)また、口腔から胃腸にかけての消化器官の疾病
(口腔消化管障害)など)に対して治療・予防効果を有
するので、該疾患に対する安全で低毒性な治療・予防剤
などの医薬として使用することができる。さらに、上記
スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物
も同様に用いることができる。該スクリーニング方法で
得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の
塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有
機酸)や塩基(例アルカリ金属)などとの塩が用いら
れ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機
酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マ
レイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。該スクリーニング方法で
得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記し
た本発明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチドを含
有する医薬と同様にして製造することができる。このよ
うにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例
えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、
モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネ
コ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対
象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、炎症
性疾患の治療目的で該化合物を経口投与する場合、一般
的に成人(体重60kgとして)においては、一日につ
き該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.
0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与
する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与
量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例え
ば、唾液腺疾患の治療目的で該化合物を注射剤の形で通
常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき
該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約
0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10
mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。
他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与
することができる。
【0067】(8b)本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニン
グ方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。本発明
のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本
発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在する
ので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレ
ースすることにより、プロモーターの活性を検出するこ
とができる。
【0068】例えば、本発明のポリペプチドまたはヒト
型ポリペプチドをコードするDNA領域の一部を大腸菌
由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で置換
している場合、本来、本発明のポリペプチドまたはヒト
型ポリペプチドの発現する組織で、本発明のポリペプチ
ドまたはヒト型ポリペプチドの代わりにβ−ガラクトシ
ダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−
クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X
−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる
試薬を用いて染色することにより、簡便に本発明のポリ
ペプチドまたはヒト型ポリペプチドの動物生体内におけ
る発現状態を観察することができる。具体的には、本発
明のポリペプチドまたはヒト型ポリペプチド欠損マウス
またはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定
し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−g
alを含む染色液で、室温または37℃付近で、約30
分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM ED
TA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラク
トシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。ま
た、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出
してもよい。
【0069】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター
活性を促進または阻害する化合物である。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、
無機酸)や塩基(例、有機酸)などとの塩が用いられ、
とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。こ
の様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リ
ン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例
えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安
息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との
塩などが用いられる。本発明のDNAに対するプロモー
ター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のポ
リペプチドまたはヒト型ポリペプチドの発現を促進し、
該ポリペプチドの機能を促進することができるので、例
えば、唾液腺疾患(例えば、口腔乾燥症、シェーグレン
症候群、唾液腺腫、唾液腺結石など)、免疫疾患(例え
ば、自己免疫疾患、免疫不全症候群、免疫増殖性症候
群、アレルギーなど)または感染症(例えば、HIV感
染、HBV感染、HCV感染、結核菌感染、日和見感染
症など)また、口腔から胃腸にかけての消化器官の疾病
(口腔消化管障害)などの疾病に対する安全で低毒性な
治療・予防剤などの医薬として有用である。さらに、上
記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合
物も同様に用いることができる。
【0070】該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のポリペ
プチドまたはヒト型ポリペプチドまたはその塩を含有す
る医薬と同様にして製造することができる。このように
して得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例え
ば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モ
ルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、
イヌ、サルなど)に対して投与することができる。該化
合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投
与ルートなどにより差異はあるが、例えば、唾液腺疾患
の治療目的で本発明のDNAに対するプロモーター活性
を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人
(体重60kgとして)においては、一日につき該化合
