JP2000288585A - 炭酸ナトリウムの注入量制御方法及びこれを用いたカルシウムイオン含有水処理設備 - Google Patents

炭酸ナトリウムの注入量制御方法及びこれを用いたカルシウムイオン含有水処理設備

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JP2000288585A
JP2000288585A JP11093812A JP9381299A JP2000288585A JP 2000288585 A JP2000288585 A JP 2000288585A JP 11093812 A JP11093812 A JP 11093812A JP 9381299 A JP9381299 A JP 9381299A JP 2000288585 A JP2000288585 A JP 2000288585A
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calcium ion
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calcium
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Tatsuo Fuse
達雄 布施
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルシウムイオン含有水に注入する炭酸ナト
リウムの注入量を最適に制御し、コストの増加を抑える
ことができる炭酸ナトリウムの注入量制御方法及びこれ
を用いたカルシウムイオン含有水処理設備を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 本発明は、カルシウムイオン含有水1中
のカルシウムイオンを除去するよう注入される炭酸ナト
リウム注入量制御方法において、予め定められた注入量
の炭酸ナトリウムを注入した後のイオン含有水1中のカ
ルシウムイオン濃度(Ca2)を検出し、その濃度
(Ca2)に基づいて炭酸ナトリウムの補正注入量を設定
し、補正注入量の炭酸ナトリウムをイオン含有水1に注
入する構成である。この場合、炭酸ナトリウム注入後の
イオン含有水1中のイオン濃度(Ca2)を制御変数とし
て導入することにより、イオン含有水1中に無機炭素等
が含まれる場合にそれらの影響を考慮したフィードバッ
ク制御が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルシウムイオン
含有水中のカルシウムイオンを除去するよう注入される
炭酸ナトリウムの注入量制御方法及びこれを用いたカル
シウムイオン含有水処理設備に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ごみ焼却の際発生する塩化水素ガ
ス処理に使用される消石灰(Ca(OH)2)、生石灰
(CaO)等の未反応分が焼却灰として最終処分される
場合が多い。そのため、浸出水中に溶解した焼却灰中の
カルシウムが浸出水処理施設内で炭酸カルシウムとして
析出し、配管やポンプの閉塞といった種々のトラブルを
引き起こしている。
【0003】このようなトラブルの原因となる炭酸カル
シウムの発生防止技術としては種々知られており、例え
ば沈殿分離法(アルカリ凝沈法)、pH調整法、脱炭酸
法、スケール防止剤添加法等がある。
【0004】このうち、浸出水処理においては、沈殿分
離法(アルカリ凝沈法)である炭酸ナトリウム凝集沈殿
処理法が採用される場合が多い。この炭酸ナトリウム凝
集沈殿処理方法は、以下の化学反応式に示すように、浸
出水に炭酸ナトリウム(Na 2CO3)を添加し、pHを
通常9〜11の間に調整することにより浸出水中のカル
シウムイオン(Ca2+)を炭酸イオン(CO3 2-)と反
応させ、炭酸カルシウム(CaCO3)として析出させ
るものである。
【0005】
【化1】Ca2++Na2CO3→CaCO3↓+2Na この炭酸ナトリウム凝集沈殿法では、浸出水中のカルシ
ウムイオン濃度を化学分析により求め、このカルシウム
イオン濃度に炭酸ナトリウム注入量を調整するのが一般
的である。ところが、この方法はオンライン分析ではな
いので、分析頻度を上げることには限界がある。また、
浸出水水質は常に変動しており、炭酸ナトリウム注入量
に過不足が生じ、必ずしも適正値になっているとは限ら
ない。
【0006】更に、近年、浸出水中のカルシウムイオン
の発生量が増加し、それに伴って炭酸ナトリウムの注入
量を多くする必要が生じており、注入する毎に炭酸ナト
リウムの注入量が過剰であると、炭酸ナトリウムを頻繁
に供給する場合に薬品費が増加することになる。
【0007】そこで、炭酸ナトリウム使用量を最小限に
抑え、薬品費の低減を図る炭酸ナトリウムの注入量制御
方法として、例えば特開平6−15295号公報に開示
されるものがある。この方法は、フッ素含有排水のカル
シウム含有処理水の軟化処理における炭酸ナトリウムの
注入量をオンライン制御、即ちフィードフォワード制御
するものである。ここで、フッ素含有排水のカルシウム
含有処理水とは、フッ素含有排水中のフッ素イオンを消
石灰処理(析出・凝集沈殿・分離)により除去した処理
水のことをいう(以下、「消石灰処理水」という)。こ
の制御方法は、オンラインのカルシウム濃度分析計によ
り消石灰処理水中のカルシウムイオン濃度を検出し、制
御変数として採用するものである。このフィードフォワ
ード制御は、基本的に上記化学反応式に示される反応の
当量関係から、カルシウムイオンと反応する炭酸ナトリ
ウム量を演算処理により求めるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た特開平6−15295号公報に記載の従来の制御方法
