JP2000273688A - 溶接性と耐食性に優れた亜鉛系電気めっき鋼板 - Google Patents

溶接性と耐食性に優れた亜鉛系電気めっき鋼板

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JP2000273688A
JP2000273688A JP11076208A JP7620899A JP2000273688A JP 2000273688 A JP2000273688 A JP 2000273688A JP 11076208 A JP11076208 A JP 11076208A JP 7620899 A JP7620899 A JP 7620899A JP 2000273688 A JP2000273688 A JP 2000273688A
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steel sheet
layer
plating
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weldability
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JP11076208A
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English (en)
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Atsushi Yasui
淳 安井
Tetsuyuki Nakagishi
徹行 中岸
Yoshihiro Kawanishi
義博 川西
Atsuhisa Yagawa
敦久 矢川
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スポット溶接時の適正電流範囲を低下させ
た、めっき層中に有機物を含有する、自動車外装材とし
て有用な亜鉛系電気めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板表面に、有機物をC含有量で0.005
wt%以上3wt%以下と、Fe、Co、Ni、およびCrの1種ま
たは2種以上を合計で0.01wt%以上10wt%以下とを含有
し、残部がZnからなる付着量10g/m2以上60g/m2以下の亜
鉛系電気めっき層を有し、さらに該めっき層の最表層に
CとOの含有率が O(wt%)≧1.5 C(wt%)+15 但し、0.7≦C(wt%)≦
5 の式を満たす有機物が濃化した共析層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電製
品、建材等の材料として、特に自動車用の外装材料とし
て好適な、溶接性のみならず耐食性にも優れた亜鉛系電
気めっき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用を初めとして、家電製品、建材
等の多様な分野で、防錆鋼板として各種の表面処理鋼
板、特にめっき鋼板が使用されている。使用量の増加に
伴い、性能への要求も高まる一方であり、特に自動車用
防錆鋼板においては、「耐孔あき10年保証」というよう
な長期的な高耐食性が求められている。
【0003】最も一般的な防錆用表面処理鋼板は、亜鉛
めっき皮膜またはZn−Fe、Zn−Ni等の亜鉛系合金めっき
皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板である。これらは既に自
動車車体用等に実用化されているが、要求される防錆能
力の高度化につれて、めっき付着量の増大を余儀なくさ
れているのが現状である。
【0004】この原因の一つに少ない目付量では裸耐食
性と塗装後端面耐食性は両立し難いという問題がある。
上記防錆用表面処理鋼板のうち、亜鉛めっき鋼板は塗装
後の端面耐食性は良好であるが裸耐食性に劣っており、
一方、これを改善した亜鉛系合金めっき鋼板は裸耐食性
は向上するが、今度は、塗装後の端面耐食性が低下する
ことが知られている。
【0005】特開平8−209382号公報には、裸耐食性と
塗装後耐食性とを両立させた鋼板としてデキストリンお
よび/またはデキストランを添加しためっき浴を用い、
電気めっきによってCo、Ni、Crの1種もしくは2種以上
を共析させた亜鉛系電気めっき鋼板の製造方法が記載さ
