JP2000275685A - 液晶素子及びこれを備えた液晶装置 - Google Patents

液晶素子及びこれを備えた液晶装置

Info

Publication number
JP2000275685A
JP2000275685A JP11084639A JP8463999A JP2000275685A JP 2000275685 A JP2000275685 A JP 2000275685A JP 11084639 A JP11084639 A JP 11084639A JP 8463999 A JP8463999 A JP 8463999A JP 2000275685 A JP2000275685 A JP 2000275685A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
voltage
phase
polarity
alignment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11084639A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Shimizu
康志 清水
Shinichi Nakamura
真一 中村
Takeshi Togano
剛司 門叶
Masahiro Terada
匡宏 寺田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP11084639A priority Critical patent/JP2000275685A/ja
Publication of JP2000275685A publication Critical patent/JP2000275685A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 配向が安定で且つ高いコントラストの液晶素
子及びこれを備えた液晶装置を提供する。 【解決手段】 電圧無印加時では液晶の液晶分子ダイレ
クタの平均分子軸が一方向にのみ存在し得る単安定化さ
れた第一の状態を示す一方、第一の極性の電圧印加時に
は液晶の平均分子軸は印加電圧の大きさに応じた角度で
単安定化された位置から一方の側にチルトして第一の輝
度で画像を表示し、第一の極性とは逆極性の第二の極性
の電圧印加時には液晶の平均分子軸は単安定化された位
置を維持するか、もしくは単安定化した位置から第一の
極性の電圧を印加した時とは逆側にチルトして第一の輝
度より小さい第二の輝度で画像を表示するカイラルスメ
クチック液晶85を一対の基板81a,81bにより挟
持する。さらに、この液晶85がストライプテクスチャ
ーを形成した配向状態となるよう基板81a,81bに
対し一軸配向処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラットパネルデ
ィスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プリンタ
ー等に用いられる液晶素子及びこれを備えた液晶装置に
関し、特にカイラルスメクチック液晶を用いるものに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネマティック液晶素子におい
て、一つ一つの画素に例えば薄膜トランジスタ(TF
T)のような能動素子を配置した、アクティブマトリク
スといわれる液晶素子の開発が行われている。
【0003】そして、現在このアクティブマトリクス型
の液晶素子に用いられるネマチック液晶のモードとし
て、例えばエム・シャット(M・Schadt)とダブ
リュー・ヘルフリッヒ(W・Helfrich)著Ap
plied PhysicsLetters第18巻、
第4号(1971年2月15日発行)第127頁から1
28頁において示されたツイステッドネマチック(Tw
isted Nematic)モードが広く用いられて
いる。
【0004】また、最近では横方向電圧を利用したイン
プレインスイッチング(In−Plain Switc
hing)モードが発表されており、ツイステッドネマ
チックモード液晶ディスプレイの欠点であった視野角特
性の改善がなされている。なお、その他、上述したTF
T等の能動素子を用いないネマティック液晶素子の代表
例として、スーパーツイステッドネマティック(Sup
er TwistedNematic)モードがある。
【0005】ところで、このようにネマティック液晶を
用いた液晶素子は様々なモードが存在するが、そのいず
れのモードの場合にも液晶の応答速度が数10ミリ秒以
上かかってしまうという欠点があった。そこで、このよ
うな従来型のネマティック液晶素子の欠点を改善するも
のとして、液晶が双安定性を示す素子(SSFLC/S
urface Stabilized FLC)がクラ
ーク(Clark)およびラガウェル(Lagerwa
ll)により提案されている(特開昭56−10721
6号公報、米国特許第4367924号明細書)。
【0006】ここで、この双安定性を示す液晶として
は、一般にカイラルスメクティックC相を示す強誘電性
液晶が用いられている。そして、この強誘電性液晶は、
電圧印加の際に液晶分子の自発分極に電圧が作用し、分
子の反転スイッチングがなされるため、非常に速い応答
速度が得られる上にメモリ性のある双安定状態を発現さ
せることができる。さらに、この液晶は視野角特性も優
れていることから、高速、高精細、大面積の表示素子あ
るいはライトバルブとして適していると考えられる。
【0007】また、最近では液晶が3安定性状態を示す
反強誘電性液晶が注目されている。そして、この反強誘
電性液晶も、強誘電性液晶同様に、液晶分子の自発分極
への作用により分子の反転スイッチングがなされるた
め、非常に速い応答速度が得られる。さらに、この液晶
材料は、電圧無印加時には液晶分子は互いの自発分極を
打ち消し合うような分子配列構造をとるため、電圧を印
加しない状態では自発分極は存在しないことが特徴とな
っている。
【0008】なお、こうした自発分極による反転スイッ
チングを行う強誘電性液晶や反強誘電性液晶は、いずれ
もカイラルスメクチック液晶相を示す液晶である。即
ち、従来ネマティック液晶が抱えていた応答速度に関す
る問題点を解決できるという意味において、スメクティ
ック液晶を用いた液晶素子の実現が期待されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
高速応答性能など次世代のディスプレイ等に自発分極を
有するスメクティック液晶が期待されているが、特に上
述の双安定性状態や3安定状態を用いるモードでは、一
画素内での階調表示が原理的に実現することが困難であ
った。
【0010】なお、近年、カイラルスメクチック相を示
す液晶を用いて階調制御を行うモードとして、「ショー
トピッチタイプの強誘電性液晶」、「高分子安定型強誘
電性液晶」、「無閾反強誘電性液晶」などが提案されて
るが、いずれも実用に十分なレベルに至っているものは
ない。
【0011】そこで、我々は特願平10−177145
号並びに特願平10−177146号に記載されている
素子(以下、先願素子という)を発明し、提案してい
る。ここで、この先願素子は、例えば高温側より等方性
液体相(ISO.)―コレステリック相(Ch)―カイ
ラルスメクチックC相(SmC*)又は等方性液体相
(ISO.)―カイラルスメクチックC相(SmC*)
を示す相系列の材料に着目し、電界無印加時の液晶の平
均分子位置を仮想コーンのエッジ(もしくはその内側)
の位置にて単安定化させるようにしている。
【0012】そして、例えばCh―SmC*相転移の
際、又はI相(ISO.)―SmC*相転移の際に一対
の基板間に正負いずれかのDC電圧を印加する等によっ
て層方向を一方向に均一化させ、これにより高速応答か
つ階調制御が可能で、動画質に優れた高輝度の液晶素子
を高い量産性と共に実現している。
【0013】しかし、先願素子は、このような優れた特
徴を有するが、パネル全面にわたり均一な配向に制御す
ることに、プロセス的な難易度の高さを抱えており、配
向安定化のための手法が求められている。
【0014】そこで、本発明は、このような現状に鑑み
てなされたものであり、配向が安定で且つ高いコントラ
ストの液晶素子及びこれを備えた液晶装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、カイラルスメ
クチック液晶を挟持する一方、該液晶に電圧を印加する
電極及び該電極に接続されたアクティブ素子を有すると
