JP2000277018A - ランプ内水銀量測定装置およびランプ内水銀量測定方法 - Google Patents

ランプ内水銀量測定装置およびランプ内水銀量測定方法

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JP2000277018A JP8570999A JP8570999A JP2000277018A JP 2000277018 A JP2000277018 A JP 2000277018A JP 8570999 A JP8570999 A JP 8570999A JP 8570999 A JP8570999 A JP 8570999A JP 2000277018 A JP2000277018 A JP 2000277018A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ランプ電圧またはランプ電流の経時変化を測
定することによって、簡単かつ高精度にランプ内の有効
水銀量を非破壊測定できるランプ内水銀量測定装置およ
びランプ内水銀量測定方法を提供する。 【解決手段】 蛍光ランプ11を点灯するための直流電
源12と、直流電源12によって蛍光ランプ11に印加
される電圧を測定する電圧計13と、蛍光ランプ11に
流れる電流を測定する電流計14と、蛍光ランプ11の
一部を冷却するためのペルチェ素子15と、蛍光ランプ
の周囲の温度を測定する温度計16と、電圧計13、電
流計14および温度計16からの信号を用いて蛍光ラン
プ11の水銀量を計算する計算手段17とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランプ内に封入さ
れた有効水銀量を非破壊で測定するランプ内水銀量測定
装置およびランプ内水銀量測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、蛍光ランプは、水銀および希ガ
スが封入されたガラスバルブからなる。そして、ガラス
バルブには、内面に希土類元素あるいはハロ燐酸系の蛍
光体等が形成されており、ガラスバルブの両端には電極
が形成されている。蛍光ランプは、電気エネルギーを水
銀蒸気によって波長254nmの紫外線に変換し、この
254nmの紫外線を蛍光体層によって可視光に変換し
て使用するランプである。
【0003】近年、環境保全の観点から、蛍光ランプに
使用する水銀をできるだけ少なくすることが求められて
おり、多くのメーカーで研究開発が進められている。蛍
光ランプから可視光を取り出すために必要な最低水銀蒸
気量は、管径32mm、管長1200mmの40W(ワ
ット)直管形蛍光ランプで0.06mgであると理論上
計算できる。しかしながら、蛍光ランプ内の水銀は点灯
中に蛍光体やガラスバルブやエミッタの飛散物と反応
し、発光に寄与しない、つまり、水銀蒸気にならない水
銀に変わっていく(この蒸気化しない水銀は一般的に消
費水銀と言われ、これに対して水銀蒸気になることがで
きる水銀を有効水銀という)。
【0004】蛍光ランプに使用する水銀の量を減少させ
るためには、蛍光ランプの寿命末期における消費水銀の
量を測定する必要がある。従来、蛍光ランプの寿命末期
における消費水銀の量を測定するためには、実際に蛍光
ランプを寿命末期まで点灯し、その蛍光ランプを破壊し
て分析する必要があった。このため、消費水銀量の少な
い蛍光ランプを開発するには膨大な時間がかかってい
た。
【0005】この問題を回避するため、点灯時間が異な
る蛍光ランプを破壊して消費水銀量を測定し、点灯時間
と消費水銀量との関係から寿命末期の消費水銀量を概算
する方法が考えられている。しかし、この場合、水銀量
の測定の際に蛍光ランプを破壊するため、同一蛍光ラン
プを用いて経時変化を測定することができず、分析に必
要な蛍光ランプの本数が膨大になるという問題があっ
た。
【0006】これらの問題を解決するため、非破壊で蛍
光ランプ内の有効水銀量を分析する方法が学会で報告さ
れている(H.C.G.Vehaar and B.
