JP2000287080A - 画像処理装置及びその方法 - Google Patents

画像処理装置及びその方法

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JP2000287080A JP11090073A JP9007399A JP2000287080A JP 2000287080 A JP2000287080 A JP 2000287080A JP 11090073 A JP11090073 A JP 11090073A JP 9007399 A JP9007399 A JP 9007399A JP 2000287080 A JP2000287080 A JP 2000287080A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像情報に対して画質劣化することなく大量
の付加情報を多重化することは困難であった。 【解決手段】 予め画質劣化の許容限界となる多重化ブ
ロックサイズw×hを算出し、該ブロック内に1ビット
の符号を多重化する際に、量子化閾値を制御して(S50
9,S510,S511)疑似階調処理では通常発生し得ないテ
クスチャを人工的に作成し、該テクスチャによって1ビ
ットの符号を表現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は画像処理装置及びそ
の方法に関し、特に画像情報に対して付加情報を多重化
する画像処理装置及びその方法に関する。
【従来の技術】従来より、画像情報中に、画像に関連の
ある他の情報を多重化する研究が盛んに行われている。
近年では、電子透かし技術と称し、写真、絵画等の画像
情報中に、その著作者名や、使用許可の可否等の付加情
報を視覚的に判別しづらい様に多重化した上で、インタ
ーネット等のネットワークを介して流通させる技術が標
準化されつつある。また、他の応用分野としては、複写
機やプリンタ等の画像形成装置の高画質化に伴い、紙幣
や印紙等の有価証券の不正な偽造を防止する目的におい
て、記録紙上に出力された画像から出力機器種別、及
び、その機体番号を特定する為に、画像中に付加情報を
埋め込む技術が知られている。例えば、特開平7−12
3244では、視覚的に感度の低い色差成分、及び彩度
成分の高周波域に付加情報を埋め込むことにより情報の
多重化を行う技術が提案されている。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の多重化技術には、以下に示す問題がある。図12
は、従来の付加情報の埋め込み方法を模式的に示す図で
ある。同図によれば、画像情報Aと付加情報Bが加算器
1201を介して多重化されることにより、多重化情報
Cが生成される。加算器1201においては、画像情報
Aの実空間上で加算を行なっても良いし、画像情報Aを
フーリエ変換等を用いて周波数領域に変換した後、付加
情報Bを高周波域等に合成しても良い。このようにして
生成された多重化情報Cを、各種フィルタリング等の画
像処理や非可逆圧縮等の符号化を施すことなくネットワ
ーク上を流通させることが可能であれば、多重化情報C
から付加情報Bを復号することは、従来においても容易
に可能である。また、例えばインターネット上で流通す
る画像情報は、多少のノイズ耐性があれば、エッジ強調
や平滑化等、画質向上のためのデジタルフィルタを通し
ても復号が可能である。ここで、画像形成装置が単色あ
たり2階調から数階調程度の表現能力しか有していない
場合を想定する。近年、インクジェットプリンタは、染
料濃度を薄くしたインクを有したり、出力するドット径
を可変制御したりすることにより、単色あたり数階調表
現を可能とする装置が知られているが、それでも疑似階
調処理を用いない限りは、画像を写真調に表現すること
はできない。図17は、従来の付加情報の多重化に際
し、擬似階調処理を行なう例を模式的に示す図である。
即ち、図16に示す構成に対して更に、疑似階調処理1
701によって多重化情報Cを量子化情報Dに変換し、
その後、プリンタ出力1702によって記録用紙上に印
刷出力することにより、非常に劣化した紙上情報Eが得
られる。従って、上述した偽造防止の目的の為に、記録
用紙上の情報から付加情報を復号するということは即
ち、図17に示す一連の処理後の紙上情報Eから付加情
報Bを復号するということになる。しかしながら、擬似
階調処理1701及びプリンタ出力1702の両処理に
よる画像情報の変化量は非常に大きい。従って、付加情
報を視覚的に判別できないように多重化し、かつ、多重
化した付加情報を記録用紙上から正しく復号するという
ことは、非常に困難なことである。上述した特開平7−
123244に記載された多重化技術においては、画像
の高周波域に情報を付加させている。しかしながら後段
の疑似階調処理において誤差拡散法を実施した場合に
は、誤差拡散法特有のハイパスフィルタの特性により、
付加情報の帯域が誤差拡散で発生するテクスチャの帯域
に埋没してしまい、復号が困難となってしまう恐れが多
分にある。また、正確な復号のためには非常に精度の高
いスキャナ装置が必要となる。即ち、疑似階調処理が前
提である場合には、図17に示す多重化方式は適さない
ことがわかる。言い換えると、疑似階調処理の特性を大
きく活かした付加情報の多重化方式が必要である。付加
情報の多重化と疑似階調処理の冗長性とを結び付けた例
として、特許第2640939号、第2777800号
がある。前者は、組織的ディザにて2値化を行なう際
に、同一階調を表すディザマトリクスの中からいづれか
一つを選定することによって、画像信号中に付加データ
を混入するものである。しかし、組織的ディザ法では、
高解像の、しかも機械的精度の非常に優れたプリンタで
無い限り、写真調の高画質出力は困難である。多少の機
械的精度のずれが横筋等の低周波ノイズとして発生し、
紙上で容易に視覚されてしまうからである。また、ディ
ザマトリクスを周期的に変化させると、規則的に配列さ
れていたデイザにより発生する特定周波数の帯域が乱さ
れ、画質的に悪影響を及ぼしてしまう。また、復号側に
おいても、原信号である画像情報の画素値が不明な状態
で、いかなるディザマトリクスで2値化されたかを推測
して復号を行なわねばならず、正確な復号は困難であっ
た。また、後者は、カラーのディザパターン法を用い
て、その配列により付加情報を多重化する方法を示して
いる。この方法でも前者と同様、ディザマトリクスの切
り換えによる画質劣化は避けられない。また、前者と比
べて、より多くの付加情報を多重化できる代わりに、色
成分の配列を変化させることによる色見の変化をもたら
し、特に平坦部において画質劣化が大きくなる。また、
復号も更に困難になることが予想される。いずれにして
も、ディザマトリクスを変化させる両者の方法では、画
質劣化が大きい割に、復号が困難であるという問題点を
有している。また、特に音声情報等の大量の情報を画像
中に埋め込む方法としては、例えば特許第283397
5号に記載されている方法がある。これは、音声情報を
所謂2次元バーコードと称されるドットコードに変換
し、画像の余白部や画像の内部に印字するものである。
しかしながらこの方法は、画像情報に対して付加情報で
あるドットコードを多重化しているものではなく、ま
た、付加情報(ドットコード)を視認されづらくしてい
るものでもない。唯一、ドットコード視認されづらく工
夫している例として、透明塗料を使用してコードを画像
中に埋め込む例が記載されているが、特殊なインクを必
要とするためコストアップを招くのみならず、当然、記
録用紙上に出力された画像は当然画質劣化してしまう。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであ
り、画像情報に対して画質劣化を抑制しつつ大量の付加
情報の多重化を可能とする画像処理装置及びその方法を
提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。即
ち、画像情報に対して付加情報を多重化する画像処理装
置であって、前記画像情報の注目画素を疑似階調処理に
より量子化する量子化手段と、前記注目画素を含む複数
画素の量子化値によって前記付加情報を示す特定パター
ンを形成することにより、前記付加情報を多重化する多
重化手段と、前記多重化手段において形成される前記特
定パターンを前記付加情報の情報量に応じて制御する制
御手段と、を有することを特徴とする。例えば、前記特
定パターンは、前記量子化手段では発生し得ないパター
ンであることを特徴とする。
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る好適な実施形態について詳細に説明する。尚、各実施
形態における画像処理装置は、主として、プリンタエン
ジンへ出力すべき画像情報を作成するコンピュータ内の
プリンタドライバソフトとして内蔵することが効率的で
あるが、複写機、ファクシミリ、プリンタ本体等にハー
ドウエア、及びソフトウエアとして内蔵することも効果
がある。 <発明の概要>本発明は、画像情報に対して画質劣化を
抑制しつつ、大量の付加情報の多重化を可能とすること
を目的としている。画質劣化を抑制して付加情報を多重
化する方法として、本出願人は、誤差拡散法によって生
じるテクスチャを利用し、通常の疑似階調処理では発生
し得ない量子化値のパターンを人工的に作成することに
より、付加情報の符号を多重化する方法を見出してい
る。この方法によれば、テクスチャの形状が微視的に変
化するのみであるため、視覚的には画質劣化が認められ
ない。また、誤差拡散法の量子化閾値を変更することに
よって上記パターンを作成することにより、面積階調の
濃度値も視覚的に保たれるため、極めて容易に異種信号
の多重化が実現できる。しかしながら、上記誤差拡散法
のテクスチャを利用した多重化方法においては、多重化
する付加情報は主として機種名や機種番号等のインデッ
クス情報であることが前提となっていた。即ち、埋め込
むべき情報量が画像情報に比べて非常に小さい場合が想
定されていた。そのため、情報量の多い例えば音声情報
等を多重化する場合を考えると、画像中に全ての付加情
報を多重化することが困難となるおそれがある。そこで
本発明においては、大量の付加情報をも多重化可能とす
るために、画質劣化の許容限界となる多重化ブロックサ
イズを予め実験的に算出した値に基づいて算出してお
く。そして、該ブロックサイズ内で1ビットの多重化を
行なうことにより、付加情報のサイズ及び画像サイズに
応じた多重化処理を実現した。以下、本発明に係る好適
な実施形態について説明する。 <第1実施形態>本発明に係る第1実施形態において
は、画像情報に対して音声情報を多重化する例について
説明する。図1は、本実施形態における画像処理システ
ムの概要構成を示すブロック図である。同図において、
破線で囲んだブロック100は送信システムを示し、同
じくブロック101は受信システムを示す。送信システ
ム100において、102は多重化疑似階調処理部であ
り、入力された画像情報と、その画像中に埋め込むべき
音声情報とを多重化する手段である。多重化擬似階調処
理部102においては、多重化と疑似階調処理とを同時
に実行するため、即ち、目的の異なる二種の処理を一度
に実現する。尚、この多重化疑似階調処理についての詳
細は後述する。多重化疑似階調処理された情報は、画像
出力部103においてプリンタ等の出力機器により記録
用紙等の媒体上に出力される。以下、記録用紙上に出力
された情報を紙上情報と称する。この紙上情報は、例え
ば遠隔地等にある送信相手側に送られる。紙上情報を受
