JP2000283994A - 車両の横加速度補正装置及び該横加速度補正装置を備えた横すべり角演算装置 - Google Patents

車両の横加速度補正装置及び該横加速度補正装置を備えた横すべり角演算装置

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JP2000283994A
JP2000283994A JP8745299A JP8745299A JP2000283994A JP 2000283994 A JP2000283994 A JP 2000283994A JP 8745299 A JP8745299 A JP 8745299A JP 8745299 A JP8745299 A JP 8745299A JP 2000283994 A JP2000283994 A JP 2000283994A
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JP8745299A
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English (en)
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Kenji Toutsu
憲司 十津
Takayuki Ito
孝之 伊藤
Akitaka Nishio
彰高 西尾
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検出横加速度を適切に補正し得る横加速度補
正装置、及び該装置を備え横すべり角を正確に演算し得
る横すべり角演算装置を提供する。 【解決手段】 偏差演算手段DFにて、横加速度検出手
段SGの検出横加速度(Gys)から、ヨーレイト検出手
段YAの検出ヨーレイト(γa )と車体速度検出手段V
Dの検出車体速度(Vs )の積(γa ・Vs )を差し引
き、偏差(Gyb)を演算する。更に、第1の判定時(t
1 )に演算した偏差(Gyb1 )を、第2の判定時(t2
)に検出した横加速度(Gys2 )から減算した値(Gy
s2 −Gyb1)、及び第2の判定時(t2 )に検出した前
後加速度(Gx2)に基づき、摩擦係数推定手段FRにて
路面の摩擦係数(μ)を推定する。この推定結果に基づ
き、補正量演算手段GAにて検出横加速度(Gys)に対
する補正量(Gyb0 )を演算し、これを補正手段SAに
て検出横加速度(Gys)から減算して補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の運動制御装
置に好適な横加速度補正装置、及びこの横加速度補正装
置を備えた横すべり角演算装置に係る。
【0002】
【従来の技術】近時、車両の運動特性、特に旋回特性を
制御する手段として、制動力の左右差制御により旋回モ
ーメントを直接制御する運動制御装置が注目され、実用
に供されている。例えば、車両が旋回運動中において、
過度のオーバーステアと判定されたときには、旋回外側
の前輪に制動力が付与され、車両に対し外向きのヨーモ
ーメント、即ち車両を旋回外側に向けるヨーモーメント
が生ずるように制御される。これをオーバーステア抑制
制御と呼び、安定性制御とも呼ばれる。また、車両が旋
回運動中に過度のアンダーステアと判定されたときに
は、車両に対し内向きのヨーモーメント、即ち車両を旋
回内側に向けるヨーモーメントが生ずるように制御され
る。これはアンダーステア抑制制御と呼び、コーストレ
ース性制御とも呼ばれる。これらオーバーステア抑制制
御とアンダーステア抑制制御は制動操舵制御と総称され
る。
【0003】このような車両の運動制御装置には、車両
の横加速度を検出する手段として横加速度センサが用い
られ、その検出結果に基づき車両の横すべり角を演算す
るように構成されている。例えば、特開平5−1393
27号公報には、車両重心点の横すべり角の変化速度を
正確に取得し、車両が旋回限界に達したことを正確に判
定することを課題として、横加速度センサによって検出
した横加速度Gy を、車体速度センサによって検出した
車体速度Vで割った値から、ヨーレートセンサによって
検出したヨーレートγを差し引いた値である車両重心点
の横すべり角変化速度Dβが基準速度以上であれば、車
両の操縦応答性に対する走行安定性の比率が増加する向
きに制御特性を変化させるようにした車両運動制御装置
が提案されている。
【0004】また、特開平8−40232号公報には、
車両の旋回挙動をより一層高精度に推定し、不必要な挙
動制御を防止すると共に必要な挙動制御を確実に実行す
ることにより、車両の旋回挙動をより一層適切に且つ効
果的に制御することを課題として、車体の横加速度Gy
、車速V、車体のヨーレートγを検出し、偏差Gy −
Vγを所定の積分時間にて積分することにより車両の横
すべり速度Vy を求め、少くとも横すべり速度Vy に基
づき車両の旋回挙動を推定し、推定された旋回挙動に基
づき車両の旋回挙動を制御する旋回挙動制御装置が提案
されている。同装置においては、車両の安定な旋回挙動
が推定されるときは積分時間を短く設定して誤差の蓄積
を低減し、車両の不安定な旋回挙動が推定されるときは
積分時間を長く設定することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、前掲の特開
平5−139327号公報に記載の装置においては、横
加速度センサやヨーレイトセンサのドリフト、あるいは
バンク路やカント路等、横加速度センサに対する外乱の
影響で、横加速度ひいては横すべり角変化速度を高精度
に検出することは困難である。一方、特開平8−402
32号公報に記載の装置においては、偏差Gy −Vγを
所定の積分時間にて積分することとし、安定時には積分
時間を短く設定することとしているが、路面の摩擦係数
の判定を正確に行なえず安定状態の判別が困難な段階で
の設定であるので、横すべり速度Vy を精度よく演算す
ることは困難である。
【0006】そこで、本発明は、検出横加速度を適切に
補正し得る車両の横加速度補正装置を提供することを課
題とする。
【0007】また、本発明は、上記の横加速度補正装置
を備え、車両の横すべり角を正確に演算し得る横すべり
角演算装置を提供することを別の課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の車両の横加速度補正装置は、請求項1に記
