JP2000280979A - 高速滑走艇 - Google Patents

高速滑走艇

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JP2000280979A
JP2000280979A JP11087405A JP8740599A JP2000280979A JP 2000280979 A JP2000280979 A JP 2000280979A JP 11087405 A JP11087405 A JP 11087405A JP 8740599 A JP8740599 A JP 8740599A JP 2000280979 A JP2000280979 A JP 2000280979A
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JP
Japan
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sponson
spray
stern
ship
lift
Prior art date
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Pending
Application number
JP11087405A
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English (en)
Inventor
Keiji Shimoyama
敬次 下山
Mikio Kamitake
幹夫 神竹
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Publication date
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  • Aerodynamic Tests, Hydrodynamic Tests, Wind Tunnels, And Water Tanks (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 船側に沿った一定幅のスポンソンでは、スプ
レーの一部だけしか受け止めることができず、その運動
エネルギーが有効に活用できていなかった。 【解決手段】 船底面に沿って跳ね上がってきたスプレ
ーSを効率良く受け止めることができるように後方(船
尾)側に拡幅したデルタ形のスポンソン11を船尾部2
の両舷の船側外板7に備えた高速滑走艇である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、滑走時における
船体姿勢安定性能を向上するためのスポンソンを備えた
高速滑走艇に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、滑走型の高速艇(以下、本明細
書では「高速滑走艇}という)は、僅かな外乱により航
走姿勢が大きく変わる性質がある。また、外乱がない場
合でも、ポーポイジングと呼ばれる縦方向の周期運動を
発生することがある。これらの船体姿勢変化や船体運動
を抑制するため船尾船側にスポンソンが設けられている
(例えば、特開平6−191466号公報、実開昭62
−157694号公報がある)。
【0003】かかるスポンソンは、船底部から船体表面
に沿って後ろ上方に流れてくるスプレーを船体最後端部
付近で受けて、流体力を発生させ、これを船体姿勢の安
定保持等に利用するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のス
ポンソンは、船側から一定の幅を有する細長い長方形状
の平板で構成されているために、滑走中に生じるスプレ
ーを受けない部分が先端部付近に存在し、この部分は滑
走する艇の縦安定性保持機能(ポーポイジング抑制機
能)には殆ど寄与しない。
【0005】さらに、本件出願人が、模型試験および実
艇試験によって得られた画像データを解析したところ、
図3のように船底面から回り込んで跳ね上がってくるス
プレーSは、滑走時の艇の船底の接水面Wから跳ね上が
って船尾後方に流れていくが、スポンソンに流入するス
プレーSの流入角αは船側7に平行ではなく、一定の角
度内にあることが究明された。
【0006】しかるに従来のスポンソンは先端から後端
までほぼ一定の幅を有しているため、船尾端に向かって
次第に広がってくるスプレーに対しては、スポンソン後
端部付近ではスプレーを効率よく受け止めきれず、従っ
てその運動エネルギーが有効に活用できなかった。この
ときの揚力中心がスポンソンの中央部付近に位置するた
め(図5)、揚力作用点の船尾端からの位置をスポンソ
ンの1/2長さよりも短くすることができず、結果とし
て姿勢安定機能を向上させるためには、幅に広いスポン
ソンを設置する必要があった。これは、船体抵抗の増加
