JP2000281966A - 粉体塗料塗工シート及びその利用と製造 - Google Patents

粉体塗料塗工シート及びその利用と製造

Info

Publication number
JP2000281966A
JP2000281966A JP11092223A JP9222399A JP2000281966A JP 2000281966 A JP2000281966 A JP 2000281966A JP 11092223 A JP11092223 A JP 11092223A JP 9222399 A JP9222399 A JP 9222399A JP 2000281966 A JP2000281966 A JP 2000281966A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
inorganic fine
fine particles
resin
recording material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11092223A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Arai
俊男 新居
Kazuo Nishifuji
和夫 西藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bando Chemical Industries Ltd filed Critical Bando Chemical Industries Ltd
Priority to JP11092223A priority Critical patent/JP2000281966A/ja
Publication of JP2000281966A publication Critical patent/JP2000281966A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】金属基材との接着性にすぐれる粉体塗料塗工シ
ートを提供することにあり、特に、そのような粉体塗料
塗工シートの利用として、水性インクジェットインクの
吸収性にすぐれ、鮮明で高濃度の画像を形成することが
できる、基材が金属である水性インクジェット記録材と
その製造方法を提供することにある。 【解決手段】本発明によれば、粉体塗料がその間に部分
的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるインク受容
層を金属基材上に有する水性インクジェット記録材にお
いて、上記粉体塗料が、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒
子の表面をそれぞれ親水性無機微粒子で被覆してなり、
上記疎水性樹脂がエポキシ樹脂とブチラール樹脂とから
選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分としてなる水
性インクジェット記録材が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属からなる基材
上に粉体塗料を乾式塗工し、加熱溶融し、定着してなる
樹脂塗膜を有する粉体塗料塗工シート及びその利用と製
造に関し、詳しくは、水性インクジェット記録材や昇華
型熱転写記録材として好適に用いることができる粉体塗
料塗工シートとその製造に関する。
【0002】特に、本発明は、基材が金属である水性イ
ンクジェット記録材とその製造方法に関し、詳しくは、
水性インクジェットインクの吸収性にすぐれると共に、
鮮明で高濃度の画像を形成することができる、基材が金
属である水性インクジェット記録材とその製造方法に関
する。
【0003】
【従来の技術】従来、種々の記録方式が知られている
が、近年、ノズルから直接、水性インクを記録シートに
向かって吐出させ、付着させて、記録する水性インクジ
ェット記録方式が広く用いられるに至っている。
【0004】この水性インクジェット記録材は、従来、
水溶性又は水膨潤性の樹脂のほか、顔料やその他の添加
剤を配合した水性塗工液を基材上に湿式塗工し、水性溶
媒を除去し、乾燥させて、上記顔料を分散させた上記樹
脂層からなる層をインク受容層として形成し、上記顔料
にインク中の着色剤を吸着させると共に、上記樹脂にイ
ンク中の水分を吸収させて、インク受容層上に画像を形
成している。しかし、このような方法を金属基材に適用
しても、インク受容層は、基材への接着性に劣るので、
基材から容易に剥離し、また、上記樹脂、顔料、その他
の添加剤を配合した水性塗工液が溶媒として水を含むの
で、基材が発錆しやすい。
【0005】そこで、基材が金属であるインクジェット
記録材をこのような方法によって製造する場合は、受容
層を基材に接着させると共に、上記水性溶媒に基づく基
材における発錆を防止するために、通常、金属基材上へ
のプライマーの塗布を必要としており、製造工程が多
い。更に、上述したような方法によれば、樹脂や顔料、
その他の添加剤を含む水性溶液を基材上に湿式塗工し、
乾燥させて、インク受容層を形成するものであるから、
水性溶媒を除去するに際しては、環境への配慮が要求さ
れるのみならず、インクジェット記録材の製造費用が嵩
まざるを得ない。
【0006】更に、上述したような従来の方法によって
得られるインクジェット記録材においては、インク受容
層の表面が概ね、連続した樹脂層で覆われているので、
インクジェットインクの吸収性が低く、インクの乾燥性
に劣り、従って、用いる基材も、吸水性の高いものに限
られるので、従来、金属基材は、用いることが困難であ
るとされている。また、上述したような受容層によれ
ば、インクの発色性も十分ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の記録
材としての粉体塗料塗工シート、特に、水性インクジェ
ット記録材における上述したような問題を解決するため
になされたものであって、水性インクジェットインクの
吸収性にすぐれ、鮮明で高濃度の画像を形成することが
できる、基材が金属である水性インクジェット記録材と
その製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、粉体塗
料がその間に部分的に空隙を有しつつ、相互に融着され
てなる樹脂塗膜を金属からなる基材上に有する粉体塗料
塗工シートにおいて、上記粉体塗料が樹脂粒子の表面を
無機微粒子で被覆してなり、上記樹脂が上記金属に対し
て接着性を有する樹脂を主成分としてなる粉体塗料塗工
シートが提供される。
【0009】特に、本発明によれば、粉体塗料がその間
に部分的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるイン
ク受容層を金属基材上に有する水性インクジェット記録
材において、上記粉体塗料が、吸水性樹脂粒子と疎水性
樹脂粒子の表面をそれぞれ親水性無機微粒子で被覆して
なり、上記疎水性樹脂がエポキシ樹脂とブチラール樹脂
とから選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分として
なる水性インクジェット記録材が提供される。
【0010】また、本発明によれば、粉体塗料がその間
に部分的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるイン
ク受容層を金属基材上に有する水性インクジェット記録
材において、上記粉体塗料が、吸水性樹脂粒子と疎水性
樹脂粒子の表面をそれぞれ第1の無機微粒子で被覆して
なり、上記疎水性樹脂がエポキシ樹脂とブチラール樹脂
とから選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分として
なり、更に、上記インク受容層の上に親水性の第2の無
機微粒子からなる層が形成されている水性インクジェッ
ト記録材が提供される。
【0011】更に、本発明によれば、粉体塗料がその間
に部分的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるイン
ク受容層を金属基材上に有する水性インクジェット記録
材において、上記粉体塗料が、親水性の第1の無機微粒
子を一部、その表面に露出させつつ、含有している疎水
性樹脂組成物粒子と、この疎水性樹脂組成物粒子の表面
を被覆している親水性の第2の無機微粒子とからなり、
上記疎水性樹脂がエポキシ樹脂とブチラール樹脂とから
選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分としてなる水
性インクジェット記録材が提供される。
【0012】また、本発明によれば、粉体塗料がその間
に部分的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるイン
ク受容層を金属基材上に有する水性インクジェット記録
材において、上記粉体塗料が、親水性の第1の無機微粒
子を一部、その表面に露出させつつ、含有している疎水
性樹脂組成物粒子と、この疎水性樹脂組成物粒子の表面
を被覆している親水性の第2の無機微粒子とからなり、
上記疎水性樹脂がエポキシ樹脂とブチラール樹脂とから
選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分としてなり、
更に、上記インク受容層の上に親水性の第3の無機微粒
子からなる層が形成されてなるインクジェット記録材が
提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、金属基材とは、