では、消石灰処理水中に無機炭素(Inorganic Carbon、
以下「IC」という)が含まれる場合や、カルシウムイ
オンと難溶解性塩を形成する対イオン等が含まれる場合
には、以下に示す不都合が生じる。
【0009】即ち、上記化学反応式から化学量論的に求
められる炭酸ナトリウム当量でカルシウムイオンを除去
しようとすると、炭酸ナトリウムを過剰に注入すること
になり、薬品費が増加する。特に、浸出水中にカルシウ
ムイオンが常に存在し、炭酸ナトリウムを供給し続ける
必要がある場合には、経過日数の増加につれて、余分な
炭酸ナトリウム使用量が増大し、薬品費の増加は極めて
深刻な問題となる。
【0010】また、炭酸ナトリウムを注入した消石灰処
理水を酸性凝集沈殿槽で処理する場合、消石灰処理水中
に残存した過剰の炭酸イオンが酸性凝集沈殿槽内で炭酸
ガスとなり、この炭酸ガスが汚泥に付着して汚泥浮上が
生じ、処理水に懸濁物質(SS)が漏れ出し処理水水質
が悪化する場合がある。
【0011】更に、消石灰処理水を炭酸ナトリウムによ
り凝集沈殿処理した後に、凝集沈殿処理水のカルシウム
イオン濃度をオンラインで検知していないので、炭酸ナ
トリウムの凝集沈殿処理水のカルシウムイオン濃度は、
不安定な値となってしまう。
【0012】また、炭酸ナトリウムを注入するにあたっ
て粉末状の炭酸ナトリウムを自動溶解設備で一定濃度に
溶解しておく場合があるが、自動溶解設備における機械
的トラブルにより、炭酸ナトリウムの実際の溶解濃度が
変動する場合があり、このとき、炭酸ナトリウム濃度を
定数として制御すると、炭酸ナトリウム注入量の過不足
が生じ、その結果、炭酸ナトリウムによる凝集沈殿処理
水中のカルシウムイオン濃度が大きく変動してしまう。
【0013】そこで、本発明は、上記事情に鑑み、カル
シウムイオン含有水に注入する炭酸ナトリウムの注入量
を最適に制御し、コストの増加を抑えることができる炭
酸ナトリウムの注入量制御方法及びこれを用いたカルシ
ウムイオン含有水処理設備を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、カルシウムイオン含有水中のカルシウム
イオンを除去するよう注入される炭酸ナトリウムの注入
量制御方法において、予め定められた注入量の炭酸ナト
リウムを注入した後のカルシウムイオン含有水中のカル
シウムイオン濃度(Ca2)を検出する第1のステップ
と、検出されたカルシウムイオン濃度(Ca2)に基づい
て炭酸ナトリウムの補正注入量を設定する第2のステッ
プと、設定された補正注入量の炭酸ナトリウムをカルシ
ウムイオン含有水に注入する第3のステップとを含むこ
とを特徴とする。ここで、「炭酸ナトリウムを注入す
る」という場合、固体の炭酸ナトリウムを所定溶媒に溶
解して一定濃度の溶液にしてから注入する場合又は固体
の炭酸ナトリウムを直接注入する場合をいうものとする
(以下、この明細書において同じ。)。
【0015】ここで、第2のステップは、例えばカルシ
ウムイオン濃度(Ca2)と、処理目標となるカルシウム
イオン濃度(Ca)との差に関する評価関数が所定値以
下かどうかを判別し、評価関数が所定値以下である場合
には、炭酸ナトリウムの補正注入量を補正前の炭酸ナト
リウムの注入量と同一量に設定し、評価関数が所定値よ
り大きい場合には、炭酸ナトリウムの補正注入量を、カ
ルシウムイオン濃度を処理目標カルシウムイオン濃度
(Ca)に近づけるための所定関数に基づく注入量に設
定するステップである。
【0016】この制御方法によれば、炭酸ナトリウム注
入後のカルシウムイオン含有水中のカルシウムイオン濃
度を制御変数として導入することにより、カルシウムイ
オン含有水中にIC、カルシウムイオンと難溶解性塩を
形成するフッ素イオン及びフッ素イオン以外の対イオン
等が含まれている場合に、それらの影響を考慮したフィ
ードバック制御が可能になる。その結果、より精度の高
い炭酸ナトリウムの過剰注入の防止が可能となり、炭酸
ナトリウム使用量の更なる低減が可能となる。また、炭
酸ナトリウム注入後のカルシウムイオン含有水を酸性凝
集沈殿槽で処理する場合、本来沈殿するはずの汚泥を浮
上させる炭酸ガスの発生が防止され、処理水水質の安定
化が可能となる。
【0017】また、本発明の炭酸ナトリウムの注入量制
御方法は、カルシウムイオン含有水中のカルシウムイオ
ンを除去するよう注入される炭酸ナトリウムの注入量制
御方法において、予め定められた注入量の炭酸ナトリウ
ムを注入した後のカルシウムイオン含有水中のカルシウ
ムイオン濃度(Ca2)を検出する第1のステップと、炭
酸ナトリウムを注入する前のカルシウムイオン濃度(C
a1)を検出する第2のステップと、第1のステップで検
出されたカルシウムイオン濃度(Ca2)と、処理目標と
なるカルシウムイオン濃度(Ca)との差に関する評価
関数が所定値以下かどうかを判別し、評価関数が所定値
以下である場合には、炭酸ナトリウムの補正注入量を補
正前の炭酸ナトリウムの注入量と同一量に設定し、評価
関数が所定値より大きい場合には、炭酸ナトリウムの補
正注入量を、炭酸ナトリウム注入後のカルシウムイオン
濃度(Ca2)と炭酸ナトリウム注入前のカルシウムイオ
ン濃度(Ca1)との差に比例する注入量であってカルシ
ウムイオン濃度(Ca2)を処理目標カルシウムイオン濃
度(Ca)に近づけるための所定関数に基づく注入量に
設定する第3のステップと、設定された補正注入量の炭
酸ナトリウムをカルシウムイオン含有水に注入する第4
のステップとを含むことを特徴とする。
【0018】この場合、炭酸ナトリウム注入前後のカル
シウムイオン濃度を制御変数として導入することとな
