JP2000279046A - イネの培養方法 - Google Patents
イネの培養方法Info
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- JP2000279046A JP2000279046A JP11093191A JP9319199A JP2000279046A JP 2000279046 A JP2000279046 A JP 2000279046A JP 11093191 A JP11093191 A JP 11093191A JP 9319199 A JP9319199 A JP 9319199A JP 2000279046 A JP2000279046 A JP 2000279046A
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- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 二段階法並の労力で、三段階法並のカルス誘
導率及び植物体の再分化率を達成することができる新し
いイネの葯培養方法を提供するものである。 【解決手段】 イネの一部を液体培地2で培養して該イ
ネの一部からカルス3を誘導し、続いて、該カルス3か
らイネの植物体4を再分化するイネの培養方法であっ
て、イネの一部からカルス3を誘導した後、前記液体培
地2に、2,4−Dを含まず糖類やビタミン等のカルス
3からイネの植物体4を再分化する為に必要な成分を含
む栄養液5を加えてカルス3の増殖を行うものである。
導率及び植物体の再分化率を達成することができる新し
いイネの葯培養方法を提供するものである。 【解決手段】 イネの一部を液体培地2で培養して該イ
ネの一部からカルス3を誘導し、続いて、該カルス3か
らイネの植物体4を再分化するイネの培養方法であっ
て、イネの一部からカルス3を誘導した後、前記液体培
地2に、2,4−Dを含まず糖類やビタミン等のカルス
3からイネの植物体4を再分化する為に必要な成分を含
む栄養液5を加えてカルス3の増殖を行うものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イネの培養方法に
関するものである。
関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】イネの
品種改良方法には、異なる品種を掛け合わせたもの(F
1)を何世代もかけて品種を固定していく交雑育種方法
や、異なる品種を掛け合わせたもの(F1)から、葯を
取り出し該葯からカルスを誘導し、このカルスからイネ
の植物体を再分化して品種を固定する葯培養方法等があ
る。
品種改良方法には、異なる品種を掛け合わせたもの(F
1)を何世代もかけて品種を固定していく交雑育種方法
や、異なる品種を掛け合わせたもの(F1)から、葯を
取り出し該葯からカルスを誘導し、このカルスからイネ
の植物体を再分化して品種を固定する葯培養方法等があ
る。
【0003】交雑育種方法は何世代もかけて品種を固定
する為、10年以上もの時間がかかるケースが多く、現
在では早期に品種を固定することができる葯培養方法が
主流となってきている。
する為、10年以上もの時間がかかるケースが多く、現
在では早期に品種を固定することができる葯培養方法が
主流となってきている。
【0004】ところで、葯培養方法には、葯から植物体
を再分化するまでの間の培地の変更回数により、一段階
法、二段階法、三段階法等がある。この各方法は、主
に、葯からカルスを誘導する為に使用する薬剤(通常、
2,4−D(2,4−dichlorophenoxyacetic acid)が使
用される。)やカルスから植物体を再分化する為に使用
する薬剤(通常、カイネチンが使用される。)の使用方
法、及び、培地(カンテン状の固体培地か液体培地か)
において相違する。
を再分化するまでの間の培地の変更回数により、一段階
法、二段階法、三段階法等がある。この各方法は、主
に、葯からカルスを誘導する為に使用する薬剤(通常、
2,4−D(2,4−dichlorophenoxyacetic acid)が使
用される。)やカルスから植物体を再分化する為に使用
する薬剤(通常、カイネチンが使用される。)の使用方
法、及び、培地(カンテン状の固体培地か液体培地か)
において相違する。
【0005】具体的には、一段階法は、カイネチン及び
2,4−Dが混入された固体培地を使用し、該固体培地
に混入する2,4−Dを必要量よりも少なめとして葯か
ら植物体を再分化するまでを行う方法である(図1参