け取った受信システム101では、画像情報と音声情報
の2種の情報を記録用紙上の画像として受信することに
なる。受信システム101において、104は画像入力
部であり、画像読み取り装置等によって紙上情報を入力
する。この画像読み取り装置としては、サンプリング定
理により、画像出力部103で用いられたプリンタ解像
度の2倍以上の解像度を有していることが好ましい。1
05は多重情報分離部であり、入力された画像情報に多
重化されている多重情報を分離して、独立した音声情報
を得る手段である。分離された音声情報は、受信システ
ム101内の不図示の再生装置等によって、再生するこ
とが可能になる。次に、本実施形態の特徴である多重化
疑似階調処理部102について詳細に説明する。図2
は、多重化疑似階調処理部102の詳細構成を示すブロ
ック図である。同図において、10はCPU10a,R
OM10bおよびRAM10cなどからなる制御部であ
り、後述する各構成の動作および処理を制御する。特
に、CPU10aは、ROM10bに予め格納されプロ
グラムに従い、RAM10cをワークメモリとして後述
する多重化およびその関連処理の制御などを実行する。
201は多重化制御部であり、画像情報に多重化する情
報(以下、付加情報と称する)を入力して多重化を制御
する。202はノイズ除去部であり、画像情報中の突出
したノイズ成分を除去する。このノイズ除去方法は、周
知のフィルタリング技術によって実現できる。また、ノ
イズ成分のみならず、画像の高周波成分を除去するLP
F(ローパスフィルタ)を用いることも効果的である。
203は量子化部であり、付加情報が多重化された画像
情報に対して、後段の画像出力部103のプリンタエン
ジンにおいて出力可能な階調数への量子化を行なう。
尚、該量子化は疑似階調処理により行なうとする。20
4は多重化部であり、既に量子化の終了した量子化値の
パターンを参照して量子化条件を変更することにより、
付加情報の符号を多重化する。次に、多重化制御部20
1について詳細に説明する。図3は、多重化制御部20
1における制御処理の手順を示すフローチャートであ
る。ステップS301において、画像情報の縦方向の画素数
HEIGHT、横方向の画素数WIDTH、及び音声情報等の付加
情報の情報量(ビット数)Nを入力する。続いてステッ
プS302では、付加情報以外に多重化に必要な情報量αを
Nに加算し、N2として算出する。ここでαとしては、
多重化した場所を示すマーカコードや符号化条件等のヘ
ッダ情報、及び誤り訂正符号等の冗長性を付与した情
報、等が考えられる。次いでステップS303において、後
述する多重化対象ブロックのサイズを示す変数w,h
を、以下の式に基づいて算出する。 w = WIDTH ×N2^(-1/2) ・・・式1 b = HEIGHT×N2^(-1/2) ・・・式2 (ここで、^はべき乗を示し、例えば、a^bでaのb乗
を表す) 続いてステップS304において、算出したw,h共に、予
め設定した閾値thよりも大きいか否かを判定する。一
方でもth以下であれば、画像サイズに比べて付加情報
の情報量があまりにも大きいため、ステップS305にてエ
ラー表示を行なった後、処理を終了する。このthとし
ては、付加情報を多重化することにより画質的に大きく
劣化する臨界点を実験的に算出して決定しても良いし、
もちろん実際に多重化が不可能となる値を設定しても良
い。thの値がプリンタ等のエンジン特性に大きく影響
されることは言うまでもない。一方、ステップS304にお
いてw,h共にthよりも大きければ、ステップS306に
てw,hの値を多重化部203に出力し、処理を終了す
る。次に、量子化部203について詳細に説明する。図
4は、量子化部203の詳細構成を示すブロック図であ
る。量子化部203においては、誤差拡散処理を用いた
擬似階調処理を行なう。尚、一般的な誤差拡散処理の詳
細は、例えば文献「R.Floyd&L.Steinberg:“An Adaptiv
e Alogorithm for Spatial Grayscale”,SIDSymposium
Digest of Paper pp.36〜37(1975)」に記載されている
ため、ここでは詳細な説明を省略する。以下、量子化値
が2値である誤差拡散処理を例として説明する。図4に
おいて400は加算器を示し、入力された画像情報の注
目画素値と、既に2値化された周辺画素から分配された
量子化誤差が加算される。その加算結果と、多重化部2
04から送られてくる閾値THとを比較部401にて比
較し、閾値THよりも加算結果の方が大きい場合には
“1”を、それ以外では“0”を出力することにより、
量子化する。尚、例えば8ビット精度で画素の階調を表
現する場合には、最大値である“255”と最小値であ
る“0”で表現するのが一般的である。尚、量子化値が
“1”の時に記録用紙上にドット(インク、トナー等)
が印刷されるとする。402は減算器を示し、比較部4
01から出力された量子化結果と加算器400から出力
された加算結果との誤差を算出し、誤差配分演算部40
3に出力する。誤差配分演算部403においては、今後
の量子化処理が施される周辺画素に誤差を配分する。こ
の誤差の配分割合としては例えば、注目画素との相対的
な距離に基づいて実験的に設定された誤差の配分テーブ
ル404を予め所有しておき、配分テーブル404に記
された配分割合に基づいて、各画素に誤差を分配する。
上述したように量子化部203においては一般的な誤差
拡散処理を行なうが、比較部401に入力される閾値T
Hを変更することにより、量子化結果を制御することが
できる。例えば、量子化結果を強制的に“1”としたい
場合には、比較部401からの出力が“1”となるよう
に、閾値THの値を十分小さく設定すれば良い。この閾
値THの設定は、多重化部204において行われる。以
下、多重化部204における動作について詳細に説明す
る。多重化部204においては、既に量子化の終了した
量子化値のパターンを参照して、量子化部203に送信
すべき量子化閾値THを制御することにより、付加情報
の符号の多重化を実現する。図5は、多重化部204に
おける量子化閾値THの制御手順を示すフローチャート
である。ここでは、画像情報内のw×h画素より成るブ
ロック中に、1ビットの付加情報を埋め込む例について
説明する。尚、量子化値は2値であるとする。まずステ
ップS501において、w×h画素から成るブロック内の画
素値の分布状態を検知する。これは、ブロック内の全画
素、もしくはサブサンプリングした複数の画素を走査し
て、ブロック内がどのような画素値分布になっているか
を検出する。次にステップS502では、検出した画素値分
布に基づいて、付加情報を多重化する濃度域を決定す
る。ここでは、予め分類した濃度域毎に、付加情報を多
重化する優先順位を付しておくことが望ましい。例えば
8ビット(0〜255)の階調表現を行なう場合、予め
16ステップ単位程度のグループに濃度域を分類し、各
グループに対して、低濃度,高濃度,中濃度の順になる
ように、予め優先順位を付けておく。この例ではグルー
プ数も16グループになるため、順位1から16までの
各グループの優先順位をLUT(ルックアップテーブ
ル)等に設定しておくことになる。この順位付けはプリ
ンタのエンジン特性等を考慮して実験的に設定すれば良
い。当然、高濃度域の方が記録用紙上でのインクの滲み
等により付加情報の分離が困難となるため、低濃度域を
第1優先として付加情報を多重化することが好ましい。
このようにステップS502では、ブロック内を走査して、
最も高い優先順位の濃度域を多重化対象の濃度域として
決定する。次にステップS503において、多重化する符号
が“1”であるか“0”かを判定する。尚、ブロック内
に多重化する符号は1ビットである。多重化する符号が
“0”であればステップS504に、“1”であればステッ
プS505にそれぞれ処理が移行する。ステップS504,S505
では共に、注目画素周辺の既に2値化を終了した複数の
画素を参照するウインドウの適合パターンを設定する。
即ち、予め各多重化濃度域毎に登録されている複数の画
素値パターンの中から、ステップS502で決定した濃度域
のパターン(以後、対象パターンと称す)を設定する。
尚、予め登録されているパターンは、濃度域グループ毎
に2種類(符号“1”/“0”のそれぞれに相当)ずつ
存在するため、グループ数×2種類分のパターンが、予
めテーブル等に保持されている。従って、ステップS504
では該濃度域に対して予め登録されている符号“0”に
対応するパターンAを、また、ステップS505では同様に
符号“1”に対応するパターンBを、それぞれ対象パタ
ーンとして設定する。ここで、ステップS504,S505にお
いて参照されるウインドウの例を図6に示す。同図にお
いて、*印は注目画素、その他a,b,c,d,e,
f,g,hで示す各画素は、既に最終的な2値化を終了
した画素である。このウィンドウ内において参照される
画素は8画素であるため、該参照画素が取りうるパター
ンとしては8ビット分の組み合わせが存在する。また同
様に、対象パターンとして設定されるパターンA及びパ
ターンBの例を、図7に示す。同図において、各画素毎
の値“0”,“1”は量子化値を示し、“−”で示した
位置の画素については、その値が不問である。尚、図7
に示すパターン例は低濃度域のグループのものである。
図7の(a)はパターンAの例を示し、即ち、注目画素
の周辺画素の組み合わせ(上記ウィンドウに相当)が同
図のような配置である場合を、符号が“0”の時の対象
パターンとする。同様に、図7の(b)はパターンBの
例を示し、符号が“1”の時の対象パターンである。図
7より明らかなように、パターンAでは、水平方向直前
の画素において量子化値が“1”になっており、パター
ンBでは垂直方向直前の画素において量子化値が“1”
になっていることを特徴とする。従って本実施形態にお
いては、詳細は後述するが、ブロック内でパターンAの
画素配列が検出されれば水平方向に連続した量子化パタ
ーンが形成され、パターンBの画素配列が検出されれば
垂直方向に連続した量子化パターンが形成される。図5
に戻り、ステップS506では変数i,j,aを全て“0”
に初期化する。尚、iは垂直方向のアドレスをカウント
する変数、jは水平方向のアドレスをカウントする変
数、aは多重化のための閾値設定がなされたか否かを示
すフラグである。ステップS507でフラグaによって処理
を分岐し、フラグaが“0”であれば多重化のための閾
値は未設定であるため、ステップS508に進む。ステップ
S508においては、注目画素の値がステップS502で決定し
た多重化対象濃度域内であるか否かを判定する。注目画
素が該濃度域内であればステップS509に進み、既に2値
化を終了した複数の画素を参照するウインドウ内のパタ
ーンが、ステップS504又はS505で設定した対象パターン
に適合しているか否かを判定する。ここで、対象パター
ン(パターンA又はパターンB)に適合していればステ
ップS510に進み、閾値THをDに設定して量子化部20
3へ送出する。ここでDの値としては、強制的に量子化
部203における量子化出力が“1”となるべき値を設
定する。これにより即ち、ブロック内でパターンAの画
素配列が検出されれば水平方向に連続した量子化パター
ンが形成され、該量子化パターンをもって多重化された
“0”の符号を示す。一方、パターンBの画素配列が検
出されれば垂直方向に連続した量子化パターンが形成さ
れ、該量子化パターンをもって多重化された“1”の符
号を示す。一方、対象パターンに適合していなければス
