JP2000281423A - 珪酸カルシウム成形体及びその製造方法 - Google Patents

珪酸カルシウム成形体及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 珪酸カルシウム工業における産業廃棄物の減
少を可能にする珪酸カルシウム成形体とその製造方法を
提供することを課題とする。 【解決手段】珪酸カルシウム成形体中に硫酸処理し、さ
らに消石灰及び/又は生石灰を添加して常圧下40〜9
5℃の温度で加熱処理した珪酸カルシウム廃材を含むこ
とを特徴とする珪酸カルシウム成形体である。この成形
体は、粉末状の珪酸カルシウム廃材に水を加えスラリー
化し、前記珪酸カルシウム廃材廃材中のCaOに対しH
SO/CaOモル比で0.1〜0.9となるよう前
記スラリーに硫酸を加え、さらに消石灰及び/又は生石
灰を加えて常圧下で40〜95℃の温度で加熱処理し、
続いて前記スラリーを珪酸カルシウム成形体原料中に添
加し、所望の形状に成形し、オートクレーブ養生するこ
とにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築用内装材、保
温保冷剤、断熱材として広く使用されている珪酸カルシ
ウム成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】珪酸カルシウム成形体は、石灰質原料、
珪酸質原料、補強繊維、骨材、添加剤等を混合し、所望
の形状に成形し、オートクレーブ養生により硬化させ、
製造され、さらに必要に応じて切断、研磨及び塗装やコ
ーティングにより化粧などの加工がされている。この製
造工程および加工工程中において切断屑、研磨粉等が発
生するが、これらは適当なサイズまで粉砕し、またはそ
のまま珪酸カルシウム成形体の原料の一部として用いら
れていたが、その添加量は原料全体に対しせいぜい10
重量%が上限であり、それ以上の添加では、得られる珪
酸カルシウム成形体の強度の低下が著しく大きくなって
しまう。従って工場内で発生するこれらの切断屑、研磨
粉等の大半は産業廃棄物とならざるを得なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】珪酸カルシウム成形体
原料中に、粉末状の珪酸カルシウム廃材を添加し、成形
し、オートクレーブ養生を行った場合、すでに一度オー
トクレーブ養生を受けている珪酸カルシウム廃材は、強
度発現に寄与しない為、多量に添加することにより成形
体の強度低下を引き起こす。従って、工場内外で発生す
る珪酸カルシウム廃材の添加量には制限があり、多くは
産業廃棄物となっていた。近年、産業廃棄物の発生は大
きな社会問題となりつつある。本発明は、珪酸カルシウ
ム工業における産業廃棄物の減少を目的とするものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく鋭意検討を行った結果、珪酸カルシウム
廃材を硫酸処理し、次いで石灰原料を添加して加熱処理
することにより前記課題を解決できることを見出し、本
発明を完成することができた。すなわち本発明は、前記
珪酸カルシウム廃材を硫酸処理し,次いで消石灰及び/
又は生石灰を添加し、常圧下で加熱処理した処理原料を
原料の一部として用いたことを特徴とする珪酸カルシウ
ム成形体を提供するものである。
【0005】また本発明は、前記珪酸カルシウム廃材
が、珪酸カルシウム成形体の切断屑、不良品の粉砕物、
研磨粉及び/又は建築廃材の粉砕物であることを特徴と
する前記の珪酸カルシウム成形体を提供するものであ
る。
【0006】さらに本発明は、珪酸カルシウム廃材に水
を加えスラリー化し、前記珪酸カルシウム廃材中のCa
Oに対しHSO/CaOモル比で0.6〜1.2と
なるように前記スラリーに硫酸を加え、さらに消石灰及
び/又は生石灰を加え、常圧下で40〜95℃の温度で
加熱処理し、続いて処理原料スラリーを珪酸カルシウム
成形体原料中に添加し、所望の形状に成形し、オートク
レーブ養生することを特徴とする前記珪酸カルシウム成
形体の製造方法を提供するものである。
【0007】また、前記消石灰及び/又は生石灰の添加
比率が添加した前記硫酸に対しCaO/HSOモル
