JP2000291938A - 溶融スラグ徐冷方法及び装置 - Google Patents

溶融スラグ徐冷方法及び装置

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JP2000291938A
JP2000291938A JP2000029331A JP2000029331A JP2000291938A JP 2000291938 A JP2000291938 A JP 2000291938A JP 2000029331 A JP2000029331 A JP 2000029331A JP 2000029331 A JP2000029331 A JP 2000029331A JP 2000291938 A JP2000291938 A JP 2000291938A
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slag
cooling
cooling surface
molten
cooled
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JP2000029331A
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English (en)
Inventor
Katsutoshi Naruse
克利 成瀬
Takahiro Oshita
孝裕 大下
Tetsuhisa Hirose
哲久 廣勢
Kazuo Takano
和夫 高野
Manabu Yoshioka
学 吉岡
Junichi Hayakawa
淳一 早川
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Ebara Corp
Original Assignee
Ebara Corp
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  • Gasification And Melting Of Waste (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融炉からのスラグを直接供給することが可
能であり、かつ簡単な構成で占有面積の小さいコンパク
トな装置で、完全結晶化までいかなくても、水砕処理に
比べより広範囲な用途で再利用可能な適度な強度と再利
用し易い粒状形状を有するスラグ、例えば天然砂利とし
てそのまま利用可能なスラグを、新たな熱エネルギの使
用や複雑な処理を行うことなく生成可能な溶融スラグ徐
冷方法及び装置を提供する。 【解決手段】 溶融プロセスから排出される溶融スラグ
2を、冷却媒体4によって冷却されるとともに移動する
傾斜したスラグ冷却面1に直接受け、当該スラグ2をス
ラグ冷却面1との接触によって冷却しつつ、傾斜したス
ラグ冷却面1の移動によってスラグ2が転動することに
より粒状スラグ5を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般廃棄物や産業
廃棄物、下水汚泥や固形化ごみ燃料などのガス化溶融処
理等の廃棄物処理や、焼却飛灰や焼却残渣等の溶融処理
によって生じる高温の溶融スラグを冷却して、再利用し
易い形態の粒状スラグとして回収するのに適用される溶
融スラグ徐冷方法及び装置に関するものである。そして
本発明は、廃棄物を低温(450℃〜650℃、好まし
くは450℃〜600℃)で例えば深層流動床炉や流動
床の流動媒体が流動化ガスの導入量の大小により循環す
る内部循環式流動床炉で部分燃焼してガス化し、低温で
ガス化した際に得られる可燃性のガスと未燃分を溶融炉
に導き、溶融炉にて高温で未燃分を溶融して溶融スラグ
を得るとともに、可燃性のガスを熱分解し有価な可燃性
ガスとして回収するシステム(所謂ケミカルリサイクル
システム)や、得られた有価な可燃性ガスを燃料電池や
ガスタービン、ガスエンジンなどに用いて発電する発電
システムにおいて溶融スラグを冷却して、再利用し易い
形態の粒状スラグとして回収するのに適用される溶融ス
ラグ徐冷方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般廃棄物や産業廃棄物などの焼却処理
によって生じる灰などのスラグ化技術は、処理物の無害
化と埋立処分地の延命化を目的とした技術であるが、埋
立処分地が年々残り少なくなっていることから、処理物
再利用の用途開発や製品開発が盛んに行われるようにな
った。
【0003】廃棄物処理により生じるスラグを有効利用
する用途として有望視されているもののひとつは、人工
骨材としての利用である。例えば、コンクリート用骨材
として使用されている砂利の代替用としての用途であ
る。天然砂利が骨材として優れている点は、河砂利に代
表されるように、表面が摩耗して角がとれているため、
セメントとの混練性に優れ、密着性も高くなる点にあ
る。この結果、コンクリートと骨材との間に空隙が生じ
難いという特徴があり、これまでコンクリート構造材の
成形等に広く利用されてきた。
【0004】しかし、近年では、環境破壊に対する関心
が高まり、自然破壊につながる天然砂利の採取が難しく
なってきている。そのため、天然岩石を粉砕したものが
代替品として使用されるようになってきており、強度は
ともかく、上記のような形状に依存する利点は失われつ
つあるばかりか、表面積の増大によりコンクリート使用
量の増加を招いている。
【0005】一方、溶融スラグの冷却方法としては、一
般に水による直接冷却(水砕化)方法が用いられてい
る。この方法は、溶融スラグを水が張られた容器やコン
ベアなどの排出装置で受けて冷却固化して排出するよう
にしたもので、冷却固化装置の構造がシンプル(簡素)
であり、排出される水砕スラグは、ある程度細かく粒状
化されて形状が整ったものが多い。またその性状は、重
金属の溶出等がなく極めて安定していることから、更に
粉砕して砂として利用することや、緑地化や道路舗装へ
の利用が検討されている。しかし、水砕スラグは、水で
急冷されて生成されているために非晶質のガラス構造
で、しかも内部に気泡が入ってしまう。そのために非常
に脆く、強度が要求される骨材への利用は難しかった。
また形状も鋭利なものが多くなるため、取扱い上も好ま
しくなかった。
【0006】このため、水砕スラグのように非晶質であ
ったり結晶化が進んでないスラグを結晶化させて硬度を