テップS511において同様に閾値THをCに設定して量子
化部203に出力する。また、ステップS507及びS508に
て否と判定された場合にも、ステップS511において
閾値THをCに設定する。尚、Cの値としては通常の量
子化を行なうために、例えば“0”と“1”の各量子化
値の中間値となる“0.5”を設定することが一般的で
ある。また、画素値を8ビット表現とすれば、“12
8”が閾値Cに相当する。もちろん、閾値の値は各量子
化値の中間値に限定するものではない。そして、ステッ
プS510において閾値THがDと設定されて出力された場
合のみ、ステップS512においてフラグaに“1”を立て
ることにより、当該ブロックにおける多重化のための閾
値設定が終了したことを示す。続いて、ステップS513で
変数jの値をカウントアップして、水平方向のアドレス
を1列分ずらす。そしてステップS514において、変数j
がブロックの横方向の画素数であるw未満であるか否か
を判定する。否であれば即ち、水平方向のw画素分の処
理が終了したため、次にステップS515にて垂直方向の変
数iをカウントアップし、ステップS516にて縦方向の画
素数であるh行分の処理が終了したか否かを判定する。
否であれば即ち、未処理の行が残っているため、ステッ
プS507へ戻って一連の処理を繰り返す。以上説明したよ
うに多重化部204においては、図5のフローチャート
に示す一連の処理により、量子化部203へ出力する量
子化閾値THを制御する。これにより、画像情報のブロ
ック内で“1”もしくは“0”を示す付加情報の1ビッ
ト信号を多重化することが可能になる。尚、図5のフロ
ーチャートにおいては説明を容易にするために、閾値T
HがC及びDに設定された何れの場合にも出力を行なう
例について説明したが、付加情報の符号を埋め込む“T
H=D”の場合が、“TH=C”の場合よりも圧倒的に
少なければ、量子化部203において閾値THの初期値
としてCを設定しておくことも有効である。即ち、多重
化部204においては“TH=D”になる画素の時の
み、量子化部203に対して切り替わり信号を発生し、
量子化部203では該信号を受けた時のみ、閾値THと
してDを用いて量子化処理を実行し、それ以外の画素に
ついてはCによる量子化を行なえば良い。尚、図5に示
した量子化閾値制御処理において、ウインドウ内のパタ
ーンが対象パターンに適合せず、ブロック内の走査が終
了してしまう可能性がある。つまり、当該ブロックにお
いて閾値変更による多重化が実現されないことが発生し
うる。このような場合にはブロックの終端部において、
復号可能なように量子化値を組み合わて符号を表現する
ことにより、多重化を実現する方法が現実的には好まし
い。また、対象濃度域を次の優先順位の濃度域グループ
に変更して、ブロック内を再走査して多重化を試みる方
法や、多重化する符号を次のブロックへ先送りする方法
等、様々な方法が考えられる。また、ブロックサイズを
示すw,hの決定方法としては、上述した式1,式2に
限定されない。式1,式2によれば、画像の縦横比に応
じてブロックを形成することになるが、例えば疑似階調
処理におけるブロック内走査を考慮して、横方向に長
く、縦方向に短くなるようなw、hを設定しても良い
し、また、正方ブロックを形成しても良い。以上、本実
施形態における多重化処理を行なう構成について説明し
たが、本実施形態の思想は、疑似階調処理では通常発生
し得ないテクスチャを量子化値の組み合わせにより人工
的に作成し、そのテクスチャの有無により1ビットの符
号を表現している点にある。一般に誤差拡散法は、非常
に独特なテクスチャが発生する量子化方法として知られ
ている。従来より、視覚的に不快感を覚える鎖状につな
がるテクスチャの発生が、誤差拡散法の大きな問題点と
されてきた。そのため、その不快なテクスチャを発生さ
せないための提案も数多くなされてきた。しかしなが
ら、テクスチャの発生要因を解析すると、テクスチャの
パターンの中には、発生しうるテクスチャと発生し得な
いテクスチャとがある。例えば、誤差の配分テーブル4
04として図8に示す拡散マトリクスを想定すると、*
印で示す注目画素直前の画素が“1”に量子化された場
合、負の量子化誤差が発生するために、隣接した注目画
素は“1”に量子化されづらくなる。従って本実施形態
によって付加された符号を復号する際には、例えば低濃
度域(ハイライト)の平坦部であるということが検知で
きれば、水平方向に隣合った画素が共に“1”になるよ
うな量子化値のパターンは通常有り得ないため、該パタ
ーンが検出されればそれを符号として認識することがで
きる。ここで、一般にドットが連続して印刷されること
により形成されたテクスチャは、360dpi程度の低
解像のインクジェットプリンタで記録用紙上に印刷した
場合でも非常に目立ちづらく、肉眼では全く視覚的な妨
害にはならない。しかし、高解像度の画像読取装置であ
ればドットがつながって印刷されていることが鮮明に検
知できるため、埋め込まれた符号を復号することが容易
に可能である。このように、記録用紙上に形成されるテ
クスチャを任意に制御することができれば、視覚的には
違和感なく符号を埋め込むことが可能である。これは、
誤差拡散法の有する周波数特性が、或る固定の周波数に
ピークをもつものではなく、広帯域のハイパスフィルタ
になっているためである。それに対して、短い周期で規
則的に繰り返される組織的ディザ法では、テクスチャを
任意に制御することは困難である。組織的ディザ法で
は、ディザ周期に基づく固定周波数に非常に大きな電力
を有するため、そのピークを持つ周波数以外の帯域に情
報を埋め込んだ場合には、視覚的に違和感が生じ、画質
劣化につながってしまう。尚、以上は低濃度域における
テクスチャについて説明したが、低濃度域以外の中、高
濃度域においても同様に、該当する濃度域では発生し得
ないテクスチャを人工的に作成することにより、任意の
符号を埋め込むことが可能である。即ち、復号側におい
て、その判別できうる濃度域で、該当する濃度域には発
生し得ないテクスチャのパターンを符号であると認識し
て復号することができれば良い。以下、画像情報に対し
て実際に本実施形態による付加情報の多重化を行なった
例を示す。図9は、記録用紙上に3種類の画像を出力し
た例を示す図である。これら3種類の画像を画像A、画
像B、画像Cとし、それぞれ同一の画像サイズであると
する。以下、この3種類の画像それぞれに、画像に関連
する音声情報を多重化する場合について考える。尚、画
像A,B,Cに多重化する音声情報の情報量を、それぞ
れ4キロバイト(kB),1kB,9kBとする。ま
た、説明を容易にするために、ヘッダ情報やマーカコー
ド、誤り訂正符号等による情報量の増加については無視
するものとする。この場合、画像サイズが同一で、多重
化する音声情報の情報量の比が、A:B:Cにおいて
4:1:9であるため、音声情報の符号1ビットが多重
化されるブロックの面積比は、1/4:1:1/9とな
る。このブロックの面積比の様子を図10に示す。図1
0において、各画像内の四角で囲まれた領域が、各画像
において1ビットの符号が多重化される1ブロックを示
す。当然、多重化する情報量がもっとも多い画像Cが、
1ブロックの面積がもっとも小さく、従って符号の多重
化による画質劣化がもっとも深刻となる。即ち、多重化
する情報量の増加に伴って、画質劣化の可能性が大きく
なることが分かる。このことから本実施形態において、
多重化ブロックのサイズ(w×h)に対して、画質劣化
の臨界点として予め実験的に得られた値(th)に基づ
く制限を設けることの必要性が分かる。以上説明したよ
うに本実施形態によれば、通常発生し得ないテクスチャ
によって符号を表現することにより、画像情報に対して
画質劣化を抑制しつつ、付加情報をその情報量や画像情
報のサイズに応じて多重化することが可能となる。ま
た、画像情報に対して例えば音声情報等の大容量の付加
情報を多重化することが容易に実現できるため、画質劣
化を極力低減しつつ、記録用紙上で音声情報を流通させ
たり、また、画像中に秘匿情報を混入させたりすること
が容易に可能となる。 <第2実施形態>以下、本発明に係る第2実施形態につ
いて説明する。第2実施形態における画像処理システム
の構成は、上述した第1実施形態で示した図1及び図2
と同様であり、多重化制御部201における動作が異な
るのみであるため、詳細な説明を省略する。第2実施形
態においては、画像形成時の色成分であるイエロー
(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック
(K)の4成分のそれぞれに対して、付加情報の多重化
を行なうことを特徴とする。従って、画像出力部103
としてカラー出力を行なう装置を適用する際に非常に有
効となる。図11は、第2実施形態の多重化制御部20
1における制御処理を示すフローチャートである。ステ
ップS1101において、画像情報の縦方向の画素数HEIGH
T、横方向の画素数WIDTH、及び音声情報等の付加情報の
情報量(ビット数)Nを入力する。続いてステップS110
2では、付加情報以外に多重化に必要な情報量αをNに
加算し、N2として算出する。ここでαとしては、多重
化した場所を示すマーカコードや符号化条件等のヘッダ
情報、及び誤り訂正符号等の冗長性を付与した情報、等
が考えられる。次いでステップS1103において、画像情
報内で取りうる一辺がthである正方格子の数を示す変
数Mを、以下の式に基づいて算出する。 M=INT(WIDHT/th)×INT(HEIGHT/th) ・・・式3 尚、式3においてINTは整数値を表し、小数部について
は切り捨てるとする。このMは即ち、WIDTH×HEIGHTの
画像サイズ内において配列可能な、thの値を一辺とし
た正方格子ブロックの数を示している。尚、thとして
は、付加情報を多重化することにより画質的に大きく劣
化する臨界点を実験的に算出して決定しても良いし、も
ちろん実際に多重化が不可能になる値を設定しても良
い。即ち、Mは多重化の限界である最大ブロック数であ
り、1ブロック内に1ビットの多重化を行なう場合、全
Mビットまでの情報しか多重化できないことになる。続
いてステップS1104において、情報量N2とMとの比較を
行う。ここでN2の方が小さければ、ステップS1105にお
いてY成分に関する以下の設定を行う。 w_Y = h_Y = th ・・・式4 ここでw_Y及びh_Yは、それぞれY成分多重化時のブ
ロックの横画素数と縦画素数を示す。一方、ステップS1
104でN2の方がMよりも大きければステップS1106に進
み、今度はN2をMの2倍と比較する。ここでN2の方が
小さければ、2色による多重化が可能であるためステッ
プS1107に進み、Y成分に関するw_Y,h_Yの設定に
加えて、更にM成分に関する以下の設定が行われる。 w_M = h_M = ((WIDTH×HEIGHT)/(N2−M))^(1/2) ・・・式5 ここでw_Y及びh_Yは、それぞれM成分多重化時のブ
ロックの横画素数と縦画素数を示す。また、w_Y及び
h_Yの設定はステップS1105と同様である。ステップS1
107においては即ち、Y成分で最大数の多重化ブロック
を作成し、それでも多重化できない残りの情報量につい
ては、M成分に多重化する。この時、M成分のブロック
サイズ(w_M,h_M)は、Y成分多重化時のブロック
サイズ(w_Y,h_Y)よりも大きくなるので、M成分に
おいては多重化による画質劣化が小さくて済む。一方、
ステップS1106においてN2の方が2×Mよりも大きけれ
ばステップS1108に進み、今度はN2をMの3倍と比較す
る。ここでN2の方が小さければ、3色による多重化が