金属板や箔のように、それ自体、金属からなるものでも
よく、また、樹脂シートと金属シートとの積層体のよう
に、その表面が金属であるものでもよい。また、金属と
は、鉄、鋼を含むその合金、アルミニウムやその合金等
を含むが、これらに限定されるものではない。
【0014】本発明によれば、粉体塗料がその間に部分
的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなる樹脂塗膜を
金属からなる基材上に有する粉体塗料塗工シートにおい
て、上記粉体塗料が樹脂粒子の表面を無機微粒子で被覆
してなり、上記樹脂が上記金属に対して接着性を有する
樹脂を主成分としてなる粉体塗料塗工シートが提供され
る。
【0015】上記金属に対して接着性を有する樹脂とし
ては、特に、エポキシ樹脂とブチラール樹脂とからエラ
ストマー少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0016】特に、本発明によれば、そのような粉体塗
料塗工シートの利用として、粉体塗料がその間に部分的
に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるインク受容層
を金属基材上に有する水性インクジェット記録材におい
て、上記粉体塗料が、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子
の表面をそれぞれ親水性無機微粒子で被覆してなり、上
記疎水性樹脂がエポキシ樹脂とブチラール樹脂とから選
ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分としてなる水性
インクジェット記録材が提供される。
【0017】本発明において、主成分又は主要な成分と
は、その成分の50重量%以上を占める成分をいうもの
とする。
【0018】先ず、本発明による第1の水性インクジェ
ット記録材の好ましい態様について説明する。この第1
の水性インクジェット記録材は、粉体塗料がその間に部
分的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるインク受
容層を金属基材上に有する水性インクジェット記録材に
おいて、上記粉体塗料が、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂
粒子の表面をそれぞれ親水性の第1の無機微粒子で被覆
してなり、上記疎水性樹脂がエポキシ樹脂とブチラール
樹脂とから選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分と
してなるものである。
【0019】このような第1の水性インクジェット記録
材の製造に用いる粉体塗料は、平均粒径0.1〜50μm
の吸水性樹脂粒子と、エポキシ樹脂とブチラール樹脂と
から選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分とする疎
水性樹脂粒子とを平均粒径1nmから5μmの親水性の
第1の無機微粒子と混合して、それぞれの表面を上記親
水性の第1の無機微粒子で被覆することによって得るこ
とができる。
【0020】上記吸水性樹脂は、それを構成するポリマ
ー素材において、特に限定されるものではないが、化学
架橋型吸水性樹脂であることが好ましく、また、樹脂単
位重量当たりの脱イオン水の吸水量は、100〜100
0g/gの範囲にあるものが好ましく、特に、300〜
1000g/gの範囲にあるものが好ましい。このよう
な吸水性樹脂として、例えば、ポリアクリル酸部分ナト
リウム塩架橋物(例えば、(株)日本触媒製アクアリッ
ク(登録商標)CA、三洋化成工業(株)製サンフレッ
シュST−500MPS等)や、デンプン・アクリル酸
グラフト重合体部分ナトリウム塩(例えば、三洋化成工
業(株)製サンフレッシュST−500Sや100等)
を挙げることができる。
【0021】このほかにも、架橋イソブチレン−マレイ
ン酸ナトリウム共重合体、架橋スチレン−マレイン酸ナ
トリウム共重合体、デンプン−ポリアクリル酸ナトリウ
ムグラフト化物、デンプン−ポリアクリロニトリルグラ
フト化物のケン化物、セルロース−ポリアクリル酸ナト
リウムグラフト化物、ビニルアルコール−(メタ)アク
リル酸ナトリウム共重合体等を挙げることができる。こ
のような化学架橋型吸水性樹脂は、市販品を入手するこ
とができる。
【0022】しかし、本発明においては、吸水性樹脂粒
子は、これを疎水性樹脂粒子と共に粉体塗料とし、これ
を基材上に乾式塗工するので、その平均粒径は、0.1〜
50μmの範囲にあるのが好ましく、特に、0.5〜30
μmの範囲にあるのが好ましい。平均粒径が50μmを
越えるときは、基材上に乾式塗工したときに、塗りむら
が生じることがある。特に、本発明においては、吸水性
樹脂は、平均粒径が1〜20μmの範囲にあるのが好ま
しい。
【0023】また、本発明によれば、吸水性樹脂は、基
材上に乾式塗工した後、疎水性樹脂粒子と共に加熱し、
相互に融着させるさせるために、軟化点は70〜100
℃の範囲にあるのが好ましい。軟化点が70℃よりも低
いときは、常温で凝集しやすく、乾式塗工し難い。しか
し、軟化点が100℃を越えるときは、相互に融着させ
難くなるので好ましくない。
【0024】本発明によれば、上記疎水性樹脂として
は、脱イオン水の吸水量が自重の0.1倍以下であって、
エポキシ樹脂とブチラール樹脂とから選ばれる少なくと
も1種を50〜100重量%、好ましくは、80〜10
0重量%からなるのが用いられる。このような疎水性樹
脂を用いることによって、金属基材上にプライマーを塗
布することなく、得られる粉体塗料を金属基材によく接
着させることができる。
【0025】上記エポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基
を2つ以上有する樹脂であって、本発明においては、ビ
スフェノールAのグリシジルエーテル型、ポリオールの
グリシジルエーテル型、ポリアシッドのグリシジルエス
テル型、脂環式エポキシ化合物等、いずれでも用いるこ
とができる。これらは、いずれも市販品を入手すること
ができる。このような市販品として、例えば、エピコー
ト1004(油化シェルエポキシ(株)製)を挙げるこ
とができる。
【0026】また、ブチラール樹脂は、ポリビニルアル
コールとブチルアルデヒドとの反応によって得られる樹
脂であって、通常、酢酸ビニル単位、ビニルアルコール
単位及びビニルブチラール単位からなり、重合度200
〜1500、ブチラール化度約57〜70モル%の範囲
にある。ブチラール樹脂も、市販品を入手することがで
きる。このような市販品として、例えば、エスレックB
X−L(積水化学工業(株)製)を挙げることができ
る。
【0027】疎水性樹脂の他の樹脂成分としては、特
に、限定されるものではないが、例えば、飽和ポリエス
テル樹脂、スチレン・アクリル共重合樹脂、エチレン−
酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹
脂等を挙げることができる。
【0028】上記飽和ポリエステル樹脂として、市販品
を好適に用いることができる。そのような市販品とし
て、例えば、バイロン103、200、290、600
(東洋紡績(株)製)、KA−1038C(荒川化学
(株)製)、TP−220、235(日本合成化学工業
(株)製)、ダイヤクロンER−101、ER−50
1、FC−172、FC−344、FC−714(三菱
レイヨン(株)製)、タフトンNE−382、111
0、2155(花王(株)製)等を挙げることができ
る。
【0029】スチレン・アクリル共重合体樹脂は、スチ
レンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であっ
て、具体的には、(メタ)アクリル酸エステルとして
は、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタク
リレート等を挙げることができる。
【0030】このようなスチレン・アクリル共重合体樹
脂も、種々の市販品を好適に用いることができる。市販
品としては、例えば、ハイマーUNI−3000、TB
−1800、TBH−1500(三洋化成工業(株)
製)、CPR−100、600B、200、300、X
PA4799、4800(三井化学(株)製)等を挙げ
ることができる。
【0031】本発明によれば、疎水性樹脂に、必要に応
じて、予め、これを着色剤やオフセット防止剤と溶融混
練し、冷却、粉砕した後、分級することによって、望ま
しい平均粒径を有せしめることができる。
【0032】上記着色剤は、好ましくは、白色のもので
あり、例えば、酸化チタンが好ましく用いられるが、こ
れに限定されるものではない。着色剤は、基材に所要の
地色を与える。白色の着色剤は、基材に白色の地色を与
える。着色剤は、疎水性樹脂に対して、通常、1〜50
重量%、好ましくは、5〜40重量%の範囲で用いられ
る。
【0033】オフセット防止剤は、後述するように、粉
体塗料を基材上に乾式塗工した後、加熱して、一部、溶
融させて、相互の間に空隙を有しつつ、相互に融着され
てなるインク受容層を形成する際にオフセットを起こさ
ないように、疎水性樹脂に配合される。オフセット防止
剤としては、通常、融点が50〜150℃の範囲にある
種々のワックス類が好ましく用いられる。具体的には、
例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンやポリプロ
ピレン等のポリオレフィンワックス、脂肪酸金属塩、脂
肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール等を挙げる