J.Roelevick,Sixth Interna
tional Symposium on The S
cience & Technology Light
Sources p71 1992。あるいは H.T
omioka,T.Higashi and K.Iw
ama,Seventh International
Symposium on The Science
& Technology Light Sourc
es、p323、1995)。この非破壊水銀量測定法
は、直管形蛍光ランプを直流点灯したときに起こる陽極
側の輝度低下の時間を測定して、蛍光ランプ内部に存在
する有効水銀量を測定する方法である。この方法では、
前もって、既知の水銀量が封入された蛍光ランプを準備
し、輝度低下に要する時間と蛍光ランプ内の有効水銀量
との検量線を求めておく。そして、この検量線を用いて
点灯時間の経過による有効水銀量の経時変化を測定する
ことによって、消費水銀量を算出する。なお、報告によ
ると、40W直管形蛍光ランプ内の有効水銀1mgを測
定するのに要する時間は約30分間である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
測定方法では、蛍光ランプの陽極側における輝度低下の
時間を測定するために、輝度計や照度計などの光学系が
必要であり、高価な測定装置が必要であるという問題が
あった。また、従来の測定方法に用いる測定装置は、光
学系を備えるために装置が大きくなるという問題があ
り、複数の蛍光ランプを同時に測定する場合には特に問
題となっていた。さらに、測定値の信頼性を向上させる
往復測定を行う場合、測定時間が長くなるために周囲温
度変化の影響を受け、測定値がばらつくという問題があ
った。
【0008】上記問題を解決するため、本発明は、簡単
かつ高精度にランプ内の有効水銀量を非破壊測定できる
ランプ内水銀量測定方法、およびこれに用いることがで
きるランプ内水銀量測定装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1のランプ内水銀量測定装置は、両端に
電極を有し、内部に水銀が封入されたランプの有効水銀
量を測定するランプ内水銀量測定装置であって、前記ラ
ンプを点灯するための電源であって前記電極に接続され
た直流電源と、前記直流電源によって前記ランプに印加
される電圧を測定する電圧測定手段と、前記電圧測定手
段によって測定された電圧値から前記有効水銀量を計算
する計算手段と、前記ランプの一部を冷却する冷却手段
とを備えることを特徴とする。
【0010】本発明の第2のランプ内水銀量測定装置
は、両端に電極を有し、内部に水銀が封入されたランプ
の有効水銀量を測定するランプ内水銀量測定装置であっ
て、前記ランプを点灯するための電源であって前記電極
に接続された直流電源と、前記直流電源によって前記ラ
ンプに流れる電流を測定する電流測定手段と、前記電流
測定手段によって測定された電流値から前記有効水銀量
を計算する計算手段と、前記ランプの一部を冷却するた
めの冷却手段とを備えることを特徴とする。上記第1お
よび第2のランプ内水銀量測定装置では、電圧測定手段
または電流測定手段によって測定された電圧または電流
を用いて有効水銀量を計算できる。したがって、上記第
1および第2のランプ内水銀量測定装置によれば、簡単
かつ高精度にランプ内の有効水銀量を非破壊測定でき
る。また、上記第1および第2のランプ内水銀量測定装
置は、光学系を必要としないため、ランプ内の有効水銀
量を安価に測定できる。
【0011】上記第1および第2のランプ内水銀量測定
装置では、前記ランプの周囲の温度を測定するための温
度測定手段をさらに含み、前記計算手段は、前記温度測
定手段によって測定された前記温度を用いて前記有効水
銀量の計算の補正を行うことが好ましい。上記構成によ
って、ランプの周囲温度による測定バラツキを減少させ
ることができ、ランプ内の有効水銀量をさらに高精度に
測定できる。