上げる方法が開発されている。これは、鋳造岩の焼戻処
理と同じで、水砕スラグを熱処理して強度を改善しよう
とするものである。この方法で生成されたものは、結晶
質の鉱滓となるため、骨材等への利用には十分な強度を
有するが、結晶化のために新たな熱エネルギを消費する
という欠点があり、その製造段階で人工骨材にふさわし
い形状にするには極めて多くの手間と費用を要する。こ
の新たな熱エネルギを消費する問題を解決するため、例
えば、回転炉に溶融スラグと廃プラスチックのような灰
分の少ない可燃廃棄物を混ぜて投入し、可燃廃棄物の燃
焼熱で加熱して再結晶させる技術が開発されている。し
かし、この技術は、混合廃棄物の種類が灰分が少なく成
分の安定したものに特定され、しかも、スラグを十分に
再結晶させて回収するには、占有面積が大きな回転炉が
必要になるという欠点がある。
【0007】水砕処理以外に溶融スラグを冷却固化する
方法としては、冷却段階で水砕処理せずに直接空冷で徐
冷することにより結晶化させる方法が知られている。こ
の方法によって得られるスラグは、前述と同様に、結晶
化して鋳造岩となるため強度があり、鋳型を使用するこ
とで、成形品の大きさを揃えることが可能である。しか
も、新たな熱エネルギを必要としないという利点を有す
る。
【0008】しかし、溶融スラグを十分に徐冷して完全
に結晶化させるには、非常に多くの時間を必要とするた
め、徐冷スペースを大きくとる必要があり、スラグ量が
多い場合は、多くの鋳型や大きな鋳型が必要となり、回
収装置が更に大型化してしまう。また鋳造岩のままでは
利用しにくいという欠点もある。例えば、徐冷に適した
温度に保たれた保温室内を移動可能なスラグ受け容器で
溶融スラグを受けて徐冷する方法や、多数の鋳込みカッ
プを有するベルトコンベアを利用した連続鋳銑機のよう
な造塊装置を利用する方法では、成形形状や寸法は容易
に揃えられるものの、保温室やコンベアにかなり広い設
置スペースを必要とし、装置の占有面積が増大するばか
りでなく、結晶化スラグの大きさを骨材向けに小さく成
形するのも困難である。骨材として利用するためには粉
砕が必要となるが、硬度がある分、粉砕に要するエネル
ギが増大し、しかも、角が多い粉砕物を丸みを帯びた形
状にするには、再度熱を加えて粒状に成形するなど、さ
らに新たな熱エネルギを消費しなければならない。
【0009】こうした強度や形状の問題を解決するた
め、例えば、水冷回転ドラム式造粒機に溶融スラグを送
り込み、溶融スラグに外殻を形成させて整粒した後、調
質炉で復熱させて結晶化することで、高強度の粒状スラ
グを得る方法が開発されている。こうした傾斜回転ドラ
ムを使用したスラグ粒状化技術は、この他にも多くのも
のが開発されている。
【0010】しかし、溶融スラグが生成される溶融炉
は、そのほとんどが自由落下を利用して溶融スラグを排
出するタイプのものであり、溶融スラグを回転ドラムに
直接供給することが困難であるために、溶融炉と冷却装
置との間にスラグ溜め桶やスラグ供給装置を介さねばな
らない。これらスラグ溜め桶やスラグ供給装置には、溶
融スラグの冷却固化を防ぐために温度を融点以上に保つ
機構が必要であり、スラグ供給装置には、更にスラグを
分散させる機構と、相互付着を防止する機構が必要とな
る。そのため、装置数が多くなって占有面積が大きくな
るばかりでなく、各装置の構造も複雑にならざるを得な
い。また前記のように、復熱によって再結晶まで行う場
合には、復熱時に熱エネルギを必要とするため、例え
ば、流動床ガス化溶融システムのような廃棄物のもつエ
ネルギを有効使用してスラグを生成回収するプロセスで
は、その意義を少なからず失うことになる。
【0011】またハンドリング性に優れた粒状スラグの
生成方法としては、ジャケット構造を有する一様な水平
回転円盤によって溶融スラグを冷却するようにしたもの
が知られている。溶融スラグは、回転円盤の中心付近に
供給され、遠心力によって液滴状に飛散して円盤外周よ
り放出される。同時に、円盤の回転軸から供給された冷
却媒体が円盤内を流通して円盤上のスラグを冷却した
後、回転円盤外周から噴出され、円盤から液滴状に飛散
したスラグをさらに冷却する。この方法によれば、大き
さの揃った均質な粒状スラグを得ることが可能である。
【0012】しかし、溶融スラグを回転円盤上で全て冷
却せずに液滴のまま遠心力によって飛散させ、回転円盤
の外周から噴出された冷却媒体によってさらに冷却する
という構造上、回転円盤周辺にかなりの冷却スペースが
必要になるため、処理するスラグ量がたとえ少量であっ
ても装置の占有面積は大きくなる。またスラグを円盤上
で全て冷却しようとすれば、水平な一様回転円盤では冷
却面を大きくするしかない。冷却面の大きさを小さく抑
えるために回転速度を遅くして滞留時間を稼ぐ方法もあ
るが、反面、回転速度低下によりスラグの分散が難しく
なる。また回転円盤から噴出した冷却媒体はスラグの熱
だけではなく雰囲気ガスの熱をも奪ってしまう。そのた
め、例えば溶融炉から排出されるスラグを直接徐冷装置
で受けるような場合は、装置に供給されるスラグ温度が
低下し、スラグの粘度が増加してやはり分散や粒状化が
困難になってしまう。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、最近で
は水砕処理したスラグは無害化され極めて安定した性状
のものとなることから、その再利用が注目されている。
しかし、水砕処理して得られる水砕スラグは非結晶であ
るがゆえに脆弱であり、強度を必要とする用途に向かな
いため、その再利用先が限られてしまう。一方、徐冷に
よる塊状スラグは、強度の問題は解決されるが、装置が
大型化し占有面積も大きくなる上、再利用への形状調整
が難しいという欠点もある。
【0014】また、回転ドラムを利用して粒状スラグを
生成する従来の技術にあっては、溶融炉から排出される
溶融スラグを回転ドラムに直接供給するのが困難であ
る。さらに、復熱結晶化による高強度のスラグの生成に
は、再度、熱エネルギを必要とし、溶融から粒状スラグ
生成まで一貫したプロセスで行おうとすれば、プロセス
が複雑となり必要装置数も増加する。
【0015】さらに、水平回転する円盤型ジャケット冷
却面により溶融スラグを徐冷する従来の技術にあって
は、均質な粒状スラグを得やすいが、スラグ処理量の割
に装置が大きくなるという欠点がある。
【0016】本発明は、上述の事情に鑑みてなされたも
ので、溶融炉からのスラグを直接供給することが可能で