り、炭酸ナトリウム注入前後のカルシウムイオン含有水
中のカルシウムイオン濃度の影響を考慮したフィードフ
ォワード・フィードバック制御が可能になる。その結
果、より精度の高い炭酸ナトリウムの過剰注入の防止が
可能となり、炭酸ナトリウム使用量の更なる低減が可能
となる。
【0019】また、本発明のカルシウムイオン含有水処
理設備は、カルシウムイオン含有水に炭酸ナトリウムを
注入してカルシウムイオンを除去するカルシウムイオン
含有水処理設備において、カルシウムイオン含有水を貯
留させると共に炭酸ナトリウムを注入する貯留槽と、貯
留槽から流出されたカルシウムイオン含有水中のカルシ
ウムイオン濃度を検出する流出カルシウムイオン濃度計
と、流出カルシウムイオン濃度計で検出されたカルシウ
ムイオン濃度に基づいて炭酸ナトリウムの補正注入量を
設定する制御装置と、制御装置で設定された補正注入量
の炭酸ナトリウムを貯留槽中のカルシウムイオン含有水
に注入する炭酸ナトリウム注入装置とを備えることを特
徴とする。
【0020】この処理設備によれば、上述した炭酸ナト
リウムの注入量制御方法を有効に実施することができ
る。
【0021】また、本発明のカルシウムイオン含有水処
理設備は、炭酸ナトリウム注入前後のカルシウムイオン
含有水中のカルシウムイオン濃度の影響を考慮したフィ
ードフォワード・フィードバック制御を可能とすべく、
貯留槽に流入されるカルシウムイオン含有水中のカルシ
ウムイオン濃度(Ca1)を検出する流入カルシウムイオ
ン濃度計を更に備え、制御装置において、流入カルシウ
ムイオン濃度計で検出されたカルシウムイオン濃度(C
a1)と流出カルシウムイオン濃度計で検出されたカルシ
ウムイオン濃度(Ca2)とに基づいて炭酸ナトリウムの
補正注入量が設定されるものであってもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明のカルシ
ウムイオン含有水処理設備の実施形態について説明す
る。なお、全図中、同一又は相当する構成要素には、同
一の符号を付すものとする。
【0023】図1は、本発明のカルシウム含有水処理設
備の一例を示すフローシートである。図1に示すよう
に、原水槽2には、カルシウムイオン含有水(以下、
「原水」という)1が自然流下もしくはポンプ圧送によ
り流入され、原水槽2から原水ポンプ3により原水流量
検出器4を経由して原水カルシウム濃度計量槽5に圧送
される。原水流量検出器4としては、堰式流量計や電磁
流量計が用いられる。
【0024】原水カルシウム濃度計量槽5には原水カル
シウム濃度分析計(流入カルシウムイオン濃度計)6が
設置され、この原水カルシウムイオン濃度分析計6によ
り原水カルシウムイオン濃度が検出される。原水カルシ
ウム濃度分析計6としては、イオン電極式のカルシウム
イオン濃度計、又は間接的にカルシウムイオン濃度を測
定できる電気伝導度計が用いられる。電気伝導度計を利
用する場合は、カルシウムイオン含有水のカルシウムイ
オン濃度と電気伝導度の間に相関があることを予め確認
の上、両者の関係を回帰式にまとめておく必要がある。
【0025】次いで、原水1は反応混和槽(貯留槽)7
に送られる。反応混和槽7においては、炭酸ナトリウム
を一定濃度に溶解する炭酸ナトリウム溶解槽20から炭
酸ナトリウム注入ポンプ8により炭酸ナトリウムが注入
され、その注入量は、炭酸ナトリウム注入量制御装置3
0で設定される。炭酸ナトリウム溶解槽20には、溶解
槽20の異常を確認するため、炭酸ナトリウム濃度を検
出する炭酸ナトリウム濃度計21が設置されている。炭
酸ナトリウム濃度計21としては、電気伝導度計が用い
られる。なお、炭酸ナトリウム溶解槽20、炭酸ナトリ
ウム注入ポンプ8及び炭酸ナトリウム濃度計21により
炭酸ナトリウム注入装置が構成されている。
【0026】また、凝集剤貯槽22から凝集剤注入ポン
プ9により凝集剤が定量供給される。反応混和槽7のp
Hは、反応混和槽pH検出器11で検出された信号に基
づいて、反応混和槽pHコントローラ12で9〜11
(通常10付近)に調整される。pHが低い場合、反応
混和槽pHコントローラ12により水酸化ナトリウム供
給ポンプ10の作動が制御され、水酸化ナトリウム貯槽
23から水酸化ナトリウムが反応混和槽7へ供給され
る。pH10付近では、カルシウムイオンは、炭酸イオ
ンと反応して炭酸カルシウムとして析出される。ここ
で、凝集剤としては鉄塩が添加されると、この鉄塩によ
り炭酸カルシウムとして析出した粒子の凝集性が改善さ
れる。なお、反応混和槽7としては、炭酸カルシウムを
析出させる反応槽と、凝集剤を添加する混和槽の2槽に
分割されたものでもよい。
【0027】反応混和槽7における処理水は凝集槽13
に送られる。凝集槽13では、凝集助剤溶解槽24から
凝集助剤注入ポンプ14により凝集助剤が凝集槽13へ
定量供給される。これにより炭酸カルシウムの沈降性が
改善され、後述の凝集沈殿槽16での固液分離が容易と
なる。凝集槽13には、凝集槽カルシウム濃度分析計
(流出カルシウムイオン濃度計)15が設置され、この
凝集槽カルシウム濃度分析計15により凝集槽カルシウ
ムイオン濃度が検出される。凝集槽カルシウム濃度分析
計15としては、イオン電極式のカルシウムイオン濃度
計が用いられる。ここで、凝集槽カルシウム濃度分析計
15の設置位置は、カルシウムイオンが炭酸カルシウム
として析出した後の位置であれば特に限定する必要はな
く、後述の凝集沈殿槽16等の水槽や凝集沈殿槽越流水
17を通過させる配管ライン等に設置することができ
る。
【0028】凝集槽13からの流出水は、凝集沈殿槽1
6に送られ、凝集沈殿槽越流水17と凝集沈殿槽汚泥1
8に分離される。凝集沈殿槽汚泥18は、凝集沈殿汚泥
引抜ポンプ19により凝集沈殿槽16から引き抜かれ
