JP2000271769A - 溶着方法、それを用いた電極構造の製造方法、電極構造および熱電素子の製造方法並びに熱電素子 - Google Patents

溶着方法、それを用いた電極構造の製造方法、電極構造および熱電素子の製造方法並びに熱電素子

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JP2000271769A
JP2000271769A JP11086821A JP8682199A JP2000271769A JP 2000271769 A JP2000271769 A JP 2000271769A JP 11086821 A JP11086821 A JP 11086821A JP 8682199 A JP8682199 A JP 8682199A JP 2000271769 A JP2000271769 A JP 2000271769A
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semiconductor
metal
energy beam
metal electrode
electrode
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Kazuhiko Takahashi
和彦 高橋
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば熱電素子を製造した場合には、従来の
加圧熱処理(ホットプレス)を使用せず、これによって
大型の装置あるいは雰囲気制御を必要とせず、コスト的
に有利であり、しかも半導体にドープされた過剰キャリ
アが半導体中に広く拡散することもなく、低抵抗で且つ
熱伝導性に優れた電気的接合を達成することのできる溶
着方法を提供する。 【解決手段】 金属電極1,2,3からなる第1部材
と、これよりもエネルギビームを透過し易い性質のある
半導体4,5からなる第2部材とを接触させて、その接
触面に対して半導体4,5側を通してエネルギビーム1
01,111を照射し、金属電極1,2,3をその融点
付近まで加熱することによって、金属電極1,2,3お
よび半導体4,5の溶着を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶着方法、それを
用いた電極構造の製造方法、電極構造および熱電素子並
びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、冷却装置として知られる熱電素
子は、熱電材料としてのn型半導体とp型半導体とを金
属電極間にそれぞれ挟み込み、これを直列に接続した構
造を有し、n型半導体および金属電極間の接合部とp型
半導体および金属電極間の接合部との間で、ペルチェ効
果による吸熱、発熱現象を生じさせるようにしたもので
ある。
【0003】ところで、近年、半導体材料としてのSi
Cの特徴が注目され、それを熱電材料として用いるよう
にした熱電素子が知られている。SiCは他の半導体に
比較して耐環境性に優れ、温度、放射線等の影響を受け
にくいため、宇宙開発等の分野や、廃熱回収技術や、冷
却フロンを用いない電子冷却技術の分野に有効な材料と
して注目されている。
【0004】図4は、SiC半導体を熱電材料として用
いた、従来の熱電素子の構造及びその金属電極の形成方
法を説明するための正面断面図である。π字型をなして
いる熱電素子は、二つの金属電極1、2と一つの金属電
極3との間に、n型SiC半導体4およびp型SiC半
導体5をそれぞれ挟んだ構造をなしている。
【0005】ここで、金属電極1、2、3には一般的に
Cu(銅)が用いられる。その理由は、Cuの熱伝導率
の良好であるためである。また、n型SiC半導体4
は、n型を得るためにN(窒素)雰囲気内における単結
晶昇華法により形成され、p型SiC半導体5は、p型
を得るためにAl(アルミニウム)またはB(ボロン)
雰囲気内における単結晶昇華法により生成され、これら
は必要に応じて所定形状に成形される。
【0006】そして、得られたn型SiC半導体4は、
その上下が金属電極3、1に接合され、p型SiC半導
