JP2000292755A - 収差補正素子およびこれを用いた光ピックアップ - Google Patents

収差補正素子およびこれを用いた光ピックアップ

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JP2000292755A
JP2000292755A JP11095566A JP9556699A JP2000292755A JP 2000292755 A JP2000292755 A JP 2000292755A JP 11095566 A JP11095566 A JP 11095566A JP 9556699 A JP9556699 A JP 9556699A JP 2000292755 A JP2000292755 A JP 2000292755A
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electro
transparent conductive
layer
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transparent electrode
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Masayoshi Yamashita
正芳 山下
Toshinao Suzuki
利尚 鈴木
Kenzaburo Iijima
健三郎 飯島
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Yamaha Corp
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  • Optical Head (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 速い応答速度、細かい収差補正量、高信頼性
等の優れた特性を持ち、光ピックアップにおける球面収
差、コマ収差等の補正用として用いて好適な収差補正素
子を提供する。 【解決手段】 透明基板2の上面に、透明電極層3a〜
3gと電気光学材料層4a〜4fとが交互に積層された
積層体5が形成され、透明電極層3a、3c、3e、3
gが互いに接続され、透明電極層3b、3d、3fが互
いに接続され、透明電極層3a、3c、3e、3gと透
明電極層3b、3d、3fとは電気的に絶縁されてい
る。透明電極層3b、3d、3fは同心円状の場所によ
り電極として機能する部分の数が異なっており、領域A
1では2層の電気光学材料層4a、4bに電圧が印加さ
れ、領域A2では4層の電気光学材料層4a〜4dに電
圧が印加され、領域A3では6層の電気光学材料層4a
〜4fに電圧が印加される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、収差補正素子およ
びこれを用いた光ピックアップに関し、特に電気光学効
果を持つ電気光学材料の特性を利用した収差補正素子の
構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CD(Compact Disc)やDVD(Digita
l Versatile Disc)、あるいはDVD以降に実用化され
る次世代高密度光(磁気)ディスクの分野において、光
ディスク、光磁気ディスク等の光学記録媒体に所定のデ
ータを書き込む、あるいは光学記録媒体から所定のデー
タを読み出す際には光ピックアップが用いられる。光ピ
ックアップでは、通常、半導体レーザから出射した光が
回折格子とビームスプリッタを透過し、コリメータレン
ズで平行光線に変換された後、対物レンズによりディス
クの記録面に焦点を結ぶようになっている。焦点でのビ
ームスポット径wは、 w=α・λ/NA ……(1) と表される。ここで、λはレーザ光の波長、NAは対物
レンズの開口数(Numerical Aperture)、αは比例定
数、である。
【0003】光ディスクにおいては、表面に付着した塵
埃等の影響をなくすためにレーザ光をディスクの基板を
通して記録面に入射させている。そこで、ディスクの基
板を通して、(1)式で表されるような回折限界条件の
非常に小さなビームスポットを実現するため、通常、対
物レンズには非球面レンズが用いられる。
【0004】ところで、光ピックアップの光学系におい
て、ディスク基板が光ピックアップの光軸に対して傾く
と、コマ収差が生じ、記録面上でのスポットが非対称に
変形するとともに径も大きくなるため、期待する書き込
みや読み出しができなくなる。また、ディスクの基板の
厚みが設計値からずれると、球面収差が発生し、やはり
スポット径が大きくなり、不具合が生じる。しかしなが
ら、ディスクの傾きやディスク基板の厚みの変動を完全
に零にすることはできない。したがって、現状では、デ
ィスクの仕様をある範囲に抑えて、コマ収差や球面収差
を管理するようにしている。
【0005】DVDやさらに将来の高密度記録を目指し
た光ディスクにおいては、高密度化を目的としてレーザ
ビーム径がより小さくなるように、(1)式に従って、
レーザ光波長λの短波長化、対物レンズの高NA化が図
られている。そのような状況で、コマ収差A1 は、 A1 =α1・d・(NA)3/λ ……(2) と表される。dはディスク基板厚み、α1 は比例定数、
である。また、ディスク基板の厚み変動による球面収差
2 は、 A2 =α2・(NA)4 ……(3) と表される。α2 は比例定数、である。また、焦点深度
sは、 s=α3/(NA)2 ……(4) と表される。α3 は比例定数、である。
【0006】上記(2)、(3)、(4)式の関係か
ら、NAが大きくなり、λが小さくなると、全ての収差
が増加し、焦点深度が浅くなるため、制御が難しくな
る。例えば、CDではNA=0.45〜0.5、DVD
ではNA=0.6というように、高密度化のためにDV
DではNAを大きくしているが、NAを大きくした場合
でも(2)式のコマ収差が抑えられるように、ディスク
の基板厚みをCDの1.2mmからDVDでは0.6m
mに薄くしたのである。今後、NAがさらに大きくなる
につれ、ディスク基板厚みをさらに減少することも考え
られるが、これはディスク表面の塵埃等の影響を大きく
する方向であるため、光ディスクが着脱自在な媒体であ
るという利点が損なわれる恐れがあり、好ましくない。
【0007】すなわち、ディスク基板厚みが異なると収
差が生じるということは、ディスク厚みの異なるCDと
DVDでは、一つの光ピックアップにおいて同じ対物レ
ンズを使えないということになる。また、現在既に検討
されている、ディスク厚み方向に間隔をあけて形成した
複数の記録層を持つ多層記録用ディスクの使用も困難に
なる。そこで、ディスクの仕様を厳しくしたり、厚みを
薄くすることなく、収差を減少させる手段が提案され
た。それが位相制御素子(位相フィルター)である。
【0008】図19は、位相制御素子の原理を説明する
ための図であり、位相制御をかけない(位相制御素子を
用いない)場合と位相制御をかけた(位相制御素子を用
いた)場合の波面収差を示したものである。この図に示
すように、位相制御素子のない状態で、収差はレンズ中
央部で零、端部で大きく増加している(1点鎖線で示
す)。理想的なレンズでは、収差はレンズ上の全ての点
で零になるべきであるが、上述したような様々な理由で
図19のような収差が生じる。位相制御素子は、通常、
レンズの前段に挿入され、光のビーム径方向の場所によ
ってレンズに入る光の位相を遅らせたり、等価的に進め
たりする機能を持っている。したがって、位相制御素子
とレンズを透過した後の波面収差は図19の実線で示す
ようになる。位相制御素子が不連続なコントロールをす
るので、結果としての波面収差も不連続なものとなる。
【0009】位相Φ[rad]は、 Φ=2π・Δn・t/λ ……(5) と表される。tは位相制御素子の厚み、Δnは場所によ
る屈折率の変化である。したがって、位相制御素子を実
現するには、厚みをコントロールする方法と、屈折率を
変化させる方法とがある。さらに、屈折率を変化させる
方法としては、電圧で変化させるもの、光強度で変化さ
せるもの、磁界を用いて変化させるもの、等があるが、
電圧(電界)により屈折率を変化させるものが制御の容
易さの面で優れている。
【0010】ここで、位相制御素子の3つの従来例につ
いて説明する。第1の従来例は、位相制御素子に液晶を
使用し、液晶に印加する電圧を変えることにより屈折率
を変化させ、光路差を変化させて位相を制御する方法で
ある("15Gbyte DVD System Using a Liquid Crystal P
anel",S.Ohtaki et al.,International Symposium on O
ptical Memory 1998,Oct.20-22(1998) )。この論文に
よれば、ディスク傾きにより発生するコマ収差を液晶を
用いた位相フィルターを使って補正しており、液晶に2
V程度の電圧を印加することによって、位相が約1波長
変化している。
【0011】第2の従来例は、位相制御素子に圧電材料
を用いたものである(特開平9−138957号公報、
特開平9−161342号公報参照)。圧電材料に電圧
を印加すると、電圧に応じて圧電材料が伸縮する。この
性質を利用して、位相制御素子の厚みを場所によって変
えることができるので、光路差が変化し、位相を変える
ことができる。
【0012】第3の従来例は、位相制御フィルターの屈
折率を電気的に制御するのではなく、フィルター自体を
段差形状にして段階的に厚みを変化させ、位相を制御す
るものである(「波長選択フィルタを用いた基板厚0.