可能であるためステップS1109に進み、Y成分に関する
w_Y,h_Yの設定に加えて、更にM成分、及びC成分
に関する以下の設定が行われる。 w_M = h_M = th ・・・式6 w_C = h_C = ((WIDTH×HEIGHT)/(N2−2×M))^(1/2) ・・・式7 ここでw_C及びh_Cは、それぞれC成分多重化時のブ
ロックの横画素数と縦画素数を示す。また、w_Y及び
h_Yの設定はステップS1105と同様であり、w_M及び
h_Mの設定は、w_Y及びh_Yと同様にthの値が代
入される。ステップS1109においては即ち、Y,Mの両
成分においては最小のブロックを作成して限界まで多重
化を行い、それでもまだ多重化できない情報に関して
は、C成分に多重化する。一方、ステップS1108におい
てN2の方が3×Mよりも大きければ、ステップS1110に
おいてエラー表示がなされた後、処理を終了する。この
ように第2実施形態においては、画像を形成する各色成
分に優先順位を付し、画質劣化の限界まで多重化を行な
うことを特徴とする。一般に、Y,M,C,Kの4成分
によりカラー画像を形成する際には、Y成分が視覚的な
感度がもっとも低い。第2実施形態における多重化方法
は第1実施形態と同様に、誤差拡散法のテクスチャに情
報を混入させる方式であるために、視覚的な画質劣化は
はとんど無いが、それでも感度の低い色材で多重化を行
なうことがより好ましい。そこで第2実施形態において
は、Yを第1優先として、M,Cの順に多重化を実行す
る。当然、付加する情報量が画像サイズに比べて小さい
場合には、少ない色材のみで多重化を実現できるが、情
報量の増加に伴い、多重化処理をする色材が増えること
になる。尚、図11に示すフローチャートにおいては、
K成分に対する多重化処理を省略したが、もちろんK成
分で多重化を実施しても良い。また、色材の優先順位は
これに限るものではない。例えば、インクジェットプリ
ンタにおいて使用される染料濃度を薄めた淡インク等、
視覚的感度がより低いと思われる色材に対してはより高
い優先順位を付せば良い。また第2実施形態において
は、多重化ブロックとして縦方向と横方向の画素数が同
じである正方格子を例として説明したが、もちろん多重
化ブロックの形状は正方に限るものではない。以上説明
したように第2実施形態によれば、複数色成分からなる
画像に対して、所定の優先順位に従って、色成分毎に画
質劣化の限界まで付加情報を多重化する。従って、画質
劣化を最小限に留めつつ、より多くの付加情報を多重化
することが可能となる。尚、上述した第1及び第2実施
形態においては、音声情報を多重化する例について説明
したが、本発明において多重化対象となる情報はこれに
限るものではない。また本発明は、多重化処理の制御が
付加する情報量に連動することを特徴とし、上述した各
実施形態で説明した制御方法に限定されるものではな
い。また、量子化値の組み合わせによりテクスチャの形
状を変化させることにより付加情報を多重化する方法と
しても、閾値変更以外に様々な方法が考えられる。ま
た、本発明の多重化方法は疑似階調処理のテクスチャを
用いているため、当然、1ビットの多重化を行なう場合
にも複数画素を参照する必要があり、また、誤差拡散法
の閾値変更は、注目画素以降の複数画素の2値化結果に
も影響を及ぼすことになる。そのため、1ブロック形成
のための最小画素数は、上述したように、テクスチャと
して視覚的に目立たないように、実験的に最適な値を算
出することが好ましい。また、上記各実施形態において
は、付加情報及び画像情報に応じて多重化条件を制御す
る例について説明したが、この多重化条件もヘッダ情報
として多重化して送信することは当然である。受信側で
は、このヘッダ情報に記載された多重化条件に基づい
て、付加情報と画像情報との分離を行うことになる。ま
た本発明では、付加情報の情報量が既定値よりも多くな
るとエラー表示を行なう例について説明したが、例えば
既定値以上になると他の多重化方式を実行するというハ
イブリッド制御を行なうことも非常に有効である。
【他の実施形態】なお、本発明は、複数の機器(例えば
ホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プ
リンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一
つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ
装置など)に適用してもよい。また、本発明の目的は、
前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプロ
グラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)
を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムある
いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体
に格納されたプログラムコードを読み出し実行すること
によっても、達成されることは言うまでもない。この場
合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が
前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプ
ログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成する
ことになる。また、コンピュータが読み出したプログラ
ムコードを実行することにより、前述した実施形態の機
能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指
示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーテ
ィングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部
を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実
現される場合も含まれることは言うまでもない。さら
に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コ
ンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータ
に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込ま
れた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機
能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実
際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前
述した実施形態の機能が実現される場合も含まれること
は言うまでもない。本発明を上記記憶媒体に適用する場
合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに
対応するプログラムコードが格納されることになる。
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、誤
差拡散法の原理的なテクスチャ発生を符号埋め込みに利
用し、更に付加情報の情報量や画像サイズに応じて多重
化条件を制御することにより、画像情報に対して画質劣
化を抑制しつつ大量の付加情報を多重化することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態における画像処理シス
テムの概要構成を示すブロック図、
【図2】本実施形態における多重化疑似階調処理部の詳
細構成を示すブロック図、
【図3】本実施形態における多重化制御部の動作手順を
示すフローチャート、
【図4】本実施形態における量子化部の詳細構成を示す
ブロック図、
【図5】本実施形態における多重化部の動作手順を示す
フローチャート、
【図6】本実施形態における既2値化情報のウインドウ
の一例を示す図、
【図7】本実施形態における対象パターンの一例を示す
図、
【図8】誤差拡散法における拡散マトリクスの一例を示
す図、
【図9】本実施形態によって形成された画像例を示す
図、
【図10】形成画像におけるブロック分割の様子を示す
図、
【図11】本発明に係る第2実施形態における多重化制
御部の動作手順を示すフローチャート、
【図12】従来の多重化処理の一例を示すブロック図、
【図13】従来の多重化処理の一例を示すブロック図、
である。
【符号の説明】
102 多重化擬似階調処理部 103 画像出力部 104 画像入力部 105 多重情報分離部 201 多重化制御部 202 ノイズ除去部 203 量子化部 204 多重化部 400 加算器 401 比較部 402 減算器 403 誤差配分演算部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年4月21日(1999.4.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像処理装置及びそ
の方法に関し、特に画像情報に対して付加情報を多重化
する画像処理装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、画像情報中に、画像に関連の
ある他の情報を多重化する研究が盛んに行われている。
【0003】近年では、電子透かし技術と称し、写真、
絵画等の画像情報中に、その著作者名や、使用許可の可
否等の付加情報を視覚的に判別しづらい様に多重化した
上で、インターネット等のネットワークを介して流通さ
せる技術が標準化されつつある。
【0004】また、他の応用分野としては、複写機やプ
リンタ等の画像形成装置の高画質化に伴い、紙幣や印紙
等の有価証券の不正な偽造を防止する目的において、記
録紙上に出力された画像から出力機器種別、及び、その
機体番号を特定する為に、画像中に付加情報を埋め込む
技術が知られている。
【0005】例えば、特開平7−123244では、視
覚的に感度の低い色差成分、及び彩度成分の高周波域に
付加情報を埋め込むことにより情報の多重化を行う技術
が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の多重化技術には、以下に示す問題がある。
【0007】図12は、従来の付加情報の埋め込み方法
を模式的に示す図である。同図によれば、画像情報Aと
付加情報Bが加算器1201を介して多重化されること
により、多重化情報Cが生成される。加算器1201に
おいては、画像情報Aの実空間上で加算を行なっても良
いし、画像情報Aをフーリエ変換等を用いて周波数領域
に変換した後、付加情報Bを高周波域等に合成しても良
い。
【0008】このようにして生成された多重化情報C
を、各種フィルタリング等の画像処理や非可逆圧縮等の
符号化を施すことなくネットワーク上を流通させること
が可能であれば、多重化情報Cから付加情報Bを復号す
ることは、従来においても容易に可能である。また、例
えばインターネット上で流通する画像情報は、多少のノ
イズ耐性があれば、エッジ強調や平滑化等、画質向上の
ためのデジタルフィルタを通しても復号が可能である。
【0009】ここで、画像形成装置が単色あたり2階調
から数階調程度の表現能力しか有していない場合を想定