る。
【0029】なお、原水流量検出器4で検出される原水
流量、原水カルシウム濃度分析計6で測定されたカルシ
ウムイオン濃度及び凝集槽カルシウム濃度分析計15で
検出される凝集槽カルシウムイオン濃度のそれぞれに対
応する信号が、炭酸ナトリウム注入量制御装置30に送
出され、この炭酸ナトリウム注入量制御装置30におい
て炭酸ナトリウム注入量が制御され、この注入量に対応
する信号が炭酸ナトリウム注入ポンプ8に送出され、適
当量の炭酸ナトリウムが反応混和槽7に注入される。
【0030】ここで、炭酸ナトリウム注入量制御装置3
0で行われる炭酸ナトリウムの注入量制御方法について
説明する。
【0031】まず、炭酸ナトリウムの注入量制御方法の
説明に先立ち、炭酸ナトリウムの注入量を制御するにあ
たっての基本的な考え方について説明する。
【0032】炭酸ナトリウム注入量制御において、原水
流量検出器4で検出された流量(Q)、原水カルシウム
濃度分析計6により測定した原水カルシウムイオン濃度
(Ca 1)、及び凝集槽カルシウム濃度分析計15で測定
した凝集槽カルシウムイオン濃度(Ca2)を変数として、
炭酸ナトリウム注入量制御装置30に導入する。ここ
で、凝集槽13では既にカルシウムイオンが炭酸カルシ
ウムとして析出しているので、凝集槽カルシウムイオン
濃度は、カルシウムイオン除去後の処理水濃度と同等で
ある。
【0033】よって、炭酸ナトリウム注入量制御におい
ては、次式に示す2つのカルシウムイオン濃度(Ca1
a2)、及び原水流量(Q)を制御変数とするフィード
フォワード・フィードバック制御が可能となる。
【数1】
【数2】 ここで、 Na2CO3 :炭酸ナトリウム注入量(m3/日) K :固有定数(−)(炭酸ナトリウム注入系
統の測定レンジ、制御レンジ及び使用単位によって定ま
る。本単位系では、1となる。) Ca1 :原水カルシウム濃度分析計による原水カ
ルシウムイオン濃度(mg/l)) Ca2 :凝集槽カルシウム濃度計による凝集槽カ
ルシウムイオン濃度(mg/l) Q :原水流量検出器による原水流量(m3/
日) k :乗算係数(−)(理論当量換算定数αに
補正係数k’を乗じ、さらに、炭酸ナトリウム溶液濃度
の逆数を乗じた変数で実際の制御変数として採用す
る。) α :理論当量換算定数(−)(カルシウムイ
オンと炭酸イオンが反応し、炭酸カルシウムが生成され
る際に、化学量論的に当量で「化1」式に示される反応
が起こると仮定したときの炭酸ナトリウム重量に対する
カルシウムイオン重量の比で、定数(2.65=106
/40)。炭酸ナトリウム注入量制御を行う過程では、
kに包含される。kの初期値を設定するときにのみ使用
する。) k’ :補正係数(−)(原水中にICや、その
他のカルシウムイオンと難溶解性塩を形成する対イオン
が含まれる場合には、炭酸ナトリウムの注入量は、理論
量より少なくなる。また、実際の炭酸ナトリウム溶解濃
度は計画濃度と異なり変動する。それらを考慮するため
の無次元変数で通常1前後の値をとる。理論当量換算定
数αと同様、炭酸ナトリウム注入量制御を行う過程で
は、kに包含される。kの初期値を設定するときにのみ
使用する。) γ :炭酸ナトリウム溶液計画濃度(mg/
l)(定数として扱う。kの初期値を設定するときにの
み使用する。) いま、新たな変数として凝集槽カルシウムイオン濃度
(Ca2)と凝集槽カルシウムイオン制御目標濃度
(Ca)の偏差Cを導入する。
【数3】 (3)の式を(1)式に代入し、Ca2を消去して整理す
ると、炭酸ナトリウム注入量Na2CO3は、次式で表さ
れる。
【数4】 (4)の式をCについて整理すると、次式のようにな
る。
【数5】 (5)式を乗算係数kの関数とみなし、C=0の解とし
て乗算係数kを演算により求める。
【0034】従って、乗算係数kを求めると、(1)式
から炭酸ナトリウム注入量Na2CO3を設定することが
できる。なお、C=0の時、(3)式から、凝集槽カル
シウムイオン濃度(Ca2)は、凝集槽カルシウムイオン
制御目標濃度(Ca)に制御できることがわかる。
【0035】次に、上述した基本的考え方に基づき、炭
酸ナトリウムの注入量制御方法について図2を参照して
説明する。図2は、炭酸ナトリウムの注入量を算出する
手順の一例を示すフローチャートである。
【0036】図2に示すように、時刻t=t0におい
て、原水流量(Q)が原水流量検出器4で検出され、原
水カルシウムイオン濃度(Ca1)が原水カルシウム濃度
分析計6で検出され、凝集槽カルシウムイオン濃度(C
a2)が凝集槽カルシウムイオン濃度分析計15で検出さ
れる。そして、これら原水流量(Q)、原水カルシウム
イオン濃度(Ca1)及び凝集槽カルシウムイオン濃度
(Ca2)の各初期値Q0、Ca 1、Ca2に対応する信号が
炭酸ナトリウム注入量制御装置30に入力される(S1
00)。そして、制御装置30において、処理設備の運
転が継続中かどうかが判別され(S101)、処理設備
の運転が継続中でない場合には炭酸ナトリウムの注入が
停止され(S108)、処理設備の運転が継続中である
場合には、以下のようにして炭酸ナトリウムの補正注入
量が設定される(S102〜S106)。
【0037】ここで、n(n≧1、nは整数)回目の繰
り返し計算を時刻t=t0+(n−1)Δtに行うもの
とする。従って、(n−1)回目の繰り返し計算は、時
刻t=t0+(n−1)Δtに行うことになる。この時
刻t=t0+(n−1)Δtに設定する新しい乗算係数
kの値がknであり、時刻t=t0+(n−1)Δtから
時刻t=t0+nΔtまで、即ちΔtの時間間隔だけ設
定を継続するものとする。
【0038】時刻t=t0+(n−1)Δtにおいて
は、原水流量(Qn-1)、原水カルシウムイオン濃度