6mm/1.2mm兼用二波長光ヘッド」、片山龍一、
第23回光学シンポジウム、平成10年6月25〜26
日)。ここで発表された位相フィルターは、DVDとC
Dで同一レンズを共用するために用いた例であり、隣同
士の段差はDVDに用いられる635nmの波長の光に
対して正確に1波長の位相差に対応するように設計され
ている。したがって、635nmの光に対しては何も影
響を及ぼさない。ところが、CD用の780nmの光に
対しては位相差は1波長ではなく、0.19波長とな
る。したがって、DVD用の対物レンズをCDで用いた
ときに生じる収差(波長)に合わせて段差を形成してお
けば、収差が補正されることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来例
は、それぞれ以下のような問題点を抱えていた。第1の
従来例の場合、液晶を用いているので応答速度が遅く
(例えば20msec程度)、ディスクの回転速度に対
応できない。ディスクの回転数が例えば3000rpm
の場合、ディスクが傾いて取り付けられると、ディスク
の傾きは50Hzで振動する。さらに、ディスクに反り
があると、その2倍の振動数で振動することになる。と
ころが、液晶はこのような速い変化に追従できるもので
はない。また、レーザが短波長の青色レーザとなり、出
力パワーも上がってきた場合、液晶のような有機物を使
用していると、位相制御素子の寿命が短くなる。さらに
用法によっては、位相制御素子を対物レンズに固定して
使用する場合もあるが、その場合、50Hzで振動する
ため、動作が不安定になる。
【0014】第2の従来例は圧電材料を用いるものであ
るが、この位相制御素子では、原理的に、波面収差に対
応させて、すなわち場所によって光路差を変えなければ
ならない。このため、隣接して伸縮量が変わる境界が存
在することになり、そこでは構造的に無理な力が加わ
り、クラックが入りやすくなる。したがって、この位相
制御素子は実用的ではない。
【0015】第3の従来例の位相フィルターでは、1段
差あたりの収差補正量が波長の比だけで決まってしま
う。このため、CDで用いる780nmとDVDで用い
る635nmの組み合わせでは、収差をあまり小さくす
ることができない。また、レーザダイオードには波長変
動が存在するが、この種の位相フィルターはそれに対処
できない。
【0016】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、応答速度が速く、かつ収差補正量
を細かく制御でき、信頼性の高い収差補正素子を提供す
ることを目的とする。また、上記の収差補正素子を用い
ることにより、CD−DVD兼用、多層記録対応、コマ
収差補正等の機能を有する優れた光ピックアップを提供
することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の収差補正素子は、少なくとも透明導電層
を3層以上かつ電気光学材料層を2層以上含むように複
数の透明導電層と複数の電気光学材料層とが交互に積層
されるとともに、複数の透明導電層のうちの任意の透明
導電層が分割され、その分割された透明導電層の少なく
とも一部が複数の電極として機能し、これら複数の電極
を用いて電気光学材料層の屈折率を電気的に制御するこ
とにより光路差を場所によって変化させ、入射光の位相
を制御することで収差を補正することを特徴とするもの
である。
【0018】本発明の収差補正素子は、電気光学効果、
特にポッケルス効果、カー効果等として知られる「透明
な固体に電界を印加したときに屈折率が変化する」とい
う電気光学材料の性質を利用したものである。電気光学
材料において、その屈折率nは電界Eの関数であり、屈
折率n(E)は、 n(E)=n0+αE+βE2+γE3+… ……(6) と表される。n0は電界を印加していない時の屈折率で
あり、α、β、γは比例定数、である。特に、電界印加
時の屈折率変化分Δnのうち、「αE」の項(すなわ
ち、屈折率変化が電界に比例する部分)をポッケルス効
果、「βE2」の項(すなわち、屈折率変化が電界の2
乗に比例する部分)をカー効果、という。なお、電気光
学効果の大きさは、印加する電界の向きと、入射させる
光の偏光方向に大きく依存する。
【0019】そこで、本発明の収差補正素子では、少な
くとも透明導電層を3層以上かつ電気光学材料層を2層
以上含むように複数の透明導電層と複数の電気光学材料
層を交互に積層するとともに、任意の透明導電層を分割
して複数の電極として機能するようにした。この構成に
よれば、分割した複数の電極に任意の電圧を印加するこ
とにより、素子全体で見たときに電気光学材料層に加わ
る電界が場所によって異なるようにすることができる。
これにより、光軸に垂直な面内の場所によって電気光学
材料層の屈折率を変化させ、光路差を変化させることが
できる。すなわち、上記(5)式より、位相は屈折率差
と位相制御素子の厚みとの積に比例するため、電気光学
材料を例えば平坦な板状に形成し、その厚みが一定であ
っても屈折率差を変えることにより位相を制御すること
ができる。本発明の収差補正素子は、このような原理に
基づき収差を補正するものである。
【0020】さらに、上記構成において、複数の透明導
電層の各層に含まれる電極の数が異なり、複数の透明導
電層のうちの1層おきの透明導電層の電極に第1の電位
を印加すると同時に残りの透明導電層の電極に第2の電
位を印加した際に複数の電気光学材料層全体に加わる電
界が場所によって異なり、第1の電位および第2の電位
の印加により透明導電層間に挟まれた電気光学材料層の
屈折率を制御するようにしてもよい。
【0021】この構成は、言い換えると、各透明導電層
を比較したときに分割された透明導電層のうちで電極と
して機能するものの数が異なり、したがって、電極によ
って挟まれる電気光学材料層の数が場所によって異なる
ということである。そこで、1層おきの電極に第1の電
位を印加すると同時に残りの層の電極に第2の電位を印
加すると、電極が存在する場所と存在しない場所がある
ために、素子全体で見ると、電気光学材料層に加わる電
界が場所によって異なることになる。つまり、電極間に
挟まれた部分の電気光学材料層のみ屈折率が変化するの
で、光軸に垂直な面内の場所によって電気光学材料層の
屈折率を変化させ、光路差を変化させることができる。
したがって、この構成によれば、場合によっては電圧を
細かく制御しなくても、2つの電位を印加するのみで素
子を動作させることができる。
【0022】ネマチックまたはツイストネマチック等の
液晶材料を用いた従来の素子の場合には応答速度が例え
ば20msec程度であるのに対し、本発明の収差補正
素子の場合、電気光学材料を用いたことにより応答速度
を1μsec〜1msec程度にまで向上することがで
きる。また、電気光学材料は無機材料であるから、青色
レーザに対しても劣化することがない。電気光学材料に
は広範な材料があり、中には圧電性を示すものもあれ
ば、圧電性を示さないものもある。したがって、圧電性
を示さない材料を選べば、電気光学材料層に電界を印加
しても伸縮が生じないため、圧電材料を用いた従来の素
子のように電界の境界部分でクラックが入る恐れもな