ことができる。このようなオフセット防止剤は、通常、
疎水性樹脂に対して、0.1〜20重量%、好ましくは、
0.5〜10重量%の範囲で用いられる。
【0034】このように、必要に応じて着色剤やオフセ
ット防止剤を配合した疎水性樹脂を粒子とするには、疎
水性樹脂と着色剤やオフセット防止剤と共に混合し、通
常、100〜200℃程度の温度で溶融混練し、冷却し
た後、粉砕し、分級することによって得ることができ
る。本発明によれば、このような疎水性樹脂粒子は、特
に限定されるものではないが、共に用いる吸水性樹脂粒
子と近い平均粒径を有するのが好ましく、通常、0.1〜
50μm、好ましくは、0.5〜20μmの範囲の平均粒
径を有するように分級される。
【0035】また、本発明によれば、疎水性樹脂は、基
材上に乾式塗工した後、吸水性樹脂粒子と共に加熱し、
相互に融着させるさせるために、軟化点は70〜120
℃の範囲にあるのが好ましい。軟化点が70℃よりも低
いときは、常温で凝集しやすく、乾式塗工し難い。しか
し、軟化点が120℃を越えるときは、相互に融着させ
難く、また、基材に定着させ難くなるので好ましくな
い。
【0036】本発明によれば、吸水性樹脂粒子と疎水性
樹脂粒子の表面をそれぞれ親水性の第1の無機微粒子で
被覆して粉体塗料となし、これを金属基材上に乾式塗工
し、加熱して、上記粉体塗料がその間に部分的に空隙を
有しつつ、相互に融着されてなるインク受容層を金属基
材上に形成する。
【0037】ここに、上記親水性の第1の無機微粒子と
しては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、
酸化チタン等の微粒子が好ましく用いられ、このような
親水性の第1の無機微粒子は、吸水性樹脂粒子と疎水性
樹脂粒子の表面をそれぞれ十分に被覆することができる
ように、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子のそれぞれ平
均粒径に比べて十分に小さいことが望ましく、この点を
考慮して、通常、その平均粒径が5μm以下、好ましく
は1nm〜1μmのものが好ましく用いられる。また、
親水性の第1の無機微粒子は、吸水性樹脂粒子や疎水性
樹脂粒子の平均粒径の1/3程度でもよいが、好ましく
は、1/10以下であり、特に好ましくは、1/100
以下である。
【0038】このような親水性の第1の無機微粒子は、
市販品を容易に入手することができる。市販品の具体例
としては、例えば、日本アエロジル(株)製の無水シリ
カであるアエロジル(登録商標)50、90G、13
0、200、200V、200CF、200FAD、3
00、300CF、380、OX50、TT600、M
OX80、MOX170、COK84等や、酸化アルミ
ニウムC、二酸化チタンP25等、塩野義製薬(株)製
カープレックス(登録商標)シリカFPS−2、FPS
−3、FPS−4、FPS−5、FPS−101、CS
−5、CS−7、BS−304F、BS−304N等、
更に、クラリアントジャパン社製の無水シリカS13、
V15、N20、T30、T40、白石工業(株)製の
炭酸カルシウムであるカルライトKT等を挙げることが
できる。
【0039】本発明によれば、このような親水性の第1
の無機微粒子は、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の合
計量100重量部に対して、3〜12重量部、好ましく
は、5〜10重量部の範囲で用いられる。即ち、吸水性
樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の合計量100重量部に対し
て、親水性の第1の無機微粒子3〜12重量部を混合
し、それぞれの粒子の表面を被覆させ、これを粉体塗料
として用いて、金属基材上に乾式塗工し、加熱して、粉
体塗料を部分的に溶融させることによって、粉体塗料を
その間に部分的に空隙を有しつつ、相互に融着させて、
相互の間に空隙を有する樹脂層をインク受容層として金
属基材上に形成する。
【0040】本発明においては、このようなインク受容
層の厚みは、通常、2〜80μmの範囲であるが、好ま
しくは、5〜50μmの範囲である。本発明によれば、
このように、表面を親水性の第1の無機微粒子で被覆し
た吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子がインク受容層を形
成しているので、受容層の表面もまた、親水性の第1の
無機微粒子で被覆されている。
【0041】従って、親水性の第1の無機微粒子が吸水
性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の合計量100重量部に対
して3重量部よりも少ないときは、上記樹脂粒子のそれ
ぞれの表面が親水性の第1の無機微粒子によって十分に
被覆されず、インク受容層の表面もまた、親水性の第1
の無機微粒子で十分に被覆されないので、得られるイン
クジェット記録材は、発色性が十分でなく、鮮明で高濃
度の画像を形成することができない。他方、親水性の第
1の無機微粒子が吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子10
0重量部に対して12重量部よりも多いときは、特に、
疎水性樹脂粒子が基材と直接に接触し難く、このような
粉体塗料を加熱しても、金属基材に十分に定着させるこ
とが困難であり、インク受容層の金属基材への密着性を
阻害する。
【0042】更に、本発明によれば、粉体塗料を形成す
る主要成分である疎水性樹脂粒子がエポキシ樹脂とブチ
ラール樹脂とから選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂
成分としており、これら樹脂は、金属基材に対する接着
性にすぐれているので、金属基材にプライマー処理を施
さずとも、上述したように、粉体塗料を金属基材上に乾
式塗工し、加熱し、粉体塗料を部分的に溶融させること
によって、金属基材上に接着性のすぐれたインク受容層
を形成することができる。
【0043】更に、本発明によれば、吸水性樹脂と疎水
性樹脂の割合は、吸水性樹脂が5〜50重量%、疎水性
樹脂が95〜50重量%の範囲であるのが好ましい。吸
水性樹脂粒子の割合が5重量%よりも少ないときは、イ
ンク受容層が十分な吸水性をもたず、インクの吸収性が
十分でない。他方、吸水性樹脂粒子の割合が50重量%
よりも多いときは、インク受容層にインクが付着したと
き、インク受容層が膨潤し、その後、乾燥し、収縮した
際に、表面(従って、画像)にひび割れが生じるおそれ
がある。
【0044】本発明によれば、吸水性樹脂と疎水性樹脂
の割合を上記の範囲とすることによって、インク受容層
にインクが付着したとき、吸水性樹脂にインク、特に、
水分を速やかに吸収させて、インクジェットインクの吸
収性を確保すると共に、その際の膨潤を極力、抑え、従
って、乾燥したときの収縮を極力、抑えることによっ
て、画像にひび割れが生じるのを有効に防ぐことができ
る。
【0045】本発明によれば、このようなインク受容層
の上に親水性の第2の無機微粒子からなる層を有せしめ
ることができる。この親水性の第2の無機微粒子は、吸
水性樹脂と疎水性樹脂をそれぞれ被覆して粉体塗料とす
るための前記第1の親水性無機微粒子と同じでも、異な
っていてもよく、従って、親水性の第2の無機微粒子と
しても、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、
酸化チタン等の微粒子を挙げることができる。このよう
な親水性の第2の無機微粒子は、その平均粒径が1nm
から1μm、好ましくは1nm〜50nmの範囲のもの
が好ましく用いられる。最も好ましい親水性の第2の無
機微粒子は、平均粒径が5〜30nmの範囲にあるもの
である。
【0046】このような2層構造を有するインク受容層
を備えたインクジェット記録シートは、前述したように
して、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子とをそれぞれ前
記第1の親水性無機微粒子で被覆してなる粉体塗料を金
属基材上に乾式塗工し、加熱、定着させて、粉体塗料層
を形成し、次いで、この粉体塗料層の上に親水性の第2
の無機微粒子を乾式塗工し、加圧下に加熱して、親水性
の第2の無機微粒子からなる層を上記粉体塗料層上に定
着させ、かくして、金属基材上に上記粉体塗料がその間
に部分的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるイン
ク受容層を形成すると共に、このインク受容層の上に上
記親水性の第2の無機微粒子からなる層を形成すること
によって得ることができる。
【0047】しかし、本発明によれば、必要に応じて、
吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子をそれぞれ前記第1の
親水性無機微粒子で被覆してなる粉体塗料を金属基材上
に乾式塗工して、粉体塗料層を形成し、次いで、この粉
体塗料層の上に親水性の第2の無機微粒子を乾式塗工し
て、親水性の第2の無機微粒子からなる層を形成し、次
いで、上記親水性の第2の無機微粒子からなる層をその
上に有する粉体塗料層を加圧下に加熱し、かくして、基
材上に上記粉体塗料がその間に部分的に空隙を有しつ
つ、相互に融着されてなるインク受容層を形成すると共
に、このインク受容層の上に上記親水性の第2の無機微
粒子からなる層を形成することによっても得ることがで
きる。
【0048】親水性の第2の無機微粒子の平均粒径が1
μmよりも大きいときは、このような無機微粒子の層を