物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50
mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非
経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与
対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、唾液
腺疾患の治療目的で本発明のDNAに対するプロモータ
ー活性を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60
kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約
0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20m
g程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈
注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合
も、60kg当たりに換算した量を投与することができ
る。一方、例えば、本発明のDNAに対するプロモータ
ー活性を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に
成人(体重60kgとして)においては、一日につき該
化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜
50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与す
る。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量
は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、本発明
のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を
注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。このように、本発明の
DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対
するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物ま
たはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であ
り、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因
究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することが
できる。さらに、本発明のポリペプチドまたはヒト型ポ
リペプチドをコードする遺伝子は、マウスやヒトにおい
て、特に唾液腺組織で極めて大量に発現していることか
ら、該遺伝子のプロモーター配列は、目的タンパク質
(任意の有用遺伝子産物など)を非ヒト温血動物の唾液
腺で大量に発現させるためのプロモーターとして好都合
である。非ヒト温血動物としては、例えば上述の温血動
物として例示したものと同様のものなどがあげられる。
すなわち、本発明は、配列番号:9または配列番号:1
0で表されるアミノ酸配列を含有することを特徴とする
ポリペプチドをコードする遺伝子のプロモータ−領域の
下流(3'末端側)に目的タンパク質(任意の有用遺伝
子産物など)を連結し、非ヒト動物に導入することによ
る目的タンパク質(任意の有用遺伝子産物など)を非ヒ
ト温血動物の唾液腺特異的に発現させる方法を提供す
る。該目的タンパク質(任意の有用遺伝子産物など)と
しては、例えば、サイトカイン(例、インターロイキ
ン、インターフェロン、ケモカイン、造血因子)、増殖
因子(例、EGF(epidermal growth factor)またはそれ
と実質的に同一の活性を有する物質(例えば、EGF、ハ
レグリン(HER2リガンド)など)、インシュリンまたは
それと実質的に同一の活性を有する物質(例えば、イン
シュリン、IGF(insulin-like growth factor)−1、IG
F−2など)、FGF(fibroblast growth factor)または
それと実質的に同一の活性を有するもの(例えば、aFG
F、bFGF、KGF(Keratindcyte Growth Factor)、HGF(Hepa
tocyte Growth Factor)、FGF-10など)、その他の細胞
増殖因子(例えば、CSF(colony stimulating facto
r)、EPO(erythropoietin)、IL-2(interleukin-2)、N
GF(nerve growth factor)、PDGF(platelet-derived gr
owth factor)、TGFβ(transforming growth factor
β))など)、ホルモン(例、黄体形成ホルモン放出ホ
ルモン(LH−RH)、成長ホルモン、成長ホルモン放
出ホルモン(GH−RH)、プロラクチン、メラノサイ
ト刺激ホルモン、甲状腺ホルモン放出ホルモン、甲状腺
刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、黄体ホルモン、卵胞
刺激ホルモン、ガストリン、モチリン、ソマトスタチ
ン、セクレチン、グルカゴン、PACAP、VIPな
ど、消化酵素(例、アミラーゼ、ペプシノーゲン、リパ
ーゼなど)、病原体に対する抗体(例、病原性サルモネ
ラ菌などの病原性細菌に対する抗体、インフルエンザな
どの病原性ウイルスに対する抗体、エキノコックスなど
の寄生虫に対する抗体など)、抗菌ポリペプチド(例、
セクロピン、ヒスタチン、インドリシジン、プロテグリ
ン、ディフェンシン、リゾチームなど)などの有用遺伝
子産物などがあげられる。上記の目的タンパク質のう
ち、 サイトカインを唾液腺特異的に発現させることによ
って、例えば、非ヒト温血動物の免疫力の増強などが達
成でき、 増殖因子を唾液腺特異的に発現させることによっ
て、例えば、非ヒト温血動物の粘膜組織の保護などが達
成でき、 ホルモンを唾液腺特異的に発現させることによっ
て、例えば、非ヒト温血動物の成長促進などが達成で
き、 消化酵素を唾液腺特異的に発現させることによっ
て、例えば、非ヒト温血動物の餌からのエネルギー摂取
効率の向上などが達成でき、 抗菌ポリペプチドを唾液腺特異的に発現させること
によって、例えば、非ヒト温血動物の病原菌の感染に対
する抵抗力の向上などが達成でき、 病原体に対する抗体を唾液腺特異的に発現させるこ
とによって、例えば、非ヒト温血動物の病原体の経口感
染・気道感染経路の遮断(粘膜免疫の増強)などが達成
できる。 以下に、配列番号:9または配列番号:10で表される
アミノ酸配列を含有することを特徴とするポリペプチド
をコードする遺伝子のプロモータ−領域の下流(3'末
端側)に目的タンパク質(任意の有用遺伝子産物など)
をコードするDNAまたはRNAを連結し、非ヒト動物
に導入することによる目的タンパク質(任意の有用遺伝
子産物など)を非ヒト温血動物の唾液腺特異的に発現さ
せる方法についてより具体的に記載する。まず、配列番
号:9または配列番号:10で表されるアミノ酸配列を
含有することを特徴とするポリペプチドをコードする遺
伝子のプロモータ−は、プラークハイブリダイゼーショ
ンやPCRなどの自体公知の方法(例えば、モレキュラ
ー・クローニング(Molecular Cloning) 2nd (J. Samb
rook et al., Cold SpringHarbor Lab. Press, 1989)に
記載の方法など)によって得ることができる。また、プ
ロモーター活性を有する領域の同定は、レポーターアッ
セイなどの自体公知の方法(例えば、アナリティカル
バイオケミストリー(Analytical Biochemistry),1
88巻,245頁(1990年)に記載の方法など)によっ
て得ることができる。次に上記の方法によって得られる
プロモータ−の下流(3'末端側)に目的タンパク質
(任意の有用遺伝子産物など)を連結するためには、T
4DNAリガーゼを用いてプラスミドを構築するための
自体公知の方法(例えば、モレキュラー・クローニング
(Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al., Col
d SpringHarbor Lab. Press, 1989)に記載の方法など)
によって目的を達成する事が出来る。プロモータ−の下
流(3'末端側)に目的タンパク質(任意の有用遺伝子
産物など)をコードするDNAを連結したものを非ヒト
温血動物に導入するためには、エレクトロポーレイショ
ンを用いる方法、遺伝子銃を用いる方法、レトロウイル
スベクターを用いる方法(例えば、ブラッド セルズ(B
lood Cells),17巻,407頁(1991年)に記載の方