い。さらに、屈折率変化量を印加電圧でコントロールで
きるので、段差固定型の従来の素子と異なり、1段差分
の位相差を充分に小さく設定することができ、収差を小
さくすることができる。また、レーザ光源の波長が変化
したとしても、収差補正素子に印加する電界をそれに合
わせて微調整すれば、波長変動に対処することも可能で
ある。すなわち、本発明の収差補正素子によれば、従来
の素子が持つ欠点を全て解消することができる。
【0023】光路差(屈折率)を場所によって変化させ
るにはそれに応じた透明電極の部分的な除去(パターニ
ング)が必要になるが、補正しようとする収差の種類に
よって、光軸方向から見て同心円状に電極をパターニン
グする場合と、基板面上の任意の軸に対して線対称にパ
ターニングする場合とが考えられる。同心円状にパター
ニングすると、球面収差を補正することができるため、
CD−DVD兼用型光ピックアップや多層記録対応型光
ピックアップを実現することができる。線対称にパター
ニングすると、対称の中心線を傾き軸に一致させること
によりコマ収差を補正することができるため、光ピック
アップにおけるディスクの傾きに対応することができ
る。
【0024】上述したように、電気光学効果にはポッケ
ルス効果とカー効果があるが、本発明の場合、カー効果
が大きい材料を用いることが望ましい。その理由は、電
気光学材料は上記の利点を有している反面、電気光学効
果を引き起こす電界(電圧)は液晶の駆動電圧に比べて
高く(例えば、電気光学効果の場合で数十V程度、液晶
の場合で数V程度)、引き起こされる屈折率変化も小さ
い、という欠点を持っている。よって、単に電気光学材
料を用いただけでは、駆動電圧は高くなり、1波長分の
位相差を得るのに必要な膜厚が厚くなるという不具合が
ある。また、光ディスクとして使用する場合、駆動電圧
は5Vまたは12Vを使用しなければならないという制
約がある。
【0025】その点、本発明では、電極と電気光学材料
層を交互に積層した構造をとることにより、1層毎の電
気光学材料層に印加する電界をそれ程大きくしなくて
も、これらを積層した素子全体では所定の屈折率変化を
得るに充分な電界を得ることができる。逆に言えば、所
定の屈折率変化を得るために印加する電圧を下げること
ができる。したがって、駆動電圧は5Vまたは12Vで
足りることになる。また、膜厚に関しても、バルクの電
気光学材料を用いる場合等に比べて、1層毎の膜厚は充
分に薄くすることができる。
【0026】本発明の場合、複数層の電極に順に第1の
電位、第2の電位、第1の電位、第2の電位、…と電位
が印加されることから、電気光学材料層の1層毎に電界
が逆向きにかかることになる。ところが、ポッケルス効
果では屈折率変化が電界(向きを含めて)に比例するた
め、1層毎の効果が打ち消されてしまう。これに対し
て、カー効果の場合、屈折率変化が電界の2乗に比例す
るため、ポッケルス効果のように1層毎の効果が打ち消
されることなく、大きな屈折率変化を得ることができ
る。実用的には、複数の電極と複数の電気光学材料層を
交互に積層する構造は、透明基板上に透明導電層、電気
光学材料層、透明導電層、電気光学材料層、…を薄膜状
に成膜、パターニングしていくことで実現可能である。
【0027】また、前記電気光学材料層は、ペロブスカ
イト構造の等軸晶系の単結晶または多結晶膜であること
が望ましい。逆に言えば、カー効果の大きい材料は、現
在のところ、ペロブスカイト構造のものしか見つかって
いない。ペロブスカイト構造は、温度によって正方晶系
と等軸晶系の結晶構造を取り得る。そして、正方晶系は
ポッケルス効果を示し、等軸晶系はカー効果を示す。基
礎的なカー効果については、特に単結晶に関して研究さ
れているが、例えばITO(インジウム錫酸化物、Indi
um Tin Oxide)等の透明導電膜からなる透明電極上に電
気光学材料層を堆積し、さらに透明導電膜を堆積して素
子を形成することを考えた場合、多結晶でカー効果を示
す材料が望ましい。透明導電膜上に堆積させると、エピ
タキシャルには成長しないからである。一般に多結晶材
料は透明性の点で劣るが、PLZT(Pb1-xLax(Z
yTiz1-x/43)に関しては、透明でかつ大きな電
気光学効果を示す材料が得られている。中でも、組成で
xが0.08〜0.1(特にx=0.09)、y:z=
65:35の材料はカー効果が大きく、かつ圧電性がな
くなり、本発明に最適の材料となる。
【0028】PLZTの組成を変化させた時のカー効果
による屈折率変化の大きさを比較したものを表1に示
す。ここでは、屈折率変化ΔnをΔn=β・E2とした
時のβの大きさで比較する。
【表1】 表1より、Zr/Ti=65/35の場合、Laの割合
を8〜10(x=0.08〜0.1)とするのが望まし
く、特にLaの割合を9(x=0.09)とした場合、
最も大きなカー効果が得られることがわかる。
【0029】また、積層する電気光学材料層や透明導電
層の膜厚、屈折率を最適化すると、高い透過率を得るこ
とができる。例えば、上層側と下層側を電気光学材料層
で挟まれた中間層の透明導電層(以下、中間透明導電層
と呼ぶこともある)の膜厚を165nmないし180n
m、電気光学材料層で挟まれていない最上層または最下
層の透明導電層(以下、表層透明導電層と呼ぶこともあ
る)の膜厚を60nmないし100nm、透明導電層の
屈折率を1.9ないし2.1、電気光学材料層の膜厚を
2μm以上、電気光学材料層の屈折率を2.3ないし
2.7とすると、高い透過率を得ることができる。
【0030】図10〜図13は、透明導電層の膜厚を一
定の値に設定したときの透過光の波長と透過率との関係
を調べたものである。本発明に好適に用いられる透明導
電層の材料としてITO、電気光学材料層としてPLZ
Tがあるが、これら材料の屈折率はITOが2.0程
度、PLZTが2.5程度である。この屈折率の値を用
いるものとし、構成は透明基板上に5層の透明導電層と
4層の電気光学材料層を交互に積層したものとした。図
10は中間透明導電層の膜厚が165nmの場合、図1
1は中間透明導電層の膜厚が180nmの場合、図12
は表層透明導電層の膜厚が60nmの場合、図13は表
層透明導電層の膜厚が100nmの場合、の透過光の波
長に対する透過率の関係をそれぞれ示している。これら
の図からわかるように、これらの図に相当する透明導電
層の膜厚条件を満たし、しかも電気光学材料層の膜厚を
光の波長に比べて充分に厚い2μm以上、電気光学材料
層の屈折率を2.3ないし2.7とすると、DVDで用
いる635nmからCDで用いる780nmの波長範囲
で、85%以上の透過率を得ることができる。なお、8
5%という値は、これを境にして特性が変化するといっ
た臨界値ではなく、実現性があり、かつ実用的に充分高
い値である。
【0031】さらに、本発明の収差補正素子において、
光が入射する側の最表面に反射防止層を設けるとよい。
一般に、空気中の光の屈折率が1.0程度、透明電極材
料としてITOを使うとしてその屈折率が2.0程度で
あるから、反射防止層の屈折率は1.0〜2.0程度の
範囲にある必要がある。反射防止層の追加により、空気
中から素子中に光が入射する際の反射が防止され、高い
