JP2000284118A - 楕円偏光板およびstn型液晶表示装置 - Google Patents

楕円偏光板およびstn型液晶表示装置

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JP2000284118A
JP2000284118A JP11087062A JP8706299A JP2000284118A JP 2000284118 A JP2000284118 A JP 2000284118A JP 11087062 A JP11087062 A JP 11087062A JP 8706299 A JP8706299 A JP 8706299A JP 2000284118 A JP2000284118 A JP 2000284118A
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layer
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JP11087062A
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Atsushi Watabe
淳 渡部
Eiichiro Aminaka
英一郎 網中
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 STN型表示装置の視野角特性を拡大するこ
とが可能な楕円偏光板およびそれを装着したSTN型液
晶表示装置を提供すること。 【解決手段】 透明保護層、偏光膜、面内レターデーシ
ョンが200乃至600nmの範囲にある透明中間層、
およびディスコティック液晶性化合物からなる光学異方
性層をこの順に有する楕円偏光板であって、ディスコテ
ィック液晶性化合物の屈折率異方性と光学異方性層の厚
みとの積が300乃至1500nmの範囲にあり、該透
明中間層の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行であり、そし
て光学異方性層のツイスト角が厚み方向に関して90乃
至360度の範囲にあることを特徴とする楕円偏光板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、STN型液晶表示
装置に用いられる楕円偏光板およびそれを用いたSTN
型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】STN型液晶表示装置は、一般的にST
N型液晶セル、二枚の偏光板およびSTN型液晶セルと
偏光板との間に設けられる一枚または二枚の光学補償シ
ート(位相差板)からなる。液晶セルは、棒状液晶性分
子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性
分子に電圧を加えるための電極層からなる。STN型液
晶セルでは、棒状液晶性分子を180〜360度の範囲
に配向させるためにカイラル剤が添加されており、ま
た、配向膜が二枚の基板に設けられる。STN型液晶表
示装置では、棒状液晶性分子の複屈折性のため、表示画
像が黄色または青色に着色する。このような表示画像の
着色は、白黒表示、カラー表示の何れにおいても不都合
である。光学補償シートは、このような着色を解消し
て、明るい鮮明な画像を得るために用いられる。光学補
償シートにはまた、液晶セルの視野角を拡大する機能を
示す場合もある。
【0003】光学補償シートとしては、従来から一軸延
伸した高分子フィルムが使用されていた。高分子フィル
ムとしては、ポリビニルアルコール、ポリカーボネー
ト、ポリアクリレートもしくはポリスルホン等の高分子
フィルムを一軸延伸したものを用いることができる。し
かし、一軸延伸した高分子フィルムでは、レターデーシ
ョンの角度依存性が大きく、視野が充分に拡大できない
という問題点があった。
【0004】STN型液晶表示装置に使用できる技術で
あり、光学補償シートのレターデーションの角度依存性
を小さくする方法として、面内に屈折率異方性を有する
光学補償シートと厚み方向に屈折率異方性を有する光学
補償シートとを積層する方法(特開平2−256023
号公報および特開平4−16916号公報)が開示さ
れ、これらの方法によって視角による色変化の割合を小
さくすることができる。また、面内に屈折率異方性を有
する光学補償シートと厚み方向に屈折率異方性を有する
光学補償シートとの複合光学補償シート(特開平6−1
48429号公報)が開示されており、この光学補償シ
ートをSTN型液晶表示装置に用いて視野角特性の向上
を達成している。しかし、上記の光学補償シートによっ
て視野角特性は改良されたものの、STN型液晶セルの
持つねじれ構造による視角に対する影響を補償するには
十分とは言い難い。
【0005】一方、延伸複屈折フィルムからなる光学補
償シートに代えて、透明支持体上にディスコティック液
晶性化合物等を含む光学的異方性層を有する光学補償シ
ートが実用化されている。ディスコティック液晶性化合
物は、一般に大きな複屈折率を有し、多様な配向形態が
あるため、ディスコティック液晶性化合物を用いること
で、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない
光学的性質を有する光学補償シートを製造することが可
能になる。
【0006】ディスコティック液晶性化合物を用いた光
学補償シートを、STN型液晶表示装置に利用すること
が考えられる。STN型液晶表示装置では、90度より
も大きく超ねじれ配向させた棒状液晶性分子を複屈折モ
ードで用いる。ディスコティック液晶性化合物を用いて
STN型液晶セルを光学補償するためには、光学的異方
性層中で、ディスコティック液晶性化合物を垂直に配向
させる(好ましくは、さらに、ねじれ配向させる)必要
がある。特開平9−26572号公報および特開平9−
292519号公報には、ディスコティック液晶性化合
物をねじれ配向させた光学補償シートが開示されてい
る。該光学補償シートを形成する光学的異方性層は、非
カイラル性ディスコティック液晶性化合物とカイラル剤
とを含み、これによってねじれ配向を実現している。該
光学補償シートは、STN型液晶セルの光学的異方性を
あらゆる方向から補償でき、延伸高分子フィルムを用い
た場合よりも視野角が改良されている。
【0007】しかし、クロスニコルに配置した一対の偏
光フィルム間において、黒表示電圧におけるSTN型液
晶セルの光学的異方性を完全に補償することができたと
しても、視角をセルの法線方向から傾けると光漏れが起
こる。この光漏れは、斜入射の場合、入射側の偏光フィ
ルムを通過した直線偏光の電場の振動方向が出射側の偏
光フィルムの透過軸と垂直でないために起こる。
【0008】SIDダイジェスト(SID Diges
t,p.845,1997)には、光学的に正の一軸性
のフィルムを用いることによって、斜入射した光の電場
の振動方向を回転させ、出射側の偏光フィルムの透過軸
とのなす角度を垂直に近づける技術が開示されている。
【0009】よって、上記の問題は、通常使用されてい
る偏光板の片側に、偏光膜の斜め方向の光漏れを減少さ
せる膜を貼合することにより解決することができる。し
