JP2000284303A - 液晶装置の製造方法 - Google Patents

液晶装置の製造方法

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JP2000284303A
JP2000284303A JP8695499A JP8695499A JP2000284303A JP 2000284303 A JP2000284303 A JP 2000284303A JP 8695499 A JP8695499 A JP 8695499A JP 8695499 A JP8695499 A JP 8695499A JP 2000284303 A JP2000284303 A JP 2000284303A
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plastic film
liquid crystal
crystal device
manufacturing
film substrate
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Hiroyuki Hosogaya
裕之 細萱
Shinji Fujisawa
信治 藤澤
Yoshiaki Otsuki
芳明 大月
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックフィルムを用いて構成される液
晶装置に関して、互いに貼り合わされる一対の基板間に
組ズレが発生することを防止する。 【解決手段】 一方の基板がプラスチックフィルム基板
である液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法で
ある。硬質のガラス支持部材2に粘着された状態のプラ
スチックフィルム4に対して、電極形成工程及び配向膜
焼成工程を含むプラスチックフィルム基板形成工程を実
行する。配向膜焼成工程後のプラスチックフィルムの変
形を考慮して、電極形成工程によって形成される電極パ
ターンに関して予め正規寸法から補正を加えておく。プ
ラスチックフィルム4からガラス支持部材2を剥離する
とプラスチックフィルム4は収縮するが、その収縮後の
電極パターンの寸法が正規寸法に一致する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の基板間に封
止した液晶の配向を制御することによって文字、数字、
絵柄等といった像を表示する液晶装置の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶装置は、一般に、一対の基板の間に
形成されるセルギャップ内に液晶を封止して成る構成を
有し、その液晶に印加する電圧を画素ごとに制御するこ
とにより、上記一対の基板の少なくとも一方を通して数
字、文字、絵柄等といった像を表示する。
【0003】この液晶装置において一対の基板は、多く
の場合、硬質部材であるガラスや可撓性部材であるプラ
スチックによって形成される。ここで、プラスチック
は、ガラスに比べて破損し難く、軽量である等といった
利点を有するものの、剛性が低くていわゆる腰が無いの
で、折り曲げられた際に各種成膜形成された電極、配向
膜、絶縁膜等に亀裂が生じて破損したり、また平坦に保
持すること及び強固に保持することが難しく、よって、
プラスチックフィルムを用いて液晶装置の基板を形成す
ることはガラスを用いる場合に比べて困難であった。
【0004】この製造上の困難性を緩和するため、特開
平7−324297号公報及び特開平9−105896
号公報によれば、液晶装置用の基板を形成するために必
要となる各種工程を、粘着層によってガラス支持部材上
に粘着させた状態のプラスチックフィルムに対して実行
し、それらの工程が終了した後に、その粘着層に紫外線
を照射してその粘着力を低下させた上でガラス支持部材
をプラスチックフィルムから剥離するという方法が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の液晶装置の製造方法で用いられるプラスチックフィ
ルム積層体に関しては、加熱処理を含む各種の工程を経
た後に不要となったガラス支持部材をプラスチックフィ
ルムから剥離すると、プラスチックフィルムに変形、例
えば収縮が発生して、液晶装置のプラスチックフィルム
基板に寸法誤差が発生するおそれがあった。
【0006】このような寸法誤差が発生すると、一対の
プラスチックフィルム基板を互いに組み合わせるとき又
はプラスチックフィルム基板とガラス基板とを互いに組
み合わせるとき等において、組み付けられるそれらの基
板間にズレ、いわゆる組ズレが発生して液晶装置の品質
が低下するという問題がある。
【0007】本発明は、上記の問題点に鑑みて成された
ものであって、プラスチックフィルムを用いて構成され