する。近年、インクジェットプリンタは、染料濃度を薄
くしたインクを有したり、出力するドット径を可変制御
したりすることにより、単色あたり数階調表現を可能と
する装置が知られているが、それでも疑似階調処理を用
いない限りは、画像を写真調に表現することはできな
い。
【0010】図17は、従来の付加情報の多重化に際
し、擬似階調処理を行なう例を模式的に示す図である。
即ち、図16に示す構成に対して更に、疑似階調処理1
701によって多重化情報Cを量子化情報Dに変換し、
その後、プリンタ出力1702によって記録用紙上に印
刷出力することにより、非常に劣化した紙上情報Eが得
られる。
【0011】従って、上述した偽造防止の目的の為に、
記録用紙上の情報から付加情報を復号するということは
即ち、図17に示す一連の処理後の紙上情報Eから付加
情報Bを復号するということになる。しかしながら、擬
似階調処理1701及びプリンタ出力1702の両処理
による画像情報の変化量は非常に大きい。従って、付加
情報を視覚的に判別できないように多重化し、かつ、多
重化した付加情報を記録用紙上から正しく復号するとい
うことは、非常に困難なことである。
【0012】上述した特開平7−123244に記載さ
れた多重化技術においては、画像の高周波域に情報を付
加させている。しかしながら後段の疑似階調処理におい
て誤差拡散法を実施した場合には、誤差拡散法特有のハ
イパスフィルタの特性により、付加情報の帯域が誤差拡
散で発生するテクスチャの帯域に埋没してしまい、復号
が困難となってしまう恐れが多分にある。また、正確な
復号のためには非常に精度の高いスキャナ装置が必要と
なる。
【0013】即ち、疑似階調処理が前提である場合に
は、図17に示す多重化方式は適さないことがわかる。
言い換えると、疑似階調処理の特性を大きく活かした付
加情報の多重化方式が必要である。
【0014】付加情報の多重化と疑似階調処理の冗長性
とを結び付けた例として、特許第2640939号、第
2777800号がある。
【0015】前者は、組織的ディザにて2値化を行なう
際に、同一階調を表すディザマトリクスの中からいづれ
か一つを選定することによって、画像信号中に付加デー
タを混入するものである。しかし、組織的ディザ法で
は、高解像の、しかも機械的精度の非常に優れたプリン
タで無い限り、写真調の高画質出力は困難である。多少
の機械的精度のずれが横筋等の低周波ノイズとして発生
し、紙上で容易に視覚されてしまうからである。また、
ディザマトリクスを周期的に変化させると、規則的に配
列されていたデイザにより発生する特定周波数の帯域が
乱され、画質的に悪影響を及ぼしてしまう。また、復号
側においても、原信号である画像情報の画素値が不明な
状態で、いかなるディザマトリクスで2値化されたかを
推測して復号を行なわねばならず、正確な復号は困難で
あった。
【0016】また、後者は、カラーのディザパターン法
を用いて、その配列により付加情報を多重化する方法を
示している。この方法でも前者と同様、ディザマトリク
スの切り換えによる画質劣化は避けられない。また、前
者と比べて、より多くの付加情報を多重化できる代わり
に、色成分の配列を変化させることによる色見の変化を
もたらし、特に平坦部において画質劣化が大きくなる。
また、復号も更に困難になることが予想される。
【0017】いずれにしても、ディザマトリクスを変化
させる両者の方法では、画質劣化が大きい割に、復号が
困難であるという問題点を有している。
【0018】また、特に音声情報等の大量の情報を画像
中に埋め込む方法としては、例えば特許第283397
5号に記載されている方法がある。これは、音声情報を
所謂2次元バーコードと称されるドットコードに変換
し、画像の余白部や画像の内部に印字するものである。
【0019】しかしながらこの方法は、画像情報に対し
て付加情報であるドットコードを多重化しているもので
はなく、また、付加情報(ドットコード)を視認されづ
らくしているものでもない。唯一、ドットコード視認さ
れづらく工夫している例として、透明塗料を使用してコ
ードを画像中に埋め込む例が記載されているが、特殊な
インクを必要とするためコストアップを招くのみなら
ず、当然、記録用紙上に出力された画像は当然画質劣化
してしまう。
【0020】本発明は上記問題を解決するためになされ
たものであり、画像情報に対して画質劣化を抑制しつつ
大量の付加情報の多重化を可能とする画像処理装置及び
その方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。
【0022】即ち、画像情報に対して付加情報を多重化
する画像処理装置であって、前記画像情報の注目画素を
疑似階調処理により量子化する量子化手段と、前記注目
画素を含む複数画素の量子化値によって前記付加情報を
示す特定パターンを形成することにより、前記付加情報
を多重化する多重化手段と、前記多重化手段において形
成される前記特定パターンを前記付加情報の情報量に応
じて制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0023】例えば、前記特定パターンは、前記量子化
手段では発生し得ないパターンであることを特徴とす
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る好適な実施形態について詳細に説明する。尚、各実施
形態における画像処理装置は、主として、プリンタエン
ジンへ出力すべき画像情報を作成するコンピュータ内の
プリンタドライバソフトとして内蔵することが効率的で
あるが、複写機、ファクシミリ、プリンタ本体等にハー
ドウエア、及びソフトウエアとして内蔵することも効果
がある。
【0025】<発明の概要>本発明は、画像情報に対し
て画質劣化を抑制しつつ、大量の付加情報の多重化を可
能とすることを目的としている。
【0026】画質劣化を抑制して付加情報を多重化する
方法として、本出願人は、誤差拡散法によって生じるテ
クスチャを利用し、通常の疑似階調処理では発生し得な
い量子化値のパターンを人工的に作成することにより、
付加情報の符号を多重化する方法を見出している。
【0027】この方法によれば、テクスチャの形状が微
視的に変化するのみであるため、視覚的には画質劣化が
認められない。また、誤差拡散法の量子化閾値を変更す
ることによって上記パターンを作成することにより、面
積階調の濃度値も視覚的に保たれるため、極めて容易に
異種信号の多重化が実現できる。
【0028】しかしながら、上記誤差拡散法のテクスチ
ャを利用した多重化方法においては、多重化する付加情
報は主として機種名や機種番号等のインデックス情報で
あることが前提となっていた。即ち、埋め込むべき情報
量が画像情報に比べて非常に小さい場合が想定されてい
た。そのため、情報量の多い例えば音声情報等を多重化
する場合を考えると、画像中に全ての付加情報を多重化
することが困難となるおそれがある。
【0029】そこで本発明においては、大量の付加情報
をも多重化可能とするために、画質劣化の許容限界とな
る多重化ブロックサイズを予め実験的に算出した値に基
づいて算出しておく。そして、該ブロックサイズ内で1
ビットの多重化を行なうことにより、付加情報のサイズ
及び画像サイズに応じた多重化処理を実現した。
【0030】以下、本発明に係る好適な実施形態につい
て説明する。
【0031】<第1実施形態>本発明に係る第1実施形
態においては、画像情報に対して音声情報を多重化する
例について説明する。
【0032】図1は、本実施形態における画像処理シス
テムの概要構成を示すブロック図である。同図におい
て、破線で囲んだブロック100は送信システムを示
し、同じくブロック101は受信システムを示す。
【0033】送信システム100において、102は多
重化疑似階調処理部であり、入力された画像情報と、そ
の画像中に埋め込むべき音声情報とを多重化する手段で
ある。多重化擬似階調処理部102においては、多重化
と疑似階調処理とを同時に実行するため、即ち、目的の
異なる二種の処理を一度に実現する。尚、この多重化疑
似階調処理についての詳細は後述する。多重化疑似階調
処理された情報は、画像出力部103においてプリンタ
等の出力機器により記録用紙等の媒体上に出力される。
以下、記録用紙上に出力された情報を紙上情報と称す
る。
【0034】この紙上情報は、例えば遠隔地等にある送
信相手側に送られる。紙上情報を受け取った受信システ
ム101では、画像情報と音声情報の2種の情報を記録
用紙上の画像として受信することになる。
【0035】受信システム101において、104は画
像入力部であり、画像読み取り装置等によって紙上情報
を入力する。この画像読み取り装置としては、サンプリ
ング定理により、画像出力部103で用いられたプリン
タ解像度の2倍以上の解像度を有していることが好まし
い。105は多重情報分離部であり、入力された画像情
報に多重化されている多重情報を分離して、独立した音
声情報を得る手段である。分離された音声情報は、受信
システム101内の不図示の再生装置等によって、再生
することが可能になる。
【0036】次に、本実施形態の特徴である多重化疑似
階調処理部102について詳細に説明する。
【0037】図2は、多重化疑似階調処理部102の詳
細構成を示すブロック図である。同図において、10は
CPU10a,ROM10bおよびRAM10cなどか
らなる制御部であり、後述する各構成の動作および処理
を制御する。特に、CPU10aは、ROM10bに予
め格納されプログラムに従い、RAM10cをワークメ
モリとして後述する多重化およびその関連処理の制御な
どを実行する。
【0038】201は多重化制御部であり、画像情報に
多重化する情報(以下、付加情報と称する)を入力して
多重化を制御する。202はノイズ除去部であり、画像
情報中の突出したノイズ成分を除去する。このノイズ除
去方法は、周知のフィルタリング技術によって実現でき
る。また、ノイズ成分のみならず、画像の高周波成分を
除去するLPF(ローパスフィルタ)を用いることも効
果的である。203は量子化部であり、付加情報が多重
化された画像情報に対して、後段の画像出力部103の
プリンタエンジンにおいて出力可能な階調数への量子化
を行なう。尚、該量子化は疑似階調処理により行なうと
する。204は多重化部であり、既に量子化の終了した
量子化値のパターンを参照して量子化条件を変更するこ
とにより、付加情報の符号を多重化する。
【0039】次に、多重化制御部201について詳細に
説明する。図3は、多重化制御部201における制御処
理の手順を示すフローチャートである。
【0040】ステップS301において、画像情報の縦方向
の画素数HEIGHT、横方向の画素数WIDTH、及び音声情報
等の付加情報の情報量(ビット数)Nを入力する。続い
てステップS302では、付加情報以外に多重化に必要な情
報量αをNに加算し、N2として算出する。ここでαと
しては、多重化した場所を示すマーカコードや符号化条
件等のヘッダ情報、及び誤り訂正符号等の冗長性を付与
した情報、等が考えられる。次いでステップS303におい
て、後述する多重化対象ブロックのサイズを示す変数
w,hを、以下の式に基づいて算出する。
【0041】 w = WIDTH ×N2^(-1/2) ・・・式1 b = HEIGHT×N2^(-1/2) ・・・式2 (ここで、^はべき乗を示し、例えば、a^bでaのb乗
を表す) 続いてステップS304において、算出したw,h共に、予
め設定した閾値thよりも大きいか否かを判定する。一
方でもth以下であれば、画像サイズに比べて付加情報
