JP2023182466A - 水硬性組成物用混和材及び水硬性組成物 - Google Patents

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Masao Kojima
由紀子 西岡
Yukiko Nishioka
祥吾 片村
Shogo Katamura
哲郎 松下
Tetsuro Matsushita
陽作 池尾
Yosaku Ikeo
聡 川尻
Satoshi Kawajiri
貴穂 河野
Takao Kono
邦生 柳橋
Kunio Yanagibashi
隆仁 藤田
Takahito Fujita
南 杉本
Minami Sugimoto
勇斗 竹内
Yuto TAKEUCHI
知幸 奈良
Tomoyuki Nara
勇輝 景山
Yuki Kageyama
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Abstract

【課題】炭酸ガス固定化に有用であり、乾燥収縮ひずみが抑制された硬化体を得ることができる水硬性組成物用混和剤材及び水硬性組成物用混和剤材を含む、炭酸ガス固定量が高く、乾燥収縮ひずみが抑制された硬化体を得ることができる水硬性組成物を提供する。【解決手段】50%粒径50μm以下であって、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末を含み、前記改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムと、ケイ酸質とを含む水硬性組成物用混和材、及び該水硬性組成物用混和材を含む水硬性組成物。【選択図】なし

Description

本開示は水硬性組成物用混和材、及び、水硬性組成物に関する。
コンクリートの主原料であるポルトランドセメントは、製造時に焼成を行うため、多くの炭酸ガスを発生するという問題があり、コンクリート等の水硬性組成物のトータルの炭酸ガスの発生抑制が望まれている。この一つの対応方法として、解体コンクリート塊等を水硬性組成物原料として有効利用することが試みられている。
建造物等のコンクリートを解体して得られる解体コンクリート塊は、現状は路盤材等に再利用されているが、道路の需要にも限りがあることから、今後、余剰となることは明白であり、解体コンクリート塊のリサイクル方法が課題となっている。
現状では、解体コンクリート塊を破砕して、再生骨材を得ることが試みられてはいるが、粒径が5mmを超える粗骨材は効率的に取り出すことは可能である一方、5mm以下の細骨材を取り出すには過度なエネルギーが必要で効率的ではないこと、骨材を取り出した後の解体コンクリート微粉末(以下、再生コンクリート粉末とも称する)の有効利用方法がないこと等の課題がある。このため、解体コンクリート塊は、ほぼ100%リサイクルされてはいるが、リサイクル用途としては、大部分が、解体コンクリート塊を破砕した破砕物として、埋め戻し材、路盤材等の低価格材料として利用されているにすぎない。
一方、コンクリート製造工場では、製造したコンクリートのうち数パーセントが、残コンクリート又は戻りコンクリートとして処分されている。残コンクリートを処分する際には、骨材分を取り除いたセメント由来成分が主成分である残渣を脱水固化して廃棄処分しているのが現状である。
解体コンクリート塊のリサイクル促進の観点からは、解体コンクリート塊から得られる再生コンクリート粉末の用途拡大が望まれている。
なお、既述の如くセメントは、その製造時に多くの炭酸ガス、具体的には、1t(トン)のセメント製造時に、0.76tの炭酸ガスを発生しているにも拘わらず、処分されるセメント系廃材は、低価格材料としての建設資材として用いられるか、又は、最終処分場で埋め立てられているのみである。コンクリート自体、特に、解体コンクリート塊が有する二酸化炭素の固定化性能については、特段の考慮がなされていないのが現状であり、改善が望まれている。
再生コンクリート粉末の再利用を目的として、解体コンクリート塊から再生骨材を製造する際の副次発生する微粉末をセメント原料としてリサイクルする際に、水酸化カルシウムをほとんど含まず、好ましくは炭酸化が進行した廃コンクリート微粉末をセメントクリンカーに微量添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、炭酸ガス排出量の低下を目的とした方法の一つとして、コンクリート硬化体自体に炭酸ガスを吸着させる方法が挙げられ、種々の検討がなされている。
粉体成分として、γ-C2S、製鋼スラグ粉末の1種または2種と、ポルトランドセメントと、を所定量含有する、水セメント比W/Cが80~250%であるコンクリート混練物により硬化体を形成し、脱型後に炭酸ガス雰囲気中で養生することにより、多量の炭酸ガスを吸着させるプレキャストコンクリートの製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、廃コンクリート材の粗粉砕物を分級し、さらに、破砕、磨砕、分級することで、炭酸化廃コンクリート微粉末と、未炭酸化廃コンクリート微粉末とを得て、未炭酸化廃コンクリート微粉末を脱炭酸化原料に使用する廃コンクリート微粉末の回収法が提案されている(特許文献3参照)。
特開2010-254503号公報 特開2011-1684336号公報 特開2012-17227号公報
特許文献1に記載の方法では、コンクリート廃棄物から得られた微粉末、特に炭酸ガス化が進んでいる微粉末をセメントクリンカーに添加することにより、用途拡大を図ってはいるが、廃コンクリート微粉末のセメントクリンカーに対する置換量は5%以下とされ、微粉末の効果的な再利用には至っていない。
特許文献2に記載のコンクリート混練物及びそれにより得られるプレキャストコンクリート硬化体は、材料に炭酸ガス吸着能を考慮した粉体を選択して用いてはいるが、プレキャストコンクリート硬化体に対し炭酸ガス養生を行うという方法では、硬化体の表面積が限られるため、炭酸ガスの吸着量の観点からは、なお改良の余地がある。
特許文献3に記載の廃コンクリート微粉末及びその回収方法では、廃コンクリート微粉末の品質により、用途を分けることを意図しているが、破砕物は粒径及び炭酸化の程度により、脱炭酸セメント原料と、セメント混合材及び地盤改良材とに分けて用途を考慮しているに過ぎず、従来の廃コンクリート材の用途に対しても、リサイクル拡大の観点からは十分とはいえない。さらに、特許文献3には、廃コンクリート微粉末の積極的な付加価値の向上、及び、付加価値の向上を目的とした廃コンクリート微粉末の改質に関する着目はない。