共に、少なくとも一方の対向面に該液晶を配向させるた
めの一軸配向処理が施された一対の基板と、少なくとも
一方の基板側に配置された偏光板とを備え、前記アクテ
ィブ素子を駆動する駆動回路によってアクティブマトリ
ックス駆動されることによりアナログ階調表示を行う液
晶素子において、前記カイラルスメクチック液晶は、電
圧無印加時では該液晶の液晶分子ダイレクタの平均分子
軸が一方向にのみ存在し得る単安定化された第一の状態
を示す一方、第一の極性の電圧印加時には該液晶の平均
分子軸は印加電圧の大きさに応じた角度で前記単安定化
された位置から一方の側にチルトして第一の輝度で画像
を表示し、前記第一の極性とは逆極性の第二の極性の電
圧印加時には該液晶の平均分子軸は該単安定化された位
置を維持するか、もしくは該単安定化した位置から前記
第一の極性の電圧を印加した時とは逆側にチルトして第
一の輝度より小さい第二の輝度で画像を表示すると共
に、ストライプテクスチャーを形成した配向状態である
ことを特徴とするものである。
【0016】また本発明は、前記第二の輝度は、前記第
一の輝度の1/5より小さいことを特徴とするものであ
る。
【0017】また本発明は、前記液晶の相系列が、高温
側より、等方性液体相−コレステリック相−カイラルス
メクチックC相、又は等方性液体相−カイラルスメクチ
ックC相であることを特徴とするものである。
【0018】また本発明は、前記液晶が前記ストライプ
テクスチャーを形成する配向規制力を生じる一軸配向処
理を施したことを特徴とするものである。
【0019】また本発明は、前記基板の一軸配向処理方
向と前記ストライプテクスチャーの平均長手方向とのず
れが10°以下であることを特徴とするものである。
【0020】また本発明は、前記電圧無印加時における
ストライプテクスチャー内の液晶分子ダイレクタ方向の
分布が、素子全体の平均分子軸方向に対して±10°以
内であることを特徴とするものである。
【0021】また本発明は、前記ストライプテクスチャ
ーの平均長手方向とスメクチック層法線方向とのずれが
5°以上であることを特徴とするものである。
【0022】また本発明は、X線回折測定によって得ら
れた前記液晶のカイラルスメクチックC相の層方両と基
板法線とのなす層傾斜角が10°以上、35°以内であ
ることを特徴とするものである。
【0023】また本発明は、前記層傾斜角に関し、前記
X線回折測定によって得られたX線回折ピークの半値幅
が3°以上であることを特徴とするものである。
【0024】また本発明は、前記液晶のバルク状態での
螺旋ピッチはセル厚の2倍より長いことを特徴とするも
のである。
【0025】また本発明は、前記液晶に対し前記第一の
極性の電圧を印加した際に発現するしきい値の異なる楕
円又は長方形形状を有する複数の微小領域の面積の総和
により前記階調表示を行うことを特徴とするものであ
る。
【0026】また本発明は、前記第一の極性の電圧を前
記微小領域の最小単位が短径の10μm以下となる大き
さとすることを特徴とするものである。
【0027】また本発明は、請求項1〜12の何れかに
記載の液晶素子と、前記アクティブ素子を駆動する駆動
回路を備えたことを特徴とする液晶装置である。
【0028】また本発明のように、電圧無印加時では液
晶の液晶分子ダイレクタの平均分子軸が一方向にのみ存
在し得る単安定化された第一の状態を示す一方、第一の
極性の電圧印加時には液晶の平均分子軸は印加電圧の大
きさに応じた角度で単安定化された位置から一方の側に
チルトして第一の輝度で画像を表示し、第一の極性とは
逆極性の第二の極性の電圧印加時には液晶の平均分子軸
は単安定化された位置を維持するか、もしくは単安定化
した位置から第一の極性の電圧を印加した時とは逆側に
チルトして第一の輝度より小さい第二の輝度で画像を表
示するカイラルスメクチック液晶を一対の基板により挟
持する。さらに、この液晶がストライプテクスチャーを
形成した配向状態となるよう一軸配向処理を行う。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0030】図1は、本発明の実施の形態に係る液晶素
子を備えた液晶装置の構造を示す断面図であり、同図に
おいて、70は液晶装置、80は互いに偏光軸が直交し
た一対の偏光板87a,87b間に挟装されている液晶
素子である。そして、この液晶素子80は、一対のガラ
ス、プラスチック等透明性の高い材料からなる基板81
a、81b間にカイラルスメクチック相を呈する液晶を
挟持している。
【0031】ここで、この基板81a,81bには、夫
々液晶85に電圧を印加するためのIn23 、ITO
等の材料からなる電極82a,82bが、例えばストラ
イプ状に設けられており、これらが互いに交差してマト
リックス電極構造(単純マトリクス)を形成している。
なお、後述するように一方の基板にドット状の透明電極
をマトリックス状に配置し、各透明電極にTFTやMI
M(Metal−Insulator−Metal)等
のスイッチング素子を接続し、他方の基板の一面上ある
いは所定パターンの対向電極を設けアクティブマトリッ
クス構造にすることが好ましい。
【0032】また、この電極82a,82b上には、必
要に応じてこれらのショートを防止する等の機能を持つ
SiO2 、TiO2 、Ta25 等の材料からなる絶縁
膜83a,83bが夫々設けられ、さらに、絶縁膜83
a,83b上には、液晶85に接し、その配向状態を制
御するべく機能する配向制御膜84a,84bが設けら
れている。
【0033】ここで、この配向制御膜84a,84bの
少なくとも一方には一軸配向処理が施されている。な
お、この配向制御膜84a,84bは、例えば、ポリイ
ミド、ポリイミドアミド、ポリアミド、ポリビニルアル
コール等の有機材料を溶液塗工した膜の表面にラビング
処理を施したもの、あるいはSiO等の酸化物、窒化物
を基板に対し斜め方向から所定の角度で蒸着した無機材
料の斜方蒸着膜にて構成されたものである。
【0034】さらに、この配向制御膜84a,84bに
ついては、その材料の選択、処理(一軸配向処理等)の
条件等により、液晶85の分子のプレチルト角(液晶分
子の配向制御膜界面付近で膜面に対してなす角度)が調
整される。
【0035】また、配向制御膜84a,84bがいずれ
も一軸配向処理がなされた膜である場合、夫々の膜の一
軸配向処理方向(特にラビング方向)を、用いる液晶材
料に応じて平行、反平行、あるいは45°以下の範囲で
クロスするように設定することができる。
【0036】また、基板81a及び81bは、スペーサ
ー86を介して対向している。かかるスペーサー86
は、基板81a、81bの間の距離(セルギャップ)を
決定するものであり、シリカビーズ等が用いられる。
【0037】ここで、このスペーサー86により決定さ
れるセルギャップについては、液晶材料の違いによって
最適範囲及び上限値が異なるが、均一な一軸配向性、ま
た電圧無印加時に液晶分子の平均分子軸をほぼ配向処理
軸の平均方向の軸と実質的に同一にする配向状態を発現
させるべく、0.3〜10μmの範囲に設定することが
好ましい。
【0038】なお、スペーサー86に加えて基板81a
及び81b間の接着性を向上させ、カイラルスメクチッ
ク相を示す液晶85の耐衝撃性を向上させるべく、エポ
キシ樹脂等の樹脂材料等からなる接着粒子を分散配置す
ることもできる(図示せず)。
【0039】一方、このような液晶素子80では、液晶
85は、その材料の組成を調整し、更に液晶材料の処理
や素子構成、例えば配向制御膜84a,84bの材料、
処理条件等を適宜設定することにより、電圧無印加時で
は、液晶の平均分子軸(液晶分子)が単安定化されてい
る配向状態を示し、駆動時では一方の極性(第一の極
性)の電圧印加時に印加電圧の大きさに応じて平均分子
軸の単安定化される位置を基準としたチルト角度が連続
的に変化し、他方の極性(第二の極性)の電圧印加時に
は液晶の平均分子軸は、単安定化された位置を維持する
か、又は印加電圧の大きさに応じた角度でチルトするよ
うな特性を示すようになっている。
【0040】なお、本実施の形態において、液晶85
は、第一の極性の電圧印加による最大チルト角度の方
が、第二の極性の電圧印加による最大チルト角度よりも
大きくなる特性を示すようになっている。
【0041】ところで、本実施の形態に係る液晶装置7
0においては、図1に示す液晶素子80に対して階調信
号を供給する駆動回路を設け、既述したような電圧の印
加により液晶の平均分子軸の単安定位置からの連続的な
チルト角度の変化及び液晶素子80からの出射光量が連