【0012】上記第1および第2のランプ内水銀量測定
装置では、前記冷却手段は、前記ランプの中央部よりも
前記電極のうち陰極となる側の一部に設けられているこ
とが好ましい。上記構成によって、ランプ内の有効水銀
量をさらに高精度に測定できる。
【0013】上記第1および第2のランプ内水銀量測定
装置では、前記冷却手段が、前記ランプを点灯したとき
の最冷部領域(ランプを点灯したときにもっとも温度が
低い領域)に設けられていることが好ましい。上記構成
によって、ランプ内の有効水銀量をさらに高精度に測定
できる。
【0014】上記第1および第2のランプ内水銀量測定
装置では、前記冷却手段がペルチェ素子であることが好
ましい。ペルチェ素子を用いることによって、冷却手段
をコンパクトにすることができ、装置を小型化できる。
【0015】本発明のランプ内水銀量測定方法は、両端
に電極を有し、内部に水銀が封入されたランプの有効水
銀量を測定するランプ内水銀量測定方法であって、前記
ランプを直流点灯するとともに前記ランプの一部を冷却
したときの前記ランプの電気的特性の経時変化と前記ラ
ンプ内の有効水銀量との関係について検量線を作成する
第1ステップと、前記ランプを直流点灯するとともに前
記ランプの一部を冷却したときの前記電気的特性の経時
変化を測定し前記検量線を用いて前記ランプ内の有効水
銀量を計算する第2ステップとを含む。上記測定方法で
は、ランプの電気的特性の経時変化を用いてランプ内の
有効水銀量を測定できる。したがって、簡単かつ高精度
にランプ内の有効水銀量を非破壊測定できる。
【0016】上記ランプ内水銀量測定方法では、前記電
気的特性が、前記ランプのランプ電圧(ランプに印加さ
れる電圧)およびランプ電流(ランプを流れる電流)か
ら選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。ラン
プ電圧およびランプ電流の経時変化は、ランプ内の有効
水銀量に対応して変化するため、上記構成によって簡単
かつ高精度にランプ内の有効水銀量を測定できる。
【0017】上記ランプ内水銀量測定方法では、前記第
2ステップにおいて前記ランプの一部を冷却する際に、
前記ランプのランプ中央部よりも前記電極のうち陰極と
なる側の一部を冷却することが好ましい。上記構成によ
って、ランプ内の有効水銀量をさらに高精度に測定でき
る。
【0018】上記ランプ内水銀量測定方法では、前記第
2ステップの前記有効水銀量の計算において、前記ラン
プの周囲温度を用いて前記有効水銀量の計算の補正を行
うことが好ましい。上記構成によって、ランプの周囲温
度による測定バラツキを減少させることができ、ランプ
内の有効水銀量をさらに高精度に測定できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。
【0020】(実施形態1)実施形態1では、本発明の
ランプ内水銀量測定装置の一例について説明する。
【0021】実施形態1のランプ内水銀量測定装置の模
式図を、図1に示す。図1を参照して、実施形態1のラ
ンプ内水銀量測定装置10は、蛍光ランプ11を点灯す
るための直流電源12と、直流電源12によって蛍光ラ
ンプ11に印加される電圧を測定する電圧計13と、蛍
光ランプ11に流れる電流を測定する電流計14と、蛍
光ランプ11の一部を冷却するためのペルチェ素子15
と、蛍光ランプの周囲の温度を測定する温度計16と、
電圧計13、電流計14および温度計16からの信号を
用いて蛍光ランプ11の有効水銀量を計算する計算手段
17とを備える。
【0022】蛍光ランプ11は、両端に電極を有し、内
部に水銀が封入されたランプであり、たとえば管径が3
2mm、管長が1200mmの40W直管形蛍光ランプ
である。蛍光ランプ11は、電極に接続された端子を備
えており、直流電源12の低電位側に接続される端子を
陰極側端子11a、高電位側に接続される端子を陽極側
端子11bとする。また、陰極側端子11aに接続され
た電極を陰極、陽極側端子11bに接続された電極を陽