法など)、アデノウイルスベクターを用いる方法(例え
ば、パソロジー(Pathology),30巻,335頁(199
8年)に記載の方法など)などがある。
【0071】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commision on Biochemical Nomenclature による略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、
その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとす
る。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0072】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
【0073】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0074】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 [配列番号:1]本発明のヒト由来ポリペプチドのアミ
ノ酸配列を示す。 [配列番号:2]本発明のマウス由来ポリペプチドのア
ミノ酸配列を示す。 [配列番号:3]配列番号:1で表されるアミノ酸配列
を有する本発明のヒト由来ポリペプチドをコードするD
NAの塩基配列を示す。 [配列番号:4]配列番号:2で表されるアミノ酸配列
を有する本発明のマウス由来ポリペプチドをコードする
DNAの塩基配列を示す。 [配列番号:5]本発明のヒト由来ポリペプチドの部分
アミノ酸配列を示す。配列番号:1で表されるアミノ酸
配列の第18番目から第85番目に相当する。 [配列番号:6]本発明のマウス由来ポリペプチドの部
分アミノ酸配列を示す。配列番号:2で表されるアミノ
酸配列の第17番目から第84番目に相当する。 [配列番号:7]配列番号:5で表されるアミノ酸配列
を有する本発明の部分アミノ酸配列をコードするDNA
の塩基配列を示す。 [配列番号:8]配列番号:6で表されるアミノ酸配列
を有する本発明の部分アミノ酸配列をコードするDNA
の塩基配列を示す。 [配列番号:9]本発明のヒト由来ポリペプチドの部分
アミノ酸配列を示す。配列番号:1で表されるアミノ酸
配列の第18番目から第27番目に相当する。 [配列番号:10]本発明のマウス由来ポリペプチドの
部分アミノ酸配列を示す。配列番号:2で表されるアミ
ノ酸配列の第17番目から第26番目に相当する。 [配列番号:11]配列番号:9で表されるアミノ酸配
列を有する本発明の部分アミノ酸配列をコードするDN
Aの塩基配列を示す。 [配列番号:12]配列番号:10で表されるアミノ酸
配列を有する本発明の部分アミノ酸配列をコードするD
NAの塩基配列を示す。 [配列番号:13]実施例3で用いられたプライマーP
R1の塩基配列を示す。 [配列番号:14]実施例3で用いられたプライマーP
R2の塩基配列を示す。 [配列番号:15]実施例4で用いられたプライマーP
R3の塩基配列を示す。 [配列番号:16]実施例4で用いられたプライマーP
R4の塩基配列を示す。 [配列番号:17]実施例4で用いられたプライマーP
R5の塩基配列を示す。 [配列番号:18]実施例4で用いられたプライマーP
R6の塩基配列を示す。 [配列番号:19]実施例6で用いられたプライマーP
R7の塩基配列を示す。 [配列番号:20]実施例6で用いられたプライマーP
R8の塩基配列を示す。 [配列番号:21]実施例6で用いられたプライマーP
R9の塩基配列を示す。 [配列番号:22]実施例8で用いられた合成DNAプ
ローブPR10の塩基配列を示す。 [配列番号:23]実施例8で用いられた合成DNAプ
ローブPR11の塩基配列を示す。 [配列番号:24]実施例8で用いられた合成DNAプ
ローブPR12の塩基配列を示す。 [配列番号:25]実施例8で用いられた合成DNAプ
ローブPR13の塩基配列を示す。
【0075】形質転換体エシェリヒア コリ(Escheric
hia coli)DH5α/pDRL776Hは後述の実施例
3で得られたプラスミドpDRL776Hを含有する形
質転換体であり、平成11年2月1日から通商産業省工
業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番
号FERM BP−6631として、平成10年9月1
8日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号I
FO 16207として寄託されている。後述の実施例
8で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escheric
hia coli)XL1−Blue MRF’/pDRL77
6Mは、平成11年4月5日から通商産業省工業技術院
生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FER
MBP−6692として、平成11年3月3日から財団
法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 162
61として寄託されている。
【実施例】以下に、参考例と実施例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるもので
はない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作は、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載さ
れている方法に従った。
【0076】 参考例1 動物細胞発現ベクターpCAN618の構築 SV40初期遺伝子プロモーターの下流にネオマイシン
耐性遺伝子を持つプラスミドpBK/CMV(4512
bp)(ストラタジーン社)をBsu36I(ニューイ
ングランドバイオラブズ社)で消化し、得られた1.6
kbp断片をDNAポリメラーゼI Klenow fragment
(宝酒造)処理し、ネオマイシン耐性遺伝子を含む平滑
末端化した断片を得た。この断片をpME18S(34
11bp)をSmaI(宝酒造)消化したプラスミドと
ligationし、pME18S/Neo(5040bp)を
得た。次に、サイトメガロウイルスの極初期遺伝子エン
ハンサーの下流にβ−アクチンプロモーターを持つpC
XN2のHincII部位にHindIIIリンカー
(宝酒造)を導入したプラスミドHindIII(宝酒
造)、EcoRI(宝酒造)二重消化し、サイトメガロ
ウイルスの極初期遺伝子エンハンサーの下流にβ−アク
チンプロモーターを含む1.7kb断片を得た。この断
片をpME18S/NeoをHindIII、EcoR
I二重消化して得られる4.2kbp断片とligation
し、動物細胞発現ベクターpCAN616(5969b
p)を得た。さらに、pCAN616をXhoI(宝酒
造)消化した後自己閉環させ、マルチクローニング部位
からstuffer領域を取り除いた動物細胞発現ベクターp
CAN617(5585bp)を得た。一方で、pCA
N616をEcoRI、XhoI二重消化した5.6k
b断片に、EcoRI−SalI−XhoI部位を含む
17merの合成オリゴヌクレオチドをligationし、最
終的に動物細胞発現ベクターpCAN618(5595
bp)を得た。
【0077】実施例1 ESTデータベースからのクロ
ーンの選択とTGC-776の塩基配列の解析 スミスクラインビーチャム(SB)社から供給されてい
るESTデータベースの中から分泌のためのシグナル配
列とプロセシング部位をコードすると思われるクローン
を選択した。具体的には、各ESTのDNA配列をアミ
ノ酸配列に翻訳し、Metの後に疎水性アミノ酸(Leu、Il
e、Val、Alaなど)のクラスターを有し、かつ同一フレ
ーム内にプロセシング部位に保存された配列(Arg-Ar
g、Lys-Arg、Lys-Lys)を有するクローンを選択した。
その結果、これらの条件を満たすESTクローンとしてHG
S:207840(HLYDM16)を発見した。ただし、EST配列で
は、通常欠失、挿入、読み間違いなどの可能性があると
同時に部分配列であるため、本クローンをTGC-776とし
てSB社から取り寄せ、該プラスミドDNAの挿入DNA断片の
全塩基配列を決定した。具体的には、該精製プラスミド
DNAを鋳型に、またSP6プライマー(宝酒造)又はT7プラ
イマー(宝酒造)を用いてサイクルシーケンス反応を行
い、得られた反応物を蛍光DNAシーケンサー(ABI PRISMT
M 377 , Perkin Elmer)で解析した。その結果、本クロ
ーンの挿入配列は図1に示すようにポリA配列を除く4
66塩基対からなり、配列番号:1で表わされる85ア
ミノ酸残基のポリペプチドをコードする、配列番号:3
で表わされる258塩基のオープンリーディングフレー
ムを有していることが判明した。
【0078】実施例2 発現部位の解析 実施例1に記載のプラスミドの挿入DNA断片(NcoI−SalI