かし、偏光板上に光漏れ防止膜を貼合し、さらにその上
に(ディスコティック液晶性化合物を含む光学的異方性
層を有する)光学補償シートを貼合することは、製品の
得率を下げる要因となる。また、生産性の問題、楕円偏
光板全体の厚みが大きくなるという問題も残る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ST
N型表示装置の視野角特性を拡大することのできる楕円
偏光板、およびそれを装着したSTN型液晶表示装置を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者の研究により、
透明保護層、偏光膜、面内レターデーションが200乃
至600nmの範囲にある透明中間層、およびディスコ
ティック液晶性化合物からなる光学的異方性層をこの順
に有する楕円偏光板であって、ディスコティック液晶性
化合物の屈折率異方性と光学的異方性層の厚みとの積が
300乃至1500nmの範囲にあり、該透明中間層の
遅相軸が偏光膜の透過軸と平行であり、そして光学的異
方性層のツイスト角が厚み方向に関して90乃至360
度の範囲にあることを特徴とする楕円偏光板が上記の課
題を解決できることが判明した。
【0012】そして、一対の電極基板間にねじれ配向し
た棒状液晶性分子を挟持してなるSTN型液晶セルの少
なくとも片側に、上記に記載の楕円偏光板を、その光学
的異方性層が該液晶セル側となるように配置したことを
特徴とするSTN型液晶表示装置も前記の課題を解決で
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】一般的にSTN型液晶表示装置で
は、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範
囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性
(△n)とセルギャップ(d)との積(△nd)が30
0〜1500nmの範囲にあると言われている。よっ
て、光学補償シートを形成する光学的に負の一軸性を有
する化合物は、配向膜に対して垂直に立ち、かつ棒状液
晶性分子の逆方向に90〜360度の範囲にねじられ、
同時に該化合物の屈折率異方性(△n)と光学的異方性
層の厚み(d)との積(△nd)が、光学補償シートが
一枚の場合にあっては300〜1500nmの範囲(光
学補償シートが二枚の場合にあっては、ツイスト角およ
び△ndは、1/2の値の範囲)にあることが要求され
る。
【0014】本発明は、上記記載の性質を有するSTN
型液晶表示装置において、光学的に負の一軸性を有する
化合物を含む光学的異方性層を有する光学補償シート
(特開平9−26572号公報等)のみによっては完全
には光学補償することができなかった従来の問題点を、
これらのフィルムおよび光学的異方性層を積層してなる
楕円偏光板、およびSTN型液晶表示装置によって解決
できたことに特徴がある。
【0015】本発明の楕円偏光板およびそれを用いたS
TN型液晶表示装置の模式図を図1に示す。図1に示す
液晶表示装置は、偏光板(2)、STN型液晶セル
(1)および楕円偏光板(3)、並びに楕円偏光板
(3)側に位置するバックライト(BL)からなる。図
1では省略したが、液晶セル(1)は、上基板の下側の
配向膜と下基板の上側の配向膜との間に棒状液晶性分子
からなる液晶を封入した構造を有する。楕円偏光板
(3)は、光学的異方性層(31)、透明中間層(33
a)、偏光膜(32)および透明保護層(33b)をこ
の順に有し、光学的異方性層(31)をSTN液晶セル
(1)側に位置するように用いる。楕円偏光板(3)を
STN液晶セル(1)の両側に配置してもよい。
【0016】偏光板は、一般には、偏光膜の両側に透明
保護膜を設けたものである。本発明の楕円偏光板では、
偏光膜の光学的異方性層側の透明保護膜が、光学的異方
性層が塗設される透明支持体としても機能しており、こ
れを「透明中間層」と記載して、偏光膜について光学的
異方性層と反対側にある透明保護膜である「透明保護
層」と区別する。該透明中間層を光学的異方性層の支持
体と共用することによって、偏光膜の両側に透明保護層
を設けた場合に比べて、視野角特性はコントラスト10
以上の角度範囲で約10度拡大する。また、支持体と共
用することは、コストの軽減の点でも優れている。
【0017】透明保護層としては、光学的異方性が小さ
いポリマーフィルムを用いることが好ましい。透明であ
るとは、可視光の光透過率が80%以上であることを意
味する。光学的異方性が小さいとは、具体的には、面内
レターデーション(Re)が20nm以下であることが
好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。ま
た、厚み方向のレターデーション(Rth)は、100
nm以下であることが好ましく、20nm以下であるこ
とがさらに好ましい。面内レターデーション(Re)と
厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞれ下
記式 Re=(nx−ny)×d Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d で定義される。式中、nxよびnyは、透明保護層の遅
相軸の面内屈折率、進相軸の面内屈折率であり、nzは
透明保護層の厚み方向の屈折率であり、そしてdは透明
保護層の厚さである。
【0018】透明中間層は、上記記載の透明保護層と同
様に、ポリマーよりなりなる延伸フィルムであっても、
あるいはポリマーフィルム上に正の光学的異方性を有す
る液晶をホモジニアス配向させたものであってもよく、
80%以上の透過率を有する。該ポリマーに複屈折性を
与える延伸処理は、一軸延伸処理や二軸延伸処理等の適
宜な方式で行うことができる。正の光学的異方性を有す
る液晶(棒状液晶)により透明中間層に複屈折性を与え
る場合、ポリマーフィルム上に棒状液晶をホモジニアス
配向させる配向膜を塗設し、その配向膜表面をラビング
処理し、棒状液晶を塗布した後、加熱により配向させ
る。透明中間層の面内レターデーション(Re)は、2
00〜600nmの範囲にあり、250〜500nmの
範囲にあることが好ましい。
【0019】透明保護層を形成するポリマーとしては、
セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ジンジオタクチックポリス
チレン(特開平8−239497号公報に開示)、ポリ
アクリレートおよびポリメタクリレートを挙げることが
できる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセル
ロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが特
に好ましい。透明保護層は、ソルベントキャスト法によ
り形成されることが好ましい。透明中間層を形成するポ
リマーとしては、上記記載の何れのポリマーも用いるこ
とができるが、ポリカーボネートを用いることが好まし
い。
【0020】透明保護層および透明中間層の厚さは、共
に20〜500μmの範囲にあることが好ましく、共に
50〜200μmの範囲にあることがさらに好ましい。