本開示の一態様の課題は、炭酸ガス固定化に有用であり、乾燥収縮ひずみが抑制された硬化体を得ることができる水硬性組成物混和剤材を提供することにある。
本開示の別の態様の課題は、炭酸ガス固定化に有用な水硬性組成物混和剤材を含み、炭酸ガス固定量が高く、乾燥収縮ひずみが抑制された硬化体を得ることができる水硬性組成物を提供することにある。
上記課題の解決手段は、以下の態様を含む。
<1> 50%粒径50μm以下であって、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末を含み、前記改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムとケイ酸質とを含む水硬性組成物用混和材。
<2> 水硬性結合材、50%粒径50μm以下であって、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末を含む水硬性組成物用混和材、及び、水を含み、前記改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムと、ケイ酸質とを含み、前記水硬性組成物用混和材の含有量は、前記水硬性結合材100質量部に対し、5質量部~60質量部である水硬性組成物。
<3> 前記水硬性組成物用混和材は、水硬性組成物用混和材の全量に対し、炭酸カルシウムを10質量%~40質量%、ケイ酸質を2質量%~20質量%含む、<2>に記載の水硬性組成物。
<4> 前記改質コンクリート粉末の最大粒径が、1.2mm以下である、<2>又は<3>に記載の水硬性組成物。
<5> 前記水硬性組成物用混和材に対し、石膏を2質量%~20質量%含む<2>~<4>のいずれか1つに記載の水硬性組成物。
本開示の一態様によれば、炭酸ガス固定化に有用であり、乾燥収縮ひずみが抑制された硬化体を得ることができる水硬性組成物混和剤材を提供することができる。
本開示の別の態様によれば、炭酸ガス固定化に有用な水硬性組成物混和剤材を含み、炭酸ガス固定量が高く、乾燥収縮ひずみが抑制された硬化体を得ることができる水硬性組成物を提供することができる。
以下、本開示の水硬性組成物用混和材及び水硬性組成物について具体例を挙げて詳細に説明する。以下の記載に記載する説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、以下の記載は、一例を示すものであり、本開示は以下の記載に限定されない。
本開示において「~」を用いて記載した数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を表す。
本開示において段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、骨材及びコンクリート粉末の粒径とは、特に断らない限り、粗骨材は、5mmふるいを用いた分級した場合、85質量%以上が通過せず止まる骨材を指し、細骨材は、10mmふるいを全て通過し、5mm以下の粒子が85質量%以上含まれる骨材を指す。骨材のサイズについては、JIS A5022(2016年)「再生骨材コンクリートM」又は、JIS A5023(2016年)「再生骨材コンクリートL」の規定を援用する。その他の粉体においては、粒径は、50%粒径を意味する。
本開示において、「再生コンクリート粉末」とは、廃コンクリート塊の粉砕物である未加工の粉末を指し、「改質コンクリート粉末」とは、前記再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物であって、炭酸ガスを吸着し、固定化した粉末を指す。
本開示における「再生コンクリート粉末」は、解体コンクリート等の廃コンクリート塊を破砕したとき、廃コンクリートから再生骨材を取り出したとき等に残る残渣として得られる。廃コンクリートは、解体コンクリート由来の材料が大部分を占めるが、本開示における「再生コンクリート粉末」は、解体コンクリート塊由来の再生コンクリート粉末に限定されない。例えば、レディーミクストコンクリート工場で製造した際の生コンクリートの残コンクリート、戻りコンクリート、レディーミクストコンクリート工場で製品を洗浄する際に排出されるスラッジを起源とする再生コンクリート粉末等も、本開示における「再生コンクリート粉末」に包含される。
<水硬性組成物用混和材>
本開示の水硬性組成物用混和材は、50%粒径50μm以下であって、の再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末を含み、前記改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムと、ケイ酸質とを含む。
以下、本開示の水硬性組成物用混和材を、単に「本開示の混和材」と称することがある。
(改質コンクリート粉末)
本開示の水硬性組成物用混和材は、50%粒径50μm以下であって、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物であり、炭酸カルシウムとケイ酸質とを含む改質コンクリート粉末を含有する。
再生コンクリート粉末は、廃コンクリート塊に由来するセメント成分を約40質量%以上含み、残りは、廃コンクリート塊の粉砕及び分級時に混入する再生骨材由来の骨材成分、所謂石粉である。
本開示の混和材が含む改質コンクリート粉末は、再生コンクリート粉末におけるセメント由来成分と炭酸ガスとが反応して得られる、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である。
改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムとケイ酸質とを含み、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応時に、炭酸ガスを効果的に吸収し、粉体内に固定化する。