続的に変化する特性を利用し、階調表示を行うように構
成している。
【0042】例えば、液晶素子80の一方の基板として
既述したようなTFT等を備えたアクティブマトリクス
基板を用い、駆動回路で振幅変調によるアクティブマト
リクス駆動を行うことでアナログ階調表示を可能として
いる。
【0043】次に、図2、図3を用いてこのようなアク
ティブマトリクス基板を用いた階調表示について説明す
る。
【0044】図2は、液晶素子80の一方の基板(アク
ティブマトリクス基板)の構成を模式的に示した図であ
り、同図に示すように、液晶素子に相当するパネル部9
0において、駆動手段である走査信号ドライバ91に連
結した走査線に相当する水平方向のゲート線G1,G2
…,G5と、駆動手段である情報信号ドライバ92に連
結した情報信号線に相当する上下方向のソース線S1,
S2…,S5とが互いに絶縁された状態で直交するよう
に設けられている。
【0045】さらに、これらゲート線G1,G2…,G
5及びソース線S1,S2…,S5各交点の画素に対応
してスイッチング素子に相当する薄膜トランジスタ(T
FT)94及び画素電極95が設けられている(同図で
は簡略化のため5x5画素の領域のみを示す)。なおス
イッチング素子として、TFTの他、MIM素子を用い
ることもできる。
【0046】また、ゲート線G1,G2…,G5はTF
T94のゲート電極(図示せず)に接続され、ソース線
S1,S2…,S5はTFT94のソース電極(図示せ
ず)に接続され、画素電極15はTFT94のドレイン
電極(図示せず)に接続されている。
【0047】そして、このような構成の基板において、
走査信号ドライバ91によりゲート線G1,G2…,G
5が、例えば線順次に走査選択されてゲート電圧が供給
されると共に、このゲート線G1,G2…,G5の走査
選択に同期して情報信号ドライバ92から、各画素に書
き込む情報に応じた情報信号電圧がソース線S1,S2
…,S5に供給され、TFT94を介して各画素電極1
5に印加される。
【0048】一方、図3は、図2に示すようなパネル構
成における各画素部分(1ビット分)の断面構造の一例
を示す図であり、同図に示す構造では、TFT94及び
画素電極95を備えるアクティブマトリクス基板20
と、共通電極32を備えた対向基板40との間に、自発
分極を有する液晶層49が挟持され、液晶容量(C1
c)31が構成されている。なお、このアクティブマト
リクス基板20では、TFT94としてアモルファスS
iTFTを用いている。
【0049】ここで、このTFT94は、ガラス等から
なる基板21上に形成され、図2に示すゲート線G1,
G2…,G5に接続したゲート電極22上に窒化シリコ
ン(SiNx)等の材料からなる絶縁膜(ゲート絶縁
膜)23を介してa−Si層24が設けられており、該
a−Si層24上に、夫々n+ a−Si層25、26を
介してソース電極27、ドレイン電極28が互いに離間
して設けられている。
【0050】なお、ソース電極27は図2に示すソース
線S1,S2…,S5に接続し、ドレイン電極28はI
TO膜等の透明導電膜からなる画素電極95に接続して
いる。また、TFT94におけるa−Si層24上をチ
ャネル保護膜29が被覆している。さらに、このTFT
94は、該当するゲート線が走査選択された期間におい
てゲート電極22にゲートパルスが印加されオン状態と
なる。
【0051】一方、アクティブマトリクス基板20にお
いては、画素電極95と、ガラス基板21側に設けられ
た保持容量電極30とによって絶縁膜23(ゲート電極
22上の絶縁膜と連続的に設けられた膜)を挟持した構
造により、保持容量(CS)32が液晶層49と並列の
形で設けられている。なお、この保持容量電極30はそ
の面積が大きい場合、開口率が低下するため、ITO膜
等の透明導電膜により形成される。
【0052】また、アクティブマトリクス基板20のT
FT94及び画素電極95上には液晶49の配向状態を
制御するための、例えばラビング処理等の一軸配向処理
が施された配向膜43aが設けられており、対向基板4
0のガラス基板41上には全面同様の厚みで共通電極4
2及び配向膜43bが積層されている。なお、図2及び
図3に示すようなパネル構成において、アクティブマト
リクス基板20として、多結晶Si(p−Si)TFT
を備えた基板を用いることができる。
【0053】次に、図4及び図5を参照して上記構造の
液晶素子における特性を利用したアクティブマトリクス
駆動について述べる。なお、図4は図3に示すパネルの
画素部分の等価回路を示すものである。また、図5は液
晶素子を駆動する印加電圧及び光学応答を示す図であ
る。
【0054】ところで、本実施の形態におけるアクティ
ブマトリクス駆動では、例えば一画素においてある情報
を表示するための期間(1フレーム)を複数のフィール
ド(例えば図5に示す1F及び2F)に分割し、これら
2フィールドにおいて平均的に所定の情報に応じた出射
光量を得るようにしている。
【0055】以下、液晶層49が一方の極性の電圧印加
で十分な透過光強度であり、逆極性ではそれより小さい
透過光強度、本実施の形態においては1/5以下である
特性を示す場合における2フィールドに分割された例に
ついて説明する。
【0056】ここで、図5(a)は、一画素を着目した
際に、当該画素に接統する走査線となる一ゲート線に印
加される電圧を示す。そして、上記構造の液晶素子で
は、既述したように各フィールド毎にゲート線G1,G
2…,G5が、例えば線順次で選択され、一ゲート線に
は選択期間Tonにおいて所定のゲート電圧Vgが印加
され、ゲート電極22に電圧Vgが加わり、TFT94
がオン状態となる。
【0057】なお、他のゲート線が選択されている期間
に相当する非選択期間Toffにはゲート電極22に電
圧が加わらずTFT12は高抵抗状態(オフ状態)とな
り、これによりToff毎に所定の同一のゲート線が選
択されてゲート電極22にゲート電圧Vgが印加され
る。
【0058】図5(b)は、当該画素の情報信号線(ソ
ース線)に印加される電圧Vsを示す。そして、図5
(a)で示すように各フィールドで選択期間Tonでゲ
ート電極22にゲート電圧が印加された際、これに同期
して当該画素に接続する情報線となるソース線S1,S
2…,S5からソース電極27に、所定のソース電圧
(情報信号電圧)Vs(基準電位を共通電極42の電位
Vcとする)が印加される。
【0059】ここで、1フレームを構成する第一のフィ
ールド(1F)では、当該画素に書込まれる情報、例え
ば用いる液晶に応じた電圧−透過率特性を基に当該画素
で得ようとする光学状態又は表示情報(透過率)に応じ
たレベルVxの正極性のソース電圧(情報信号電圧)が
印加される。
【0060】この時、TFT94がオン状態であるた
め、上記ソース電極27に印加される電圧Vxがドレイ
ン電極28を介して画素電極95に印加され、液晶容量
(C1c)31及び保持容量(Cs)32に充電がなさ
れ、画素電極の電位が情報信号電圧Vxになる。
【0061】続いて、当該画素の属するゲート線の非選
択期間ToffおいてTFT94は高抵抗(オフ状態)
となるため、この非選択期間には液晶セル(液晶容量C
1c)31及び保持容量(Cs)32では選択期間To
nで充電された電荷が蓄積された状態を維持し、電圧V
xが保持される。これにより、当該画素における液晶層
49に第1フィールド1Fの期間を通して電圧Vxが印
加され、当該画素の液晶部分ではこの電圧値に応じた光
学状態(透過光量)が得られる。
【0062】一方、このとき液晶の応答速度がゲートオ
ン期間より遅い場合、液晶セル(液晶容量C1c)31
及び保持容量(Cs)32に充電が完了し、ゲートがオ
フされた非選択期間にスイッチングが開始される。そし
て、このような場合は自発分極の反転によって充電され
た電荷が相殺され、図5(c)のように液晶層49に印
加される電圧値VpixがVxより小さいVx’という
値を取る。
【0063】次に、第二のフィールド(2F)の選択期
間Tonでは、第一のフィールド1Fとは極性が逆で実
質的に同様の電圧値Vxを有するソース電圧(−Vx)
がソース電極27に印加される。この時、TFT94が
オン状態であり、画素電極95に電圧−Vxが印加され
て、液晶容量(C1c)31及び保持容量(Cs)32
に充電がなされ、画素電極の電位が情報信号電圧−Vx
になる。
【0064】続いて、非選択期間ToffにおいてTF
T94は高抵抗(オフ状態)となるため、この非選択期
間には、液晶セル(液晶容量Clc)31及び保持容量
(Cs)32では選択期間Tonで充電された電荷が蓄