【0021】透明保護層もしくは透明中間層とその上に
設けられる層(接着層、光学的異方性層、配向膜等)と
の接着を改善するため、該層に表面処理(例えば、グロ
ー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火
炎処理等)を施してもよい。該層の上に、接着層(下塗
り層)を設けてもよい。
【0022】接着層としては、アクリル系、シリコーン
系、ポリエポキシ系、ポリエステル系、ポリウレタン
系、ポリエーテル系、ゴム系の透明な接着剤を用いるこ
とができる。種類については、特に限定されないまた、
加熱や加湿条件下に剥離等を生じないものが好ましい。
【0023】光学的異方性層は、光学的に負の一軸性を
有する化合物からなる。光学的に負の一軸性を有する化
合物とは、配向することで光学軸方向の屈折率が、これ
に垂直な面内の平均屈折率よりも小さい負の屈折率異方
性を発現し、光学軸の方位角度が基板の厚み方向に対し
て連続的に変化するように配向させることができるもの
であることが好ましい。このような化合物は、液晶性を
有する化合物であっても液晶性を有しない化合物であっ
てもよいが、前者である場合には、特定の配向膜を用い
て配向させるか、あるいは該化合物に電界、磁場等を印
加して配向させてもよい。後者である場合でも、電界、
磁場等の印加により必要な配向をさせることが可能であ
る。上記化合物は、液晶性を有するディスコティック化
合物(ディスコティック液晶性化合物)であることがさ
らに好ましい。ディスコティック液晶性化合物について
は後述する。
【0024】ディスコティック液晶性化合物の光学軸の
平均傾斜角度は、50〜90度の範囲にあることが好ま
しい。該傾斜角度は、光学的異方性層の厚み方向に沿っ
て連続して変化していてもよい。ディスコティック液晶
性化合物の光学軸の方位角度は、STN型液晶セルのツ
イスト角(一般に90〜360度の範囲、好ましくは1
80〜270度の範囲)に応じて、近似(なるべく±1
0度以内)の角度となるように変化していることが好ま
しい。また、一対の光学的異方性層を形成している楕円
偏光板でSTN型液晶セルを挟持する場合には、ディス
コティック液晶性化合物の光学軸の傾斜角度が、50〜
90度の範囲にあり、さらに光学軸の方位角度が90〜
180度の範囲にねじれるように連続的に変化するよう
に配向をさせることが望ましい。さらに、STN型液晶
セルのツイスト角の1/2の±10%以内とすることが
好ましい。上記の配向をした光学的異方性層を有する本
発明の楕円偏光板は、STN型液晶表示装置の視野角特
性を改良するには特に有効である。
【0025】ディスコティック液晶性化合物の光学軸の
方位角度とは、その化合物の光学軸を基板面上に正射影
した方向を示す。光学軸の傾斜角度とは、その化合物の
光学軸の方向と基板面の法線方向とのなす角度を示す。
図2において、41は化合物の光学軸方向、61は光学
軸の基板面上への正射影方向を示し、51、52、5
3、54は、それぞれ方位角0度方向、90度方向、1
80度方向、270度方向を示す。71は光学軸の方位
角度、81は基板の法線方向を示し、41と81とのな
す角度91は光学軸の傾斜角度を示す。
【0026】STN型液晶セルの棒状液晶性分子の配向
方向とディスコティック液晶性化合物の配向方向との関
係は、光学補償シートに最も近い液晶セルの棒状液晶性
化合物の長軸方向と、液晶セルに最も近い光学補償シー
トのディスコティック液晶性化合物平面の法線方向と
が、液晶セルの法線方向から見て、実質的に同じ向き
(±10度未満)にあることが好ましい。図1に示すよ
うに、本発明では、透明中間層を光学的異方性層の透明
支持体としても機能させる。その場合は、透明中間層の
遅相軸(屈折率が最大となる方向)と偏光膜の透過軸と
が実質的に平行(±10度未満)になるように配置する
ことが好ましい。
【0027】ディスコティック液晶性化合物は、様々な
文献(C.Destrade etal.,Mol.C
rysr.Liq.Cryst.,vol.71,pa
ge 111(1981);日本化学会編、季刊化学総
説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節
(1994);B.Kohne et al.,Ange
w.Chem.Soc.Chem.Comm.,pag
e 1794(1985);J.Zhang et a
l.,J.Am.Chem.Soc.,vol.11
6,page 2655(1994))に記載されてい
る。
【0028】光学的異方性層は、上記のディスコティッ
ク液晶性化合物からなる。光学的異方性層では、配向
膜、好ましくは垂直配向膜を用いて、ディスコティック
液晶性化合物を実質的に垂直(50〜90度の範囲の平
均傾斜角)に配向させることが好ましい。
【0029】ディスコティック液晶性分子を実質的に垂
直(ホモジニアス)に配向させるためには、配向膜の表
面エネルギーを低下させることが重要である。具体的に
は、ポリマーの官能基により配向膜の表面エネルギーを
低下させ、これによりディスコティック液晶性分子を立
てた状態にする。配向膜の表面エネルギーを低下させる
官能基としては、炭素原子数が10以上の炭化水素基が
有効である。炭化水素基を配向膜の表面に存在させるた
めに、ポリマーの主鎖よりも側鎖に炭化水素基を導入す
ることが好ましい。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基
またはそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、
分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、
アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)または
アルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)で
あることが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のよ
うな強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。
炭化水素基の炭素原子数は、10〜100であることが
好ましく、10〜60であることがさらに好ましく、1
0〜40であることが最も好ましい。ポリマーの主鎖
は、ポリイミド構造またはポリビニルアルコール構造を
有することが好ましい。
【0030】ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸と
ジアミンとの縮合反応により合成する。二種類以上のテ
トラカルボン酸あるいは二種類以上のジアミンを用い
て、コポリマーに相当するポリイミドを合成してもよ
い。炭化水素基は、テトラカルボン酸起源の繰り返し単
位に存在していても、ジアミン起源の繰り返し単位に存
在していても、両方の繰り返し単位に存在していてもよ
い。ポリイミドに炭化水素基を導入する場合、ポリイミ
ドの主鎖または側鎖にステロイド構造を形成することが
特に好ましい。側鎖に存在するステロイド構造は、炭素