れている。
【0006】この鋼板は、裸耐食性および塗装後端面耐
食性の耐食性、ならびに、連続打点性としてのスポット
溶接性は良好であるが、スポット溶接時の適正電流範囲
が他の自動車用合金化溶融亜鉛めっき鋼板に比べて高
く、異種の亜鉛系めっき鋼板、例えば合金化溶融亜鉛め
っき鋼板と接合する場合、溶融亜鉛めっき鋼板に設定電
流を合わせると、この鋼板では熱量不足となり、十分な
ナゲットが形成されず、スポット溶接ができないという
欠点がある。また、この鋼板に設定電流を合わせると溶
融亜鉛めっき鋼板からスパッタが著しく発生し、鋼板表
面を害するという問題がある。
【0007】このように、従来の共析電気亜鉛めっき鋼
板では、例えば従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接合
する場合、適正な溶接電流範囲がラップしないので異種
めっき鋼板との接合ができないという問題があり、この
有機物共析めっき鋼板においても他の従来のめっき鋼板
と接合ができるように適正溶接電流の低下を図る必要が
生じた。
【0008】一方、特開昭59−93900 号公報には、スポ
ット溶接性に優れためっき鋼板として亜鉛めっき鋼板の
表面に電解酸洗処理により酸化皮膜を形成せしめた鋼板
が開示されているが、これには酸化皮膜の厚みが規定さ
れておらず、酸化皮膜が厚く生成しすぎると化成処理性
が劣化するという欠点が存在した。
【0009】また、特開昭63−186883号公報には亜鉛ま
たは亜鉛合金めっき鋼板の表面に水と酸化物のモル比
(水/ 酸化物) ≦6/1 の表面酸化皮膜を有し、その上に
油を塗布せしめた鋼板が開示されているが、鋼板表面に
塗布された油の膜厚は一定に保つのが難しく、部分的に
油の塗布が薄くなったところでスポット溶接性が低下す
るという欠点が存在した。
【0010】また、特開平1−119652号公報には、亜鉛
もしくは合金化亜鉛の単層ないしは多層のめっき層を下
層として有し、上層としてZnとFeと酸素からなり、付着
量はZnとFeの総重量で0.005 〜3.0 g/m2の範囲の酸化物
層を有する、スポット溶接性に優れためっき鋼板が開示
されているが、下層めっきが有機物を含有する共析めっ
きの場合にはCによる汚染が考えられるため、表面の直
接酸化や陽極酸化法でZnとFeと酸素のみからなる酸化皮
膜を得ることは難しいし、めっき表面にさらにFe−Zn合
金めっきを施すことはコストの増加に繋がるため好まし
くない。
【0011】特開平2−4983号公報には亜鉛めっき鋼板
のめっき層上層に、ZnO を主体とする酸化膜を ZnO量で
30〜3000mg/m2(片面当たり) 形成せしめたスポット溶接
性に優れた亜鉛めっき鋼板が開示されているが、有機物
を含有する共析めっきの場合にはめっき最表層の有機物
層の影響が無視できず、有機物層の厚みによっては適正
溶接電流値の上昇が起こり、異種の亜鉛系めっき鋼板と
のスポット溶接時にスポット溶接ができないという欠点
が存在した。
【0012】さらに、特開平3−287784号公報には、Zn
酸化物3〜500 mg/m2(Znとして) 、Mn酸化物5〜500 mg
/m2(Mnとして) 、リン酸とMo酸化物、W酸化物、V酸化
物の1種または2種以上を1000mg/m2 以下 (P、Mo、
W、Vとして) およびその他の酸化物からなる皮膜を表
面に被覆してなるプレス成形性、化成処理性、溶接性に
優れた亜鉛系めっき鋼板が開示されている。
【0013】特開平3−287785号公報には、Zn酸化物3
〜500 mg/m2(Znとして) 、ホウ酸1000mg/m2 以下 (ホウ
素として) およびその他の酸化物からなる被膜をめっき
鋼板表面に被覆してなるプレス成形性、化成処理性、溶
接性に優れた亜鉛系めっき鋼板が開示されている。
【0014】特開平3−287786号公報には、Zn酸化物3
〜500 mg/m2(Znとして) 、Mn酸化物5〜500 mg/m2(Mnと
して) 、リン酸とコロイダルSiO2、コロイダルTiO2、コ
ロイダルAl2O3 の1種または2種以上1000mg/m2 以下
(P、SiO2、TiO2、Al2O3 として) およびその他の酸化
物からなる皮膜をめっき鋼板表面に被覆してなるプレス
成形性、化成処理性、溶接性に優れた亜鉛系めっき鋼板
が開示されている。
【0015】特開平3−287787号公報には、Zn酸化物3
〜500 mg/m2(Znとして) 、Mn酸化物5〜500 mg/m2(Mnと