透過率を得ることができる。反射防止層の材料として
は、例えば、SiO(屈折率:1.85)、Al 2
3(屈折率:1.63)等が挙げられる。
【0032】中でも、反射防止層の厚みを100〜20
0nmとし、その屈折率を1.2〜1.4とすることが
望ましい。図14〜図17は、反射防止層の屈折率と膜
厚を種々に変えたものについて透過光の波長と透過率と
の関係を調べたものである。なお、これらは、図10の
素子(中間透明導電層の膜厚が165nmの場合)に対
して、反射防止層を追加したものであり、透明基板上に
5層の透明電極膜と4層の電気光学材料層を交互に積層
した上に反射防止膜を形成している。特に、図14は反
射防止膜の屈折率が1.2、膜厚が100nmの場合、
図15は屈折率が1.2、膜厚が200nmの場合、図
16は屈折率が1.4、膜厚が100nmの場合、図1
7は屈折率が1.4、膜厚が200nmの場合、の透過
光の波長に対する透過率の関係をそれぞれ示している。
これらの図からわかるように、これらの図に相当する反
射防止膜の屈折率、膜厚をそれぞれ満たせば、DVDで
用いる635nmからCDで用いる780nmの波長範
囲で、92%以上と非常に高い透過率を得ることができ
る。特に屈折率が1.2〜1.4の範囲にある反射防止
膜の材料としては、MgF2(屈折率:1.40)、C
aF2(屈折率:1.4)等が挙げられる。
【0033】なお、素子の最表面のみならず、透明電極
と電気光学材料との界面でも光の反射が生じるため、透
明電極と電気光学材料との間に反射防止膜を設けてもよ
い。しかしながら、素子の最表面に反射防止膜を設けた
場合、最表面の反射防止膜で透過率向上の効果が充分に
得られるため、透明電極と電気光学材料の間の反射防止
膜は補助的な効果しか持たない。ちなみに、図18は、
図10の素子(中間透明導電層の膜厚が165nmの場
合)に対して、透明電極と電気光学材料との間に反射防
止膜を設けた場合の透過光の波長と透過率との関係を示
すものである。構成は、透明基板上に4層の透明電極膜
と3層の電気光学材料を交互に積層し、透明電極と電気
光学材料の間に屈折率2.3、膜厚50nmの反射防止
膜を形成したものである。
【0034】ただし、透明電極と電気光学材料の間の反
射防止膜は、透過率向上という点に関しては補助的な効
果しかもたなくても、他の効果を奏することができる。
例えば、電気光学材料にPLZT、透明電極にITOを
用いた素子を作製する場合、500℃以上といった高温
で焼成を行う工程があるが、この工程において、PLZ
TからのPbの拡散、透明電極からのIn、Snの拡散
が生じ、PLZTの屈折率変化量が低下する恐れがあ
る。この際、透明電極と電気光学材料の間に薄膜(反射
防止膜)を設けると、この薄膜が反射防止と同時に拡散
防止の役目も果たし、PLZTの屈折率変化量の低下を
抑制することができる。この作用を持つ薄膜としては、
ZrO2、HfO2、Ta25、ZnS、TiO2、Ce
2、CdS、ZnSe等が挙げられる。
【0035】本発明の光ピックアップは、レーザ光源
と、レーザ光源から出射されたレーザ光が透過した際に
ディスクの記録面に焦点を結ぶように配置された対物レ
ンズと、前記記録面で反射したレーザ光を受光する受光
素子とを有し、前記レーザ光源と前記ディスクとの間の
ディスクへの入射光の光路上に上記本発明の収差補正素
子を備えたことを特徴とするものである。
【0036】本発明の光ピックアップは、上記本発明の
収差補正素子を備えたことにより、収差補正素子を透過
した光の球面収差やコマ収差が補正され、ディスクの記
録面に対してデータの書き込みや読み出しを精度良く行
うことができる。そして、CD−DVD兼用、多層記録
対応、コマ収差補正等の機能を有し、精度や信頼性に優
れた光ピックアップを実現することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】[第1の実施の形態]以下、本発
明の第1の実施の形態を図1ないし図4を参照して説明
する。図1、図2は本実施の形態の位相フィルター1
(収差補正素子)を示す図であり、図1は平面図、図2
は図1のA−A線に沿う(素子の片側半分のみを示す)
断面図である。本実施の形態は、例えばCD−DVD兼
用光ピックアップ用の位相フィルターというようにディ
スク基板の厚みが変化する場合、あるいは多層記録に対
応した位相フィルターの例である。
【0038】本実施の形態の位相フィルター1は、図1
に示すように、石英等からなる矩形の透明基板2の上面
に、透明電極層3a〜3gと電気光学材料層4a〜4f
とが交互に積層された構成の平面視円形の積層体5が形
成されている。本実施の形態のように、ディスク基板の
厚み変動や多層記録に対応する場合、収差は球面収差と
なるため、同心円状に同一な収差のパターンが現れるこ
とになる。したがって、この収差に対応するために透明
電極層3a〜3gのパターンは同心円状になる。また、
積層体5の外径は、入射光のビーム径に合った大きさと
すればよい。
【0039】本実施の形態の場合、図2に示すように、
透明基板2の上面に、7層の透明電極層3a〜3gと6
層の電気光学材料層4a〜4fが交互に積層された積層
体5が形成されている。そして、7層の透明電極層のう
ち、透明電極層3a、3c、3e、3gが互いに接続さ
れ、透明電極層3b、3d、3fが互いに接続されると
ともに、透明電極層3a、3c、3e、3gと透明電極
層3b、3d、3fとは接触しておらず、電気光学材料
層4a〜4fにより電気的に絶縁されている。このよう
な構成とするのは、透明電極層に対して1層おきに共通
で、かつ隣接する層では異なる電位を印加するためであ
る。また、図中符号3hの部分は透明電極層3a、3
c、3e、3gからの引き出し電極、符号3jの部分は
透明電極層3b、3d、3fからの引き出し電極であ
る。
【0040】また、図2に示すように、7層の透明電極
層3a〜3gのうち、透明電極層3a、3c、3e、3
gは連続して積層体5上の全ての場所に存在する。その
一方、透明電極層3b、3d、3fは、各層の中がさら
に分割され、実際に電圧が印加されて電極として機能す
る部分と、電圧が印加されずただ単に透明膜として存在
するだけの部分とに分かれている。例えば、図1、図2
において、電極パターンが区画された領域を積層体5の
外側から内側に向けてA1、A2、A3とすると、引き
出し電極3jと接続されて電極として機能する部分は、
透明電極層3bでは領域A3から領域A1まで延び、透
明電極層3dでは領域A3から領域A2まで延び、透明
電極層3fでは領域A3のみに存在する。逆に見れば、
領域A1では透明電極層3bのみが電極として存在し、
領域A2では透明電極層3b、3dが電極として存在
し、領域A3では透明電極層3b、3d、3fが電極と
して存在している。勿論、透明電極層3a、3c、3
e、3gは全ての領域で電極として存在している。
【0041】具体的には、電気光学材料層4a〜4fと
してPLZT等の電気光学効果を持つ材料が用いられ、
透明電極層3a〜3gの材料にITO等の透明導電膜が
用いられている。特に、本実施の形態ではPLZT(P
1-xLax(ZryTiz1- x/43)のうち、x=0.