る液晶装置に関して一対の基板間に組ズレが発生するの
を防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)上記の目的を達成
するため、本発明に係る第1の液晶装置の製造方法は、
一対の基板間に液晶を封止して成り、少なくとも一方の
基板がプラスチックフィルム基板である液晶装置を製造
するための液晶装置の製造方法であって、支持部材と、
該支持部材の表面に形成された粘着層と、該粘着層によ
って前記支持部材に粘着される前記プラスチックフィル
ム基板とを有して構成されるプラスチックフィルム積層
体の前記プラスチックフィルム基板に対して、電極パタ
ーンを形成する電極形成工程と加熱処理工程とを有する
液晶装置の製造方法において、前記電極形成工程におい
て前記加熱処理工程後に生じるプラスチックフィルム基
板の熱変形量を考慮して該プラスチックフィルム基板に
前記電極パターンを正規寸法に対して補正を加えた寸法
で形成することを特徴とする。
【0009】上記構成において、「電極パターンの正規
寸法」とは、一対の基板を互いに組み付ける時点でそれ
らの基板上に形成される電極パターンに要求される寸法
のことである。また、「加熱処理工程」としては、主と
して配向膜を焼成するための配向膜焼成工程が考えられ
る。また、その配向膜焼成工程に加えてシール材を焼成
するための焼成工程を含めて考えることもできる。ま
た、製造上それら以外の加熱処理が必要となる場合に
は、そのような加熱処理も含めて考えることができる。
【0010】本発明の液晶装置においては、一対の基板
の両方がプラスチックフィルム基板のこともあるし、そ
れらの一方がプラスチックフィルム基板で他方がガラス
基板であることもある。いずれの場合でも、プラスチッ
クフィルム基板を製造する際には、プラスチックフィル
ムに電極形成工程、配向膜形成工程、ラビング工程、そ
の他の必要工程を施すことによってプラスチックフィル
ム基板が製造される。
【0011】電極形成工程によってプラスチックフィル
ム上に所定パターンの電極を形成する際には、その電極
パターンを初めから正規寸法に形成するのではなく、プ
ラスチックフィルム積層体に加熱処理を施した後にプラ
スチックフィルムから支持部材を剥離するときに発生す
るプラスチックフィルムの変形を考慮に入れた上で、正
規寸法に補正を加えた寸法で電極パターンを形成する。
【0012】例えば、プラスチックフィルム積層体内の
プラスチックフィルムの表面に配向膜材料を成膜し、さ
らに120℃、2時間程度の焼成、すなわち加熱処理を
行い、その後にプラスチックフィルムから支持部材を剥
離すると、プラスチックフィルムは一般に収縮する。こ
のような状況が考えられる場合、本発明では、電極パタ
ーンの正規寸法にそのような熱収縮量を加えた寸法とな
るように電極形成工程において電極パターンを予め拡大
した寸法で形成する。
【0013】こうすれば、プラスチックフィルムに電極
パターンを形成し、さらに加熱処理を施し、その後にプ
ラスチックフィルムから支持部材を剥離したとき、プラ
スチックフィルムには熱収縮が発生するが、そのプラス
チックフィルム上の電極パターンはその熱収縮後におい
て正規寸法に一致する。従って、この状態で一対の基板
を組み付けて、すなわち貼り合わせて液晶パネルを作製
すれば、一対の基板間で組ズレのない希望通りの液晶パ
ネルを作製することができる。
【0014】(2) 次に、本発明に係る第2の液晶装
置の製造方法は、一対の基板間に液晶を封止して成り、
少なくとも一方の基板がプラスチックフィルム基板であ
る液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法であっ
て、支持部材と、該支持部材の表面に形成された粘着層
と、該粘着層によって前記支持部材に粘着される前記プ
ラスチックフィルム基板とを有して構成されるプラスチ
ックフィルム積層体の前記プラスチックフィルム基板に
対して、電極パターンを形成する電極形成工程と加熱処
理工程とを有する液晶装置の製造方法において、前記電
極形成工程では前記プラスチックフィルム基板の熱収縮
率に基づいて該プラスチックフィルム基板に前記電極パ
ターンを正規寸法に対して補正を加えた寸法で形成する
ことを特徴とする。
【0015】(3) さらに、本発明に係る第3の液晶
装置の製造方法は、一対の基板間に液晶を封止して成
り、少なくとも一方の基板がプラスチックフィルム基板
である液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法で
あって、支持部材と、該支持部材の表面に形成された粘
着層と、該粘着層によって前記支持部材に粘着される前
記プラスチックフィルム基板とを有して構成されるプラ
スチックフィルム積層体の前記プラスチックフィルム基
板に対して、電極パターンを形成する電極形成工程と加