極ということにする。
【0023】直流電源12は、蛍光ランプ11を点灯さ
せるために、陰極側端子11aと陽極側端子11bとに
所定の電圧、たとえば200Vを印加する。
【0024】電圧計13は、蛍光ランプ11に印加され
るランプ電圧を測定する電圧測定手段であり、蛍光ラン
プ11の陰極側端子11aと陽極側端子11bとに接続
される。電圧計13は、図1中に点線で示した信号線を
通じてランプ電圧の測定値を計算手段17に送出する。
【0025】電流計14は、蛍光ランプ11に流れるラ
ンプ電流を測定する電流測定手段であり、蛍光ランプ1
1と直流電源12との間に配置される。電流計14は、
ランプ電流の測定値を計算手段17に送出する。
【0026】ペルチェ素子15は、蛍光ランプ11の一
部を冷却するための冷却手段である。ペルチェ素子15
は、蛍光ランプ11の中央部よりも陰極側に配置される
ことが好ましい。ペルチェ素子15は、蛍光ランプ11
を点灯したときの最冷部領域に配置されることが特に好
ましい。管径32mm、管長1200mmの40W直管
形蛍光ランプの場合には、陰極側の端部から略150m
mの位置に最冷部領域が存在する。ペルチェ素子15に
は、ペルチェ素子15を駆動するためのペルチェ素子駆
動用直流電源18とペルチェ素子15の温度を測定する
ためのペルチェ素子用温度計19とが接続される。ペル
チェ素子駆動用直流電源18は、ペルチェ素子用温度計
19をモニターしながら、ペルチェ素子15の温度が、
一定温度(たとえば0℃)になるよう、ペルチェ素子1
5に流れる電流をフィードバックする。なお、管径の異
なる蛍光ランプについての測定を容易にするため、ペル
チェ素子15の蛍光ランプ冷却部は、簡単に取り替えら
れるアタッチメント方式を採用することが好ましい。さ
まざまな管径に対応したアタッチメントを用意すること
によって、管径の異なるランプを容易に測定することが
できる。また、冷却手段として、ペルチェ素子15以外
の冷却手段を用いてもよく、たとえば、液体冷媒を用い
ることができる。
【0027】温度計16は、蛍光ランプ11の周囲の温
度(雰囲気温度)を測定する。また、温度計16は、温
度の測定値を計算手段17に送出する。
【0028】計算手段17は、蛍光ランプ11の有効水
銀量を計算するためのものであり、たとえば、CPUと
メモリとを含む。計算手段17は、たとえば、予め作成
された蛍光ランプのランプ電圧(またはランプ電流)の
経時変化と有効水銀量との関係をメモリに格納してお
き、電圧計13または電流計14から送出された信号を
用いて蛍光ランプ11の有効水銀量を計算する。さら
に、計算手段17は、必要に応じて蛍光ランプ11の周
囲温度と蛍光ランプのランプ電圧(またはランプ電流)
の経時変化との関係をメモリに格納しておき、有効水銀
量の計算をする際に、温度計16から送出された信号を
用いて計算の補正を行う。
【0029】蛍光ランプ11の陽極側端子11bと直流
電源12との間には、蛍光ランプ用安定器20(たとえ
ば、松下電工製FZ40121241)と抵抗(たとえ
ば、200Ω)21とが直列に接続されている。
【0030】蛍光ランプ11の陰極側端子11aおよび
陽極側端子11bには、蛍光ランプ11を点灯させるた
めのグロー球22(たとえば、松下電工製FG―4P)
が接続されている。
【0031】次に、ランプ内水銀量測定装置10の使用
方法の一例について説明する。
【0032】まず、測定しようとする蛍光ランプ11と
同種の蛍光ランプについて、蛍光ランプを点灯したとき
のランプ電圧(またはランプ電流)の経時変化と有効水
銀量との関係を、計算手段17のメモリに格納してお
く。また、必要に応じて、蛍光ランプ11の周囲温度と
ランプ電圧の経時変化との関係についてもメモリに格納
しておく。
【0033】その後、測定しようとする蛍光ランプ11
をセットし、直流電源12を用いて蛍光ランプ11を点
灯させ、蛍光ランプ11のランプ電圧およびランプ電流