あり、かつ簡単な構成で占有面積の小さいコンパクトな
装置で、完全結晶化までいかなくても、水砕処理に比べ
より広範囲な用途で再利用可能な適度な強度と再利用し
易い粒状形状を有するスラグ、例えば天然砂利としてそ
のまま利用可能なスラグを、新たな熱エネルギの使用や
複雑な処理を行うことなく生成可能な溶融スラグ徐冷方
法及び装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の溶融スラグ徐冷方法は、溶融プロセスから
排出される溶融スラグを、冷却媒体によって冷却される
とともに移動する傾斜したスラグ冷却面に直接受け、当
該スラグをスラグ冷却面との接触によって冷却しつつ、
傾斜したスラグ冷却面の移動によってスラグが転動する
ことにより粒状スラグを生成することを特徴とするもの
である。また本発明の溶融スラグ徐冷装置は、溶融プロ
セスから排出される溶融スラグを受けるとともに冷却媒
体によって冷却される傾斜したスラグ冷却面と、該スラ
グ冷却面を移動させる駆動部とを備え、前記スラグ冷却
面により溶融スラグを直接受け、当該スラグをスラグ冷
却面との接触によって冷却しつつ、前記駆動部によりス
ラグ冷却面を移動させることによりスラグを転動させて
粒状スラグを生成するようにしたことを特徴とするもの
である。
【0018】本発明によれば、溶融プロセスで生成され
た溶融スラグは、スラグ冷却面に直接供給され、スラグ
冷却面に衝突して液滴状に分散し、スラグ冷却面の傾斜
に沿った自重による力とスラグ冷却面の移動により惹起
される力によってスラグ冷却面上を移動し、この間に、
溶融スラグは、溶融スラグの周囲の雰囲気ガスによる直
接冷却とスラグ冷却面を冷却する冷却媒体による間接冷
却とで冷却される。そして、スラグ冷却面の傾斜とスラ
グ冷却面の移動によりスラグに転動作用が働き、スラグ
は粒状スラグとなってスラグ冷却面より排出される。好
ましい態様では、スラグ冷却面の移動は、スラグ冷却面
の中心軸の回りの回転によって行われ、これによって遠
心力が惹起され、スラグの転動が促進される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る溶融スラグの
徐冷方法及び装置の実施の形態を図面を参照して説明す
る。本発明に係る溶融スラグ徐冷方法は、一般廃棄物や
産業廃棄物、下水汚泥や固形化ごみ燃料などのガス化溶
融処理等の廃棄物処理や、焼却飛灰や焼却残渣の溶融処
理によって生じる高温の溶融スラグを、供給装置を介さ
ずにそのまま直接冷却固化して、再利用しやすい形態で
ある粒状スラグとして回収する場合に適用する。
【0020】図1は本発明の溶融スラグ徐冷方法を実施
する装置の第1の実施形態を示す断面図である。図1に
示すように、ジャケット構造を有する傾斜した円盤形状
のスラグ冷却面1を備えたスラグ徐冷装置にて直接に溶
融スラグ2を受け、スラグ冷却面1との衝突と表面張力
および冷却面の回転運動による遠心力によってスラグを
液滴状に分散させ、雰囲気ガス3による直接冷却に加
え、冷却面下に備えられたジャケット内に流通している
冷却媒体4との間接熱交換により冷却面上のスラグ2A
を冷却するとともに、スラグ冷却面1がもつ傾斜とスラ
グ冷却面1の回転運動によって生じる転動作用によって
スラグを粒状スラグ5として排出する。符号1Aはスラ
グ2の落下点である。
【0021】スラグ徐冷装置は、図1に示すように、廃
棄物処理プロセスから排出される溶融スラグ2を直接受
けるスラグ冷却面1が備えられている。スラグ冷却面1
の下は、冷却媒体4が流れる流路20が形成されたジャ
ケット構造となっており、スラグと間接的に熱交換を行
う冷却媒体が必要量滞留し、あるいは流通している。こ
の冷却媒体には、通常、水、蒸気、空気、燃焼ガス、あ
るいはこれらの混合ガスを用いる。この冷却媒体によっ
て当該冷却面が少なくとも300℃以下に冷却されてい
ることにより、冷却面上に供給された溶融スラグは、当
該冷却面に固着することなく弾かれ、その粘性と供給温
度に応じて塊状、帯状、あるいは液滴状となって冷却面
上に分散する。スラグ冷却面1は円盤の回転軸6の傾斜
によって、あるいは回転軸が鉛直方向にあっても円盤自
身に傾斜をつけることによって、スラグの流路や性状、
供給状態に応じた形状と回転が与えられており、分散し
た高温の溶融スラグは冷却面上で転動し、かつ回転運動
による遠心力によって円周方向へと移動しながらその熱
が冷却面を介して冷却媒体に奪われ、かつ雰囲気ガス3
にも熱が奪われて表面が固化し外殻を形成する。外殻が
形成されたスラグ2Aは円盤外周から転がり落ちてい
き、最終的に系外へ排出される。
【0022】実用に耐えうる強度を持ち、ハンドリング
に優れ、かつ完全無害化された粒状スラグを得るために
は、液滴状にスラグを分散させるのがよい。塊状や帯状
のスラグでは、粒状化するのが困難になるばかりでな
く、大きさのばらつきが激しくなり、徐冷に要する滞留
時間も異なるため均質なスラグを得られなくなるからで
ある。液滴状に分散させるには、当該溶融スラグの温度
を冷却面に接触させるまで1000℃以上に保ち、スラ
グの粘度を低く保つのがよい。このためには雰囲気ガス
温度は少なくとも400℃以上の高温に保つ必要があ
る。またスラグ粘度には塩基度(CaO/SiO)が
関係するため、スラグの塩基度は小さいほうが好まし
い。分散と粒状化を容易にするには塩基度は1.2以下
のスラグが適している。
【0023】一方、粒状スラグの強度をより強くしよう
とすれば、徐冷に十分な時間をかけてスラグを結晶化さ
せる必要があり、この徐冷に要する時間に相応してスラ
グ冷却面を大きくするか、冷却面から排出されるスラグ
をさらに冷却するための機構が必要となり、装置が大型
化するという欠点がある。取り扱うスラグ量が多い場合
も同様である。装置の大型化を抑えるには回転速度を遅
くして滞留時間を稼ぐ方法があるが、水平に置かれた一
様な回転円盤では、スラグの移動速度は回転による遠心
力にのみ依存するため、回転速度を遅くしていくとスラ
グの移動速度も遅くなり徐冷しているスラグと新たな溶
融スラグが融合し易くなってしまう。そこで本発明で
は、図1に示すように水平円盤形状のスラグ冷却面1の
回転軸6を鉛直方向から所定角度だけ傾けることによっ
てスラグ冷却面1を傾斜させ、遠心力だけでなく重力も
寄与させることにより回転数(即ち、回転速度)が遅く
ともスラグの移動速度が稼げるように構成している。