熱処理工程とを有する液晶装置の製造方法において、前
記電極形成工程では前記プラスチックフィルム基板の前
記電極パターンの寸法を、前記プラスチックフィルム基
板と他方の基板との熱収縮率の違いによるそれらの基板
の寸法変化に対応した長さで形成することを特徴とす
る。
【0016】(4) 上記構成の各液晶装置の製造方法
において、プラスチックフィルムは図8に符号4で示す
ように、複数例えば30〜35個程度の液晶パネル分の
電極パターンPを形成できる大きさに形成できる。この
ような場合、前記電極形成工程では複数の液晶パネル分
の電極パターンP間の間隔D1及びD2に関して正規寸
法に対して補正を加えることもできるし、あるいは、液
晶パネル1個分の電極パターンPの内部のパターンに対
して補正を加えることもできる。
【0017】しかしながら、通常の液晶パネルの組立作
業を考えれば、個々の電極パターンの内部パターンに補
正を加えることよりも、各電極パターンP間の間隔D
1,D2に補正を加える方が簡単であり、また、組ズレ
を防止するという目的を達成するためにはそのような電
極パターン間での寸法補正でも十分である。
【0018】なお、各電極パターンP間に補正を加える
ことに代えて、個々の電極パターンPの内部に補正を加
える場合には、内部のパターン間隔を広めたり狭めたり
することや、パターンの線幅を太くしたり細くしたりす
る等といった具体的な補正手法が考えられる。
【0019】(5) 上記構成の各液晶装置の製造方法
において、前記電極形成工程はマスクパターンを通して
行われる露光処理を含むフォトリソグラフィー法を用い
て行うことができる。そしてその場合、電極パターンに
関する前記の補正は前記露光処理における露光位置の調
整によって行うことができる。この調整は、例えば、マ
スクパターンの寸法に補正を加えることによって達成で
きる。
【0020】(6) 上記構成の各液晶装置の製造方法
において、前記プラスチックフィルム基板形成工程は前
記加熱処理工程として配向膜焼成工程を含むことができ
る。そしてその場合、前記電極パターンに関する補正
は、少なくともこの配向膜焼成工程後におけるプラスチ
ックフィルムの変形を考慮して行うことができる。
【0021】(7) 上記構成の各液晶装置の製造方法
は、一対の基板の一方がプラスチックフィルム基板で、
他方がガラス基板であるような液晶装置を製造するため
に用いることができる。このような液晶装置を製造する
際には、プラスチックフィルム基板が熱変形、例えば熱
収縮し易く、一方、ガラス基板が熱変形し難いので、両
者の間で組ズレが発生し易い。従って、このような液晶
装置に関して本発明の製造方法を適用すれば、プラスチ
ックフィルム基板とガラス基板との間で組ズレが発生す
ることを防止する上で特に好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本発明に係る液
晶装置の製造方法を説明するのに先立って、この製造方
法によって製造する液晶装置について説明すれば、この
液晶装置は、例えば図4に示す液晶パネル12にバック
ライト等といった照明装置や、液晶駆動用IC等といっ
た各種の付帯機器を装着することによって形成されるも
のである。
【0023】この液晶パネル12は、一対の基板13a
及び13bが対向して両基板の周辺をシール材14によ
って互いに接合し、シール材14によって囲まれた基板
の間に形成されるセルギャップ内に液晶を封入すること
によって形成される。各基板13a及び13bはそれぞ
れ次のように、すなわち、ベースとなる基板素材の互い
に対向される側の表面に所定パターンの電極16a及び
16bを形成し、それらの電極上に配向膜や絶縁膜を形
成し、さらにそれらの配向膜にラビング処理を施す等と
いった各種の必要工程を経て形成される。また、各基板
13a及び13bの外側表面には偏光板17a及び17
bが貼着され、さらに場合によっては、いずれかの基板
の内側表面にカラーフィルタが形成される。
【0024】なお、電極16a及び16bは、実際には
狭い間隔で多数本がそれぞれの基板13a及び13bの
表面全域に形成されるが、図4では構造をわかり易く示
すために実際の間隔よりも広い間隔でそれらの電極を図
示し、さらに一部分の電極の図示は省略してある。ま
た、電極16a及び16bは、直線状に形成されること
に限られず、適宜のパターン状に形成されることもあ
る。
【0025】図4の液晶パネル12を構成する一対の基
板13a及び13bは、それらの一方又は両方がプラス
チックフィルムを基板素材として形成される。以下、液
晶装置の製造方法について説明するが、本実施形態で
は、一方の基板がプラスチックフィルムを用いて形成さ
れ、他方の基板がガラスを用いて形成されるものとす
る。
【0026】まず、プラスチックフィルムを基板素材と
するプラスチックフィルム基板は、図5に示すようなプ
ラスチックフィルム積層体1に含まれるプラスチックフ