原子数が10以上の炭化水素基に相当し、ディスコティ
ック液晶性分子を実質的に垂直(ホモジニアス)に配向
させる機能を有する。本明細書においてステロイド構造
とは、シクロペンタノヒドロフェナントレン環構造また
はその環の結合の一部が脂肪族環の範囲(芳香族環を形
成しない範囲)で二重結合となっている環構造を意味す
る。
【0031】炭素原子数が10以上の炭化水素基を有す
る変性ポリビニルアルコールも、ディスコティック液晶
性分子を実質的に垂直(ホモジニアス)に配向させるこ
とができる。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基または
それらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状
あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキ
ル基(シクロアルキル基であってもよい)またはアルケ
ニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であるこ
とが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のような強
い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水
素基の炭素原子数は、10〜100であることが好まし
く、10〜60であることがさらに好ましく、10〜4
0であることが最も好ましい。炭化水素基を有する変性
ポリビニルアルコールは、炭素原子数が10以上の炭化
水素基を有する繰り返し単位を2〜80モル%の範囲で
含むことが好ましく、3〜70モル%含むことがさらに
好ましい。
【0032】好ましい炭素原子数が10以上の炭化水素
基を有する変性ポリビニルアルコールを、下記式(P
V)で表す。 (PV)−(VAl)x−(HyC)y−(VAc)z
− 式中、VAlは、ビニルアルコール繰り返し単位であ
り;HyCは、炭素原子数が10以上の炭化水素基を有
する繰り返し単位であり;VAcは酢酸ビニル繰り返し
単位であり;xは、20〜95モル%(好ましくは25
〜90モル%)であり;yは、2〜80モル%(好まし
くは3〜70モル%)であり;そして、zは0〜30モ
ル%(好ましくは2〜20モル%)である。好ましい炭
素原子数が10以上の炭化水素基を有する繰り返し単位
(HyC)を、下記式(HyC−I)および(HyC−
II)で表す。
【0033】
【化1】
【0034】式中、L1 は、−O−、−CO−、−SO
2 −、−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそ
れらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;L
2 は、単結合あるいは−O−、−CO−、−SO2 −、
−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの
組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;そしてR
1 およびR2 は、それぞれ炭素原子数が10以上の炭化
水素基である。上記の組み合わせにより形成される二価
の連結基の例を、以下に示す。
【0035】 L1:−O−CO− L2:−O−CO−アルキレン基−O− L3:−O−CO−アルキレン基−CO−NH− L4:−O−CO−アルキレン基−NH−SO2 −アリ
ーレン基−O− L5:−アリーレン基−NH−CO− L6:−アリーレン基−CO−O− L7:−アリーレン基−CO−NH− L8:−アリーレン基−O− L9:−O−CO−NH−アリーレン基−NH−CO−
【0036】配向膜に用いるポリマーの重合度は、20
0〜5000であることが好ましく、300〜3000
であることが好ましい。ポリマーの分子量は、9000
〜200000であることが好ましく、13000〜1
30000であることがさらに好ましい。二種類以上の
ポリマーを併用してもよい。配向膜の形成において、ラ
ビング処理を実施することが好ましい。ラビング処理
は、上記のポリマーを含む膜の表面を、紙や布で一定方
向に、数回こすることにより実施する。なお、配向膜を
用いてディスコティック液晶性分子を実質的に垂直(ホ
モジニアス)に配向させてから、その配向状態のままデ
ィスコティック液晶性分子を固定して光学的異方性層を
形成し、光学的異方性層のみをポリマーフイルム(また
は透明支持体)上に転写してもよい。配向状態で固定さ
れたディスコティック液晶性分子は、配向膜がなくても
配向状態を維持することができる。そのため、本発明の
光学補償シートでは、配向膜は(光学補償シートの製造
において必須ではあるが)必須の要素ではない。
【0037】ディスコティック液晶性化合物は、垂直配
向状態のまま光学的異方性層内で固定されることが好ま
しい。ディスコティック液晶性化合物は、重合反応によ
り固定されることが好ましい。ディスコティック液晶性
化合物の重合については、特開平8−27284公報に
記載がある。
【0038】ディスコティック液晶性化合物を重合によ
り固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の
円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要
がある。但し、円盤状コアに重合性基を直結させると、
重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そ
こで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入す
る。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性
化合物は、下記式 D(−L−Z)n で表わされる化合物であることが好ましい。式中、Dは
円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Zは重合
性基であり、そして、nは4〜12の整数である。円盤
状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、
LZ(またはZL)は、二価の連結基(L)と重合性基
(Z)との組み合わせを意味する。
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
【化6】
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】前記式において、二価の連結基(L)は、
アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO
−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わ
せからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好
ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケ
ニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−
および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なく
とも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン
基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群よ
り選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基で
あることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数
は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の
炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリー
レン基の炭素原子数は、6〜10であることが好まし
い。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基
は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ
基、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよ
い。
【0047】二価の連結基(L)の例を以下に示す。左
側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Z)
に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基
を意味し、ARはアリーレン基を意味する。 L1:−AL−CO−O−AL− L2:−AL−CO−O−AL−O− L3:−AL−CO−O−AL−O−AL− L4:−AL−CO−O−AL−O−CO− L5:−CO−AR−O−AL− L6:−CO−AR−O−AL−O− L7:−CO−AR−O−AL−O−CO− L8:−CO−NH−AL− L9:−NH−AL−O− L10:−NH−AL−O−CO−
【0048】 L11:−O−AL− L12:−O−AL−O− L13:−O−AL−O−CO− L14:−O−AL−O−CO−NH−AL− L15:−O−AL−S−AL− L16:−O−CO−AR−O−AL−CO− L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO− L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−
CO− L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−
AL−O−CO− L20:−S−AL− L21:−S−AL−O− L22:−S−AL−O−CO− L23:−S−AL−S−AL− L24:−S−AR−AL−
【0049】AL(アルキレン基またはアルケニレン
基)に、不斉炭素原子を導入すると、ディスコティック
液晶性化合物を螺旋状にねじれ配向させることができ
る。このような化合物の例としては、不斉炭素原子を有
するトリフェニレン化合物が知られている(Physi
cs Letters,vol.79A(2〜3),
p.189〜192(1980)およびMol.Cry
st.Liq.Cryst.,p.64,233(19
81))。不斉炭素原子を含むAL*の例を以下に挙げ
る。左側が円盤状コア(D)側であり、右側が重合性基
(Z)側である。*印を付けた炭素原子(C)が不斉炭
素原子である。光学活性は、SとRの何れでもあっても
よい。
【0050】 AL*1:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH
2 CH2 − AL*2:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −CH
2 CH2 − AL*3:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 CH2 − AL*4:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
CH2 − AL*5:−CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH3
−CH2 − AL*6:−CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 −C*H
CH3 − AL*7:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH2
− AL*8:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 CH
2 − AL*9:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 CH
2 − AL*10:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −C
2
【0051】 AL*11:−CH2 CH2 CH2 CH2 −C*HCH
3 − AL*12:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 − AL*13:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2 − AL*14:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2 − AL*15:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 − AL*16:−CH2 −C*HCH3 − AL*17:−C*HCH3 −CH2 − AL*18:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH
2 CH2 CH2 − AL*19:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2
2 CH2 CH2 − AL*20:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2
2 CH2 CH2
【0052】 AL*21:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −C
2 CH2 CH2 − AL*22:−C*HCH3 −CH2 CH2 CH2 CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*23:−CH2 −C*HCH3 −CH2 CH2
2 CH2 CH2 CH2− AL*24:−CH2 CH2 −C*HCH3 −CH2
2 CH2 CH2 CH2− AL*25:−CH2 CH2 CH2 −C*HCH3 −C