【0024】図2および図3は、本発明の溶融スラグ徐
冷方法を実施する装置の第2の実施形態を示す図であ
り、図2は装置構成を示す断面図、図3は図2に示す装
置の作用を示す断面図である。図1に示す装置では、ス
ラグ冷却面1の回転軸6を鉛直方向から傾けることによ
ってスラグ冷却面1を傾斜させ遠心力だけでなく重力も
寄与させることにより回転速度が遅くともスラグの移動
速度が稼げるようにしたが、これだけでは水平な場合よ
りもさらに滞留時間が短くなってしまうため、図2およ
び図3に示すように、スラグ冷却面1と同様にジャケッ
ト構造となっている堰21を円盤外周上に設けて、スラ
グを滞留させることによって滞留時間を稼ぐとともに、
さらなる冷却が可能とした。なお堰の代わりにスラグ冷
却面上に突起物を設けてもよい。スラグ冷却面1の水平
に対する傾斜角度すなわち回転軸6の鉛直方向Vに対す
る角度αは、図2に示すように冷却面の半径rと円周上
の堰21の有効冷却高さhによって決まる角度β以上と
するのが好ましい。角度がβ以下では、スラグ冷却面1
の面積の半分以上にスラグが滞留することになり、滞留
しているスラグの上に新しいスラグが落ちて融合する確
率が高くなる。また、スラグをすべてスラグ冷却面1に
受けることができるように、スラグ冷却面1の大きさは
少なくともスラグ落下口以上の大きさとするのが好まし
い。
【0025】図3に示すように、スラグ冷却面1に供給
されたスラグ2は、冷却面が傾斜していることによる重
力移動と円盤の回転による転動移動によって落下点1A
から移動し始め、さらに遠心力によって外周方向へと移
動していき、この間に表面が冷却され外殻を形成しなが
ら粒状化する。スラグ冷却面1の外周に到達したスラグ
2Aは堰21があるためにすぐには排出されず、図3に
示したAの滞留ゾーンでしばらく滞留し、堰21および
スラグ冷却面1との接触により、さらに外殻が形成され
たスラグの内部まで冷却され、新たに混入してくるスラ
グによってあふれ出た粒状スラグ5から排出されてい
く。回転軸6の傾斜角α(図2参照)が35゜以上であ
れば、全く回転のない状態でもスラグは外周方向へと移
動する。したがって、スラグ冷却面1の回転速度を遅く
してもスラグが移動しやすいために、徐冷中のスラグ2
Aと新たに落下してくるスラグ2とが融合しにくく、ス
ラグ冷却面1を大きくすることなく回転速度を抑えて徐
冷時間を長くとることが可能である。
【0026】図4および図5は、本発明の溶融スラグ徐
冷方法を実施する装置の第3の実施形態を示す図であ
り、図4(a)は装置構成を示す断面図、図4(b)は
装置構成を示す平面図、図5は図4(a)および4
(b)に示す装置の作用を示す断面図である。図4およ
び図5に示す例においては、回転軸6は鉛直のままで、
回転円盤のスラグ冷却面1自身を逆円錐状とすることに
よりスラグ冷却面1に傾斜がつけられている。スラグ冷
却面1の下は、冷却媒体4が流れる流路20が形成され
たジャケット構造となっており、スラグと間接的に熱交
換を行う冷却媒体が必要量滞留し、あるいは流通してい
る。図4(a)および図4(b)において、スラグ冷却
面1の大きさをスラグ落下口より大きくしておけば、ス
ラグは落下口と等しい大きさの冷却面上の図示した範囲
B(図4(b)参照)内に落下し、冷却面の回転運動に
よる遠心力で円盤外周へと移動していく。水平円盤では
移動速度が速く外周に到達した時点でスラグ表面が赤熱
したままで排出されてしまうような回転速度であって
も、図4および図5に示すスラグ冷却面1では逆円錐状
に傾斜がついているため外周へ移動するスラグの速度を
抑えることができる。したがって、落下してくるスラグ
2を落下点1Aからすぐに移動させて固着と融合を防
ぎ、なおかつ少なくとも表面の赤熱が消えて表面が固化
するまで冷却し、粒状化したスラグ5としてスラグ冷却
面1から排出することができる。
【0027】図1乃至図5に示すスラグ徐冷装置におい
て、スラグ冷却面1の回転装置には、インバータやリン
グコーンなどの可変速機を取り付ける。スラグ冷却面1
の傾斜あるいは形状、大きさ等は、滞留時間が最も短く
なる最高回転速度においてもスラグ表面が冷却固化され
て赤熱色が消え、外殻が形成されるように、少なくとも
滞留時間が1分以上となるよう選定する。スラグ冷却面
上のスラグの落下や転動、粒状化の様子を監視カメラ等
の手段で監視しながらスラグ冷却面1の回転速度を調整
し、スラグ同士が融合しない範囲で回転速度を下げるこ
とによって滞留時間を増加させ、冷却面から排出される
スラグが表面の赤熱が消え少なくとも400℃以下にな
るまで冷却されるようにする。
【0028】スラグ冷却面1へのスラグ固着を防ぐに
は、冷却面表面温度を少なくとも400℃以下に抑え
る。十分な冷却効果を得るためにスラグ冷却面1の冷却
媒体4には通常水を使用する。冷却媒体4の流出入は回
転軸6から行うため、構造上ジャケット内で発生した蒸
気は抜き取ることができない。したがって、蒸気発生を
防ぐため、流路20に流す冷却水流量は出口温度が60
℃以下になるよう十分な流量を流す必要がある。逆に冷
却面の過冷却によってスラグが非晶質化してしまい強度
が不充分になるようであれば、冷却媒体を水より比熱の
小さい空気や蒸気、あるいはこれらの混合ガスとするこ
ともできる。
【0029】図6は本発明の溶融スラグ徐冷方法をガス
化溶融システムに適用した例を示す図である。図6は一
般廃棄物や廃プラスチック、シュレッダーダストなどの
産業廃棄物、汚泥やRDFなどをガス化溶融処理する際
に生成される高温溶融スラグを水砕スラグより高強度を
有しつつ、さらに粒状スラグとして排出する装置の一例
を示すものである。図6に示す装置は、溶融炉7とスラ
グ徐冷装置8とを主たる構成とするものである。スラグ
徐冷装置8は、図2に示す装置をケーシング22内に収
容した構成を備えている。
【0030】ガス化溶融方法には様々な方法があるが、
図6に示す例では図示しない前段のガス化装置から供給
される生成ガスや生成ガスに同伴する未燃分を高温燃焼
させつつ灰分を溶融する溶融炉7のスラグ排出口7Aの
周辺のみを図示している。また図6に示す例では、溶融
炉7から排出口7Aを介して排出されるスラグ量は時間
当たり50kg程度と比較的少量であり、図示しているよ
うにスラグはスラグ落ち口から自由落下しスラグ徐冷装
置8内の溶融スラグ冷却面1のほぼ一点に落ちてくる。
そのため、図示例では、この落下点1Aと外殻が形成さ
れたスラグ2Aの滞留ゾーンAとを離間させ、落下点1