比で0.5〜1.5であることを特徴とする前記珪酸カ
ルシウム成形体の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における珪酸カルシウム廃
材は、例えばJIS A5430繊維強化セメント板に
規定される珪酸カルシウム板,JIS A5416に規
定される軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネ
ル),JIS A9510無機多孔質保温材に規定され
る珪酸カルシウム保温材の廃材の他、鉄骨耐火被覆材、
耐火間仕切り材として用いられる珪酸カルシウム板の廃
材等が挙げられる。また、コンクリート建築物等の解体
時に発生する珪酸カルシウム成形体の建築廃材も挙げら
れる。また、珪酸カルシウム成形体の製造時に発生する
廃材も利用可能である。例えば、珪酸カルシウム成形体
の表面研磨工程や研削工程で発生する研磨粉、原板を各
種寸法に切断するするときに発生する切断屑あるいは不
良品等である。
【0009】上記珪酸カルシウム廃材を使用する際に
は,該廃材は、粉末状すなわち1mm以下の粒径である
ことが望ましい。1mmのサイズを超える廃材は、適宜
粉砕して用いるのがよい。より好ましい廃材の平均粒径
は、0.5mm以下である。
【0010】上記珪酸カルシウム廃材は、そのまま使用
する場合には先にも述べたように珪酸カルシウム成形体
原料全体に対して10重量%程度までの添加量であれば
製品強度を大幅に低下させることなく添加可能である
が、例えば30重量%を越えて添加した場合には製品強
度が大幅に低下する。しかしながら、珪酸カルシウム廃
材を硫酸処理することにより製品強度を大幅に低下させ
ることなく、該廃材を多量に添加することが可能とな
る。
【0011】珪酸カルシウム廃材は主としてCaOおよ
びSiOからなり、硫酸と反応させることにより二水
石膏が生成すると共にゲル状のSiOが遊離し、この
ゲル状SiOにより脱水成形性が損なわれ生産性が低
下するが、さらにSiOゲルを消石灰及び/又は生石
灰と反応させることにより脱水成形性の低下を防ぐこと
ができる。
【0012】珪酸カルシウム廃材の処理は、例えば粉末
状の珪酸カルシウム廃材に対し、3〜20倍(重量比)
の水を加えて流動性が得られる程度にスラリー化し、次
にこのスラリーに珪酸カルシウム廃材に含まれるCaO
に対してHSO/CaOモル比で好ましくは0.6
〜1.2となる様に硫酸を添加して攪拌し、更にこのス
ラリーに消石灰及び/又は生石灰を添加し、常圧下で4
0〜95℃で加熱すればよい。なお、ここでいうCaO
とは、SiOと反応して珪酸カルシウム化合物を形成
しているもの、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムを含
む。
【0013】その際使用する硫酸の濃度は特に規定しな
いがHSOとして5〜30%に希釈することが好ま
しく、また添加する消石灰及び/又は生石灰は、予め固
形分濃度10〜30重量%のスラリーとしておくことが
好ましい。また、ここで添加する消石灰及び/又は生石
灰は珪酸カルシウム成形体原料として配合されるものを
用い、その全量を添加しても良いが、加えた硫酸に対し
CaO/HSOモル比で0.5〜1.5となる範囲
でその一部を添加して加熱処理を行う方法によっても本
発明の目的は達成でき、むしろこのほうが作業効率や省
エネルギーの面で好ましい。
【0014】なお、硫酸の添加割合を珪酸カルシウム廃
材に含まれるCaOに対してHSO/CaOモル比
で0.8〜1.2に設定すれば、強度低下防止効果が一
層高まり好ましいものである。さらに好ましいHSO
/CaOモル比は0.8〜1.0である。
【0015】このようにして珪酸カルシウム廃材を硫酸
処理し、さらに消石灰及び/又は生石灰を加えて加熱処
理した処理原料は、珪酸カルシウム成形体の原料の一部
として用いても大幅な強度低下を来すことなく、しかも
脱水成形性を損なうことなく珪酸カルシウム成形体原料
に多量の添加が可能となる。また所望する強度によって
は添加する珪酸カルシウム廃材の一部を上記の通り処理
し、残分を未処理のまま添加することも可能である。
【0016】硫酸処理したのち消石灰及び/又は生石灰