(Ca1、n-1)及び凝集槽カルシウムイオン濃度(C
a2、n-1)がそれぞれ検出される。ここで、制御装置30
の記憶装置には評価関数H(kn-1)が予め記憶されて
いる。ここで、評価関数H(kn-1)は、凝集槽カルシ
ウムイオン濃度(Ca2、n-1)と処理目標制御濃度
(Ca)とにより以下のように定義される。
【数6】 そして、この評価関数H(kn-1)を利用し、その評価
関数H(kn-1)の値が所定値以下であるかどうかが判
別され、その結果に応じて新しい乗算係数knの値が設
定される。
【0039】即ち、評価関数H(kn-1)がε以下かど
うかを判別し(S103)、評価関数H(kn-1)がε
以下である場合には、新しい乗算係数kの値knを以下
の(7)式のように設定し(S104)、評価関数H
(kn-1)がεより大きい場合には、新しい乗算係数k
の値knを以下の(8)式のように設定する(S10
5)。ここで、εは、評価関数H(kn-1)の許容最大値
とする。
【0040】即ち、評価関数H(kn-1)が、|H(kn-1)
|≦εのとき、
【数7】 と設定する(S104)。
【0041】一方、評価関数H(kn-1)が、|H(kn-1)
|>εのとき、
【数8】 (8) と設定する(S105)。
【0042】ここで、knの式の導出過程について説明
する。
【0043】ここでは、演算の具体例としてニュートン
法を利用する。ニュートン法によると、関数C=f(k)
において、C=0の近似解knは、f(k)の微分をf'
(k)として次式で求めることができる。
【数9】 ここで、 kn :繰り返し計算(n−1)回目に設定される
乗算係数kの値(近似解) kn-1 :繰り返し計算(n−2)回目に設定される
乗算係数kの値(近似解) f(kn-1) :k=kn-1におけるf(k)の値 f'(kn-1):k=kn-1におけるf'(k)の値 なお、f(k)は、(3)式及び(5)式から次のように
定義される。
【数10】 ここで、f(kn-1)とf'(kn-1)は、具体的には次のよ
うに求めることができる。
【0044】f(kn-1)については、(10)式及び
(11)式から、次式に示すように、
【数11】 時刻t=t0+(n−1)Δtにおける凝集槽カルシウム
イオン濃度Ca2のCa2, n-1と凝集槽カルシウムイオン制
御目標濃度Caの差として求められる。
【0045】また、f'(k)は、(12)式を乗算係数
kで微分して、次式のようになる。
【数12】 ここで、(14)式に(1)式を代入して整理すると、
【数13】 従って、時刻t=t0+(n−1)Δtにおけるf'(k)
の値f'(kn-1)は、(15)式をもとに次式で示され
る。
【数14】 (13)式と(16)式を(9)式に代入して整理する
と、H(kn-1)>εの場合、時刻t=t0+(n−1)Δ
tから時刻t=t0+nΔtにおける乗算係数knは、時
刻t=t0+(n−2)Δtに設定した乗算係数kの値k
n-1、時刻t=t0+(n−1)Δtにおけるf(k)及び
f'(k)のそれぞれの値、f(kn-1)、f'(kn-1)をもと
に(9)式で計算され、以下の式で与えられる。
【数15】 このようにして、knの値が設定されたならば、このkn
の値に対応して新しい炭酸ナトリウムの補正注入量の値
(Na2CO3)nが以下のようにして設定される(S10
6)。
【0046】ここで、炭酸ナトリウムの補正注入量(N
2CO3)nは次式
【数16】 の形で制御装置30の記憶装置に予め記憶されている。
炭酸ナトリウムの補正注入量(Na2CO3)nの式は、
(4)式をもとに導出されるものである。
【0047】そして、評価関数H(kn-1)が、|H(k
n-1)|≦εのとき、上記(18)式に基づき、炭酸ナト
リウムの補正注入量を補正前の炭酸ナトリウムの注入量
と同一量に設定し(S106)、評価関数H(kn-1)
が、|H(kn-1)|>εのとき、炭酸ナトリウムの補正
注入量を、カルシウムイオン濃度(Ca2)とカルシウム
イオン濃度(Ca1)との差に比例する注入量であってカ
ルシウムイオン濃度(Ca2)を処理目標カルシウムイオ
ン濃度(Ca)に近づけるための(18)式の関数に基
づく注入量に設定する。
【0048】この炭酸ナトリウムの補正注入量(Na2
CO3nの値は、評価関数H(kn-1)の値に応じて算
出されるknの値を(18)式に代入することにより得
られる。この補正注入量は、時刻t=t0+(n−1)
Δtから時刻t=t0+nΔtまで、即ちΔtの時間間
隔だけ設定を継続するものとする。
【0049】こうして炭酸ナトリウムの補正注入量(N
2CO3nが設定されたならば、この補正注入量(N
2CO3nに対応する信号が炭酸ナトリウム注入ポン
プ8に送出され、炭酸ナトリウム注入ポンプ8が作動
し、炭酸ナトリウムが反応混和槽7中の原水1に注入さ
れる。
【0050】なお、時刻t=t0+(n−1)Δtにお
ける評価関数H(kn-1)の値は、同時刻t=t0+(n−
1)Δtにおける凝集槽カルシウムイオン濃度Ca2,n-1
と凝集槽カルシウムイオン制御目標濃度Caを(6)式
に代入して計算できる。
【0051】次に、時刻をΔtだけ進める。即ち、nの
値を1だけ増加させる(S107)。そして、処理設備
の運転が継続中かどうかを判別し(S101)、処理設
備の運転が継続中である場合には、上記制御方法と同様
にして、時刻t=t0+(n−1)ΔtからΔt時間後の
時刻t=t0+nΔtに、評価関数の値H(kn)をもとに
設定した新しい乗算係数の値kn+1と、炭酸ナトリウム
の補正注入量の値(Na 2CO3)n+1を設定する(S10
2〜S106)。設定値は、時刻t=t0+nΔtから
時刻t=t0+(n+1)Δtまで継続するものとす
る。
