JP2000277492A - プラズマ処理装置、プラズマ処理方法および半導体製造方法 - Google Patents

プラズマ処理装置、プラズマ処理方法および半導体製造方法

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JP2000277492A
JP2000277492A JP11083270A JP8327099A JP2000277492A JP 2000277492 A JP2000277492 A JP 2000277492A JP 11083270 A JP11083270 A JP 11083270A JP 8327099 A JP8327099 A JP 8327099A JP 2000277492 A JP2000277492 A JP 2000277492A
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plasma
generation chamber
waveguide
plasma generation
microwave
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Satoshi Kitazawa
聡 北澤
Hirobumi Seki
関  博文
Naonori Wada
直憲 和田
Yuichiro Ueno
雄一郎 上野
Sei Takemori
聖 竹森
Hidetsugu Setoyama
英嗣 瀬戸山
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プラズマ処理基板上におけるプラズマを高密度
化したプラズマ処理装置の提供。 【解決手段】内部にプラズマが生成されるプラズマ生成
室と、該プラズマ生成室内にプラズマを生成するための
マイクロ波を導入する導波部と、該導波部の周囲に設け
られ、前記マイクロ波との相互作用によりプラズマを生
成するための電子サイクロトロン共鳴磁場強度を有する
永久磁石と、前記プラズマ生成室内に生成されたプラズ
マに面して配置され、前記プラズマにより処理される被
処理物を保持する保持手段とを備え、前記導波部を前記
プラズマ生成室の側壁に複数設けると共に、この各導波
部の周囲に、少なくとも1個の前記永久磁石をその磁化
方向がマイクロ波導入方向に対してほぼ垂直となるよう
に配置したプラズマ処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ処理装置お
よびその方法に係り、特に、半導体装置等の製造におけ
るプラズマエッチング、プラズマCVD成膜、スパッタ
成膜等のプラズマを用いて処理する工程において、好適
なプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来のプラズマ処理装置は、例えば、米
国特許第5,370,765号(以下、公知例と言う)に
記載されている。これは、プラズマ生成室内で広範囲に
わたり均一で、かつ、高密度のプラズマを確実に生成す
ること、および、加熱電子が直接処理基板面に入らない
ようにすることを目的とし、円筒形のチャンバーとそれ
に連結したガス導入部およびマイクロ波導波部と、チャ
ンバー内に処理基板を保持するための手段を有し、チャ
ンバー内の処理基板を取り囲むように電子サイクロトロ
ン共鳴磁場強度を超える連続的局所強磁場を形成するた
めの直線状の磁石を組み合わせた磁場発生手段を備えて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
知例に記載の従来技術では、電子サイクロトロン共鳴領
域から出た磁力線は、磁石によって引き込まれ、すぐに
マイクロ波導出部の上または下の側壁に衝突してしま
う。このため、高エネルギー電子によってプラズマが効
果的に生成されず、プラズマ生成室の壁面へ高エネルギ
ー電子が散逸してしまう。このため、処理基板面上にお
いて、高密度のプラズマを効率良く生成することができ
ないと云う問題がある。
【0004】本発明の第1の目的は、上記に鑑み、プラ
ズマ処理基板面上に高密度のプラズマを効率よく生成で
きるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供す
ることにある。
【0005】また、本発明の第2目的は、上記プラズマ
処理装置を用いた半導体製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の要旨は次のとおりである。