を添加して加熱処理した処理原料を添加した珪酸カルシ
ウム成形体原料は、常法によって珪酸カルシウム成形体
に加工することができる。すなわち、石灰質原料、珪酸
質原料、必要に応じて補強繊維、骨材,添加材(剤)等
からなる珪酸カルシウム成形体原料と、硫酸処理後、消
石灰及び/又は生石灰を添加して加熱処理した処理原料
と、水とを加えて混練し、得られた混練物を常法に従い
脱水成形後、オートクレーブ養生することにより、珪酸
カルシウム成形体を製造することができる。
【0017】石灰質原料としてはセメント、消石灰、あ
るいは生石灰が用いられ、これらを単独または併用して
使用することができる。珪酸質原料としては珪石粉,フ
ライアッシュなどが使用され、また比重低減用珪酸質原
料として珪藻土、シリカヒューム、ホワイトカーボンな
どの非晶質珪酸原料も使用可能である。珪酸質原料と石
灰質原料の比率はCaO/SiOモル比が0.4〜
1.2の範囲とすることが好ましい。また補強繊維とし
ては、石綿、パルプ、ガラス繊維、炭素繊維、ポリプロ
ピレン、アクリル等が挙げられる。骨材としては、ワラ
ストナイト、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、パーラ
イトが挙げられる。これら骨材は、増量剤あるいは寸法
安定材としての機能も果たすことができる。
【0018】また、上記以外の公知の各種添加材(剤)
も必要に応じて配合することができる。いずれにしろ、
必要に応じて配合される補強繊維、骨材、各種添加材
(剤)は、目的に応じて適宜選択し、本発明の効果を損
ねない範囲でその配合割合を決定すればよい。
【0019】本発明の珪酸カルシウム成形体の成形方法
としては、従来から行われている方法を用いることがで
き、脱水プレス法、抄造法、流し込み法等が例示され、
各々の成形法に適したスラリー濃度に調整して成形する
ことができる。
【0020】成形体のオートクレーブ養生温度は例えば
120℃〜220℃、好ましくは180℃〜200℃で
あり、養生時間は例えば3〜15時間である。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに説明する。 (珪酸カルシウム廃材の処理)JIS A5430に規
定される珪酸カルシウム板タイプ2に相当する珪酸カル
シウム板の製造時に発生した珪酸カルシウム廃材(反応
性CaO;34.6重量%)を1mm以下の粒子径とな
るように粉砕し、これに10重量倍の工業用水を加えて
スラリー状とした。
【0022】次にこのスラリーに工業用硫酸(HSO
濃度;72重量%)を工業用水で12重量%の濃度ま
で希釈した溶液を上記スラリーに攪拌しながら添加し、
さらに1時間攪拌を続けて硫酸処理を行った。なお硫酸
の添加割合は珪酸カルシウム廃材に対し、HSO
して外割りで36.3%、48.4重量%、60.5重
量%、72.6重量%の4水準とした。この添加割合に
おけるHSO/CaO(反応性)モル比は、それぞ
れ0.6、0.8、1.0、1.2である。そして更に
このスラリーに表1で示す比率となるよう30重量%濃
度の消石灰スラリーを添加し、撹拌しながら95℃で1
時間の加熱処理を行った。
【0023】(実施例1〜10)表1に示した配合割合
に従い、前記のようにして調整した処理廃材スラリー及
びその他の原料を秤量し、水中に分散して固形分濃度1
0%に調整し原料スラリーを調整した後脱水プレス成形
を行い20cm×20cm×6mmの成形体を得た。な
お、珪酸カルシウム廃材の添加割合は硫酸処理前の珪酸
カルシウム廃材重量を基準としている。
【0024】次に得られた成形体をオートクレーブ内で
180℃で10時間水熱養生を行った後、105℃で2
4時間乾燥し珪酸カルシウム成形体を得た。得られた成
形体について曲げ強度を測定した。また脱水成型性を評
価するためJIS P3801において第二種に規定さ
れた濾紙を敷いたブフナーロートに原料スラリーを流し
込み真空ポンプを使用して吸引濾過したときの脱水速度
すなわち単位時間あたりの脱水量(ml/sec)も併
せて測定した。この結果も併せて表1に示す。
【0025】(比較例1〜7)廃材無添加(比較例1)
及び硫酸処理しない廃材を5〜20重量%添加した場合