の情報量があまりにも大きいため、ステップS305にてエ
ラー表示を行なった後、処理を終了する。このthとし
ては、付加情報を多重化することにより画質的に大きく
劣化する臨界点を実験的に算出して決定しても良いし、
もちろん実際に多重化が不可能となる値を設定しても良
い。thの値がプリンタ等のエンジン特性に大きく影響
されることは言うまでもない。
【0042】一方、ステップS304においてw,h共にt
hよりも大きければ、ステップS306にてw,hの値を多
重化部203に出力し、処理を終了する。
【0043】次に、量子化部203について詳細に説明
する。図4は、量子化部203の詳細構成を示すブロッ
ク図である。量子化部203においては、誤差拡散処理
を用いた擬似階調処理を行なう。尚、一般的な誤差拡散
処理の詳細は、例えば文献「R.Floyd&L.Steinberg:“An
Adaptive Alogorithm for Spatial Grayscale”,SIDSy
mposium Digest of Paper pp.36〜37(1975)」に記載さ
れているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】以下、量子化値が2値である誤差拡散処理
を例として説明する。
【0045】図4において400は加算器を示し、入力
された画像情報の注目画素値と、既に2値化された周辺
画素から分配された量子化誤差が加算される。その加算
結果と、多重化部204から送られてくる閾値THとを
比較部401にて比較し、閾値THよりも加算結果の方
が大きい場合には“1”を、それ以外では“0”を出力
することにより、量子化する。尚、例えば8ビット精度
で画素の階調を表現する場合には、最大値である“25
5”と最小値である“0”で表現するのが一般的であ
る。尚、量子化値が“1”の時に記録用紙上にドット
(インク、トナー等)が印刷されるとする。
【0046】402は減算器を示し、比較部401から
出力された量子化結果と加算器400から出力された加
算結果との誤差を算出し、誤差配分演算部403に出力
する。誤差配分演算部403においては、今後の量子化
処理が施される周辺画素に誤差を配分する。この誤差の
配分割合としては例えば、注目画素との相対的な距離に
基づいて実験的に設定された誤差の配分テーブル404
を予め所有しておき、配分テーブル404に記された配
分割合に基づいて、各画素に誤差を分配する。
【0047】上述したように量子化部203においては
一般的な誤差拡散処理を行なうが、比較部401に入力
される閾値THを変更することにより、量子化結果を制
御することができる。例えば、量子化結果を強制的に
“1”としたい場合には、比較部401からの出力が
“1”となるように、閾値THの値を十分小さく設定す
れば良い。
【0048】この閾値THの設定は、多重化部204に
おいて行われる。以下、多重化部204における動作に
ついて詳細に説明する。多重化部204においては、既
に量子化の終了した量子化値のパターンを参照して、量
子化部203に送信すべき量子化閾値THを制御するこ
とにより、付加情報の符号の多重化を実現する。
【0049】図5は、多重化部204における量子化閾
値THの制御手順を示すフローチャートである。ここで
は、画像情報内のw×h画素より成るブロック中に、1
ビットの付加情報を埋め込む例について説明する。尚、
量子化値は2値であるとする。
【0050】まずステップS501において、w×h画素か
ら成るブロック内の画素値の分布状態を検知する。これ
は、ブロック内の全画素、もしくはサブサンプリングし
た複数の画素を走査して、ブロック内がどのような画素
値分布になっているかを検出する。
【0051】次にステップS502では、検出した画素値分
布に基づいて、付加情報を多重化する濃度域を決定す
る。ここでは、予め分類した濃度域毎に、付加情報を多
重化する優先順位を付しておくことが望ましい。例えば
8ビット(0〜255)の階調表現を行なう場合、予め
16ステップ単位程度のグループに濃度域を分類し、各
グループに対して、低濃度,高濃度,中濃度の順になる
ように、予め優先順位を付けておく。この例ではグルー
プ数も16グループになるため、順位1から16までの
各グループの優先順位をLUT(ルックアップテーブ
ル)等に設定しておくことになる。この順位付けはプリ
ンタのエンジン特性等を考慮して実験的に設定すれば良
い。当然、高濃度域の方が記録用紙上でのインクの滲み
等により付加情報の分離が困難となるため、低濃度域を
第1優先として付加情報を多重化することが好ましい。
【0052】このようにステップS502では、ブロック内
を走査して、最も高い優先順位の濃度域を多重化対象の
濃度域として決定する。
【0053】次にステップS503において、多重化する符
号が“1”であるか“0”かを判定する。尚、ブロック
内に多重化する符号は1ビットである。多重化する符号
が“0”であればステップS504に、“1”であればステ
ップS505にそれぞれ処理が移行する。
【0054】ステップS504,S505では共に、注目画素周
辺の既に2値化を終了した複数の画素を参照するウイン
ドウの適合パターンを設定する。即ち、予め各多重化濃
度域毎に登録されている複数の画素値パターンの中か
ら、ステップS502で決定した濃度域のパターン(以後、
対象パターンと称す)を設定する。尚、予め登録されて
いるパターンは、濃度域グループ毎に2種類(符号
“1”/“0”のそれぞれに相当)ずつ存在するため、
グループ数×2種類分のパターンが、予めテーブル等に
保持されている。従って、ステップS504では該濃度域に
対して予め登録されている符号“0”に対応するパター
ンAを、また、ステップS505では同様に符号“1”に対
応するパターンBを、それぞれ対象パターンとして設定
する。
【0055】ここで、ステップS504,S505において参照
されるウインドウの例を図6に示す。同図において、*
印は注目画素、その他a,b,c,d,e,f,g,h
で示す各画素は、既に最終的な2値化を終了した画素で
ある。このウィンドウ内において参照される画素は8画
素であるため、該参照画素が取りうるパターンとしては
8ビット分の組み合わせが存在する。
【0056】また同様に、対象パターンとして設定され
るパターンA及びパターンBの例を、図7に示す。同図
において、各画素毎の値“0”,“1”は量子化値を示
し、“−”で示した位置の画素については、その値が不
問である。尚、図7に示すパターン例は低濃度域のグル
ープのものである。図7の(a)はパターンAの例を示
し、即ち、注目画素の周辺画素の組み合わせ(上記ウィ
ンドウに相当)が同図のような配置である場合を、符号
が“0”の時の対象パターンとする。同様に、図7の
(b)はパターンBの例を示し、符号が“1”の時の対
象パターンである。
【0057】図7より明らかなように、パターンAで
は、水平方向直前の画素において量子化値が“1”にな
っており、パターンBでは垂直方向直前の画素において
量子化値が“1”になっていることを特徴とする。従っ
て本実施形態においては、詳細は後述するが、ブロック
内でパターンAの画素配列が検出されれば水平方向に連
続した量子化パターンが形成され、パターンBの画素配
列が検出されれば垂直方向に連続した量子化パターンが
形成される。
【0058】図5に戻り、ステップS506では変数i,
j,aを全て“0”に初期化する。尚、iは垂直方向の
アドレスをカウントする変数、jは水平方向のアドレス
をカウントする変数、aは多重化のための閾値設定がな
されたか否かを示すフラグである。
【0059】ステップS507でフラグaによって処理を分
岐し、フラグaが“0”であれば多重化のための閾値は
未設定であるため、ステップS508に進む。ステップS508
においては、注目画素の値がステップS502で決定した多
重化対象濃度域内であるか否かを判定する。注目画素が
該濃度域内であればステップS509に進み、既に2値化を
終了した複数の画素を参照するウインドウ内のパターン
が、ステップS504又はS505で設定した対象パターンに適
合しているか否かを判定する。
【0060】ここで、対象パターン(パターンA又はパ
ターンB)に適合していればステップS510に進み、閾値
THをDに設定して量子化部203へ送出する。ここで
Dの値としては、強制的に量子化部203における量子
化出力が“1”となるべき値を設定する。これにより即
ち、ブロック内でパターンAの画素配列が検出されれば
水平方向に連続した量子化パターンが形成され、該量子
化パターンをもって多重化された“0”の符号を示す。
一方、パターンBの画素配列が検出されれば垂直方向に
連続した量子化パターンが形成され、該量子化パターン
をもって多重化された“1”の符号を示す。
【0061】一方、対象パターンに適合していなければ
ステップS511において同様に閾値THをCに設定して量
子化部203に出力する。また、ステップS507及びS508
にて否と判定された場合にも、ステップS511におい
て閾値THをCに設定する。尚、Cの値としては通常の
量子化を行なうために、例えば“0”と“1”の各量子
化値の中間値となる“0.5”を設定することが一般的
である。また、画素値を8ビット表現とすれば、“12
8”が閾値Cに相当する。もちろん、閾値の値は各量子
化値の中間値に限定するものではない。
【0062】そして、ステップS510において閾値THが
Dと設定されて出力された場合のみ、ステップS512にお
いてフラグaに“1”を立てることにより、当該ブロッ
クにおける多重化のための閾値設定が終了したことを示
す。
【0063】続いて、ステップS513で変数jの値をカウ
ントアップして、水平方向のアドレスを1列分ずらす。
そしてステップS514において、変数jがブロックの横方
向の画素数であるw未満であるか否かを判定する。否で
あれば即ち、水平方向のw画素分の処理が終了したた
め、次にステップS515にて垂直方向の変数iをカウント
アップし、ステップS516にて縦方向の画素数であるh行
分の処理が終了したか否かを判定する。否であれば即
ち、未処理の行が残っているため、ステップS507へ戻っ
て一連の処理を繰り返す。
【0064】以上説明したように多重化部204におい
ては、図5のフローチャートに示す一連の処理により、
量子化部203へ出力する量子化閾値THを制御する。
これにより、画像情報のブロック内で“1”もしくは
“0”を示す付加情報の1ビット信号を多重化すること
が可能になる。
【0065】尚、図5のフローチャートにおいては説明
を容易にするために、閾値THがC及びDに設定された
何れの場合にも出力を行なう例について説明したが、付
加情報の符号を埋め込む“TH=D”の場合が、“TH
=C”の場合よりも圧倒的に少なければ、量子化部20
3において閾値THの初期値としてCを設定しておくこ
とも有効である。即ち、多重化部204においては“T
H=D”になる画素の時のみ、量子化部203に対して
切り替わり信号を発生し、量子化部203では該信号を
受けた時のみ、閾値THとしてDを用いて量子化処理を
実行し、それ以外の画素についてはCによる量子化を行
なえば良い。
【0066】尚、図5に示した量子化閾値制御処理にお
いて、ウインドウ内のパターンが対象パターンに適合せ
ず、ブロック内の走査が終了してしまう可能性がある。
つまり、当該ブロックにおいて閾値変更による多重化が
実現されないことが発生しうる。このような場合にはブ
ロックの終端部において、復号可能なように量子化値を
組み合わて符号を表現することにより、多重化を実現す