この反応の過程で、セメント由来成分に含まれる成分のうち、少なくとも、水酸化カルシウム及びケイ酸カルシウム水和物(以下、CSHとも称する)が炭酸化されて炭酸カルシウムとケイ酸質が生成され、改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウム及びケイ酸質とを含む緻密な粉末となる。
CSHには、様々な組成があるといわれており、一例として、以下の組成を示し、CSHに含まれるCaOが炭酸化される反応について説明する。
CSHの例:1.7CaO・SiO・2.17HOの場合
上記CSHに含まれるCaOが炭酸ガスと反応することで、下記式で表されるように、炭酸カルシウムと、二酸化ケイ素とが生成する。
1.7CaO・SiO・2.17HO→ (炭酸化:CO
→1.7CaCO+SiO+2.17H
本開示の混和材は、混和材を含む水硬性組成物の流動性がより良好となるという観点から、混和材の全量に対し、炭酸カルシウムを10質量%~40質量%、ケイ酸質を2質量%~20質量%含むことが好ましく、炭酸カルシウムを17質量%~35質量%、ケイ酸質を5質量%~15質量%含むことがより好ましい。
ケイ酸質は、二酸化ケイ素、及び、二酸化ケイ素の水和物であるシリカゲルの形態で含まれていてもよい。
また、改質コンクリート粉末には、既述のように再生骨材に起因する石粉が含まれていることがある。改質コンクリート粉末に含まれる石粉は炭酸ガスとの反応性を有しないが、例えば、分級等により石粉を意図的に取り除くと、セメント由来成分も一緒に取り除かれてしまい、結果としてセメント由来成分のロスが生じる。石粉が含まれたままの再生コンクリート粉末とすることで、コンクリート塊からのセメント由来成分の回収量が向上する。
再生コンクリート粉末における石粉の含有量は、改質コンクリート粉末の回収率、エネルギー消費量及び炭酸ガス固定化量のバランスの観点からは、改質コンクリート粉末の全量に対し、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
改質コンクリート粉末が石粉を含む場合、60質量%以下であれば、本開示の効果である炭酸ガスの固定化効果を損なわないことが確認されている。
改質コンクリート粉末の原料は、50%粒径50μm以下の再生コンクリート粉末であり、炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末の粒径は、原料である改質コンクリート粉末の粒径を維持する。従って、本開示では、以下、再生コンクリート粉末の粒径と改質コンクリート粉末の粒径とは同じ粒径と見積もる。
本開示における改質コンクリート粉末は、結果として50%粒径50μm以下の粒径が維持され、セメントよりも大きく、細骨材よりも小さい粒径を有する。
本開示における改質コンクリート粉末の50%粒径は、以下の方法で測定した値を用いている。
再生コンクリート微粉末約0.05gを、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EXII:マイクロトラック・ベル(株)製)で、溶媒にエタノールを用いて180秒間超音波分散させた後、室温(25℃)にて測定した50%粒径の値を採用している。
改質コンクリート粉末の粒径は、50%粒径50μm以下であり、50%粒径が40μm以下であることが好ましい。
なお、50%粒径は、言い換えれば、改質コンクリート粉末の粒径の中央値であり、改質コンクリート粉末はある程度の粒度分布をもって存在している。即ち、改質コンクリート粉末としては、中央値である50μmよりも、より小さい粒径の粉末及びより大きい粒径の粉末の混合物である。
特定混和材添加による流動性及び強度がより向上するという観点からは、改質コンクリート粉末は、粒径の大きい粉末が混在しないことが好ましく、より具体的には、改質コンクリート粉末の最大粒径は1.2mm以下であることが好ましく、600μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
改質コンクリート粉末の製造方法には特に制限はない。
改質コンクリート粉末は、50%粒径50μm以下の再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物であるため、廃コンクリート塊から得られた再生コンクリート粉末と炭酸ガスとを接触させ、反応させて得ることができる。
より具体的には、再生コンクリート粉末と、濃度5%以上の炭酸ガスと、を反応させて改質コンクリート粉末を得る方法が挙げられる。炭酸ガスとの接触は、再生コンクリート粉末と気体状の炭酸ガスを接触させる乾式法であっても、再生コンクリート粉末を水等の液体に投入した後、液体に炭酸ガスを吹き込んで接触させる湿式法のいずれであってもよい。
以下に、改質コンクリート粉末の製造方法の一例を挙げて説明する。
(乾式法)
再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応を乾式法で行う場合、再生コンクリート粉末を閉鎖空間内に静置して、前記閉鎖空間内を濃度5%以上の炭酸ガスで満たして接触させる方法が挙げられる。
閉鎖空間内の温度は5℃~200℃が好ましく、20℃~100℃がより好ましい。なお、例えば、特に温度制御を行わない閉鎖空間で、温度0℃~40℃の温度雰囲気下で炭酸化処理を行うこともできる。
閉鎖空間の湿度は、炭酸化効率がより向上するという観点から、30%RH~90%RHとすることができ、50%RH~80%RHが好ましい。
接触させる気体中の炭酸ガス濃度は、5%以上であり、10%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。接触させる炭酸ガスは、100%炭酸ガスであってもよい。
炭酸化処理に使用する炭酸ガスは、炭酸ガスを含む排気ガスを適用してもよい。排気ガスとしては、加熱炉から排出される排気ガス、動力機関から排出される排気ガス等が挙げられ、濃度5%以上の炭酸ガスを含めば特に制限はない。また、工場等から排出される炭酸ガスの回収物を供給源として適用してもよい。
炭酸ガスを含む排気ガスを炭酸化処理に用いることで、排気ガス中の炭酸ガスの低減と、炭酸ガスの再生骨材への吸着による再生骨材の改質とを、同時に行うことができる。排気ガスの温度が100℃を超える高温である場合には、特に閉鎖空間を加熱しなくても、効率のよい炭酸化処理を行うことができ、消費エネルギーの低減及び排ガス中の炭酸ガスの低減を同時に達成できるという利点をも有する。