ィルム4に対して各種の必要工程を実行することによっ
て形成される。このプラスチックフィルム積層体1は、
硬質の支持部材2と、その上に層状に形成された粘着層
3と、その粘着層3によって支持部材2の表面に粘着さ
れたプラスチックフィルム4と、そしてそのプラスチッ
クフィルム4の表面に成膜されたパターニングのされて
いない厚さ一様な電極層、いわゆるベタ電極6とを有す
る。
【0027】このように、プラスチックフィルム4を支
持部材2によって支持した状態でプラスチックフィルム
4に対して各種の工程を実行するのは、可撓性があるプ
ラスチックフィルム4を製造過程中に平坦に且つ強固に
支持するためである。なお、電極6は、例えば、スパッ
タリング法その他の周知の成膜法を用いてITO(Indi
um Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)等によって形成
される。
【0028】支持部材2は例えばガラスによって、適宜
の大きさ、例えば330mm×220mm程度の大きさ
の長方形状に形成される。この大きさは、図4に示す液
晶パネル12を複数個例えば30〜35個程度同時に形
成できる大きさに相当する。プラスチックフィルム4
は、例えば図6に示すように、ベース層7の表裏両面に
ガスバリヤ層8を成膜し、さらにそれらの表面に表面層
9を成膜することによって形成される。
【0029】ベース層7は、例えばポリカーボネート
(PC)、ポリアクリレート(PAr)又はポリエーテ
ルサルホン(PES)等によって形成される。また、ガ
スバリヤ層8は、例えばエチレンビニルアルコール(E
VA)、ポリビニルアルコール(PVA)又はSiO
等によって形成される。また、表面層9は、表面硬度を
高めたり、耐薬品性を高めたり、電極の密着性を高めた
りするために形成されるものであり、例えば、エポキシ
樹脂等によって形成される。
【0030】図5において、粘着層3は単層に形成する
こともできるし、あるいは、図7に示しような多層構造
の両面粘着テープ11によって構成することもできる。
この両面粘着テープ11は、ベース層23の表裏両面に
粘着剤24a及び24bを設けることによって構成され
る。本実施形態の粘着層3はそれが単層である場合に
は、その単層全体が例えば紫外線照射によって粘着力が
低下又は0(ゼロ)となる性質を有するアクリル系樹脂
によって形成される。また、粘着層3が図7のような両
面粘着テープ11によって形成される場合には、粘着剤
24a及び24bの少なくとも一方が、例えば紫外線照
射によって粘着力が低下又は0(ゼロ)となる性質を有
するアクリル系樹脂によって形成される。
【0031】以上のようなプラスチックフィルム積層体
1に対しては、以下の通りにフォトリソグラフィー法を
用いて電極形成工程が実行される。まず、図1の工程P
1においてその全体が洗浄される。そして次に、工程P
2においてレジスト処理前の紫外線洗浄を行う。具体的
には、波長254nm〜365nmで露光量250mj
/cm以上の紫外線をプラスチックフィルム積層体1
に照射して該積層体1の洗浄を行う。このとき、本実施
形態の積層体1で用いる粘着層3は、上記の波長及び露
光量の紫外線照射によってはその粘着力が低下しないこ
とが望ましい。
【0032】次に、ベタ電極6の表面にレジスト18を
一様に塗布してさらに焼成し(工程P3)、さらにマス
クパターン19を通して紫外線を照射してレジスト18
に所定パターンの潜像を形成する(工程P4)。このと
きの紫外線の波長は254nm〜365nmで露光量は
110〜200mj/cm以上である。本実施形態の
積層体1で用いる粘着層3は、この工程P4で用いる波
長及び露光量の紫外線照射によっても粘着力が低下しな
いことが望ましい。
【0033】次に、レジスト18を現像し(工程P
5)、そしてそのレジスト18をマスクとして電極6を
エッチングし(工程P6)、さらにレジストを剥離する
(工程P7)。これにより、プラスチックフィルム積層
体1のプラスチックフィルム4上に、図8に示すよう
に、液晶パネル12(図4参照)の1個分の電極パター
ンPが複数個、形成される。
【0034】なお、本実施形態では、工程P4の露光工
程において、後述する配向膜焼成工程(工程P8)後に
おけるプラスチックフィルム4の熱変形量、例えば熱収
縮量すなわち熱収縮率を考慮して、電極パターンPの縦
方向パターン間隔D1及び横方向パターン間隔D2に関
して正規寸法に対して補正を加えてある。これについて
詳しくは後述する。
【0035】工程P7のレジスト剥離後、電極6が形成
されたプラスチックフィルム4の表面に、例えばポリイ
ミドを一様に成膜して配向膜21を形成し、さらにそれ
を、例えば120℃、2時間で焼成し(工程P8)、さ
らにその配向膜21にラビング処理を施す(工程P
9)。次に、スクリーン印刷によってシール材14を形