0.2 kb) 50 ngと(α-32P)dCTP(デュポン社)、並び
にMultiprime DNA labeling system (Amersham: RPN.16
01Y)を用いて標識DNAプローブを作製した。このプロー
ブを用いて、ヒトマルチティッシュノーザンブロット(C
LONTECH社: #7759-1、#7760-1)に対してノーザンブロッ
ト解析を行った。ハイブリダイズ及び洗浄の条件はヒト
マルチティッシュノーザンブロットに添付のマニュアル
に従って行い、検出はBAS-2000(富士フィルム)を用い
て行った。その結果、TGC-776のmRNAは、大きさは約0.6
kbであり、リンパ節、気管で発現が観察され(図2)、
臓器、組織特異的な遺伝子発現を呈することが明らかと
なった。また、ヒト各組識のpoly(A)+RNAをあらかじめ
ドットブロッティングしてあるメンブレンフィルター
(RNA Master blot,クロンテック社)を用いて解析した
結果、唾液腺での発現がもっとも多く、虫垂、リンパ
節、気管などでも発現が観察された(図3)。唾液腺由
来のmRNAを用いたノーザンブロット解析から、mRNAの大
きさは約0.55kbであったことから、TGC-776のcDNA断片
は該mRNAの逆転写産物のほぼ全長にあたると考えられ、
配列番号:1で表わされたポリペプチドが本遺伝子産物
と考えられた(図1)。
【0079】 実施例3 TGC-776の動物細胞発現プラスミドの構築 TGC-776のオープンリーディングフレームが増幅される
ように設計し、DNA合成機(オリゴ1000M、ベックマン
社)で合成した2種のプライマーDNA、PR1(配列番
号:13)、及びPR2(配列番号:14)と、実施例
1に記載のプラスミドDNAを鋳型に用いてPCRを行った。
反応は、Takara LA Taq(宝酒造)を用い、サーマルサ
イクラーGeneAmpR PCR system 9700(パーキンエルマー
社)にて、最初 94℃で 75秒間置いた後、94℃で 10
秒、55℃で 5秒、72℃で 30秒を 1反応サイクルとして
25 サイクル繰返し、最後に 72℃で2分間反応させた。
得られたDNA断片を制限酵素BamHIとHindIIIで末端消化
後、動物細胞用発現ベクターpcDNA3.1(-)(Invitrogen
社)のBamHI、HindIII部位へ挿入し、プラスミドpDRL776
Hを得た。
【0080】実施例4 COS7細胞でのFLAG融合タンパク
質の発現とその検出 実施例1で得た TGC-776 cDNAの塩基配列 に基づき、プ
ライマーDNA、PR3及びPR4を合成した。PR3は
5'-AGCTACTAGTCCGCCATGAAGAAAGTTCTCCTCCTG-3'(配列番
号:15 )であり、制限酵素認識部位を含むアンカー
配列を 5' 端に持つ +1〜+21(翻訳開始部位を +1 とす
る)までのセンス配列を含むオリゴマーである。PR4
は 5'-AGCTTACTTGTCATCGT-CGTCCTTGTAGTCCTTTTCGCTAGGA
AGGGGAGTTGT-3'(配列番号:16)であり、8 アミノ酸
の FLAG 抗体認識配列をコードする塩基配列を含むアン
カー配列を 5' 端に持つ +229〜+255 までのアンチセン
ス配列を含むオリゴマーである。また PCR( polymeras
e chain reaction )用のプライマーとしてPR5及び
PR6を合成した。PR5は 5'-AGAATTCAGCTACTAGTCCG
CCATGAAGAAAG-3' (配列番号:17)であり、制限酵素
認識部位を含むアンカー配列を 5' 端に持ち、上記オリ
ゴマーPR3の配列を一部含むオリゴマーである。PR
6は 5'-AAAGCTTACTTGTCATCGTCGTCCTT-3' (配列番号:
18)であり、制限酵素認識部位を含み、上記オリゴマ
ーPR4の配列を一部含むオリゴマーである。上記 TGC
-776 cDNA を鋳型として上記オリゴマーPR3及びPR
4及びTaq polymerase を用いて PCR を行なった。反応
条件は最初 95℃で 1 分間置いた後、95℃で 0.5 分、6
0℃で 1 分、72℃で 2 分を 1 サイクルとして 30 サイ
クル繰返し、最後に 72℃で 10 分間反応させた。得ら
れたDNA 断片を鋳型として上記オリゴマーPR5及びP
R6及び Taq polymerase を用いて PCR を行なった。
反応条件は最初 94℃で 1 分間置いた後、98℃で 20
秒、55℃で 20 秒、72℃で 2 分を 1 サイクルとして 2
5 サイクル繰返し、最後に 72℃で 5 分間反応させた。
反応後、特異的に増幅された DNA 断片を制限酵素 EcoR
I 及び HindIII で切断し、得られた約 0.3 kbp の断片
を pcDNA3.1(-)( Invitrogen )のEcoRI/HindIII 部
位に挿入して p776FLAG を得た。このプラスミドを制限
酵素Pme I で切断し、末端に XhoI リンカーを付加し
た。さらにこれを制限酵素 EcoRI 及び XhoI で切断
し、得られた約 0.3 kbp の断片を参考例1に記載の発
現ベクター pCAN618 の EcoRI/XhoI 部位に挿入して p
776FLAG-3 を得た。COS7 細胞 1.2×105 細胞を 6 穴プ
レートを用いて、10%牛胎児血清( FBS )を含むダルベ
ッコ変法最小培地( DMEM )で 24 時間培養し、この細
胞に上記の発現プラスミド( p776FLAG-3 )1μg をリ
ポフェクトアミン( GibcoBRL )を用いて導入した。導
入 24 時間後新しい培地に交換し、さらに 6 時間後 FB
S を含まない Opti-MEM( GibcoBRL )に換えて 16-18
時間培養した後、培養上清と細胞抽出液を得た。細胞抽
出液は細胞を生理食塩を含むリン酸緩衝液( PBS )で
2 回洗浄後、SDS サンプル用緩衝液で溶解抽出した。培
養上清を限外濾過(分子量 3000 カット)で 20-40 倍
に濃縮した。このサンプル及び上記の細胞抽出物を 16%
SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動( Peptide-PAG
E;TEFCO )で分画し、PVDF 膜( Amersham )に転写し
た。これをブロックエース(雪印乳業)で 1 時間ブロ
ッキングし、0.05% Tween 20 を含む PBS( PBS-T )中
で抗 FLAG モノクローナル抗体( 10μg/ml;Kodak )
と 1 時間反応させた。PBS-T で 2 回洗浄後、PBS-T 中
で、西洋ワサビ過酸化酵素標識抗マウス IgG ヤギ抗体
( Amersham;5000 倍希釈)と 1 時間反応した。PBS-T
で 5 回洗浄後、ECLplus 発色キット( Amersham )及
び ECL film ( Amersham)を用いて検出した。その結
果、培養上清中に約8kDaの遺伝子産物が分泌されてい
ることが確認された(ウェスタンブロッティング、図
4)。
【0081】実施例5 昆虫細胞でのFLAG融合タンパク
質の発現とその検出 本発明のポリペプチドの昆虫細胞での発現は、Bac-To-B
acバキュロウイルス発現システム(ギブコ・ビーアール
エル社)を用いて行った。本システムは以下の4ステッ
プからなる。 (1) 目的遺伝子をドナープラスミドpFastBac1に挿入
し、得られた組換えプラスミドを大腸菌DH10Bacへ導入
する。 (2) 該組換えプラスミドに挿入された目的遺伝子
を、DH10Bacが保持するバキュロウイルスベクター(バ
ックミド)へ転位させる。 (3) 目的遺伝子が挿入された組換えバックミドを保
持する大腸菌株を選択した後、該菌体からバックミドDN
Aを単離する。 (4) 得られたバックミドDNAを昆虫細胞に感染させ、
目的遺伝子を発現させる。 本発明のポリペプチドのカルボキシル末端にFLAGペプチ
ド配列(Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys)が付加され
た組換えタンパク質をコードするDNA断片は、実施例4
に記載の方法で取得した。得られた増幅DNA断片は、制
限酵素SpeIで消化した。一方、ドナープラスミドとして
用いるpFastBac1も制限酵素PstIで消化後、T4DNA
ポリメラーゼを用いて平滑末端とし、続いてSpeIを用い
て消化後、アガロースゲル電気泳動、キアクイックゲル
抽出キット(キアジェン社)によって回収、精製した。
この線状化したプラスミドに上記の精製PCR増幅断片を
挿入、連結させた後、大腸菌DH5αに導入し、得られた
アンピシリン耐性株より目的プラスミドDNAを選択・単
離した。組換えプラスミドにクローン化されたDNA断片
の塩基配列とその挿入形態を実施例1と同様な自体公知
の方法にて確認の後、該プラスミドをバックミドへ転位
させるため、該プラスミドを大腸菌DH10Bacへ導入し
た。即ち、まず該プラスミドDNAを100μlのDH10Bacコン
ピテント大腸菌懸濁液に添加し、30分間氷中で放置した
後、42℃で45秒間加温し、さらに氷中で2分間放置後、9