【0007】〔1〕 内部にプラズマが生成されるプラ
ズマ生成室と、該プラズマ生成室内にプラズマを生成す
るためのマイクロ波を導入する導波部と、該導波部の周
囲に設けられ、前記マイクロ波との相互作用によりプラ
ズマを生成するための電子サイクロトロン共鳴磁場強度
を有する永久磁石と、前記プラズマ生成室内に生成され
たプラズマに面して配置され、前記プラズマにより処理
される被処理物を保持する保持手段とを備え、前記導波
部を前記プラズマ生成室の側壁に複数設けると共に、こ
の各導波部の周囲に、少なくとも1個の前記永久磁石を
その磁化方向がマイクロ波導入方向に対してほぼ垂直と
なるように配置したことを特徴とするプラズマ処理装
置。
【0008】〔2〕 内部にプラズマが生成されるプラ
ズマ生成室と、該プラズマ生成室内にプラズマを生成す
るためのマイクロ波を導入する導波部と、該導波部の周
囲に設けられ、前記マイクロ波との相互作用によりプラ
ズマを生成するための電子サイクロトロン共鳴磁場強度
を有する永久磁石と、前記プラズマ生成室内に生成され
たプラズマに面して配置され、前記プラズマにより処理
される被処理物を保持する保持手段とを備え、前記導波
部を前記プラズマ生成室の側壁に複数設け、この各導波
部の周囲に、少なくとも1個の第1の永久磁石を、その
磁化方向がマイクロ波導入方向にほぼ垂直で、かつ、極
性が前記導波部を挟んで等しくなる向きに配置すると共
に、少なくとも1個の第2の永久磁石を前記導波部の周
囲に極性を同一にして、前記プラズマ生成室側の極性が
前記第1の永久磁石の導波部側の極性と一致するように
配置したことを特徴とするプラズマ処理装置。
【0009】〔3〕 前記プラズマ生成室を形成する天
板に、前記プラズマ生成室側の極性が前記第2の永久磁
石の前記プラズマ生成室側の極性と同一になるよう永久
磁石を配置した〔2〕に記載のプラズマ処理装置。
【0010】〔4〕 前記プラズマ生成室を形成する側
壁の前記各導波部間に、前記プラズマ生成室側の極性が
前記第2の永久磁石の前記プラズマ生成室側の極性と逆
になるよう永久磁石を配置した〔2〕に記載のプラズマ
処理装置。
【0011】〔5〕 内部にプラズマが生成されるプラ
ズマ生成室と、該プラズマ生成室内にプラズマを生成す
るためのマイクロ波を導入する導波部と、該導波部の周
囲に設けられ、前記マイクロ波との相互作用によりプラ
ズマを生成するための電子サイクロトロン共鳴磁場強度
を有する永久磁石と、前記プラズマ生成室内に生成され
たプラズマに面して配置され、前記プラズマにより処理
される被処理物を保持する保持手段とを備え、前記永久
磁石は、前記プラズマ生成室内へのマイクロ波導出部に
おける磁力線の方向が前記マイクロ波の電界方向とほぼ
直交するように配置されていることを特徴とするプラズ
マ処理装置。
【0012】〔6〕 前記導波部は矩形導波管で形成さ
れ、該矩形導波管の長辺方向は前記被処理物の面とほぼ
平行に配置されている前記〔1〕,〔2〕または〔5〕
に記載のプラズマ処理装置。
【0013】〔7〕 前記導波部は矩形導波管で形成さ
れ、該矩形導波管の長辺方向は前記被処理物の面と交差
する方向に配置されている前記〔1〕,〔2〕または
〔5〕に記載のプラズマ処理装置。
【0014】〔8〕 導波部からのマイクロ波と導波部
の周囲に設けられた永久磁石の磁場との相互作用により
プラズマ生成室内にプラズマを生成し、この生成された
プラズマによりプラズマ生成室内の被処理物を処理する
にあたって、前記マイクロ波は前記プラズマ生成室の側
壁から被処理物の面とほぼ平行な方向に導入され、この
マイクロ波と前記永久磁石との相互作用により生成され
たプラズマは、前記導波部の周囲に配置された永久磁石
と各導波部の間に配置された複数の永久磁石とで形成さ
れた磁力線により前記プラズマ生成室の中央付近に押し
込んで閉じ込められていることを特徴とするプラズマ処
理方法。
【0015】
〔9〕 前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに
記載のプラズマ生成室内にシリコンウエハを保持し、前
記プラズマ生成室内にSiH4,O2,SiF4,CF4
CH4または塩素を含むガスを導入すると共に、前記マ
イクロ波と前記永久磁石により形成されたプラズマ生成
領域において生成されたプラズマを前記シリコンウエハ
に作用させて半導体を製造することを特徴とする半導体
製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、導波部の周囲に設けら