体5は、その上下が金属電極3、2に接合される。これ
ら金属電極と半導体との接合は、高温雰囲気における圧
着処理によりなされ、金属電極1および2の上部にそれ
ぞれ半導体4、5を設置し、さらにこれら半導体4、5
上に金属電極3を掛け渡すように重ねた後、Ar等の不
活性ガス下における高温雰囲気内で加圧熱処理(ホット
プレス)が行われる。
【0007】こうして得られた熱電素子において、金属
電極1側に正電圧、金属電極2側に負電圧を印加するこ
とにより、金属電極1から金属電極2に向かって電流を
流すと、金属電極1および金属電極2側が冷却され、金
属電極3側が加熱される。したがって、金属電極1およ
び2側を冷却部とした、例えば冷却装置を構成すること
ができる。
【0008】ところで、SiC等半導体は一般に金属と
接触させると、電子エネルギレベルの違いから、その境
界面にショットキー障壁が生じ、金属との低抵抗のオー
ミック接合をとることができない。このため、半導体と
金属とのオーミック接合をとるためには、半導体の金属
との接合部(図4の4a、4b、5a、5b)に過剰キ
ャリアをドープする必要があり、従来の熱電素子の製造
方法では、過剰キャリアをドープするための工程を必要
としている。
【0009】この過剰キャリアのドープは、n、p型の
過剰キャリアを生成する不純物(N、AlまたはB)を
混入させたエピタキシャル成長膜を形成することによ
り、または、イオン注入法により不純物を導入すること
により行われている。
【0010】そこで、本発明者らは、金属電極と半導体
との間に、両者の電気的接合を行う導電性のキャリア供
給材を介在させてなる電極構造を提案している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属電
極と半導体とを接合する従来の加圧熱処理(ホットプレ
ス)工程は、上記のように雰囲気を高温にし、さらに不
活性ガス雰囲気を設けてこれを制御しなければならず、
必然的に装置が大掛かりなものとなり、また、処理時間
も長くなり、コストが高くなるという問題点がある。
【0012】また、加圧熱処理(ホットプレス)工程に
長時間要することから、半導体にドープされた過剰キャ
リアが半導体中に広く拡散されてしまい、低抵抗で且つ
熱伝導性に優れた電気的接合を達成することができない
という問題点もある。
【0013】そこで、本発明の目的は、例えば上記のよ
うな熱電素子の製造に関する課題を解決することのでき
る溶着方法、それを用いた電極構造の製造方法、電極構
造および熱電素子の製造方法並びに熱電素子の提供する
ことにある。
【0014】本発明の溶着方法により例えば熱電素子を
製造した場合には、従来の加圧熱処理(ホットプレス)
を行っていないので、それによる大型の装置あるいは雰
囲気制御を必要とせず、また、処理時間の短縮化が図
れ、コスト的に有利となり、しかも半導体にドープされ
た過剰キャリアが半導体中に広く拡散することもなく、
低抵抗で且つ熱伝導性に優れた電気的接合を達成するこ
とができる。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、本発明に係る溶着方法は、第1部材と、前記第1
部材よりもエネルギビームを透過し易い性質のある第2
部材とを溶着する溶着方法であって、前記第1部材と前
記第2部材とを接触させて、その接触面に対して前記第
2部材側を通してエネルギビームを照射し、前記第1部
材をその融点付近まで加熱することによって、前記第一
部材および前記第二部材の溶着を行うものである。
【0016】このような構成において、第1部材はエネ
ルギビームを透過し易く、その熱エネルギはあまり吸収
されることなく、第1部材の接触面に到達する。第1部
材は第2部材よりもエネルギビームを透過し難いので、
接触面で熱が発生し易くなる。そして、このような構成
によれば、二つの部材間を接合するための加圧熱処理
(ホットプレス)のような大型の加熱装置を必要とせ
ず、また接合に際して雰囲気の制御も必要とせず、更に
処理時間の短縮化も図れ、コスト的に有利である。
【0017】また本発明に係る溶着方法において、エネ