00μlのSOC培地を添加し、37℃で4時間培養した。培養
後、大腸菌懸濁液を段階希釈し、50μg/mlカナマイシ
ン、7μg/mlゲンタマイシン、10μg/mlテトラサイクリ
ン、100μg/ml Bluo-gal、及び40μg/ml IPTGを含むル
リア寒天培地に塗布し、37℃にて一晩培養した。出現し
てきた薬剤耐性コロニーの中から、組換えバックミドを
有する白色コロニーを選択し、50μg/mlカナマイシン、
7μg/mlゲンタマイシン、10μg/mlテトラサイクリンを
含有したLB培地2mlに植菌し、37℃にて一晩再培養し
た。次に、該大腸菌より以下の方法によりバックミドを
単離、精製した。まず、培養液から遠心操作により回収
した菌体に対し、0.3 mlの溶液I(15mMトリス塩酸緩衝
液pH8.0、10 mM EDTA、100μg/ml RNase A)及び0.3 ml
の溶液II(0.2N水酸化ナトリウム、1% SDS)を加えて
ゆっくりと混合し、室温で5分間放置した。その後、0.3
mlの3M酢酸カリウム(pH5.5)を加え攪拌し、10分間氷
中に放置した。次に室温にて14,000 x gで15分間遠心し
た後、上澄みを回収し、これにイソプロパノールを0.8m
l添加した。数回攪拌し氷中に10分間放置した後、室温
にて14,000 x gで15分間遠心を行った。上澄みを除いた
後、0.5mlエタノールを数回攪拌した後、さらに室温に
て14,000 x gで15分間遠心を行った。上澄みを除き、室
温で10分間放置しペレットを乾燥した後、40μlのTE緩
衝液に溶解して組換えバックミドDNA溶液とした。Sf9細
胞へのバックミドDNAの感染、及び組換えバキュロウイ
ルスストック液の作製は、キットに添付の方法に従って
行った。得られた組換えバキュロウイルスを用いて、Sf
9細胞での発現実験を行った。6ウェルプレートに1ウ
ェル当たり1x106細胞を無血清培地(Sf-900II SFM,
GIBCO BRL )3ml中で培養し、10μlのウイルスス
トック液を添加し、27℃で3日間培養した。その後培
養上清と細胞をそれぞれ回収し、実施例4に記載のウェ
スタンブロッティングの方法で産物を検出した結果、培
養上清と細胞の両方に遺伝子産物が検出され、昆虫細胞
でも分泌発現することが確認された。
【0082】実施例6 ヒト TGC-776 ポリペプチドの
大腸菌中での発現プラスミドの作製ヒト TGC-776ポリペ
プチドを大腸菌中で大量に発現させるために、まずヒト
TGC-776 ポリペプチドを thiredoxin との fused prot
ein の形で発現させ、ヒトTGC-776 ポリペプチドの部分
のみを切り出すことを行った。まず最初にヒト TGC-776
ポリペプチドの 30 番目のセリンから85 番目のプロリ
ンまでの 56 アミノ酸残基から成るポリペプチドの発現
プラスミドの構築を行った。このヒト TGC-776 ポリペ
プチドをコードする部分の DNA はコドンを大腸菌の至
適コドンに変換した 2 本の部分に相補的な合成 DNA を
アニーリングの後に Klenow fragmentで fill-in を行
うことによって得た。順方向の合成 DNA はKpnI部位に
続いて enterokinase の認識部位である Asp-Asp-Asp-
Asp-Lys の5 アミノ酸に相当する塩基配列を持ち、この
直後から実施例 1 で得たヒト TGC-776 ポリペプチド
の30 番目のセリンから 59 番目のプロリンまでのアミ
ノ酸配列に相当するコドンを大腸菌の至適コドンにした
PR7 117 mer (配列番号:19)で逆方向の合成 DN
A は 52 番目のプロリンから 85番目のリジンまでのア
ミノ酸配列に相当するコドンを大腸菌の至適コドンを持
ち、この後に終始コドン TAG 次にもう一つの終始コド
ン TAA を導入し末端にHindIII部位を持つようにしたP
R8 117mer (配列番号:20)で、末端部分の 24bp
が相補的な配列となっている。Klenow fragment で fil
l-in する事によって得られた DNA 断片をKpnI, HindII
I で二重消化した後、pT7T1-2 のKpnI- HindIII 部位に
導入し、thioredoxin- ヒト TGC-776 ( 30Ser ) 融合タ
ンパク質発現プラスミド pT7T1-2/H776 ( 30Ser ) を得
た。さらに、ヒト TGC-776 ポリペプチドの 18 番目の
フェニルアラニンから85 番目のリジンまでの 68 アミ
ノ酸残基から成るポリペプチドの発現プラスミドの構築
を行った。このヒト TGC-776 ポリペプチドをコードす
る部分の DNA は上記で得たthioredoxin- ヒト TGC-776
( 30Ser ) 融合タンパク質発現プラスミド pT7T1-2/H7
76 ( 30Ser ) を鋳型にして大腸菌の至適コドンに変換
した 2 本のプライマーを用いて PCR を行うことによっ
て得た。この際に用いたプライマ−のうち順方向のプラ
イマ-はKpnI部位に続いて enterokinase の認識部位で
ある Asp-Asp-Asp-Asp-Lys の5 アミノ酸に相当する塩
基配列を持ち、この直後から実施例 1 で得たヒト TGC-
776 ポリペプチド の18 番目のフェニルアラニンから 4
1番目のフェニルアラニンまでのアミノ酸配列に相当す
るコドンを大腸菌の至適コドンにしたPR9 99 mer
(配列番号: 21 )で逆方向のプライマーは上記で用
いたPR8(配列番号: 20 )の合成 DNA である。P
CR によって得られたDNA 断片をKpnI, HindIII で二重
消化した後、pT7T1-2 のKpnI- HindIII 部位に導入し、
thioredoxin- ヒト TGC776 ( 18Phe ) 融合タンパク質
発現プラスミドpT7T1-2/H776 ( 18Phe ) を得た。
【0083】実施例7 Thioredoxin- ヒト TGC-776 (
18Phe ) 融合タンパクを発現している大腸菌からの ヒ
ト TGC-776 ( 18Phe ) ポリペプチドの精製 実施例6で得た thioredoxin- ヒト TGC-776 ( 18Phe )
融合タンパク発現プラスミド pT7T1-2/H776 ( 18Phe )
を用いて形質転換した Escherichia coli BL21(DE3)/
pLysS 株を 100μg/ml アンピシリン ( 明治製菓 )、
34μg/mlクロラムフェニコール ( 和光純薬 ) を含
む M9ZB 培地中で24℃で培養し、O.D.600≒0.6 となっ
たところで isopropyl-β-D-thiogalactopylanoside (
IPTG )1mM ( final ) を加えて発現を誘導し、さらに 4
時間培養を続けた後、菌体を集菌した。この菌体を凍
結融解して破砕した後、塩酸グアニジンを用いて可溶化
し、ニッケルキレートカラム ( アマシャムファルマシ
アバイオテック ) にかけ、thioredoxin- ヒト TGC-776
( 18Phe ) 融合タンパクを精製した。次に、精製した
ヒト TGC-776 ( 18Phe ) ポリペプチドを enterokinase
( New England Biolabs ) で処理して、SDS-PAGE 上
で約 8kDaのヒト TGC-776 ( 18Phe ) ポリペプチドを切
り出した。切り出されたヒト TGC-776 ( 18Phe ) ポリ
ペプチドは、ゲル濾過クロマトグラフィー( アマシャム
ファルマシアバイオテック ) 、C18 HPLC ( ヴァイダッ
ク )を用いて、SDS-PAGE /Coomassie Brilliant Blue
染色でほぼ単一にまで精製した。
【0084】実施例8 TGC-776 マウスカウンタ−パ−
ト cDNA のクローニング 8週令雄性 C57 BL/6J マウス( 日本 Charles River 社
)を断頭により瞬時に屠殺した後顎下線を摘出し、acid
-phenol-guanidine chloroform 法によって全RNA を調
製した。ここで得られた全 RNA からオリゴ(dT)セルロ
ースカラム ( ファルマシア社 ) によってポリ(A)+ RNA
画分を調製した。このポリ( A )+ RNA 5μg をXhoI部
位を末端に持つオリゴ(dT) プライマーと SuperScript
IIMMLV RNase H- 逆転写酵素 ( GIBCO BRL社 )
を用いて first strand DNA を合成した後、E.coli DNA
polymerase I、RNase H を用いて second strand DNA
を合成し、ポリ( A )+ RNA から 2本鎖 cDNA を得た。
この 2本鎖 DNA を Pfu DNA polymerase ( ストラタジ
ーン社) で処理し末端を平滑化した後、 EcoRIアダプタ
ーを付加した。この両末端に EcoRIアダプターが付加さ
れた2本鎖 DNA に T4 ポリヌクレオチドキナ−ゼ ( 宝
酒造 ) を用いてEcoRIアダプター にリン酸基を導入し
た。この cDNA をXhoIで消化した後、ゲル濾過によって