成し(工程P10)、さらに、例えば60〜80℃、3
0〜60分で仮焼成することにより(工程P11)、一
対の基板13a及び13bのうちの一方であるプラスチ
ックフィルム基板が形成される。
【0036】但し、この時点では、プラスチックフィル
ム4は未だガラス支持部材2によって支持されている状
態である。そして、その支持部材2はこれ以降の工程で
は不要であるので、本実施形態では、工程P12におい
て支持部材2のための剥離処理を実行する。具体的に
は、所定条件例えば500mj/cm以上の露光量及
び254nm〜365nmの波長域を外れる波長域の両
方の条件又はそれらのうちのいずれか一方の条件を満足
する紫外線を、支持部材2の外側から照射する。
【0037】この紫外線照射により、プラスチック基板
内のプラスチックフィルム積層体1(図5参照)に含ま
れる粘着層3はその粘着力が低下し、そしてその状態下
でプラスチックフィルム4からガラス支持部材2を剥離
する。このときには粘着層3の粘着力が低くなっている
ので、ガラス支持部材2の剥離の際、プラスチックフィ
ルム4に破損や変形等が発生することはない。
【0038】なお、工程P12において照射する紫外線
の条件を上記のように設定したのは、工程P2の紫外線
照射及び工程P4の紫外線照射によっては粘着層3の粘
着力が低下せず、しかし工程P12の紫外線照射によっ
ては粘着層3の粘着力が低下するように設定するためで
ある。
【0039】つまり、工程P2のレジスト前洗浄処理の
ための紫外線は、波長が254nm〜365nmで、露
光量が250mj/cm以上であることが多い。ま
た、工程P4のレジスト露光処理のための紫外線は、波
長が254nm〜365nmで、露光量が110〜20
0mj/cmであることが多い。
【0040】よって、本実施形態で用いる粘着層3を、
露光量500mj/cm以上の紫外線照射によって粘
着力が低下するような物質又は波長が254nm〜36
5nmの波長域を外れる波長域の紫外線照射によって粘
着力が低下するような物質によって形成すれば、工程P
12においてだけ粘着層3の粘着力を低減でき、それ以
外の工程においては粘着層3の粘着力を高く維持でき
る。
【0041】本実施形態においては、工程P8において
配向膜焼成工程を実行してプラスチックフィルム積層体
1を加熱すると、支持部材2及びプラスチックフィルム
4の両方が加熱される。このとき、支持部材2とプラス
チックフィルム4の熱変形率、例えば熱収縮率は互いに
異なっているので、両者が加熱されるとプラスチックフ
ィルム4に内部応力が発生する。そして、工程P12に
おいて、プラスチックフィルム4から支持部材2を剥離
すると、プラスチックフィルム4に熱変形、例えば熱収
縮が発生する。これは、工程P8の配向膜焼成のための
加熱処理の際にプラスチックフィルム4に発生した上記
の内部応力に起因して発生するものと考えられる。
【0042】本実施形態では、このような熱変形が発生
した後にプラスチックフィルム4上の電極パターンが正
規寸法になるように、工程P4における露光処理のとき
に、マスクパターン19に形成されるパターン形状に関
して正規寸法に対して補正を加えておくようにしてあ
る。
【0043】例えば、工程P8において120℃、2時
間程度の配向膜焼成処理を行うと、その後に工程P12
で支持部材2を剥離すると、図8のプラスチックフィル
ム4において縦方向Vで0.05〜0.07%程度の熱
収縮が発生し、一方、横方向Tで0.03〜0.05%
程度の熱収縮が発生する。これらの熱収縮率の違いは、
例えばプラスチックフィルム4を形成する際の延伸方向
に起因して生じるものと考えられる。
【0044】以上のことから、工程P4で用いるマスク
パターン19のパターン形状に関して、縦方向のパター
ン間隔D1及び横方向のパターン間隔D2を上記の熱収
縮量分だけ予め大きく形成しておけば、工程P12にお
いて最終的に形成されたプラスチックフィルム基板の電
極パターン寸法を希望する正規寸法に一致させることが
できる。
【0045】なお、本来の意味から言えば、予めマスク
パターン19のパターン形状に加えておくべき補正は、
隣り合う電極パターンP間の間隔D1及びD2だけに限
らず、個々の電極パターンPの内部におけるパターンに
ついてもそのような補正を行うことが望ましいと考えら
れる。しかしながら、本発明者の実験によれば、液晶パ
ネルの一対の基板を貼り合わせる際の組ズレを防止する
ことに関しては、互いに隣り合う電極パターンP間の間
隔補正を行うだけで十分であることがわかった。
【0046】プラスチックフィルム4に対する以上のよ
うな各種の工程は、プラスチックフィルム4を硬質のガ
ラス支持部材2によって支持した状態で行われるので、
プラスチックフィルム4それ自体は変形し易い物質であ
るとしても、それらの工程を通してプラスチックフィル
ム4の位置ズレ、変形等を防止でき、よって、プラスチ