載のように、車両の横加速度を検出する横加速度検出手
段と、前記車両の前後加速度を検出する前後加速度検出
手段と、前記車両の車体速度を検出する車体速度検出手
段と、前記車両に発生するヨーレイトを検出するヨーレ
イト検出手段と、前記横加速度検出手段の検出横加速度
に対する前記ヨーレイト検出手段が検出したヨーレイト
と前記車体速度検出手段が検出した車体速度の積の偏差
を演算する偏差演算手段と、第1の判定時に演算した前
記偏差を前記第1の判定時より後の第2の判定時に前記
横加速度検出手段の検出横加速度から減算した値、及び
前記第2の判定時に前記前後加速度検出手段が検出した
前後加速度に基づき前記車両の走行路面の摩擦係数を推
定する摩擦係数推定手段と、該摩擦係数推定手段の推定
結果に基づき前記横加速度検出手段の検出横加速度に対
する補正量を演算する補正量演算手段と、該補正量演算
手段が演算した補正量を前記横加速度検出手段の検出横
加速度から減算して補正する補正手段とを備えることと
したものである。
【0009】前記第1の判定時としては、例えば予め設
定した目標ヨーレイトと前記ヨーレイト検出手段が検出
したヨーレイトとの差が所定値を越えた時を設定するこ
とができ、前記第2の判定時としては、前記車両の走行
路面の摩擦係数を推定し得る状態となった時、例えば車
両の横すべり角が所定値を越え、且つ車両の横すべり角
速度が所定値を越えた時を設定することができる。
【0010】更に、請求項2に記載のように、前記車両
の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段を備
え、前記車体速度検出手段が、前記車輪速度検出手段の
検出車輪速度に基づき前記車両の推定車体速度を演算す
る推定車体速度演算手段を具備すると共に、前記前後加
速度検出手段が、前記推定車体速度演算手段の演算結果
の推定車体速度を微分して推定車体加速度を演算する推
定車体加速度演算手段を具備して成り、前記偏差演算手
段が、前記ヨーレイト検出手段が検出したヨーレイトと
前記推定車体速度演算手段が演算した推定車体速度の積
と前記横加速度検出手段の検出横加速度に基づき前記偏
差を演算し、前記摩擦係数推定手段が、第1の判定時に
演算した前記偏差を前記第1の判定時より後の第2の判
定時に前記横加速度検出手段の検出横加速度から減算し
た値、及び前記第2の判定時に前記推定車体加速度演算
手段が演算した推定車体加速度に基づき前記車両の走行
路面の摩擦係数を推定するように構成することができ
る。
【0011】本発明の車両の横すべり角演算装置は、請
求項1に記載の横加速度補正装置を含み、更に、請求項
3に記載のように、前記補正手段によって補正した横加
速度を前記車体速度検出手段が検出した車体速度で除算
した値から、前記ヨーレイト検出手段が検出したヨーレ
イトを減算して前記車両の横すべり角速度を演算する横
すべり角速度演算手段を備えたものとし、該横すべり角
速度演算手段が演算した横すべり角速度を積分して前記
車両の横すべり角を演算するように構成したものであ
る。
【0012】前記横すべり角演算装置は、請求項4に記
載のように、更に、前記第2の判定時に前記検出横加速
度の補正量に応じて横すべり角補正値を演算する補正値
演算手段を具備したものとし、該補正値演算手段が演算
した横すべり角補正値を、前記横すべり角速度を積分し
た値に加算して前記車両の横すべり角を演算するように
構成するとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の望ましい実施形態
を図面を参照して説明する。図1は本発明の横加速度補
正装置の一実施形態を示すもので、その基本構成として
は、先ず車両の横加速度(Gys)を検出する横加速度検
出手段SGと、車両の前後加速度(Gx )を検出する前
後加速度検出手段LGと、車両の車体速度(Vs )を検
出する車体速度検出手段VDと、車両に発生するヨーレ
イト(γa )を検出するヨーレイト検出手段YAを備え
ている。そして、偏差演算手段DFにて、横加速度検出
手段SGの検出横加速度(Gys)から、ヨーレイト検出
手段YAの検出ヨーレイト(γa )と車体速度検出手段
VDの検出車体速度(Vs )の積(γa ・Vs )が差し
引かれ、偏差(Gyb=Gys−γa ・Vs )が演算され、
フィルタ処理される。更に、第1の判定時(t1 )に演
算した偏差(Gyb1 )を第1の判定時より後の第2の判
定時(t2 )に横加速度検出手段SGが検出した横加速
度(Gys2)から減算した値(Gys2 −Gyb1 )、及び
第2の判定時(t2 )に前後加速度検出手段LGが検出
した前後加速度(Gx2)に基づき、摩擦係数推定手段F
Rにて車両の走行路面の摩擦係数(μ)が推定される。
この摩擦係数推定手段FRの推定結果に基づき、補正量
演算手段GAにて横加速度検出手段SGの検出横加速度
(Gys)に対する補正量(Gyb0 )が演算され、補正手
段SAにおいて、補正量演算手段GAの演算結果の補正
量(Gyb0 )が横加速度検出手段の検出横加速度(Gy
s)から減算されて補正される(Gys−Gyb0 )。
【0014】第1の判定時(t1 )としては、例えば目
標ヨーレイト(γt )と検出ヨーレイト(γa )との差
が所定値(Kγ)を越えた時を設定し、第2の判定時
(t2)としては、車両走行路面の摩擦係数を推定し得
る状態となった時を設定するとよい。第2の判定時(t
2 )の具体例としては、例えば車両の横すべり角(β)
が所定値(Kβ)を越え、且つ車両の横すべり角速度
(Dβ)が所定値(KDβ)を越えた時とすることがで
きる。尚、横すべり角(β)及び横すべり角速度(D
β)の演算については後述する。
【0015】更に、図1に破線で示すように、車両の各
車輪の車輪速度(Vw** )を検出する車輪速度検出手段
WSを備えている場合には、車体速度検出手段VDは、
検出車輪速度に基づき車両の推定車体速度(Vso)を演
算する推定車体速度演算手段EVを具備し、前後加速度
検出手段LGは、推定車体速度演算手段EVの演算結果
の推定車体速度(Vso)を微分して推定車体加速度(D
Vso)を演算する推定車体加速度演算手段ELを具備し
たものとし、偏差演算手段DFは、ヨーレイト検出手段
YAの検出ヨーレイト(γa )と推定車体速度演算手段
EVの推定車体速度(Vso)の積(γa ・Vso)と横加