また、再生骨材の炭酸化を効率よく行う目的で、閉鎖空間を加圧状態として炭酸ガスを供給し、再生骨材に接触させてもよい。
乾式法における好ましい処理時間は、炭酸ガス濃度及び供給量との関連で適宜選択される。処理時間は、例えば、10%~50%濃度の炭酸ガスを用いた場合、1時間以上とすることができ、24時間以上が好ましく、2日間以上がより好ましく、5日以上がさらに好ましく、10日以上がさらに好ましい。処理時間に特に上限はないが、製造効率の観点からは、20日以下とすることができる。
好ましい処理時間は、骨材の状態、必要な改質再生骨材の物性により適宜選択することができる。例えば、再生骨材に付着しているセメント成分の量が少ない場合、及び、再生骨材の表面及びその近傍に付着するセメント粉末のみを炭酸化処理する場合には、処理時間は、1時間~2時間で目的とする改質再生骨材を得ることができる。
なお、乾式処理における処理時間を5日以上とする場合には、炭酸化の進行をより効率的にするという観点から、閉鎖空間内に静置した再生骨材を、数時間~3日間に一度程度の頻度で撹拌することが好ましい。撹拌により、再生骨材と炭酸ガスとの接触がより均一に行われ、再生骨材の一部、又は、個々の再生骨材の一部領域が炭酸化されないといった未反応の領域をより少なくすることができる。
なお、空気中には、約0.03体積%の二酸化炭素が含まれるため、乾式法処理の一つとして、再生コンクリート粉末を大気中に保存して、空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)を再生コンクリート粉末に固定化して、改質コンクリート粉末を得る方法が挙げられる。
大気中で、再生コンクリート粉末と二酸化炭素を反応させる場合には、開放空間に再生コンクリート粉末を配置して行うことができる。
大気中にて温度制御を行わずに炭酸ガスと反応させる場合、反応時間としては、12時間以上であることが好ましく、24時間以上であることがより好ましい。
再生コンクリート粉末に対する炭酸ガスの接触頻度を上げる目的で、再生コンクリート粉末を断続的に混合してもよい。
(湿式法)
湿式法は、再生コンクリート粉末を水に浸漬し、水のpHが6~8に達するまで水に炭酸ガスを供給する方法が挙げられる。より具体的には、再生コンクリート粉末を配置した容器に水を満たすことで再生骨材を水に浸漬し、水に炭酸ガスを吹き込んでバブリングする方法が挙げられる。
浸漬に用いる水には特に制限はない。使用される水は、炭酸ガスと接触して塩を形成する不純物が少ないことが処理効率の観点から好ましい。水としては、例えば、工業用水、水道水、イオン交換水等を用いることができる。
湿式法を実施する場合に水中に供給する炭酸ガス濃度は5%とすることができる。湿式法において供給する炭酸ガス濃度の上限には特に制限はなく、炭酸ガス濃度は100%であってもよい。
炭酸ガス濃度は高い方が、再生骨材の炭酸化処理効率がより良好になり、処理時間を短くすることができる。
供給する炭酸ガスは、乾式法と同様に、炭酸ガスを含む排気ガスを用いてもよい。炭酸ガスの供給源として排気ガスを用いる場合には、炭酸ガス濃度は排気ガスに含まれる炭酸ガス量に依存する。排気ガスを用いる場合においても、排気ガス中の炭酸ガス濃度は、5%以上であることが好ましい。
再生骨材を浸漬した水中への炭酸ガスの供給量、及び、上記濃度の炭酸ガスの供給速度は、目的に応じて適宜選択することができる。炭酸ガスの供給量(総量)及び供給速度を最適化して炭酸ガスを吹き込むことにより、水に浸漬された再生骨材と炭酸ガスとの接触が効率よく行われ、再生骨材の炭酸化が進行する。
なお、炭酸ガスの水に対する溶解度は、水温が低い方が大きくなる。このため、水の温度は特に制御しなくてもよい。
なお、炭酸ガスの供給源として排気ガスを用いる場合、排気ガスの温度によっては、水の温度が上昇することがあるが、水温は100℃に達することはないため、再生骨材の炭酸化処理の進行に影響を与えることはないと考えられる。
湿式法による処理における水の温度には特に制限はなく、常温で行うことができる。また、炭酸ガスの供給に排気ガスを用いた場合、排気ガスの温度及び供給量に起因して水の温度が、例えば、90℃程度に上昇する場合があるが、当該温度条件においても炭酸化処理を行うことができる。
湿式法による処理時間には特に制限はない。処理時間としては、例えば、5分間~10時間とすることができ、30分間~6時間であることが好ましい。
再生骨材と炭酸ガスとの接触により、再生骨材に含まれるセメント由来成分の炭酸化が進行すると水のpHが低下する傾向にあるため、水のpHが6~8に達する時点を炭酸化処理の終点としてもよい。水のpHが6.5~7.0に達する時点まで湿式法による処理を行うことが好ましく、pHが6.5~6.8に達する時点まで処理を行うことがより好ましい。水のpHが目的となる値、例えば、上記水のpHが6.5~7.0に達した時点から、さらに30分間~90分間処理を継続することがより好ましい。
湿式法による処理における水のpHは、公知のpHメーターで測定することができる。本開示では、液温20℃として、(株)東興化学研究所のガラス電極式水素イオン濃度指示計(TPX-999Si)で測定した値を用いている。
改質コンクリート粉末の製造方法は上記に限定されない。再生コンクリート粉末を何らかの方法で炭酸ガスと接触させることで、改質コンクリート粉末を得ることができ、得られた再生コンクリート粉末は、本開示の混和材として好適に使用し得る。
なお、本開示の混和材は、再生コンクリート粉末を含む他には、特に制限はない。本開示の混和材は、再生コンクリート粉末のみを含む態様でもよく、再生コンクリート粉末に加え、他の公知の混和材を含んでいてもよい。
本開示の混和材は、後述の水硬性組成物に好適に用いられる。
本開示の混和材は、セメント組成物等の水硬性組成物に含有させることで、改質コンクリート粉末の機能により、水硬性組成物の流動性がより向上し、さらに、水硬性組成物の硬化体の強度発現がより高くなるという利点をも有する。
<水硬性組成物>
本開示の水硬性組成物は、水硬性結合材、50%粒径50μm以下であって、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末を含む水硬性組成物用混和材、及び、水を含み、前記改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムと、ケイ酸質とを含み、前記水硬性組成物用混和材の含有量は、前記水硬性結合材100質量部に対し、5質量部~60質量部である。