れ、マイクロ波との相互作用によりプラズマを生成する
ための電子サイクロトロン共鳴磁場強度を有する永久磁
石を、プラズマ生成室内へのマイクロ波導出部における
磁力線の方向がマイクロ波の電界方向とほぼ直交するよ
うに配置したことを特徴とする。
【0017】具体的には、導波部をプラズマ生成室の側
壁に複数設けると共に、この各導波部の周囲に、少なく
とも1個の永久磁石をその磁化方向がマイクロ波導入方
向に対してほぼ垂直となるように配置したり、あるいは
導波部をプラズマ生成室の側壁に複数設け、この各導波
部の周囲に、少なくとも1個の第1の永久磁石を、その
磁化方向がマイクロ波導入方向にほぼ垂直で、かつ極性
が前記導波部を挟んで等しくなる向きに配置すると共
に、少なくとも1個の第2の永久磁石を前記導波部の周
囲に極性を同一にして、前記プラズマ生成室側の極性が
前記第1の永久磁石の導波部側の極性と一致するように
配置した。
【0018】また、導波部からのマイクロ波と導波部の
周囲に設けられた永久磁石の磁場との相互作用によりプ
ラズマ生成室内にプラズマを生成し、この生成されたプ
ラズマによりプラズマ生成室内の被処理物を処理するに
あたって、前記マイクロ波は前記プラズマ生成室の側壁
から被処理物の面とほぼ平行な方向に導入され、このマ
イクロ波と前記永久磁石との相互作用により生成された
プラズマは、前記導波部の周囲に配置された永久磁石と
各導波部の間に配置された複数の永久磁石とで形成され
た磁力線により前記プラズマ生成室の中央付近に押し込
んで閉じ込められるようにした。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。図1〜図4および図6、図7は本発明のプラズマ
処理装置の第一の実施例を示している。
【0020】本実施例のプラズマ処理装置であるマイク
ロ波プラズマ生成装置は、図1,2に示すように、アル
ミニウム等の非磁性材によりほぼ円筒状に形成された一
つのプラズマ生成室1を有している。なお、図2は図1
を角度を変えて見た場合の断面図である。
【0021】このプラズマ生成室1は、天板2と側壁3
で構成され、天板2と側壁3は絶縁物4を介して接続さ
れており、側壁3は絶縁物5を介しベースプレート6に
接続されている(ベースプレート6は電気的に基準電位
に接続されている)。
【0022】ベースプレート6には、ゲートバルブ8を
介し基板9が搬送される搬送室10が接続されていると
共に、別のゲートバルブ7を介してプラズマ生成室1内
を真空排気する真空排気装置11が接続されている。ま
た、ベースプレート6には絶縁物12を介し基板9を保
持する基板ホルダ13が接続されている。図示はしてい
ないが、搬送室10内に設けられた搬送ロボットより基
板9が基板ホルダ13に受け渡される。
【0023】側壁3にはガス導入用ノズル14a,14
bが設けられている(ガス導入用ノズル14a,14b
は天板2に設けてもよい。また、ガス導入用ノズル14
a,14bのうち、一方を省略してもよい)。
【0024】また、図1の上面図である図3に示すよう
に、プラズマ生成室1の側壁3には、四つのマイクロ波
導波部15a,15b,15c,15dが設けられ、マ
イクロ波導波部15a,15b,15c,15dには、
それぞれにアルミニウムのような非磁性材により形成さ
れている導波管16a,16b,16c,16dが接続
されている。
【0025】導波管16a,16b,16c,16dに
は各々スタブチューナ17a,17b,17c,17d
と検波器18a,18b,18c,18dが接続されて
いる。
【0026】図1に示すごとく、マイクロ波導波部15
a,15cの内部には、プラズマ生成室1の気密を保持
し得るように誘電体19a,19cが設けられ(図示し
ていないが、マイクロ波導波部15b,15dの内部に
も誘電体19b,19dが設けられている)、さらに、
誘電体19a,19b,19c,19dは、誘電体19
a,19b,19c,19dのプラズマ生成室1側の先
端部が、プラズマ生成室1の内壁面とほぼ一致するよう
に設置されている。
【0027】この誘電体19a,19b,19c,19
dのプラズマ生成室1側の先端部は、その曲率がプラズ
マ生成室1の内面の曲率とほぼ一致している方が好まし
いが、必ずしもその必要はない。誘電体19a,19
b,19c,19dは通常では、石英やアルミナ等のセ
ラミックスが用いられる。
【0028】マイクロ波導波部15a,15b,15
c,15dの各々の周囲には、マイクロ波との相互作用
によりプラズマを生成するための電子サイクロトロン共