照)。
2,4−Dが混入された固体培地を使用し、該固体培地
に混入する2,4−Dを必要量よりも少なめとして葯か
ら植物体を再分化するまでを行う方法である(図1参
照)。
【0006】2,4−Dは葯からカルスを誘導する際に
使用されるものであるが、カルスからイネの植物体を再
分化する作用を阻害する性質を有している為、一段階法
のように同じ培地で葯から植物体を再分化するまでを行
う場合には、培地に混入する2,4−Dを少なめとしな
ければならない。
使用されるものであるが、カルスからイネの植物体を再
分化する作用を阻害する性質を有している為、一段階法
のように同じ培地で葯から植物体を再分化するまでを行
う場合には、培地に混入する2,4−Dを少なめとしな
ければならない。
【0007】従って、一段階法は、同じ培地で葯から植
物体を再分化までを行う為、労力は少ないが、使用する
2,4−Dが少ない為にカルス誘導率が低く、必然的
に、該葯からの植物体の再分化率も低くなる。
物体を再分化までを行う為、労力は少ないが、使用する
2,4−Dが少ない為にカルス誘導率が低く、必然的
に、該葯からの植物体の再分化率も低くなる。
【0008】しかし、イネの品種改良方法においては、
カルス誘導率が高く且つ植物体の再分化率が高い程、前
記掛け合わされた異なる品種の夫々の長所や短所を様々
なパターンで有する植物体を得られる可能性が高まるこ
とになる為、このカルス誘導率と再分化率を高めること
は極めて重要である。
カルス誘導率が高く且つ植物体の再分化率が高い程、前
記掛け合わされた異なる品種の夫々の長所や短所を様々
なパターンで有する植物体を得られる可能性が高まるこ
とになる為、このカルス誘導率と再分化率を高めること
は極めて重要である。
【0009】即ち、例えば、収量は多いが味の良くない
米と収量は少ないが味の良い米とを掛け合わせた場合、
収量が多くて味の良い米と、収量が多くて味のが良くな
い米と、収量は少ないが味の良い米と、収量が少なくて
味の良くない米とができる可能性があるが、カルス誘導
率や再分化率が低いほどに上記4パターンの内の幾つか
が植物体にまで増殖することができなくなるおそれが高
まり、結果的に品種改良が成功しない可能性が高まるか
らである。
米と収量は少ないが味の良い米とを掛け合わせた場合、
収量が多くて味の良い米と、収量が多くて味のが良くな
い米と、収量は少ないが味の良い米と、収量が少なくて
味の良くない米とができる可能性があるが、カルス誘導
率や再分化率が低いほどに上記4パターンの内の幾つか
が植物体にまで増殖することができなくなるおそれが高
まり、結果的に品種改良が成功しない可能性が高まるか
らである。
【0010】二段階法は、一段階法よりもカルス誘導率
や再分化率が高い方法である。
や再分化率が高い方法である。
【0011】この二段階法では、先ず十分な2,4−D
が混入されている固体培地を使用し、該固体培地で葯か
らカルスを誘導し、このカルスをカイネチンが混入され
且つ2,4−Dが混入されていない別の固体培地にピン
セット等を使用して移し替え、該固体培地でカルスから
植物体を再分化するものである(図2参照)。
が混入されている固体培地を使用し、該固体培地で葯か
らカルスを誘導し、このカルスをカイネチンが混入され
且つ2,4−Dが混入されていない別の固体培地にピン
セット等を使用して移し替え、該固体培地でカルスから
植物体を再分化するものである(図2参照)。
【0012】従って、二段階法は、一度カルスを別の培
地に移し替える為に一段階法より労力は多くなるが、葯
からカルスを誘導する際に2,4−Dが十分存在する為
にカルス誘導率が高く、必然的に、該葯からの植物体の
再分化率も高くなるという長所がある。
地に移し替える為に一段階法より労力は多くなるが、葯
からカルスを誘導する際に2,4−Dが十分存在する為
にカルス誘導率が高く、必然的に、該葯からの植物体の
再分化率も高くなるという長所がある。
【0013】この二段階法を改良して更にカルス誘導率
や再分化率を高めたのが三段階法である。
や再分化率を高めたのが三段階法である。
【0014】三段階法は、先ず十分な2,4−Dが混入
されている液体培地を使用し、該液体培地で葯からカル
スを誘導する。液体培地では固体培地に比しカルス誘導
率が高いという長所があるからである。続いて、該カル
スを液体培地からピペット等を使用して取り出し、2,
4−Dが混入されている固体培地に移し替えてカルスを
成長させ、この成長したカルスをカイネチンが混入され
且つ2,4−Dが混入されていない別の固体培地にピン