2 CH2 CH2 CH2− AL*26:−C*HCH3 −(CH2 8 − AL*27:−CH2 −C*HCH3 −(CH2 8 − AL*28:−CH2 −C*HCH2CH3 − AL*29:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2 − AL*30:−CH2 −C*HCH2CH3 −CH2
2
【0053】AL*31:−CH2 −C*HCH2CH
3 −CH2 CH2 CH2 CH2 − AL*32:−CH2 −C*H(n−C3 7 )−CH
2 CH2 − AL*33:−CH2 −C*H(n−C3 7 )−CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*34:−CH2 −C*H(OCOCH3 )−CH
2 CH2 − AL*35:−CH2 −C*H(OCOCH3 )−CH
2 CH2 CH2 CH2 − AL*36:−CH2 −C*HF−CH2 CH2 − AL*37:−CH2 −C*HF−CH2 CH2 CH2
CH2 − AL*38:−CH2 −C*HCl−CH2 CH2 − AL*39:−CH2 −C*HCl−CH2 CH2 CH
2 CH2
【0054】 AL*40:−CH2 −C*HOCH3 −CH2 CH2
− AL*41:−CH2 −C*HOCH3 −CH2 CH2
CH2 CH2 − AL*42:−CH2 −C*HCN−CH2 CH2 − AL*43:−CH2 −C*HCN−CH2 CH2 CH
2 CH2 − AL*44:−CH2 −C*HCF3 −CH2 CH2 − AL*45:−CH2 −C*HCF3 −CH2 CH2
2 CH2
【0055】前記式において、重合性基(Z)は、重合
反応の種類に応じて決定する。重合性基(Z)の例を以
下に示す。
【0056】
【化9】
【0057】
【化10】
【0058】
【化11】
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】
【化14】
【0062】重合性基(Z)は、不飽和重合性基(Z
1、Z2、Z3、Z8、Z9、Z10、Z15、Z1
6、Z17、Z18)またはエポキシ基(Z6、Z7)
であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさ
らに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Z1、Z
8、Z9、Z16、Z17、Z18)であることが最も
好ましい。前記式において、複数のLとZの組み合わせ
は異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
二種類以上のディスコティック化合物(例えば、二価の
連結基に不斉炭素原子を有する化合物と有していない化
合物)を併用してもよい。
【0063】ディスコティック液晶性化合物の二価の連
結基(L)に不斉炭素原子を導入する代わりに、光学活
性を示す化合物(カイラル剤)を光学的異方性層に添加
しても、ディスコティック液晶性化合物を螺旋状にねじ
れ配向させることができる。光学活性は、不斉炭素原子
の存在による不斉、軸不斉あるいは面不斉の何れによっ
て発現させてもよい。添加するカイラル剤の量により、
ツイスト角を調節することができる。また、ねじれの方
向は、補償する液晶セルに適するようにカイラル剤の光
学活性を選択することができる。カイラル剤としては、
様々な天然または合成化合物が使用できる。ZLI−4
571(メルク社製)、ZLI−4572(同)、ZL
I−811(同)、ZLI−3786(同)、C15、
CB15、CN等を挙げることができる。
【0064】光学的異方性層は、ディスコティック液晶
性化合物、および必要に応じて上記のようなカイラル
剤、あるいは下記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗
布液を、透明支持体と共用される透明中間層上に塗布す
ることで形成される。光学的異方性層の厚さは、1〜3
0μmの範囲にあることが好ましく、5〜20μmの範
囲にあることがさらに好ましい。
【0065】塗布液の調製に使用する溶媒としては、
N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメ
チルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、ピリジン等
のヘテロ環系溶媒、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系
溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン原子
含有溶媒、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、
テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエ
ーテル系溶媒が使用できる。ハロゲン系溶媒およびケト
ン系溶媒が好ましい。二種類以上の溶媒を併用してもよ
い。
【0066】塗布液の塗布は、押し出しコート法、ダイ
レクトグラビアコート法、リバースグラビアコート法、
ダイコート法、ディップコート法、エアーナイフコート
法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバ
ーコート法等により実施することができる。
【0067】垂直配向させたディスコティック液晶性化
合物は、配向状態を維持して固定する。固定化は、ディ
スコティック液晶性化合物に導入した重合性基(Z)の
重合反応により実施することが好ましい。重合反応に
は、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を
用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応が好まし
い。
【0068】光重合開始剤の例には、α−カルボニル化
合物(米国特許2367661号、同2367670号
の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許24
48828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族ア
シロイン化合物(米国特許2722512号明細書記
載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、
同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイ
ミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組
み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、ア
クリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105
667号公報、米国特許4239850号明細書記載)
およびオキサジアゾール化合物(米国特許421297
0号明細書記載)が含まれる。