本開示の水硬性組成物に係る作用機構は明確ではないが、本発明者らは以下のように考えている。
本開示の水硬性組成物に含まれる改質コンクリート粉末は、水硬性結合材であるセメント粒子に比較して粉末度が高く、炭酸ガスが固定された脱炭素化に有効なコンクリート用材料である炭酸ガス固定粉末として供給される。
改質コンクリート粉末は、セメントほどの反応性は期待できないが、50%粒径が50μm以下であり、且つ、硬質な炭酸カルシウムと、親水性のケイ酸質とを含むことで、強度発現に影響を及ぼすと言われる50nm以上の空隙を減少させることができると考えられる。
また、水硬性組成物が、改質コンクリート粉末を含むことで、粒径の小さい粉末量が多くなり、改質コンクリート粉末の周囲に水が配されるため、水/結合材比が同じ水硬性組成物の場合、結果としてセメント粒子の周りに配される水がより減少し、局所的にみると水/結合材比が小さくなる効果が得られると推測される。従って、水の分離が生じ難く、水硬性組成物の混練時の分離抵抗性がより高まると考えられ、低発熱型の高流動コンクリートが実現できると考えている。
一般に粉体の添加量の増加に伴い、水硬性組成物の硬化体における空隙が増加し、硬化体の強度が低下するといわれているが、本開示の水硬性組成物においては、改質コンクリート粉末の上記作用により、流動性を維持しつつ、強度低下が抑制されると考えている。
(水硬性組成物用混和材)
本開示の水硬性組成物は、上記本開示の水硬性組成物用混和材を含む。
即ち、本開示の水硬性組成物は、50%粒径50μm以下であって、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末を含む。
本開示の水硬性組成物における前記本開示の混和材の含有量は、前記水硬性結合材の100質量部に対し、5質量部~60質量部であり、10質量部~55質量部であることが好ましく、20質量部~50質量部であることがより好ましい。
本発明者らは、再生コンクリート粉末が含むセメント由来成分が高い炭酸ガス固定可能を有することに着目した。従来のコンクリート硬化体に炭酸ガスを吸着する方法に比較し、粉末度が高く、表面積が大きい再生コンクリート粉末は、炭酸ガスと反応する際に多くの二酸化炭素を固定化することができる。
得られた改質コンクリート粉末は、再生細骨材に含まれる水酸化カルシウム及びCSHが炭酸化して生成した炭酸カルシウム及びケイ酸質を含む。
なお、ケイ酸質は二酸化ケイ素に形態、及び二酸化ケイ素の水和物であるシリカゲルの形態で改質再生骨材に含まれることがある。
本開示の水硬性組成物に含まれる本開示の混和材は、前記本開示の混和材と同じであり、好ましい例も同様である。
一般に、水酸化カルシウムは、セメント由来成分の20質量%程度に過ぎず、水酸化カルシウムを炭酸化して炭酸カルシウムを得るのみでは、再生コンクリート粉末の改質は不十分であり、炭酸ガスを固化できる量も限られる。一方、CSHは、セメント成分の50質量%程度を占める。
従って、本開示における改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムのみならず、ケイ酸質を含むことで、改質前の再生コンクリート粉末と比較し、水硬性組成物の混和時における流動性がより良好となり、水硬性組成物硬化体の強度低下の要因の一つとなる微細な空隙がより生成し難くなる。このため、本開示の水硬性組成物によれば、高強度の硬化体を得ることができる。また、より多くの炭酸ガスの固化が可能となる。
本開示の水硬性組成物に含まれる前記混和材は、水硬性組成物の流動性がより良好となるという観点から、混和材の全量に対し、炭酸カルシウムを10質量%~40質量%、ケイ酸質を2質量%~20質量%含むことが好ましく、炭酸カルシウムを20質量%~30質量%、ケイ酸質を5質量%~15質量%含むことがより好ましい。
(炭酸カルシウムの定量)
改質コンクリート粉末における炭酸カルシウムの含有量は、熱分析により確認することができる。
本開示では、熱分析装置TG-DTA(リガク社製 Thermo plus EVO2 TG-DTA8122)を用いて、600℃~800℃の減量から炭酸カルシウムの含有量を算定している。
(二酸化ケイ素の定量)
改質コンクリート粉末におけるケイ酸質の含有量は、発光分光分析により確認することができる。なお、ケイ酸質であるシリカゲルは二酸化ケイ素の水和物であるため、含有量は、Si元素基準にて測定した値となる。
改質コンクリート粉末を試薬特級の塩酸(濃度約35質量%)を容積比で1:4の割合で純水と混合したHCl(1+4)水溶液で溶解し、未溶解分を、さらに0.2N KOHで溶解し、得られた溶解液中のSiを誘導結合プラズマ(以下、ICP)発光分光分析装置で測定して、SiOgelの含有量を確認する。
本開示では、ICP発光分光分析装置として、(株)日立ハイテクサイエンス、SPECTROBLUE(登録商標)EOPを用いて測定した値を採用している。
改質コンクリート粉末の粒径は、50%粒径50μm以下であり、50%粒径が45μm以下であることが好ましい。
水硬性組成物の流動性及び得られる硬化体の強度がより向上するという観点からは、改質コンクリート粉末は、粒径の大きい粉末が混在しないことが好ましく、より具体的には、改質コンクリート粉末の最大粒径は1.2mm以下であることが好ましく、600μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
改質コンクリート粉末の粒径については、既述のように、50%粒径50μm以下であることが規定されているが、50%粒径は改質コンクリート粉末の粒径の中央値であり、改質コンクリート粉末はある程度の粒度分布をもって存在している。即ち、改質コンクリート粉末としては、中央値である50μmよりも、より小さい粒径の粉末及びより大きい粒径の粉末の混合物である。
水硬性組成物に本開示の混和材を用いる際には、改質コンクリート粉末が大きな粒子を含まないこと、具体的には、改質コンクリート粉末の最大粒径が1.2mm以下であること、より好ましくは600μm以下であること、さらに好ましくは150μm以下であることにより、水硬性組成物の流動性がより良好となる。また、上記サイズの粒子を含まないことにより、水硬性組成物硬化体における微細な空隙がより生成し難くなり、硬化体の強度向上効果がより良好となり好ましい。
