JP2000275410A - 光拡散シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 重ねた場合でも、互いに傷つけ合わない光拡
散シート及びこれを用いたバックライトユニットの提供
を目的とするものである。 【解決手段】 透明な基材シート２と、基材シート２の
表側に設けられた光拡散層３と、基材シートの裏側に設
けられたスティッキング防止層１１とを備えており、光
拡散層３及び／又はスティッキング防止層１１の材料と
してガラス転移温度が−１００℃以上３０℃以下の軟質
エラストマー材料が用いられているものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に組
み込まれるバックライトユニットに用いられる光拡散シ
ート及びこの光拡散シートを用いたバックライトユニッ
トに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、液晶表示装置に組み込まれるバッ
クライトユニットとして、光線発生源としてのランプ
と、このランプの側方に配置されてランプから発せられ
る光線を表面方向に導く導光板と、その導光板の表面側
（液晶表示装置の画面側）に積層された光拡散シートと
を備えたものが用いられている。

【０００３】この光拡散シートとして、例えばポリエチ
レンテレフタレート等の合成樹脂からなる基材シートの
表面にアクリルビーズやガラスビーズ等のビーズを分散
させた樹脂組成物を塗工することで、樹脂組成物のバイ
ンダー中にビーズを分散した光拡散層が基材シート表面
に形成されたものが提案されている（例えば実開平５−
７３６０２号公報等参照）。この光拡散シートでは、光
拡散層を透過する光線がビーズによって均一に拡散さ
れ、液晶表示装置の画面の輝度が高められる。

【０００４】また、光拡散シートの裏面と導光板の表面
との部分的密着（スティッキング）を抑えて画面の輝度
ムラを防止するため、アクリルビーズやガラスビーズ等
のビーズを分散させた樹脂組成物を塗工して形成された
スティッキング防止層を基材シートの裏面に備えた光拡
散シートも提案されている（例えば実開平７−８８０３
号公報等参照）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の光拡散シー
トは、一般的には巻き取ったり、重ねたりして、収納や
搬送の便に供するが、光の拡散に用いるアクリルビーズ
やガラスビーズ等のビーズが比較的硬いため、輸送途中
の振動などによって重なった光拡散シート同士が擦れ、
互いに傷つけ合ってしまう。かかる傷のある光拡散シー
トを用いてバックライトユニットを構成すると、液晶表
示装置に輝度ムラが生じる。

【０００６】そのため、当該光拡散シートの上面又は下
面をコーティングする樹脂組成物にハードコート材を用
い、かかる樹脂組成物からなるバインダーの硬度を上げ
て、傷つきの低減を図ることも考えられるが、バインダ
ーの硬度を上げるほど逆に脆くなってしまう。

【０００７】本発明はこれらの不都合に鑑みてなされた
ものであり、重ねた場合でも、互いに傷つけ合わない光
拡散シート及びこれを用いたバックライトユニットの提
供を目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた発明は、透明な基材層と、バインダー中にビ
ーズが分散した光拡散層とを備える光拡散シートであっ
て、この光拡散層の材料としてガラス転移温度が−１０
０℃以上３０℃以下の軟質エラストマー材料が用いられ
ていることを特徴とするものである。

【０００９】この手段によれば、光拡散層の材料として
ガラス転移温度が低い軟質エラストマー材料を使用する
ことから、上述のように巻いたり、重ねたりして、光拡
散シート同士が擦れ合っても、互いに傷つけ合うことを
防止できる。

【００１０】また、上記不都合を解決するためになされ
た他の発明は、光拡散層と、透明な基材層と、バインダ
ー中にビーズが分散したスティッキング防止層とをこの
順に備える光拡散シートであって、このスティッキング
防止層の材料としてガラス転移温度が−１００℃以上３
０℃以下の軟質エラストマー材料が用いられていること
を特徴とするものである。

【００１１】裏面にスティッキング防止層を有する光拡
散シートの場合、かかるスティッキング防止層に使用さ
れるビーズによっても互いに傷つけ合ってしまうが、当
該手段によれば、スティッキング防止層にガラス転移温
度が低い軟質エラストマー材料を使用することから、上
述のようなスティッキング防止層による傷つけ合いを防
止することができる。

【００１２】さらに、上記不都合を解決するためになさ
れた他の発明として、バインダー中にビーズが分散した
光拡散層と、透明な基材層と、バインダー中にビーズが
分散したスティッキング防止層とをこの順に備える光拡
散シートであって、これらの光拡散層及びスティッキン
グ防止層の材料としてガラス転移温度が−１００℃以上
３０℃以下の軟質エラストマー材料が用いられているこ
とを特徴とするものである。