を測定する。このとき、ペルチェ素子15を用いて蛍光
ランプ11の最冷部領域を、たとえば0℃に冷却する。
【0034】そして、計算手段17は、電圧計13(ま
たは電流計14)によって測定されたランプ電圧(また
はランプ電流)の測定値の経時変化とメモリに格納され
た上記関係とから、蛍光ランプ11内の有効水銀量を計
算する。また、計算手段17は、必要に応じて温度計1
6から送出された蛍光ランプ11の周囲温度の値とメモ
リに格納された関係式とから、有効水銀量の計算の補正
を行う。このようにして、ランプ内水銀量測定装置10
を用いて、蛍光ランプ11内の有効水銀量を測定でき
る。
【0035】上記実施形態1のランプ内水銀量測定装置
10では、蛍光ランプ11を点灯したときの電圧または
電流の経時変化から蛍光ランプ11内の有効水銀量を計
算できる。したがって、ランプ内水銀量測定装置10に
よれば、低価格で省スペースな構成の装置を用いて高精
度に蛍光ランプ内の有効水銀量を測定できる。
【0036】なお、上記実施形態1のランプ内水銀量測
定装置10では、電圧計13と電流計14とを備える場
合を示したが、いずれか一方のみを備えるランプ内水銀
量測定装置でもよい。
【0037】(実施形態2)実施形態2では、本発明の
ランプ内水銀量測定方法の一例について説明する。
【0038】本発明のランプ内水銀量測定方法の説明を
する前に、まず、ランプ輝度2a、ランプ電圧2bおよ
びランプ電流2cの関係について説明する。
【0039】管径32mm、管長1200mmの40W
直管形蛍光ランプについて、実施形態1で説明したラン
プ内水銀量測定装置10を用いてランプ輝度2a、ラン
プ電圧2bおよびランプ電流2cを測定した。蛍光ラン
プ11への印加電圧は200Vであり、ペルチェ素子1
5は、陰極側の管端部から150mmの位置に配置し
た。測定結果を図2に示す。図2の横軸は蛍光ランプの
点灯開始からの測定時間を示し、図2の縦軸は、ランプ
輝度2a、ランプ電圧2bおよびランプ電流2cのそれ
ぞれについて、最大値を用いて規格化した値を示す。な
お、ランプ輝度2aはランプの陽極側の管端部から15
0mmの部分を測定した。
【0040】図2から、ランプ輝度2aの低下と、ラン
プ電圧2bの低下およびランプ電流2cの上昇が、同様
の測定時間に生じていることがわかる。
【0041】この現象は次のように説明できる。ランプ
輝度2aの低下は、水銀が陰極側の冷却部(ペルチェ素
子15の位置)に集まって陽極側の液体水銀がなくなる
と、放電空間中の水銀蒸気濃度が低下して紫外線の発生
が少なくなるために起こる。一方、ランプ電圧2bは、
蛍光ランプ内の水銀蒸気圧によって決定される。そのた
め、陽極側に液体水銀が存在する間は、蛍光ランプ内の
水銀蒸気圧は蛍光ランプ駆動温度で決定されて一定圧力
を保つため、ランプ電圧2bは一定電圧となる。しか
し、陽極側の液体水銀がなくなると水銀蒸気圧が冷却部
の温度で決定されるため、水銀蒸気圧が低下して水銀蒸
気による電子の散乱が少なくなり、蛍光ランプの電気抵
抗が小さくなる。この結果、ランプ輝度2aと同様にラ
ンプ電圧2bが低下する。また、ランプ電流2cにおい
ても、上述した現象のため、蛍光ランプの電気抵抗が低
下することによってランプ電流2cが上昇する。これら
の現象によって、ランプ輝度2a、ランプ電圧2bおよ
びランプ電流2cが、同様の測定時間において図2に示
すように大きく変化する。
【0042】次に、有効水銀量が既知であるランプ(所
定量の水銀を封入したランプ)について、ランプ電圧低
下時間を測定した結果を、図3に示す。ここで、ランプ
電圧低下時間は、蛍光ランプ点灯中の最大ランプ電圧と
ランプ電圧が低下し始めてから30分後のランプ電圧と
の中間の値にランプ電圧がなったときの時間である。ま
た、測定には実施形態1のランプ内水銀量測定装置10
を用いた。ランプは、管径32mm、管長1200mm
の40W直管形蛍光ランプであり、測定時のランプ周囲
温度は25℃になるようにコントロールした。図3に示