して) 、リン酸1000mg/m2 以下 (Pとして) およびその
他の酸化物からなる皮膜を表面に被覆してなるプレス成
形性、化成処理性、溶接性に優れた亜鉛系めっき鋼板が
開示されている。
【0016】特開平3−287788号公報には、Zn酸化物3
〜500 mg/m2(Znとして) 、Mn酸化物5〜500 mg/m2(Mnと
して) およびその他の酸化物からなる皮膜をめっき鋼板
表面に被覆してなるプレス成形性、化成処理性、溶接性
に優れた亜鉛系めっき鋼板が開示されているが、いずれ
の鋼板も表面の有機物層に付いての記載はない。先にも
述べたように、有機物を含有する共析めっきの場合には
めっき最表層の有機物の影響が無視できず、有機物層の
厚みによっては適正電流値が上昇し、異種の亜鉛系めっ
き鋼板とのスポット溶接時にスポット溶接ができないと
いう欠点が存在した。
【0017】特開平4−88176 号公報には、亜鉛めっき
鋼板表面にZnO 量で30〜3000mg/m2の酸化物、その上層
にMn酸化物、P酸化物、Mo酸化物、Co酸化物、Ni酸化
物、Ca酸化物、W酸化物、V酸化物あるいはホウ酸の1
種または2種以上を1〜500 mg/m2(酸化物中の金属量と
して) 被覆してなることを特徴とする溶接性、プレス
性、化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板が開示されて
いるが、この鋼板も有機物を含有する共析めっきの場合
にはめっき最表層の有機物層の影響が無視できず、有機
物層の厚みによっては異種の亜鉛系めっき鋼板とのスポ
ット溶接時にスポット溶接ができないという欠点が存在
した。
【0018】また、特開平4−365880号公報には、めっ
き層の最下層にFeを主成分としためっき層をFe量で0.00
1 〜10g/m2付着し、めっき層最上層にZnO を主体とした
酸化膜を形成させた鋼板が開示されているが、この方法
では、めっき最下層にプレめっきを行い、さらにめっき
後に酸化膜の形成処理を行わなければならず、コストの
増大に繋がるため好ましくなかった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】このように、めっき層
中に有機物を含有する亜鉛系電気めっき鋼板はスポット
溶接時の適正電流範囲が他の自動車用合金化溶融亜鉛め
っき鋼板に比べて高く、特に異種の亜鉛系めっき鋼板と
のスポット溶接時にスポット溶接ができないという欠点
が存在した。本発明の課題は、スポット溶接の適正電流
範囲を低下させた、めっき層中に有機物を含有する亜鉛
系電気めっき鋼板を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく種々検討を重ねた結果、めっき層とし
て、有機物を含有する共析めっきの溶接性 (溶接時の適
正溶接電流値) を改善する方法としてめっき最表層付近
(表層〜約0.05μm) の酸化皮膜の中の酸素と炭素の組
成を一定の値にコントロールすることで解決できること
を知り、本発明を完成した。
【0021】すなわち、本発明は、少なくとも鋼板の片
面に、C含有量で0.005 wt%以上3wt%以下の有機物
と、Fe、Co、Ni、Crの1種または2種以上を0.01wt%以
上10wt%以下含み、残部がZnからなる付着量10g/m2以上
60g/m2以下の亜鉛系電気めっき層を有し、さらにその最
表層の有機物が濃化した共析層のCとOの含有率がO(w
t%) ≧1.5 C(wt%) +15 但し、0.7 ≦C(wt%) ≦
5の式を満たすことを特徴とする溶接性と耐食性に優れ
た亜鉛系電気めっき鋼板である。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明は、めっき層として、有機物
を含有する共析めっきのめっき最表層の酸素と炭素の組
成を一定の値にコントロールすることで、溶接時の適正
溶接電流値を低下させた、つまり溶接性を改善した鋼板
である。これらについて次に説明する。
【0023】母材鋼板 母材鋼板には特に限定されず、電気亜鉛系めっきに通常
供される熱延鋼板、冷延鋼板の何れでもよい。
【0024】めっき皮膜 めっき前酸洗を施した母材鋼板上にめっき層として、C
含有量で0.005 wt%以上3wt%以下の有機物と、Fe、C
o、Ni、Crの1種または2種以上を0.01wt%以上10wt%
