JP2000304925A - 位相差板及びその製造方法 - Google Patents
位相差板及びその製造方法Info
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Abstract
屈折を高度に補償できる薄型の位相差板を得ること。 【解決手段】 熱可塑性樹脂の長尺フィルムに熱収縮性
フィルムを接着した状態で、ロール速比1以下のロール
延伸機を介した収縮処理及びテンターを介した幅方向の
0.7〜1.0倍の倍率Aでの収縮処理を長尺フィルム
に与えた後、それら処理後のグリップ把持部を除いたフ
ィルム幅を100として、式:(100−倍率A×10
0)×0.2以下を満足する延伸率(%)にて当該幅方
向をテンターにて延伸拡幅処理する位相差板の製造方
法、及び面内の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折
率をnzとし、かつnx>nyとしたとき、式:(nx−n
z)/(nx−ny)で定義されるNzが−0.2以下
で、面内での光軸のズレが±3度以内である位相差板。
Description
る視角特性の改善に好適な位相差板及びその製造方法に
関する。
スト等が変化することの防止を目的に、液晶セルに位相
差板を配置して複屈折に基づく光学特性を補償し視角特
性を改善する技術が提案されている。かかる補償用の位
相差板は、通例一軸や二軸等による延伸フィルムからな
るが、満足できるものが提供されていない現状である。
可塑性樹脂、すなわち延伸方向と直交する方向に屈折率
が増大する性質を示す熱可塑性樹脂からなるフィルムを
二軸延伸したものでは、液晶表示装置用等の耐熱性に優
れるものを得ることが困難である。また前記樹脂の一軸
延伸フィルムでは、2枚以上を用いて積層する必要があ
り光軸の制御などその製造効率に乏しい難点がある。
れて液晶セルによる複屈折を高度に補償できる薄型の位
相差板を得ることを課題とする。
尺フィルムの片面又は両面に1枚又は2枚以上の熱収縮
性フィルムを接着した状態で、ロール速比1以下のロー
ル延伸機を介して熱収縮性フィルムの収縮力の作用下に
長尺フィルムを収縮処理すること、及び前記収縮処理し
た長尺フィルムをテンターによるグリップ把持下に熱収
縮性フィルムの収縮力を作用させて長尺フィルムの幅方
向を0.7倍以上ないし1.0倍未満の倍率Aで収縮さ
せた後、その収縮後のグリップ把持部を除いたフィルム
幅を100として、式:(100−倍率A×100)×
0.2以下を満足する延伸率(%)にて当該幅方向を延
伸拡幅処理することを特徴とする位相差板の製造方法を
提供するものである。
y、厚さ方向の主屈折率をnzとし、かつnx>nyとした
とき、式:(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるN
zが−0.2以下であり、かつ面内での光軸のズレが±
3度以内であることを特徴とする位相差板を提供するも
のである。
−0.2以下で光軸のズレが±3度以内の薄型の位相差
板を製造効率よく得ることができ、それを用いて液晶セ
ルの複屈折に基づく視角による表示特性の変化を高度に
補償して、広い視角範囲でコントラスト等の視認性に優
れる液晶表示装置を得ることができる。また正の複屈折
特性を示す熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いて耐熱
性にも優れる位相差板を得ることができる。
樹脂からなる長尺フィルムの片面又は両面に1枚又は2
枚以上の熱収縮性フィルムを接着した状態で、ロール速
比1以下のロール延伸機を介して熱収縮性フィルムの収
縮力の作用下に長尺フィルムを収縮処理すること、及び
前記収縮処理した長尺フィルムをテンターによるグリッ
プ把持下に熱収縮性フィルムの収縮力を作用させて長尺
フィルムの幅方向を0.7倍以上ないし1.0倍未満の
倍率Aで収縮させた後、その収縮後のグリップ把持部を
除いたフィルム幅を100として、式:(100−倍率
A×100)×0.2以下を満足する延伸率(%)にて
当該幅方向を延伸拡幅処理して位相差板を得るものであ
る。
性樹脂からなる延伸処理が可能なフィルムが用いられ、
耐熱性に優れる位相差板を得る点よりは、延伸方向の屈
折率が高くなる正の複屈折特性を示す熱可塑性樹脂から
なるものが好ましく用いられる。
脂については特に限定はなく、適宜なものを用いうる。
ちなみにその例としてはポリカーボネート、ポリビニル
アルコール、セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタ
レートやポリエチレンナフタレートの如きポリエステ
ル、ポリアリレート、ポリイミド、ノルボルネン系樹
脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピ
レンの如きポリオレフィンなどがあげられる。就中、非
晶質で耐熱性に優れ、透明性に優れる、特に光透過率が
80%以上のフィルムを形成しうる熱可塑性樹脂が好ま
しく用いうる。
ティング法や、押出法などの適宜な方式で形成したもの
であってよい。キャスティング法等の溶液製膜法が厚さ
ムラや配向歪ムラ等の少ないフィルムを得る点などより
好ましい。長尺フィルムの厚さは、目的とする位相差な
どにより適宜に決定しうるが、一般には10〜500μ
m、就中20〜300μmとされる。
性樹脂からなるフィルムの一軸や二軸等による延伸フィ
ルムなどよりなる適宜なものを用いることができ、特に
限定はない。表面平滑性や長尺フィルムの収縮制御性に
優れる熱可塑性樹脂からなるものが好ましく用いられ
る。
て長尺フィルムの片面又は両面に1枚又は2枚以上の適
宜な数で接着することができる。その接着処理は、加熱
による収縮力の作用下に長尺フィルムをその長さ方向や
幅方向に収縮させた後の容易な剥離性などの点より粘着
層による接着処理が好ましい。その粘着層には、熱収縮
性フィルムの収縮温度にて必要な接着力を発揮する適宜
なものを用いうる。
の収縮処理は、先ずロール延伸機を介して行う。その処
理温度は、長尺フィルムのガラス転移温度の近傍、就中
ガラス転移温度の±20℃以内の温度範囲で行うことが
処理操作の制御性などの点より好ましい。またかかる点
より用いる熱収縮性フィルムは、その処理温度以下の温
度で熱収縮を開始するものが好ましい。
ルムの収縮処理は、ロール速比1以下の条件で行う。こ
れにより長尺フィルムを長さ方向と幅方向(面内方向)
に収縮させて上記したNz−0.2以下を満足する位相
差板を得ることができる。そのロール速比が1超では、
当該Nzを満足させにくい。なお当該Nzは、面内の主
屈折率をnx、ny、厚さ方向の主屈折率をnzとし、か
つnx>nyとしたとき、式:(nx−nz)/(nx−n
y)にて定義される(以下同じ)。
た長尺フィルムは、テンターによるグリップを介した把
持下に、それに接着した熱収縮性フィルムの加熱による
収縮力の作用下に更に収縮処理する。その処理温度や、
用いる熱収縮性フィルムについては上記したロール延伸
機による場合に準じうる。
性フィルムについては、上記のロール延伸機を介した収
縮処理時に用いたものをそのまま用いることもできる
し、別個に貼り替えることもできる。前者のそのまま用
いる方式が長尺フィルムのロール延伸機とテンターを介
した収縮処理を一連に行って目的の位相差板を連続製造
できる点などより好ましい。
た長尺フィルムの収縮処理は、その幅方向に基づいてロ
ール延伸機による収縮処理後の長尺フィルム幅の0.7
倍以上ないし1.0倍未満の倍率Aとなるように行われ
る。これにより上記したNz−0.2以下を満足する位
相差板を得ることができ、その延伸倍率Aが前記範囲外
では当該Nzを満足させにくい。
した収縮処理後の長尺フィルムに対して、更にテンター
によるグリップを介した長尺フィルムの把持下にその幅
方向を延伸拡幅処理する。従って本発明においてはテン
ターを介し長尺フィルムを幅方向に収縮させた後、その
幅を延伸処理を介して拡幅する。これにより−0.2以
下のNzを満足させつつ、面内での光軸のズレが小さ
い、特にそのズレが±3度以内にある位相差板を得るこ
とができる。
樹脂からなるフィルムをロール延伸機と熱収縮性フィル
ムを介し面内方向に収縮させた場合、面内にネッキング
による光軸のズレが生じる。その光軸のズレは、液晶表
示装置のコントラストを低下させ、TNモードやOCB
モードやVAモード等を含むTFT駆動方式では位相差
ムラよりもコントラストに大きく影響する。
方向の収縮処理で前記ロール延伸機を介した処理で発生
した光軸のズレはある程度修正されるが、そのテンター
による処理にてもフイルム幅の両端部を把持するグリッ
プによる変形の規制力が長さ方向とフィルムの中央部と
で相違してフィルムの幅方向で搬送速度に差が生じ、光
軸のズレ修正に差が発生する。
縮後の拡幅処理は、長尺フィルムの長さ方向と幅方向の
収縮・延伸をバランスさせてロール延伸機とテンターを
介した収縮処理で発生した光軸のズレを全体的に修正す
るものであり、その結果、−0.2以下のNzを満足
し、かつ光軸のズレが小さい位相差板を得ることができ
る。
プ把持部を除いた長尺フィルムの幅を100としたと
き、式:(100−倍率A×100)×0.2以下を満
足する延伸率(%)の範囲で行うことが必要である。そ
の延伸率が前記の範囲を超えるとボーイング歪みが発生
して、光軸のズレはむしろ大きくなる。
フィルムの収縮処理とその幅方向の拡幅処理は、別個の