セット等を使用して移し替え、該固体培地でカルスから
植物体を再分化するものである(図3参照)。
されている液体培地を使用し、該液体培地で葯からカル
スを誘導する。液体培地では固体培地に比しカルス誘導
率が高いという長所があるからである。続いて、該カル
スを液体培地からピペット等を使用して取り出し、2,
4−Dが混入されている固体培地に移し替えてカルスを
成長させ、この成長したカルスをカイネチンが混入され
且つ2,4−Dが混入されていない別の固体培地にピン
セット等を使用して移し替え、該固体培地でカルスから
植物体を再分化するものである(図3参照)。
【0015】ところで、液体培地では固体培地に比しカ
ルス誘導率が高いという事実が確認されているが、反
面、液体培地中ではカルスから植物体への再分化が起こ
りにくいという事実も確認されている(液体培地で誘導
されたカルスは植物体を容易に再分化できる状態ではな
い。具体的には、液体培地中ではカルスが湿った状態で
細胞がばらけ易く、またカルス内のホルモン濃度やホル
モンバランスも植物体が再分化しにくい状態になってい
るといわれている。)。従って、カルスを液体培地で誘
導した後、固体培地に移し替え、エンブリオジェニック
・カルスと呼ばれる植物体が再分化し易いカルスにし、
その後、該カルスを固体培地に移し替え、植物体を再分
化させるのである。
ルス誘導率が高いという事実が確認されているが、反
面、液体培地中ではカルスから植物体への再分化が起こ
りにくいという事実も確認されている(液体培地で誘導
されたカルスは植物体を容易に再分化できる状態ではな
い。具体的には、液体培地中ではカルスが湿った状態で
細胞がばらけ易く、またカルス内のホルモン濃度やホル
モンバランスも植物体が再分化しにくい状態になってい
るといわれている。)。従って、カルスを液体培地で誘
導した後、固体培地に移し替え、エンブリオジェニック
・カルスと呼ばれる植物体が再分化し易いカルスにし、
その後、該カルスを固体培地に移し替え、植物体を再分
化させるのである。
【0016】従って、三段階法は、液体培地でカルスを
誘導する為にカルス誘導率が二段階法に比し更に高くな
り、必然的に、葯からの植物体の再分化率が更に高まる
のである。
誘導する為にカルス誘導率が二段階法に比し更に高くな
り、必然的に、葯からの植物体の再分化率が更に高まる
のである。
【0017】しかし、この三段階法は、二段階法より更
に労力が多くなるという問題点がある。
に労力が多くなるという問題点がある。
【0018】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、二段階法と三段階法との長所を両方とも発揮させ
るべく鋭意研究を重ねて発見された、二段階法並の労力
で、三段階法並のカルス誘導率及び植物体の再分化率を
達成することができる新しいイネの葯培養方法を提供す
るものである。
ので、二段階法と三段階法との長所を両方とも発揮させ
るべく鋭意研究を重ねて発見された、二段階法並の労力
で、三段階法並のカルス誘導率及び植物体の再分化率を
達成することができる新しいイネの葯培養方法を提供す
るものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。
明の要旨を説明する。
【0020】イネの一部を液体培地2で培養して該イネ
の一部からカルス3を誘導し、続いて、該カルス3から
イネの植物体4を再分化するイネの培養方法であって、
イネの一部からカルス3を誘導した後、前記液体培地2
に、2,4−Dを含まず糖類やビタミン等のカルス3か
らイネの植物体4を再分化する為に必要な成分を含む栄
養液5を加えてカルス3の増殖を行うことを特徴とする
イネの培養方法に係るものである。
の一部からカルス3を誘導し、続いて、該カルス3から
イネの植物体4を再分化するイネの培養方法であって、
イネの一部からカルス3を誘導した後、前記液体培地2
に、2,4−Dを含まず糖類やビタミン等のカルス3か
らイネの植物体4を再分化する為に必要な成分を含む栄
養液5を加えてカルス3の増殖を行うことを特徴とする
イネの培養方法に係るものである。
【0021】また、請求項1記載のイネの培養方法にお
いて、イネの一部として葯1を採用し、該葯1中の花粉
からカルス3を誘導することを特徴とするイネの培養方
法に係るものである。
いて、イネの一部として葯1を採用し、該葯1中の花粉
からカルス3を誘導することを特徴とするイネの培養方
法に係るものである。
【0022】また、請求項1,2いずれか1項に記載の
イネの培養方法において、液体培地2に栄養液5を加え