積された状態を維持し、電圧−Vxが保持される。
【0065】そして、当該画素における液晶層49に第
2のフィールド2F期間を通して電圧−Vxが印加さ
れ、当該画素ではこの電圧値に応じた光学状態(出射光
量)が得られる。このときも同様に液晶の応答速度がゲ
ートオン期間より遅い場合、液晶セル(液晶容量C1
c)31及び保持容量(Cs)32に充電が完了し、ゲ
ートがオフされた非選択期間にスイッチングが開始され
る。
【0066】このような場合は自発分極の反転によって
充電された電荷が相殺され、図5(c)のように液晶層
49に印加される電圧値Vpixが−Vxより小さい−
VX’という値を取る。
【0067】一方、(d)に示すように第一フィールド
1Fでは、Vxに応じた階調表示状態(出射光量)が得
られ、第二フィールド2Fでは、−Vx’に応じた階調
表示状態が得られるが、実際にはわずか透過光量の変化
しか得られず、透過光量はTxより小さく、0レベルに
近いTyとなる。
【0068】ところで、このようなアクティブマトリク
ス駆動では、カイラルスメクチック相を示す液晶を用い
た場合、良好な高速応答性に基づいた階調表示が可能と
なると同時に一画素で、あるレベルの階調表示を、高い
透過光量を得る第一フィールド1Fと低い透過光量を得
る第二フィールド2Fに分割して連続的に行うため、時
間開口率が50%以下となり人間の目の感じる動画高速
応答特性も良好になる。また、第二フィールド2Fにお
いては液晶分子の若干のスイッチング動作により完全に
透過光量が0にはならないので、フレーム期間全体での
人間の目に感じる輝度は確保される。
【0069】このように、高輝度(第一の輝度)の第一
フィールド1Fと、低輝度(第二の輝度)の第二フィー
ルド2Fより画像を形成し、これら両フィールド1F,
2Fで夫々輝度は異なるが実質的には同様の内容の画像
を表示することで、人間が高速と感じられる動画像を得
ることができ、0もしくは低輝度のフィールドの設定に
より表示素子の明るさを大きく損なうことのない動画表
示を実現することができる。
【0070】更に、第一及び第二フィールド1F,2F
で同様のレベルの電圧が極性反転して液晶層49に印加
されるため、液晶層49に実際に印加される電圧が交流
化され液晶の劣化が防止される。
【0071】さらに、上記のアクティブマトリクス駆動
では、2フィールドからなる1フレーム全体ではTxと
Tyを平均した透過光量が得られるため、情報信号電圧
Vsについては、実際に当該フレームで当該画素で得よ
うとする画像情報(階調情報)に応じて、所定のレベル
だけ大きな透過光量を得ることのできる電圧値を選択し
て印加するようにすれば、第一フィールド1Fにおいて
所望の階調状態より高いレベル透過光量での階調状態を
表示することもできる。
【0072】なお、このアクティブマトリクス駆動によ
る階調表示は、図1に示すような透光性の基板81a,
81bと、一対の偏光板87a,87bとを有し、不図
示のバックライトにより一方の基板側から入射された光
を変調し、他方側に出射するタイプの透過型液晶素子の
みならず、少なくとも一方の基板に偏光板を設けた反射
型液晶素子、即ち基板81a,81bのいずれか一方の
側に反射板を設けるかあるいは一方の基板自体又は基板
に設ける部材として反射性の材料を用いて、入射光及び
反射光を変調し、入射側と同様の側に光を出射するタイ
プの素子にも適用することができる。また、基板81
a,81bの一方に少なくともR,G,Bのカラーフィ
ルタを設けたカラー液晶素子にも適用することができ
る。
【0073】ところで、本発明の液晶素子においては、
第一の輝度及び第二の輝度での表示を最も好適に実現す
るため、上述したような電圧無印加時に単安定状態を呈
するようなカイラルスメクチック液晶を用いるようにし
ている。
【0074】ここで、この液晶材料は、相転移系列が等
方性液体相(ISO.)−コレステリック相(Ch)−
カイラルスメクチックC相(SmC*)、又は等方性液
体相(ISO.)−カイラルスメクチックC相(SmC
*)を示すものである。また、SmC*相への転移の際
に一対の基板間へ、正負いずれかのDC電圧を印加する
ことで、2つの層方向のうち一方の層方向のみに揃え、
即ち平均一軸配向処理軸とスメクチック層法線方向のず
れ方向が一定となるようにし、電圧無印加時の液晶の平
均分子位置を仮想コーンエッジ(もしくはその内側)に
安定化させ、そのメモリ性を消失させたSmC*相の配
向状態を得ている。
【0075】また、このような液晶を用いる液晶素子に
おいては、パネル全面で均一な配向状態を得るための配
向処理としては従来より様々な方法が検討されている
が、特に大面積に亘って一軸に配向させることができ、
かつ、製造プロセス工程も簡便なことから、ポリイミド
やポリアミドイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコー
ル等の有機材料を溶液塗工した膜の表面をラビング処理
する方法が取られている。
【0076】なお、一般にはこれら有機膜の表面をラビ
ング処理することで一軸配向性を付与する際、配向膜自
身の構造あるいはラビング強度等によって決定される配
向規制力が大きいほど良好な一軸性が付与されるものと
考えられている。
【0077】一方、スメクティックC相において液晶分
子は層構造をとっているが、その層の構造としては層方
向が上下基板面に対し垂直なブックシェルフ構造、もし
くはある傾きをもってくの字型に折れ曲がったシェブロ
ン構造、あるいは同様にある傾きをもった斜めブックシ
ェルフ構造が知られている。中でもブックシェルフ構造
はナフタレン系液晶やポリフッ素系液晶など限られた材
料系で安定して発現することが知られており、多くのス
メクティックC液晶は層が傾いたシェブロン構造あるい
は斜めブックシェルフ構造をとっている。
【0078】ところで、このような層がある傾きを持つ
構造をとった場合、層の傾斜角の方向によりシェブロン
構造の場合にはC1配向とC2配向、斜めブックシェル
フ構造においても同様に、層の傾斜方向の違いにより斜
めブックシェルフ1(NBS1)配向と、斜めブックシ
ェルフ2(NBS2)配向をとる。
【0079】そして、これら層の傾斜方向の異なる2領
域が混在した場合、その境界に欠陥が生じてしまうた
め、欠陥のない均一な配向を得るための手法が従来より
検討されており、その手法として例えばプレチルトの値
を高くすることでC1配向を優位にさせることなどが知
られている。
【0080】しかしながら、本発明の液晶は、電界無印
加時の平均分子位置と一軸配向処理軸を略一致させるこ
とで、双安定性を消失させ単安定状態を発現させている
ために、プレチルト角を極端に大きくすることは単安定
性を不安定化させることにつながる。
【0081】そこで、本発明においては、ラビング強度
を調整することにより、配向膜自身の構造、あるいは同
じ配向膜であっても相対的に配向規制力を弱くするよう
にしている。そして、このように相対的に配向規制力を
弱くすることにより、液晶分子のダイレクタ方向がわず
かに異なる微少な領域が混在するストライプ状の配向状
態を実現することができる。そして、このような配向状
態においては、駆動による配向変化が生じることがな
く、また欠陥線が目立たず高いコントラストを実現し得
る。
【0082】さらにこのように、配向規制力を適宜調整
することによって、電圧無印加時におけるストライプテ
クスチャー内の液晶分子ダイレクタ方向の分布を、素子
全体の平均分子軸方向に対して±10°以内に制御すれ
ば、より高コントラストを実現し得る。
【0083】ここで本発明におけるストライプテクスチ
ャーについて説明する。
【0084】図6は本発明のストライプテクスチャーの
模式図である。偏光顕微鏡観測すると本発明の液晶素子
では概ね図6(a)のようなストライプ状のテクスチャ
ー(模様)が観測される。ここで、このストライプの配
列方向はほぼ一方向に揃っており、その方向は平均的に
は一軸配向処理方向γとほぼ同じか、若干ずれた方向λ
に配列している。このときスメクチック層法線方向nが
存在するが、液晶の相系列が、高温側より、等方性液体
相−コレステリック相−カイラルスメクチックC相、又
は等方性液体相−カイラルスメクチックC相である場合
は一軸配向処理方向γとスメクチック層法線方向nとは
一致しない。
【0085】次いで、このストライプテクスチャーを詳
細に観測した場合、各ストライプ領域における光軸方向
から、ストライプ内の平均分子配列方向は図6(b)に
示すとおり、隣接するストライプ領域で互いに異なる方