を招き船速の低下を引き起こす結果となっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本願発明は、船底面から回り込んで跳ね上がって
くるスプレーの流出方向に合わせた形状を有するスポン
ソンを、船尾部の両舷側部に備えた高速滑走艇である。
【0008】これは、前述したように、船底面から回り
込んで跳ね上がってくるスプレーは、図3のように滑走
時の艇の船底の接水面Wから跳ね上がって船尾後方に流
れていくが、スポンソンに流入するスプレーSの流入角
αは船側に平行ではなく、一定の角度(約15°の範
囲)内にあることが本件出願人が行った模型試験および
実艇試験によって得られた画像データの解析の結果究明
されたからである。
【0009】従って、スポンソンの平面形状を前端から
10°〜15°の拡幅角で後方に広がったものにすると
効率良くスポンソンを受け止めることができる。特に、
スポンソンの拡幅角を約15°に設定しておけばスポン
ソンの殆どの殆ど全域においてスプレーを受け止めるこ
とができる。
【0010】上記よれば、船底面から回り込んで跳ね上
がってくるスプレーをスポンソン全体で効率良く受け止
めることができるため高い縦安定性保持機能を得ること
ができる。
【0011】また、船底面から回り込んで跳ね上がって
くるスプレーを受け止めることができるような、船尾方
向に向かって拡幅したデルタ形のスポンソンを船尾部の
両舷船側外板に備えた高速滑走艇である。
【0012】これにより、揚力中心を従来にものより船
尾側に移行できるので艇の重心からのレバーが従来のも
のよりも大きくとれる結果、大きな頭下げモーメントを
得ることができ、船体縦姿勢安定機能が向上する。
【0013】また、スポンソンの幅方向の先端を鉤状断
面(フック部)に形成した場合には、船底面から上昇し
てきたスプレーを逃がさず効率よく流体の運動エネルギ
を揚力に変換しうる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a)(b)は本願発明に係る
スポンソンを備えた高速滑走艇の側面図と船尾から見た
正面図である。
【0015】この図に示す高速滑走艇1は、レジャー用
の小型滑走艇であり、船尾端2の船底3付近に設けたジ
ェットノズル4から水を噴射することにより推進力を得
て高速で航走するものである。運転者はシート5に座っ
て操縦ハンドル6を握って操縦する。船体横断面は船体
中心線に対して左右対称であり、船底3はキール3b位
置から上向きに傾斜して舷側7aまで延び、ナックルラ
イン8kからほぼ垂直に上方に立ち上がって船側外板7
を形成している。ナックルライン8kはチャイン8を形
成するもので、チャイン8と甲板9との間に存在する船
側外板7は船尾からほぼ一定の深さ(高さ)をもち、チ
ャイン8は甲板9にほぼ平行に船首部10付近まで延
び、船首部10付近から緩やかな円弧を描いて船首端1
0aにつながっている。
【0016】艇の前後方向に延びるスポンソン11が船
尾部2の舷側部である船側外板7に装着されている。ス
ポンソン11は両舷対称位置に配置される。
【0017】図2はスポンソン11の拡大平面図であ
る。スポンソン11は、船側外板7にその後端を船尾端
2にほぼ一致させて装着してある。スポンソン11は、
船底面から回り込んで跳ね上がってくるスプレーの流出
方向に合わせた形状を有する。具体的には、船底面から
回り込んで跳ね上がってくるスプレーを受け止めること
ができるような、後方(装着状態では船尾方向)に向か
って拡幅したデルタ形(図示例では直角三角形)に形成
されている。これは、既述した如く、スプレーの流入角
αは船側外板7に平行ではなく、一定の角度(15°の
範囲)内にあることが実験解析の結果究明されたことに
基づく(図3)。
【0018】従って、前端から10°〜15°の拡幅角
θで後方に広がったスポンソンが好ましく、特に、スポ
ンソンの拡幅角θを15°に設定しておけば殆どのスプ
レーを受け止めることができる。
【0019】スポンソン11は、図1(b)に示す如く、
幅方向の先端部が鉤(フック)状断面に形成されること
もある。これは、スポンソン11のフック部11aで、
船底から跳ね上がってきたスプレーを受け止めて、これ
をできるだけ横方向に逃がさないようにするためであ
る。
【0020】図4は、滑走中にスポンソン11の存在に
よって揚力Lが発生する様子を示す船体側面の模式図で
あり、揚力中心と艇の重心Gとの距離(レバー)aと揚
力Lとの積L×aが頭下げモーメントであり、これが大
きければポーポイジング抑制効果が大きくなり、姿勢安
定保持機能を充分発揮させることができる。
【0021】図5は、図4の滑走中スポンソンに働くス
プレーによる揚力の分布図である。図5において、実線
は本願スポンソンの場合の揚力分布を示し、仮想線は前
述した従来のスポンソンの揚力分布である。
【0022】図5に示すように、スポンソンをデルタ形
にしたことによりその揚力中心を、従来のスポンソンの