ルギビームのエネルギは、前記第2部材のバンドギャッ
プエネルギよりも小さいものである。
【0018】このような溶着方法によれば、エネルギビ
ームのエネルギが、第2部材を通過中に熱として吸収さ
れるエネルギは少なく、第1部材に小さな損失で到達す
ることができる。一方、第2部材に到達すると、その表
面で熱として吸収され、その接触面が過熱されて溶着さ
れる。したがって、効率よく第1部材および第2部材の
接合を行うことができる。
【0019】また本発明の溶着方法においては、エネル
ギビームの照射時には第1部材および第2部材に加圧を
施している。
【0020】この加圧により、第2部材側を通してエネ
ルギビームを照射し、第1部材をその融点付近まで加熱
したときに、第1部材および前記第2部材間の密着性を
高めることができる。なお、本発明における加圧時には
特別な雰囲気制御を行う必要がないので、従来技術に比
べて低コストである。
【0021】また本発明の溶着方法においては、第1部
材を金属とし、第2部材を半導体とすることができる。
【0022】このような溶着方法によれば、一般的に半
導体は金属よりもエネルギビームを透過し易い性質があ
るため、エネルギビームによる第1部材(金属)の加熱
を有効に行うことができる。とくに金属として銅を用い
れば、電極の熱伝導率を高めることができる。また半導
体としてワイドギャップ半導体を用いれば、エネルギビ
ームのエネルギ量を適宜選択することにより、エネルギ
ビームが第2部材(ワイドギャップ半導体)を一層透過
し易くなるため、エネルギビームによる第1部材(金
属)の加熱を有効に行うことができる。
【0023】また本発明の溶着方法によれば、ワイドギ
ャップ半導体としてSiCを好適に選択することができ
る。
【0024】SiCは、上記で説明したように、その他
の半導体に比較して耐環境性に優れ、温度、放射線等の
影響を受けにくいため、宇宙開発等の分野や、廃熱回収
技術や、冷却フロンを用いない電子冷却技術等の分野の
ための材料として好適である。
【0025】また本発明の溶着方法は、ワイドギャップ
半導体としてSiCを使用し、且つエネルギビームとし
てCO2レーザまたはArイオンレーザを採用すること
ができる。
【0026】CO2レーザまたはArイオンレーザは、
とくにSiCに対する透過性が良好であり、金属として
の銅の加熱を有効に行うことができる。
【0027】また本発明は、半導体と金属とが溶着され
てなる電極構造の製造方法において、前記半導体と金属
とを前記の溶着方法により溶着することを特徴とする電
極構造の製造方法を提供するものである。
【0028】このような構成によれば、半導体と金属と
を、加圧熱処理(ホットプレス)のような大型の加熱装
置を必要とせずに接合して電極構造を得ることができ、
このような電極構造は、接合に際して雰囲気の制御も必
要とせず、コスト的に有利である。
【0029】また、加熱処理時間が短くなるので、半導
体の接合部に過剰キャリアがドープされていても過剰キ
ャリアが半導体中に広く拡散することもなく、低抵抗で
且つ熱伝導性に優れた電気的接合を達成した電極構造を
得ることができる。なお本発明においては、半導体と金
属とが溶着されてなる構造を電極構造と呼ぶことにす
る。
【0030】また本発明の電極構造は、前記電極構造の
半導体と金属との接続部に、エネルギビームによる溶着
部が設けられていることを特徴としている。
【0031】このような構成によれば、半導体と金属と
を、エネルギビームにより溶着し接合した電極構造であ
るので、従来の加圧熱処理(ホットプレス)のような大
型の加熱装置を必要とせず、接合に際して雰囲気の制御
も必要とせず、更に処理時間の短縮化が図れ、コスト的
に有利である。
【0032】また、処理時間の短縮化が図れることか
ら、半導体の金属との接続部に過剰キャリアがドープさ
れていても、これが半導体中に広く拡散されることはな
いので、低抵抗で且つ熱伝導性に優れた電気的接合を有
する電極構造となる。
【0033】また本発明は、p型半導体とn型半導体と
の間に金属電極を接続して構成される熱電素子の製造方
法において、前記各半導体と金属電極とを圧接させて、
前記各半導体と前記金属電極との接触面に、前記各半導