【００１３】この手段によれば、光拡散シートの表面側
の光拡散層および裏面側のスティッキング防止層ともに
軟質エラストマー材料が用いられていることから、ビー
ズによる損傷の防止を光拡散層およびスティッキング防
止層ともに達成することができる。

【００１４】上記軟質エラストマー材料の使用個所とし
ては、上記光拡散層及び／又はスティッキング防止層の
ビーズにするとよい。当該光拡散シートは上述のように
重ね合わせ時のビーズによる傷付き防止を課題とするこ
とから、傷付きの原因であるビーズを軟質材料から形成
することで、直接的かつ効果的に傷付きを防止すること
ができる。

【００１５】また上記軟質エラストマー材料の使用個所
として、上記光拡散層及び／又はスティッキング防止層
のバインダーにしてもよい。このようにバインダーに軟
質材料を使用することで、ビーズの支持にクッション性
が付与され、重ね合わせ時のビーズによる傷付きを低減
することができる。

【００１６】なお、上記軟質エラストマー材料としては
ポリウレタンが好ましい。ポリウレタンは弾力性が高
く、傷付き防止作用が大きい。また、ポリウレタンは耐
溶剤性（特に、耐アルコール性）及び耐熱性が高く、光
拡散シートに好適である。

【００１７】従って、ランプと、このランプの側方に配
置されてランプから発せられる光線を表面方向に導く導
光板と、この導光板の表面側に配置される光拡散シート
とを備えた液晶表示装置用のバックライトユニットにお
いて、上述の手段の光拡散シートを用いると、液晶表示
装置の輝度ムラを抑えることができる。

【００１８】なお、本明細書中に記載の「ガラス転移温
度」としては、ＪＩＳに規定する示査走査熱量分析（Ｄ
ＳＣ）により測定した値を採用する。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しつつ本発
明の実施の形態を詳説する。図１は本発明の一実施形態
に係る光拡散シートを示す部分断面図で、図２は図１の
光拡散シートを用いたバックライトユニットの構成を説
明する模式的断面図で、図３は図１の光拡散シートとは
異なる形態に係る光拡散シートを示す部分断面図であ
る。

【００２０】図１の光拡散シート１は、基材シート２
と、この基材シート２の表面に積層された光拡散層３と
から構成される。この基材シート２は、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アク
リル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレ
フィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等の
合成樹脂から形成されている。また基材シート２は光線
を透過させる必要があるので透明とされており、特に無
色透明が好ましい。さらに基材シート２の厚みは特には
限定されないが、例えば５０マイクロメーター以上２５
０マイクロメーター以下とされる。これは、基材シート
２の厚みが上記範囲未満であると、光拡散層３を形成す
る樹脂組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなっ
てしまうことがあり、逆に、基材シート２の厚みが上記
範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしま
い、またバックライトユニット６の厚みが大きくなって
液晶表示装置の薄型化の要求に反することからである。

【００２１】光拡散層３は、バインダー４と、このバイ
ンダー４中に分散するビーズ５とから構成されている。
このように光拡散層３中に分散したビーズ５によって、
この光拡散層３を裏側から表側に透過する光線を均一に
拡散させることができる。光拡散層３の厚み（ビーズ５
を除いたバインダー４部分の厚み）は特には限定されな
いが、例えば１０マイクロメーター以上３０マイクロメ
ーター以下程度とされている。

【００２２】ビーズ５の材料としては、ガラス転移温度
が低く軟質なもの、具体的にはガラス転移温度が−１０
０℃以上３０℃以下、好ましくは−６０℃以上２５℃以
下の軟質エラストマー材料を用いる。このビーズ５に使
用可能な材料としては、例えばポリウレタン、シリコン
ゴム、ポリスチレン、熱可塑性ポリエステルなどが挙げ
られ、中でも耐溶剤性、耐熱性等からポリウレタンが好
ましい。またビーズ５は光線を透過させる必要があるの
で透明とされており、特に無色透明が好ましい。

【００２３】バインダー４も同様にガラス転移温度が低
く軟質なものを用いる。具体的には、ガラス転移温度が
−１００℃以上３０℃以下、好ましくは−６０℃以上２
５℃以下の軟質エラストマー材料を用いる。かかるバイ
ンダー４に使用可能なポリマーとしては、例えばアクリ
ル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹
脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹
脂などが挙げられる。バインダー４中には、上記のポリ
マーの他、例えば可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散
剤、帯電防止剤等が配合されてもよい。またバインダー
４は光線を透過させる必要があるので透明とされてお
り、特に無色透明が好ましい。