速度検出手段の検出横加速度(Gys)に基づき偏差(G
yb=Gys−γa ・Vso)を演算するように構成すること
ができる。
【0016】また、摩擦係数推定手段FRは、第1の判
定時(t1 )に演算した偏差(Gyb1 )を、第1の判定
時(t1 )より後の第2の判定時(t2 )に横加速度検
出手段SGの検出横加速度(Gys2 )から減算した値
(Gys2 −Gyb1 )、及び第2の判定時(t2 )に推定
車体加速度演算手段ELが推定した車体加速度(DVso
2 )に基づき車両の走行路面の摩擦係数(μ)を推定す
るように構成することができる。
【0017】上記の構成になる横加速度補正装置によれ
ば、検出横加速度(Gys)に対する補正量たる偏差(G
yb)は図2に実線で示すように調整される。図2におい
て、t0 時は車両が真のグリップ限界に達した時刻、t
1 時は例えば目標ヨーレイトγt と検出ヨーレイトγa
の差の絶対値(|γt −γa |、以下単に差(Δγ)と
いう)が所定値(Kγ)を越えたときにグリップ限界に
達したと推定した時刻、t2 時は例えば横すべり角
(β)の絶対値が所定値(Kβ)を越え、且つ横すべり
角速度(Dβ)の絶対値が所定値(KDβ)を越え、例
えば制動操舵制御が開始する時を表している。
【0018】図2に関し、前掲の特開平8−40232
号公報においては、t1 時にグリップ限界に達したと推
定され、そのときの偏差(Gyb1 )が補正量として用い
られることになる。しかし、実際にグリップ限界に達し
た時刻はt0 時であるので、t1 時の偏差(Gyb1 )を
横加速度の補正量として用いれば当然誤差を生ずること
になるが、t1 時では走行路面の摩擦係数を正確に推定
することができないため、正確にグリップ限界を判別す
ることができない。これに対し、t2 時に至ると正確に
走行路面の摩擦係数を推定できる状態となっているた
め、このとき演算した摩擦係数に基づき真のグリップ限
界に達したt0 時での偏差(Gyb0 )を求めれば、これ
を以後の検出横加速度に対し正確な補正量とすることが
できる。
【0019】而して、本実施形態においては、第1の判
定時(t1 )の偏差(Gyb1 )を、第2の判定時(t2
)における検出横加速度(Gys2 )から減算した値
(Gys2−Gyb1 )が横加速度(Gy2)とされ、この横
加速度(Gy2)と第2の判定時(t2 )に検出した前後
加速度(Gx2)又は推定車体加速度(DVso2 )に基づ
き、車両の走行路面の摩擦係数(μ)がμ=(Gx22
Gy221/2 として求められる。そして、この摩擦係数
(μ)に基づき真のグリップ限界に達したt0 時での偏
差(Gyb0 )が求められ、図2に示すようにt2 時以降
の補正量として偏差(Gyb0 )が用いられる。例えば、
摩擦係数(μ)が0.2Gに相当する場合には、t0 時の横
加速度(Gy0)はGy0=Gys−Gyb0 =0.2Gとなるの
で、Gyb0 =Gys−0.2Gとなり、この偏差(Gyb0 )が
t2 時以降の補正量に供される。
【0020】本発明の横すべり角演算装置の一実施形態
としては、図示は省略するが、上記の横加速度補正装置
を含み、補正手段SAによって補正した横加速度(Gys
−Gyb0 )を車体速度検出手段VDが検出した車体速度
(Vs )で除算した値から、ヨーレイト検出手段YAが
検出した検出ヨーレイト(γa )を減算して車両の横す
べり角速度(Dβ=(Gys−Gyb0 )/Vs −γa )を
演算する横すべり角速度演算手段(図示せず)を備え、
この横すべり角速度演算手段が演算した横すべり角速度
(Dβ)を積分して車両の横すべり角(β=∫Dβdt)
を演算するように構成したものである。
【0021】更に、第2の判定時(t2 )に検出横加速
度(Gys)の補正量(Gyb)に応じて横すべり角補正値
(リカバー値βrという)を演算する補正値演算手段
(図示せず)を具備したものとし、補正値演算手段(図
示せず)が演算した横すべり角補正値(リカバー値β
r)を、横すべり角速度を積分した値に加算して横すべ
り角(β)を演算するように構成することができる(β
=∫Dβdt+βr)。尚、図2の線図は、縦軸が横すべ
り角速度(Dβ)の変化割合(ΔDβ)に対応し、横加
速度補正量(Gyb)の変化と類似の態様となるので、Δ
Dβを破線で示している。このとき、横軸がt0 からt
2 の間で、縦軸がΔDβ0 からΔDβ1 の間の破線に囲
まれた面積(斜線で示した面積)に対応する量が横すべ
り角補正値(リカバー値βr)を表す。
【0022】図3は本発明の横加速度補正装置及び横す
べり角演算装置を含む車両の全体構成を示すものであ
り、エンジンEGはスロットル制御装置TH及び燃料噴
射装置FIを備えた内燃機関で、スロットル制御装置T
HにおいてはアクセルペダルAPの操作に応じてメイン
スロットルバルブMTのメインスロットル開度が制御さ
れる。また、電子制御装置ECUの出力に応じて、スロ
ットル制御装置THのサブスロットルバルブSTが駆動
されサブスロットル開度が制御されると共に、燃料噴射
装置FIが駆動され燃料噴射量が制御されるように構成
されている。本実施形態のエンジンEGは変速制御装置
GSを介して車両前方の車輪FL,FRに連結されてお
り、所謂前輪駆動方式が構成されている。制動系につい
ては、車輪FL,FR,RL,RRに夫々ホイールシリ
ンダWfl,Wfr,Wrl,Wrrが装着されてお
り、これらのホイールシリンダWfl等にブレーキ液圧
制御装置BCが接続されている。尚、車輪FLは運転席
からみて前方左側の車輪を示し、以下車輪FRは前方右
側、車輪RLは後方左側、車輪RRは後方右側の車輪を
示しており、本実施形態では所謂X配管が構成されてい
る。
【0023】車輪FL,FR,RL,RRには車輪速度
センサWS1乃至WS4が配設され、これらが電子制御
装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち
車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装
置ECUに入力されるように構成されている。更に、ブ
レーキペダルBPが踏み込まれたときにオンとなるブレ
ーキスイッチBS、車両前方の車輪FL,FRの舵角δ
f を検出する前輪舵角センサSSf、車両の横加速度を
検出する横加速度センサYG及び車両のヨーレイトを検