てカルス3の増殖を行った後、該カルス3を固体培地6
に移植して植物体4を再分化することを特徴とするイネ
の培養方法に係るものである。
イネの培養方法において、液体培地2に栄養液5を加え
てカルス3の増殖を行った後、該カルス3を固体培地6
に移植して植物体4を再分化することを特徴とするイネ
の培養方法に係るものである。
【0023】また、請求項1〜3いずれか1項に記載の
イネの培養方法において、栄養液5は、ソルビトール,
カイネチン,アブシジン酸,カザミノ酸,アスパラギン
酸,グルタミン,B5培地のビタミン類及びDKN培地
の無機塩類を含むことを特徴とするイネの培養方法に係
るものである。
イネの培養方法において、栄養液5は、ソルビトール,
カイネチン,アブシジン酸,カザミノ酸,アスパラギン
酸,グルタミン,B5培地のビタミン類及びDKN培地
の無機塩類を含むことを特徴とするイネの培養方法に係
るものである。
【0024】
【発明の作用及び効果】イネの一部、例えば、葯1を液
体培地2で培養するから、三段階法と同様にカルス誘導
率が高く、葯1から多量のカルス3が誘導される。
体培地2で培養するから、三段階法と同様にカルス誘導
率が高く、葯1から多量のカルス3が誘導される。
【0025】液体培地2中では、前述の通り、カルス3
が再分化しやすい状態とはならないが、本発明では、液
体培地2に2,4−Dを含まず糖類やビタミン等のカル
ス3からイネの植物体4を再分化し易い状態にする為に
必要な成分を含む栄養液5を加えるから、該栄養液5の
作用によって前記葯1から誘導されたカルス3が再分化
し易い状態となり、よって三段階法において使用されて
いたカルスを成長させる為の固体培地が不要となり、液
体培地2で培養,成長させたカルス3を一度固体培地等
に移し替えるだけで、植物体4を容易に再分化できるこ
とになる。
が再分化しやすい状態とはならないが、本発明では、液
体培地2に2,4−Dを含まず糖類やビタミン等のカル
ス3からイネの植物体4を再分化し易い状態にする為に
必要な成分を含む栄養液5を加えるから、該栄養液5の
作用によって前記葯1から誘導されたカルス3が再分化
し易い状態となり、よって三段階法において使用されて
いたカルスを成長させる為の固体培地が不要となり、液
体培地2で培養,成長させたカルス3を一度固体培地等
に移し替えるだけで、植物体4を容易に再分化できるこ
とになる。
【0026】この栄養液5の作用は明確ではないが、栄
養液5中の糖類により浸透圧が変化してカルス3中の水
分が脱水されること、及び栄養液5中のカイネチンがカ
ルスの再分化への移行を促すからではないかと推測され
る。
養液5中の糖類により浸透圧が変化してカルス3中の水
分が脱水されること、及び栄養液5中のカイネチンがカ
ルスの再分化への移行を促すからではないかと推測され
る。
【0027】尚、栄養液5の成分は実験により確認され
たもので、三段階法において使用されていた成分とは異
なり、2,4−Dは必要とせず、またアガロースのよう
な固化材も必要とせず、植物体4の再分化に必要な糖
類,カイネチン,アブシジン酸等、及び栄養分であるア
ミノ酸や、ビタミン類や、DKN無機塩類を含むものを
使用する。
たもので、三段階法において使用されていた成分とは異
なり、2,4−Dは必要とせず、またアガロースのよう
な固化材も必要とせず、植物体4の再分化に必要な糖
類,カイネチン,アブシジン酸等、及び栄養分であるア
ミノ酸や、ビタミン類や、DKN無機塩類を含むものを
使用する。
【0028】本発明は上述のように、培地を一度移し替
えるだけであるから、二段階法並の労力となり、しか
も、液体培地2で葯1からカルス3を誘導するから、三
段階法並のカルス誘導率及び植物体の再分化率を達成す
ることができ、必然的に異なる品種を掛け合わせたもの
(F1)から多量のカルス3及び多量のカルス3由来の
植物体4が得られ、品種改良を良好に行える実用性,作
業性に秀れたイネの培養方法となる。
えるだけであるから、二段階法並の労力となり、しか
も、液体培地2で葯1からカルス3を誘導するから、三
段階法並のカルス誘導率及び植物体の再分化率を達成す
ることができ、必然的に異なる品種を掛け合わせたもの
(F1)から多量のカルス3及び多量のカルス3由来の
植物体4が得られ、品種改良を良好に行える実用性,作
業性に秀れたイネの培養方法となる。
【0029】
【発明の実施の形態】図4〜7は本発明の一実施例を図
示したものであり、以下に説明する。
示したものであり、以下に説明する。
【0030】異なる品種を掛け合わせたイネ(F1)か
ら葯1を取り出す。