【００２４】ビーズ５は、略球形であり、光拡散シート
１を透過する光線量を多くするため透明とするのが好ま
しく、特に無色透明とするのが好ましい。このビーズ５
の平均粒子直径は、１マイクロメーター以上５０マイク
ロメーター以下が好ましく、２マイクロメーター以上２
０マイクロメーター以下が特に好ましい。平均粒子直径
が上記範囲未満であると、光拡散効果が不十分となって
しまうことがある。逆に、平均粒子直径が上記範囲を越
えると、光拡散層３を形成する樹脂組成物の塗工が困難
となってしまうことがある。なお、ビーズ５の平均粒子
直径は、任意に抽出した１００個を顕微鏡で拡大して粒
子直径を測定し、これを単純平均することにより導出さ
れる。また、ビーズ５が球形でない場合は、任意の一方
向を基準とする寸法とこれと直交する方向を基準とする
寸法の平均値とする。

【００２５】上述のように、光拡散層３を構成するビー
ズ５およびバインダー４ともに軟質なものを用いること
から、当該光拡散シート１を重ねても互いに傷つけ合う
ことがない。

【００２６】光拡散層３におけるビーズ５の配合量は、
バインダー４中のポリマー分１００重量部に対して０．
１重量部以上５００重量部以下が好ましく、０．５重量
部以上３００重量部以下が特に好ましい。ビーズ５の上
記配合量が上記範囲未満であると、光拡散効果が不十分
となってしまうことがある。逆に、当該配合量が上記範
囲を越えると、光拡散層５を形成する樹脂組成物の塗工
が困難となってしまうことがある。

【００２７】この光拡散シート１では、基材シート２の
裏面は平滑面とされているが、裏面に例えばエンボス加
工等を施し、光拡散性能やスティッキング防止性能を向
上させても良い。

【００２８】図１の光拡散シート１が組み込まれたバッ
クライトユニット６は、図２に示すように、光線発生源
としてのランプ７と、このランプ７の側方に配置されて
ランプ７から発せられる光線を表側方向に導く導光板８
と、その導光板８の表側に積層された光拡散シート１と
を備えている。なお、図２では説明の便宜上導光板８と
光拡散シート１とが離間して表されているが、実際は導
光板８の表側面と光拡散シート１の裏側面とは当接して
いる。

【００２９】このバックライトユニット６における光線
９の軌跡を説明する。まず光線９はランプ７から発せら
れ、導光板８の内部に導かれる。次に、導光板８内の光
線９は導光板８裏側の反射ドット又は反射シート（図示
されず）で反射され、上方の光拡散シート１に放射され
る。上方へ放射された光線９は光拡散シート１を通過す
る際に均一に拡散され、さらに上方の偏向膜（図示され
ず）等に送られる。

【００３０】このバックライトユニット６において、光
拡散シート１に傷があると、光線９は均一に拡散せず、
一方向に偏光し、液晶表示装置の画面に輝度ムラが生じ
る。従って、傷が付きにくい当該光拡散シート１を用い
ることで、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられ
る。

【００３１】図３の光拡散シート１０は、図１の光拡散
シート１と同様に基材シート２と、基材シート２の表側
に設けられた光拡散層３とを有し、さらに基材シート２
の裏面にスティッキング防止層１１を備えた構成であ
る。当該光拡散シート１０においても基材シート２及び
光拡散層３は、図１に示された実施形態のものと同等で
ある。

【００３２】スティッキング防止層１１は、バインダー
１２と、このバインダー１２中に分散する小径のビーズ
１３とから構成されている。このバインダー１２とビー
ズ１３の材質も、上記光拡散層３に用いられているもの
と同様である。このように、当該光拡散シート１０の裏
面側のスティッキング防止層１１も軟質エラストマー材
料を用いているため、重ねたときに発生する傷つきの防
止をより促進することができる。このビーズ１３も、略
球形であり、光拡散シート１０を透過する光線量を多く
するため透明とするのが好ましく、特に無色透明とする
のが好ましい。またこのビーズ５の平均粒子直径は、上
述のようなスティッキング防止の観点から、１マイクロ
メーター以上１５マイクロメーター以下が好ましく、１
マイクロメーター以上５マイクロメーター以下が特に好
ましい。スティッキング防止層１１の厚み（ビーズ１３
を除いたバインダー１２部分の厚み）は特には限定され
ないが、例えば１マイクロメーター以上１０マイクロメ
ーター以下程度とされている。