すように、ランプ周囲温度が一定の場合におけるランプ
電圧低下時間と有効水銀量との間には線形性がある。し
たがって、ランプ周囲温度が一定の場合におけるランプ
電圧低下時間と有効水銀量との関係について検量線を作
成することによって、蛍光ランプ内の有効水銀量が測定
できる。
【0043】次に、本発明のランプ内水銀量測定方法に
ついて説明する。本発明のランプ内水銀量測定方法で
は、第1ステップとして、蛍光ランプのランプ周囲温度
を一定(たとえば、25℃)にしたうえで、蛍光ランプ
を直流点灯するとともに蛍光ランプの一部を冷却し、そ
のときのランプ電圧低下時間と蛍光ランプ内の有効水銀
量との関係について検量線を作成する。ランプ電圧低下
時間は、ランプを点灯してからランプ電圧が所定の値に
低下するまでの時間であり、有効水銀量に対して線形性
を有する時間であればよい。ランプ電圧低下時間として
は、たとえば、図3のグラフで用いたランプ電圧低下時
間を用いることができる。検量線は、さまざまな量の水
銀を封入したランプを用意し、そのランプについてラン
プ電圧低下時間を測定することによって、容易に作成で
きる。
【0044】そして、第2ステップとして、測定しよう
とする蛍光ランプを直流点灯するとともにその一部を冷
却したときのランプ電圧低下時間を測定し、第1ステッ
プで作成した検量線を用いることによって、蛍光ランプ
内の有効水銀量を計算する。このように、本発明のラン
プ内水銀量測定方法では、ランプ内の有効水銀量を非破
壊で測定できる。なお、本発明のランプ内水銀量測定方
法は、実施形態1で説明したランプ内水銀量測定装置1
0を用いることによって、容易に実施できる。
【0045】従来のランプ輝度測定による有効水銀量の
測定結果と、本発明のランプ内水銀量測定方法を用いた
有効水銀量の測定結果との関係を、表1に示す。表1の
測定には、実施形態1で説明したランプ内水銀量測定装
置10を用いた。
【0046】
【表1】
【0047】表1から、ランプ電圧低下時間を用いた有
効水銀量の測定は、輝度測定による有効水銀量の測定と
同等であることがわかる。このように、本発明のランプ
内水銀量測定装置およびランプ内水銀量測定方法を用い
ることによって、蛍光ランプ内の有効水銀量を非破壊で
簡単に測定できる。
【0048】上記実施形態2のランプ内水銀量測定方法
では、有効水銀量を計算する際に、ランプ周囲温度に応
じた補正を行うことが好ましい。ランプ周囲温度とラン
プ電圧低下時間との関係を、図4に示す。図4から明ら
かなように、ランプ電圧低下時間がある一定の範囲内に
おいては、周囲温度が上昇するにつれてランプ電圧低下
時間がほぼ線形的に減少している。これは、冷却部より
も陽極側にあるランプ表面から蒸気化する水銀の蒸発速
度が、ランプ周囲温度が上昇するにつれて速くなくため
である。図4に示すようにランプ周囲温度とランプ電圧
低下時間との間には、一定の線形性があるので、ランプ
周囲温度とランプ電圧低下時間との関係を把握しておく
ことによって、ランプ周囲温度の変化による測定バラツ
キを補正することができる。
【0049】上述のランプ周囲温度に対するランプ電圧
低下時間の変化は、ランプ電圧低下時間が長くなるほど
大きくなる。図5に、ランプ周囲温度に対するランプ電
圧低下時間の変化と、ランプ電圧低下時間との関係を示
す。図5から、ランプ周囲温度に対するランプ電圧低下
時間の変化の絶対値が、ランプ電圧低下時間が長くなる
ほど大きくなり、かつ、線形性があることがわかる。
【0050】これら図4および図5の関係から、ランプ
周囲温度を用いてランプ電圧低下時間の補正を行う補正
式を、以下の式(1)のように決定できる。
【0051】 t=t1+(T0−T1)×A×t1 (1) ここで、式(1)中、tは補正後のランプ電圧低下時間
(秒)であり、t1はランプ電圧低下時間の測定値
(秒)である。T0は、ランプ電圧低下時間と有効水銀
量との関係を表す検量線を作成するためにランプ電圧低
下時間を測定したときのランプ周囲温度であり、たとえ