表面に有する記録シートにインクジェット記録を行なっ
たとき、得られる画像が正確性に欠ける場合があり、高
品質の画像を与えるインクジェット記録材を得ることが
できない。他方、親水性の第2の無機微粒子は、平均粒
径が1nmよりも小さくともよいが、入手の容易性か
ら、1nm以上の平均粒径を有するものを用いれば十分
である。
【0049】本発明によれば、親水性の第2の無機微粒
子からなる層の厚さは、通常、10nmから10μmの
範囲にあり、特に、20nmから5μmの範囲にあるの
が好ましい。
【0050】本発明によれば、このように、受容層の上
に親水性の第2の無機微粒子からなる層を形成させると
き、その受容層を形成するための粉体塗料は、前記吸水
性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の合計量の100重量部の
表面を疎水性の無機微粒子3〜12重量部、好ましく
は、5〜10重量部で被覆してなるものであってもよ
い。また、受容層を形成するための粉体塗料は、前記吸
水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の合計量の100重量部
の表面を前記第1の親水性の無機微粒子と疎水性の無機
微粒子との混合物3〜12重量部、好ましくは、5〜1
0重量部で被覆してなるものであってもよい。
【0051】このようなインクジェット記録材によれ
ば、これにインクジェットインクが付着したとき、イン
ク中の着色剤は、上記親水性の第2の無機微粒子によっ
て捕捉されるので、鮮明で高濃度の画像を形成し、他
方、インク中の水分は、上記親水性の第2の無機微粒子
によって速やかに濾過され、受容層中に浸透して、速や
かに粉体塗料間の空隙に吸収され、また、前記吸水性樹
脂粒子と疎水性樹脂粒子が前記親水性の第1の無機微粒
子で被覆されているときは、それに吸着される。
【0052】このような疎水性無機微粒子も、前記吸水
性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の表面を十分に被覆するこ
とができるように、それぞれの樹脂粒子の平均粒径に比
べて十分に小さいことが望ましく、この点を考慮して、
通常、その平均粒径が5μm以下、好ましくは1nm〜
1μmのものが好ましく用いられる。疎水性無機微粒子
は、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子のそれぞれの平均
粒径の1/3程度でもよいが、好ましくは、1/10以
下であり、特に好ましくは、1/100以下である。
【0053】このような疎水性の無機微粒子も、市販品
を容易に入手することができる。市販品の具体例として
は、例えば、日本アエロジル(株)の無水シリカである
アエロジル(登録商標)R972、R972V、R97
2CF、R974、R202、R805、R812S、
二酸化チタンT805、RX200、RY200等や、
クラリアントジャパン社製の無水シリカH15、H2
0、H30、H2000、H2000/4、H300
4、H2015EP、H2050EP等を挙げることが
できる。
【0054】図1に本発明によるインクジェット記録シ
ートの一実施例の断面を模式的に示す。個々の吸水性樹
脂粒子11aと疎水性樹脂粒子11bは、それぞれその
表面が親水性の第1の無機微粒子12によって被覆され
て、粉体塗料13を形成しており、これら粉体塗料は、
その間に部分的に空隙14を有しつつ、相互に融着さ
れ、金属基材15上に定着されて、インク受容層16を
形成している。
【0055】図2に本発明によるインクジェット記録シ
ートの別の実施例の断面を模式的に示す。図1に示す実
施例と同様に、粉体塗料23は、個々の吸水性樹脂粒子
21aと疎水性樹脂粒子21bがそれぞれその表面を第
1の親水性無機微粒子22によって被覆されて形成され
ており、この粉体塗料の粒子が相互にその間に部分的に
空隙24を有しつつ、相互に融着され、金属基材25上
に定着されて、インク受容層26を形成している。この
実施例においては、上記インク受容層26の上に更に親
水性の第2の無機微粒子27からなる層28が形成され
て、インク受容層が2層構造を有している。
【0056】本発明において、粉体塗料を基材上に乾式
塗工するには、例えば、静電スプレー法、静電浸漬法等
の静電塗装、溶射法、吹き付け塗装法、ディスパージョ
ン法、粉末溶融積層法等の粉体塗装、散粉法、カスケー
ド法、磁気ブラシ現像法、パウダークラウド法、オープ
ンチャンバー法、液体現像法、毛皮現像法、印写現像
法、静電誘導による現像法等の電子写真方式等によるこ
とができる。
【0057】しかし、これらの乾式塗工のなかでも、本
発明においては、例えば、静電スプレー法を好ましく用
いることができる。この静電スプレー法は、粉体塗装の
一種であるが、具体的には、スプレーガンの先端に粉体
塗料を空気にて搬送すると共に、このスプレーガンの先
端に組み込んだ針電極に負の高電圧(例えば、−50〜
−90kV)を印加し、上記粉体塗料を負に帯電させ、
他方、基材の裏面に接地した電極を沿わせ、かくして、
スプレーガンと接地した電極との間に存在する電界によ
って、上記負に帯電した粉体塗料を上記基材まで運んで
静電的に付着させるのである。
【0058】次に、本発明による第2の水性インクジェ
ット記録材の好ましい態様について説明する。この第2
の水性インクジェット記録材は、粉体塗料がその間に部
分的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるインク受
容層を金属基材上に有する水性インクジェット記録材に
おいて、上記粉体塗料が、平均粒径1μmから5μmの
親水性の第1の無機微粒子を一部、その表面に露出させ
つつ、含有している平均粒径5〜30μmの疎水性樹脂
組成物粒子と、この疎水性樹脂組成物粒子の表面を被覆
している平均粒径1nmから1μmの親水性の第2の無
機微粒子とからなり、上記疎水性樹脂がエポキシ樹脂と
ブチラール樹脂とから選ばれる少なくとも1種を主要な
樹脂成分としてなるものである。
【0059】このような第2の水性インクジェット記録
材の製造に用いる粉体塗料は、エポキシ樹脂とブチラー
ル樹脂とから選ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分
としてなる疎水性樹脂と平均粒径1μmから5μmの親
水性の第1の無機微粒子とを溶融混練し、平均粒径5〜
30μmを有するように粉砕して、上記親水性の第1の
無機微粒子を一部、上記疎水性樹脂粒子の表面に露出さ
せつつ、含有させた疎水性樹脂組成物粒子とした後、こ
れを平均粒径1nmから1μmの親水性の第2の無機微
粒子と混合して、上記疎水性樹脂組成物粒子の表面を上
記親水性の第2の無機微粒子で被覆することによって得
ることができる。
【0060】本発明によれば、金属基材上にプライマー
を塗布することなく、上記粉体塗料が金属基材によく接
着するように、上記疎水性樹脂としては、前述したよう
に、脱イオン水の吸水量が自重の0.1倍以下であって、
エポキシ樹脂とブチラール樹脂とから選ばれる少なくと
も1種を50〜100重量%、好ましくは、80〜10
0重量%からなるのが用いられる。疎水性樹脂の他の樹
脂成分としては、特に、限定されるものではないが、前
述したように、例えば、飽和ポリエステル樹脂、スチレ
ン・アクリル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合
樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂等を挙げること
ができる。
【0061】本発明による第2の水性インクジェット記
録材において用いる上記親水性の第1の無機微粒子は、
平均粒径が1μmから5μmの範囲の粒子であり、市販
品を好適に用いることができる。そのような市販品とし
て、例えば、塩野義製薬(株)製のカープレックス、水
澤化学工業(株)製のミズカシル、(株)トクヤマ製の
ファインシールX−37、40、70、80等のシリカ
や、米庄石灰工業(株)製のED−I、ED−III 、E
D−V、白石カルシウム(株)製のカルライトKT等の
炭酸カルシウム等を挙げることができる。
【0062】本発明によれば、このような親水性の第1
の無機微粒子を前記疎水性樹脂に対して5〜30重量%
の範囲で用いて、これらを溶融混練し、冷却した後、こ
れを平均粒径5〜30μmを有するように粉砕すること
によって、上記親水性の第1の無機微粒子を一部、疎水
性樹脂粒子の表面に露出させつつ、疎水性樹脂粒子中に
分散、含有させた疎水性樹脂組成物粒子を得ることがで
きる。
【0063】本発明によれば、このように、疎水性樹脂
と平均粒径が1μmから5μmの範囲の親水性の第1の
無機微粒子を溶融混練し、冷却した後、平均粒径5〜3
0μmを有するように粉砕するとき、上記親水性の第1
の無機微粒子が大きい平均粒径を有するので、混練物が
主として上記疎水性樹脂と上記無機微粒子との界面で割
れて、そのように大きい粒径を有する無機微粒子が疎水
性樹脂粒子の表面に一部、露出した疎水性樹脂組成物粒
子を得ることができる。上記親水性の第1の無機微粒子
の平均粒径が1μmよりも小さいときは、混練物は、疎
水性樹脂粒子中に均一に分散、含有され、その界面にお
いて混練物が割れることは少ない。他方、上記親水性の
第1の無機微粒子の平均粒径が5μmよりも大きいとき
は、疎水性樹脂組成物粒子と共に、無機微粒子が独立し
た粒子として存在するので、後述するように、粉体塗料
を基材上に乾式塗工し、加熱して、定着させるに際し
て、良好な定着を阻害するおそれがある。