以下含み、残部がZnからなる、付着量10g/m2以上60g/m2
以下の亜鉛系電気めっき皮膜を設ける。
【0025】めっき皮膜中への有機物とFe、Co、Ni、Cr
の1種または2種以上の共析により著しい耐食性の向上
効果が得られる。この効果が得られる理由は十分には明
らかにされていないが、上記の両条件を満たした亜鉛系
電気めっき皮膜は均一な合金金属元素 (ZnとFe、Co、N
i、Crの1種以上と) の共析状態であり、かつ共析した
有機物の持つ母材Feやめっき中のZnや合金金属元素に対
するインヒビター効果を持つものと考えられる。めっき
皮膜中に含有される有機物 (C含有量) の濃度がめっき
皮膜中に0.005 wt%未満、あるいはFe、Co、Ni、Crの1
種または2種以上の含有量の合計が0.01wt%未満ではこ
のような耐食性の向上効果は得られない。また、有機物
(C含有量) の濃度がめっき皮膜中に3wt%を越える場
合と、Fe、Co、Ni、Crの1種または2種以上の含有量の
合計が10wt%を越える場合とでは、めっきが硬く脆くな
り加工時の成形性が劣化する。
【0026】好ましくは、有機物の濃度は、C含有量
で、0.1 〜2wt%であり、Fe、Co、Ni、Crの1種または
2種以上の合計含有量は、0.1 〜5wt%である。また、
めっき付着量が10g/m2未満では十分な耐食性の効果が得
られず、60g/m2を越える場合にはめっき層が厚くなるた
め、やはり加工時の成形性が劣化する。好適付着量は、
15〜45g/m2である。
【0027】有機物の種類としては、Cを含有する一般
的な有機物のうち、めっき液中に添加可能で、めっき時
にZnやFe、Co、Ni、Crの1種または2種以上とともに共
析されるものなら特に規定されないが、好ましくは単糖
類、二糖類、多糖類を含む糖類であること、さらに好ま
しくは可溶性澱粉、デキストリン、デキストラン、シク
ロデキストリンの1種または2種以上の混合物であるこ
とが望ましい。
【0028】有機物濃化層 本発明における効果的な耐食性、加工性を確保する上
で、添加される有機物は、以下に示す問題点があり、ス
ポット溶接性に大きく影響を与えることが判明した。
【0029】すなわち、かかる共析めっきを施す際に
は、めっき液中に含有されている有機物が、形成される
めっき表面に強く吸着する性質をもつため、めっき最表
層では、めっき液に接触する際に、有機物の濃化層が必
ず形成され、めっき皮膜中 (バルク中) に比較し、必ず
C、Oが濃化する。
【0030】このようなC、O濃化、特にC濃化が、ス
ポット溶接性に大きな影響を与えており、良好なスポッ
ト溶接性、すなわち、適正溶接電流範囲の低下と、連続
打点性の確保のためには、下式に示すような、 O(wt%) −1.5 ×C(wt%) ≧15 但し、0.7 ≦C(w
t%) ≦5 適正範囲が存在することが判明した。
【0031】このような適正範囲が存在する理由は、特
に、C含有量がスポット溶接性に与える影響は不明であ
るが、表面濃化している層の絶縁性 (導電性) に影響し
ていると推測される。
【0032】C量に対して、相対的にO量が多い場合に
は、絶縁性の高い有機物が形成されるために、スポット
溶接時に同一電流を流しても発熱量が増大する結果、適
正溶接電流範囲が低電流側にシフトすると考えられる。
【0033】一方、逆に、C量に対して、相対的にO量
が少なくなると、めっき最表層に存在する有機物のCが
一部導電性の高いグラファイト状に生成すると推測さ
れ、スポット溶接時に発熱量が減少する結果、適正溶接
電流範囲が高電流側にシフトするため、適正電流が高く
なりすぎると考えられる。
【0034】すなわち、O(wt%) −1.5 ×C(wt%) <15
では、相対的に、C量が多くなりすぎて、適正溶接電流
が高くなりすぎる結果、他のめっき種との混合打点時を
想定した際に、適正溶接電流を設定できなくなるという
問題が生じる。従って、O(wt%) −1.5 ×C(wt%) ≧1
5、好ましくは、O(wt%) −3.0 ×C(wt%) ≧15であ
る。
【0035】なお、C量<0.7 wt%では、耐食性が劣化
するために、好ましくない、C量>5.0 wt%では、O量
を増大させても、過剰にC量が存在するために、生成す
るグラファイト状のものが、過剰に有機物濃化層に取り
込まれると推測され、適正溶接電流が確保できなくなる
という問題が生じる。
【0036】また、C量が過多になると、グラファイト