出するヨーレイトセンサYS等が電子制御装置ECUに
接続されている。尚、ヨーレイトセンサYSは、車両重
心を通る鉛直軸回りの車両回転角(ヨー角)の変化速
度、即ちヨー角速度(ヨーレイト)を検出するセンサ
で、その出力信号は検出ヨーレイトγa として電子制御
装置ECUに入力される。
【0024】本実施形態の電子制御装置ECUは、図3
に示すように、バスを介して相互に接続されたプロセシ
ングユニットCPU、メモリROM,RAM、入力ポー
トIPT及び出力ポートOPT等から成るマイクロコン
ピュータCMPを備えている。上記車輪速度センサWS
1乃至WS4、ブレーキスイッチBS、前輪舵角センサ
SSf、ヨーレイトセンサYS、横加速度センサYG等
の出力信号は増幅回路AMPを介して夫々入力ポートI
PTからプロセシングユニットCPUに入力されるよう
に構成されている。また、出力ポートOPTからは駆動
回路ACTを介してスロットル制御装置TH及びブレー
キ液圧制御装置BCに夫々制御信号が出力されるように
構成されている。
【0025】マイクロコンピュータCMPにおいては、
メモリROMは図4乃至図10に示したフローチャート
を含む種々の処理に供するプログラムを記憶し、プロセ
シングユニットCPUは図示しないイグニッションスイ
ッチが閉成されている間当該プログラムを実行し、メモ
リRAMは当該プログラムの実行に必要な変数データを
一時的に記憶する。尚、スロットル制御等の各制御毎
に、もしくは関連する制御を適宜組合せて複数のマイク
ロコンピュータを構成し、相互間を電気的に接続するこ
ととしてもよい。
【0026】上記のように構成された本実施形態におい
ては、電子制御装置ECUにより制動操舵制御、アンチ
スキッド制御等の一連の処理が行なわれ、イグニッショ
ンスイッチ(図示せず)が閉成されると図4乃至図10
等のフローチャートに対応したプログラムの実行が開始
する。図4及び図5は車両の制動制御作動を示すもの
で、先ずステップ100にてマイクロコンピュータCM
Pが初期化され、各種の演算値がクリアされる。次にス
テップ101において、車輪速度センサWS1乃至WS
4の検出信号が読み込まれると共に、前輪舵角センサS
Sfの検出信号(舵角δf )、ヨーレイトセンサYSの
検出ヨーレイトγa 及び横加速度センサYGの検出加速
度(即ち、実横加速度でありGysで表す)が読み込まれ
る。
【0027】次に、ステップ102に進み、各車輪の車
輪速度Vw** (**は各車輪FR等を表す)が演算されると
共に、これらが微分され各車輪の車輪加速度DVw** が
求められる。続いて、ステップ103において各車輪の
車輪速度Vw** の最大値が車両重心位置での推定車体速
度Vsoとして演算される(Vso=MAX( Vw**))。ま
た、各車輪の車輪速度Vw** に基づき各車輪毎に推定車
体速度Vso**が求められ、必要に応じ、車両旋回時の内
外輪差等に基づく誤差を低減するため正規化が行われ
る。更に、推定車体速度Vsoが微分され、車両重心位置
での推定車体加速度(符号が逆の推定車体減速度を含
む)DVsoが演算される。
【0028】次に、ステップ104に進み、目標ヨーレ
イトγt がγt ={δf /( N・L)}・Vso/(1+
Kh ・Vso2 )として演算される。ここで、Kh はスタ
ビリティファクタ、Nはステアリングギヤレシオ、Lは
ホイールベースを表す。続いて、ヨーレイトセンサYS
の検出ヨーレイトγa が読み込まれる。
【0029】また、ステップ105において、上記ステ
ップ102及び103で求められた各車輪の車輪速度V
w** と推定車体速度Vso**(あるいは、正規化推定車体
速度)に基づき各車輪の実スリップ率Sa** がSa** =
(Vso**−Vw** )/Vso**として求められる。次に、
ステップ106にて横加速度補正量(Gyb)が演算され
るが、これについては詳細に後述する。続いて、ステッ
プ107において、車両重心位置での推定車体加速度D
Vsoと横加速度センサYGの検出実横加速度Gysに基づ
き、路面摩擦係数μが近似的に{DVso2 +(Gys−G
yb)21/2 として求められる。
【0030】更に、ステップ108にて横すべり角速度
Dβが演算されると共に、横すべり角βが演算される。
この横すべり角βは、車両の進行方向に対する車体のす
べりを角度で表したもので、横すべり角速度Dβはその
微分値dβ/dtであるが、これらの演算については後
述する。
【0031】そして、図5のステップ109に進み制動
操舵制御モードとされ、後述するように制動操舵制御に
供する目標スリップ率が設定され、後述のステップ11
8の液圧サーボ制御により、車両の運転状態に応じて各
車輪に対する制動力が制御される。この制動操舵制御
は、後述する全ての制御モードにおける制御に対し重畳
される。この後ステップ110に進み、アンチスキッド
制御開始条件を充足しているか否かが判定され、開始条
件を充足し制動操舵時にアンチスキッド制御開始と判定
されると、初期特定制御は直ちに終了しステップ111
にて制動操舵制御及びアンチスキッド制御の両制御を行
なうための制御モードに設定される。
【0032】ステップ110にてアンチスキッド制御開
始条件を充足していないと判定されたときには、ステッ
プ112に進み前後制動力配分制御開始条件を充足して
いるか否かが判定され、制動操舵制御時に前後制動力配
分制御開始と判定されるとステップ113に進み、制動
操舵制御及び前後制動力配分制御の両制御を行なうため
の制御モードに設定され、充足していなければステップ
114に進みトラクション制御開始条件を充足している
か否かが判定される。制動操舵制御時にトラクション制
御開始と判定されるとステップ115にて制動操舵制御
及びトラクション制御の両制御を行なうための制御モー
ドに設定され、制動操舵制御時に何れの制御も開始と判
定されていないときには、ステップ116にて制動操舵
制御開始条件を充足しているか否かが判定される。
【0033】ステップ116において制動操舵制御開始
と判定されるとステップ117に進み制動操舵制御のみ
を行なう制御モードに設定される。そして、これらの制
御モードに基づきステップ118にて液圧サーボ制御が
行なわれた後ステップ101に戻る。尚、前後制動力配
分制御モードにおいては、車両の制動時に車両の安定性
を維持するように、後輪に付与する制動力の前輪に付与
する制動力に対する配分が制御される。ステップ116