体側から各半導体を透過するようにしてエネルギビーム
を照射し、前記金属電極をその融点付近まで加熱するこ
とによって、前記各半導体と前記金属電極とを溶着する
ようにしたことを特徴とする熱電素子の製造方法を提供
するものである。
【0034】このような構成によれば、熱電素子を製造
するに当たって、半導体と金属とを、加圧熱処理(ホッ
トプレス)のような大型の加熱装置を必要とせずに接合
しているので、接合に際して雰囲気の制御も必要とせ
ず、コスト的に有利である。また、半導体の一部に過剰
キャリアがドープされていても、これが半導体中に広く
拡散されることはないので、低抵抗で且つ熱伝導性に優
れた電気的接合を有する熱電素子を得ることができる。
【0035】また本発明の熱電素子の製造方法は、金属
電極と半導体との間に、両者の電気的接合を行う導電性
のキャリア供給材を介在させて前記金属電極と半導体と
の溶着を行うこともできる。
【0036】このような構成によれば、例えば半導体に
SiCを用いる場合、SiCは非常に堅い材料であるた
め、切り出し部の平坦度を上げることが難しく、金属電
極と圧着させた場合に、隙間が残ったまま圧着されるこ
とがあるが、キャリア供給材によりこの隙間が満たされ
ることになり、金属電極と半導体との実質的接合面積が
大きくなり、低抵抗でかつ熱伝導性に一層優れた接合を
有する熱電素子を得ることができる。
【0037】また本発明は、p型半導体とn型半導体と
の間に金属電極を接続して構成される熱電素子におい
て、前記p型半導体と前記金属電極、および前記n型半
導体と前記金属電極との接続部には、エネルギビームに
よる溶着部が設けられていることを特徴とする熱電素子
を提供するものである。
【0038】このような構成によれば、半導体と金属と
を、エネルギビームにより溶着し接合しているので、従
来の加圧熱処理(ホットプレス)のような大型の加熱装
置を必要とせず、接合に際して雰囲気の制御も必要とせ
ず、コスト的に有利である。また、半導体の接合部に過
剰キャリアがドープされていても過剰キャリアが半導体
中に広く拡散していないので、低抵抗で且つ熱伝導性に
優れた電気的接合を有する熱電素子となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
用いて説明する。 実施の形態1.図1は、本発明の溶着方法を説明するた
めの図であり、(a)〜(d)は正面断面図であり、
(e)は底面図である。なお、以下の説明では熱電素子
を例にして本発明の溶着方法を説明しているが、本発明
の溶着方法は下記説明における熱電素子以外にも適用可
能であることは言うまでもない。
【0040】図1(d)は完成された熱電素子を示すも
ので、π字型をなしている熱電素子は、二つの金属電極
1、2と一つの金属電極3との間に、n型SiC半導体
4およびp型SiC半導体5をそれぞれ挟んだ構造をな
している。また、n型SiC半導体4は、その上下が金
属電極3、1に接合され、p型SiC半導体5は、その
上下が金属電極3、2に接合される。これらn型SiC
半導体4、p型SiC半導体5は必要に応じて成形さ
れ、一実施態様においては、ダイヤモンドワイヤにより
断面が略3mm角の四角形状に成形されている。
【0041】また、一実施態様において電極1、2およ
び金属電極3は厚さが1mm〜5mm程度であり、金属
電極3の横方向長さは数mm〜十数mmの長さを有して
いる。また、n型SiC半導体4は、窒素雰囲気中で、
SiC単結晶昇華法を用いて形成され、キャリアのドー
プ量は1017/cm3程度である。また、p型SiC半
導体5は、AlまたはB雰囲気中で同じくSiC単結晶
昇華法を用いて形成され、キャリアのドープ量は1018
/cm3程度である。
【0042】そしてn型SiC半導体4およびp型半導
体5と金属電極1、2、3との溶着部付近には(図1の
4a、4b、5a、5b)に過剰キャリアがドープされ
ている。
【0043】本発明によれば、これら金属電極と半導体
との溶着は、エネルギビーム101、111の照射によ
り行われる。
【0044】本実施の形態によれば、第1部材が金属電
極、第2部材が半導体に相当し、第2部材(半導体)