【0064】このように、本発明に従って、疎水性樹脂
と平均粒径1μmから5μmの親水性の第1の無機微粒
子を溶融混練し、冷却し、平均粒径5〜30μmを有す
るように粉砕して、上記無機微粒子を疎水性樹脂粒子中
に分散、含有させることによって、上記無機微粒子は、
一部が上記疎水性樹脂粒子の表面に露出し、かくして、
疎水性樹脂粒子に親水性を与えて、これより形成される
インク受容層にインクの吸収性と発色性を与えることが
できる。
【0065】本発明によれば、前述したように、疎水性
樹脂組成物粒子に着色剤やオフセット防止剤を適宜量、
配合してもよい。
【0066】本発明による第2の水性インクジェット記
録材の製造に用いる粉体塗料は、このように、疎水性樹
脂と平均粒径1μmから5μmの親水性の第1の無機微
粒子とを、通常、100〜200℃程度の温度で溶融混
練し、冷却した後、平均粒径5〜30μmを有するよう
に粉砕して、疎水性樹脂組成物粒子を得た後、これを平
均粒径1nmから1μmの親水性の第2の無機微粒子と
混合して、上記疎水性樹脂組成物粒子の表面を上記親水
性の第2の無機微粒子で被覆することによって得ること
ができる。
【0067】親水性の第2の無機微粒子の平均粒径が1
μmよりも大きいときは、このような無機微粒子を疎水
性樹脂組成物粒子と混合し、疎水性樹脂組成物粒子表面
を被覆しても、疎水性樹脂組成物粒子を一様に被覆する
ことが困難であり、その表面のうち、親水性の第2の無
機微粒子で被覆されない割合が多くなり、その結果、疎
水性樹脂組成物粒子が十分な親水性をもたず、延いて
は、水性インクジェットインクの吸収性と発色性にすぐ
れるインク受容層を形成することが困難である。
【0068】このような親水性の第2の無機微粒子は、
市販品を容易に入手することができる。市販品の具体例
としては、例えば、日本アエロジル(株)製の無水シリ
カであるアエロジル(登録商標)50、90G、13
0、200、200V、200CF、200FAD、3
00、300CF、380、OX50、TT600、M
OX80、MOX170、COK84等や、酸化アルミ
ニウムC、二酸化チタンP25等、クラリアントジャパ
ン社製の無水シリカS13、V15、N20、T30、
T40等を挙げることができる。
【0069】本発明によれば、このような親水性の第2
の無機微粒子は、疎水性樹脂組成物粒子100重量部に
対して、3〜12重量部、好ましくは、5〜10重量部
の範囲で用いられる。即ち、疎水性樹脂組成物粒子10
0重量部に対して、親水性の第2の無機微粒子3〜12
重量部を混合し、上記疎水性樹脂組成物粒子の表面を被
覆させ、これを粉体塗料として用いて、金属基材上に乾
式塗工し、加熱して、粉体塗料を部分的に溶融させるこ
とによって、粉体塗料をその間に部分的に空隙を有しつ
つ、相互に融着させて、相互の間に空隙を有する樹脂層
をインク受容層として金属基材上に形成する。粉体塗料
がその間に有する空隙は、通常、1nmから200nm
の範囲である。また、本発明においては、このようなイ
ンク受容層の厚みは、通常、2〜80μmの範囲である
が、好ましくは、5〜50μmの範囲である。
【0070】本発明によれば、このように、表面に一
部、親水性の第1の無機微粒子を露出させつつ、分散、
含有させて、疎水性樹脂組成物粒子とし、更に、この疎
水性樹脂組成物粒子の表面を親水性の第2の無機微粒子
で被覆させてなる粉体塗料がインク受容層を形成してい
るので、インク受容層の表面もまた、上記親水性の第1
及び第2の無機微粒子で被覆されている。
【0071】従って、親水性の第2の無機微粒子が疎水
性樹脂組成物粒子100重量部に対して3重量部よりも
少ないときは、上記疎水性樹脂組成物粒子の表面が親水
性の第2の無機微粒子によって十分に被覆されず、イン
ク受容層の表面もまた、親水性無機微粒子で十分に被覆
されないので、得られるインクジェット記録材は、発色
性が十分でなく、鮮明で高濃度の画像を形成することが
できない。他方、親水性の第2の無機微粒子が疎水性樹
脂組成物粒子100重量部に対して12重量部よりも多
いときは、特に、疎水性樹脂組成物粒子が基材と直接に
接触し難く、このような粉体塗料を加熱しても、基材に
十分に定着させることが困難である。
【0072】更に、本発明によれば、粉体塗料を形成す
る疎水性樹脂がエポキシ樹脂とブチラール樹脂とから選
ばれる少なくとも1種を主要な樹脂成分としており、こ
れら樹脂は、金属基材に対する接着性にすぐれているの
で、金属基材にプライマー処理を施さずとも、上述した
ように、粉体塗料を金属基材上に乾式塗工し、加熱し、
粉体塗料を部分的に溶融させることによって、金属基材
上に接着にすぐれたインク受容層を形成することができ
る。
【0073】本発明による第2の水性インクジェット記
録材によれば、このようなインク受容層の上に親水性の
第3の無機微粒子からなる層を有せしめることができ
る。この親水性の第3の無機微粒子としては、通常、こ
の第2の水性インクジェット記録材の製造に用いた前記
親水性の第2の無機微粒子と同じものが用いられるが、
その種類は、親水性の第2の無機微粒子と同じである必
要はない。従って、親水性の第3の無機微粒子は、その
平均粒径が1nmから1μmの範囲にあればよいが、好
ましくは、平均粒径が1nm〜50nmの範囲にあり、
最も好ましくは、平均粒径が5〜30nmの範囲にある
ものである。
【0074】このような2層構造を有するインク受容層
を備えたインクジェット記録シートは、前述したように
して、前記粉体塗料を金属基材上に乾式塗工し、加熱、
定着させて、粉体塗料層を形成し、次いで、この粉体塗
料層の上に上記親水性の第3の無機微粒子を乾式塗工
し、加圧下に加熱して、親水性の第3の無機微粒子から
なる層を上記粉体塗料層上に定着させ、かくして、金属
基材上に上記粉体塗料がその間に部分的に空隙を有しつ
つ、相互に融着されてなるインク受容層を形成すると共
に、このインク受容層の上に上記親水性の第3の無機微
粒子からなる層を形成することによって得ることができ
る。
【0075】しかし、本発明によれば、必要に応じて、
前記粉体塗料を金属基材上に乾式塗工して、粉体塗料層
を形成し、次いで、この粉体塗料層の上に親水性の第3
の無機微粒子を乾式塗工して、親水性の第3の無機微粒
子からなる層を形成し、次いで、上記親水性の第3の無
機微粒子からなる層をその上に有する粉体塗料層を加圧
下に加熱し、かくして、基材上に上記粉体塗料がその間
に部分的に空隙を有しつつ、相互に融着されてなるイン
ク受容層を形成すると共に、このインク受容層の上に上
記親水性の第3の無機微粒子からなる層を形成すること
によっても得ることができる。
【0076】上記第3の親水無機微粒子の平均粒径が1
μmよりも大きいときは、このような無機微粒子の層を
表面に有する記録シートにインクジェット記録を行なっ
たとき、得られる画像が正確性に欠ける場合があり、高
品質の画像を与えるインクジェット記録シートを得るこ
とができない。他方、上記親水性の第3の無機微粒子
は、平均粒径が1nmよりも小さくともよいが、入手の
容易性から、1nm以上の平均粒径を有するものを用い
れば十分である。
【0077】このように、受容層の上に親水性の第3の
無機微粒子からなる層を有するインクジェット記録シー
トは、これにインクジェットインクが付着したとき、イ
ンク中の着色剤は、上記親水性の第3の無機微粒子の層
によって捕捉されるので、鮮明で高濃度の画像を形成
し、他方、インク中の水分は、上記親水性の第3の無機
微粒子の層によって速やかに濾過され、受容層中に浸透
して、速やかに粉体塗料間の空隙に吸着され、また、そ
の表面の親水性の無機微粒子に吸着される。
【0078】本発明によれば、親水性の第3の無機微粒
子からなる層の厚さは、通常、10nmから10μmの
範囲にあり、特に、20nmから5μmの範囲にあるの
が好ましい。
【0079】本発明によれば、このように、受容層の上
に親水性の第3の無機微粒子からなる層を形成させると
き、その受容層を形成するための粉体塗料は、前記平均
粒径5〜20μmの疎水性樹脂組成物粒子100重量部
の表面を疎水性の無機微粒子3〜12重量部、好ましく
は、5〜10重量部で被覆してなるものであってもよ
い。また、受容層を形成するための粉体塗料は、前記平
均粒径5〜20μmの疎水性樹脂組成物粒子100重量
部の表面を前記第2の親水性の無機微粒子と疎水性の無
機微粒子の混合物3〜12重量部、好ましくは、5〜1
0重量部で被覆してなるものであってもよい。
【0080】このようなインクジェット記録シートによ
れば、これにインクジェットインクが付着したとき、イ
ンク中の着色剤は、上記親水性の第3の無機微粒子の層
によって捕捉されるので、鮮明で高濃度の画像を形成
し、他方、インク中の水分は、上記親水性の第3の無機
微粒子の層によって速やかに濾過され、受容層中に浸透
して、速やかに粉体塗料間の空隙に吸着され、また、疎
水性樹脂組成物粒子がその表面に親水性の無機微粒子を
有するときは、それに吸着される。
【0081】上記疎水性無機微粒子も、前記疎水性樹脂
組成物粒子の表面を十分に被覆することができるよう
に、疎水性樹脂組成物粒子の平均粒径に比べて十分に小
さいことが望ましく、この点を考慮して、通常、その平
均粒径が5μm以下、好ましくは1nm〜1μmのもの
が好ましく用いられる。この疎水性無機微粒子は、疎水
性樹脂組成物粒子の平均粒径の1/3程度でもよいが、
好ましくは、1/10以下であり、特に好ましくは、1
/100以下である。
【0082】このような疎水性の無機微粒子も、市販品
を好適に用いることができる。そのような市販品として
は、例えば、日本アエロジル(株)の無水シリカである
アエロジル(登録商標)R972、R972V、R97