Aがずれても徐冷スラグの上に直接新しいスラグ2が落
下して融合してしまうことがないようにしている。
【0031】溶融炉7で生成する溶融スラグ2は、炉壁
や炉底を伝ってスラグ排出口7Aから自由落下しスラグ
徐冷装置8へ供給される。スラグ徐冷装置8に設置され
たスラグ冷却面1下のジャケット9には、ポンプや送風
機などの冷却媒体供給装置10によってロータリージョ
イント11を介して回転軸6内の冷却媒体供給管より冷
却媒体4が必要量流入し、スラグ冷却面1や冷却面上の
溶融スラグ2の熱を奪った後、回転軸6内の冷却媒体戻
り管、ロータリージョイント11を経て装置外へと流出
している。図示例では、この冷却媒体に冷却水を用いて
おり、溶融炉7からの輻射によって高温化しているスラ
グ徐冷装置8内の雰囲気ガス3が400℃以上であって
も、スラグ冷却面1を300℃以下に抑えることができ
るため、スラグ冷却面1に通常の鋼板を使用できる上、
1300℃以上の高温溶融スラグを受けても固着トラブ
ルや鋼板の損傷なく徐冷することができる。また、図示
した装置では、徐冷装置8の排出口8A側に設けた吸引
ノズル12から誘引送風機13によって徐冷装置8内の
雰囲気ガス3を吸引し、溶融炉7内の1300℃以上の
高温燃焼ガスの一部を徐冷装置8内に流すことにより、
雰囲気ガス3の温度調整が可能であり、スラグ冷却面1
に到達するまでのスラグ温度をより高温に保ち、スラグ
を粘性の低い状態にすることができる。
【0032】図6に示す例では回転軸6にスプロケット
14を介してモータの動力を伝え、モータの可変速機と
してインバータを使用し、10〜40/分の範囲で回転
速度調整が可能となっている。これにより、スラグ冷却
面1上の溶融スラグの移動速度を調節することが可能で
あり、滞留時間を10分以上とることができるため、1
300℃以上の高温溶融スラグをスラグ冷却面1に直接
受けても占有面積の小さな装置でスラグ内部を400℃
以下まで徐冷し排出できる。スラグ徐冷装置8から排出
されるスラグ5の外殻はすでに形成されているので、徐
冷装置8の後段にさらにスクレーパー式のコンベヤ等の
徐冷搬送装置を設置すれば、スラグの相互固着やスラグ
のコンベヤとの固着なしにさらなる徐冷効果を得ること
も可能である。回転軸6のシールにはグランドパッキン
15を使用している。また溶融炉7とスラグ徐冷装置8
のケーシング22との間には、溶融炉7の熱膨張による
延びを吸収するためのエキスパンション16を設けてい
る。
【0033】図7はガス化溶融システムの詳細構造を示
す図であり、図6に示す溶融炉7と、溶融炉7の前段に
配置された流動層ガス化炉101の構造を詳細に示した
垂直断面斜視図である。また、図8は図7に示す流動層
ガス化炉101の概略断面図である。図7及び図8に示
すように、流動層ガス化炉101の炉底には、円錐状の
分散板76が配置されている。分散板76を介し供給さ
れる流動化ガスは、炉底中央部204付近から炉内へ上
向き流として供給される中央流動化ガス207及び炉底
周辺部203から炉内へ上向き流として供給される周辺
流動化ガス208からなる。流動化ガス全体の酸素量
が、廃棄物の燃焼に必要な理論燃焼酸素量の10%以上
30%以下とされ、炉内は、還元雰囲気とされる。
【0034】中央流動化ガス207の質量速度は、周辺
流動化ガス208の質量速度より小にされ、炉内周辺部
上方における流動化ガスの上向き流がデフレクタ206
により炉の中央部へ向かうように転向される。それによ
って、炉の中央部に流動媒体(硅砂を使用)が沈降拡散
する移動層209が形成されるとともに炉内周辺部に流
動媒体が活発に流動化している流動層210が形成され
る。流動媒体は、矢印118で示すように、炉周辺部の
流動層210を上昇し、次にデフレクタ206により転
向され、移動層209の上方へ流入し、移動層209中
を下降し、次に矢印112で示すように、分散板76に
沿って移動し、流動層210の下方へ流入することによ
り、流動層210と移動層209の中を矢印118およ
び112で示すように循環する。
【0035】定量供給装置102によって移動層209
の上部へ供給された廃棄物aは、流動媒体とともに移動
層209中を下降する間に、流動媒体のもつ熱により加
熱され、主として揮発分がガス化される。移動層209
には、酸素がないか少ないため、ガス化された揮発分か
らなる熱分解ガス(生成ガス)は燃焼されないで、移動
層209中を矢印116のように抜ける。それ故、移動
層209は、ガス化ゾーンGを形成する。フリーボード
109へ移動した生成ガスは、矢印120で示すように
上昇し、ガス出口138より生成ガスcとして排出され
る。
【0036】移動層209でガス化されない、主として
チャー(固定炭素分)やタール114は、移動層209
の下部から、流動媒体とともに矢印112で示すように
炉内周辺部の流動層210の下部へ移動し、比較的酸素
含有量の多い周辺流動化ガス208により燃焼され、部
分酸化される。流動層210は、可燃物の酸化ゾーンS
を形成する。流動層210内において、流動媒体は、流
動層内の燃焼熱により加熱され高温となる。高温になっ
た流動媒体は、矢印118で示すように、デフレクタ2
06により反転され、移動層209へ移り、再びガス化
の熱源となる。流動層209の温度は、500〜600
℃に維持され、抑制された燃焼反応が継続するようにさ
れる。流動層ガス化炉101の底部外周側の部分には、
不燃物124を排出するためのリング状の不燃物排出口
205が形成されている。
【0037】図7及び図8に示す流動層ガス化炉101
によれば、流動層炉内にガス化ゾーンGと酸化ゾーンS
が形成され、流動媒体が両ゾーンにおいて熱伝達媒体と
なることにより、ガス化ゾーンGにおいて、発熱量の高
い良質の可燃ガスが生成され、酸化ゾーンSにおいて
は、ガス化困難なチャーやタール114を効率よく燃焼
させることができる。それ故、廃棄物のガス化効率を向
上させることができ、良質の可燃ガス(熱分解ガス)を
生成することができる。
【0038】流動層ガス化炉101のガス出口138
は、溶融炉7のガス入口142に連通されている。溶融
炉7は、ほぼ垂直方向の軸線を有する円筒形の1次燃焼
室104、および水平方向に傾斜する2次燃焼室105
を備えている。流動層ガス化炉101で発生した生成ガ
スcおよび微粒子は、ガス入口142より一次燃焼室1
04へその軸線のまわりに旋回するように供給される。
【0039】1次燃焼室104は、上端に始動バーナ1