鳴磁場強度を有する永久磁石20a,20b,20c,
20dが配置されている。例えば、マイクロ波の周波数
が2.45GHzの場合は、電子サイクロトロン共鳴の
磁場の強度は875Gaussである。さらに、基板ホ
ルダ13には高周波電源21が接続されている。
【0029】プラズマ生成室1を真空排気装置11によ
り真空引きした後、プラズマ生成室1にガス導入用ノズ
ル14a,14bからアルゴンガスのような特定ガスを
導入し、プラズマ生成室1内をそのガス雰囲気にしてお
き、ガス雰囲気中でマイクロ波導波部15a,15b,
15c,15dよりマイクロ波を導入し、永久磁石20
a,20b,20c,20dにより形成された磁場との
電子サイクロトロン共鳴によりプラズマが生成される。
そして、基板ホルダ13に高周波電圧を印加することに
より、生成したプラズマを基板9に照射し、基板9の表
面を所望形状に加工する。
【0030】マイクロ波導波部15aの周囲に配置され
た第1の永久磁石24a、24bは、図4に示すよう
に、磁化方向がマイクロ波導入方向にほぼ垂直で、か
つ、極性がマイクロ波導波管16aを挟んで同じとなる
向きに配置されている。ただし、第1の永久磁石は複数
の永久磁石からなる集合体でも構わない。
【0031】さらに、図4に示すように、第2の永久磁
石25a,25b,26a,26bが、マイクロ波導波
管15aを囲むように極性を同一にして、かつ、プラズ
マ生成室1側の極性が、第1の永久磁石24a,24b
のマイクロ波導波管15a側の極性と一致するように配
置されている。
【0032】第2の永久磁石25a,25b,26a,
26bも複数の永久磁石からなる集合体でも構わない。
また、第1の永久磁石および第2の永久磁石は、必ずし
もマイクロ波導波管を挟んで両側に配置されている必要
はなく、片側のみでも構わない。
【0033】その際、磁場はマイクロ波導波部15aに
おいて、電子サイクロトロン共鳴磁場強度(875Ga
uss)を超える大きさの磁場となるように、第1の永
久磁石24a,24b、および、第2の永久磁石25
a,25b,26a,26bは残留磁束密度の大きい
(約11,000Gauss)サマリウム・コバルト等
からなっている。
【0034】マイクロ波がマイクロ波導波部15aから
入射する際、誘電体19aのプラズマ生成室1の内面と
一致する先端部近傍には、局所電子加熱領域27が形成
(875Gaussで2.45GHzで形成)され、そ
こで高エネルギー電子が大量に生成される。
【0035】なお、マイクロ波導波部15b、15c、
15dの構造も15aと同様になっている。
【0036】電子サイクロトロン共鳴によって吸収され
る電子のエネルギーは、磁場方向とマイクロ波の電界方
向との成す角度に依存する。磁場方向とマイクロ波の電
界方向とのなす角度をθとすると、実質的に電子サイク
ロトロン共鳴に寄与する有効電界強度はEsinθとな
る。ここでEはマイクロ波の電界強度である。即ち、有
効電界強度は磁場方向とマイクロ波の電界方向が直交す
る場合に最大となる。
【0037】本実施例によれば、第1の永久磁石24
a,24bにより、誘電体19aのマイクロ波導出部に
おいて、磁力線の方向は、ほぼマイクロ波の電界方向と
直交するため、最大の有効電界強度が得られる。
【0038】また、第1の永久磁石24a,24bの残
留磁束密度を大きくしたり、寸法を大きくすることによ
りマイクロ波導出部における磁場強度が強くなり、電子
サイクロトロン共鳴領域を拡大させることが可能であ
る。
【0039】次に、前記公知例(米国特許第5,370,
765号)と比較して本発明の作用と効果を述べるため
に、図5に該公知例のマイクロ波導出部断面を示す。
【0040】公知例では、マイクロ波導出部はプラズマ
生成室を取り巻くように周状に配置されており、図5に
示すように、プラズマ生成室のマイクロ波導出部の上下
に極性方向が対向する向きに永久磁石28a,28bが
プラズマ生成室の中心軸を取り囲むように周状に配置さ
れており、さらに、永久磁石28a,28bのプラズマ
生成室と反対側に、極性方向が斜めになるような図5に
示すような極性方向で永久磁石29a,29b,30
a,30bが周状に配置されている。
【0041】永久磁石28a,28b,29a,29
b,30a,30bにより、マイクロ波導出部の磁場強
度は、電子サイクロトロン共鳴磁場強度以上となってい
る。
【0042】さらに、電子サイクロトロン共鳴で加熱さ
れた電子を閉じ込めるためのミラー磁場31a,31b
が、プラズマ生成室の中心軸を取り囲むようにマイクロ
波導出部の上下に周状に形成される。永久磁石28a,