向d1 及びd2 であることが観測される。
【0086】そして、こうした隣接するストライプ領域
間での光軸方向のずれによって、偏光顕微鏡観測下では
縞状(ストライプ状)テクスチャーであると視認され得
る。こうした微少領域内の分子配列方向d1 は素子全体
では若干のばらつきを持って存在するが、素子全体とし
ての平均的な分子配列方向としてはdの方向に配列して
いる。
【0087】なお、高コントラストを得るためには、基
板の一軸配向処理方向γとストライプテクスチャーの平
均長手方向λとのずれが10°以下であることが好まし
く、また電圧無印加時における該ストライプテクスチャ
ー内の液晶分子ダイレクタ方向の分布dが、素子全体の
平均分子軸方向dに対して±10°以内であることが好
ましい。さらに、ストライプテクスチャーの平均長手方
向λと、スメクチック層法線方向nとが5°以上ずれて
いることが好ましい。
【0088】さらに、高コントラストを得るためには、
後述する実施例で述べるX線回折測定によって測定され
る液晶の層傾斜角δ(カイラルスメクチックC相の層方
向と基板法線とのなす角)が10°以上、35°以内で
あり、また液晶の素子内での層傾斜角δに関し、X線回
折測定によって得られた液晶セルのX線回折ピークの半
値幅が3°以上であることが好ましい。
【0089】一方、パネル全面で均一な配向状態を得る
ための他の手段としては、配向膜が与える配向規制力を
相対的に弱くすることだけでなく、例えば同等の配向規
制力を有する液晶素子においても、層法線方向を一方向
に均一化させるための手段として、Ch−SmC*相転
移の際、又はI相(ISO.)−SmC*相転移の際に
一対の基板間に印加される正負いずれかのDC電圧、即
ち既述した図5に示すVx及び−Vxの値を、調整する
ことによっても実現し得る。
【0090】なお、我々の検討においては印加するDC
電圧の値を大きくすると、液晶分子のダイレクタ方向の
一様性が増すためにカイラルスメクチックC相に転移し
て形成された層の傾斜角の均一性が増し、結果として閾
値の異なる複数の微少領域であるマイクロドメインのサ
イズが大きくなる。
【0091】そして、このようにマイクロドメインのサ
イズが大きくなると、印加するDC電圧の値に応じて変
化するマイクロドメインの面積の総和に応じて行われる
画素ごとの諧調表示にばらつきが生じ、画質の低下をも
たらす傾向にあることが判明した。
【0092】そこで、画素ごとのばらつきが生じないマ
イクロドメインのサイズについて検討したところ、真円
ではなく楕円もしくは長方形的な形状を有しているマイ
クロドメインの最小単位の短径が10μm以下である場
合、階調表示が連続階調であると視認されることが判明
し、これによりドメインの存在による画素ごとの階調ば
らつきが生じないことがわかった。したがって、前記ド
メインサイズになるよう印加するDC電圧の値を適宜調
整することが望ましい。
【0093】一方、印加するDC電圧の値を極端に小さ
くすると、層法線方向を一方向に均一化させることがで
きなくなり、表示素子としての特性を満たし得なくなる
ので、好ましくは、それぞれの液晶素子において層法線
方向を一方向に均一化し得る最小限の電圧を印加するこ
とが望ましい。
【0094】また、本発明に用いられるカイラルスメク
チック液晶は相転移系列が、高温側より、等方性液体相
(ISO.)−コレステリック相(Ch)−カイラルス
メクチックC相又は等方性液体相(ISO.)−カイラ
ルスメクチックC相であるものが好ましい。以下に本発
明で用いられる液晶組成物を構成する好ましい化合物の
具体例を(1)〜(4)に示す。
【0095】
【化1】 R1,R2:炭素原子数が1〜20である置換基を有し
ていてもよい直鎖または分岐状のアルキル基 X1,X2:単結合、O、COO、OOC Y1,Y2,Y3,Y4:HまたはF n:0または1
【0096】
【化2】 R1,R2:炭素原子数が1〜20である置換基を有し
ていてもよい直鎖または分岐状のアルキル基 X1,X2:単結合、O、COO、OOC Y1,Y2,Y3,Y4:HまたはF
【0097】
【化3】 R1,R2:炭素原子数が1〜20である置換基を有し
ていてもよい直鎖または分岐状のアルキル基 X1,X2:単結合、O、COO、OOC Y1,Y2,Y3,Y4:HまたはF
【0098】
【化4】 R1,R2:炭素原子数が1〜20である置換基を有し
ていてもよい直鎖または分岐状のアルキル基 X1,X2:単結合、O、COO、OOC Y1,Y2,Y3,Y4:HまたはF 以下、本実施の形態の実施例について説明する。
【0099】(実施例1) (液晶セルの作製)透明電極として700ÅのIT0膜
を形成した厚さ1.1mmの一対のガラス基板を用意し
た。該基板の透明電極上に、市販のTFT用配向膜SE
7992(日産化学社製)をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行なった後、20
0℃で1時間加熱焼成を施し、膜厚50Åのポリイミド
被膜を得た。
【0100】続いて、当該基板上のポリイミド膜に対し
て一軸配向処理としてナイロン布によるラビング処理を
施した。ラビング処理の条件は、径10cmのロールに
ナイロン(NF−77/帝人製)を貼り合わせたラビン
グロールを用い、押し込み量0.3mm、送り速度10
cm/sec、回転数1000rpm、送り回数4回と
した。
【0101】続いて、一方の基板上にスペーサとして、
平均粒径1.5μmのシリカビーズを散布し、各基板の
ラビング処理方向が互いに反平行(アンチパラレル)と
なるように対向させ、均一なセルギャップのセル(単画
素の空セル)を得た。
【0102】次に、この液晶セルの配向規制力を相対的
に評価するために、液晶として―軸配向性が弱いと思わ
れるISO−SmA−SmC*という相系列を有する液
晶を等方相の温度で注入し、カイラルスメクテイック液
晶相を示す温度まで冷却して液晶素子を作成し、室温に
おける配向状態を観察したところ、良好な一軸配向性は
得られていなかった。
【0103】(アクティブマトリクスセルの作製)上記
同様の材料及び条件の透明電極、ポリイミド配向膜を用
い、一方の基板をゲート絶縁膜として窒化シリコン膜を
備えたa−SiTFTを有するアクティブマトリクス基
板とし、一方の基板にR.G.Bのカラーフィルターを
有し、図3に示す画素構造のアクティブマトリクスセル
(パネル)を作製した。なお、画面サイズは10.4イ
ンチ、画素数は800×600×RGBとした。
【0104】(液晶組成物の調製)下記液晶性化合物を
混合して液晶組成物しC−1を調製した。なお、構造式
に併記した数値は混合の際の重量比率である。
【0105】
【化5】 上記液晶組成物LC−1の物性パラメ−夕を以下に示
す。
【0106】相転移温度(℃) 自発分極(30℃):Ps=2.9nC/cm2 コーン角(30℃):Θ=23.3°(100Hz,±
12.5V,Cellgap=l.4μm) カイラルスメクチックC相の層方両と基板法線とのなす
層傾斜角δ(30℃):21.6° SmC*相でのらせんピッチ(30℃):20μm以上 上記のプロセスで作製した単画素のセル及びアクティブ
マトリクスセルに上記液晶組成物LC−1をCh相の温
度で注入し、液晶をカイラルスメクティック液晶相を示
す温度まで冷却し、この冷却の際、Ch−SmC*相転
移前後において、−5Vのオフセット電圧(直流電圧)
を印加して冷却を行う処理を施し、液晶素子サンプル
A、Bを作製した。
【0107】かかる液晶素子サンプルA,Bについて、
下記の項目についての評価を行った。
【0108】1.配向状態 液晶素子サンプルAの液晶の配向状態について偏光顕微
鏡観察を行なった。
【0109】その結果、室温(30℃)では、電圧無印
加でセル全面でストライプ状のテクスチャーが形成され
ていることが分かった。このストライプテクスチャーの
平均長手方向と、一軸配向処理方向とがなす角を測定す
ると約3°であった。また、それぞれのストライプテク
スチャーについてさらに詳細な観察を行なったところ、
それぞれのストライプ状の領域で最暗軸が微妙に異なっ
ており、最暗抽の分布としては約4°の幅を持って存在
していることがわかった。また、層法線方向はセル全面
で一方向にそろっていた。
【0110】2.短形波印加による光学応答 液晶素子サンプルAについて、該サンプルAをクロスニ
コル下でフォトマルチプライヤー付き偏光顕微鏡に、偏
光軸を電圧無印加状態で暗視野となるように配置し、6
0Hz(±5V)の矩形波電圧を印加して電圧を変化さ
せながら光学レベルを測定した。