09、y:z=65:35の組成のものが用いられてい
る。なお、透明電極層3a〜3gの材料としては、IT
Oの他、SnO2、ZnO、In23 等を用いてもよ
い。電気光学材料層4a〜4fの屈折率は約2.5、そ
の膜厚は10μm、最下層の透明電極層3aおよび最上
層の透明電極層3gの屈折率は約2.0、その膜厚は6
0〜100nm、中間層の透明電極層3b〜3fの屈折
率は約2.0、その膜厚は165〜180nm、であ
る。
【0042】次に、上記構成の位相フィルター1の製造
方法について図3、図4を用いて説明する。図3(A)
〜(E)および図4(F)〜(I)は位相フィルター1
を平面視した工程図であり、図3(a)〜(e)および
図4(f)〜(i)は位相フィルター1を対角線方向に
切断した状態で断面視した工程図である。
【0043】実際には、他の半導体デバイス等の製造時
にもよく用いられるように、1枚の透明基板上に複数の
積層体を同時に形成し、最後に積層体を1個ずつダイシ
ングして複数の位相フィルターを同時に製造するという
方法を採るが、ここでは簡便のため、1個の位相フィル
ターのみを作成するものとして説明する。また、本実施
の形態は7層の透明電極層3a〜3gと6層の電気光学
材料層4a〜4fを交互に積層したものであるが、説明
を簡便にするため、ここでは3層の透明電極層3a〜3
cと2層の電気光学材料層4a、4bを積層したものと
する。そして、透明電極層3bを分割し、その中央のパ
ターンに個別に電圧を印加するための取り出し電極を形
成する場合を想定し、その形成方法について説明する。
この構造以上に層の数が増えたとしても、同様の工程を
繰り返せばよいことは容易に類推できると考える。
【0044】まず最初に、透明基板として石英基板を準
備し、これを洗浄する。洗浄方法は、例えば、中性洗剤
とスポンジで基板表面を擦りながら洗浄するスクラブ洗
浄を行った後、アセトンまたはアルコール中での超音波
洗浄を行い、最後にIPA(イソプロピルアルコール)
蒸気洗浄を行う。
【0045】次に、図3(A)、図3(a)に示すよう
に、透明基板2上に透明電極層3aとなるITO膜6を
成膜する。成膜方法としては、マグネトロンスパッタリ
ング法が最も一般的であるが、その他、ゾルゲル法等に
よっても成膜が可能である。スパッタリング法の場合、
材料となるITOを用いてターゲットを作成し、DCプ
ラズマでターゲット材料を真空中にスパッタリングし、
必要に応じて加熱した基板の上にITOを堆積させる。
【0046】次に、図3(B)、図3(b)に示すよう
に、周知のフォトリソグラフィー法を用いてITO膜6
をパターニングする。この際には、フォトマスクを予め
作成しておき、フォトマスクのパターンをレジスト膜に
転写し、できたレジストパターンをマスクとしてエッチ
ングを行う。エッチング法には、真空中のプラズマを用
いるリアクティブイオンエッチング、イオンミリング、
薬液を用いるウェットエッチング等があり、ITO膜に
対してはいずれもがエッチング可能であるが、簡単であ
ることから、ここでは王水を用いたウェットエッチング
を用いる。まず、ITO膜6上にレジストパターン(図
示せず)を形成する。このパターンはITO膜6を残す
べき箇所にレジスト膜が残るようにする。次に、このレ
ジストパターンをマスクとして王水中でエッチングを行
うと、レジストパターンに覆われていない部分のITO
膜6が除去され、残ったITO膜6が透明電極層3aと
なる。
【0047】次に、図3(C)、図3(c)に示すよう
に、全面に電気光学材料層4aとなるPLZT膜7を成
膜する。成膜方法としては、マグネトロンスパッタリン
グ法が最も一般的であるが、その他、ゾルゲル法等によ
っても成膜が可能である。スパッタリング法の場合、材
料となるPLZTを用いてターゲットを作成し、DCプ
ラズマでターゲット材料を真空中にスパッタリングし、
必要に応じて加熱した基板の上にPLZTを堆積させ
る。
【0048】次に、図3(D)、図3(d)に示すよう
に、周知のフォトリソグラフィー法によりPLZT膜7
をパターニングする。エッチング法には、真空中のプラ
ズマを用いるリアクティブイオンエッチング、イオンミ
リング、薬液を用いるウェットエッチング等があり、P
LZT膜に対してもいずれもがエッチング可能である
が、簡単であることから、ここではバッファード弗酸を
用いたウェットエッチングを用いる。PLZT膜7を残
すべき箇所にレジスト膜(図示せず)が残るようにレジ
ストパターンを形成した後、このレジストパターンをマ
スクとしてバッファード弗酸中でエッチングを行うと、
レジストパターンに覆われていない部分のPLZT膜7
が除去され、残ったPLZT膜7が電気光学材料層4a
となる。
【0049】次に、図3(E)、図3(e)に示すよう
に、全面に透明電極層3bとなるITO膜をスパッタ法
等により成膜した後、このITO膜をフォトリソグラフ
ィー法によりパターニングする。この際、電気光学材料
層4aの上面において、ITO膜が同心円状に2重のパ
ターンとなるようにパターニングを行う。また、ITO
成膜工程では、電気光学材料層4aの側壁と透明基板2
上にもITO膜が成膜されるが、ITO膜の外側のパタ
ーンに電位を供給するために、電気光学材料層4a上面
のITO膜の外側のパターンに連続して電気光学材料層
4aの側壁と透明基板2上にあたるITO膜も一部残
し、これを透明電極層3b外側パターンからの引き出し
電極3kとする。
【0050】次に、図4(F)、図4(f)に示すよう
に、全面に電気光学材料層4bとなるPLZT膜をスパ
ッタ法等により成膜した後、このPLZT膜をフォトリ
ソグラフィー法によりパターニングする。この際、PL
ZT膜のパターンが電気光学材料層4aの上に積み重な
るように電気光学材料層4aとほぼ同一形状にパターニ
ングすると同時に、透明電極層3bの内側パターン上で
PLZT膜が開口するようなスルーホール8を形成す
る。
【0051】次に、図4(G)、図4(g)に示すよう
に、全面に透明電極層3cとなるITO膜をスパッタ法
等により成膜した後、このITO膜をフォトリソグラフ
ィー法によりパターニングする。この際、電気光学材料
層4aの上面においては、スルーホール8とその周辺を
除いた領域にITO膜が残るようにパターニングを行
う。また、透明電極層3b外側パターンからの引き出し
電極3kの部分では、透明電極層3cと引き出し電極3
kがショートしないように、透明電極層3cと引き出し
電極3kの間にITO膜を残さないようにエッチングす
る。なぜならば、この箇所にITO膜を残すと、透明電
極層3bと透明電極層3cとがショートしてしまい、異
なる電位を印加できなくなるからである。一方、ITO
成膜工程では、電気光学材料層4a、4bの側壁と透明
基板2上にもITO膜が成膜されるが、積層体5の外側
に透明電極層3aを残した箇所(符号Bで示す箇所)の
上にはITO膜を残すようにする。これにより、その箇
所では透明基板2上で透明電極層3aと透明電極層3c
とが電気的に接続され、これら透明電極層3a、3cに
共通の電位を印加することができる。
【0052】次に、図4(H)、図4(h)に示すよう
に、全面にPLZT膜7をスパッタ法等により成膜した
後、このPLZT膜7をフォトリソグラフィー法により
パターニングする。この際、PLZT膜7のパターンが
電気光学材料層4a、4bの上に積み重なるように電気
光学材料層4a、4bとほぼ同一形状にパターニングす
ると同時に、前に形成したスルーホール8の内側でPL
ZT膜7が開口し、透明電極層3bの内側パターンが露
出するようなスルーホール9を形成する。ただし、この
PLZT膜7は電気光学材料層として用いるのではな
く、次工程で積層体5の最上面に引き出し電極3jを形
成する際の透明電極層3cと引き出し電極3jとの間の
絶縁層として機能させるためのものである。したがっ
て、この層に関しては、必ずしもPLZT等の電気光学
材料を用いる必要はなく、絶縁性を有するとともに光を
透過する性質を持つ材料であればよく、例えばSi
2、Al23 等を用いてもよい。
【0053】最後に、図4(I)、図4(i)に示すよ
うに、全面に金属膜をスパッタ法等により成膜した後、