揚力中心からbだけ(後方)船尾方向に移動させること
ができる。しかも、デルタ形スポンソンは、一定の流入
角をもつスプレーを効果的に受け止めることができるの
で合力としての揚力Lも従来の揚力L0 よりも大きくな
る。
【0023】図6は、揚力中心が30mm後方に移動した
場合の実験結果であり、縦軸に揚力、横軸に船体姿勢安
定性能評価値(具体的には頭下げモーメントの大小、即
ち、ポーポイジングの振幅の大小)をとって示してあ
る。右上がりになっていればスポンソンとしての性能が
高いことを意味する。図6によれば、揚力中心を船尾側
に移動することによって船体姿勢安定性能が高められる
ことが分かる。
【0024】これらのことから考察すれば、本願のスポ
ンソンでは、揚力が増大するとともに、揚力作用中心が
後方に移動するので、その分、頭下げモーメントが大き
くなり、艇の重心からのレバーも増大するため、結果的
に優れた縦安定性能が得られることになる。
【0025】
【発明の効果】本願発明は、以上説明したような形態で
実施され、次のような効果を奏する。 船底面から回り込んで跳ね上がってくるスプレーを
スポンソン全体で効率良く受け止めることができるた
め、より大きな揚力を発生させることができる。 揚力中心を船尾側に移行できるので重心からのレバ
ーが大きくとれる結果、大きな頭下げモーメントが得ら
れる。
【0026】ととが相加的に働くことによって優れ
た縦安定性保持機能すなわちポーポイジング抑制機能を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るスポンソンを備えた高速滑走艇
を示し、(a)は側面図、(b)は船尾後方から見た要部正面
図である。
【図2】スポンソンの拡大平面図である。
【図3】高速滑走時におけるスプレーの発生状況の図
(底面図)である。
【図4】高速滑走時にスポンソンに発生する揚力図であ
る。
【図5】従来のスポンソンに働く揚力分布図(仮想線)
と、本願スポンソンに働く揚力分布図(実線)である。
【図6】揚力中心を移動した場合の試験結果を図示した
ものである。
【符号の説明】
1…高速滑走艇 2…船尾(端)部 3…船底 3a…船底面 7…船側外板(舷側部) 8…チャイン 9…甲板 10…船首部 11…スポンソン 11a…フック部 S…スプレー α…スポンソンに流入するスプレーの流入角度 θ…スポンソンの広がり角度(拡幅角)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月7日(1999.12.
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高速滑走艇
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、滑走時における
船体姿勢安定性能を向上するためのスポンソンを備えた
高速滑走艇に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、滑走型の高速艇(以下、本明細
書では「高速滑走艇}という)は、僅かな外乱により航
走姿勢が大きく変わる性質がある。また、外乱がない場
合でも、ポーポイジングと呼ばれる縦方向の周期運動を
発生することがある。これらの船体姿勢変化や船体運動
を抑制するため船尾船側にスポンソンが設けられている
(例えば、特開平6−191466号公報、実開昭62
−157694号公報がある)。
【0003】かかるスポンソンは、船底部から船体表面
に沿って後ろ上方に流れてくるスプレーを船体最後端部
付近で受けて、流体力を発生させ、これを船体姿勢の安
定保持等に利用するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のス
ポンソンは、船側から一定の幅を有する細長い長方形状
の平板で構成されているために、滑走中に生じるスプレ
ーを受けない部分が先端部付近に存在し、この部分は滑
走する艇の縦安定性保持機能(ポーポイジング抑制機
能)には殆ど寄与しない。
【0005】さらに、本件出願人が、模型試験および実
艇試験によって得られた画像データを解析したところ、
図3のように船底面から回り込んで跳ね上がってくるス
プレーSは、滑走時の艇の船底の接水面Wから跳ね上が
って船尾後方に流れていくが、スポンソンに流入するス
プレーSの流入角αは船側7に平行ではなく、一定の角
度内にあることが究明された。
【0006】しかるに従来のスポンソンは先端から後端
までほぼ一定の幅を有しているため、船尾端に向かって
次第に広がってくるスプレーに対しては、スポンソン後
端部付近ではスプレーを効率よく受け止めきれず、従っ
てその運動エネルギーが有効に活用できなかった。この
ときの揚力中心がスポンソンの中央部付近に位置するた
め(図5)、揚力作用点の船尾端からの位置をスポンソ
ンの1/2長さよりも短くすることができず、結果とし