において制動操舵制御開始条件も充足していないと判定
されると、ステップ119にて全ての電磁弁のソレノイ
ドがオフとされた後ステップ101に戻る。尚、ステッ
プ111,113,115,117に基づき、必要に応
じ、車両の運転状態に応じてスロットル制御装置THの
サブスロットル開度が調整されエンジンEGの出力が低
減され、駆動力が制限される。
【0034】図6及び図7は図4のステップ106にお
ける横加速度補正量(Gyb)の演算処理を示すもので、
先ずステップ201において、横加速度センサYGの検
出横加速度(Gys)から、ヨーレイトセンサYSの検出
ヨーレイト(γa )と推定車体速度(Vso)の積(γa
・Vso)が差し引かれ、この差(Gys−γa ・Vso)が
例えば3Hzのローパスフィルタによってフィルタ処理さ
れて、その時の偏差(Gybt )が求められる。
【0035】次にステップ202において、目標ヨーレ
イトγt と検出ヨーレイトγa の差の絶対値(|γt −
γa |)、即ち差(Δγ)が所定値(Kγ1 )と比較さ
れ、差(Δγ)が所定値(Kγ1 )を下回っている場合
にはステップ203に進みグリップ限界フラグがセット
されているか否かが判定される。未だグリップ限界フラ
グがセットされていなければ、ステップ204,205
に進む。このとき、時刻t1 に達していれば、時刻tが
時刻t1 とされると共に、その時の偏差(Gybt )が
(Gyb1 )とされる(ステップ204)。また、時刻t
1 に達する迄の偏差(Gyb( 〜t1) )もその時点での偏
差(Gybt )が用いられる(ステップ205)。一方、
グリップ限界フラグがセットされている場合にはそのま
まステップ206に進む。ステップ206においては完
全なグリップ状態にあるか否かが判定され、差(Δγ)
が所定値(Kγ2 )(但し、Kγ2 <Kγ1 )を下回っ
た状態が所定時間継続し、完全なグリップ状態と判定さ
れると、ステップ207にてグリップ限界フラグがリセ
ット(0)された後ステップ211以降に進む。ステッ
プ206において完全なグリップ状態には至っていない
と判定されるとそのまま図7のステップ211以降に進
む。而して、ステップ202にて差(Δγ)が所定値
(Kγ1 )以上となるまでステップ204において偏差
(Gyb1 ,t1)が順次更新される。
【0036】ステップ202において差(Δγ)が所定
値(Kγ1 )以上と判定された場合(図2のt1 時に対
応)には、一応グリップ限界を越えたと判定することが
できる。従って、ステップ208に進みグリップ限界フ
ラグがセットされているか否かが判定され、グリップ限
界フラグがセットされていなければステップ209にて
グリップ限界フラグがセット(1)され、ステップ21
0において、差(Δγ)が所定値(Kγ1 )以上と判定
された時の偏差(Gyb1 )がその時の偏差(Gyb( t1〜
t2) )として設定される。また、その時の横すべり角速
度の補正量(ΔDβ1 )が(Gyb1 /Vso)として求め
られる。而して、このt1 時以後t2 時迄、差(Δγ)
が所定値(Kγ1 )以上である場合にはこれらの値(G
yb1 ,ΔDβ1 )が保持されることになる。
【0037】続いて、図7のステップ211に進み、検
出ヨーレイト(γa )と推定車体速度(Vso)の積(γ
a ・Vso)の値に応じた種々のデータの記憶処理が行な
われる。即ち、演算サイクルに従い、積(γa ・Vso)
が0.1G乃至1.0Gとなる時が判定され、その時の時刻ti
とその時の偏差(Gybi )及び横すべり角速度の補正量
(ΔDβi )が順次記憶される。例えば、積(γa ・V
so)が0.1Gのときにはi=0.1 として、時刻t0.1 、偏差
(Gyb0.1 )及び横すべり角速度の補正量(ΔDβ
0.1 )が記憶される。同様に、積(γa ・Vso)が0.2G
のときにはi=0.2 として、時刻t0.2 、偏差(Gy
b0.2 )及び横すべり角速度の補正量(ΔDβ0.2)が記
憶され、以後、積(γa ・Vso)が1.0Gとなり、時刻t
1.0 、偏差(Gyb 1.0 )及び横すべり角速度の補正量
(ΔDβ1.0 )となるまで演算サイクルに従い順次メモ
リに記憶される。換言すれば、ステップ211までは真
のグリップ限界となったt0 時が不明であるので、この
t0 時におけるデータを含み、積(γa ・Vso)の種々
の値に対応する横加速度偏差(Gybi )等の種々のデー
タがメモリに記憶される。
【0038】そして、ステップ212において、グリッ
プ限界フラグがセット(1)されており、且つ横すべり
角(β)が所定値(Kβ)より大で横すべり角速度Dβ
が所定値(KDβ)より大(又は、ヨーレイトの差(Δ
γ=|γt −γa |)が所定値(Kγ3 )より大)とな
ったか否かが判定され、そうであれば制動操舵制御の開
始条件を充足し、路面摩擦係数の推定を正確に行ない得
る状態(図2のt2 時と同様の状態)と判定され、ステ
ップ213以降に進む。尚、所定値(Kγ3 )は所定値
(Kγ1 )より大(Kγ3 >Kγ1 )に設定されてい
る。
【0039】ステップ213においては、ステップ21
2の制動操舵制御開始条件を充足したと判定された時、
即ち図2のt2 時に車両走行路面の摩擦係数(μ={D
Vso22+(Gys2 −Gyb1)21/2 )が演算され、この
摩擦係数(μ)に近い値の積(γa ・Vso)がメモリか
ら選択され、その値に対応する時刻ti とその時の偏差
(Gybi )及び横すべり角速度の補正量(ΔDβi )が
選択される。つまり、推定された摩擦係数(μ、例えば
0.2G)に近似する積(γa ・Vso、例えば0.2G)となっ
たときの時刻(ti 、例えばt0.2 )が真のグリップ限
界となったt0時とされ、その時の偏差(Gybi 、例え
ばGyb0.2 )及び横すべり角速度の補正量(ΔDβi 、
例えばΔDβ0.2 )が夫々真のグリップ限界時(t0
時)の偏差(Gyb0 )即ち横加速度の補正量、及び横す
べり角速度の補正量(ΔDβ0 )とされる。そして、時
刻t2 以後の偏差Gyb( t2〜) として(Gyb0 )が用い
られる(ステップ214)。
【0040】ステップ215においては、横すべり角リ
カバー値(βr)が下記のように演算される。 βr=(ΔDβ1 −ΔDβ0 ){(t1 −t0 )/2+
(t2 −t1 )} 即ち、図2の横軸がt0 からt2 の間で、縦軸がΔDβ