水硬性組成物における改質コンクリート粉末を含む本開示の混和材の含有量は、一般的な水硬性組成物用混和材の含有量と同様とすることができる。
具体的には、後述の水硬性結合材に対し、本開示の混和材を5質量%~60質量%含むことが好ましく、10質量部~55質量部含むことがより好ましい。
(水硬性結合材)
本開示の水硬性組成物は、ポルトランドセメント等の水硬性結合材を含む。本開示における水硬性結合材は、水と混合して硬化体を形成し得る、水硬性組成物に主成分として含まれる結合材を包含する意味で用いられる。
水硬性結合材としては、コンクリート、モルタル、グラウト等が挙げられ、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム等でその一部が置換された混合セメント等も本開示における水硬性結合材に含まれる。
以下、水硬性結合材として、コンクリート組成物に通常用いられるポルトランドセメントの例を挙げて説明するが、本開示における水硬性結合材は、ポルトランドセメントには限定されない。
水硬性結合材としてのポルトランドセメントには特に制限はなく、水硬性組成物の使用目的に応じて、各種セメント類の中から、適宜選択することができる。
水硬性結合材の一態様であるポルトランドセメントとしては、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等が挙げられる。
本開示の水硬性組成物における水硬性結合材の含有量は、初期硬化性、初期強度、長期強度、水硬性組成物硬化体の使用目的等を考慮して適宜選択される。通常、水硬性結合材は、硬化体を構成する水硬性組成物中に、総量で270kg/m~650kg/m含有することが好ましく、320kg/m~530kg/m含有することがさらに好ましい。
本開示における水硬性結合材の含有量とは、水硬性結合材としてポルトランドセメントのみを用いた場合にはポルトランドセメントの含有量を示し、ポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等で置き換えた混合セメントを用いた場合には、複数の水硬性結合材の総含有量を示す。
(水)
本開示の水硬性組成物は、水を含有する。
水硬性組成物に用いられる水には特に制限はなく、水道水等を使用することができる。
水硬性組成物における水の含有量は、水硬性組成物の流動性及び水硬性組成物の硬化物である水硬性組成物硬化体の所望の特性に応じて適宜選択すればよい。
水/水硬性結合材の含有比率は、最終的に得られる水硬性組成物硬化体の圧縮強度として、18N/mm以上の強度を発現する範囲とすることが好ましい。また、大気中の二酸化炭素との炭酸化反応を抑制し、水硬性組成物硬化体内に配置される鉄筋を腐食から保護するという観点から、水/水硬性結合材の含有比率は、質量換算で60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
水硬性組成物硬化体を形成するための水硬性組成物においては、水とセメントの含有比率のみならず、骨材の含有量、さらには、任意成分である混和剤、硬化促進剤等の各種材料の含有量を適宜調整することで、硬化体の強度や物性を調整することもできる。
(その他の成分)
本開示の水硬性組成物は、既述の水硬性結合材、水硬性組成物用結合材、及び、水に加え、効果を損なわない限りにおいて、目的に応じてその他の成分をさらに含有することができる。
その他の成分としては、細骨材、粗骨材等の骨材、水硬性組成物に用いられる各種添加剤、例えば、石膏、混和剤、反応調整剤、減水剤、空気連行剤、消泡剤、硬化促進剤、凝結遅延剤、収縮低減剤、増粘剤、防腐剤、防錆剤、速硬性混和材等が挙げられる。
(石膏)
本開示の水硬性組成物は、さらに、石膏を含有してもよい。
本開示の水硬性組成物は、既述の本開示の混和材に対し、石膏を2質量%~20質量%含むことが好ましい。
本開示の水硬性組成物が石膏を含有する場合、石膏の含有量は、既述の本開示の混和材に対し、2質量%~20質量%であることがより好ましく、10質量%~15質量%であることがさらに好ましい。
また、水硬性組成物が、石膏を含む場合の石膏の含有量は、前記水硬性結合材と前記改質コンクリート粉末との合計量に対し、1質量%~30質量%であることが好ましく、3質量%~20質量%であることがより好ましく、5質量%~15質量%であることがさらに好ましい。
本開示の水硬性組成物が、上記特定量の石膏を含有することで、水硬性組成物硬化体に初期膨張性が付与され、硬化体のひび割れの原因となる乾燥収縮が低減されることにより、圧縮強度の低下を最小限に抑えることが可能となる。
本開示の水硬性組成物に用い得る石膏には特に制限はなく、公知の石膏を用いることができる。石膏としては、例えば、二水石膏、無水石膏等のいずれでもよく、これらの一種又は二種以上を用いることができる。石膏として、解体コンクリート塊に中に含まれるセメント由来のSO成分から生成された再生石膏を用いてもよい。
なかでも、水硬性組成物により得られる水硬性組成物硬化体の乾燥収縮の抑制効果がより良好であるという観点からは、二水石膏及び無水石膏が好ましい。
(骨材)
本開示の水硬性組成物は、必要に応じて細骨材、粗骨材等の骨材を含有してもよい。
水硬性組成物に用い得る骨材には特に制限はなく、硬化体の所望のサイズ、物性に応じて、公知の細骨材、粗骨材を用いることができ、含有量も、一般的なコンクリート組成物等の水硬性組成物同様に、効果を損なわない範囲で任意に選択することができる。
細骨材及び粗骨材として、解体コンクリート塊から得られる再生細骨材、再生粗骨材を用いてもよい。
硬化体の使用目的によっては、骨材を必要とせず、その場合には、骨材を使用せずに水硬性組成物が調製される。
(細骨材)
細骨材は、良質で堅固な天然砂、砕砂、加工砂等が使用される。細骨材の種類と含有量とは目標とする水硬性組成物硬化体の強度に応じて適宜選定すればよい。砕砂や加工砂を使用する場合には、角を処理したものや、粒度を調整したもの等を使用してもよい。
また、解体コンクリート塊を破砕し、分級して得られる再生細骨材を、通常骨材の一部又は全てと置き換えて用いてもよい。