2CF、R974、R202、R805、R812S、
二酸化チタンT805、RX200、RY200等や、
クラリアントジャパン社製の無水シリカH15、H2
0、H30、H2000、H2000/4、H300
4、H2015EP、H2050EP等を挙げることが
できる。
【0083】本発明による粉体塗料塗工シートは、昇華
型熱転写記録材としても好適に用いることができる。即
ち、本発明に従って、前記エポキシ樹脂とブチラール樹
脂とから選ばれる少なくとも1種を主要な成分とする疎
水性樹脂からなる平均粒子径0.1〜30μmの樹脂粒子
の表面を前記平均粒子径5μm以下、好ましくは、1n
m〜1μmの疎水性無機微粒子で被覆してなる粉体塗料
を金属基材上に乾式塗工し、加熱溶融し、定着させるこ
とによって、上記粉体塗料がその間に部分的に隙間を有
しつつ、相互に融着されてなる樹脂塗膜をインク受容層
として有する昇華性熱転写記録材を得ることができる。
【0084】上記樹脂粒子には、予め、着色剤やオフセ
ット防止剤、その他適宜の添加剤を配合し、所要の平均
粒子径を有せしめることができる。また、上記疎水無機
微粒子は、このような樹脂粒子100重量部に対して、
通常、3〜12重量部、好ましくは、5〜10重量部の
範囲で用いられる。
【0085】このような昇華性熱転写記録材に昇華性染
料による情報を有するインクシートを重ね合わせ、イン
クシートを加熱することによって、昇華性染料が昇華
し、インク受容層を構成する樹脂成分中に拡散、吸収さ
れて、上記情報に対応して、記録材上に高濃度の熱転写
画像を形成するのみならず、樹脂粒子の表面を被覆する
疎水性無機微粒子によって、インク受容層は、インクシ
ートに対して高い離型性を有する。
【0086】更に、本発明によれば、このようなインク
受容層の上に、更に、上述したと同様にして、平均粒子
径1nm〜1μm、好ましくは、1〜50nmの疎水性
無機微粒子からなる層を有せしめることによって、イン
クシートに対して、一層、高い離型性を有する。
【0087】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0088】実施例1 (粉体塗料の調製)エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製エピコート1004、軟化点75℃)80重量
部と酸化チタン顔料(石原産業(株)製タイペークA2
20)20重量部を溶融混練し、冷却した後、粉砕、分
級して、平均粒径11.0μmの疎水性樹脂粒子を調製し
た。
【0089】この疎水性樹脂粒子85重量部と平均粒径
10μmの吸水性樹脂粒子((株)日本触媒製アクアリ
ックCA ML10、吸水量300〜400g/g、軟
化点89℃)15重量部と親水性シリカ微粒子(日本ア
エロジル(株)製200、平均粒径12nm)5重量部
を混合攪拌して、粉体塗料を調製した。
【0090】(インクジェット記録材の調製)市販の静
電スプレー装置を用いて、鋼板の表面の全面に上記粉体
塗料を吹き付け、付着させた後、加圧下に約80〜10
0℃に加熱して、粉体塗料を上記基材上に定着させると
同時に粉体塗料粒子を相互に部分的に融着させて、粒子
間に空隙を有する厚み20μmの樹脂塗膜をインク受容
層として形成した。このようにして得られたインクジェ
ット記録材について、インク受容層の基材への接着性、
金属基材における発錆の有無及びインクジェット記録特
性を次のようにして評価した。
【0091】(インク受容層の基材への接着性)上で得
たインクジェット記録材の表面をクロス状(5mm角)
に切込みを入れた後、その上にメンデイングテープを貼
り付け、直ちに剥がして、受容層が基材から剥離するか
どうかを調べた。いずれのクロスも基材から剥離しなか
ったときを○とし、一部のクロスが剥離したときを×と
した。
【0092】(金属基材における発錆)上で得たインク
ジェット記録材を室内に10日間放置した後、受容層を
基材から剥がして、基材の表面の発錆の有無を調べた。
【0093】(インクジェット記録特性)市販のインク
ジェット方式プリンタ(エプソン製PM−750C)を
用い、上記インクジェット記録材にインクジェット記録
を行なって、インクの乾燥性と発色性とを調べた。イン
クの乾燥性は、日本規格協会の規定するカラーチャート
を記録紙にインクジェット記録した直後に画像に指先で
触れて、インクが指先に付着しないときを○とし、イン
クが一部、指先に付着したときを×とした。インクの発
色性は、カラーチャートの最も濃色の部分をマクベス濃
度計にて測定して、イエロー1.2以上、マゼンタ1.0以
上、シアン0.6以上のときを◎、イエロー1.0〜1.2、
マゼンタ0.9〜1.0、シアン0.5〜0.6のときを○、イ
エロー0.8〜1.0、マゼンタ0.8〜0.9、シアン0.4〜
0.5のときを△、イエロー0.8以下、マゼンタ0.8以
下、シアン0.4以下のときを×とした。結果を表1に示
す。
【0094】実施例2 (粉体塗料の調製)実施例1と同じエポキシ樹脂80重
量部と酸化チタン顔料(石原産業(株)製タイペークA
220)20重量部を溶融混練し、冷却した後、粉砕、
分級して、平均粒径11.0μmの疎水性樹脂粒子を調製
した。
【0095】この疎水性樹脂粒子85重量部と平均粒径
10μmの吸水性樹脂粒子((株)日本触媒製アクアリ
ックCA ML10、吸水量300〜400g/g、軟
化点89℃)15重量部と疎水性シリカ微粒子(日本ア
エロジル(株)製R972、平均粒径16nm)5重量
部を混合攪拌して、粉体塗料を調製した。
【0096】(インクジェット記録材の調製)実施例1
と同様にして、粒子間に空隙を有する厚み20μmのイ
ンク受容層を基材上に形成し、このインク受容層の上に
親水性シリカ微粒子(日本アエロジル(株)製200、
平均粒子径12nm)を市販の静電スプレー装置を用い
て吹き付け、付着させた後、加圧下に約80〜100℃
に加熱して、上記親水性シリカからなる厚み3μmの層
をインク受容層の上に定着させて、インクジェット記録
材を調製した。このインクジェット記録材について、実
施例1と同様にして、インク受容層の基材への接着性、
金属基材における発錆の有無及びインクジェット記録特
性を調べた。結果を表1に示す。
【0097】実施例3 (粉体塗料の調製)ブチラール樹脂(積水化学工業
(株)製エスレックBX−L、軟化点98℃)80重量
部と酸化チタン顔料(石原産業(株)製タイペークA2
20)20重量部を溶融混練し、冷却した後、粉砕、分
級して、平均粒径11.0μmの疎水性樹脂組成物粒子を
調製した。
【0098】この疎水性樹脂組成物粒子85重量部と平
均粒径10μmの吸水性樹脂粒子((株)日本触媒製ア
クアリックCA ML10、吸水量300〜400g/
g、軟化点89℃)15重量部と疎水性シリカ微粒子
(日本アエロジル(株)製R972、平均粒子径16n
m)5重量部を混合攪拌して、粉体塗料を調製した。
【0099】(インクジェット記録材の調製)実施例1
と同様にして粒子間に空隙を有する厚み20μmのイン
ク受容層を基材上に形成し、このインク受容層の上に親
水性シリカ微粒子(日本アエロジル(株)製200、平
均粒子径12nm)を市販の静電スプレー装置を用いて
吹き付け、付着させた後、加圧下に約80〜100℃に
加熱して、上記親水性シリカからなる厚み3μmの層を
インク受容層の上に定着させて、インクジェット記録材
を調製した。このインクジェット記録材について、実施
例1と同様にして、インク受容層の基材への接着性、金
属基材における発錆の有無及びインクジェット記録特性
を調べた。結果を表1に示す。
【0100】比較例1 (粉体塗料の調製)ポリビニルアルコール樹脂((株)
クラレ製PVA117)110重量部と親水性シリカ微
粒子(日本アエロジル(株)製200、平均粒径12n
m)150重量部を水中に分散溶解させて、水性塗工液
を調製した。
【0101】(インクジェット記録材の調製)この水性
塗工液を実施例1と同じ金属基材上に塗布し、100℃
に加熱し、乾燥させて、インク受容層を形成し、インク
ジェット記録材を調製した。このインクジェット記録材
について、実施例1と同様にして、インク受容層の基材
への接着性、金属基材における発錆の有無及びインクジ
ェット記録特性を調べた。結果を表1に示す。
【0102】比較例2 (粉体塗料の調製)スチレン・アクリル共重合体樹脂
(三洋化成工業(株)製ハイマーUNI−3000、ガ
ラス転移温度58℃、軟化点98℃)80重量部と酸化
チタン顔料(石原産業(株)製タイペークA220)2
0重量部を溶融混練し、冷却した後、粉砕、分級して、
平均粒径11.0μmの疎水性樹脂粒子を調製した。
【0103】(インクジェット記録材の調製)この粉体
塗料を用いて、実施例1と同様にして、インクジェット
記録材を調製し、このインクジェット記録材について、
実施例1と同様にして、インク受容層の基材への接着
性、金属基材における発錆の有無及びインクジェット記
録特性を調べた。結果を表1に示す。
【0104】比較例3 実施例1と同様にして粒子間に空隙を有する厚み20μ
mのインク受容層を基材上に形成し、このインク受容層
の上に親水性シリカ微粒子(水澤化学工業(株)製P−
78D、平均粒径6〜50μm)を市販の静電スプレー
装置を用いて吹き付け、付着させた後、加圧下に約80
〜100℃に加熱して、上記親水性シリカからなる厚み
15μmの層をインク受容層の上に定着させて、インク
ジェット記録材を調製した。このインクジェット記録材
について、実施例1と同様にして、インク受容層の基材
への接着性、金属基材における発錆の有無及びインクジ
ェット記録特性を調べた。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【発明の効果】本発明による第1の水性インクジェット