状のものの存在に起因すると考えられるが、スポット溶
接時に、電流過多になるため、電極損耗が大きくなり、
連続打点性が低下するという問題も生じる。本発明にお
ける最表層におけるC、Oの共析濃化層の分析には、め
っき最表層の分析が可能なXPS法を用いた。
【0037】すなわち、めっき最表層から深さ方向の
C、O量の厚みを測定するために、後述する条件で、Ar
イオンスパッタを0〜40秒まで (深さ方向で、500 Åま
で) 、5秒ピッチで行い、各スパッタ時のC、O量を積
算し、その存在量の平均値を用いた。その際の各スパッ
タ時におけるC、O量は、XPSにおけるピーク面積か
ら定量した。
【0038】図1および図2は、それぞれ、C含有量お
よびO含有量の測定結果を模式的に示すグラフであり、
本発明の場合、従来材 (最適有機物濃化共析層を形成さ
せる処理が施されていないめっき鋼板で、この層のCと
Oの含有率がO(wt%) <1.5C(wt%) +15の式を満たす
めっき鋼板) に比較して、最表層におけるC含有量が少
なく、O含有量が多いことに特徴がある。
【0039】本発明において最表層を深さ方向に500 Å
と規定した理由は、Arイオンスパッタによる深さ方向の
強度分布により、図1および図2に示すように、C、O
強度が一定になる時点が500 Åに相当するからである。
すなわち、めっきバルク中のC、Oよりも濃化している
部分が最表層であって、これは有機物が濃化した共析
層、すなわち有機物濃化共析層に相当する部分であり、
この濃化層中のC、O含有量が、本発明における溶接性
に大きく影響を及ぼす部分である。
【0040】XPS測定条件 X線源:Mg−Kα 8kV−30mA Ar高速イオンエッチング:50kV−0.6mA(スパッタ速度=
12〜13A/秒) 評価方法:Σ (各スパッタ時の元素存在量) /測定回数 かかる最適有機物濃化共析層を形成させるためには、過
剰に存在するCを除去する。その処理方法としては、最
表層に存在するCを酸化させ、同じく最表層に存在する
Oとともに、二酸化炭素として気化する方法が効果的と
考えられる。
【0041】具体的には、その際に、最表層に塩を残さ
ないような、過酸化水素水にて、加熱酸化する方法が好
適である。すなわち、過酸化水素水溶液に接触させた
後、加熱乾燥するような方法が挙げられる。
【0042】
【実施例】板厚0.8 mmの冷延鋼板をめっき母材として用
い、これを適当なサイズに切断し、アルカリ電解脱脂に
て脱脂、水洗、希硫酸で酸洗、水洗後、電気めっきに供
した。
【0043】電気めっきは、下記の浴組成と条件の範囲
で行い、有機添加物や合金金属元素の濃度を適宜狙いの
組成になるようにコントロールした。得られた上層めっ
き皮膜のCo、Fe、Ni、Cr含有量は被膜をインヒビター入
りの希塩酸で溶解した後、原子吸光法で測定した。ま
た、有機添加物の濃度はめっき被膜を酸に溶解後、試薬
発色法による吸光光度法によって行った。このめっきに
使用しためっき浴の組成およびめっき条件を次に示す。
めっきはON/OFF比0.5 の10サイクルパルス通電にて行っ
た。
【0044】 (めっき浴組成) ZnSO4 ・7H2O : 20〜40wt% MSO4・7H2O : 10〜40wt% M=Ni、Co、Fe、Cr Na2SO4 : 5〜10wt% 有機添加物 (可溶性澱粉等) : 0.001〜10wt% (めっき条件) pH : 1〜4 浴温 : 40〜65℃ 電流密度 : 20〜150A/dm2 液流速 : 0.5 〜4m/sec 電気めっき終了後鋼板を塗布乾燥し、最表層のC濃度お
よびO濃度を調整するために次の工程に供した。
【0045】過酸化水素水は適当なサイズに切断した供
試めっき鋼板にロールコーティングできる装置を使って
塗布した。ロールの圧下量や回転速度をコントロールす
ることにより一定の塗布膜厚にコントロールした。
【0046】加熱乾燥は自動排出装置付きのオーブンで
雰囲気温度と排出時間をコントロールして行った。C、
O濃度の調整は、過酸化水素水の塗布量、雰囲気温度、
加熱時間を変更することで行った。最表層である有機物
濃化共析層のCとO濃度(wt%) は SHIMADZU(株) 製XPS
ESCA-3200 にて測定した。
【0047】[溶接性]溶接性は下記の条件で溶接電流値
を変化させスポット溶接を実施し、ナゲットの大きさが
≧4.5 √t(t:板厚:0.8 mm) となる最低電流値 (=溶
接下限電流値) を求めることで評価した。