細骨材として、成分にSiOが多い細骨材を用いると、細骨材の構成成分が高温養生等を行った際に僅かではあるが反応するため、水硬性組成物硬化体の強度増進に有効であると考えられる。そのような観点からは、SiOを70%以上含有する細骨材、例えば、流紋岩や石英系の細骨材が好ましい。
(粗骨材)
骨材として、細骨材に加えて、さらに粗骨材を使用する場合には、良質で堅固な粗骨材を用いることが好ましい。粗骨材の最大寸法は粒径(最大粒径)が20mm以下であることを要し、好ましくは最大寸法が15mm以下とすることが望ましい。岩種については、硬質砂岩、安山岩、流紋岩等の一般的なものから、目標とする強度に応じて適宜選定すればよい。コンクリート組成物が粗骨材を含むことで、得られる水硬性組成物硬化体の強度が一層向上する。
粗骨材としても、解体コンクリート塊を破砕し、分級して得られる再生粗骨材を、通常骨材の一部又は全てと置き換えて用いてもよい。
水硬性組成物の調製は、公知の方法により実施することができる。
例えば、少なくとも既述の水硬性結合材、及び、必要に応じて用いられる石膏、反応調整剤等のその他の添加剤をミキサで混練し、十分に混合した後、水、及び、本開示の混和材を添加して、混合する方法が挙げられる。
水硬性組成物が、必要に応じて骨材を含む場合、骨材の混入量は、硬化体の用途、経済性、ハンドリング性等を考慮して適宜選択される。通常は、例えば、水硬性組成物100体積部に対して、5mmを超えるサイズの粗骨材の混入量は25体積部~45体積部の範囲であることが好ましい。5mm以下のサイズの細骨材の混入量は、水硬性組成物100体積部に対して、50体積部~100体積部の範囲であることが好ましい。
各成分を混入した後の水硬性組成物の混合時間は、通常、1分~3分間程度である。
このようにして、硬化体を形成するための水硬性組成物が調製される。
本開示の水硬性組成物は、既述の本開示の混和材が水硬性結合材に適切に作用することにより、混合後のフレッシュ状態の流動性がより向上し、水/結合材比が少ない場合においても型枠への注入を容易に行うことができる。さらに、本開示の混和材における改質コンクリート粉末の機能により、得られる水硬性組成物硬化体は、微細な空隙が少なく、強度が良好となる。
既述の本開示の水硬性組成物は、流動性が良好であるため、型枠への注入を容易に行うことができる。
さらに、本開示の水硬性組成物によれば、製造工程において、本開示の混和材に含まれる改質コンクリート粉末が、炭酸ガスとの反応時に多くの炭酸ガスを固定化し得ること、得られた水硬性組成物硬化体が高強度であることから、解体コンクリートのリサイクルが促進されることが期待でき、環境負荷も低減される。
以下、本開示の水硬性組成物用混和材、水硬性組成物及びその製造方法について、具体例を挙げて詳細に説明するが、以下の具体例は一例に過ぎず、本開示の主旨に従い、種々の変形例を実施することができる。
<改質コンクリート粉末の製造>
建物の解体時に発生した解体コンクリート塊を粉砕し、40mmアンダーの破砕物を得た。
得られた粉砕物を分級して再生粗骨材と再生細骨材とを分離した後、得られた粉末を再生コンクリート粉末として回収した。既述の方法で測定した再生コンクリート粉末の50%粒径は27μmであった。
(湿式法)
20L(リットル)のボトルに、上記で得た再生コンクリート粉末と蒸留水とを投入し、60分間静置した。スラリー濃度は、125g/Lとした。
ボトル内に炭酸ガスを30L/minで供給し、スタラーで撹拌しながら、スラリーのpHが6.8以下となるまで炭酸ガスの供給を継続し、その後、60分間静置し、水を除去して改質コンクリート粉末Aを回収した。
(乾式法)
上記で得た再生コンクリート粉末を、雰囲気温度20℃、湿度60%RH、炭酸ガス濃度10%の槽内に厚さ5cmにて均一に配置し、9日間炭酸ガスと接触させた。2日ごとに再生コンクリート粉末をかき混ぜることで、粉末の全体が炭酸ガスと接触するように操作し、改質コンクリート粉末Bを得た。
(コンクリート粉末の評価)
1.50%粒径
粉末約0.05gを、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300EXII:日機装(株)製)で、溶媒にエタノールを用いて180秒間超音波分散させた後、室温(25℃)にて50%粒径を測定した。
2.密度
密度は、アルキメデス法による水への溶解が生じる可能性を考慮し、JIS R1620(1995年)に準じて、気相置換法により測定した。
3.炭酸カルシウム及びケイ酸質の含有量
(炭酸カルシウム)
得られた改質コンクリート粉末について、炭酸カルシウム量は、既述の装置:TG-DTAを用い、600℃~800℃の減量により求めた。その際、100℃における質量を基準とした。
(ケイ酸質)
以下の方法により、ケイ酸質をSi元素換算で定量した。
コンクリート粉末を試薬特級の塩酸(濃度約35質量%)を容積比で1:4の割合で純水と混合したHCl(1+4)水溶液で溶解し、未溶解分を、さらに0.2N KOHで溶解し、得られた溶解液中のSiを誘導結合プラズマ(以下、ICP)発光分光分析装置で測定して、SiOgelの含有量を確認した。ICP発光分光分析装置として、(株)日立ハイテクサイエンス、SPECTROBLUE(登録商標)EOPを用いた。
4.二酸化炭素含有量
上記粉末に含まれる炭酸カルシウム含有量から、粉末に含まれる二酸化炭素(CO)の量を算出した。
5.石粉の含有量
コンクリート粉末を、前記によりKOH溶解後の未溶解分を不溶残分、即ち、骨材由来の石粉として含有量を測定した。
さらに、炭酸ガスと反応させていない未処理の再生コンクリート粉末についても同様の測定、評価を行った。
結果を下記表1に示す。
上記の結果より、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末は、未反応の再生コンクリート粉末に比較し、密度が同程度であるか、又はより高い値を示した。
また、改質コンクリート粉末では、炭酸カルシウム及びケイ酸質であるシリカゲルの含有量は、再生コンクリート粉末に比較してより多くなり、特に、湿式法の処理において、炭酸ガスの吸着性、及び炭酸カルシウム含有量がより高いことが分かった。
〔実施例1~実施例4、比較例1~比較例2〕
(モルタル組成物の調製)
以下の処方で、表2の含有量に従い、モルタル組成物を調製した。
モルタル組成物の調製に用いた水硬性結合材、細骨材、及び改質コンクリート粉末(又は再生コンクリート粉末)は、以下の通りである。