0 からΔDβ1 の間の破線に囲まれた面積(斜線で示し
た面積)に対応する量が横すべり角補正値(リカバー値
βr)を表している。
【0041】図8は図4のステップ108における横す
べり角速度Dβ及び横すべり角βの演算処理を示すもの
で、先ずステップ301において、横すべり角速度(D
β)が(Gys−Gyb)/Vso−γa として求められる。
この場合において、Gybの値は、時刻t1 以前(Gyb(
〜t1) )では、その時点での値(Gybt )とされ(図6
のステップ205)、時刻t1 から時刻t2の間(Gyb(
t1〜t2) )はGyb1 に保持され(ステップ210)、時
刻t2 以後(Gyb( t2〜) )はGyb0 に保持される(ス
テップ214)。このようにして求められた横すべり角
速度(Dβ)に基づき、ステップ302において、横す
べり角速度Dβが積分され、その積分値(∫Dβdt)
に、図7のステップ215にて演算された横すべり角リ
カバー値(βr)が加算されて、横すべり角βが求めら
れる(β=∫Dβdt+βr)。
【0042】図9は図5のステップ109における制動
操舵制御の具体的処理内容を示すもので、制動操舵制御
にはオーバーステア抑制制御及びアンダーステア抑制制
御が含まれ、各車輪に関しオーバーステア抑制制御及び
/又はアンダーステア抑制制御に応じた目標スリップ率
が設定される。先ず、ステップ401,402において
オーバーステア抑制制御及びアンダーステア抑制制御の
開始・終了判定が行なわれる。
【0043】ステップ401で行なわれるオーバーステ
ア抑制制御の開始・終了判定は、図11に斜線で示す制
御領域にあるか否かに基づいて行なわれる。即ち、判定
時における横すべり角βと横すべり角速度Dβの値に応
じて制御領域に入ればオーバーステア抑制制御が開始さ
れ、制御領域を脱すればオーバーステア抑制制御が終了
とされ、図11に矢印の曲線で示したように制御され
る。また、後述するように、図11に二点鎖線で示した
境界から制御領域側に外れるに従って制御量が大となる
ように各車輪の制動力が制御される。
【0044】一方、ステップ402で行なわれるアンダ
ーステア抑制制御の開始・終了判定は、図12に斜線で
示す制御領域にあるか否かに基づいて行なわれる。即
ち、判定時において目標横加速度Gytに対する実横加速
度Gysの変化に応じて、一点鎖線で示す理想状態から外
れて制御領域に入ればアンダーステア抑制制御が開始さ
れ、制御領域を脱すればアンダーステア抑制制御が終了
とされ、図12に矢印の曲線で示したように制御され
る。
【0045】続いて、ステップ403にてオーバーステ
ア抑制制御が制御中か否かが判定され、制御中でなけれ
ばステップ404にてアンダーステア抑制制御が制御中
か否かが判定され、これも制御中でなければそのままメ
インルーチンに戻る。ステップ404にてアンダーステ
ア抑制制御と判定されたときにはステップ405に進
み、各車輪の目標スリップ率が後述するアンダーステア
抑制制御用に設定される。ステップ403にてオーバー
ステア抑制制御と判定されると、ステップ406に進み
アンダーステア抑制制御か否かが判定され、アンダース
テア抑制制御でなければステップ407において各車輪
の目標スリップ率は後述するオーバーステア抑制制御用
に設定される。また、ステップ406でアンダーステア
抑制制御が制御中と判定されると、オーバーステア抑制
制御とアンダーステア抑制制御が同時に行なわれること
になり、ステップ408にて同時制御用の目標スリップ
率が設定される。
【0046】ステップ407におけるオーバーステア抑
制制御用の目標スリップ率の設定には、横すべり角βと
横すべり角速度Dβが用いられる。また、アンダーステ
ア抑制制御における目標スリップ率の設定には、目標横
加速度Gytと検出横加速度Gysとの差が用いられる。
尚、この目標横加速度Gytの演算に目標ヨーレイトγt
が用いられ、目標横加速度GytはGyt=γt ・Vsoとし
て求められる。
【0047】ステップ405における各車輪の目標スリ
ップ率は、旋回外側の前輪がStufoに設定され、旋回内
側の前輪がStufiに設定され、旋回内側の後輪がSturi
に設定される。ここで示したスリップ率(S)の符号に
ついては "t"は「目標」を表し、後述の「実測」を表す
"a"と対比される。 "u"は「アンダーステア抑制制御」
を表し、 "f"は「前輪」、 "r"は「後輪」を表し、 "o"
は「外側」を、 "i"は「内側」を夫々表す。
【0048】ステップ407における各車輪の目標スリ
ップ率は、旋回外側の前輪がStefoに設定され、旋回内
側の後輪がSteriに設定される。ここで、 "e"は「オー
バーステア抑制制御」を表す。そして、ステップ408
における各車輪の目標スリップ率は、旋回外側の前輪が
Stefoに設定され、旋回内側の前輪がStufiに設定さ
れ、旋回内側の後輪がSturiに夫々設定される。即ち、
オーバーステア抑制制御とアンダーステア抑制制御が同
時に行なわれるときには、旋回外側の前輪はオーバース
テア抑制制御の目標スリップ率と同様に設定され、旋回
内側の車輪は何れもアンダーステア抑制制御の目標スリ
ップ率と同様に設定される。尚、何れの場合も旋回外側
の後輪(即ち、前輪駆動車における従動輪)は推定車体
速度設定用のため非制御とされている。
【0049】オーバーステア抑制制御に供する旋回外側
の前輪の目標スリップ率Stefoは、Stefo=K1 ・β+
K2 ・Dβとして設定され、旋回内側の後輪の目標スリ
ップ率Steriは”0”とされる。ここで、K1 ,K2は
定数で、加圧方向(制動力を増大する方向)の制御を行
なう値に設定される。一方、アンダーステア抑制制御に
供する目標スリップ率は、目標横加速度Gytと実横加速
度Gysの偏差ΔGy に基づいて以下のように設定され
る。即ち、旋回外側の前輪に対する目標スリップ率Stu
foはK3 ・ΔGy と設定され、定数K3 は加圧方向(も
しくは減圧方向)の制御を行なう値に設定される。ま
た、旋回内側の後輪に対する目標スリップ率SturiはK
4 ・ΔGy に設定され、定数K4 は加圧方向の制御を行
なう値に設定される。同様に、旋回内側の前輪に対する
目標スリップ率StufiはK5 ・ΔGyに設定され、定数
K5 は加圧方向の制御を行なう値に設定される。
【0050】図10は図5のステップ118で行なわれ