【0052】時刻t=t0+nΔtに設定する乗算係数
n+1は、制御装置30において、評価関数H(kn)の値
に応じて設定される。
【0053】即ち、評価関数H(kn-1)がε以下かど
うかを判別し、評価関数H(kn)が、|H(kn)|≦ε
の場合には、
【数17】 と設定する(S104)。
【0054】一方、評価関数H(kn)が、|H(kn)|
>εの場合には、
【数18】 と設定する(S105)。
【0055】このようにして、kn+1の値を設定したな
らば、炭酸ナトリウムの補正注入量(Na2CO3)
n+1は、以下の式
【数19】 により設定される(S106)。
【0056】即ち、評価関数H(kn)が、|H(kn)|≦
εの場合には、上記(18)式に基づき、炭酸ナトリウ
ムの補正注入量を補正前の炭酸ナトリウムの注入量と同
一量に設定し(S106)、評価関数H(kn)が、|H
(kn)|>εのとき、炭酸ナトリウムの補正注入量を、
カルシウムイオン濃度(Ca2)とカルシウムイオン濃度
(Ca1)との差に比例する注入量であってカルシウムイ
オン濃度(Ca2)を処理目標カルシウムイオン濃度(C
a)に近づけるための(18)式の関数に基づく注入量
に設定する。
【0057】以後、時刻を順次Δt間隔で進める。即ち
nの値を1ずつ増加させる(S107)。そして、制御
を継続することにより、評価関数を十分小さな値とし、
凝集槽カルシウムイオン濃度(Ca2)をその制御目標濃
度(Ca)に制御できる。ここで、制御の時間間隔Δt
は、原水槽2、原水カルシウム濃度計量槽5、反応混和
槽7、凝集槽13の滞留時間がカルシウムイオンの濃度
変動に及ぼす影響を考慮して決定する。通常は、各槽の
滞留時間より十分に小さい値を選定する。
【0058】以上のように炭酸ナトリウムの注入量を制
御する場合、原水流量(Q)、原水カルシウムイオン濃
度(Ca1)、及び凝集槽カルシウムイオン濃度(Ca2)を
制御変数として導入することにより、原水1中にIC、
カルシウムイオンと難溶解性塩を形成するフッ素イオン
及びフッ素イオン以外の対イオン等が含有されている場
合、それらの影響を考慮したフィードフォワード・フィ
ードバック制御が可能になる。その結果、より精度の高
い炭酸ナトリウム過剰注入の防止が可能となり、炭酸ナ
トリウム使用量の更なる低減が可能となる。従って、薬
品費の増加を抑えることができる。
【0059】また、炭酸ナトリウム濃度計21を使用し
ない場合でも、凝集槽カルシウムイオン濃度(Ca2)を
制御目標値濃度(Ca)に制御でき、また、炭酸ナトリ
ウム注入後のカルシウムイオン含有水を酸性凝集沈殿槽
で処理する場合、本来沈殿するはずの汚泥を浮上させる
炭酸ガスの発生が防止され、処理水水質の安定化が可能
となる。
【0060】次に、本発明の炭酸ナトリウムの注入量制
御方法の第2実施形態について説明する。
【0061】第2実施形態の炭酸ナトリウムの注入量制
御方法は、原水流量Qを直接的に変数とすることなく原
水カルシウムイオン濃度Ca1と凝集槽カルシウムイオン
濃度Ca2を変数とするフィードフォワード・フィードバ
ック制御を行う点で第1実施形態の制御方法と異なる。
【0062】つまり、(1)式の乗算係数kと原水流量
Qの積を乗算係数kとして再定義すると、(1)式は、
(22)式となる。
【数20】 ここで、
【数21】 (22)式において、C=Ca2−Caとおいて、第1実
施形態と同様にニュートン法を用いた制御ができる。
【0063】なお、第2実施形態の制御方法は、上述し
たカルシウムイオン含有水処理設備において実施できる
が、原水流量変動を考慮した乗算係数kを採用するの
で、必ずしも原水流量検出器4を設置する必要はない。
【0064】次に、本発明の炭酸ナトリウムの注入量制
御方法の第3実施形態について説明する。
【0065】第3実施形態の制御方法は、原水カルシウ
ムイオン濃度Ca1を変数とせずに、凝集槽カルシウムイ
オン濃度Ca2を変数とするフィードバック制御を行う点
で第1実施形態の制御方法と異なる。
【0066】つまり、原水カルシウムイオン濃度Ca1
凝集槽カルシウムイオン濃度Ca2と係数βの積とし、以
下の(24)式で表現する。
【数22】 このとき、(24)式を(22)式に代入すると、以下
の(25)式となる。
【数23】 ここで、(25)式の(β−1)とkの積を新たにkと
して定義しなおすと、(25)式は以下のようになる。
【数24】 なお、(26)式の乗算係数kは、次の(27)式で示
される。
【数25】 (26)式から、炭酸ナトリウムの注入量Na2CO
3は、凝集槽カルシウムイオン濃度Ca2の関数として表
現できることがわかる。
【0067】ここで、(26)式において、C=Ca2
aとおいて、第1実施形態の制御方法と同様にニュー
トン法を用いた制御ができる。
【0068】第3実施形態の制御方法は、上述したカル
シウムイオン含有水処理設備において実施できるが、原
水カルシウム濃度(Ca1)を直接の変数としないので、
原水カルシウム濃度分析計6を必ずしも設置する必要は
ない。
【0069】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。例えば、本発明の制御方法では、炭酸
ナトリウム濃度変動を考慮した乗算係数kを採用してい
るので、必ずしも、炭酸ナトリウム溶解槽20の炭酸ナ
トリウム濃度を検出する炭酸ナトリウム濃度計21を設
置する必要はない。
【0070】以下、本発明を実施例により具体的に説明
する。
【0071】
【実施例】(実施例1)実施例1に用いる浸出水処理設
備のフローシートを図3に示す。
【0072】調整槽31に貯留したカルシウムイオン濃
度:739mg/l、IC(無機炭素):16mg/lの