29a,30aによってミラー磁場31aが、また、永
久磁石28b,29b,30bによってミラー磁場31
bがそれぞれマイクロ波導出部近傍に局所化され、プラ
ズマ生成室中央部は弱磁場領域となっている。
【0043】本実施例の第2の永久磁石25a,25b
と、公知例の永久磁石29a,29bは、プラズマ生成
室の中心軸に対する磁化成分が逆向きであり、その効果
も本質的に異なる。
【0044】ここで、本実施例の第2の永久磁石25
a,25bと、公知例の永久磁石29a,29bの効果
の違いを説明するために、図6を用いて、加熱電子の有
効生成領域と云う概念を導入する。
【0045】電子サイクロトロン共鳴で加熱された電子
は、磁力線に沿ってサイクロトロン運動をしながら拡散
していくが、その加熱電子が有効にプラズマ生成に寄与
するためには、電子サイクロトロン共鳴領域から出た磁
力線が、壁面に衝突するまでの距離Lが、電子が中性粒
子と衝突するまでの平均自由行程λ以上となる必要があ
る。
【0046】つまり、L>λであれば、磁力線に沿って
拡散した電子が壁面に衝突する前に、中性粒子と少なく
とも1回以上は衝突するため、加熱された電子のエネル
ギーが無駄なくプラズマの生成に使われ、プラズマ密度
が増大する。
【0047】ここで、電子サイクロトロン共鳴領域のう
ち、出射する磁力線がL>λの条件を満たしている領域
を、その領域で加熱された電子が有効的にプラズマ生成
に寄与すると云う意味で、有効生成領域と定義する。
【0048】本実施例においても公知例においても、電
子サイクロトロン共鳴領域から出た磁力線は、プラズマ
生成室内を通って側壁か天板、または、ベースプレート
に衝突する。
【0049】公知例では、電子サイクロトロン共鳴領域
から出た磁力線は、図5に示す永久磁石29aあるいは
29bによって引き込まれ、すぐにマイクロ波導出部上
下の側壁に衝突してしまうため、永久磁石28a,28
b,29a,29b,30a,30bを大型化しない限
りL>λの条件を満たさず、有効生成領域が小さくなる
ため高密度プラズマを生成することが困難となる。
【0050】また、プラズマの大部分はミラー磁場31
a,31b内、もしくはその近傍でのみ生成されるた
め、基板付近でのプラズマ密度が低くなってしまう。
【0051】本実施例では、図6の永久磁石25a,2
5bによって電子サイクロトロン共鳴領域から出た磁力
線は、すぐには壁面に衝突せずにプラズマ生成室内部へ
押し込まれるためLが長くなり、L>λの条件を容易に
満たすことができる。その結果、有効生成領域が増加
し、高密度プラズマを生成することが可能となる。
【0052】また、第2の永久磁石25a,25b,2
6a,26bの配置、体積、残留磁束密度等を変えるこ
とにより、磁力線の押し込みの強さを自在に調整するこ
とが可能である。
【0053】このとき、電子サイクロトロン共鳴領域か
ら出て、永久磁石25bによって押し込まれた磁力線が
直接基板面に入り込むと、その磁力線に沿って拡散して
きた加熱電子によって、例えば、半導体デバイスの成膜
プロセス等に使われた場合は、デバイスダメージを引き
起こす原因となる可能性がある。
【0054】しかし、これは図7に示すように、側壁お
よび天板に、第2の永久磁石と極性が逆となるように永
久磁石23a,23b,24a,24bを配置し、側
壁、天板方向に磁力線を引き込むことにより、回避する
ことが可能である。
【0055】また、永久磁石23a,23b,24a,
24bにより磁力線がプラズマ生成室の天板側に引き込
まれるため、基板面付近は弱磁場領域となり、プラズマ
が磁場の影響を受けずに等方的に拡散するため、基板面
上で均一なプラズマ分布が得られると云う利点もある。
【0056】また、図7に示すように、天板2に、例え
ば、リング状の永久磁石22をプラズマ生成室側の極性
を永久磁石25a,25bと同じとなるように配置する
ことにより、磁力線をさらに基板9方向に押し込んで、
Lを長くすることが可能である。なお、永久磁石22は
必ずしもリング状である必要はなく、複数のブロック状
でも構わない。
【0057】また、L>λの条件を満たすためには、図
8に示すように、少なくともλ以上の長さの第1の永久
磁石を用いてもよい。この場合は必ずしも永久磁石25
a,25bは必要ない。
【0058】また、図9に示すように導波管16a、1
6b、16c、16dを図7の状態から90度回転させ
た構成でもよい。
【0059】公知例、および、図4に示した本発明の一
実施例について、基板面でのイオン飽和電流を測定した