この金属膜をフォトリソグラフィー法によりパターニン
グすることにより、透明電極層3bの内側パターンから
の取り出し電極3jを形成する。前の工程では取り出し
電極3kとして透明電極層3bと連続するITO膜を用
いたが、この工程のように取り出し電極3jのみを個別
に形成する場合には通常の金属膜を用いることができ
る。一例として、Al膜をスパッタリング法により形成
し、パターニング時のエッチングとしては、リン酸・硝
酸・酢酸・水を混合したエッチング液を用いればよい。
以上の工程により、本実施の形態の位相フィルター1を
形成することができる。
【0054】なお、図4(I)、図4(i)を見ると明
らかなように、この位相フィルター1を実際に使用する
場合、スルーホール9の部分と取り出し電極3jの箇所
は、構造上、他の部分とは透過光の位相が異なってしま
うので、取り出し電極3jの部分には透明な材料は用い
ず、光を透過しない材料を用いる方がよい。さらに、光
を反射する材料よりも光を吸収する材料を用いた方が、
迷光が減ってよい。これらの観点から、この部分の面積
はできるだけ小さい方が好ましいことは勿論である。
【0055】上述したように、本実施の形態の位相フィ
ルター1の実際の構成では、上記と同様の成膜工程、パ
ターニング工程を繰り返すことにより、実際の構成に合
った位相フィルター1を容易に形成することができる。
なお、図3(A)〜(E)、図4(F)〜(I)に示し
た位相フィルター1の平面パターンは、あくまでも作図
を簡単にするために採用したものであって、特性上最適
なパターンというわけではない。
【0056】本実施の形態の位相フィルター1を使用す
る場合には、図2に示すように、引き出し電極3hと引
き出し電極3jとの間に電源10を接続し、6層の電気
光学材料層4a〜4fのそれぞれに電圧を印加する。そ
して、積層体5の上面側から光Lを入射する。この時、
透明電極層3b、3d、3fの電極として機能する部分
の数が領域によって異なるために、各領域A1、A2、
A3によって電圧の印加状態が異なるようになる。すな
わち、領域A1では透明電極層3aと3bの間の電気光
学材料層4a、透明電極層3bと3cの間の電気光学材
料層4bの2層、領域A2では電気光学材料層4a、電
気光学材料層4bに加えて、透明電極層3cと3dの間
の電気光学材料層4c、透明電極層3dと3eの間の電
気光学材料層4dの4層、領域A3では電気光学材料層
4a、電気光学材料層4b、電気光学材料層4c、電気
光学材料層4dに加えて、透明電極層3eと3fの間の
電気光学材料層4e、透明電極層3fと3gの間の電気
光学材料層4fの6層に電圧が印加される。電圧が印加
されない電気光学材料層の部分は光が透過しても、屈折
率が変化しない。
【0057】上記(5)式より、位相は屈折率変化量と
位相フィルターの厚みとの積に比例するため、電圧印加
時の1層の電気光学材料層あたりの屈折率変化量をΔ
n、厚みをdとすると、各領域毎の位相変化量は、領域
A1で2Δn・d、領域A2で4Δn・d、領域A3で
6Δn・d、となる。したがって、光軸に垂直な面内の
同心円状の場所によって電気光学材料の屈折率を変化さ
せ、光路差(位相)を変化させることができる。これに
より、球面収差を補正することができ、ディスク基板の
厚み変動あるいは多層記録に対応した位相フィルターを
実現することができる。
【0058】本実施の形態の位相フィルター1の場合、
電気光学材料を用いたことにより液晶を用いた従来の素
子に比べて応答速度を格段に向上することができる。ま
た、電気光学材料が無機材料であるから、青色レーザに
対しても劣化することがない。特に、電気光学材料とし
てPLZT(Pb1-xLax(ZryTiz1-x/43)の
x=0.09、y:z=65:35の組成のものを用い
ているため、圧電性がなく、圧電材料を用いた従来の素
子のように電界の境界部分でクラックが入る恐れもな
い。さらに、屈折率変化量を印加電圧で制御できるの
で、1パターン分の位相差を小さく設定することがで
き、収差を充分に小さくすることができる。また、レー
ザ光源の波長が変化したとしても、位相フィルターへの
印加電圧をそれに合わせて微調整すれば、波長変動に対
処することも可能である。
【0059】光ピックアップの光学系の収差補正に必要
な位相差は1波長として635nm(DVD)〜780
nm(CD)であり、得られる屈折率変化Δnは0.0
1程度であるから、(5)式より、全体の膜厚は60μ
m〜80μm程度である。現在、最も優れた材料におい
て、10000V/cmの電界で0.01の屈折率変化
が生じることが知られているが、これを用いて計算して
も、膜厚60μmの単層膜で0.01の屈折率変化を得
るためには60Vの印加電圧が必要である。これに対し
て、本実施の形態の場合、電気光学材料層を6層に分割
し、それぞれに電圧を印加する構成となっているので、
上記と同様の0.01の屈折率変化を得ようとする場
合、各電気光学材料層4a〜4fの膜厚は10μmで済
み、各電気光学材料層4a〜4fに印加する電圧は10
Vで済むことになる。つまり、屈折率変化に必要なのは
電界強度であるから、膜厚を薄くすれば印加電圧を下げ
ることができる。
【0060】このように、本実施の形態の位相フィルタ
ー1によれば、1層毎の電気光学材料層4a〜4fに印
加される電界をそれ程大きくしなくても、素子全体で所
定の屈折率変化が得られるため、印加電圧を下げること
ができる。また、電気光学材料層4a〜4fの1層毎の
膜厚を充分に薄くできるため、素子の製造も容易にな
る。
【0061】さらに、本実施の形態では、最下層の透明
電極層3aおよび最上層の透明電極層3gの膜厚が60
〜100nm、中間層の透明電極層3b〜3fの膜厚が
165〜180nmというように、各透明電極層3a〜
3gの膜厚を最適化したことにより、DVDで用いる6
35nmからCDで用いる780nmの波長範囲で85
%以上の透過率を得ることができる。
【0062】[第2の実施の形態]以下、本発明の第2
の実施の形態を図5を参照して説明する。図5は本実施
の形態の位相フィルター11を示す断面図であり、第1
の実施の形態の図2に対応している。本実施の形態の位
相フィルター11が第1の実施の形態と異なる点は反射
防止膜を追加した点のみであり、パターン構成は変わら
ないため、平面図の例示は省略、共通の構成要素には同
一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0063】本実施の形態の位相フィルター11は、図
5に示すように、透明基板2の上面に、第1の実施の形
態と同様に、7層の透明電極層3a〜3gと6層の電気
光学材料層4a〜4fとが交互に積層された構成の円形
の積層体5が形成されている。ディスク基板の厚み変動
や多層記録に対応するために透明電極層3a〜3gのパ
ターンは同心円状であり、7層の透明電極層3a〜3g
のいずれかは同心円状に区画された領域A1、A2、A
3によって実際に電極として機能する部分の数が異なっ
ている。この構成も第1の実施の形態と同様である。そ
して、本実施の形態の場合、積層体5の最上層に反射防
止膜12が設けられている。この反射防止膜12の屈折
率は1.0〜2.0程度の範囲にある必要があり、特
に、1.2〜1.4程度とすることが望ましい。また、
反射防止膜12の膜厚は100nm〜200nm程度が
適当である。反射防止膜12の材料としては、Si
2、BaF3等を用いることができる。
【0064】本実施の形態の位相フィルター11によれ
ば、光が入射する側の最表面に反射防止膜12を設けた
ことにより、位相フィルター11に入射された光Lの損
失が少なく、透過率の向上を図ることができる。例え
ば、反射防止膜12の膜厚を100〜200nm、屈折
率を1.2〜1.4とした場合、透過率を92%以上に
まで向上することが可能である。これにより、高効率の
位相フィルターを実現することができる。
【0065】なお、本実施の形態の構成において、さら
に透明電極層3a〜3gと電気光学材料層4a〜4fと
の間に反射防止膜(図示せず)を追加してもよい。この
箇所に反射防止膜を設けた場合、透明電極層3a〜3g
と電気光学材料層4a〜4fの界面で生じる光の反射を