る液圧サーボ制御の処理内容を示すもので、各車輪につ
いてホイールシリンダ液圧のスリップ率サーボ制御が行
なわれる。先ず、前述のステップ405,407又は4
08にて設定された目標スリップ率St** がステップ5
01にて読み出され、これらがそのまま各車輪の目標ス
リップ率St** として読み出される。
【0051】続いてステップ502において、各車輪毎
にスリップ率偏差ΔSt** が演算されると共に、ステッ
プ503にて車体加速度偏差ΔDVso**が演算される。
ステップ502においては、各車輪の目標スリップ率S
t** と実スリップ率Sa** の差が演算されスリップ率偏
差ΔSt** が求められる(ΔSt** =St** −Sa*
*)。また、ステップ503においては車両重心位置で
の推定車体加速度DVsoと制御対象の車輪における車輪
加速度DVw** の差が演算され、車体加速度偏差ΔDV
so**が求められる。このときの各車輪の実スリップ率S
a** 及び車体加速度偏差ΔDVso**はアンチスキッド制
御、トラクション制御等の制御モードに応じて演算が異
なるが、これらについては説明を省略する。
【0052】続いて、ステップ504に進み、各制御モ
ードにおけるブレーキ液圧制御に供する一つのパラメー
タY**がGs** ・ΔSt** として演算される。ここでG
s**はゲインであり、横すべり角βに応じて図13に実
線で示すように設定される。また、ステップ505にお
いて、ブレーキ液圧制御に供する別のパラメータX**が
Gd** ・ΔDVso**として演算される。このときのゲイ
ンGd** は図13に破線で示すように一定の値である。
この後、ステップ506に進み、各車輪毎に、上記パラ
メータX**,Y**に基づき、図14に示す制御マップに
従って液圧モードが設定される。図14においては予め
急減圧領域、パルス減圧領域、保持領域、パルス増圧領
域及び急増圧領域の各領域が設定されており、ステップ
506にてパラメータX**及びY**の値に応じて、何れ
の領域に該当するかが判定される。尚、非制御状態では
液圧モードは設定されない(ソレノイドオフ)。
【0053】ステップ506にて今回判定された領域
が、前回判定された領域に対し、増圧から減圧もしくは
減圧から増圧に切換わる場合には、ブレーキ液圧の立下
りもしくは立上りを円滑にする必要があるので、ステッ
プ507において増減圧補償処理が行われる。例えば急
減圧モードからパルス増圧モードに切換るときには、急
増圧制御が行なわれ、その時間は直前の急減圧モードの
持続時間に基づいて決定される。上記液圧モード及び増
減圧補償処理に応じて、ステップ508にて液圧制御ソ
レノイドの駆動処理が行なわれ、ブレーキ液圧制御装置
BCのソレノイド(図示せず)が駆動され、各車輪の制
動力が制御される。このブレーキ液圧制御装置BCの構
成については従前の車両の運動制御装置に供されるブレ
ーキ液圧制御装置と同様であり、また本発明とは直接関
係しないので説明は省略する。
【0054】そして、ステップ509にて、ブレーキ液
圧制御装置BCにおける液圧ポンプ駆動用モータ(図示
せず)の駆動処理が行なわれる。尚、上記の実施形態で
はスリップ率によって制御することとしているが、制御
目標としてはスリップ率のほか、各車輪のホイールシリ
ンダのブレーキ液圧等、各車輪に付与される制動力に対
応する目標値であればどのような値を用いてもよい。
【0055】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下の効果を奏する。即ち、本発明の車両の横加速度
補正装置においては、請求項1に記載のように、横加速
度検出手段、前後加速度検出手段、車体速度検出手段、
及びヨーレイト検出手段を備え、検出横加速度に対する
検出ヨーレイトと検出車体速度の積の偏差を演算するよ
うに構成され、第1の判定時に演算した前記偏差を第1
の判定時より後の第2の判定時に検出横加速度から減算
した値及び第2の判定時に検出した前後加速度に基づき
走行路面の摩擦係数を推定し、この推定結果に基づき検
出横加速度に対する補正量を演算し、その補正量を検出
横加速度から減算して補正するように構成されているの
で、横加速度検出手段に対する外乱に影響されることな
く、適切に検出横加速度を補正し、正確な横加速度を得
ることができる。
【0056】また、請求項2に記載の横加速度補正装置
においては、車輪速度検出手段を備え、検出車輪速度に
基づき車両の推定車体速度を演算すると共に、推定車体
速度を微分して推定車体加速度を演算し、検出ヨーレイ
トと推定車体速度の積と検出横加速度に基づき前記偏差
を演算するように構成され、第1の判定時に演算した偏
差を第1の判定時より後の第2の判定時に検出横加速度
から減算した値、及び第2の判定時に演算した推定車体
加速度に基づき走行路面の摩擦係数を推定するように構
成されているので、安価な装置で適切に検出横加速度を
補正することができる。
【0057】一方、本発明の横すべり角演算装置は、請
求項3に記載のように、請求項1に記載の横加速度補正
装置を含み、補正した横加速度を検出車体速度で除算し
た値から検出ヨーレイトを減算して横すべり角速度を演
算し、この横すべり角速度を積分して横すべり角を演算
するように構成されているので、外乱に影響されること
なく、正確に横すべり角を演算することができる。
【0058】更に、請求項4に記載のように、第2の判
定時に検出横加速度の補正量に応じて横すべり角補正値
を演算し、この横すべり角補正値を、前記の横すべり角
速度を積分した値に加算して横すべり角を演算するよう
に構成すれば、一層正確に横すべり角を演算することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の横加速度補正装置の全体構成を示すブ
ロック図である。
【図2】本発明の横加速度補正装置による横加速度の補
正状況を示すグラフである。
【図3】本発明の横加速度補正装置を含む制動制御装置
の一実施形態の全体構成図である。
【図4】車両の制動制御の全体を示すフローチャートで
ある。
【図5】車両の制動制御の全体を示すフローチャートで
ある。
【図6】図4及び図5の制動制御に供する横加速度補正
量の演算処理を示すフローチャートである。
【図7】図4及び図5の制動制御に供する横加速度補正
量の演算処理を示すフローチャートである。