結果を図10に示す。
【0060】有効生成領域の大きさを表す一つのパラメ
ータとして、図6に示すように、マイクロ波導出部の中
央断面における等磁束密度線(マイクロ波2.45GH
zで845Gauss)上でL>λの条件を満たしてい
る範囲の長さseffをとった。マイクロ波導出部の中央
は、マイクロ波の電界強度が最も大きく、高エネルギー
電子が最も多く生成される場所のため、seffはこの断
面で定義した。なお、図10の横軸はseff、縦軸はイ
オン飽和電流密度である。
【0061】公知例と本発明の一実施例を比較すると、
本実施例のseffは公知例の約3倍になった結果、イオ
ン飽和電流密度は本実施例の方が約5倍となっている。
【0062】本実施例のようなプラズマ処理装置を、例
えば、SiH4、O2、SiF4、CF4、CH4、また
は、塩素を含むガスを用いて、シリコン基板の処理に適
用すれば、高選択性・高速エッチング装置、ないしは高
速で高アスペクト比の配線間溝を埋め込むことが可能な
高スループット成膜装置を提供することができる。
【0063】また、大型ガラス基板の処理に適用すれ
ば、高速成膜が可能な高スループットの液晶ディスプレ
イ製造装置を提供することができる。
【0064】例えば、基板ホルダにシリコンウエハを保
持し、プラズマ生成室にガス導入用ノズルからSi
4、O2を導入する。SiH4、O2ガス雰囲気中でマイ
クロ波導波部15a,15b,15c,15dよりマイ
クロ波を導入すると、永久磁石20a,20b,20
c,20dにより形成された磁場との電子サイクロトロ
ン共鳴によりプラズマが生成され、SiH4はSiH3
SiH2、SiH、Si等のシランラジカルに、O2はO
等の酸素ラジカルへと解離する。生成されたシランラジ
カルと酸素ラジカルはシリコンウエハ上で反応し、Si
2膜となる。
【0065】さらに、アルゴンガスをSiH4、O2と同
時に導入し、基板ホルダ13に高周波電圧を印加するこ
とにより基板表面に誘起された負のセルフバイアスで、
プラズマ中のアルゴンイオンがシリコンウエハ上に照射
され、アルゴンイオンでスパッタしながらSiO2成膜
を行うことにより、シリコンウエハ上の配線間段差を埋
め込みながら平坦な膜を形成することができる。
【0066】また、SiH4と同時にN2を導入すること
により、SiNの成膜を行うこともできる。
【0067】また、SiH4、O2と同時にSiF4、C
4等のフッ素を含むガスを導入することにより、Si
OFの成膜を行うこともできる。
【0068】また、ガス導入用ノズルからCF4、C2
6、C38等のフッ化炭素ガスを導入すると、これらの
ガスはプラズマ中でラジカルとなり、シリコンウエハ上
のSiO2等の酸化膜のエッチングを行うことができ
る。エッチング用のガスとしては塩素を含むガスでもよ
い。
【0069】このように本実施例に示す構成とすること
により、簡単な手段をとるだけで永久磁石により電子サ
イクロトロン共鳴磁場領域が形成され、入射マイクロ波
によって高エネルギー電子が生成され、電子サイクロト
ロン共鳴領域から発する磁力線は少なくとも電子の平均
自由行程以上となる。この磁力線に沿って高エネルギー
電子を拡散させ、プラズマを効果的に生成させること
で、プラズマ処理基板面上におけるプラズマ密度を容易
に増大させることができる。
【0070】また、従来の構成では、壁面に入り込む磁
力線に沿って高エネルギー電子がその部分に集中的に流
れ込むために、その部分の温度が局所的に上昇してしま
い、周囲との温度差により大きな熱応力が発生してい
た。しかし、本実施例の構成とすることにより、高エネ
ルギー電子が壁面に局所的に流れ込むことがなくなり、
局所的な温度上昇が防止され、周囲との温度差に伴う熱
応力の発生を防ぐことができる。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
プラズマ処理基板面上に高密度のプラズマを効率よく生
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理装置の第一の実施例を示
す断面図である。
【図2】本発明のプラズマ処理装置の第一の実施例で図
1とは角度を変えて示した断面図である。
【図3】図1に示したプラズマ処理装置の上面図であ
る。
【図4】図1に示したプラズマ処理装置の導波部近傍の
詳細断面図である。
【図5】公知例のプラズマ処理装置の導波部近傍の詳細
断面図である。
【図6】図1のプラズマ生成室内における磁力線の様子
を示す図である。
【図7】図1に示したプラズマ処理装置の側面図であ