【0048】 電極 : 1%Cr−Cu、CF型、12φ、先端径5
φ 加圧力 : 荷重190 kgf 通電時間 : 8cyc. ○:溶接下限電流値が合金化溶融亜鉛めっき鋼板とほぼ
同等(≦10kA) 。 ×:溶接下限電流値が合金化溶融亜鉛めっき鋼板より高
い(>10.1kA) 。
【0049】[耐食性]70 mm ×150 mmの試験片を切り出
し、この未加工の平板のめっき面もしくは有機複合被覆
面を脱脂剤FC4366 (日本パーカライジング社製) で脱脂
し、水洗乾燥した。このサンプルの周囲10mmおよび端
面、裏面をポリエステルテープでシールし、塩水噴霧
(5%NaCl、35℃、7hr) →乾燥 (60℃、2hr) →湿潤
(RH85%、50℃、15hr) を1サイクルとする複合腐食サ
イクル試験を30サイクル実施した後腐食生成物を除去
し、最大浸食深さを次の2段階に区分して、裸耐食性を
評価した。 ○:最大浸食深さ≦0.2 mm ×:最大浸食深さ>0.2 mm。
【0050】[加工性]めっき鋼板をブランク径90mmに打
ち抜き、脱脂後重量を測定し、50mmのポンチで、ブラン
クホルダ圧1000kgの条件で25mmの張り出し高さでハット
型に成形する。このサンプルの壁面にセロテープを貼
り、セロテープを剥離し、脱脂後再度重量を測定する。
重量差がサンプル1個当たり5mg以下のものを○、5mg
を越えるものを×とする。結果を表1および表2に示す
とともに図3〜図5に図示する。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】これらの結果からも明らかなように、本発
明にかかるめっき鋼板は従来のめっき鋼板に比べ、適正
溶接電流範囲が低下しており、溶接性が向上している。
また、良好な化成処理性も兼ね備えている。従って、本
発明のめっき鋼板は、自動車用途として有用である。
【0054】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、適正溶接電流範囲を大幅に低下できることから、異
種めっき鋼板とのスポット溶接も可能となり、本来有す
る耐食性( 裸耐食性、塗装後端面耐食性) も何ら損なわ
れず、化成処理性も優れていることから、自動車用材
料、特に外装材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における最表層でのC含有量の測定結果
を示すグラフである。
【図2】本発明における最表層でのO含有量の測定結果
を示すグラフである。
【図3】1%C−3%Co−Znめっき鋼板、付着量29g/m2
における最表層Cと最表層Oとの関係を示すグラフであ
る。
【図4】0.01C%−10%Ni−Znめっき鋼板、付着量60g/
m2における同じく最表層Cと最表層Oとの関係を示すグ
ラフである。
【図5】3%C−1%Fe−1%Cr−Znめっき鋼板、付着
量10g/m2における同じく最表層Cと最表層Oとの関係を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川西 義博 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 矢川 敦久 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 Fターム(参考) 4K024 AA17 AA18 AA19 AA20 AB02 AB19 BA03 BB02 BB15 BB18 BC01 CA02 GA04 GA07 GA14

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも鋼板の片面に、有機物をC含
    有量で0.005 wt%以上3wt%以下と、Fe、Co、Ni、およ
    びCrの1種または2種以上を0.01wt%以上10wt%以下と
    を含有し、残部がZnからなる付着量10g/m2以上60g/m2
    下の亜鉛系電気めっき層を有し、さらに該めっき層の最
    表層にCとOの含有率が O(wt%) ≧1.5 C(wt%) +15 但し、0.7 ≦C(wt
    %) ≦5 の式を満たす有機物が濃化した共析層を有することを特
    徴とする溶接性と耐食性に優れた亜鉛系電気めっき鋼
    板。
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