ら葯1を取り出す。
【0031】この葯1を、三段階法と同様に2,4−D
を含む液体培地2で培養し、該葯1中の花粉からカルス
3を誘導する(図5参照)。
を含む液体培地2で培養し、該葯1中の花粉からカルス
3を誘導する(図5参照)。
【0032】続いて、液体培地2に、2,4−Dを含ま
ず糖類やビタミン等のカルス3からイネの植物体4を再
分化する為に必要な成分を含む栄養液5を加えてカルス
3の増殖を行う(図6参照)。
ず糖類やビタミン等のカルス3からイネの植物体4を再
分化する為に必要な成分を含む栄養液5を加えてカルス
3の増殖を行う(図6参照)。
【0033】栄養液5は、糖類としてソルビトール(カ
ルス3から植物体4を再分化に向かわせる成分、液体培
地2中の浸透圧を変化させてカルス3中の水分を脱水す
るものと考えられる。)、植物ホルモンとしてカイネチ
ン(カルス3から植物体4を再分化に向かわせる成
分。)及びアフシジン酸(カルス3を固めにし、カルス
3から植物体4を再分化に向かわせる成分)、栄養分と
してカザミノ酸,アスパラギン酸,グルタミン,B5培
地のビタミン類及びDKN培地の無機塩類(R2培地の
無機塩類の内、KNO3と(NH4)2SO4を1/5濃度
としたもの。具体的には、KNO3,(NH4)2SO4,
CaCl2・2H20,MgSO4・7H20,Fe−ED
TAやI,B,Mo,Mn等を含む。)を含むものであ
り、該栄養液5の成分は実験により選定されたものであ
る。
ルス3から植物体4を再分化に向かわせる成分、液体培
地2中の浸透圧を変化させてカルス3中の水分を脱水す
るものと考えられる。)、植物ホルモンとしてカイネチ
ン(カルス3から植物体4を再分化に向かわせる成
分。)及びアフシジン酸(カルス3を固めにし、カルス
3から植物体4を再分化に向かわせる成分)、栄養分と
してカザミノ酸,アスパラギン酸,グルタミン,B5培
地のビタミン類及びDKN培地の無機塩類(R2培地の
無機塩類の内、KNO3と(NH4)2SO4を1/5濃度
としたもの。具体的には、KNO3,(NH4)2SO4,
CaCl2・2H20,MgSO4・7H20,Fe−ED
TAやI,B,Mo,Mn等を含む。)を含むものであ
り、該栄養液5の成分は実験により選定されたものであ
る。
【0034】特に、栄養液5中の2,4−D濃度と、植
物体再分化率との関係を実験したところ、栄養液5中の
2,4−Dが少なければ少ない程、植物体再分化率が向
上することが判明した。従って、栄養液5中は2,4−
Dを含まない方が良い。
物体再分化率との関係を実験したところ、栄養液5中の
2,4−Dが少なければ少ない程、植物体再分化率が向
上することが判明した。従って、栄養液5中は2,4−
Dを含まない方が良い。
【0035】尚、三段階法における二段階目の培地とし
て使用される固体培地の成分として、上記栄養液5の成
分に、更に、糖類としてショ糖、植物ホルモンとして
2,4−D、固体培地とする為のアガロースを加えたも
のが使用されている。尚、三段階法における二段階目の
培地は、液体培地で誘導されたカルス3を、再分化する
為の培地(三段階目の培地として使用される固体培地)
に移植する前に、該カルス3のホルモンバランスを調整
し且つ該カルス3を乾いた状態にする為に使用されるも
のである。
て使用される固体培地の成分として、上記栄養液5の成
分に、更に、糖類としてショ糖、植物ホルモンとして
2,4−D、固体培地とする為のアガロースを加えたも
のが使用されている。尚、三段階法における二段階目の
培地は、液体培地で誘導されたカルス3を、再分化する
為の培地(三段階目の培地として使用される固体培地)
に移植する前に、該カルス3のホルモンバランスを調整
し且つ該カルス3を乾いた状態にする為に使用されるも
のである。
【0036】続いて、増殖されたカルス3を固体培地6
に移植し、該固体培地6でイネの植物体4を再分化する
(図7参照)。
に移植し、該固体培地6でイネの植物体4を再分化する
(図7参照)。
【0037】上記本実施例における作業時間と、従来の
三段階法における作業時間との比較結果を下記表1に示
す。尚、イネ(F1)から葯1を取り出し、液体培地2
でカルス3を誘導する前までの作業時間と、液体培地2
でカルス3を増殖した後、該カルス3を固体培地6に移
植して植物体4を再分化するまでの作業時間は、本実施
例も三段階法も同様である。
三段階法における作業時間との比較結果を下記表1に示
す。尚、イネ(F1)から葯1を取り出し、液体培地2
でカルス3を誘導する前までの作業時間と、液体培地2
でカルス3を増殖した後、該カルス3を固体培地6に移