る。
【図8】本発明のプラズマ処理装置の第二の実施例の側
面図である。
【図9】本発明のプラズマ処理装置の第三の実施例の側
面図である。
【図10】本発明と公知例のプラズマ処理装置における
イオン飽和電流密度の有効生成領域依存性を比較した特
性図である。
【符号の説明】
1…プラズマ生成室、2…天板、3…側壁、4,5,1
2…絶縁物、6…ベースプレート、7,8…ゲートバル
ブ、9…基板、10…搬送室、11…真空排気装置、1
3…基板ホルダ、14…ガス導入用ノズル、15…マイ
クロ波導波部、16…導波管、17…スタブチューナ、
18…検波器、19…誘電体、20,22,23,2
4,25,26,28,29,30,34…永久磁石、
21…高周波電源、27…局所電子加熱領域、31…ミ
ラー磁場、32…磁力線、33…有効生成領域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05H 1/46 H05H 1/46 B C (72)発明者 和田 直憲 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 上野 雄一郎 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 竹森 聖 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 瀬戸山 英嗣 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内 Fターム(参考) 4K030 AA03 AA04 AA06 AA14 BA29 BA35 BA44 CA04 CA12 FA02 KA34 4K057 DA20 DB06 DD03 DE01 DE06 DE07 DE08 DE14 DM28 DM29 DN01 5F004 AA00 AA02 BA14 BA16 BB14 BB18 BD04 DA01 DA02 DA03 DA04 DA23 DA26 DB03 5F045 AA08 AA09 AA10 AA19 AB31 AB32 AB33 AC01 AC02 AC08 AC11 AC15 AC16 AF01 AF02 AF03 BB09 DP01 DP02 DP03 EH01 EH03 EH16 EH17

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にプラズマが生成されるプラズマ生
    成室と、該プラズマ生成室内にプラズマを生成するため
    のマイクロ波を導入する導波部と、該導波部の周囲に設
    けられ、前記マイクロ波との相互作用によりプラズマを
    生成するための電子サイクロトロン共鳴磁場強度を有す
    る永久磁石と、前記プラズマ生成室内に生成されたプラ
    ズマに面して配置され、前記プラズマにより処理される
    被処理物を保持する保持手段とを備え、 前記導波部を前記プラズマ生成室の側壁に複数設けると
    共に、この各導波部の周囲に、少なくとも1個の前記永
    久磁石をその磁化方向がマイクロ波導入方向に対してほ
    ぼ垂直となるように配置したことを特徴とするプラズマ
    処理装置。
  2. 【請求項2】 内部にプラズマが生成されるプラズマ生
    成室と、該プラズマ生成室内にプラズマを生成するため
    のマイクロ波を導入する導波部と、該導波部の周囲に設
    けられ、前記マイクロ波との相互作用によりプラズマを
    生成するための電子サイクロトロン共鳴磁場強度を有す
    る永久磁石と、前記プラズマ生成室内に生成されたプラ
    ズマに面して配置され、前記プラズマにより処理される
    被処理物を保持する保持手段とを備え、 前記導波部を前記プラズマ生成室の側壁に複数設け、こ
    の各導波部の周囲に、少なくとも1個の第1の永久磁石
    を、その磁化方向がマイクロ波導入方向にほぼ垂直で、
    かつ、極性が前記導波部を挟んで等しくなる向きに配置
    すると共に、少なくとも1個の第2の永久磁石を前記導
    波部の周囲に極性を同一にして、前記プラズマ生成室側
    の極性が前記第1の永久磁石の導波部側の極性と一致す
    るように配置したことを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】 前記プラズマ生成室を形成する天板に、
    前記プラズマ生成室側の極性が前記第2の永久磁石の前
    記プラズマ生成室側の極性と同一になるよう永久磁石を