ば周囲温度が25℃の場合はT0=25(℃)である。
1は測定中のランプ周囲温度の平均値(℃)である。
Aは補正係数(/℃)であり、図5の直線の傾きに相当
する。
【0052】式(1)によってランプ電圧低下時間の温
度補正を行うことによって、蛍光ランプ内の有効水銀量
をさらに正確に計算できる。
【0053】上述の式によって温度補正をする前後の有
効水銀量の計算値を、図6に示す。温度補正前の有効水
銀量計算値6aは、周囲温度の上昇によって線形的に減
少している。一方、温度補正後の有効水銀量計算値6b
は、ほぼ一定の値を示している。このように、蛍光ラン
プの周囲温度に基づく温度補正を行うことによって、蛍
光ランプの周囲温度の影響を受けることなく、正確に有
効水銀量を測定できる。
【0054】上記実施形態2で説明したランプ内水銀量
測定方法では、ランプ内の有効水銀量を非破壊で簡単か
つ正確に測定することができる。また、上記ランプ内水
銀量測定方法では、分析する際に光学系を必要としない
ため、安価な測定装置を用いて測定することができる。
【0055】以上、本発明の実施形態について例を挙げ
て説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず
本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用するこ
とができる。
【0056】たとえば、実施形態1および2では、一例
として直管形蛍光ランプを測定する場合を示したが、他
の蛍光ランプ、殺菌灯またはその他の直流点灯可能なラ
ンプについても、本発明のランプ内水銀量測定装置およ
び測定方法による測定が可能である。その場合には、測
定するランプごとに、ランプの電気的特性の経時変化と
ランプ内の有効水銀量との関係についての検量線、およ
び周囲温度に基づく補正係数Aを決定すればよい。
【0057】また、実施形態2のランプ内水銀量測定装
置では、測定時間を短縮するために、ランプ表面の全面
あるいは一部を加熱してもよい。同様に、実施形態1の
ランプ内水銀量測定装置は、ランプ表面の全面あるいは
一部を加熱する加熱手段を備えてもよい。
【0058】また、実施形態2では、ランプ電圧低下時
間を用いて有効水銀量を測定する場合を示したが、ラン
プ電圧の経時変化を示す時間のうち、有効水銀量と線形
性を有する時間であれば他の時間を用いてもよい。さら
に、ランプ電圧ではなく、ランプ電流の経時変化(たと
えば、ランプ電流上昇時間)を用いても同様に水銀量を
測定できる。すなわち、実施形態2の測定方法では、ラ
ンプを直流点灯したときのランプの電気的特性の経時変
化を用いてランプ内の有効水銀量を測定できる。実験の
結果、ランプ電流を用いた有効水銀量の測定も、ランプ
電圧を用いた場合と同様の結果が得られた。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のランプ内
水銀量測定装置およびランプ内水銀量測定方法では、ラ
ンプを直流点灯したときのランプ電圧またはランプ電流
の経時変化から、ランプ内の有効水銀量を測定すること
ができる。したがって、安価な装置で簡単かつ高精度に
ランプ内の有効水銀量を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のランプ内水銀量測定装置について、
一例を示す模式図である。
【図2】 ランプ点灯開始からの測定時間に対する、ラ
ンプ輝度、ランプ電圧およびランプ電流の変化を示すグ
ラフである。
【図3】 ランプ電圧低下時間と有効水銀量との関係を
示すグラフである。
【図4】 ランプ周囲温度とランプ電圧低下時間との関
係を示すグラフである。
【図5】 ランプ周囲温度に対するランプ電圧低下時間
の変化と、ランプ電圧低下時間との関係を示すグラフで
ある。
【図6】 ランプ周囲温度と有効水銀量との関係につい