植して植物体4を再分化するまでの作業時間は、本実施
例も三段階法も同様である。
【0038】
【表1】
【0039】このように本実施例における作業時間は三
段階法における作業時間は大幅に短縮されることにな
り、作業時間については二段階法並となることが判明し
た。
段階法における作業時間は大幅に短縮されることにな
り、作業時間については二段階法並となることが判明し
た。
【0040】しかも、三段階法の作業の中で最も厄介な
作業である、ピペット等でのカルス3の吸い出し作業
や、シャーレ中の液体培地の取り除き作業を行わなくて
も良くなり、作業性が著しく向上した。また、三段階法
ではカルス3の吸い出し作業時にカルス3を損傷したり
損失したりすることが多かったが、本実施例では、液体
培地2から固体培地6にカルス3を移植する際に一度だ
けしかカルス3を移動しない為、カルス3を損傷したり
損失したりすることが少なくなった。
作業である、ピペット等でのカルス3の吸い出し作業
や、シャーレ中の液体培地の取り除き作業を行わなくて
も良くなり、作業性が著しく向上した。また、三段階法
ではカルス3の吸い出し作業時にカルス3を損傷したり
損失したりすることが多かったが、本実施例では、液体
培地2から固体培地6にカルス3を移植する際に一度だ
けしかカルス3を移動しない為、カルス3を損傷したり
損失したりすることが少なくなった。
【0041】尚、二段階法では上記表1の作業工程はな
い。
い。
【0042】また、本実施例により、各種F1(わせじ
まんと新潟50号、長1158号と朝日、長925号と
新潟50号、北陸170号とBio−35、Bio−4
3と新潟48号、放育系LGC−1と長1162号、新
潟46号とミルキークイーン)について実験を行ったと
ころ、いずれの組み合わせにおいても、カルス誘導率も
植物体再分化率も三段階法並であることが判明した。
まんと新潟50号、長1158号と朝日、長925号と
新潟50号、北陸170号とBio−35、Bio−4
3と新潟48号、放育系LGC−1と長1162号、新
潟46号とミルキークイーン)について実験を行ったと
ころ、いずれの組み合わせにおいても、カルス誘導率も
植物体再分化率も三段階法並であることが判明した。
【0043】尚、本実施例の葯1からのカルス誘導率は
平均243.8%(三段階法では平均198.3%)葯1
からの緑色植物体再分化率は平均49.7%(三段階法
では平均51.2%)であった。
平均243.8%(三段階法では平均198.3%)葯1
からの緑色植物体再分化率は平均49.7%(三段階法
では平均51.2%)であった。
【0044】また、再分化された植物体4は緑色植物体
4(正常な植物体)が多く、アルビノ植物体(異常な植
物体)が少ないという結果も得られた。二組のF1(長
1324号と北陸177号、新潟56号とどんとこい)
について実験を行ったところ、本実施例の再分化植物4
に占めるアルビノ植物の割合は平均54.0%(三段階
法では平均77.1%)このアルビノ植物体とは、色素
が無く白っぽく見える異常個体である。葯培養において
は、染色体を半数しか持たない半数体(花粉)から染色
体が倍化する為、イネの性質を固定し易いという長所が
あるが、染色体異常によってアルビノ植物体の発生が多
いという問題点があった。
4(正常な植物体)が多く、アルビノ植物体(異常な植
物体)が少ないという結果も得られた。二組のF1(長
1324号と北陸177号、新潟56号とどんとこい)
について実験を行ったところ、本実施例の再分化植物4
に占めるアルビノ植物の割合は平均54.0%(三段階
法では平均77.1%)このアルビノ植物体とは、色素
が無く白っぽく見える異常個体である。葯培養において
は、染色体を半数しか持たない半数体(花粉)から染色
体が倍化する為、イネの性質を固定し易いという長所が
あるが、染色体異常によってアルビノ植物体の発生が多
いという問題点があった。
【0045】本実施例は上述のようにするから、三段階
法並のカルス誘導率及び植物体再分化率でありながら、
二段階法並の作業時間及び作業労力で葯1から植物体4
を再分化することができる実用性,作業性に秀れた葯培
養方法となる。
法並のカルス誘導率及び植物体再分化率でありながら、
二段階法並の作業時間及び作業労力で葯1から植物体4
を再分化することができる実用性,作業性に秀れた葯培
養方法となる。
【0046】尚、本実施例においてはイネの葯1からカ
ルス3を誘導する方法について詳述したが、例えばめし
べの卵細胞からカルスを誘導する方法や、葯壁からカル
スを誘導する方法や、花枝からカルスを誘導する方法に