    配置した請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 【請求項4】 前記プラズマ生成室を形成する側壁の前
    記各導波部間に、前記プラズマ生成室側の極性が前記第
    2の永久磁石の前記プラズマ生成室側の極性と逆になる
    よう永久磁石を配置した請求項2に記載のプラズマ処理
    装置。
  5. 【請求項5】 内部にプラズマが生成されるプラズマ生
    成室と、該プラズマ生成室内にプラズマを生成するため
    のマイクロ波を導入する導波部と、該導波部の周囲に設
    けられ、前記マイクロ波との相互作用によりプラズマを
    生成するための電子サイクロトロン共鳴磁場強度を有す
    る永久磁石と、前記プラズマ生成室内に生成されたプラ
    ズマに面して配置され、前記プラズマにより処理される
    被処理物を保持する保持手段とを備え、 前記永久磁石は、前記プラズマ生成室内へのマイクロ波
    導出部における磁力線の方向が前記マイクロ波の電界方
    向とほぼ直交するように配置されていることを特徴とす
    るプラズマ処理装置。
  6. 【請求項6】 前記導波部は矩形導波管で形成され、該
    矩形導波管の長辺方向は前記被処理物の面とほぼ平行に
    配置されている請求項1,2または5に記載のプラズマ
    処理装置。
  7. 【請求項7】 前記導波部は矩形導波管で形成され、該
    矩形導波管の長辺方向は前記被処理物の面と交差する方
    向に配置されている請求項1,2または5に記載のプラ
    ズマ処理装置。
  8. 【請求項8】 導波部からのマイクロ波と導波部の周囲
    に設けられた永久磁石の磁場との相互作用によりプラズ
    マ生成室内にプラズマを生成し、この生成されたプラズ
    マによりプラズマ生成室内の被処理物を処理するにあた
    って、 前記マイクロ波は前記プラズマ生成室の側壁から被処理
    物の面とほぼ平行な方向に導入され、このマイクロ波と
    前記永久磁石との相互作用により生成されたプラズマ
    は、前記導波部の周囲に配置された永久磁石と各導波部
    の間に配置された複数の永久磁石とで形成された磁力線
    により前記プラズマ生成室の中央付近に押し込んで閉じ
    込められていることを特徴とするプラズマ処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかに記載のプラズ
    マ生成室内にシリコンウエハを保持し、前記プラズマ生
    成室内にSiH4,O2,SiF4,CF4,CH4または
    塩素を含むガスを導入すると共に、前記マイクロ波と前
    記永久磁石により形成されたプラズマ生成領域において
    生成されたプラズマを前記シリコンウエハに作用させて
    半導体を製造することを特徴とする半導体製造方法。
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RU2539872C1 (ru) * 2013-07-05 2015-01-27 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт сверхвысокочастотной полупроводниковой электроники Российской академии наук (ИСВЧПЭ РАН) Устройство свч плазменной обработки
WO2016186143A1 (ja) * 2015-05-20 2016-11-24 国立大学法人東北大学 プラズマ処理装置、プラズマ処理方法および半導体製造方法
JP2022504088A (ja) * 2018-10-02 2022-01-13 エヴァテック・アーゲー プラズマ支援原子層堆積(peald)装置

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JPWO2016186143A1 (ja) * 2015-05-20 2018-03-29 国立大学法人東北大学 プラズマ処理装置、プラズマ処理方法および半導体製造方法
JP2022504088A (ja) * 2018-10-02 2022-01-13 エヴァテック・アーゲー プラズマ支援原子層堆積(peald)装置

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