約 400bp 以下の cDNA を除去し、λZAPII Eco RI- Xh
oIアーム ( ストラタジーン 社) に組み込んだ。この組
み換え体ファ−ジ DNA をin vitro パッケージングを行
い、全体で約4.9×107 pfu の C57 BL/6J マウス顎下線
cDNA ライブラリー( 挿入率 99% 以上)を作製した。こ
の cDNA ライブラリーのλファージを大腸菌 XL 1-Blue
MRF'株に感染させた後、軟寒天プレート上に約 2.0×1
04プラークづつ 132 枚にまき、37℃で一晩インキュベ
ートしてプラークを形成させた。プラークをナイロンメ
ンブレンフィルター ( Biodyne B, 日本ポ−ル 社 ) 上
に移した後、変性溶液( 0.5N 水酸化ナトリウム, 1.5M
塩化ナトリウム)、中和溶液( 0.5M トリス-塩酸 (p
H.7.0), 1.5M 塩化ナトリウム )、2×SSC ( 20×SSC=
3M 塩化ナトリウム, 0.3M クエン酸ナトリウム ) で
順次処理し、風乾後、紫外線照射を行いファージ DNA
をナイロンメンブレンフィルター上に固定した。一方、
プローブとして TGC-776 の ORF の第 20 番目から 34
番目のアミノ酸配列に相当する塩基配列をもとに合成し
た部分的に相補的な 30 mer の 2 本の合成オリゴヌク
レオチドPR10(配列番号:22)及びPR11(配
列番号:23)と、第 21 番目から 36 番目のアミノ酸
配列に相当する塩基配列をもとに合成した部分的に相補
的な 36 mer PR12(配列番号:24) と 34 mer
PR13(配列番号:25)の 2 本の合成オリゴヌク
レオチドを用いて、2 種類のプローブを作製した。プロ
−ブの標識はまず前述の 4 本のオリゴヌクレオチドを7
0℃で 10 分変性した後、70℃から室温まで徐々に温度
を下げてそれぞれ 2本のオリゴヌクレオチドのアニ−リ
ングを行なった。次に、[α-32P] dCTP ( 6000Ci/mmol,
20mCi/ml )( NEN 社 )、dATP、dGTP、dTTP (ファルマ
シア社)、Klenow fragment ( NEB 社 ) を用いて 1 本
鎖部分を fill-in していくプライマ-エクステンション
法によって標識を行い、最終的に比活性約 1.7×109cpm
/mg の45mer と 47mer の 2 種類のオリゴヌクレオチド
プロ−ブを得た。ハイブリダイゼーションは標識プロー
ブを含むハイブリダイゼーション用緩衝液 [ 0.5M Na-P
O4 ( pH7.2), 7% SDS, 1% BSA, 1mM EDTA ] 中 50℃で
ハイブリダイゼーションを行った。フィルターは最終的
に 2×SSC, 0.1% SDS 液中 55℃で洗浄後、オートラジ
オグラムをとってプローブとハイブリダイゼーションす
るプラークを検索した。この方法を繰り返して、シング
ルクローンにまで純化したファージクローンλmTGC776-
1,2,3,4,5,6,8,10 の 8 クロ−ンにそれぞれヘルパーフ
ァージを感染させてin vivo 切り出しを行い、pBluesc
ript SK (-) のEcoRI- XhoI部位にcDNA断片が挿入され
ているプラスミドを大腸菌 XLOLR 株に回収し、pmTGC77
6-1,2,3,4,5,6,8,10 を得た。これらのプラスミドを保
持している大腸菌株 XLOLR を培養した後、QIAGEN Plas
mid Mini Kit ( キアゲン社 ) を用いてプラスミドDNA
を精製し、Big DyeTM Terminator Cycle Sequencing Re
ady Reaction Kit ( パーキンエルマー 社 )を用いて
反応を行い、挿入されているcDNA 断片の塩基配列をDNA
シークエンサー 377 ( パーキンエルマー 社 ) を用い
て決定した。このうち、 pmTGC776-1 は poly(A)+ 鎖を
含む 456bp から成る cDNA 断片を保持しており、このc
DNA 断片には 16 アミノ酸のシグナルペプチドを含む 8
4 アミノ酸からなる TGC-776 マウスカウンターパート
がコードされていた(図5) 。 TGC-776 マウスカウンタ
ーパートのアミノ酸配列は TGC-776 のアミノ酸配列と
30.9%の相同性を有していた。本発明の、 TGC-776 マウ
スカウンターパートをコードする DNA を保持するプラ
スミド pmTGC776-1 をpDRL776Mと改名し、大腸菌 ( Esc
herichia coli ) XL 1-Blue MRF' 株に導入して、形質
転換体大腸菌 ( Escherichia coli ) XL 1-Blue MRF'
/ pDRL776M を得た。
【0085】実施例9 マウス各組織のノザンハイブリ
ダイゼーション 8週令C57 BL/6N マウス、もしくは C57 BL/6J マウス
( 日本 Charles River社 ) から各組織 ( 脳、脊髄、顎
下腺、気管、心臓、肺、肝臓、胸腺、脾臓、膵臓、腎
臓、副腎、胃、小腸、盲腸、結腸、精巣、卵巣、胎盤、
脂肪、リンパ節)を摘出し、acid-phenol-guanidine chl
oroform 法によって全 RNA を調製した。この total RN
A からオリゴ (dT) スパンカラム ( ファルマシア 社
) にかけて poly(A)+ RNA を調製した。この poly(A)+
RNA 2.0μgを 2.2M ホルマリンを含む 1.5% アガロ−
スゲル電気泳動にかけた後、ナイロンメンブレンフィル
タ−( Biodyne B、日本ポ−ル社 ) にキャピラリ−ブ
ロッティングにより19 時間ブロッティングした。この
ナイロンメンブレンフィルタ−を紫外線処理によりブロ
ッティングした RNA を固定した後、ハイブリダイゼー
ション用緩衝液 [ 50%ホルムアミド、5×SSPE [ 20×
SSPE= 3.6M 塩化ナトリウム, 0.2M リン酸ナトリウム
( pH. 7.7 ) , 20mM EDTA ] 、5×Denhardt's 液、0.5%
SDS、100μg/ml熱変性サケ精子DNA ] 中 42℃でプレハ
イブリダイゼーションを行った。一方、プローブとして
実施例8で取得したTGC-776 マウスカウンターパートを
コ−ドする cDNA のMfeI-AlwNI 332bp cDNA 断片を [α
-32P] dCTP とランダムプライマ-ラベリングキット (
アマシャム社 ) を用いて標識した。ハイブリダイゼー
ションは標識プローブを含むハイブリダイゼーション用
緩衝液( 50% ホルムアミド、5×SSPE 、5×Denhardt's
液、0.5% SDS、100μg/ml 熱変性サケ精子DNA )中 42
℃で 18 時間ハイブリダイゼーションを行った。フィル
ターは最終的に 0.1×SSC, 0.1% SDS 液中 50℃で洗浄
後、オートラジオグラムをとってプローブとハイブリダ
イゼイションするバンドを検出した。その結果、顎下腺
のみに極めて大量に発現していることが判明した(図
6)。
【0086】実施例10 抗血清の調製 実施例7で取得した本ポリペプチド0.5mgとウシサイロ
グロブリン5mgをグルタールアルデヒド法で結合させた
後、抗原蛋白1mg/1羽をFCA(完全フロイントアジュバ
ント)とともにウサギ(SPF、日本白色種とニュージー
ランドホワイト各1羽)に皮下注射し、一次免疫とし
た。以降2週間おきに3回追加免疫を行った。2回目以
降は、抗原蛋白の接種量を0.5mg/1羽とした。最終免疫
の1週間後に耳静脈から採血し、公知の方法により血清
画分を取得した。
【0087】
【発明の効果】本発明のポリペプチドおよびそれをコー
ドするDNAは、例えば、唾液腺疾患、免疫疾患、口腔
消化管傷害の診断、治療、予防に使用することができ
る。また、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプ
チドの活性を促進もしくは阻害する化合物またはその塩
のスクリーニングのための試薬として有用である。さら
に、本発明のポリペプチドに対する抗体は、本発明のポ
リペプチドを特異的に認識することができるので、被検
液中の本発明のポリペプチドの検出、定量、中和などに
使用することができる。さらに本発明のプロモーターを
使用することにより、タンパク質(任意の有用遺伝子産
物など)を非ヒト温血動物の唾液腺で特異的にしかも大
量に発現させることが可能になるので、遺伝子治療の分
野に貢献することができる。
【0088】