ックフィルム4に対する各種工程は高精度に安定して実
行できる。
【0047】次に、以上のようにして形成されるプラス
チックフィルム基板に貼り合わされるもう一方の基板、
すなわちガラス基板は、例えば図2に示すような工程を
経て作製される。すなわち、図4の液晶パネル12の複
数個分の大きさを有するガラス基板素材を用意してそれ
を洗浄し(工程P21)、そのガラス基板素材の上に所
定パターンの電極を形成し(工程P22)、その上に配
向膜を形成し(工程P23)、その配向膜に対してラビ
ング処理を施し(工程P24)、そしてさらに、セルギ
ャップを維持するためのスペーサを基板素材の表面に分
散する(工程P25)。これにより、ガラス基板が形成
される。
【0048】このガラス基板において、基板素材として
用いられるガラスは熱変形がほとんど無い材料であるの
で、工程P22における電極形成は当初から正規寸法に
形成される。そして、工程P25を経て形成されるガラ
ス基板上の電極パターンはその正規寸法を維持する。
【0049】その後、図1の工程P12を経て得られた
プラスチックフィルム基板及び図2の工程P25を経て
得られたガラス基板を用いて、図3の工程P31におい
てそれらの基板を互いに貼り合わせ、さらに120℃で
加熱及び加圧して両基板をシール材14によって接合す
る。このとき、プラスチックフィルム基板上の電極パタ
ーンは前述したようにプラスチックフィルム4の熱収縮
後に正規寸法に一致しており、一方、ガラス基板上の電
極パターンは当初から正規寸法に形成されるので、プラ
スチックフィルム基板とガラス基板とは互いに位置ズ
レ、すなわち組ズレを生じることなく、高精度に貼り合
わせることができる。
【0050】その後、互いに貼り合わされた一対の基板
を1次ブレイクして各液晶パネル部分における液晶注入
用の開口を外部へ露出し(工程P32)、その開口を通
して各液晶パネル部分の内部へ液晶を注入し、さらに使
用済みの液晶注入用開口を封止する(工程P33)。さ
らに、2次ブレイクを行うことにより図4に示す個々の
液晶パネルを作製し(工程P34)、そしてそれらの液
晶パネルに液晶駆動用IC、バックライト等といった各
種の付帯機器を実装し(工程P35)、これにより、液
晶装置が完成する。
【0051】(第2実施形態)以上に記載した第1実施
形態では、図8に示したプラスチックフィルム4に組み
付けられるガラス基板素材に関しては、ほとんど熱変形
が生じないものと考え、プラスチックフィルム基板に電
極を形成する電極形成工程において行われる寸法の補正
に際して、ガラス基板側の熱変形は考慮に入れなかっ
た。実際の液晶装置の製造過程においては、このような
方法により、実用上差し支えない程度に一対の基板間で
の組ズレの発生を防止できる。
【0052】しかしながら、一対の基板をより一層高精
度に組み付けることを望む場合には、ガラス基板素材に
発生する熱変形をも考慮に入れて、プラスチックフィル
ム基板に関する電極形成工程において電極パターンの寸
法に補正を加えることができる。
【0053】本実施形態に係る液晶装置の製造方法は、
プラスチックフィルム基板に発生する熱変形に加えて、
それに対向するガラス基板に発生する熱変形をも考慮し
て、プラスチックフィルム基板に関する電極形成工程に
おいて電極パターンの寸法に補正を加えることを特徴と
するものである。
【0054】本実施形態において、プラスチックフィル
ム基板の形成工程は、図1に示した処理工程と同じ工程
によって実現できる。また、プラスチックフィルム基板
に対向して組み付けられるガラス基板の形成工程は、図
2に示した処理工程と同じ工程によって実現できる。さ
らに、プラスチックフィルム基板とガラス基板とを組み
付けて液晶装置を作製する工程は、図3に示した処理工
程と同じ工程によって実現できる。
【0055】但し、本実施形態では、図1のプラスチッ
クフィルム基板形成工程における露光工程P4において
行われる露光寸法の補正に関して、以下に述べるような
改変が加えられる。
【0056】図2のガラス基板形成工程を実行すると、
図9に示すように、電極パターンP’間の縦寸法がD3
で横寸法がD4であるようなガラス基板5が形成され
る。このガラス基板5において、電極パターン間寸法D
3及びD4は、配向膜焼成工程P23における加熱処理
の影響で、その配向膜焼成工程P23の前後で熱変形、
例えば熱収縮を生じる。
【0057】本実施形態では、図1のプラスチックフィ
ルム基板形成工程における露光工程P4において電極パ
ターン間寸法D1及びD2(図8参照)に補正を加える
際、プラスチックフィルム4に発生する熱変形率例えば
熱収縮率と、ガラス基板5(図9参照)に発生する熱変
形率例えば熱収縮率との両方を考慮して補正値を決定す
る。具体的には、両基板の熱変形率の違いによる両者の
寸法変化に対応した長さで電極パターン間寸法D1及び
D2に補正を加える。