る方法が現実的には好ましい。また、対象濃度域を次の
優先順位の濃度域グループに変更して、ブロック内を再
走査して多重化を試みる方法や、多重化する符号を次の
ブロックへ先送りする方法等、様々な方法が考えられ
る。
【0067】また、ブロックサイズを示すw,hの決定
方法としては、上述した式1,式2に限定されない。式
1,式2によれば、画像の縦横比に応じてブロックを形
成することになるが、例えば疑似階調処理におけるブロ
ック内走査を考慮して、横方向に長く、縦方向に短くな
るようなw、hを設定しても良いし、また、正方ブロッ
クを形成しても良い。
【0068】以上、本実施形態における多重化処理を行
なう構成について説明したが、本実施形態の思想は、疑
似階調処理では通常発生し得ないテクスチャを量子化値
の組み合わせにより人工的に作成し、そのテクスチャの
有無により1ビットの符号を表現している点にある。
【0069】一般に誤差拡散法は、非常に独特なテクス
チャが発生する量子化方法として知られている。従来よ
り、視覚的に不快感を覚える鎖状につながるテクスチャ
の発生が、誤差拡散法の大きな問題点とされてきた。そ
のため、その不快なテクスチャを発生させないための提
案も数多くなされてきた。
【0070】しかしながら、テクスチャの発生要因を解
析すると、テクスチャのパターンの中には、発生しうる
テクスチャと発生し得ないテクスチャとがある。例え
ば、誤差の配分テーブル404として図8に示す拡散マ
トリクスを想定すると、*印で示す注目画素直前の画素
が“1”に量子化された場合、負の量子化誤差が発生す
るために、隣接した注目画素は“1”に量子化されづら
くなる。従って本実施形態によって付加された符号を復
号する際には、例えば低濃度域(ハイライト)の平坦部
であるということが検知できれば、水平方向に隣合った
画素が共に“1”になるような量子化値のパターンは通
常有り得ないため、該パターンが検出されればそれを符
号として認識することができる。
【0071】ここで、一般にドットが連続して印刷され
ることにより形成されたテクスチャは、360dpi程
度の低解像のインクジェットプリンタで記録用紙上に印
刷した場合でも非常に目立ちづらく、肉眼では全く視覚
的な妨害にはならない。しかし、高解像度の画像読取装
置であればドットがつながって印刷されていることが鮮
明に検知できるため、埋め込まれた符号を復号すること
が容易に可能である。
【0072】このように、記録用紙上に形成されるテク
スチャを任意に制御することができれば、視覚的には違
和感なく符号を埋め込むことが可能である。これは、誤
差拡散法の有する周波数特性が、或る固定の周波数にピ
ークをもつものではなく、広帯域のハイパスフィルタに
なっているためである。
【0073】それに対して、短い周期で規則的に繰り返
される組織的ディザ法では、テクスチャを任意に制御す
ることは困難である。組織的ディザ法では、ディザ周期
に基づく固定周波数に非常に大きな電力を有するため、
そのピークを持つ周波数以外の帯域に情報を埋め込んだ
場合には、視覚的に違和感が生じ、画質劣化につながっ
てしまう。
【0074】尚、以上は低濃度域におけるテクスチャに
ついて説明したが、低濃度域以外の中、高濃度域におい
ても同様に、該当する濃度域では発生し得ないテクスチ
ャを人工的に作成することにより、任意の符号を埋め込
むことが可能である。即ち、復号側において、その判別
できうる濃度域で、該当する濃度域には発生し得ないテ
クスチャのパターンを符号であると認識して復号するこ
とができれば良い。
【0075】以下、画像情報に対して実際に本実施形態
による付加情報の多重化を行なった例を示す。図9は、
記録用紙上に3種類の画像を出力した例を示す図であ
る。これら3種類の画像を画像A、画像B、画像Cと
し、それぞれ同一の画像サイズであるとする。以下、こ
の3種類の画像それぞれに、画像に関連する音声情報を
多重化する場合について考える。尚、画像A,B,Cに
多重化する音声情報の情報量を、それぞれ4キロバイト
(kB),1kB,9kBとする。また、説明を容易に
するために、ヘッダ情報やマーカコード、誤り訂正符号
等による情報量の増加については無視するものとする。
【0076】この場合、画像サイズが同一で、多重化す
る音声情報の情報量の比が、A:B:Cにおいて4:
1:9であるため、音声情報の符号1ビットが多重化さ
れるブロックの面積比は、1/4:1:1/9となる。
このブロックの面積比の様子を図10に示す。図10に
おいて、各画像内の四角で囲まれた領域が、各画像にお
いて1ビットの符号が多重化される1ブロックを示す。
当然、多重化する情報量がもっとも多い画像Cが、1ブ
ロックの面積がもっとも小さく、従って符号の多重化に
よる画質劣化がもっとも深刻となる。即ち、多重化する
情報量の増加に伴って、画質劣化の可能性が大きくなる
ことが分かる。
【0077】このことから本実施形態において、多重化
ブロックのサイズ(w×h)に対して、画質劣化の臨界
点として予め実験的に得られた値(th)に基づく制限
を設けることの必要性が分かる。
【0078】以上説明したように本実施形態によれば、
通常発生し得ないテクスチャによって符号を表現するこ
とにより、画像情報に対して画質劣化を抑制しつつ、付
加情報をその情報量や画像情報のサイズに応じて多重化
することが可能となる。
【0079】また、画像情報に対して例えば音声情報等
の大容量の付加情報を多重化することが容易に実現でき
るため、画質劣化を極力低減しつつ、記録用紙上で音声
情報を流通させたり、また、画像中に秘匿情報を混入さ
せたりすることが容易に可能となる。
【0080】<第2実施形態>以下、本発明に係る第2
実施形態について説明する。
【0081】第2実施形態における画像処理システムの
構成は、上述した第1実施形態で示した図1及び図2と
同様であり、多重化制御部201における動作が異なる
のみであるため、詳細な説明を省略する。第2実施形態
においては、画像形成時の色成分であるイエロー
(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック
(K)の4成分のそれぞれに対して、付加情報の多重化
を行なうことを特徴とする。従って、画像出力部103
としてカラー出力を行なう装置を適用する際に非常に有
効となる。
【0082】図11は、第2実施形態の多重化制御部2
01における制御処理を示すフローチャートである。
【0083】ステップS1101において、画像情報の縦方
向の画素数HEIGHT、横方向の画素数WIDTH、及び音声情
報等の付加情報の情報量(ビット数)Nを入力する。続
いてステップS1102では、付加情報以外に多重化に必要
な情報量αをNに加算し、N2として算出する。ここで
αとしては、多重化した場所を示すマーカコードや符号
化条件等のヘッダ情報、及び誤り訂正符号等の冗長性を
付与した情報、等が考えられる。
【0084】次いでステップS1103において、画像情報
内で取りうる一辺がthである正方格子の数を示す変数
Mを、以下の式に基づいて算出する。
【0085】 M=INT(WIDHT/th)×INT(HEIGHT/th) ・・・式3 尚、式3においてINTは整数値を表し、小数部について
は切り捨てるとする。
【0086】このMは即ち、WIDTH×HEIGHTの画像サイ
ズ内において配列可能な、thの値を一辺とした正方格
子ブロックの数を示している。尚、thとしては、付加
情報を多重化することにより画質的に大きく劣化する臨
界点を実験的に算出して決定しても良いし、もちろん実
際に多重化が不可能になる値を設定しても良い。即ち、
Mは多重化の限界である最大ブロック数であり、1ブロ
ック内に1ビットの多重化を行なう場合、全Mビットま
での情報しか多重化できないことになる。
【0087】続いてステップS1104において、情報量N2
とMとの比較を行う。ここでN2の方が小さければ、ス
テップS1105においてY成分に関する以下の設定を行
う。
【0088】 w_Y = h_Y = th ・・・式4 ここでw_Y及びh_Yは、それぞれY成分多重化時のブ
ロックの横画素数と縦画素数を示す。
【0089】一方、ステップS1104でN2の方がMよりも
大きければステップS1106に進み、今度はN2をMの2倍
と比較する。ここでN2の方が小さければ、2色による
多重化が可能であるためステップS1107に進み、Y成分
に関するw_Y,h_Yの設定に加えて、更にM成分に関
する以下の設定が行われる。
【0090】 w_M = h_M = ((WIDTH×HEIGHT)/(N2−M))^(1/2) ・・・式5 ここでw_Y及びh_Yは、それぞれM成分多重化時のブ
ロックの横画素数と縦画素数を示す。また、w_Y及び
h_Yの設定はステップS1105と同様である。ステップS1
107においては即ち、Y成分で最大数の多重化ブロック
を作成し、それでも多重化できない残りの情報量につい
ては、M成分に多重化する。この時、M成分のブロック
サイズ(w_M,h_M)は、Y成分多重化時のブロック
サイズ(w_Y,h_Y)よりも大きくなるので、M成分に
おいては多重化による画質劣化が小さくて済む。
【0091】一方、ステップS1106においてN2の方が2
×Mよりも大きければステップS1108に進み、今度はN2
をMの3倍と比較する。ここでN2の方が小さければ、
3色による多重化が可能であるためステップS1109に進
み、Y成分に関するw_Y,h_Yの設定に加えて、更に
M成分、及びC成分に関する以下の設定が行われる。
【0092】 w_M = h_M = th ・・・式6 w_C = h_C = ((WIDTH×HEIGHT)/(N2−2×M))^(1/2) ・・・式7 ここでw_C及びh_Cは、それぞれC成分多重化時のブ
ロックの横画素数と縦画素数を示す。また、w_Y及び
h_Yの設定はステップS1105と同様であり、w_M及び
h_Mの設定は、w_Y及びh_Yと同様にthの値が代
入される。ステップS1109においては即ち、Y,Mの両
成分においては最小のブロックを作成して限界まで多重
化を行い、それでもまだ多重化できない情報に関して
は、C成分に多重化する。
【0093】一方、ステップS1108においてN2の方が3
×Mよりも大きければ、ステップS1110においてエラー
表示がなされた後、処理を終了する。
【0094】このように第2実施形態においては、画像
を形成する各色成分に優先順位を付し、画質劣化の限界
まで多重化を行なうことを特徴とする。
【0095】一般に、Y,M,C,Kの4成分によりカ
ラー画像を形成する際には、Y成分が視覚的な感度がも
っとも低い。第2実施形態における多重化方法は第1実
施形態と同様に、誤差拡散法のテクスチャに情報を混入
させる方式であるために、視覚的な画質劣化ははとんど
無いが、それでも感度の低い色材で多重化を行なうこと
がより好ましい。そこで第2実施形態においては、Yを
第1優先として、M,Cの順に多重化を実行する。当
然、付加する情報量が画像サイズに比べて小さい場合に
は、少ない色材のみで多重化を実現できるが、情報量の
増加に伴い、多重化処理をする色材が増えることにな
る。
【0096】尚、図11に示すフローチャートにおいて
は、K成分に対する多重化処理を省略したが、もちろん
K成分で多重化を実施しても良い。また、色材の優先順
位はこれに限るものではない。例えば、インクジェット
プリンタにおいて使用される染料濃度を薄めた淡インク
等、視覚的感度がより低いと思われる色材に対してはよ
り高い優先順位を付せば良い。
【0097】また第2実施形態においては、多重化ブロ