て姿勢安定機能を向上させるためには、幅広いスポンソ
ンを設置する必要があった。これは、船体抵抗の増加を
招き船速の低下を引き起こす結果となっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本願発明は、船底面から回り込んで跳ね上がって
くるスプレーを受け止めることができるようなスプレー
の流出方向に合わせた、船尾方向に向かって拡幅したデ
ルタ形のスポンソンを、船尾部の両舷船側外板に備えた
高速滑走艇である。
【0008】これは、前述したように、船底面から回り
込んで跳ね上がってくるスプレーは、図3のように滑走
時の艇の船底の接水面Wから跳ね上がって船尾後方に流
れていくが、スポンソンに流入するスプレーSの流入角
αは船側に平行ではなく、一定の角度(約15°の範
囲)内にあることが本件出願人が行った模型試験および
実艇試験によって得られた画像データの解析の結果究明
されたからである。
【0009】従って、スポンソンの平面形状を前端から
10°〜15°の拡幅角で後方に広がったものにすると
効率良くスポンソンを受け止めることができる。特に、
スポンソンの拡幅角を約15°に設定しておけばスポン
ソンの殆どの殆ど全域においてスプレーを受け止めるこ
とができる。
【0010】上記よれば、船底面から回り込んで跳ね上
がってくるスプレーをスポンソン全体で効率良く受け止
めることができるため高い縦安定性保持機能を得ること
ができ、しかも、揚力中心を従来にものより船尾側に移
行できるので艇の重心からのレバーが従来のものよりも
大きくとれる結果、大きな頭下げモーメントを得ること
ができ、船体縦姿勢安定機能が向上する。
【0011】また、スポンソンの幅方向の先端を鉤状断
面(フック部)に形成した場合には、船底面から上昇し
てきたスプレーを逃がさず効率よく流体の運動エネルギ
を揚力に変換しうる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a)(b)は本願発明に係る
スポンソンを備えた高速滑走艇の側面図と船尾から見た
正面図である。
【0013】この図に示す高速滑走艇1は、レジャー用
の小型滑走艇であり、船尾端2の船底3付近に設けたジ
ェットノズル4から水を噴射することにより推進力を得
て高速で航走するものである。運転者はシート5に座っ
て操縦ハンドル6を握って操縦する。船体横断面は船体
中心線に対して左右対称であり、船底3はキール3b位
置から上向きに傾斜して舷側7aまで延び、ナックルラ
イン8kからほぼ垂直に上方に立ち上がって船側外板7
を形成している。ナックルライン8kはチャイン8を形
成するもので、チャイン8と甲板9との間に存在する船
側外板7は船尾からほぼ一定の深さ(高さ)をもち、チ
ャイン8は甲板9にほぼ平行に船首部10付近まで延
び、船首部10付近から緩やかな円弧を描いて船首端1
0aにつながっている。
【0014】艇の前後方向に延びるスポンソン11が船
尾部2の舷側部である船側外板7に装着されている。ス
ポンソン11は両舷対称位置に配置される。
【0015】図2はスポンソン11の拡大平面図であ
る。スポンソン11は、船側外板7にその後端を船尾端
2にほぼ一致させて装着してある。スポンソン11は、
船底面から回り込んで跳ね上がってくるスプレーの流出
方向に合わせた形状を有する。具体的には、船底面から
回り込んで跳ね上がってくるスプレーを受け止めること
ができるような、後方(装着状態では船尾方向)に向か
って拡幅したデルタ形(図示例では直角三角形)に形成
されている。これは、既述した如く、スプレーの流入角
αは船側外板7に平行ではなく、一定の角度(15°の
範囲)内にあることが実験解析の結果究明されたことに
基づく(図3)。
【0016】従って、前端から10°〜15°の拡幅角
θで後方に広がったスポンソンが好ましく、特に、スポ
ンソンの拡幅角θを15°に設定しておけば殆どのスプ
レーを受け止めることができる。
【0017】スポンソン11は、図1(b)に示す如く、
幅方向の先端部が鉤(フック)状断面に形成されること
もある。これは、スポンソン11のフック部11aで、
船底から跳ね上がってきたスプレーを受け止めて、これ
をできるだけ横方向に逃がさないようにするためであ
る。
【0018】図4は、滑走中にスポンソン11の存在に
よって揚力Lが発生する様子を示す船体側面の模式図で
あり、揚力中心と艇の重心Gとの距離(レバー)aと揚
力Lとの積L×aが頭下げモーメントであり、これが大
きければポーポイジング抑制効果が大きくなり、姿勢安
定保持機能を充分発揮させることができる。
【0019】図5は、図4の滑走中スポンソンに働くス
プレーによる揚力の分布図である。図5において、実線
は本願スポンソンの場合の揚力分布を示し、仮想線は前
述した従来のスポンソンの揚力分布である。
【0020】図5に示すように、スポンソンをデルタ形
にしたことによりその揚力中心を、従来のスポンソンの