【0069】光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分
の0.01〜20重量%の範囲にあることが好ましく、
0.5〜5重量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0070】ディスコティック液晶性化合物の重合のた
めの光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エ
ネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲に
あることが好ましく、100〜800mJ/cm2の範
囲にあることがさらに好ましい。光重合反応を促進する
ため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0071】
【実施例】[実施例1]偏光膜の作製、および偏光膜と
透明保護層との貼合 厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)をヨウ
素水溶液中で5倍に延伸処理した後、乾燥させて偏光膜
を得た。透明保護層として、鹸化処理したトリアセチル
セルロース(TAC)膜(フジタックTD80U、富士
写真フィルム(株)製)を、水溶性エポキシ接着剤層を
介して偏光膜の片面に接着した。尚、TAC膜の接着処
理は、該膜の波長633nmにおける遅相軸が偏光膜の
透過軸と垂直関係になるように行った。
【0072】[実施例2]透明中間層の作製 透明中間層(PC1):粘度平均分子量28,000の
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンポ
リカーボネートを常法に従い重合し、このポリマーを1
8重量%となるようにジクロロメタンに溶解後、真空脱
泡しドープを作成した。これをバンド上で50℃、10
分間乾燥後にはぎ取り、100℃で10分間乾燥を行
い、ポリカーボネート膜を得、これを透明中間層(PC
1)とした。なお、PC1は、エリプソメーターM−1
50(日本分光(株)製)によって、波長550nmに
おける面内レターデーション(Re)を測定した結果、
2nmであった。また、nxおよびnyをそれぞれ透明
中間層の面内の遅相軸方向の屈折率、進相軸方向の屈折
率、nzを厚み方向の屈折率としたときに、nx>ny
の条件下、下記式 (nx−nz)/(nx−ny) で定義されるNzは17であった。
【0073】透明中間層(PC2):上記の透明中間層
(PC1)を、170℃で縦に18%延伸処理して、厚
さ80μmの一軸延伸ポリカーボネート膜、即ち透明中
間層(PC2)を得た。縦延伸の割合は、二本のチャッ
キングロールの速度差で制御した。PC2は、面内レタ
ーデーション(Re)が450nm、Nzが1.1であ
った。
【0074】透明中間層(PC3):16%延伸処理し
た以外は、透明中間層(PC2)と同様に延伸処理して
透明中間層(PC3)を得た。PC3は、面内レターデ
ーション(Re)が400nm、Nzが1.2であっ
た。
【0075】透明中間層(SPS−1):シンジオタク
ティックポリスチレンSPS−1(スチレン/パラメチ
ルスチレン共重合体)(特開平8−239497号公報
に記載)を重合し、重合物のペレットをベント付き単軸
押し出し機により300℃で混練押し出しを行った。こ
れを焼結金属フィルターを通した後、320℃に加熱し
たT−ダイから押し出した。この溶融状態のシートを静
電印加法を用いて、二軸延伸後キャスティングを行っ
た。これを縦方向に120℃で19%延伸を行った。こ
うして得られたシンジオタクティックポリスチレン膜、
即ち透明中間層(SPS−1)は、面内レターデーショ
ン(Re)が445nm、Nzが−0.1であった。
【0076】[実施例3]透明中間層への配向膜の塗設 実施例2で得られた透明中間層(PC1、PC2および
SPS−1)のそれぞれに、ソリッドステートコロナ処
理機6KVA(ピラー(株)製)によりコロナ放電処理
を行った。
【0077】コロナ放電処理を施した上記のそれぞれの
層上に、下記式で表されるポリイミドを、N−メチル−
2−ピロリドン、ブトキシエタノールおよびメチルエチ
ルケトンの混合溶媒に溶解して得られた4重量%溶液
を、#3のバーコーターを用いて塗布した。得られた塗
布層を140℃で2分、さらに62℃で5分間加熱乾燥
した。そして、ラビング処理を行い、配向膜を形成し
た。配向処理後の層を、それぞれ透明中間層(1)、
(2)および(3)とした。
【0078】
【化15】
【0079】[実施例4]光学補償シートの作製 光学補償シート(1a):実施例4で得られた配向処理
後の透明中間層(1)上に、以下の組成の塗布液を#1
8のバーコーターを用いて塗布し、130℃で10分間
加熱して、ディスコティック液晶性化合物を配向させ
た。
【0080】 ──────────────────────────────────── 光学的異方性層塗布液 ──────────────────────────────────── 下記のディスコティック液晶性化合物(1) 91重量部 下記のディスコティック液晶性化合物(2) 1.6重量部 アセチル化度2.0%、ブチリル化度52.0%、数平均分子量30000の セルロースアセテートブチレート(CAB−551−0.2、イーストマンケミ カル社製) 0.125重量部 アセチル化度3.0%、ブチリル化度50.0%、数平均分子量40000の セルロースアセテートブチレート(CAB−531−0.2、イーストマンケミ カル社製) 0.125重量部 エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#36 0、大阪有機化学(株)製) 9重量部 光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3重量部 増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製 1重量部 メチルエチルケトン 120重量部 ────────────────────────────────────
【0081】
【化16】
【0082】
【化17】
【0083】塗布層を130℃に加熱した状態で、高圧
水銀灯を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、
ディスコティック液晶性化合物(1)の末端ビニル基を
重合させ、配向状態を固定した。このようにして、ディ
スコティック液晶性化合物が垂直(ホモジニアス)で、
ねじれて配向している光学的異方性層を形成し、光学補
償シート(1a)を作製した。得られた光学補償シート
(1a)の△ndを波長550nmにおいて測定したと
ころ、880nmであった。また、ディスコティック液
晶性分子のツイスト角は240度であった。
【0084】光学補償シート(2a):透明中間層
(2)を用いた以外は透明中間層(1)と同様にして、
光学補償シート(2a)を得た。
【0085】光学補償シート(3a):透明中間層
(3)を用いた以外は透明中間層(1)と同様にして、
光学補償シート(3a)を得た。
【0086】[実施例5]楕円偏光板の作製 楕円偏光板1:実施例4で作製した光学補償シート(1