32を備えるとともに、燃焼用空気を軸線のまわりに旋
回するように供給する複数の空気ノズル134を備えて
いる。2次燃焼室105は、1次燃焼室と連通する部分
の付近に配置される助燃バーナ136と、燃焼用空気を
供給する空気ノズル134とを備えている。3次燃焼室
106は、2次燃焼室105とその下端で連通されてい
る。2次燃焼室105と3次燃焼室106の間には溶融
灰分(スラグ)を排出可能なスラグ排出口7Aが形成さ
れている。スラグ排出口7Aには、図6に示すスラグ徐
冷装置8が設置されている(図示せず)。また、排出口
7Aの上方に排気口154が形成されている。3次燃焼
室106内には、輻射板162が設けられており、輻射
により排気口154から失われる熱量を減少させてい
る。
【0040】図9は本発明の溶融スラグ徐冷方法を実施
する装置の第4の実施形態を示す図であり、溶融炉7と
スラグ冷却装置8を接続した構造を示す部分断面を有す
る側面図である。図9に示すように、スラグ冷却装置8
は基礎305にサポート311,312によって支持さ
れている。サポート311,312には振動吸収装置3
01,302が設けられている。また溶融炉7とスラグ
冷却装置8は振動吸収装置300を介して接続されてい
る。溶融炉7と振動吸収装置300の間には、両者の接
続口径を調整するためのアダプター配管313が設置さ
れている。スラグ冷却装置8の出口は振動吸収装置30
3を介して配管314に接続されている。スラグ冷却装
置8は加振用駆動機304によってそれ自体振動するよ
うに構成されているが、スラグ冷却装置8の振動は振動
吸収装置300,301,302,303等により吸収
される。また配管314の下方には、水槽306が設置
されており、水槽306内にはスラグ冷却用の冷却水3
07が収容されている。溶融炉7で発生した燃焼排ガス
は溶融炉7の上部から排出される。また、図示した装置
では、徐冷装置8の排出口側に設けた吸引ノズル12か
ら誘引送風機13によって徐冷装置8内の雰囲気ガスを
吸引するようになっている。
【0041】図10は、図9に示す溶融スラグ徐冷方法
を実施する装置についてガス化溶融システムに適用した
例を示し、内部の状態を示す断面図である。図11はス
ラグ冷却装置8の内部の構造を示す断面図である。図1
0に示すように、スラグ冷却装置8の内部にはスラグ冷
却面1が配されている。このスラグ冷却面1は、水平一
様な面、もしくはこれにスラグの分散や滞留及びスラグ
同士の対流を目的とした堰や邪魔板、傾斜板、突起物な
どを設けてその機能をもたせたものに、加振用駆動機3
04によって振動が加えられる。冷却面1に流下したス
ラグあるいは徐冷中のスラグ2Aはこの振動によって移
動する力が与えられ、冷却面1に接する箇所から間接的
に熱を奪われ冷却される。すなわち、スラグの移動は振
動条件によりかなり制御されるため、冷却面1は水平一
様な面でよい。ただしより好ましくは、スラグの移動速
度をその冷却速度や冷却状況に合わせ、かつ滞留時間を
大きくとるために堰や邪魔板、傾斜板、突起物などを設
けたり冷却面を複数の部分に分けるとよい。例えば図1
1に示すように、冷却面1を3つの部分に分ける場合、
スラグの流下方向について角度にして90゜+γ傾斜し
た状態であって、溶融炉7から流下するスラグを受ける
部分(流下スラグ受部(イ))と、徐冷中のスラグ2A
を一旦溜め込む部分(スラグ貯留部(ハ))と、前記両
部分の間にあって徐冷中のスラグ2Aが転動あるいは滑
走などして通過する部分(スラグ通過部(ロ))からな
り、これらの部分は冷却水あるいは低温蒸気あるいは空
気あるいは燃焼排ガスあるいはこれらの混合ガスなどの
冷却媒体により、スラグ冷却面1のスラグのある側の反
対側から冷却される。
【0042】溶融炉7のスラグ排出口から流下した溶融
スラグ2は、アダプター配管313および振動吸収装置
300を介してそれ自体振動しているスラグ冷却装置8
に入り、スラグ冷却装置8のスラグ冷却面1の流下スラ
グ受部(イ)に至る。 スラグ冷却面1の流下スラグ受
部(イ)の部分の傾斜角度γは0゜〜45゜、好ましく
は10゜〜40゜、より好ましくは15゜〜35゜であ
る。溶融スラグ2は流下スラグ受部(イ)で冷却される
とともに、スラグ冷却装置8の振動に伴うスラグ冷却面
1の振動により小粒径の液滴状あるいは小粒径の粘性の
ある固形状(飴状)あるいは小粒径の固体状に分散さ
れ、粒状スラグとなる。そして、流下スラグ受部(イ)
の スラグ冷却面1が傾斜しているため、粒状スラグは
傾斜方向に移動する。
【0043】粒状スラグは徐冷中のスラグ2Aとして流
下スラグ受部(イ)からスラグ通過部(ロ)を経てスラ
グ貯留部(ハ)に至るが、その間に粒状スラグ(徐冷中
のスラグ2A)はスラグ冷却面1と幾度も衝突し、衝突
ごとに冷却される。その冷却速度は流下スラグ受部
(イ)の スラグ冷却面1の傾斜角や、振動条件に依存
する。スラグ貯留部(ハ)は、徐冷中のスラグ2Aを貯
留するように構成されたもので、図10および図11に
は水平面に対して仰角δの傾斜面をもたせた面が図示さ
れているが、この他にもこの部分のスラグ冷却面1に堰
を数段設けたり、この部分のスラグ冷却面1に複数の鱗
状あるいは格子状あるいはディンプル状の凹凸やスプー
ン状の凹みを設けることによっても徐冷中のスラグ2A
を貯留させることはできる。本例の図10および図11
における水平面に対する仰角δの傾斜面では、仰角δは
0゜〜30゜であり、好適には5゜〜20゜である。
【0044】スラグ冷却装置8の振動条件は、振幅は
0.5mm〜20mm、好ましくは1mm〜15mmで
あり、振動数は20ヘルツ(Hz)から60ヘルツ(H
z)で、これら両者の条件は可変式になっている。スラ
グ貯留部(ハ)に徐冷中のスラグ2Aを貯留する場合は
振幅は小さく(0.5mm〜5mm)かつ振動数は大き
い数値(45ヘルツ〜60ヘルツ)をとる。これによ
り、徐冷中のスラグ2Aは小刻みに、スラグ冷却板1に
衝突し、あるいは徐冷中のスラグ2A同士が衝突し、均
質な徐冷が進行する。そして、スラグ貯留部(ハ)の貯
留量が貯まり、それを冷却水槽306に流下させるに
は、振幅を大きく(10mm〜20mm)し、振動数を
減らす(20ヘルツ〜35ヘルツ)運転を行う。また、
振動の方向については、通常、重力方向(Z軸)に対
し、スラグを進行させたい方向にある角度の成分(通常
45°)を有する振動を加えることにより、スラグを直