ックとして縦方向と横方向の画素数が同じである正方格
子を例として説明したが、もちろん多重化ブロックの形
状は正方に限るものではない。
【0098】以上説明したように第2実施形態によれ
ば、複数色成分からなる画像に対して、所定の優先順位
に従って、色成分毎に画質劣化の限界まで付加情報を多
重化する。従って、画質劣化を最小限に留めつつ、より
多くの付加情報を多重化することが可能となる。
【0099】尚、上述した第1及び第2実施形態におい
ては、音声情報を多重化する例について説明したが、本
発明において多重化対象となる情報はこれに限るもので
はない。
【0100】また本発明は、多重化処理の制御が付加す
る情報量に連動することを特徴とし、上述した各実施形
態で説明した制御方法に限定されるものではない。ま
た、量子化値の組み合わせによりテクスチャの形状を変
化させることにより付加情報を多重化する方法として
も、閾値変更以外に様々な方法が考えられる。
【0101】また、本発明の多重化方法は疑似階調処理
のテクスチャを用いているため、当然、1ビットの多重
化を行なう場合にも複数画素を参照する必要があり、ま
た、誤差拡散法の閾値変更は、注目画素以降の複数画素
の2値化結果にも影響を及ぼすことになる。そのため、
1ブロック形成のための最小画素数は、上述したよう
に、テクスチャとして視覚的に目立たないように、実験
的に最適な値を算出することが好ましい。
【0102】また、上記各実施形態においては、付加情
報及び画像情報に応じて多重化条件を制御する例につい
て説明したが、この多重化条件もヘッダ情報として多重
化して送信することは当然である。受信側では、このヘ
ッダ情報に記載された多重化条件に基づいて、付加情報
と画像情報との分離を行うことになる。
【0103】また本発明では、付加情報の情報量が既定
値よりも多くなるとエラー表示を行なう例について説明
したが、例えば既定値以上になると他の多重化方式を実
行するというハイブリッド制御を行なうことも非常に有
効である。
【0104】
【他の実施形態】なお、本発明は、複数の機器(例えば
ホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プ
リンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一
つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ
装置など)に適用してもよい。
【0105】また、本発明の目的は、前述した実施形態
の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記
録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるい
は装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュ
ータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログ
ラムコードを読み出し実行することによっても、達成さ
れることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読
み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の
機能を実現することになり、そのプログラムコードを記
憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、
コンピュータが読み出したプログラムコードを実行する
ことにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけ
でなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピ
ュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)
などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理に
よって前述した実施形態の機能が実現される場合も含ま
れることは言うまでもない。
【0106】さらに、記憶媒体から読み出されたプログ
ラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カー
ドやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わ
るメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示
に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備
わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、そ
の処理によって前述した実施形態の機能が実現される場
合も含まれることは言うまでもない。
【0107】本発明を上記記憶媒体に適用する場合、そ
の記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応す
るプログラムコードが格納されることになる。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、誤
差拡散法の原理的なテクスチャ発生を符号埋め込みに利
用し、更に付加情報の情報量や画像サイズに応じて多重
化条件を制御することにより、画像情報に対して画質劣
化を抑制しつつ大量の付加情報を多重化することが可能
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5B057 AA11 CA01 CA07 CA12 CB01 CB07 CB12 CC02 CE13 CE20 CG07 DB06 DB08 5C076 AA14 5C077 LL14 MP08 NN11 PP31 PP68 PQ30

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像情報に対して付加情報を多重化する
    画像処理装置であって、 前記画像情報の注目画素を疑似階調処理により量子化す
    る量子化手段と、 前記注目画素を含む複数画素の量子化値によって前記付
    加情報を示す特定パターンを形成することにより、前記
    付加情報を多重化する多重化手段と、 前記多重化手段において形成される前記特定パターンを
    前記付加情報の情報量に応じて制御する制御手段と、を
    有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 【請求項2】 前記特定パターンは、前記量子化手段で
    は発生し得ないパターンであることを特徴とする請求項
    1記載の画像処理装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記特定パターンの多
    重化間隔を前記付加情報の情報量に応じて制御すること
    を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記特定パターンをひ
    とつ多重化する前記画像情報のブロックサイズを前記付
    加情報の情報量に応じて制御することを特徴とする請求
    項3記載の画像処理装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記付加情報の情報量
    の増加に従って前記特定パターンをひとつ多重化する前
    記画像情報のブロックサイズが小さくなるように制御す
    ることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
  6. 【請求項6】 前記画像情報は複数色成分からなり、 前記制御手段は、前記特定パターンの多重化対象色成分
    を前記付加情報の情報量に応じて制御することを特徴と
    する請求項1記載の画像処理装置。
  7. 【請求項7】 前記制御手段は、前記付加情報の情報量
    の増加に従って前記多重化対象色成分の数を増やすよう
    に制御することを特徴とする請求項6記載の画像処理装
    置。
  8. 【請求項8】 前記制御手段は、視覚感度の低い色成分
    から順次優先順位を付し、該優先順位に基づいて前記多
    重化対象色成分を制御することを特徴とする請求項6記
    載の画像処理装置。
  9. 【請求項9】 前記制御手段は、前記特定パターンをひ
    とつ多重化する前記画像情報のブロックサイズを、視覚
    感度の低い色成分ほど小さくなるように制御することを
    特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
  10. 【請求項10】 前記多重化手段は、前記量子化手段に
    より既に量子化された周辺画素及び前記付加情報に基づ
    いて前記量子化手段における量子化条件を制御すること
    により、前記特定パターンを形成することを特徴とする
    請求項1記載の画像処理装置。
  11. 【請求項11】 前記多重化手段は、前記量子化手段に
    おける疑似階調処理の際の量子化閾値を制御することを
    特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
  12. 【請求項12】 画像情報に対して付加情報を多重化す
    る画像処理方法であって、 前記画像情報の注目画素を疑似階調処理により量子化す
    る量子化工程と、 前記注目画素を含む複数画素の量子化値によって前記付
    加情報を示す特定パターンを制御する制御する制御工程
    と、 前記特定パターンを形成することにより、前記付加情報
    を多重化する多重化工程と、を有することを特徴とする
    画像処理方法。
  13. 【請求項13】 画像情報に対して付加情報を多重化す
    る画像処理のプログラムコードを記録した記録媒体であ
    って、該プログラムコードは少なくとも、 前記画像情報の注目画素を疑似階調処理により量子化す
    る量子化工程のコードと、 前記注目画素を含む複数画素の量子化値によって前記付
    加情報を示す特定パターンを制御する制御する制御工程
    のコードと、 前記特定パターンを形成することにより、前記付加情報
    を多重化する多重化工程のコードと、を有することを特
    徴とする記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007104176A (ja) * 2005-10-03 2007-04-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd 画像合成装置および画像照合装置、画像合成方法ならびに画像合成プログラム
JP2007189676A (ja) * 2005-12-14 2007-07-26 Toyohashi Univ Of Technology テクスチャ画像への情報埋め込み方法および情報読み込み方法ならびにテクスチャ画像への情報埋め込み装置および情報読み込み装置
CN109447886A (zh) * 2018-10-08 2019-03-08 陕西师范大学 结合emd-21嵌入的带恢复多载体密图分存方法

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