低減することができる。さらに、この反射防止膜にZr
2、HfO2、Ta25、ZnS、TiO2、CeO2
CdS、ZnSe等の材料を用いると、これらの材料が
PLZTからのPbの拡散、ITOからのIn、Snの
拡散を抑制する効果も持つため、PLZTの特性変動
(屈折率変化量の低下)を防止することができる。
【0066】[第3の実施の形態]以下、本発明の第3
の実施の形態を図6〜図8を参照して説明する。第1、
第2の実施の形態では、補正対象の収差が球面収差であ
り、ディスク基板の厚み変動や多層記録に対応可能な位
相フィルターの例を挙げたが、本実施の形態では、この
位相フィルターに補正対象の収差がコマ収差であり、デ
ィスクの傾きに対応可能なパターンを組み合わせた例を
挙げて説明する。
【0067】第1、第2の実施の形態で示した球面収差
補正用の透明電極層パターンを同心円状としたのに対
し、例えば図6に示すように、コマ収差補正用の透明電
極層パターン13は、ディスクの傾き軸Dに対して線対
称の形状となるように設計すればよい。
【0068】このコマ収差補正用パターンと球面収差補
正用パターンを用いた本実施の形態の位相フィルター1
4は、図7に示すように、透明基板2の上面に、7層の
透明電極層15a〜15gと6層の電気光学材料層16
a〜16fとが交互に積層された平面視円形の積層体1
7が形成されている。ここでの透明電極層15a〜15
gのパターンは、第1の実施の形態と同様、同心円状で
あり、ディスク基板の厚み変動や多層記録に対応し得る
球面収差補正用のパターンである。この積層体17の上
方に、7層の透明電極層18a〜18gと6層の電気光
学材料層19a〜19fが交互に積層された円形の積層
体20がさらに形成されている。ここでの透明電極層1
8a〜18gのパターンは、図6に示したように、ディ
スクの傾き軸Dに対して線対称の形状となっており、デ
ィスクの傾きに対応し得るコマ収差補正用のパターンで
ある。また、コマ収差補正用の積層体20においても、
球面収差補正用の積層体17と同様、各領域によって透
明電極層18b、18d、18fのうち、電極として機
能する部分の数が異なっている。なお、図7では、積層
体17については図1のA−A線に沿う断面、積層体2
0については図6のY−Y線に沿う断面を示している。
【0069】本実施の形態の位相フィルター14におい
ては、球面収差の補正量とコマ収差の補正量が違う場合
等に備えて、積層体17と積層体20に対して別個の電
源10a、10bを設けた。また、球面収差補正とコマ
収差補正を同時に行ったり、いずれか一方のみを行った
りできるようにスイッチ22a、22bを設けた。この
位相フィルター14の場合、1枚の透明基板2上に球面
収差補正用の積層体17とコマ収差補正用の積層体20
が積層されているため、この位相フィルター1つで球面
収差とコマ収差の双方を補正することができ、ディスク
基板の厚み変動や多層記録とディスクの傾きの双方に対
応し得る高機能の位相フィルターを実現することができ
る。バルクの電気光学材料を用いた位相フィルターを用
いようとすると、各機能を有する位相フィルターを2つ
準備しなければならないが、本実施の形態のように多数
の薄膜を積層してフィルターを構成する場合、2つの機
能を兼ね備えた位相フィルターを比較的容易に作製する
ことができる。
【0070】上記の例は透明基板2の片面に2種類の積
層体17、20を積層した構成であるが、この構成に代
えて、図8に示す位相フィルター21のように、透明基
板2の両面にそれぞれ球面収差補正用の積層体17、コ
マ収差補正用の積層体20を形成してもよい。
【0071】[第4の実施の形態]以下、本発明の第4
の実施の形態を図9を参照して説明する。本実施の形態
は、第1〜第3の実施の形態で例示した位相フィルター
を備えた光ピックアップの例であり、図9がその概略構
成図である。
【0072】本実施の形態の光ピックアップ23は、図
9に示すように、半導体レーザ24、回折格子25、ビ
ームスプリッタ26、コリメータレンズ27、位相フィ
ルター28、対物レンズ29、焦点検出レンズ30、フ
ォトダイオード31から概略構成されている。半導体レ
ーザ24から出射された光Lは、回折格子25、ビーム
スプリッタ26を順次透過した後、コリメータレンズ2
7により平行光線とされ、対物レンズ29によりディス
ク32の記録面32aに焦点を結ぶ。この時、例えばデ
ィスク32が傾いた状態で支持されていると、コマ収差
が生じて記録・再生の信頼性が低下する。また、ディス
ク基板の厚み変動があると、球面収差が生じる。これら
の収差を補正するために、コリメータレンズ27と対物
レンズ29との間に位相フィルター28が挿入されてい
る。
【0073】位相フィルター28は、必要に応じて対物
レンズ29に固定される。その理由は、対物レンズ29
は、フォーカシングのために光軸に沿った方向(矢印F
の方向)に移動するとともに、トラッキングのために光
軸に垂直な方向(矢印Tの方向)にも移動するが、光軸
に垂直な方向に移動した際にも収差の補正を忠実に行わ
せるためである。つまり、位相フィルター28が対物レ
ンズ29と連動して動かないと、位相フィルター28の
パターンと対物レンズ29の波面収差パターンとがずれ
ることになって、正確な補正がなされないからである。
なお、上記2つのパターンがずれたことによる収差が小
さく、問題にならない場合には、光ピックアップの組立
の容易さから考えて、位相フィルター28を対物レンズ
29に固定しない方が望ましい。
【0074】そして、ディスク32の記録面32aで反
射した光は、ビームスプリッタ26に再度入射した後、
光路を曲げて焦点検出レンズ30、フォトダイオード3
1へと導かれ、検出が行われる。
【0075】本実施の形態の光ピックアップ23におい
ては、位相フィルター28を備えたことにより位相フィ
ルター28を透過した光の球面収差やコマ収差が補正さ
れ、ディスク32の記録面32aに対してデータの書き
込みや読み出しを精度良く行うことができる。これによ
り、ディスクの傾き、または基板の厚み変動や多層記録
に対応した収差補正機能を有し、精度や信頼性に優れた
光ピックアップを実現することができる。
【0076】なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において種々の変更を加えることが可能である。例
えば第1〜第3の実施の形態では、透明基板上に透明電
極層と電気光学材料層を交互に積層した構成を採用した
が、何らかの形で透明電極と電気光学材料を交互に配
置、保持できるならば、必ずしも透明基板上に積層しな
くてもよい。また、上記実施の形態では、1層の透明電
極層を領域によって分割し、一定の電圧を印加しても必
然的に領域によって電気光学材料全体の屈折率変化量が
変わるような構成としたため、駆動回路が極めて簡単に
なった。ところが、駆動回路が多少複雑にはなるが、同
心円状あるいは線対称の各電極パターン毎に別々の電圧
を印加することにより、領域によって電気光学材料の屈
折率変化量が変わる構成としてもよい。
【0077】また、上記実施の形態で挙げた以外の各部
材の材料としては、透明基板として耐熱性ガラス、溶融
石英等を用いることができ、透明電極としてSnO2
ZnO、In23等を用いることができ、電気光学材料
としてBaTiO3、SrTiO3、KTaO3、KTa
NbO3等の材料を用いることが可能である。
【0078】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
収差補正素子によれば、場所によって電気光学材料の屈
折率を変化させることにより、光路差(位相)を変化さ
せ、収差を補正することができる。そして、電気光学材
料の使用によって、応答速度を向上することができ、青
色レーザに対しても劣化することがない。また、PLZ
Tのような圧電性のない材料が選択できるため、場所に
よって異なる電界を印加しても電界の境界部分でクラッ
クが入る恐れもない。また、屈折率変化量を印加電界で
制御できるので、1段差分の位相差を充分に小さく設定
することができる。このため、収差を充分に零に近付け