1.水硬性結合材
*普通ポルトランドセメント(密度:3.16g/cm、比表面積:3140cm/g)
2.細骨材
*細骨材:けい砂4号(2.64g/cm)、けい砂5号(2.63g/cm)、及びけい砂6号(2.63g/cm)を、質量比で0.3:0.5:0.2の割合で混合した混合物
3.改質コンクリート粉末
*改質コンクリート粉末A(乾式法、密度:2.53g/cm
*改質コンクリート粉末B(湿式法、密度:2.58g/cm
4.再生コンクリート粉末
対照例:炭酸ガスと反応させていない未処理の再生コンクリート粉末(密度:2.51g/cm
下記の各表では、改質コンクリート粉末A、改質コンクリート粉末B及び再生コンクリート粉末を、それぞれ改質粉末A、改質粉末B及び再生粉末と略記することがある。
下記表2において、Fは再生粉末又は改質粉末を、Cは水硬性結合材であるポルトランドセメントを、Wは水を、Sは細骨材を表す。
前記各材料のうち、ポルトランドセメント、改質粉末若しくは再生粉末及び細骨材を強制二軸ミキサで30秒乾撹拌し、その後、水を加え、2分間混練して、モルタル組成物を得た。
水/結合材比は質量換算で50.0%とした。
(モルタル組成物の評価)
1.フロー値
JIS R5201(2015年)に準拠してフロー値を測定した。
2.圧縮強度
JIS A1108(2018年)に準拠し、材齢4週(材齢28日)の乾燥収縮ひずみを測定した。1日脱型後、簡易断熱養生を行った試料を被検体とした。
型枠のサイズは、直径50mm、長さ100mmとした。
3.乾燥収縮
JIS A1129(2009年)に準拠し、材齢4週の圧縮強度を測定した。
型枠のサイズは、40mm×40mm×160mmとした。
結果を下記表3に示す。
表3に明らかなように、本開示の混和材に含まれる改質コンクリート粉末を用いた実施例1~実施例4のモルタル組成物は、炭酸ガスと反応していない再生コンクリート粉末を含む比較例1及び比較例2のモルタル組成物に対し、フロー値は同等又はそれ以上であり、流動性は実用上問題のないレベルであった。
実施例1~実施例4のモルタル組成物により得られた硬化体は、圧縮強度がいずれも実用上問題のない40N/mmを大きく上回っていた。また、実施例1~実施例4のモルタル組成物により得られた硬化体は、比較例1及び比較例2のモルタル組成物により得られた硬化体に対し、圧縮強度は同等であり、乾燥収縮ひずみがより抑制されていることが分かった。
〔実施例5~実施例16、比較例3~比較例4〕
(モルタル組成物の調製)
以下の処方で、表4に記載の各成分の質量比に従い、モルタル組成物を調製した。
モルタル組成物の調製に用いた水硬性結合材、細骨材、石膏、混和剤、及び改質コンクリート粉末(又は再生コンクリート粉末)は、以下の通りである。
1.水硬性結合材
*普通ポルトランドセメント(密度:3.16g/cm、比表面積:3140cm/g)
2.細骨材
*細骨材:けい砂4号(2.64g/cm)、けい砂5号(2.63g/cm)、及びけい砂6号(2.63g/cm)を、質量比で0.3:0.5:0.2の割合で混合した混合物
3.改質コンクリート粉末(実施例1~実施例4における粉末と同じ)
*改質コンクリート粉末A(乾式法、密度:2.45g/cm
*改質コンクリート粉末B(湿式法、密度:2.57g/cm
4.再生コンクリート粉末(比較例1~比較例2における粉末と同じ)
対照例:炭酸ガスと反応させていない未処理の再生コンクリート粉末(密度:2.465g/cm
5.石膏
*二水石膏(密度2.31g/cm
下記表4において、Fは再生粉末又は改質粉末を、Cは水硬性結合材であるポルトランドセメントを、Wは水を、Sは細骨材を、Pは石膏を表す。
前記各材料のうち、ポルトランドセメント、改質粉末若しくは再生粉末。細骨材及び所望により用いられる石膏を強制二軸ミキサで30秒乾撹拌し、その後、水を加え、2分間混練して、モルタル組成物を得た。
水/結合材比は質量換算で50.0%とした。
(モルタル組成物の評価)
フロー値、圧縮強度、及び乾燥収縮ひずみ評価は、実施例1と同様にして行った。
結果を表5に示す。
なお、モルタル組成物硬化体の圧縮強度は、1日脱型後、簡易断熱養生を行った材齢28日の試料を被検体とした。
フロー値及び硬化体の圧縮強度、乾燥収縮ひずみの評価結果を下記表5に示す。

表5に明らかなように、改質コンクリート粉末を含む実施例5~実施例16のモルタル組成物は、フロー値はいずれも実用上問題のない流動性を示した。
また、材齢4週の圧縮強度は実用上問題のない40N/mmを上回っていた。
乾燥収縮ひずみは、各実施例のいずれも、未処理の再生コンクリート粉末を等量含む比較例3及び比較例4に対し、改善が見られた。
なかでも、改質コンクリート粉末及び石膏を含む実施例6及び実施例7のモルタル組成物の硬化体は、同水準で石膏を含まない実施例5のモルタル組成物の硬化体に比較し、乾燥収縮ひずみがより改善されていることが分かった。

Claims (5)

  1. 50%粒径50μm以下であって、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末を含み、
    前記改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムと、ケイ酸質とを含む水硬性組成物用混和材。
  2. 水硬性結合材、50%粒径50μm以下であって、再生コンクリート粉末と炭酸ガスとの反応生成物である改質コンクリート粉末を含む水硬性組成物用混和材、及び、水を含み、
    前記改質コンクリート粉末は、炭酸カルシウムと、ケイ酸質とを含み、
    前記水硬性組成物用混和材の含有量は、前記水硬性結合材100質量部に対し、5質量部~60質量部である水硬性組成物。
  3. 前記水硬性組成物用混和材は、水硬性組成物用混和材の全量に対し、炭酸カルシウムを10質量%~40質量%、ケイ酸質を2質量%~20質量%含む、請求項2に記載の水硬性組成物。
  4. 前記改質コンクリート粉末の最大粒径が、1.2mm以下である、請求項2又は請求項3に記載の水硬性組成物。
  5. 前記水硬性組成物用混和材に対し、石膏を2質量%~20質量%含む請求項2に記載の水硬性組成物。
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