は、第1部材(金属)よりもエネルギビームを透過し易
い性質をもっている。そして第1部材(金属)と第2部
材(半導体)とを接触させて、その接触面に対して第2
部材(半導体)側を通してエネルギビームを照射し、第
1部材(金属)をその融点付近まで加熱することによっ
て、第1部材(金属)および第2部材(半導体)の溶着
を行うことができる。
【0045】まず、n型SiC半導体4と金属電極3、
およびp型SiC半導体5と金属電極3との溶着は、半
導体4、5の下部から、金属電極3に向けて図1(a)
に示したようにエネルギビーム101を照射することに
より行われる。この場合、半導体4,5および金属電極
3の支持を行うとともに、後述する溶着部を加圧するた
め、金属電極3と半導体4,5との加圧支持部材20,
21が設けられている。下側の加圧支持部材21には、
エネルギビームを通すための窓21a、21bが設けら
れている。
【0046】図1(e)の破線121は、エネルギビー
ム101の照射場所の例示である。この例によればエネ
ルギビーム101は四角形の半導体4、5の底面の外周
縁を除くほぼ前面に照射され、該部分において半導体と
金属電極とが溶着されている。図1(b)は以上の処理
により形成された、熱電素子の金属電極3と半導体4,
5との接続状態(一つの電極構造)を示している。
【0047】次に、n型SiC半導体4と金属電極1、
およびp型SiC半導体5と金属電極2との溶着は、図
1(c)に示すように、図1(b)で示される電極構造
の半導体4,5のそれぞれの下に金属電極1,2を配置
して、加圧支持部22,23により加圧支持し、半導体
4、5の上部斜め方向から金属電極1、2に向けて図1
(a)に示したようにエネルギビーム111を照射す
る。こうして、図1(d)に示した熱電素子が形成され
る。
【0048】本発明の方法によれば、エネルギビームの
エネルギ出力は、通常は1mWないし数百mW/cm2
の範囲のエネルギ出力である。エネルギビームの照射時
間は、第1部材および第2部材の材質や大きさを考慮し
て適宜決定すればよいが、一般的に1分から数十分程度
であればよい。なお、本発明の溶着方法では半導体と金
属電極とは、波状に溶着されることがある。これはエネ
ルギビームの走査が原因となるものであり、したがっ
て、エネルギビームの走査速度が遅いほど、換言すれば
照射時間が長ければ長いほど半導体と金属電極との溶着
が強固になる。しかしながらその反面、エネルギコスト
が増加するので、この点も考慮して、エネルギビームの
エネルギ出力および照射時間を選定するのがよい。
【0049】ここで、エネルギビームのエネルギが第1
部材に少ない損失で到達できるように、該エネルギは、
第2部材のバンドギャップエネルギよりも小さいもので
あるのが望ましい。なお、フォノンの影響は無視できる
ほど小さいと考えられる。とくにバンドギャップエネル
ギの大きい、SiC、SiGe、PbTe、BiTeの
ようなワイドギャップ半導体を選択すれば、エネルギビ
ームのエネルギ量を適宜選択することにより、エネルギ
ビームが第2部材(ワイドギャップ半導体)を一層透過
し易くなるため、エネルギビームによる第1部材(金
属)の加熱を有効に行うことができ、ひいては、それに
接する第2部材表面を有効に加熱することができる。
【0050】またSiCは、上記で説明したように、そ
の他の半導体に比較して耐環境性に優れ、温度、放射線
等の影響を受けにくく、各種分野で有用であることか
ら、本発明においてもワイドギャップ半導体としてSi
Cを選択するのが好ましい。
【0051】さらにワイドギャップ半導体としてSiC
を使用した場合、とくにSiCに対して透過性が良好で
あるCO2レーザまたはArイオンレーザをエネルギビ
ームに選択すれば、第1部材(金属)の加熱を有効に行
うことができる。なお、第1部材(金属)としては、電
極の熱伝導率の観点から銅が好適である。
【0052】また、エネルギビームの照射時には第1部
材および第2部材に加圧を施すのが好ましい。圧力は、
例えば10kg/cm2〜数100kg/cm2程度の範
囲である。なお、この加圧時には、従来技術のように雰