【0058】以上のような本実施形態によれば、ガラス
基板5に関する熱変形を考慮しないでプラスチックフィ
ルム基板に関する電極パターンの寸法補正を行うように
した第1実施形態の場合に比べて、プラスチックフィル
ム基板及びガラス基板の両基板を組み付けることに関し
て、より一層高精度な組み付け精度を達成できる。
【0059】(その他の実施形態)以上、好ましい実施
形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形
態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明
の範囲内で種々に改変できる。
【0060】例えば、図4に示した液晶パネルは本発明
を適用することができる液晶パネルの単なる一例であ
り、本発明はその他の任意の構造の液晶パネルに対して
適用できる。
【0061】また、図1に示した実施形態では、配向膜
焼成工程P8で行われる加熱処理に起因してガラス支持
部材の剥離工程P12の後にプラスチックフィルムに発
生する熱収縮量を考慮して、レジスト露光工程P4にお
ける露光パターンの寸法に補正を加えた。この場合、補
正の根拠となる加熱処理として、工程P8の配向膜焼成
工程に加えて工程P11のシール材仮焼成工程における
加熱処理を含ませることもできる。また、これら以外に
加熱処理が必要となる場合には、そのような加熱処理を
補正の根拠として考えることもできる。
【0062】また、図1から図3に示した一連の工程は
液晶装置の製造方法の単なる一例であり、本発明を実現
するための工程以外の工程は図示した工程以外の任意の
工程を採用できる。
【0063】
【発明の効果】本発明に係る液晶装置の製造方法によれ
ば、電極形成工程によってプラスチックフィルム上に所
定パターンの電極を形成する際には、その電極パターン
を初めから正規寸法に形成するのではなく、プラスチッ
クフィルム積層体に加熱処理を施した後にプラスチック
フィルムから支持部材を剥離するときに発生するプラス
チックフィルムの変形を考慮に入れた上で、正規寸法に
補正を加えた寸法で電極パターンを形成する。
【0064】このため、プラスチックフィルムに電極パ
ターンを形成し、さらに加熱処理を施し、その後にプラ
スチックフィルムから支持部材を剥離したとき、プラス
チックフィルムには熱収縮が発生するが、そのプラスチ
ックフィルム上の電極パターンに関しては、その熱収縮
後において正規寸法に一致する。従って、この状態で一
対の基板を組み付けて液晶パネルを作製すれば、一対の
基板間で組ズレのない希望通りの液晶パネルを作製する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶装置の製造方法の一部である
プラスチックフィルム基板の形成工程の一例を示す工程
図である。
【図2】本発明に係る液晶装置の製造方法の他の一部で
あるガラス基板の形成工程の一例を示す工程図である。
【図3】本発明に係る液晶装置の製造方法のさらに他の
一部であって、一対の基板の組み付け後の工程を示す工
程図である。
【図4】本発明に係る液晶装置の製造方法によって製造
される液晶装置の一例の主要部を示す斜視図である。
【図5】図1に示すプラスチックフィルム基板の形成工
程で用いられるプラスチックフィルム積層体の一例を示
す断面図である。
【図6】図5のプラスチックフィルム積層体に用いられ
るプラスチックフィルムの一例を示す断面図である。
【図7】図5のプラスチックフィルム積層体に用いられ
る粘着層の一例を示す断面図である。
【図8】図5のプラスチックフィルム積層体に含まれる
プラスチックフィルムの表面に電極パターンを形成した
状態の一例を示す平面図である。
【図9】ガラス基板の表面に電極パターンを形成した状
態の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 プラスチックフィルム積層体 2 支持部材 3 粘着層 4 プラスチックフィルム 6 電極 7 ベース層 8 ガスバリヤ層 9 表面層 11 両面粘着テープ 12 液晶パネル 13a,13b 基板 18 レジスト 19 マスクパターン 21 配向膜 D1,D2 電極パターン間隔 P 電極パターン T 横方向 V 縦方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大月 芳明 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2H090 HB08Y HC05 HC15 HD14 JB03 JD17 LA01 LA02 2H092 GA05 GA33 HA04 MA13 MA17 NA25 NA27 NA30 PA01 PA02 5G435 AA09 AA17 BB12 EE33 FF01 HH02 HH12 KK05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に液晶を封止して成り、少