て、周囲温度に基づく補正の効果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ランプ内水銀量測定装置 11 蛍光ランプ 12 直流電源 11a 陰極側端子 11b 陽極側端子 13 電圧計 14 電流計 15 ペルチェ素子 16 温度計 17 計算手段 2a ランプ輝度 2b ランプ電圧 2c ランプ電流 6a 温度補正前の有効水銀量計算値 6b 温度補正後の有効水銀量計算値

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端に電極を有し、内部に水銀が封入さ
    れたランプの有効水銀量を測定するランプ内水銀量測定
    装置であって、 前記ランプを点灯するための電源であって前記電極に接
    続された直流電源と、 前記直流電源によって前記ランプに印加される電圧を測
    定する電圧測定手段と、 前記電圧測定手段によって測定された電圧値から前記有
    効水銀量を計算する計算手段と、 前記ランプの一部を冷却するための冷却手段とを備える
    ことを特徴とするランプ内水銀量測定装置。
  2. 【請求項2】 両端に電極を有し、内部に水銀が封入さ
    れたランプの有効水銀量を測定するランプ内水銀量測定
    装置であって、 前記ランプを点灯するための電源であって前記電極に接
    続された直流電源と、 前記直流電源によって前記ランプに流れる電流を測定す
    る電流測定手段と、 前記電流測定手段によって測定された電流値から前記有
    効水銀量を計算する計算手段と、 前記ランプの一部を冷却するための冷却手段とを備える
    ことを特徴とするランプ内水銀量測定装置。
  3. 【請求項3】 前記ランプの周囲の温度を測定するため
    の温度測定手段をさらに含み、 前記計算手段は、前記温度測定手段によって測定された
    前記温度を用いて前記有効水銀量の計算の補正を行う請
    求項1または2に記載のランプ内水銀量測定装置。
  4. 【請求項4】 前記冷却手段は、前記ランプの中央部よ
    りも前記電極のうち陰極となる側の一部に設けられてい
    る請求項1ないし3のいずれかに記載のランプ内水銀量
    測定装置。
  5. 【請求項5】 前記冷却手段が、前記ランプを点灯した
    ときの最冷部領域に設けられている請求項4に記載のラ
    ンプ内水銀量測定装置。
  6. 【請求項6】 前記冷却手段がペルチェ素子である請求
    項1ないし5のいずれかに記載のランプ内水銀量測定装
    置。
  7. 【請求項7】 両端に電極を有し、内部に水銀が封入さ
    れたランプの有効水銀量を測定するランプ内水銀量測定
    方法であって、 前記ランプを直流点灯するとともに前記ランプの一部を
    冷却したときの前記ランプの電気的特性の経時変化と前
    記ランプ内の有効水銀量との関係について検量線を作成
    する第1ステップと、 前記ランプを直流点灯するとともに前記ランプの一部を
    冷却したときの前記電気的特性の経時変化を測定し前記
    検量線を用いて前記ランプ内の有効水銀量を計算する第
    2ステップとを含むランプ内水銀量測定方法。
  8. 【請求項8】 前記電気的特性が、前記ランプのランプ
    電圧およびランプ電流から選ばれる少なくとも一つであ
    る請求項7に記載のランプ内水銀量測定方法。
  9. 【請求項9】 前記第2ステップにおいて前記ランプの
    一部を冷却する際に、前記ランプのランプ中央部よりも
    前記電極のうち陰極となる側の一部を冷却する請求項7
    または8に記載のランプ内水銀量測定方法。
  10. 【請求項10】 前記第2ステップの前記有効水銀量の
    計算において、前記ランプの周囲温度を用いて前記有効
    水銀量の計算の補正を行う請求項7ないし9のいずれか
    に記載のランプ内水銀量測定方法。
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