【0111】その結果、正極性の電圧を印加すると白状
態へと分子が反転した複数の微少領域が出現し、その後
印加電圧を徐々に大きくしていくと、これらの微少領域
の面積が徐々に増加していくことが観察された。さら
に、光学応答は前状態には依存せずに安定した中間調状
態が得られることが確認できた。
【0112】また、負極性の電圧に対しても同じ電圧絶
対値の正極性電圧印加の場合の1/10程度の光学応答
が確認され、正負の電圧に対する光学応答の平均値は前
状態には依存せず安定した中間調が得られることが確認
できた。
【0113】さらに、連続して短形波駆動を行った際、
ストライプテクスチャーが変化しないことから、この配
向の安定性を確認できた。なお、矩形波±5V印加した
際のコントラストは90以上(10〜50℃)であり、
良好な画質を表示できる。
【0114】3.動画質評価 TFTを用いたアクティブマトリクスパネルである液晶
素子サンプルBを用いて画質評価を行った。この動画質
評価は10名程度の非専門家による主観評価とし、下記
5段階の尺度(カテゴリー)で評価した。評価に使用し
た画像は、BTAのハイビジョン標準画像(静止画)か
ら3種類(肌色チャー卜、観光案内板、ヨットハーバ
ー)を選び、その中の中心部分の432×l68画素を
切り出して使用した。
【0115】さらに、これらの画像を、それぞれテレビ
番組の一般的な動き速度程度である6.8(deg/s
ec)の一定速度で移動させて動画像を作成し、画像の
ボケを評価した。
【0116】・尺度5…面面の周辺ボケが全く観察され
ずキレのよい良好な動画質 ・尺度4…画面の周辺ボケがほとんど気にならない ・尺度3…面面の周辺ボケが観察され、細かい文字は判
別し難い。
【0117】・尺度2…画面の周辺ボケが顕著となり、
大きな文字も判別し難い。
【0118】・尺度1…画面全体にボケが顕著となり、
原画像がほとんど判別不能。
【0119】このときの画像ソースのコンピューター側
からの出力は、1秒間に60画面分を順次走査(プログ
レッシブ)するようなピクチャーレートとした。
【0120】まず、TFTパネル側(サンプル)の表示
は、1秒間に60フレームの表示を行い、1フレームを
複数フィールドに分割はせずフレーム反転駆動を行っ
た。その結果、若干ではあるが動画像の周辺ぼけが観測
された。この周辺ぼけ度合いを主観評価すると、上記5
段階評価で3〜4程度であった。
【0121】次に、1フレームを2つのフィールドに分
割し、最初のフィールドで正極性電圧、続くフィールド
で負極性電圧(両フィールドの電圧レベルは同じ)を印
加し実質的に周波数120HZで動作させた場合、実用
上充分な輝度を有し、フリッカが全く観察されず、周辺
ぼけが全く感じられない動画像が観察され、理想的な動
画像が得られた。上記の5段階評価では5のレベルであ
った。
【0122】なお、この評価を一般的なCRTを用いて
行うと5段階評価で全員が5、応答が数十mSかかる市
販のTFTタイプの液晶ディスプレイを用いると5段階
評価で2〜3程度の評価結果であった。
【0123】(実施例2) (液晶セルの作製)各基板のラビング処理方向が互いに
平行(パラレル)となるように対向させた以外は、実施
例1と同様な作成条件の均一なセルギャップのセル(単
画素の空セルならびにアクティブマトリクスセル)を得
た。
【0124】これら単画素のセル、アクティブマトリク
スセルに上記液晶組成物LC−1をCh相の温度で注入
し、液晶をカイラルスメクティック液晶相を示す温度ま
で冷却し、この冷却の際に、Ch−SmC*相転移時に
DCオフセット(−5V)を印加した液晶素子サンプル
C(単画系のセル)及びD(アクティブマトリクスセ
ル)を作製した。
【0125】これら液晶素子サンプルC,Dについて実
施例1の1〜3と同様の評価を行ったところ、ぞれぞれ
実施例1の液晶素子サンプルA及びBと同様の挙動及び
特性が得られ、ラビング方向が変化しても、同様な状態
が再現されることが確認された。
【0126】(実施例3) (液晶セルの作製)実施例1と同様な作成条件の均一な
セルギャップのセル(単画素の空セルならびにアクティ
ブマトリクスセル)を作製した。
【0127】これら単画素のセル、アクティブマトリク
スセルに下記に示す液晶組成物LC−2をCh相の温度
で注入し、液晶をカイラルスメクテイック液晶相を示す
温度まで冷却し、この冷却の際に、Ch−SmC*相転
移時にDCオフセット(−5V)を印加した液晶素子サ
ンプルE(単画素のセル)及びF(アクティブマトリク
スセル)を作製した。
【0128】
【化6】 上記液晶組成物LC−2の物性パラメ−夕を以下に示
す。
【0129】相転移温度(℃) 自発分極(30℃):Ps=3.4nC/cm2 コーン角(30℃):Θ=24.7°(100Hz,±
12.5V,Cellgap=1.4μm) 傾斜角δ(30℃):16.5° SmC*相でのらせんピッチ(30℃):20μm以上 これら液晶素子サンプルE,Fについて実施例1と同様
の評価を行った。
【0130】1.配向状態 液晶素子サンプルEの液晶の配向状態について偏光顕微
鏡観察を行なった。その結果、室温(20℃)では、電
圧無印加でセル全面でストライプ状のテクスチャーが形
成されていることが分かった。このストライプテクスチ
ヤーの平均長手方向と、一軸配向処理方向とがなす角を
測定すると約3°であった。また、それぞれのストライ
プテクスチャーについてさらに詳細な観察を行なったと
ころ、それぞれのストライプ状の領域で最暗軸が微妙に
異なっており、最暗軸の分布としては約3°の幅を持っ
て存在していることがわかった。また、層法線方向はセ
ル全面で一方向にそろっていた。
【0131】また、既述した液晶素子Aと比較してSt
atic(電圧無印加の状態)で光漏れの原因となる点
欠陥(層の傾斜角が異なる領域の接合部と考えられる)
が非常に少ない。
【0132】2.矩形波印加による光学応答 液晶素子サンプルEについて、実施例1と同様の測定を
したところ、正極性の電圧を印加すると白状態へと分子
が反転した複数の微少領域が出現し、その後印加電圧を
徐々に大きくしていくと、これらの微少領域の面積が徐
々に増加していくことが観察された。
【0133】この微少領域についてさらに詳細に観察を
行なったところ、その微少領域の大きさは約2〜3μm
であることが観察された。さらに、光学応答は前状態に
は依存せずに安定した中間調状態が得られることが確認
できた。また、負極性の電圧に対しても同じ電圧絶対値
の正極性電圧印加の場合の1/10程度の光学応答が確
認され、正負の電圧に対する光学応答の平均値は前状状
態には依存せず安定した中間調が得られることが確認で
きた。
【0134】さらに、連続して矩形波駆動を行った際、
ストライプテクスチャーが変化しないことから、この配
向の安定性を確認できた。なお、矩形波±5V印加した
際のコントラストは140以上(10〜50℃)であ
り、良好な画質を表示できる。
【0135】3.層の傾斜角の測定 (X線測定用セルの作製)次に、この液晶素子サンプル
Eにおける液晶のスメクチック層の傾斜角δのX線回折
測定を行なった。なお、基板としてX線の吸収を極力低
減するために80μm厚ガラス(コーニング社製商品名
マイクロシート)を用いた以外は、基本的には前述と同
様の方法によりX線測定用セルを作製した。 ・層の傾斜角の測定 基本的にはクラークやラガーウォルによって発表された
方法(Japan Display 86,Sep.3
0〜Oct.2,1986,pp_456〜458)あ
るいは大内らの方法(J.J.A.P.,27(5)
(1988)pp.L725〜728)と同様の方法を
用いた。
【0136】また、測定装置は回転対陰極方式のMAC
サイエンス社製X線回折装置を用い、銅のKα線を分析
線とした。液晶の層間隔の測定はバルク液晶を80μm
厚のガラス上に塗り、通常の粉末X線回折と同様に2θ
/θスキャンを行なって求めた。
【0137】先に作製したX線測定用セルに液晶組成物
LC−2を等方相の温度で注入し、Ch−SmC*相転
移時にDCオフセット(−5V)を印加しながら室温
(20℃)まで徐冷することにより液晶素子を作製し
た。
【0138】その後、前記層間隔を得た回折角2θにX
線検出器をあわせてセルをθスキャンし、前記文献に示
された方法で室温(30℃)における傾斜角δを算出し
た。その結果、半値幅が6°の強度の弱いブロードなピ
ークが観測された。このことにより、液晶組成物LC−
2は反平行ラビングセル中において、層の傾斜角δが1
4°の斜めブックシェルフ構造を取っており、かつ、ピ
ーク強度も弱くブロードなことから層の均一性は小さく