記録材は、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の表面をそ
れぞれ親水性無機微粒子で被覆してなり、上記疎水性樹
脂がエポキシ樹脂とブチラール樹脂とから選ばれる少な
くとも1種を主要な樹脂成分としてなる粉体塗料を金属
基材上に乾式塗工し、加熱して、粉体塗料を部分的に溶
融させることによって、粉体塗料がその間に部分的に空
隙を有しつつ、相互に融着されてなるインク受容層を金
属基材上に形成してなるものである。
【0107】このように、本発明によれば、粉体塗料が
エポキシ樹脂とブチラール樹脂とから選ばれる少なくと
も1種を主要な樹脂成分としてなる疎水性樹脂粒子を含
むので、金属基材を予めプライマー処理せずとも、イン
ク受容層を金属基材に強く接着させることができる。ま
た、インク受容層を粉体塗料の乾式塗工によって形成す
るので、金属基材が発錆することがない。また、吸水性
樹脂と疎水性樹脂のそれぞれを親水性無機微粒子で被覆
してなる粉体塗料を基材上に乾式塗工し、加熱して、イ
ンク受容層を形成するから、従来の湿式法に比べて、簡
単且つ低廉に高性能のインクジェット記録材を得ること
ができる。
【0108】また、本発明によれば、表面を親水性の第
1の無機微粒子で被覆した吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂
粒子がインク受容層を形成しているので、受容層の表面
もまた、親水性の第1の無機微粒子で被覆されている。
従って、このような水性インクジェット記録材によれ
ば、インク中の着色剤は、インク受容層の表面を被覆し
ている親水性の第1の無機微粒子によって速やかに捕捉
されると共に、水分は、粉体塗料粒子間の空隙を経て、
吸水性樹脂によって速やかに吸収されるので、インクの
吸収性にすぐれる。
【0109】更に、本発明の水性インクジェット記録材
によれば、インク受容層における樹脂成分が吸水性樹脂
と疎水性樹脂とからなるから、インク受容層にインクが
付着したとき、吸水性樹脂にインク、特に、水分を吸収
させると共に、その際の膨潤を抑え、従って、乾燥する
ときの収縮を抑えることによって、画像にひび割れが生
じるのを有効に防ぐことができる。
【0110】インク受容層の上に親水性の第2の無機微
粒子からなる層を有するインクジェット記録材によれ
ば、インク中の着色剤が親水性の第2の無機微粒子から
なる層によって一層速やかに捕捉されるので、滲みのな
い高濃度で鮮明な画像を形成することができる。
【0111】本発明による第2の水性インクジェット記
録材は、親水性の第1の無機微粒子を一部、その表面に
露出させつつ、含有している疎水性樹脂組成物粒子と、
この疎水性樹脂組成物粒子の表面を被覆している親水性
の第2の無機微粒子とからなり、上記疎水性樹脂がエポ
キシ樹脂とブチラール樹脂とから選ばれる少なくとも1
種を主要な樹脂成分としてなる粉体塗料を金属基材上に
乾式塗工し、加熱して、粉体塗料を部分的に溶融させる
ことによって、粉体塗料がその間に部分的に空隙を有し
つつ、相互に融着されてなるインク受容層を金属基材上
に形成してなるものである。
【0112】このように、本発明によれば、粉体塗料が
エポキシ樹脂とブチラール樹脂とから選ばれる少なくと
も1種を主要な樹脂成分としてなる疎水性樹脂粒子から
なるので、金属基材を予めプライマー処理せずとも、イ
ンク受容層を金属基材に強く接着させることができる。
また、インク受容層を粉体塗料の乾式塗工によって形成
するので、金属基材が発錆することがない。また、疎水
性樹脂を親水性無機微粒子で被覆してなる粉体塗料を基
材上に乾式塗工し、加熱して、インク受容層を形成する
から、従来の湿式法に比べて、簡単且つ低廉に高性能の
インクジェット記録材を得ることができる。
【0113】このような水性インクジェット記録材に水
性インクジェットインクが付着すれば、インク中の着色
剤は、インク受容層が有する第1及び第2の親水性無機
微粒子によって速やかに捕捉されると共に、水分も、そ
のような親水性無機微粒子によって速やかに捕捉される
のみならず、粉体塗料粒子間の空隙に浸透し、捕捉され
る。かくして、このようなインクジェット記録材によれ
ば、インク受容層が疎水性樹脂からなる単層の粉体塗料
からなるものでありながら、疎水性樹脂粒子が親水性の
無機微粒子によって二重に親水性を付与されており、従
って、インク受容層が疎水性樹脂からなる単層でありな
がら、インクの吸収性と発色性にすぐれている。
【0114】更に、本発明に従って、インク受容層の上
に親水性無機微粒子からなる層を形成することによっ
て、インク中の着色剤が上記親水性無機微粒子からなる
層によって一層速やかに捕捉されるので、滲みのない高
濃度で鮮明な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明によるインクジェット記録シートの
一実施例の断面を示す模式図である。
【図2】は、本発明によるインクジェット記録シートの
別の実施例の断面を示す模式図である。
【符号の説明】
11a、21a…吸水性樹脂粒子、11b、21b…疎
水性樹脂粒子、12、22…親水性の第1の無機微粒
子、13、23…粉体塗料、14、24…空隙、15、
25…金属基材、16、26…インク受容層、27…親
水性の第2の無機微粒子、28…親水性の第2の無機微
粒子からなる層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/03 B41J 3/04 101Y 129/14 B41M 5/26 101H Fターム(参考) 2C056 EA04 FB04 FC01 FC06 2H086 BA13 BA15 BA18 BA34 BA41 BA45 BA53 2H111 AA27 CA03 CA26 CA30 CA44 4D075 AE03 CA35 DA04 DB01 DC28 EA02 EA35 EB19 EB33 EB53 EB56 EB57 EC02 4J038 CB132 CC022 CE022 CE071 CG092 CP012 DB021 DB061 DB091 DB261 HA216 HA286 HA446 KA15 KA20 MA01 MA03 MA12 MA14 NA03 PA02 PB11 PC02

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉体塗料がその間に部分的に空隙を有しつ
    つ、相互に融着されてなる樹脂塗膜を金属からなる基材
    上に有する粉体塗料塗工シートにおいて、上記粉体塗料
    が樹脂粒子の表面を無機微粒子で被覆してなり、上記樹
    脂が上記金属に対して接着性を有する樹脂を主成分とし
    てなることを特徴とする粉体塗料塗工シート。
  2. 【請求項2】粉体塗料がその間に部分的に空隙を有しつ
    つ、相互に融着されてなるインク受容層を金属基材上に
    有する水性インクジェット記録材において、上記粉体塗
    料が、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の表面をそれぞ
    れ親水性無機微粒子で被覆してなり、上記疎水性樹脂が
    エポキシ樹脂とブチラール樹脂とから選ばれる少なくと
    も1種を主要な樹脂成分としてなることを特徴とする水
    性インクジェット記録材。
  3. 【請求項3】粉体塗料が平均粒径0.1〜50μmの吸水
    性樹脂粒子5〜50重量%と平均粒径0.1〜50μmの
    疎水性樹脂粒子50〜95重量%の表面をそれぞれ平均
    粒径1nmから5μmの親水性無機微粒子で被覆してな
    る請求項2に記載の水性インクジェット記録材。
  4. 【請求項4】粉体塗料が吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒
    子の合計量100重量部を親水性無機微粒子3〜12重
    量部で被覆してなるものである請求項2又は3に記載の
    水性インクジェット記録材。
  5. 【請求項5】吸水性樹脂が100〜1000g/gの範
    囲の脱イオン水吸水量を有すると共に、70〜100℃
    の範囲の軟化点を有し、疎水性樹脂が70〜120℃の
    範囲の軟化点を有する請求項2から4のいずれかに記載
    の水性インクジェット記録材。
  6. 【請求項6】親水性無機微粒子がシリカ、アルミナ、酸
    化チタン又は炭酸カルシウムである請求項2から4のい
    ずれかに記載の水性インクジェット記録材。
  7. 【請求項7】粉体塗料がその間に部分的に空隙を有しつ
    つ、相互に融着されてなるインク受容層を金属基材上に
    有する水性インクジェット記録材において、上記粉体塗
    料が、吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒子の表面をそれぞ
    れ第1の無機微粒子で被覆してなり、上記疎水性樹脂が
    エポキシ樹脂及びブチラール樹脂とから選ばれる少なく
    とも1種を主要な樹脂成分としてなり、更に、上記イン
    ク受容層の上に親水性の第2の無機微粒子からなる層が
    形成されていることを特徴とする水性インクジェット記
    録材。
  8. 【請求項8】粉体塗料が平均粒径0.1〜50μmの吸水
    性樹脂粒子5〜50重量%と平均粒径0.1〜50μmの
    疎水性樹脂粒子50〜95重量%の表面をそれぞれ平均
    粒径1nmから5μmの第1の無機微粒子で被覆してな