線的に移動させることができる。スラグの移動速度は角
度成分に依存し、スラグの移動速度を速くするには、Z
軸に対しより大きい角度(通常45°より大きい角度)
にし、逆に、スラグの移動速度を遅くするには、Z軸に
対しより小さい角度(通常45°より小さい角度)にす
ることによって実現できる。更に、重力方向(Z軸)ま
たは水平方向(X軸方向、Y軸方向)あるいはそれらを
組み合わせた回転振動(所謂ローリング)によって、ス
ラグ冷却板1上の徐冷中のスラグ2Aを混合させ、均質
な徐冷を進行させることができる。
【0045】流下スラグ受部(イ)〜スラグ通過部
(ロ)の部分のスラグ冷却面1の冷却の方法は、スラグ
の量及び質(性状)によって異なる。スラグ冷却面1を
冷却するための冷却媒体は、図11に示すように、冷却
媒体ポート308から導入され、冷却媒体が「流下スラ
グ受部(イ)」から「スラグ通過部(ロ)」を経て「ス
ラグ貯留部(ハ)」に至るようにスラグ冷却面1に接し
た冷却通路310を通り、スラグ冷却面1を冷却した後
に、もう一つの冷却媒体ポート309より排出される。
また、その逆に冷却媒体は冷却媒体ポート309から導
入され、各部を経た後に、冷却媒体ポート308より排
出される場合もある。
【0046】図12はスラグ冷却装置の内部構造の別実
施形態の断面図である。図12に示す例においては、ス
ラグ冷却面1は複数の区画された冷却媒体が通る冷却通
路を有しており、各通路には、各部分の冷却に適正な温
度と適正な熱交換のできるように冷却水あるいは低温蒸
気あるいは空気などの冷却媒体が各々供給されるように
構成されている。図12ではそれらの冷却媒体の供給方
法の一例として、流下スラグ受部(イ)には冷却水を冷
却媒体ポート315から供給し、冷却媒体ポート316
から排出する手段が設置され、スラグ通過部(ロ)には
低温蒸気等のガスを冷却媒体ポート317から供給し、
冷却媒体ポート318から排出する手段が設置され、ス
ラグ貯留部(ハ)には冷却水を冷却媒体ポート319か
ら供給し、冷却媒体ポート320から排出する手段が設
置されている。各部分へ適正な冷却媒体を使用すること
により、同じ構造を有していても、スラグの冷却速度を
変えることができる。急速な冷却が必要な部分には冷却
水を用い、ゆっくりとした冷却が必要な部分には低温蒸
気や空気などを用いる。ただし、流下スラグ受部(イ)
は、冷却媒体による冷却熱量が不足すると冷却面1のス
ラグの付着あるいは溶着の危険性があるため、より低温
で効果的な冷却媒体、例えば冷却水が求められる。
【0047】図12に示す構成において、冷却媒体の供
給方法の1例として、スラグの温度が比較的高く、スラ
グの粘性が比較的小さい場合には、供給する冷却水は流
下スラグ受部(イ)の冷却については60℃以下(好ま
しくは30℃以下)のものが供給され、スラグ貯留部
(ハ)については冷却水は50℃以上(好ましくは70
℃〜100℃)のものが供給される。スラグ通過部
(ロ)の冷却媒体については低温蒸気の場合は150℃
〜500℃、好ましくは200℃〜400℃、より好ま
しくは250℃〜300℃のものが供給され、冷却媒体
が空気の場合は常温(10℃〜40℃)のものが供給さ
れる。本例の場合、スラグ貯留部(ハ)での冷却は低温
蒸気を用いた方が好適な場合もあるが、その場合には低
温蒸気の供給温度は150℃〜450℃、好ましくは2
00℃〜350℃、より好ましくは250℃〜300℃
のものが供給される。冷却媒体が空気の場合には常温
(10℃〜40℃)のものが供給される。
【0048】尚、図11および図12に示す例におい
て、冷却媒体の流れ方向については、図面に示される流
れに限らず、その逆方向の流れのほか、図11および図
12の紙面の方向に対して垂直方向の流れなども、配管
の接続の設計上の都合により考慮される。冷却媒体の供
給量は、生成されるスラグの性状及び量や回収されるス
ラグの性状に応じて調整され供給される。スラグ冷却面
1の冷却媒体通路は、スラグ冷却面1の冷却のための熱
交換量に応じてフィンなどの熱交換面を有するものを具
備したものでもよい。
【0049】図13は、図9に示す溶融スラグ徐冷方法
を実施する装置を、廃棄物を低温でガス化した後に、高
温でガス化する二段ガス化システムに適用した場合を示
す断面図である。即ち、図13は廃棄物を低温(450
℃〜650℃、好ましくは450℃〜600℃)で例え
ば深層流動床炉や流動床の流動媒体が流動化ガスの導入
量の大小により循環する内部循環式流動床炉等のガス化
炉で低酸素状態でガス化し、低温でガス化した際に得ら
れる可燃性のガスと未燃分を溶融炉7に導き、溶融炉7
にて高温(1000℃以上好ましくは1300℃以上)
で未燃分を溶融して溶融スラグを得るとともに、可燃性
のガスを熱分解し有価な可燃性ガスとして回収するシス
テム(所謂ケミカルリサイクルシステム)や、得られた
該有価な可燃性ガスを燃料電池やガスタービン、ガスエ
ンジンなどに用いて発電する発電システムに適用した例
を示す。このシステムの場合も溶融炉7のスラグ排出機
能は変わらないため、スラグ冷却装置8を図10に示す
方法と同様に使用できる。ただし、可燃性ガスの系外流
出や、逆に系外の空気の系内流入には注意すべきであ
り、配管314の開口部は水槽306中の冷却水307
の液面以下でかつ炉内の圧力に応じた深さに保持するよ
うに配置される。溶融炉7で生成された可燃性有価ガス
は溶融炉7の上部から排出され回収される。また、徐冷
装置8の排出口側に設けた吸引ノズル12から誘引送風
機13によって徐冷装置8内の雰囲気ガスを吸引するよ
うになっている。
【0050】なお、本発明のスラグ徐冷方法は、図1乃
至図13に示した図示例にのみ限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更
を加え得ることは勿論である。図1乃至図13を通し
て、同一の作用又は機能を有する部材又は要素は同一の
符号を用いて示されている。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
比較的簡単な構成で占有面積の小さいコンパクトな装置
で、しかも、新たな熱エネルギの使用や複雑な処理を行
うことなく、溶融スラグ冷却面に直接供給された溶融ス
ラグを粒状スラグとして順次排出することができる。こ
の粒状スラグは、完全結晶化までいかなくても、水砕処
理に比べより広範囲な用途で再利用可能な適度な強度と
再利用し易い粒状形状を有しており、従って、例えば天