様々な層傾斜角を有する層が混在しているものと思われ
る。なお、図7にこの測定結果を示す。
【0139】4.動画質評価 実施例1と同様に理想的な動画像が得られた。上記の5
段階評価では5のレベルであった。
【0140】次に、比較例について説明する。
【0141】(比較例1) (液晶セルの作製)実施例1と同様にして空セル、アク
ティブマトリクスセルを作製し、LC−1をCh相で注
入し、オフセット電圧印加冷却処理における直流電圧を
−10Vで行い、液晶素子サンプルG及びHを得た。
【0142】これら液晶素子サンプルG及びHについて
実施例1と同様の評価を行った。
【0143】1.配向状態 液晶素子サンプルGについて、室温(30℃)では明瞭
な欠陥線によって隔てられる二領域(C1配向とC2配
向)が観察された。この二領域は、最暗軸がラビング方
向と若干ずれた状態であり、それぞれの最暗位が僅かに
異なる。しかし、この状態で矩形波を印加すると、二領
域の境界から周辺にわたり、一瞬で新たな配向へ変化す
る。この部分の最暗位が、短形波印加前に観察される二
領域とずれるため、コントラストの劣化が起こる。
【0144】2.短形渡印加による光学応答 液晶素子サンプルGについて、実施例1と同様に60H
Zの矩形波を印加して電圧を変化させながら光学応答特
性を測定した。
【0145】その結果、セル全体の光学応答を観測する
と、実施例1と同様に正極性の電圧には十分に光学応答
し、また、負極性の電圧に対しては同じ電圧絶対値の正
極性電圧印加の場合の1/10程度の光学応答が確認さ
れた。一方、C1配向、C2配向を個別に観測してみる
と、C2配向部分の方が同じ透過光量を得るための必要
電圧値が低く画素ごとにムラが生じてしまっていること
が分かった。
【0146】3.動画質評価 液晶素子サンプルHについて、実施例1と同様(60H
z駆動とフレーム分割駆動による120Hz駆動)にア
クティブマトリクス駆動における動画質の評価を行っ
た。周辺ぼけ度合いを主観評価すると、5段階評価カテ
ゴリーで5であった。しかし、表示画像が全体的に白っ
ぽく、コントラストの悪さが目立った。
【0147】(比較例2) (液晶セルの作製)透明電極として700ÅのIT0膜
を形成した厚さ1.1mmの一対のガラス基板を用意し
た。該基板の透明電極上に、下記構造式のポリイミド前
駆体をスピンコート法により塗布し、その後、80℃5
分間の前乾燥を行なった後、200℃で1時間加熱焼成
を施し膜厚50Åのポリイミド被膜を得た。
【0148】
【化7】 続いて、当該基板上のポリイミド膜に対して一軸配向処
理としてナイロン布によるラビング処理を施した。ラビ
ング処理の条件は、径10cmのロールにナイロン(N
F−77/帝人製)を貼り合わせたラビングロールを用
い、押し込み量0.3mm、送り速度10cm/se
c、回転数1000rpm、送り回数4回とした。
【0149】続いて、一方の基板上にスペーサとして,
平均粒径1.4μmのシリカビーズを散布し、各基板の
ラビング処理方向が互いに平行(パラレル)となるよう
に対向させ、均一なセルギャップのセル(単画素の空セ
ル)を得た。
【0150】なお、この液晶セルの配向規制力を相対的
に評価するために、実施例1と同様に液晶として一軸配
向性が弱いと思われるISO−SmA−SmC*という
相系列を有する液晶を等方相の温度で注入し、カイラル
スメクテイック液晶相を示す温度まで冷却して液晶素子
を作成し、室温における配向状態を観察したところ、良
好な一軸配向性を示していることが観察された。比較例
2で用いられたセルは、実施例1で用いられたセルと比
較して相対的に配向規制力が強くなっているものと思わ
れる。
【0151】(アクティブマトリクスセルの作製)上記
同様の材料、及び条件の透明電極、ポリイミド配向膜を
用い、一方の基板をゲート絶縁膜として窒化シリコン膜
を備えたa−SiTFTを有するアクティブマトリクス
基板とし、一方の基板にR,G,Bのカラーフィルター
を有し、図3に示す画素構造のアクティブマトリクスセ
ル(パネル)を作製した。なお、画面サイズは10.4
インチ、画素数は800×600とした。
【0152】これら単画素セル及びアクティブマトリク
スパネルの夫々に液晶組成物LC−1をCh相の温度で
注入し、液晶をカイラルスメクティック液晶相を示す温
度まで冷却し、この冷却の際、Ch−SmC*相転移前
後において−2Vのオフセット(直流)電圧を印加して
冷却を行う処理を施し、液晶素子サンプルI及びJを得
た。
【0153】これら液晶素子サンプルI及びJについて
実施例1と同様の評価を行った。
【0154】1.配向状態 液晶素子サンプルIについて、室温(30℃)では最暗
軸がラビング方向と若干ずれた状態であり、最暗軸はほ
ぼ一方向に揃っているが、層の傾斜の異なる二領域が観
測された。この状態で矩形波を印加すると、二領域の境
界から周辺にわたり、一瞬で新たな配向へ変化する。こ
の部分の最暗位が、矩形波印加前に観察される二領域と
ずれるため、コントラストの劣化が起こる。
【0155】2.矩形波印加による光学応答 液晶素子サンプルIについて、実施例1と同様に60H
zの矩形波を印加して電圧を変化させながら光学応答特
性を測定した。
【0156】その結果、セル全体の光学応答を観測する
と、実施例1と同様に正極性の電圧には十分に光学応答
し、また、負極性の電圧に対しては同じ電圧絶対値の正
極性電圧印加の場合の1/10程度の光学応答が確認さ
れた。しかしながら層の傾斜の異なる2領域では同じ透
過光量を得るための必要電圧が異なり、画素ごとにむら
が生じていることが分かった。
【0157】3.動画質評価 液晶素子サンプルJについて、実施例1と同様(60H
z駆動とフレーム分割駆動による120Hz駆動)にア
クティブマトリクス駆動における動画質の評価を行っ
た。その結果、周辺ぼけが全く感じられない動画像が観
測された。この周辺ぼけ度合いを主観評価すると、5段
階評価カテゴリーで5であった。しかし、表示画像が全
体的に白っぽく、コントラストの悪さが目立った。
【0158】
【発明の効果】以上説明したように本発明のように、カ
イラルスメクチック液晶がストライプテクスチャーを形
成した配向状態となるよう一軸配向処理又は電圧制御を
行うことにより、高速応答や階調制御が可能であるばか
りでなく、配向が安定で且つ高いコントラストの液晶素
子及びこれを備えた液晶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶素子を備えた液
晶装置の構造を示す断面図。
【図2】上記液晶素子の一方の基板の構成を模式的に示
す図。
【図3】上記一方の基板の画素部分の断面構造を示す
図。
【図4】上記画素部分の等価回路図。
【図5】上記画素部分に印加される駆動信号及び光学特
性を示す図。
【図6】上記液晶素子に用いられる液晶のストライプテ
クスチャー模式図。
【図7】上記液晶の層傾斜角の測定結果を示す図。
【符号の説明】
20 アクティブマトリクス基板 40 対向基板 43a,43b 配向膜 49 液晶層 80 液晶素子 81a,81b 基板 85 液晶 87a,87b 偏光板 82a,82b 電極 84a,84b 配向制御膜 94 TFT 95 画素電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 門叶 剛司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 寺田 匡宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H088 EA02 EA12 EA39 FA10 GA03 GA17 HA08 HA18 JA13 KA15 KA16 LA06 LA07 LA08 MA02 5C094 AA06 AA13 AA31 BA03 BA43 CA19 CA25 EA04 EA05 EB02 ED14 FB01 JA01 JA08 JA09

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カイラルスメクチック液晶を挟持する一
    方、該液晶に電圧を印加する電極及び該電極に接続され
    たアクティブ素子を有すると共に、少なくとも一方の対
    向面に該液晶を配向させるための一軸配向処理が施され
    た一対の基板と、少なくとも一方の基板側に配置された
    偏光板とを備え、前記アクティブ素子を駆動する駆動回
    路によってアクティブマトリックス駆動されることによ