ることが可能になる。特に本発明の場合、透明電極と電
気光学材料を交互に積層しているため、印加電圧を下げ
ることができ、電気光学材料1層毎の膜厚を薄くするこ
とができる。そして、本発明の収差補正素子を使用する
ことにより、ディスクの傾き、または基板の厚み変動や
多層記録に対応した収差補正機能を有し、精度や信頼性
に優れた光ピックアップを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の位相フィルター
(ディスク厚み変動、多層記録対応用)を示す平面図で
ある。
【図2】 図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】 同、位相フィルターの製造プロセスを示す工
程断面図である。
【図4】 同、工程断面図の続きである。
【図5】 本発明の第2の実施の形態の位相フィルター
を示す断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態の位相フィルター
に用いるコマ収差補正用パターンを示す平面図である。
【図7】 同、位相フィルターを示す断面図である。
【図8】 同、位相フィルターの変形例を示す断面図で
ある。
【図9】 本発明の第4の実施の形態の光ピックアップ
を示す概略構成図である。
【図10】 本発明の収差補正素子において、透明電極
の膜厚を一定の値に設定したときの透過光の波長と透過
率との関係を示す図であって、中間透明電極の膜厚が1
65nmの場合の図である。
【図11】 同、透過光の波長と透過率との関係を示す
図であって、中間透明電極の膜厚が180nmの場合の
図である。
【図12】 同、透過光の波長と透過率との関係を示す
図であって、表層透明電極の膜厚が60nmの場合の図
である。
【図13】 同、透過光の波長と透過率との関係を示す
図であって、表層透明電極の膜厚が100nmの場合の
図である。
【図14】 本発明の収差補正素子において、反射防止
膜の屈折率と膜厚を変えた場合の透過光の波長と透過率
との関係を示す図であって、屈折率が1.2、膜厚が1
00nmの場合の図である。
【図15】 同、透過光の波長と透過率との関係を示す
図であって、屈折率が1.2、膜厚が200nmの場合
の図である。
【図16】 同、透過光の波長と透過率との関係を示す
図であって、屈折率が1.4、膜厚が100nmの場合
の図である。
【図17】 同、透過光の波長と透過率との関係を示す
図であって、屈折率が1.4、膜厚が200nmの場合
の図である。
【図18】 本発明の収差補正素子において、透明電極
と電気光学材料の間に反射防止膜を設けた場合の透過光
の波長と透過率との関係を示す図である。
【図19】 位相制御素子の原理を説明するための図で
ある。
【符号の説明】
1,11,14,21,28 位相フィルター(収差補
正素子) 2 透明基板 3a〜3g,15a〜15g,18a〜18g 透明電
極層 4a〜4f,16a〜16f,19a〜19f 電気光
学材料層 5,17,20 積層体 6 ITO膜 7 PLZT膜 12 反射防止膜 23 光ピックアップ 24 半導体レーザ 29 対物レンズ 31 フォトダイオード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 健三郎 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 Fターム(参考) 2H079 AA02 AA12 AA14 BA03 CA24 DA03 DA04 EA27 EB03 EB06 EB15 EB17 GA01 5D119 AA41 BA01 EA02 EA03 EC01 FA05 JA09 JA43 JB03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも透明導電層を3層以上かつ電
    気光学材料層を2層以上含むように複数の透明導電層と
    複数の電気光学材料層とが交互に積層されるとともに、
    前記複数の透明導電層のうちの任意の透明導電層が分割
    され、その分割された透明導電層の少なくとも一部が複
    数の電極として機能し、これら複数の電極を用いて前記
    電気光学材料層の屈折率を電気的に制御することにより
    光路差を場所によって変化させ、入射光の位相を制御す
    ることで収差を補正することを特徴とする収差補正素
    子。
  2. 【請求項2】 前記複数の透明導電層の各層に含まれる
    電極の数が異なり、前記複数の透明導電層のうちの1層
    おきの透明導電層の電極に第1の電位を印加すると同時
    に残りの透明導電層の電極に第2の電位を印加した際に
    前記複数の電気光学材料層全体に加わる電界が場所によ
    って異なり、前記第1の電位および前記第2の電位の印
    加により前記透明導電層間に挟まれた前記電気光学材料
    層の屈折率を制御することを特徴とする請求項1に記載
    の収差補正素子。
  3. 【請求項3】 前記透明導電層および前記電気光学材料
    層が透明基板上に薄膜状に形成されたことを特徴とする
    請求項1または2に記載の収差補正素子。
  4. 【請求項4】 前記電気光学材料層がカー効果を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
    収差補正素子。
  5. 【請求項5】 前記電気光学材料層が、ペロブスカイト
    構造の等軸晶系の単結晶または多結晶膜であることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の収差補正
    素子。
  6. 【請求項6】 前記電気光学材料層が、Pb1-xLa
    x(ZryTiz1-x/43の多結晶膜であることを特徴
    とする請求項1ないし5のいずれかに記載の収差補正素
    子。
  7. 【請求項7】 前記xが0.08ないし0.1の範囲で
    あり、前記y:zが65:35であることを特徴とする
    請求項6に記載の収差補正素子。
  8. 【請求項8】 前記3層以上の透明導電層のうち、中間
    層の透明導電層の厚みが165nmないし180nmで
    あり、最上層または最下層の透明導電層の厚みが60n
    mないし100nmであり、前記透明導電層の屈折率が
    1.9ないし2.1であり、前記電気光学材料層の厚み
    が2μm以上であり、前記電気光学材料層の屈折率が
    2.3ないし2.7であることを特徴とする請求項6ま
    たは7に記載の収差補正素子。
  9. 【請求項9】 光が入射する側の最表面に反射防止層を
    設けたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに
    記載の収差補正素子。
  10. 【請求項10】 前記反射防止層の厚みが100nmな
    いし200nmであり、前記反射防止層の屈折率が1.
    2ないし1.4であることを特徴とする請求項9に記載
    の収差補正素子。
  11. 【請求項11】 レーザ光源と、該レーザ光源から出射
    されたレーザ光が透過した際にディスクの記録面に焦点
    を結ぶように配置された対物レンズと、前記記録面で反
    射したレーザ光を受光する受光素子とを有し、前記レー
    ザ光源と前記ディスクとの間のディスクへの入射光の光
    路上に請求項1ないし10のいずれかに記載の収差補正
    素子を備えたことを特徴とする光ピックアップ。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002044799A1 (fr) * 2000-12-01 2002-06-06 Toppan Printing Co., Ltd. Dispositif detecteur du motif de circuit et procede de detection de motif de circuit
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