(比較例2〜5)について、および硫酸処理のみで消石
灰処理を行わない廃材を20〜30%添加した場合(比
較例6及び7)についても珪酸カルシウム廃材の処理条
件以外は実施例と同一条件で成形体を作製し、実施例と
同様の測定を行った。この結果を表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】比較例1〜5からわかるように、廃材に対
し硫酸処理をしない場合は廃材添加量が増加するに従い
成形体の曲げ強度が大幅に低下する。また硫酸処理のみ
で消石灰処理を行っていないものは強度低下は小さいが
脱水速度が大幅に低下する。また、比較例6及び7のよ
うに珪酸カルシウム廃材に対し、これに含まれるCaO
と等モル比(HSO/CaO=1.0)の硫酸で処
理した場合は、30%以上添加しても強度低下は見られ
ないが、脱水速度が大幅に低下し、脱水成形性が損なわ
れる。
【0029】しかしながら、実施例1〜4のとおり、珪
酸カルシウム廃材の添加割合が15重量%程度までの範
囲においては、硫酸処理したのち消石灰を添加し加熱処
理を行うことにより、珪酸カルシウム廃材を処理した処
理原料を添加した場合には、強度の低下は見られず、脱
水速度の低下も認められない。また、実施例5〜10に
示す様に珪酸カルシウム廃材を処理した処理原料を添加
する割合が30重量%以上となる場合でも、強度低下は
僅かでしかも脱水速度の低下はなかった。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、従来強度低下の問題
により配合割合が制限されていた珪酸カルシウム廃材を
硫酸処理しさらに消石灰及び/又は生石灰を添加して加
熱処理する事により、珪酸カルシウム成形体の強度低下
を生じることなくしかも生産性も低下させずに大幅な添
加割合の増加を図ることが可能となる。これにより、こ
れまで廃棄する事を余儀なくされていた珪酸カルシウム
廃材を有効に使用する事が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 和夫 岡山県倉敷市水島海岸通3番1号 株式会 社アスク水島工場内 Fターム(参考) 4G012 PA25 PA30 PB03 PE05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】珪酸カルシウム廃材を硫酸処理し、さらに
    消石灰及び/又は生石灰を添加し、常圧下で加熱処理し
    た処理原料を原料の一部として用いたことを特徴とする
    珪酸カルシウム成形体。
  2. 【請求項2】前記珪酸カルシウム廃材が、珪酸カルシウ
    ム成形体の切断屑、不良品の粉砕物、研磨粉及び/又は
    建築廃材の粉砕物であることを特徴とする請求項1に記
    載の珪酸カルシウム成形体。
  3. 【請求項3】珪酸カルシウム廃材に水を加えてスラリー
    化し、前記珪酸カルシウム廃材中のCaOに対しH
    /CaOモル比で0.6〜1.2となるよう前記ス
    ラリーに硫酸を加え、更に消石灰及び/又は生石灰を加
    えて常圧下で40〜95℃の温度で加熱処理した処理原
    料を、珪酸カルシウム成形体の原料中に添加し、所望の
    形状に成形し、オートクレーブ養生することを特徴とす
    る請求項1又は2の何れかに記載の珪酸カルシウム成形
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記消石灰及び/又は生石灰の添加比率が
    添加した前記硫酸に対しCaO/HSOモル比で
    0.5〜1.5であることを特徴とする請求項3に記載
    の珪酸カルシウム成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR3018891A1 (fr) * 2014-03-19 2015-09-25 Concepts Et Dev En Prot Incendie Clapets coupe-feu et volets de desenfumage

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