浸出水を水量30m3/日で以下のように処理した。
【0073】即ち、図3に示すように、調整槽31内に
貯留された浸出水を原水カルシウム濃度分析計6として
のイオン電極式のカルシウムイオン濃度計を経由させて
反応混和槽7に送り、反応混和槽7における処理水を凝
集槽13に送り、凝集槽13からの流出水は凝集沈殿槽
16において凝集沈殿槽越流水17と凝集沈殿槽汚泥1
8とに分離した。また、凝集槽13には、凝集槽カルシ
ウム濃度分析計15としてのイオン電極式のカルシウム
イオン濃度計を設置した。そして、処理目標カルシウム
イオン濃度を100mg/lとし、原水流量検出器4で
検出された流量(Q)、原水カルシウム濃度分析計6に
より測定した原水カルシウムイオン濃度(Ca1)及び原
水カルシウム濃度分析計15で測定した凝集槽カルシウ
ムイオン濃度(Ca2)に基づき、本発明の第1実施形態の
制御方法にて浸出水を処理した。このときの炭酸ナトリ
ウム使用量を1日ごとに5日にわたって測定した。その
結果を表1に示す。なお、表1において、各経過日数に
対応して表示される炭酸ナトリウムの累積使用量は、そ
の日に使用される炭酸ナトリウム使用量をその前日の炭
酸ナトリウム累積使用量に累積した値として示すもので
ある。
【表1】
【0074】(比較例1)凝集槽カルシウム濃度分析計
15でカルシウムイオン濃度(Ca2)を測定せず、原水
カルシウムイオン濃度(Ca1)のみに基づき化学量論的
に求められる炭酸ナトリウム当量で炭酸ナトリウムを注
入した以外は、実施例1と同様にして浸出水を処理し
た。その結果を表1に示す。表1に示すように、炭酸ナ
トリウムの使用量は、実施例1の場合よりも過剰であっ
た。また、炭酸ナトリウムの使用量が経過日数の増加に
より増大することが分かった。
【0075】(実施例2)実施例2に用いる浸出水処理
設備のフローシートを図4に示す。
【0076】調整槽31に貯留したカルシウムイオン濃
度:665mg/l、IC(無機炭素):11mg/lの
浸出水を水量80m3/日で以下のようにして処理し
た。
【0077】即ち、図4に示すように、調整槽31内に
貯留された浸出水をポンプにより原水流量検出器4とし
ての堰式流量計を経由させて原水カルシウム濃度計量槽
5に圧送した。原水カルシウム濃度計量槽5には原水カ
ルシウム濃度分析計6としてのイオン電極式カルシウム
イオン濃度計を設置した。
【0078】次いで、浸出水を反応混和槽7、第1凝集
槽13で順次処理した。第1凝集槽13には、第1凝集
槽カルシウム濃度分析計15としてのイオン電極式カル
シウムイオン濃度計を設置した。第1凝集槽13からの
流出水は、第1凝集沈殿槽16において、第1凝集沈殿
槽越流水17と凝集沈殿槽汚泥18に分離した。
【0079】その後、第1凝集沈殿槽越流水17を第1
中和槽35、酸化槽36、硝化槽37、脱窒槽38、再
曝気槽39、第2混和槽40、第2凝集槽41、第2凝
集沈殿槽42、第2中和槽43で順次処理した。
【0080】そして、炭酸ナトリウム濃度を定数(6
0,000mg/l)とした状態で、処理目標カルシウ
ムイオン濃度を100mg/lとし、原水流量(Q)、
原水カルシウムイオン濃度(Ca1)及び第1凝集槽カル
シウムイオン濃度(Ca2)に基づき、本発明の第1実施形
態の制御方法にて炭酸ナトリウムの注入量を調整し、浸
出水を処理した。
【0081】そして、第1凝集槽カルシウムイオン濃
度、並びに第2凝集沈殿槽42及び第2中和槽43で処
理された第2凝集沈殿処理水(以下、「酸性凝集沈殿処
理水」という)中のSS濃度の経日変化をそれぞれ測定
した。その結果を図5及び図6に示す。図5及び図6に
示すように、第1凝集槽カルシウムイオン濃度は、炭酸
ナトリウム濃度の変動にかかわらずほぼ一定であり、酸
性凝集沈殿処理水中のSS濃度は十分に小さかった。
【0082】(比較例2)第1凝集槽カルシウムイオン
濃度(Ca2)を測定せず、炭酸ナトリウム濃度を定数
(60,000mg/l)とした状態で原水カルシウム
イオン濃度(Ca1)のみに基づいて炭酸ナトリウム注入
量を調整した以外は実施例2と同様にして浸出水を処理
した。そして、第1凝集槽カルシウムイオン濃度を第1
凝集槽カルシウムイオン濃度分析計15で測定すると共
に、酸性凝集沈殿処理水の一部を採取し、その中のSS
濃度を測定した。その結果を図5及び図6に示す。図5
及び図6に示すように、第1凝集槽カルシウムイオン濃
度は、実施例2の場合に比べて不安定であり、酸性凝集
沈殿処理水中のSS濃度は、実施例2の場合よりも大き
く汚泥の浮上が見られた。
【0083】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、炭
酸ナトリウムの過剰注入防止により炭酸ナトリウム使用
量を削減でき、薬品費の増加を抑えることができる。ま
た、炭酸ナトリウムを注入した後に酸性凝集沈殿処理を
行う場合、過剰に注入された炭酸イオンが炭酸ガスとな
って凝集汚泥に付着し酸性凝集沈殿槽において凝集汚泥
を浮上させることを防止できる。従って、処理水水質を
安定して制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカルシウムイオン含有水処理設備の一
例を示すフローシートである。
【図2】本発明の炭酸ナトリウムの注入量制御方法の手
順を示すフローチャートである。
【図3】実施例1の制御方法を適用する処理設備を示す
フローシートである。
【図4】実施例2の制御方法を適用する処理設備を示す
フローシートである。
【図5】実施例2における第1凝集槽カルシウムイオン
濃度及び炭酸ナトリウム溶解濃度の経日変化を示すグラ
フである。
【図6】実施例2における酸性凝集沈殿処理水中のSS