    りアナログ階調表示を行う液晶素子において、 前記カイラルスメクチック液晶は、電圧無印加時では該
    液晶の液晶分子ダイレクタの平均分子軸が一方向にのみ
    存在し得る単安定化された第一の状態を示す一方、第一
    の極性の電圧印加時には該液晶の平均分子軸は印加電圧
    の大きさに応じた角度で前記単安定化された位置から一
    方の側にチルトして第一の輝度で画像を表示し、前記第
    一の極性とは逆極性の第二の極性の電圧印加時には該液
    晶の平均分子軸は該単安定化された位置を維持するか、
    もしくは該単安定化した位置から前記第一の極性の電圧
    を印加した時とは逆側にチルトして第一の輝度より小さ
    い第二の輝度で画像を表示すると共に、ストライプテク
    スチャーを形成した配向状態であることを特徴とする液
    晶素子。
  2. 【請求項2】 前記第二の輝度は、前記第一の輝度の1
    /5より小さいことを特徴とする請求項1記載の液晶素
    子。
  3. 【請求項3】 前記液晶の相系列が、高温側より、等方
    性液体相−コレステリック相−カイラルスメクチックC
    相、又は等方性液体相−カイラルスメクチックC相であ
    ることを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記液晶が前記ストライプテクスチャー
    を形成する配向規制力を生じる一軸配向処理を施したこ
    とを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記基板の一軸配向処理方向と前記スト
    ライプテクスチャーの平均長手方向とのずれが10°以
    下であることを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記電圧無印加時におけるストライプテ
    クスチャー内の液晶分子ダイレクタ方向の分布が、素子
    全体の平均分子軸方向に対して±10°以内であること
    を特徴とする請求項1又は5記載の液晶素子。
  7. 【請求項7】 前記ストライプテクスチャーの平均長手
    方向とスメクチック層法線方向とのずれが5°以上であ
    ることを特徴とする請求項1、5又は6のいずれかに記
    載の液晶素子。
  8. 【請求項8】 X線回折測定によって得られた前記液晶
    のカイラルスメクチックC相の層方両と基板法線とのな
    す層傾斜角が10°以上、35°以内であることを特徴
    とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液晶素子。
  9. 【請求項9】 前記層傾斜角に関し、前記X線回折測定
    によって得られたX線回折ピークの半値幅が3°以上で
    あることを特徴とする請求項8記載の液晶素子。
  10. 【請求項10】 前記液晶のバルク状態での螺旋ピッチ
    はセル厚の2倍より長いことを特徴とする請求項1記載
    の液晶素子。
  11. 【請求項11】 前記液晶に対し前記第一の極性の電圧
    を印加した際に発現するしきい値の異なる楕円又は長方
    形形状を有する複数の微小領域の面積の総和により前記
    階調表示を行うことを特徴とする請求項1記載の液晶素
    子。
  12. 【請求項12】 前記第一の極性の電圧を前記微小領域
    の最小単位の短径が10μm以下となる大きさとするこ
    とを特徴とする請求項11記載の液晶素子。
  13. 【請求項13】 前記請求項1乃至12のいずれかに記
    載の液晶素子と、前記アクティブ素子を駆動する駆動回
    路を備えたことを特徴とする液晶装置。
JP11084639A 1999-03-26 1999-03-26 液晶素子及びこれを備えた液晶装置 Pending JP2000275685A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11084639A JP2000275685A (ja) 1999-03-26 1999-03-26 液晶素子及びこれを備えた液晶装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11084639A JP2000275685A (ja) 1999-03-26 1999-03-26 液晶素子及びこれを備えた液晶装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000275685A true JP2000275685A (ja) 2000-10-06

Family

ID=13836273

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11084639A Pending JP2000275685A (ja) 1999-03-26 1999-03-26 液晶素子及びこれを備えた液晶装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000275685A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7265810B2 (en) * 2002-08-30 2007-09-04 Fujitsu Limited Liquid crystal display device and manufacturing method of liquid crystal display device
CN109255808A (zh) * 2018-09-12 2019-01-22 北京建筑大学 基于倾斜影像的建筑物纹理提取方法和装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7265810B2 (en) * 2002-08-30 2007-09-04 Fujitsu Limited Liquid crystal display device and manufacturing method of liquid crystal display device
CN109255808A (zh) * 2018-09-12 2019-01-22 北京建筑大学 基于倾斜影像的建筑物纹理提取方法和装置
CN109255808B (zh) * 2018-09-12 2021-04-02 北京建筑大学 基于倾斜影像的建筑物纹理提取方法和装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3342430B2 (ja) 液晶素子及び液晶表示装置
JP3535769B2 (ja) 液晶表示素子、及び該液晶表示素子の駆動方法
JP3311335B2 (ja) 液晶素子及びこれを用いた表示装置、該液晶素子の駆動方法
JP2000275685A (ja) 液晶素子及びこれを備えた液晶装置
JP2001281627A (ja) 液晶装置
KR100346797B1 (ko) 액정소자
JP2000275684A (ja) 液晶素子およびそれを用いた液晶装置
JP3377190B2 (ja) カイラルスメクチック液晶素子、その製造方法および液晶装置
JP2004012543A (ja) 液晶素子、及び該液晶素子を備えた液晶装置
JP2004077541A (ja) 液晶素子及びその駆動方法
JP3912924B2 (ja) 液晶素子
JP3524406B2 (ja) 液晶素子
JP2003195359A (ja) 液晶素子の製造方法
JP2000275620A (ja) 液晶素子及びこれを備えた液晶装置
JP3530799B2 (ja) カイラルスメクチック液晶素子の製造方法および駆動方法
JP2001281623A (ja) 液晶装置および液晶素子の駆動方法
JP3219709B2 (ja) 液晶素子、液晶装置、及び液晶素子の駆動方法
JP2000275617A (ja) 液晶素子
JP2000347160A (ja) 強誘電性液晶素子
JP2002049060A (ja) カイラルスメクチック液晶素子
US20010023739A1 (en) Process for producing liquid crystal device
JP2003315834A (ja) 液晶装置
JP2000275616A (ja) 液晶素子
JP2003342573A (ja) カイラルスメクティック液晶組成物並びにそれを用いた液晶素子
JP2003342572A (ja) カイラルスメクティック液晶組成物並びにそれを用いた液晶素子