おいても同様である。
ルス3を誘導する方法について詳述したが、例えばめし
べの卵細胞からカルスを誘導する方法や、葯壁からカル
スを誘導する方法や、花枝からカルスを誘導する方法に
おいても同様である。
【図1】一段階法のフローチャートである。
【図2】二段階法のフローチャートである。
【図3】三段階法のフローチャートである。
【図4】本実施例のフローチャートである。
【図5】本実施例の説明図である。
【図6】本実施例の説明図である。
【図7】本実施例の説明図である。
1 葯 2 液体培地 3 カルス 4 植物体 5 栄養液 6 固体培地
Claims (4)
- 【請求項1】 イネの一部を液体培地で培養して該イネ
の一部からカルスを誘導し、続いて、該カルスからイネ
の植物体を再分化するイネの培養方法であって、イネの
一部からカルスを誘導した後、前記液体培地に、2,4
−Dを含まず糖類やビタミン等のカルスからイネの植物
体を再分化する為に必要な成分を含む栄養液を加えてカ
ルスの増殖を行うことを特徴とするイネの培養方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のイネの培養方法におい
て、イネの一部として葯を採用し、該葯中の花粉からカ
ルスを誘導することを特徴とするイネの培養方法。 - 【請求項3】 請求項1,2いずれか1項に記載のイネ
の培養方法において、液体培地に栄養液を加えてカルス
の増殖を行った後、該カルスを固体培地に移植して植物
体を再分化することを特徴とするイネの培養方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3いずれか1項に記載のイネ
の培養方法において、栄養液は、ソルビトール,カイネ
チン,アブシジン酸,カザミノ酸,アスパラギン酸,グ
ルタミン,B5培地のビタミン類及びDKN培地の無機
塩類を含むことを特徴とするイネの培養方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11093191A JP2000279046A (ja) | 1999-03-31 | 1999-03-31 | イネの培養方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11093191A JP2000279046A (ja) | 1999-03-31 | 1999-03-31 | イネの培養方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000279046A true JP2000279046A (ja) | 2000-10-10 |
Family
ID=14075699
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11093191A Pending JP2000279046A (ja) | 1999-03-31 | 1999-03-31 | イネの培養方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000279046A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015089356A (ja) * | 2013-11-06 | 2015-05-11 | 住友ゴム工業株式会社 | Sonchus属植物の形質転換植物の作成方法 |
CN104705189A (zh) * | 2015-04-04 | 2015-06-17 | 安徽袁粮水稻产业有限公司 | 一种粳稻花药诱导培养基配方 |
CN104719169A (zh) * | 2015-04-04 | 2015-06-24 | 陈丁龙 | 一种高效地诱导粳稻花药培养的诱导培养基配方 |
-
1999
- 1999-03-31 JP JP11093191A patent/JP2000279046A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015089356A (ja) * | 2013-11-06 | 2015-05-11 | 住友ゴム工業株式会社 | Sonchus属植物の形質転換植物の作成方法 |
CN104705189A (zh) * | 2015-04-04 | 2015-06-17 | 安徽袁粮水稻产业有限公司 | 一种粳稻花药诱导培养基配方 |
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