【図8】図4及び図5の制動制御に供する横すべり角速
度及び横すべり角の演算処理を示すフローチャートであ
る。
【図9】図5の制動操舵制御に供する目標スリップ率設
定の処理を示すフローチャートである。
【図10】図4及び図5の制動制御における液圧サーボ
制御の処理を示すフローチャートである。
【図11】図5の制動操舵制御に供するオーバステア抑
制制御の開始・終了判定領域を示すグラフである。
【図12】図5の制動操舵制御に供するアンダーステア
抑制制御の開始・終了判定領域を示すグラフである。
【図13】図5の制動操舵制御に供する液圧制御に供す
るパラメータ演算用のゲインGs** ,Gd** を示すグラ
フである。
【図14】図5の制動操舵制御に供する制御マップを示
すグラフである。
【符号の説明】
YG 横加速度センサ, YS ヨーレイトセンサ BP ブレーキペダル, MC マスタシリンダ M 電動モータ, HP1,HP2 液圧ポンプ RS1,RS2 リザーバ Wfr,Wfl,Wrr,Wrl ホイールシリンダ WS1〜WS4 車輪速度センサ FR,FL,RR,RL 車輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西尾 彰高 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 Fターム(参考) 3D032 CC21 CC48 DA24 DA25 DA29 DA33 DA39 DA82 DC02 DC03 DC09 DC12 DC33 DD02 EB21 FF01 FF05 FF08 GG01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の横加速度を検出する横加速度検出
    手段と、前記車両の前後加速度を検出する前後加速度検
    出手段と、前記車両の車体速度を検出する車体速度検出
    手段と、前記車両に発生するヨーレイトを検出するヨー
    レイト検出手段と、前記横加速度検出手段の検出横加速
    度に対する前記ヨーレイト検出手段が検出したヨーレイ
    トと前記車体速度検出手段が検出した車体速度の積の偏
    差を演算する偏差演算手段と、第1の判定時に演算した
    前記偏差を前記第1の判定時より後の第2の判定時に前
    記横加速度検出手段の検出横加速度から減算した値、及
    び前記第2の判定時に前記前後加速度検出手段が検出し
    た前後加速度に基づき前記車両の走行路面の摩擦係数を
    推定する摩擦係数推定手段と、該摩擦係数推定手段の推
    定結果に基づき前記横加速度検出手段の検出横加速度に
    対する補正量を演算する補正量演算手段と、該補正量演
    算手段が演算した補正量を前記横加速度検出手段の検出
    横加速度から減算して補正する補正手段とを備えたこと
    を特徴とする車両の横加速度補正装置。
  2. 【請求項2】 前記車両の各車輪の車輪速度を検出する
    車輪速度検出手段を備え、前記車体速度検出手段が、前
    記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記車両の
    推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段を具備す
    ると共に、前記前後加速度検出手段が、前記推定車体速
    度演算手段の演算結果の推定車体速度を微分して推定車
    体加速度を演算する推定車体加速度演算手段を具備して
    成り、前記偏差演算手段が、前記ヨーレイト検出手段が
    検出したヨーレイトと前記推定車体速度演算手段が演算
    した推定車体速度の積と前記横加速度検出手段の検出横
    加速度に基づき前記偏差を演算し、前記摩擦係数推定手
    段が、第1の判定時に演算した前記偏差を前記第1の判
    定時より後の第2の判定時に前記横加速度検出手段の検
    出横加速度から減算した値、及び前記第2の判定時に前
    記推定車体加速度演算手段が演算した推定車体加速度に
    基づき前記車両の走行路面の摩擦係数を推定するように
    構成したことを特徴とする請求項1記載の車両の横加速
    度補正装置。
  3. 【請求項3】 車両の横加速度を検出する横加速度検出
    手段と、前記車両の前後加速度を検出する前後加速度検
    出手段と、前記車両の車体速度を検出する車体速度検出
    手段と、前記車両に発生するヨーレイトを検出するヨー
    レイト検出手段と、前記横加速度検出手段の検出横加速
    度に対する前記ヨーレイト検出手段が検出したヨーレイ
    トと前記車体速度検出手段が検出した車体速度の積の偏
    差を演算する偏差演算手段と、第1の判定時に演算した
    前記偏差を前記第1の判定時より後の第2の判定時に前
    記横加速度検出手段の検出横加速度から減算した値、及
    び前記第2の判定時に前記前後加速度検出手段が検出し
    た前後加速度に基づき前記車両の走行路面の摩擦係数を
    推定する摩擦係数推定手段と、該摩擦係数推定手段の推
    定結果に基づき前記横加速度検出手段の検出横加速度に
    対する補正量を演算する補正量演算手段と、該補正量演
    算手段が演算した補正量を前記横加速度検出手段の検出
    横加速度から減算して補正する補正手段と、該補正手段
    によって補正した横加速度を前記車体速度検出手段が検
    出した車体速度で除算した値から、前記ヨーレイト検出
    手段が検出したヨーレイトを減算して前記車両の横すべ
    り角速度を演算する横すべり角速度演算手段とを備え、
    該横すべり角速度演算手段が演算した横すべり角速度を
    積分して前記車両の横すべり角を演算するように構成し
    たことを特徴とする車両の横すべり角演算装置。
  4. 【請求項4】 前記第2の判定時に前記検出横加速度の
    補正量に応じて横すべり角補正値を演算する補正値演算
    手段を具備し、該補正値演算手段が演算した横すべり角
    補正値を、前記横すべり角速度を積分した値に加算して
    前記車両の横すべり角を演算するように構成したことを
    特徴とする請求項3記載の車両の横すべり角演算装置。
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