a)と実施例1で得た偏光膜(透明保護層が既に貼合さ
れている)とを、アクリル系接着剤層を介して、光学補
償シートの透明中間層の遅相軸と偏光膜の透過軸とが平
行になるように接着し、楕円偏光板1を作製した。
【0087】楕円偏光板2および3:楕円偏光板1と同
様にして、光学補償シート(2a)および(3a)を用
いて、それぞれ楕円偏光板2および3を作製した。
【0088】楕円偏光板4Aおよび4B:光学的異方性
層を塗設しない透明中間層(PC3)と、実施例1で得
た偏光膜(透明保護層が既に貼合されている)とをアク
リル系接着剤層を介して接着した。ここで、PC3の遅
相軸と偏光膜の透過軸とが60度をなすものを楕円偏光
板4A、30度をなすものを4Bとする。
【0089】直線偏光板5:光学的異方性層を塗設しな
いトリアセチルセルロース(TAC)膜を用いたTAC
の遅相軸と偏光膜の透過軸とが90度になるようにし
て、直線偏光板5を作製した。
【0090】上記の楕円偏光板1〜4の構成および直線
偏光板5の構成をそれぞれ第1表に示す。但し、PVA
は、ポリビニルアルコールを意味する。
【0091】
【表1】
【0092】第1表において、透明保護層および透明中
間層の面内レターデーション(Re)は、波長550n
mにおいてエリプソメーターM−150(日本分光
(株)製)によって測定した値である。また、ツイスト
角は、配向膜のラビング軸に対して45度の角度で、透
明中間層側から光学補償シートに直線偏光を入射し、光
学機器(Multi Chanel Photo An
alizer、大塚電子(株)製)を用いて出射光の偏
光解析を行って求めた。
【0093】[実施例6]下記第2表の組み合わせに従
い、実施例5で得た各偏光板を、ツイスト角240度、
△ndが880nmのSTN型液晶セルに装着して、E
Z−Contrast 160D(ELDIM社製)を
用いて、デューティー比1/240で視野角の測定を行
った。視野角は、コントラスト比が5以上の角度範囲を
示す。
【0094】
【表2】
【0095】第2表より、ディスコティック液晶性化合
物がねじれ配向した光学的異方性層を有する楕円偏光板
1、2あるいは3を用いることにより、該光学的異方性
層を有しない楕円偏光板4Aおよび4Bを用いる場合と
比較して視野角特性が著しく改善されたことが分かる。
特に、透明中間層の面内レターデーション(Re)が2
00〜600nmの範囲にあり、透明中間層上にディス
コティック液晶性化合物がねじれ配向した光学的異方性
層を有する楕円偏光板2あるいは3を用いることによ
り、視野角特性が著しく改善されたことが判明した。
【0096】
【発明の効果】光学補償シートとして、一軸延伸複屈折
フィルムのみ、あるいはディスコティック液晶性化合物
がねじれ配向した光学的異方性層からなる光学補償シー
トのみを用いた場合にはSTN型液晶表示装置の視野角
特性の改善が充分に達成されなかったという問題点を、
透明保護層、偏光膜、面内レターデーションが200〜
600nmの範囲にある透明中間層(光学的異方性層の
透明支持体としても使用)、およびディスコティック液
晶性化合物からなる光学的異方性層(光学的異方性層の
ツイスト角が厚み方向に関して90〜360度の範囲に
ある)をこの順に有する楕円偏光板を用いることによっ
て、STN型液晶表示装置の視野角特性を著しく改善す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の楕円偏光板とSTN型液晶表示装置の
模式図である。
【図2】光学的異方性層におけるディスコティック液晶
性化合物の光学軸の傾斜角度および方位角度を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 STN型液晶セル 2 偏光板 3 本発明の楕円偏光板 31 光学的異方性層 32 偏光膜 33a 面内レターデーションが200〜600nmの
範囲にある透明中間層 33b 透明保護層 BL バックライト 41 ディスコティック液晶性化合物の光学軸方向 51 方位角度0°方向 52 方位角度90°方向 53 方位角度180°方向 54 方位角度270°方向 61 光学軸の基板面上への正射影方向 71 光学軸の方位角度 81 基板の法線方向 91 光学軸の傾斜角度
フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA04 BA25 BA42 BB03 BB23 BB28 BB29 BB33 BB34 BB51 BB62 BC02 BC04 BC05 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11Z FA41Z FB02 FB12 FC01 FC23 FC25 FD14 GA17 HA10 KA01 KA02 LA19 5G435 AA00 BB12 BB15 DD13 EE25 FF00 FF05 GG22 HH02 KK07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明保護層、偏光膜、面内レターデーシ
    ョンが200乃至600nmの範囲にある透明中間層、
    およびディスコティック液晶性化合物からなる光学的異
    方性層をこの順に有する楕円偏光板であって、ディスコ
    ティック液晶性化合物の屈折率異方性と光学的異方性層
    の厚みとの積が300乃至1500nmの範囲にあり、
    該透明中間層の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行であり、
    そして光学的異方性層のツイスト角が厚み方向に関して
    90乃至360度の範囲にあることを特徴とする楕円偏
    光板。
  2. 【請求項2】 一対の電極基板間にねじれ配向した棒状
    液晶性分子を挟持してなるSTN型液晶セルの少なくと
    も片側に、請求項1に記載の楕円偏光板を、その光学的
    異方性層が該液晶セル側となるように配置したことを特
    徴とするSTN型液晶表示装置。
JP11087062A 1999-03-29 1999-03-29 楕円偏光板およびstn型液晶表示装置 Withdrawn JP2000284118A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000206328A (ja) * 1999-01-11 2000-07-28 Nitto Denko Corp 位相差板、その連続製造法、光学部材及び液晶表示装置
JP2000304925A (ja) * 1999-04-21 2000-11-02 Nitto Denko Corp 位相差板及びその製造方法
US7586569B2 (en) 2004-03-26 2009-09-08 Nitto Denko Corporation IPS mode liquid crystal display
KR101361971B1 (ko) * 2006-12-29 2014-02-11 엘지디스플레이 주식회사 액정표시장치와 그 시야각 제어방법

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