    る請求項7に記載の水性インクジェット記録材。
  9. 【請求項9】粉体塗料が吸水性樹脂粒子と疎水性樹脂粒
    子の合計量100重量部を第1の無機微粒子3〜12重
    量部で被覆してなるものである請求項7又は8に記載の
    水性インクジェット記録材。
  10. 【請求項10】吸水性樹脂が100〜1000g/gの
    範囲の脱イオン水吸水量を有すると共に、70〜100
    ℃の範囲の軟化点を有し、疎水性樹脂が70〜120℃
    の範囲の軟化点を有する請求項7から9のいずれかに記
    載の水性インクジェット記録材。
  11. 【請求項11】親水性の第2の無機微粒子が1nm〜1
    μmの範囲の平均粒径を有する請求項7に記載の水性イ
    ンクジェット記録材。
  12. 【請求項12】第1及び/又は第2の無機微粒子がシリ
    カ、アルミナ、酸化チタン又は炭酸カルシウムである請
    求項7、8、9又は11に記載の水性インクジェット記
    録材。
  13. 【請求項13】粉体塗料がその間に部分的に空隙を有し
    つつ、相互に融着されてなるインク受容層を金属基材上
    に有する水性インクジェット記録材において、上記粉体
    塗料が、親水性の第1の無機微粒子を一部、その表面に
    露出させつつ、含有している疎水性樹脂組成物粒子と、
    この疎水性樹脂組成物粒子の表面を被覆している親水性
    の第2の無機微粒子とからなり、上記疎水性樹脂がエポ
    キシ樹脂とブチラール樹脂とから選ばれる少なくとも1
    種を主要な樹脂成分としてなることを特徴とする水性イ
    ンクジェット記録材。
  14. 【請求項14】粉体塗料が、平均粒径1μmから5μm
    の親水性の第1の無機微粒子を一部、その表面に露出さ
    せつつ、含有している平均粒径5〜30μmの疎水性樹
    脂組成物粒子5〜30重量%と、この疎水性樹脂組成物
    粒子の表面を被覆している平均粒径1nmから1μmの
    親水性の第2の無機微粒子とからなる請求項2に記載の
    水性インクジェット記録材。
  15. 【請求項15】粉体塗料が疎水性樹脂組成物粒子100
    重量部を親水性の第2の無機微粒子3〜12重量部で被
    覆してなるものである請求項13又は14に記載の水性
    インクジェット記録材。
  16. 【請求項16】親水性の第1又は第2の無機微粒子がシ
    リカ、アルミナ、酸化チタン又は炭酸カルシウムである
    請求項13から15のいずれかに記載の水性インクジェ
    ット記録材。
  17. 【請求項17】インク受容層の上に親水性の第3の無機
    微粒子からなる層が形成されている請求項13に記載の
    水性インクジェット記録材。
  18. 【請求項18】親水性の第3の無機微粒子が1nm〜1
    μmの範囲の平均粒径を有する請求項17に記載の水性
    インクジェット記録材。
JP11092223A 1999-03-31 1999-03-31 粉体塗料塗工シート及びその利用と製造 Pending JP2000281966A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11092223A JP2000281966A (ja) 1999-03-31 1999-03-31 粉体塗料塗工シート及びその利用と製造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11092223A JP2000281966A (ja) 1999-03-31 1999-03-31 粉体塗料塗工シート及びその利用と製造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000281966A true JP2000281966A (ja) 2000-10-10

Family

ID=14048453

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11092223A Pending JP2000281966A (ja) 1999-03-31 1999-03-31 粉体塗料塗工シート及びその利用と製造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000281966A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007132666A1 (ja) 2006-05-15 2007-11-22 Kuraray Co., Ltd. ポリビニルアセタール粉体およびそれを用いた粉体塗料
WO2009090827A1 (ja) 2008-01-16 2009-07-23 Kuraray Co., Ltd. ポリビニルアセタール系粉体塗料
CN104093570A (zh) * 2012-03-30 2014-10-08 惠普发展公司,有限责任合伙企业 记录材料
KR101849746B1 (ko) 2015-07-28 2018-04-17 주식회사 엘지화학 바인더 조성물, 슬러리 조성물 및 금속 표면을 고흡수성 수지로 코팅하는 방법
CN112080188A (zh) * 2018-10-29 2020-12-15 苏州太湖电工新材料股份有限公司 一种适用于电气设备的水性环氧表面漆的制备方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007132666A1 (ja) 2006-05-15 2007-11-22 Kuraray Co., Ltd. ポリビニルアセタール粉体およびそれを用いた粉体塗料
US7968639B2 (en) 2006-05-15 2011-06-28 Kuraray Co., Ltd. Polyvinyl acetal powder and powder coating material using the same
WO2009090827A1 (ja) 2008-01-16 2009-07-23 Kuraray Co., Ltd. ポリビニルアセタール系粉体塗料
US8188173B2 (en) 2008-01-16 2012-05-29 Kuraray Co., Ltd. Polyvinyl acetal powder coating material
CN104093570A (zh) * 2012-03-30 2014-10-08 惠普发展公司,有限责任合伙企业 记录材料
US9248684B2 (en) 2012-03-30 2016-02-02 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Recording material
KR101849746B1 (ko) 2015-07-28 2018-04-17 주식회사 엘지화학 바인더 조성물, 슬러리 조성물 및 금속 표면을 고흡수성 수지로 코팅하는 방법
CN112080188A (zh) * 2018-10-29 2020-12-15 苏州太湖电工新材料股份有限公司 一种适用于电气设备的水性环氧表面漆的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108136802B (zh) 用水基油墨在不透水衬底上印刷
JP3939922B2 (ja) インクジェット受容媒体
US6632487B1 (en) Sheet having powder coated thereon, and production and use thereof
CN107848317A (zh) 具有不透水衬底的多层结构
JP4143187B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2000281966A (ja) 粉体塗料塗工シート及びその利用と製造
JP2000280614A (ja) 粉体塗料塗工シート及びその利用と製造
JPH09300815A (ja) 記録材料
JP2000326626A (ja) 水性インクジェット記録シートとその製造、並びにそのための粉体塗料
JP2000229474A (ja) 水性インクジェット記録シートとその製造、並びにそのための粉体塗料
JPH11254817A (ja) 粉体塗料塗工シート、その製造及び用途
JP2000025348A (ja) 昇華型染料熱転写及び熱溶融型インク熱転写兼用の受像シート用粉体混合物及び受像シート
JP2000177238A (ja) 水性インクジェット記録シートとその製造方法
JP2001246839A (ja) 水性インクジェット記録シートとそのための粉体塗料粒子
JP6510862B2 (ja) 被記録材用処理液、被記録材及びそれらの製造方法
JP2000326625A (ja) 粉体塗料塗工シート及びその製造と利用
JP4365966B2 (ja) 被記録媒体、その製造方法および画像形成方法
JP2000044841A (ja) 粉体塗料塗工シートとそのための粉体塗料組成物
JP2001301322A (ja) 水性インクジェット記録シート
JP2000037948A (ja) インクジェット記録用受像シート及びその製造方法
JPH11291641A (ja) 記録用受像シート及びその製造方法
JP2001232935A (ja) 水性インクジェット記録シートの製造方法
JP2000177237A (ja) 水性インクジェット記録シートとその製造方法
JPH04234473A (ja) 粘着シート
JP2000033767A (ja) 表面の平滑性にすぐれたインクジェット記録用受像シートの製造方法