【００３３】ビーズ１３の配合量は比較的少量とし、ビ
ーズ１３は互いに離間してバインダー１２中に分散し、
ビーズ１３の多くはその下端がバインダー１２から突出
させている。この光拡散シート１０を、図２のバックラ
イトユニット６の光拡散シート１と同様に、導光板８上
に積層すると、突出したビーズ１３が導光板８の表面に
当接し、光拡散シート１０の裏面の全面が導光板８と当
接することがない。これにより、光拡散シート１０と導
光板８とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の
画面の輝度ムラが抑えられる。

【００３４】なお、本発明の光拡散シートは上記実施形
態に限定されるものではなく、例えば、光拡散層やステ
ィッキング防止層におけるビーズ又はバインダーの一方
を軟質エラストマー材料から形成することでもビーズに
よる重ね合わせ時の傷付き防止作用を奏することができ
る。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の光拡散シ
ートによれば、収納や搬送時に重ねたり、巻き取ったり
しても、重なった光拡散シートが互いに傷つけ合うこと
を防止できる。従って、かかる光拡散シートを用いたバ
ックライトユニットの性能および経済性を向上させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す
部分断面図である。

【図２】図１の光拡散シートを用いたバックライトユニ
ットの構成を説明する模式的断面図である。

【図３】図１の光拡散シートとは異なる形態に係る光拡
散シートを示す部分断面図である。

【符号の説明】

１ 光拡散シート ２ 基材シート ３ 光拡散層 ４ バインダー ５ ビーズ ６ バックライトユニット ７ ランプ ８ 導光板 ９ 光線 １０ 光拡散シート １１ スティッキング防止層 １２ バインダー １３ ビーズ

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明な基材層と、バインダー中にビーズ
   が分散した光拡散層とを備える光拡散シートであって、 この光拡散層の材料として、ガラス転移温度が−１００
   ℃以上３０℃以下の軟質エラストマー材料が用いられて
   いることを特徴とする光拡散シート。
2. 【請求項２】 上記軟質エラストマー材料の使用個所が
   上記光拡散層のバインダーである請求項１に記載の光拡
   散シート。
3. 【請求項３】 上記軟質エラストマー材料の使用個所が
   上記光拡散層のビーズである請求項１又は請求項２に記
   載の光拡散シート。
4. 【請求項４】 光拡散層と、透明な基材層と、バインダ
   ー中にビーズが分散したスティッキング防止層とをこの
   順に備える光拡散シートであって、 このスティッキング防止層の材料として、ガラス転移温
   度が−１００℃以上３０℃以下の軟質エラストマー材料
   が用いられていることを特徴とする光拡散シート。
5. 【請求項５】 上記軟質エラストマー材料の使用個所が
   上記スティッキング防止層のバインダーである請求項４
   に記載の光拡散シート。
6. 【請求項６】 上記軟質エラストマー材料の使用個所が
   上記スティッキング防止層のビーズである請求項４又は
   請求項５に記載の光拡散シート。
7. 【請求項７】 バインダー中にビーズが分散した光拡散
   層と、透明な基材層と、バインダー中にビーズが分散し
   たスティッキング防止層とをこの順に備える光拡散シー
   トであって、 これらの光拡散層及びスティッキング防止層の材料とし
   て、ガラス転移温度が−１００℃以上３０℃以下の軟質
   エラストマー材料が用いられていることを特徴とする光
   拡散シート。
8. 【請求項８】 上記軟質エラストマー材料の使用個所が
   上記光拡散層とスティッキング防止層のバインダーであ
   る請求項７に記載の光拡散シート。
9. 【請求項９】 上記軟質エラストマー材料の使用個所が
   上記光拡散層とスティッキング防止層のビーズである請
   求項７又は請求項８に記載の光拡散シート。
10. 【請求項１０】 上記軟質エラストマー材料がポリウレ
    タンである請求項１から請求項９のいずれか１項に記載
    の光拡散シート。
11. 【請求項１１】 ランプと、このランプの側方に配置さ
    れてランプから発せられる光線を表面方向に導く導光板
    と、この導光板の表面側に配置される請求項１から請求
    項１０のいずれかに記載の光拡散シートとを備えた液晶
    表示装置用のバックライトユニット。