囲気を制御する必要はなく、低温ないし高温で、活性ま
たは不活性雰囲気を適宜選択することができる。
【0053】本発明によれば、金属電極と半導体との間
に、両者の電気的接合を行う導電性のキャリア供給材を
介在させて金属電極と半導体との溶着を行うのが効果的
である。すなわち、例えば半導体にSiCを用いる場
合、SiCは非常に堅い材料であるため、切り出し部の
平坦度を上げることが難しく、金属電極と圧着させた場
合に、隙間が残ったまま圧着されることがあるが、キャ
リア供給材によりこの隙間が満たされることになり、金
属電極と半導体との実質的接合面積が大きくなり、低抵
抗でかつ熱伝導性に一層優れた接合を有する熱電素子を
得ることができる。
【0054】以下にこれを説明する。 実施の形態2.図2は、本実施の形態に係る別の熱電素
子を示す正面断面図である。図2(a)〜(d)は、そ
れぞれ図1(a)〜(d)に対応して示している。ここ
で、キャリア供給材としては、ニッケル(Ni)から構
成されるシート(以下、Niシートという)またはアル
ミニウム(Al)から構成されるシート(以下Alシー
トという)が用いられている。
【0055】図2(d)に示されるように、熱電素子
は、二つの金属電極(銅電極)1、2と、金属電極1上
に設けられるNiシート6と、Niシート6上に設けら
れるn型SiC半導体4と、n型SiC半導体4上に設
けられるNiシート7と、金属電極2上に設けられるA
lシート8と、Alシート8上に設けられるp型SiC
半導体5と、p型半導体5上に設けられるAlシート9
と、Niシート7およびAlシート9上に掛け渡される
一つの金属電極(銅電極)3とを備えて構成されてい
る。
【0056】これら金属電極1、Niシート6、n型S
iC半導体4、Niシート7、金属電極3、Alシート
9、p型SiC半導体5、Alシート8、金属電極2は
直列構造をなし、かつU字状をなしている。
【0057】本実施の形態における熱電素子は、上述と
同様にして金属電極1、2、3と半導体4、5との溶着
は、エネルギビームの照射により行われる。
【0058】すなわち、金属電極3と半導体4との溶着
は、それらの間にNiシート7を挟み、また、金属電極
3と半導体5との溶着は、それらの間にAlシート9を
挟んで、図2(a)に示すように、半導体4、5側から
エネルギビームを照射する。そして、金属電極3および
半導体4の接続面をNiシート7とともに溶かしてそれ
らを溶着させる。また、金属電極3および半導体5の接
続面をAlシート9とともに溶かしてそれらを溶着させ
る。こうして、図2(b)に示す熱電素子の電極構造が
製作される。
【0059】また、金属電極1と半導体4との溶着は、
それらの間にNiシート6を挟み、また、金属電極2と
半導体5との溶着は、それらの間にAlシート8を挟ん
で、図2(c)に示すように、半導体4、5の斜め上方
からエネルギビームを照射する。そして、金属電極1お
よび半導体4の接続面をNiシート6とともに溶かして
それらを溶着させる。また、金属電極2および半導体5
の接続面をAlシート8とともに溶かしてそれらを溶着
させる。こうして、上述した図2(d)に示す熱電素子
が製作される。
【0060】本実施の形態において、金属電極1、2、
3のサイズや、n型SiC半導体4、p型SiC半導体
5の調製法、サイズ、過剰キャリアのドープ量等は、先
の図1での説明と同様であり、ここでの説明は省略す
る。
【0061】また、Niシート6、7およびAlシート
8、9は、厚さが数十μm〜100μmとされ、この厚
さは、低抵抗なオーミック接触をとることが目的として
用いられるため、必要にして最小の厚さが選ばれてお
り、n型SiC半導体4、p型SiC半導体5の断面積
によらず、略一定とされる。
【0062】図3は、図1に示した熱電素子を一つのユ
ニットとして、これを複数、一次元または二次元状に配
列させてなる冷却装置を示す側面図である。
【0063】熱電素子10A−1…はそれぞれの電極1
5−1…を介して互いに直列に接続され、電極15−1
側から15−2、3、4…側へと電流を流すことにより
下部電極15−1…が冷却される。電流の向きを逆にす
ると下部電極15−1…は加熱される。