【配列表】 [Sequence Listing] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel Polypeptide and its Use <160> 25 <210> 1 <211> 85 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Lys Lys Val Leu Leu Leu Ile Thr Ala Ile Leu Ala Val Ala Val 1 5 10 15 Gly Phe Pro Val Ser Gln Asp Gln Glu Arg Glu Lys Arg Ser Ile Ser 20 25 30 Asp Ser Asp Glu Leu Ala Ser Gly Phe Phe Val Phe Pro Tyr Pro Tyr 35 40 45 Pro Phe Arg Pro Leu Pro Pro Ile Pro Phe Pro Arg Phe Pro Trp Phe 50 55 60 Arg Arg Asn Phe Pro Ile Pro Ile Pro Glu Ser Ala Pro Thr Thr Pro 65 70 75 80 Leu Pro Ser Glu Lys 85 <210> 2 <211> 84 <212> PRT <213> Murine <400> 2 Met Lys Thr Leu Leu Leu Leu Ala Ala Ile Val Ala Val Thr Ala Cys 1 5 10 15 Leu Pro Val Pro Lys Asp Gln Glu Arg Glu Lys Arg Ser Ala Ser Asp 20 25 30 Ser Asp Ser Asp Glu Phe Pro Leu Arg Ile Pro Phe Pro Pro Tyr Gly 35 40 45 Tyr Pro Phe Gly Thr Tyr Pro Pro Phe Leu Asn Gln Gly Tyr Pro Trp 50 55 60 Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Pro Pro Phe Pro Leu Pro Phe Thr Pro Pro Pro 65 70 75 80 Thr Ala Asp Pro 84 <210> 3 <211> 258 <212> DNA <213> Human <400> 3 ATGAAGAAAG TTCTCCTCCT GATCACAGCC ATCTTGGCAG TGGCTGTTGG TTTCCCAGTC 60 TCTCAAGACC AGGAACGAGA AAAAAGAAGT ATCAGTGACA GCGATGAATT AGCTTCAGGG 120 TTTTTTGTGT TCCCTTACCC ATATCCATTT CGCCCACTTC CACCAATTCC ATTTCCAAGA 180 TTTCCATGGT TTAGACGTAA TTTTCCTATT CCAATACCTG AATCTGCCCC TACAACTCCC 240 CTTCCTAGCG AAAAGTAA 258 <210> 4 <211> 255 <212> DNA <213> Murine <400> 4 ATGAAAACTC TTCTCCTGCT CGCTGCCATC GTGGCAGTAA CTGCTTGTCT CCCCGTGCCT 60 AAGGACCAGG AACGAGAAAA ACGAAGTGCC AGTGACAGTG ACAGTGATGA ATTCCCTTTA 120 CGGATTCCCT TTCCCCCATA CGGGTATCCA TTTGGTACAT ACCCACCATT CTTAAATCAA 180 GGCTACCCGT GGTATTATTA TTATTATCCT CCTTTTCCCC TGCCCTTCAC CCCCCCTCCA 240 ACTGCAGATC CTTAA 255 <210> 5 <211> 68 <212> PRT <213> Human <400> 5 Phe Pro Val Ser Gln Asp Gln Glu Arg Glu Lys Arg Ser Ile Ser Asp 1 5 10 15 Ser Asp Glu Leu Ala Ser Gly Phe Phe Val Phe Pro Tyr Pro Tyr Pro 20 25 30 Phe Arg Pro Leu Pro Pro Ile Pro Phe Pro Arg Phe Pro Trp Phe Arg 35 40 45 Arg Asn Phe Pro Ile Pro Ile Pro Glu Ser Ala Pro Thr Thr Pro Leu 50 55 60 Pro Ser Glu Lys 65 68 <210> 6 <211> 68 <212> PRT <213> Murine <400> 6 Leu Pro Val Pro Lys Asp Gln Glu Arg Glu Lys Arg Ser Ala Ser Asp 1 5 10 15 Ser Asp Ser Asp Glu Phe Pro Leu Arg Ile Pro Phe Pro Pro Tyr Gly 20 25 30 Tyr Pro Phe Gly Thr Tyr Pro Pro Phe Leu Asn Gln Gly Tyr Pro Trp 35 40 45 Tyr Tyr Tyr Tyr Tyr Pro Pro Phe Pro Leu Pro Phe Thr Pro Pro Pro 50 55 60 Thr Ala Asp Pro 65 68 <210> 7 <211> 207 <212> DNA <213> Human <400> 7 TTCCCAGTCT CTCAAGACCA GGAACGAGAA AAAAGAAGTA TCAGTGACAG CGATGAATTA 60 GCTTCAGGGT TTTTTGTGTT CCCTTACCCA TATCCATTTC GCCCACTTCC ACCAATTCCA 120 TTTCCAAGAT TTCCATGGTT TAGACGTAAT TTTCCTATTC CAATACCTGA ATCTGCCCCT 180 ACAACTCCCC TTCCTAGCGA AAAGTAA 207 <210> 8 <211> 207 <212> DNA <213> Murine <400> 8 CTCCCCGTGC CTAAGGACCA GGAACGAGAA AAACGAAGTG CCAGTGACAG TGACAGTGAT 60 GAATTCCCTT TACGGATTCC CTTTCCCCCA TACGGGTATC CATTTGGTAC ATACCCACCA 120 TTCTTAAATC AAGGCTACCC GTGGTATTAT TATTATTATC CTCCTTTTCC CCTGCCCTTC 180 ACCCCCCCTC CAACTGCAGA TCCTTAA 207 <210> 9 <211> 10 <212> PRT <213> Human <400> 9 Phe Pro Val Ser Gln Asp Gln Glu Arg Glu 1 5 10 <210> 10 <211> 10 <212> PRT <213> Murine <400> 10 Leu Pro Val Pro Lys Asp Gln Glu Arg Glu 1 5 10 <210> 11 <211> 30 <212> DNA <213> Human <400> 11 TTCCCAGTCT CTCAAGACCA GGAACGAGAA 30 <210> 12 <211> 30 <212> DNA <213> Murine <400> 12 CTCCCCGTGC CTAAGGACCA GGAACGAGAA 30 <210> 13 <211> 31 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 13 GGGATCCGTT TGAGATGAAG AAAGTTCTCC T 31 <210> 14 <211> 30 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 14 GAAGCTTACT TTTCGCTAGG AAGGGGAGTT 30 <210> 15 <211> 36 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 15 AGCTACTAGT CCGCCATGAA GAAAGTTCTC CTCCTG 36 <210> 16 <211> 54 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 16 AGCTTACTTG TCATCGTCGT CCTTGTAGTC CTTTTCGCTA GGAAGGGGAG TTGT 54 <210> 17 <211> 32 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 17 AGAATTCAGC TACTAGTCCG CCATGAAGAA AG 32 <210> 18 <211> 26 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 18 AAAGCTTACT TGTCATCGTC GTCCTT 26 <210> 19 <211> 117 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 19 AGAAAGGGTA CCGACGACGA CGACAAGTCT ATCTCTGACT CCGATGAACT GGCTTCTGGC 60 TTCTTCGTGT TCCCGTACCC GTACCCGTTC CGCCCGCTGC CGCCGATCCC GTTCCCG 117 <210> 20 <211> 117 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 20 CCGCTGCCGC CGATCCCGTT CCCGCGTTTC CCGTGGTTCC GTCGTAACTT CCCGATCCCG 60 ATCCCGGAAT CTGCTCCGAC TACTCCGCTG CCGTCCGAAA AATGATAAGC TTAGCAA 117 <210> 21 <211> 99 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 21 AGAAAGGGTA CCGACGACGA CGACAAGTTC CCGGTGTCTC AGGACCAGGA ACGTGAAAAA 60 CGCTCTATCT CTGACTCCGA TGAACTGGCT TCTGGCTTC 99 <210> 22 <211> 30 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 22 GTCTCTCAAG ACCAGGAACG AGAAAAAAGA 30 <210> 23 <211> 30 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 23 GCTGTCACTG ATACTTCTTT TTTCTCGTTC 30 <210> 24 <211> 36 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 24 CTCAAGACCA GGAACGAGAA AAAAGAAGTA TCAGTG 36 <210> 25 <211> 34 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 25 TTCATCGCTG TCACTGATAC TTCTTTTTTC TCGT 34
【0089】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明のポリペプチドをコ
ードするDNAの塩基配列および該塩基配列から推定さ
れるアミノ酸配列を示す。
【図2】実施例2で行ったヒト各組織のノーザンブロッ
ト解析の結果を示す。
【図3】実施例2で行ったヒト各組織のドットブロット
解析の結果を示す。
【図4】実施例4で行ったウェスタンブロッティングの
結果を示す。
【図5】実施例8で得られた本発明のポリペプチドをコ
ードするDNAの塩基配列および該塩基配列から推定さ
れるアミノ酸配列を示す。
【図6】実施例9で行ったマウス各組織のノーザンブロ
ット解析の結果を示す。
【図7】参考例1で得られた動物細胞発現ベクターpC
AN618の制限酵素地図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/00 C07K 14/52 4H045 C07K 14/52 16/24 16/24 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z G01N 33/15 A61K 37/02 33/50 C12N 5/00 A //(C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 大久保 尚一 茨城県つくば市並木3丁目17番1号 ロイ ヤルコーポ・ヨコタ503号 (72)発明者 茂木 伸一 茨城県北相馬郡守谷町みずき野1丁目17番 地16 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 AA40 CB07 CB17 DA12 DA13 DA36 FB03 4B024 AA11 BA21 BA40 CA04 DA06 EA04 FA02 GA11 HA01 HA11 HA17 4B064 AG02 AG26 AG27 CA02 CA10 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA90X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA25 CA46 4C084 AA01 AA02 AA06 AA07 AA13 AA17 BA01 BA17 BA44 DA01 DA39 MA17 MA22 MA23 MA31 MA35 MA37 MA41 MA43 MA52 MA66 ZA362 ZB072 ZB322 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA21 CA40 DA01 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:10で表わされるアミノ酸配列
    を含有することを特徴とするポリペプチドまたはその
    塩。
  2. 【請求項2】配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同
    一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有すること
    を特徴とする請求項1記載のポリペプチドまたはその
    塩。
  3. 【請求項3】請求項1記載のポリペプチドをコードする
    塩基配列を含有するDNAを含有するDNA。
  4. 【請求項4】配列番号:12で表される塩基配列を含有
    する請求項3記載のDNA。
  5. 【請求項5】配列番号:4で表される塩基配列を含有す
    る請求項3記載のDNA。
  6. 【請求項6】請求項3記載のDNAを含有する組換えベ
    クター。
  7. 【請求項7】請求項6記載の組換えベクターで形質転換
    された形質転換体。
  8. 【請求項8】請求項7記載の形質転換体を培養し、該ポ
    リペプチドを生成せしめることを特徴とする請求項1記
    載のポリペプチドまたはその塩の製造法。
  9. 【請求項9】請求項1記載のポリペプチドまたはその塩
    に対する抗体。
  10. 【請求項10】請求項1記載のポリペプチドまたはその
    塩を用いることを特徴とする請求項1記載のポリペプチ
    ドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物また
    はその塩のスクリーニング方法。
  11. 【請求項11】請求項1記載のポリペプチドまたはその
    塩を含有してなる請求項1記載のポリペプチドまたはそ
    の塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩の
    スクリーニング用キット。
  12. 【請求項12】請求項10記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項6記載のスクリーニング用キットを用いて得
    られる、請求項1記載のポリペプチドまたはその塩の活
    性を促進または阻害する化合物またはその塩。
  13. 【請求項13】請求項10記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項11記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる請求項1記載のポリペプチドまたはその塩の活
    性を促進または阻害する化合物またはその塩を含有して
    なる医薬。
  14. 【請求項14】請求項1記載のポリペプチドまたはその
    塩を含有してなる医薬。
  15. 【請求項15】請求項1記載のポリペプチドまたはその
    塩を含有してなる唾液腺疾患、免疫疾患、口腔消化管傷
    害または感染症疾患の予防・治療剤。
  16. 【請求項16】配列番号:9で表わされるアミノ酸配列
    を含有することを特徴とするポリペプチドまたはその塩
    を含有してなる唾液腺疾患、免疫疾患、口腔消化管傷害
    または感染症疾患の予防・治療剤。
  17. 【請求項17】ポリペプチドが配列番号:1で表される
    アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配
    列を含有するポリペプチドである請求項16記載の予防
    ・治療剤。
  18. 【請求項18】請求項1記載のポリペプチドまたは請求
    項16記載のポリペプチドをコードする遺伝子のプロモ
    ーターの下流に目的タンパク質をコードするDNAを連
    結し、非ヒト温血動物に導入することを特徴とする目的
    タンパク質を非ヒト温血動物の唾液腺で発現させる方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012098449A1 (en) * 2011-01-17 2012-07-26 University Of Manitoba Methods for treating disorders that involve immunoglobulin a
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