然砂利としてそのまま利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融スラグ徐冷方法を実施する装置の
第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の溶融スラグ徐冷方法を実施する装置の
第2の実施形態の装置構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す装置の作用を示す断面図である。
【図4】本発明の溶融スラグ徐冷方法を実施する装置の
第3の実施形態を示す図であり、図4(a)は装置構成
を示す断面図、図4(b)は装置構成を示す平面図であ
る。
【図5】図4(a)および図4(b)に示す装置の作用
を示す断面図である。
【図6】本発明の溶融スラグ徐冷方法をガス化溶融シス
テムに適用した例を示す図である。
【図7】ガス化溶融システムの詳細構造を示す図であ
り、図6に示す溶融炉と、溶融炉の前段に配置された流
動層ガス化炉の構造を詳細に示した垂直断面斜視図であ
る。
【図8】図7に示す流動層ガス化炉の概略断面図であ
る。
【図9】本発明の溶融スラグ徐冷方法を実施する装置の
第4の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の溶融スラグ徐冷方法を実施する装置
についてガス化溶融システムに適用した例を示し、内部
の状態を示す断面図である。
【図11】スラグ冷却装置の内部の構造を示す断面図で
ある。
【図12】スラグ冷却装置の内部構造の別実施形態の断
面図である。
【図13】本発明の溶融スラグ徐冷方法を実施する装置
を、廃棄物を低温でガス化した後に、高温でガス化する
二段ガス化システムに適用した場合を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 スラグ冷却面 1A 落下点 2 溶融スラグ 2A 徐冷中のスラグ 3 雰囲気ガス 4 冷却媒体 5 粒状スラグ 6 回転軸 7 溶融炉 7A スラグ排出口 8 スラグ徐冷装置 8A 排出口 9 ジャケット 10 冷却媒体供給管 11 ロータリージョイント 12 吸引ノズル 13 誘引送風機 14 スプロケット 15 グランドパッキン 16 エキスパンション 21 堰 22 ケーシング 300,301,302,303 振動吸収装置 304 加振用駆動機 305 基礎 306 水槽 307 冷却水 308 冷却水ポート 309 冷却水ポート 310 冷却通路 311、312 サポート 313 アダプター配管 314 配管 315,316,317,318,319,320 冷
却水ポート 321,322,323 冷却通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣勢 哲久 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 高野 和夫 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 吉岡 学 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 早川 淳一 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 Fターム(参考) 3K061 DA13 NC03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融プロセスから排出される溶融スラグ
    を、冷却媒体によって冷却されるとともに移動する傾斜
    したスラグ冷却面に直接受け、当該スラグをスラグ冷却
    面との接触によって冷却しつつ、傾斜したスラグ冷却面
    の移動によってスラグが転動することにより粒状スラグ
    を生成することを特徴とする溶融スラグ徐冷方法。
  2. 【請求項2】 前記スラグ冷却面は、水平面に対し傾斜
    を有する回転円盤の上面によって構成されていることを
    特徴とする請求項1記載の溶融スラグ徐冷方法。
  3. 【請求項3】 前記スラグ冷却面の回転速度を変化させ
    ることにより当該冷却面上のスラグ滞留時間を調整する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の溶融スラグ徐冷
    方法。
  4. 【請求項4】 前記スラグ冷却面上に堰又は突起物又は
    逆傾斜面を設けることにより、当該溶融スラグの滞留時
    間を増加させるとともに当該冷却面上にスラグを分散さ
    せるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れか1項に記載の溶融スラグ徐冷方法。
  5. 【請求項5】 前記スラグ冷却面の回転速度を、当該冷
    却面上の溶融スラグの最終温度および/又は粒状に応じ
    て調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    1項に記載の溶融スラグ徐冷方法。
  6. 【請求項6】 前記冷却媒体に液体または気体を使用す
    ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記
    載の溶融スラグ徐冷方法。
  7. 【請求項7】 溶融プロセスから排出される溶融スラグ
    を受けるとともに冷却媒体によって冷却される傾斜した
    スラグ冷却面と、該スラグ冷却面を移動させる駆動部と
    を備え、前記スラグ冷却面により溶融スラグを直接受
    け、当該スラグをスラグ冷却面との接触によって冷却し
    つつ、前記駆動部によりスラグ冷却面を移動させること
    によりスラグを転動させて粒状スラグを生成するように
    したことを特徴とする溶融スラグ徐冷装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101286555B1 (ko) * 2011-10-19 2013-07-22 재단법인 포항산업과학연구원 수랭식 미립화장치
CN114107580A (zh) * 2021-11-10 2022-03-01 北京中冶设备研究设计总院有限公司 一种干法粒化转盘

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