工程で行うこともできるし、一連の工程で行うこともで
きる。またそれらの場合における拡幅処理では、熱収縮
性フィルムを接着したまま行うこともできるし、剥離除
去した後に行うこともできる。熱収縮性フィルムを接着
したまま収縮処理と拡幅処理を一連に行って目的の位相
差板を連続製造する方式が製造効率などの点より好まし
い。
0.2以下のNzを満足し、かつ面内での光軸のズレが
±3度以内であるものからなり、かかる位相差板は薄型
化等の点より単層物として形成されていることが好まし
いが、同種又は異種の位相差板の積層体として形成され
ていてもよい。また等方性の透明な樹脂層やガラス層等
で保護ないし補強されたものであってもよい。
でのコントラストの低下を防止した斜視方向位相差の打
消し補償や、正面方向と斜視方向の位相差の打消し補償
等の、TN型やSTN型やπ型等の各種の液晶セルにお
ける複屈折による視角特性の補償などに好ましく用いう
る。
光板や拡散板、アンチグレア層や反射防止膜、保護層や
保護板などの適宜な光学層と積層した光学部材として用
いることもできる。またかかる位相差板を用いての液晶
表示装置の形成は、従来に準じて行うことができる。
と光学補償用の位相差板、及び必要に応じての偏光板や
照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を
組込むことなどにより形成されるが、本発明においては
上記の如く、本発明による位相差板を光学補償用のもの
に用いて、それを液晶セルの少なくとも片側に設ける点
を除いて特に限定はなく、従来に準じた形態の液晶表示
装置とすることができる。
約8万のポリカーボネートの二塩化メチレン20重量%
溶液を、スチールドラム上に連続的に流延し、それを順
次剥取って乾燥させ、厚さ60μmで位相差がほぼ0の
ポリカーボネートフィルムを得、そのフィルムの両面に
二軸延伸ポリエステルフィルムをアクリル系粘着層を介
し接着してロール速比0.96のロール延伸機を介し1
50℃で収縮処理した後、それをテンターのグリップを
介した把持下に162℃で幅方向を0.92倍に収縮さ
せ、ついで0.5%〔(100−0.92×100)×
0.063〕の延伸率で延伸処理して二軸延伸ポリエス
テルフィルムを剥離し、位相差板を連続して得た。
%〔(100−95.5)×0.178〕の延伸率で延
伸処理したほかは実施例1に準じて位相差板を得た。
させ、その後のテンターを介した収縮処理及び延伸処理
を施さないほかは実施例1に準じて位相差板を得た。
を介した収縮処理及び延伸処理を施さないほかは実施例
1に準じて位相差板を得た。
の後の延伸処理を2.0%〔(100−93)×0.2
86〕の延伸率としたほかは実施例1に準じて位相差板
を得た。
と厚さ方向の主屈折率nx、ny、nzをナトリウムD線
を光源に用いたアッベ屈折計(アタゴ社製、4型)にて
調べてNzを算出すると共に、フィルム面内の光軸のズ
レを調べた(オーク製作所社製、ADR−100X
Y)。
得た位相差板を介して偏光板を配置し、正面方向のコン
トラストと視角変化による表示特性を調べたところ、コ
ントラストに優れて広い視角範囲で表示特性に変化はな
く、視認性に優れる高表示品位の液晶表示装置であっ
た。
Claims (3)
- 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる長尺フィルムの片
面又は両面に1枚又は2枚以上の熱収縮性フィルムを接
着した状態で、ロール速比1以下のロール延伸機を介し
て熱収縮性フィルムの収縮力の作用下に長尺フィルムを
収縮処理すること、及び前記収縮処理した長尺フィルム
をテンターによるグリップ把持下に熱収縮性フィルムの
収縮力を作用させて長尺フィルムの幅方向を0.7倍以
上ないし1.0倍未満の倍率Aで収縮させた後、その収
縮後のグリップ把持部を除いたフィルム幅を100とし
て、式:(100−倍率A×100)×0.2以下を満
足する延伸率(%)にて当該幅方向を延伸拡幅処理する
ことを特徴とする位相差板の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、長尺フィルム及び熱
収縮性フィルムを形成する熱可塑性樹脂が正の複屈折特
性を示すものである製造方法。 - 【請求項3】 面内の主屈折率をnx、ny、厚さ方向の
主屈折率をnzとし、かつnx>nyとしたとき、式:
(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNzが−0.
2以下であり、かつ面内での光軸のズレが±3度以内で
あることを特徴とする位相差板。
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