濃度及び炭酸ナトリウム溶解濃度の経日変化を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1…カルシウムイオン含有水、6…原水カルシウム濃度
分析計(流入カルシウムイオン濃度計)、7…反応混和
槽(貯留槽)、8…炭酸ナトリウム注入ポンプ(炭酸ナ
トリウム注入装置)、15…凝集槽カルシウム濃度分析
計(流出カルシウムイオン濃度計)、20…炭酸ナトリ
ウム溶解槽(炭酸ナトリウム注入装置)、21…炭酸ナ
トリウム濃度計(炭酸ナトリウム注入装置)、30…炭
酸ナトリウム注入量制御装置(制御装置)。
フロントページの続き Fターム(参考) 5H004 GA34 GB02 GB20 HA04 HB02 HB04 JA22 JB08 KB33 KB39 KC08 KC12 KC44 KD61 LA15 LA18 9A001 BB02 BB04 BB06 DD07 GG13 GG15 HH09 JJ46 KK32 KK37 KK63

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウムイオン含有水中のカルシウム
    イオンを除去するよう注入される炭酸ナトリウムの注入
    量制御方法において、 予め定められた注入量の炭酸ナトリウムを注入した後の
    前記カルシウムイオン含有水中のカルシウムイオン濃度
    (Ca2)を検出する第1のステップと、 検出されたカルシウムイオン濃度(Ca2)に基づいて前
    記炭酸ナトリウムの補正注入量を設定する第2のステッ
    プと、 設定された補正注入量の炭酸ナトリウムを前記カルシウ
    ムイオン含有水に注入する第3のステップと、を含むこ
    とを特徴とする炭酸ナトリウムの注入量制御方法。
  2. 【請求項2】 前記第2のステップは、 前記カルシウムイオン濃度(Ca2)と、処理目標となる
    カルシウムイオン濃度(Ca)との差に関する評価関数
    が所定値以下かどうかを判別し、 前記評価関数が所定値より以下である場合には、前記炭
    酸ナトリウムの補正注入量を補正前の前記炭酸ナトリウ
    ムの注入量と同一量に設定し、 前記評価関数が所定値より大きい場合には、前記炭酸ナ
    トリウムの補正注入量を、前記カルシウムイオン濃度を
    前記処理目標カルシウムイオン濃度(Ca)に近づける
    ための所定関数に基づく注入量に設定するステップであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の炭酸ナトリウムの
    注入量制御方法。
  3. 【請求項3】 カルシウムイオン含有水中のカルシウム
    イオンを除去するよう注入される炭酸ナトリウムの注入
    量制御方法において、 予め定められた注入量の炭酸ナトリウムを注入した後の
    前記カルシウムイオン含有水中のカルシウムイオン濃度
    (Ca2)を検出する第1のステップと、 前記炭酸ナトリウムを注入する前のカルシウムイオン濃
    度(Ca1)を検出する第2のステップと、 前記第1のステップで検出された前記カルシウムイオン
    濃度(Ca2)と、処理目標となるカルシウムイオン濃度
    (Ca)との差に関する評価関数が所定値以下かどうか
    を判別し、 前記評価関数が所定値以下である場合には、前記炭酸ナ
    トリウムの補正注入量を補正前の前記炭酸ナトリウムの
    注入量と同一量に設定し、 前記評価関数が所定値より大きい場合には、前記炭酸ナ
    トリウムの補正注入量を、前記炭酸ナトリウム注入後の
    カルシウムイオン濃度(Ca2)と前記炭酸ナトリウム注
    入前のカルシウムイオン濃度(Ca1)との差に比例する
    注入量であって前記カルシウムイオン濃度(Ca2)を前
    記処理目標カルシウムイオン濃度(Ca)に近づけるた
    めの所定関数に基づく注入量に設定する第3のステップ
    と、 設定された補正注入量の炭酸ナトリウムを前記カルシウ
    ムイオン含有水に注入する第4のステップと、を含むこ
    とを特徴とする請求項1に記載の炭酸ナトリウムの注入
    量制御方法。
  4. 【請求項4】 カルシウムイオン含有水に炭酸ナトリウ
    ムを注入してカルシウムイオンを除去するカルシウムイ
    オン含有水処理設備において、 前記カルシウムイオン含有水を貯留させると共に前記炭
    酸ナトリウムを注入する貯留槽と、 前記貯留槽から流出された前記カルシウムイオン含有水
    中のカルシウムイオン濃度(Ca2)を検出する流出カル
    シウムイオン濃度計と、 前記流出カルシウムイオン濃度計で検出されたカルシウ
    ムイオン濃度(Ca2)に基づいて前記炭酸ナトリウムの
    補正注入量を設定する制御装置と、 前記制御装置で設定された補正注入量の炭酸ナトリウム
    を前記貯留槽中の前記カルシウムイオン含有水に注入す
    る炭酸ナトリウム注入装置と、を備えることを特徴とす
    るカルシウムイオン含有水処理設備。
  5. 【請求項5】 前記貯留槽に流入されるカルシウムイオ
    ン含有水中のカルシウムイオン濃度(Ca1)を検出する
    流入カルシウムイオン濃度計を更に備え、 前記制御装置において、前記流入カルシウムイオン濃度
    計で検出されたカルシウムイオン濃度(Ca1)と前記流
    出カルシウムイオン濃度計で検出された前記カルシウム
    イオン濃度(Ca2)とに基づいて前記炭酸ナトリウムの
    補正注入量が設定されることを特徴とする請求項4に記
    載のカルシウムイオン含有水処理設備。
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