    なくとも一方の基板がプラスチックフィルム基板である
    液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法であっ
    て、 支持部材と、該支持部材の表面に形成された粘着層と、
    該粘着層によって前記支持部材に粘着される前記プラス
    チックフィルム基板とを有して構成されるプラスチック
    フィルム積層体の前記プラスチックフィルム基板に対し
    て、電極パターンを形成する電極形成工程と加熱処理工
    程とを有する液晶装置の製造方法において、 前記電極形成工程において前記加熱処理工程後に生じる
    プラスチックフィルム基板の熱変形量を考慮して該プラ
    スチックフィルム基板に前記電極パターンを正規寸法に
    対して補正を加えた寸法で形成することを特徴とする液
    晶装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 一対の基板間に液晶を封止して成り、少
    なくとも一方の基板がプラスチックフィルム基板である
    液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法であっ
    て、 支持部材と、該支持部材の表面に形成された粘着層と、
    該粘着層によって前記支持部材に粘着される前記プラス
    チックフィルム基板とを有して構成されるプラスチック
    フィルム積層体の前記プラスチックフィルム基板に対し
    て、電極パターンを形成する電極形成工程と加熱処理工
    程とを有する液晶装置の製造方法において、 前記電極形成工程では前記プラスチックフィルム基板の
    熱収縮率に基づいて該プラスチックフィルム基板に前記
    電極パターンを正規寸法に対して補正を加えた寸法で形
    成することを特徴とする液晶装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 一対の基板間に液晶を封止して成り、少
    なくとも一方の基板がプラスチックフィルム基板である
    液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法であっ
    て、 支持部材と、該支持部材の表面に形成された粘着層と、
    該粘着層によって前記支持部材に粘着される前記プラス
    チックフィルム基板とを有して構成されるプラスチック
    フィルム積層体の前記プラスチックフィルム基板に対し
    て、電極パターンを形成する電極形成工程と加熱処理工
    程とを有する液晶装置の製造方法において、 前記電極形成工程では前記プラスチックフィルム基板の
    前記電極パターンの寸法を、前記プラスチックフィルム
    基板と他方の基板との熱収縮率の違いによるそれらの基
    板の寸法変化に対応した長さで形成することを特徴とす
    る液晶装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載した液晶装置の製造方法において、前記プラスチッ
    クフィルム基板は複数の液晶パネル分の電極パターンを
    形成できる大きさを有し、前記電極形成工程では複数の
    液晶パネル分の電極パターン間の間隔に正規寸法からの
    補正が加えられることを特徴とする液晶装置の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に
    記載した液晶装置の製造方法において、前記電極形成工
    程はマスクパターンを通しての露光処理を含むフォトリ
    ソグラフィー法を用いて行われ、電極パターンに関する
    前記の補正は前記露光処理における露光位置の調整によ
    って行われることを特徴とする液晶装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に
    記載した液晶装置の製造方法において、前記プラスチッ
    クフィルム基板形成工程は前記加熱処理工程として配向
    膜焼成工程を含み、前記電極パターンに関する補正は少
    なくともこの配向膜焼成工程後におけるプラスチックフ
    ィルムの変形を考慮して行われることを特徴とする液晶
    装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に
    記載した液晶装置の製造方法において、前記一対の基板
    の一方はプラスチックフィルム基板であり、他方はガラ
    ス基板であることを特徴とする液晶装置の製造方法。
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