揚力中心からbだけ(後方)船尾方向に移動させること
ができる。しかも、デルタ形スポンソンは、一定の流入
角をもつスプレーを効果的に受け止めることができるの
で合力としての揚力Lも従来の揚力L0 よりも大きくな
る。
【0021】図6は、揚力中心が30mm後方に移動した
場合の実験結果であり、縦軸に揚力、横軸に船体姿勢安
定性能評価値(具体的には頭下げモーメントの大小、即
ち、ポーポイジングの振幅の大小)をとって示してあ
る。右上がりになっていればスポンソンとしての性能が
高いことを意味する。図6によれば、揚力中心を船尾側
に移動することによって船体姿勢安定性能が高められる
ことが分かる。
【0022】これらのことから考察すれば、本願のスポ
ンソンでは、揚力が増大するとともに、揚力作用中心が
後方に移動するので、その分、頭下げモーメントが大き
くなり、艇の重心からのレバーも増大するため、結果的
に優れた縦安定性能が得られることになる。
【0023】
【発明の効果】本願発明は、以上説明したような形態で
実施され、次のような効果を奏する。 船底面から回り込んで跳ね上がってくるスプレーを
スポンソン全体で効率良く受け止めることができるた
め、より大きな揚力を発生させることができる。 揚力中心を船尾側に移行できるので重心からのレバ
ーが大きくとれる結果、大きな頭下げモーメントが得ら
れる。
【0024】ととが相加的に働くことによって優れ
た縦安定性保持機能すなわちポーポイジング抑制機能を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るスポンソンを備えた高速滑走艇
を示し、(a)は側面図、(b)は船尾後方から見た要部正面
図である。
【図2】スポンソンの拡大平面図である。
【図3】高速滑走時におけるスプレーの発生状況の図
(底面図)である。
【図4】高速滑走時にスポンソンに発生する揚力図であ
る。
【図5】従来のスポンソンに働く揚力分布図(仮想線)
と、本願スポンソンに働く揚力分布図(実線)である。
【図6】揚力中心を移動した場合の試験結果を図示した
ものである。
【符号の説明】 1…高速滑走艇 2…船尾(端)部 3…船底 3a…船底面 7…船側外板(舷側部) 8…チャイン 9…甲板 10…船首部 11…スポンソン 11a…フック部 S…スプレー α…スポンソンに流入するスプレーの流入角度 θ…スプレーの広がり角度(拡幅角)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船底面から回り込んで跳ね上がってくる
    スプレーの流出方向に合わせた形状を有するスポンソン
    を、船尾部の両舷側部に備えたことを特徴とする高速滑
    走艇。
  2. 【請求項2】 船底面から回り込んで跳ね上がってくる
    スプレーを受け止めることができるような船尾方向に向
    かって拡幅したデルタ形のスポンソンを、船尾部の両舷
    船側外板に備えたことを特徴とする高速滑走艇。
  3. 【請求項3】 前端から10°〜15°の拡幅角で後方
    に広がったスポンソンを備えた請求項2記載の高速滑走
    艇。
  4. 【請求項4】 拡幅角が15°のスポンソンを備えた請
    求項2記載の高速滑走艇。
  5. 【請求項5】 スポンソンの幅方向の先端を鉤状断面に
    形成した請求項1〜4いずれか1項に記載の高速滑走
    艇。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003054492A (ja) * 2001-08-20 2003-02-26 Kawasaki Heavy Ind Ltd 滑走艇
KR101720125B1 (ko) * 2015-06-30 2017-04-28 (주)대원마린텍 활주선 선형
CN109059869A (zh) * 2018-07-27 2018-12-21 仲恺农业工程学院 一种检测植保无人机对果树喷施效果的方法
CN109895940A (zh) * 2019-04-03 2019-06-18 江龙船艇科技股份有限公司 一种防溅型铝合金小艇

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KR101720125B1 (ko) * 2015-06-30 2017-04-28 (주)대원마린텍 활주선 선형
CN109059869A (zh) * 2018-07-27 2018-12-21 仲恺农业工程学院 一种检测植保无人机对果树喷施效果的方法
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CN109895940A (zh) * 2019-04-03 2019-06-18 江龙船艇科技股份有限公司 一种防溅型铝合金小艇

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