【0064】以上に説明した実施の形態では半導体にn
型、p型のSiCを用い、またキャリア供給材として、
Ni、Alシートを用いて構成したが、その他の半導体
とキャリア供給材の組み合わせとしては、以下のような
組み合わせが挙げられる。 半導体(熱電材料) n側のシート p側のシート SiGe系 B P PbTe系 Sn Pb BiTe系 SbまたはTe Sb
【0065】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
により例えば熱電素子を製造した場合には、従来の加圧
熱処理(ホットプレス)を行っていないので、それによ
る大型の装置あるいは雰囲気制御を必要とせず、コスト
的に有利であり、しかも半導体にドープされた過剰キャ
リアが半導体中に広く拡散することもなく、低抵抗で且
つ熱伝導性に優れた電気的接合を達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における溶着方法および
製作された熱電素子を示す正面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2における溶着方法および
製作された熱電素子を示す正面断面図である。
【図3】図1に示した熱電素子を一つのユニットとし
て、これを配列させてなる冷却装置を示す側面図であ
る。
【図4】SiC半導体を熱電材料として用いた、従来の
熱電素子の製造方法を説明するための正面断面図であ
る。
【符号の説明】
1,2,3 金属電極 4 n型SiC半導体 5 p型SiC半導体 6,7 Niシート 8,9 Alシート 101,111 エネルギビーム

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1部材と、前記第1部材よりもエネル
    ギビームを透過し易い性質のある第2部材とを溶着する
    溶着方法であって、前記第1部材と前記第2部材とを接
    触させて、その接触面に対して前記第2部材側を通して
    エネルギビームを照射し、前記第1部材をその融点付近
    まで加熱することによって、前記第1部材および前記第
    2部材の溶着を行うことを特徴とする溶着方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の溶着方法において、 前記エネルギビームのエネルギは、前記第2部材のバン
    ドギャップエネルギよりも小さいものである溶着方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の溶着方法にお
    いて、 前記エネルギビームの照射時には前記第1部材および第
    2部材に加圧を施す溶着方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の溶着方法において、 前記第1部材は金属であり、前記第2部材は半導体であ
    る溶着方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の溶着方法において、前
    記金属は銅である溶着方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の溶着方法において、前
    記半導体はワイドギャップ半導体である溶着方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の溶着方法において、前記
    ワイドギャップ半導体はSiCである溶着方法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の溶着方法において、 前記エネルギビームはCO2レーザまたはArイオンレ
    ーザである溶着方法。
  9. 【請求項9】 半導体と金属とが溶着されてなる電極構
    造の製造方法において、前記半導体と金属とを請求項4
    乃至請求項8のいずれかに記載の溶着方法により溶着す
    ることを特徴とする電極構造の製造方法。
  10. 【請求項10】 半導体と金属とが接続されてなる電極
    構造において、前記電極構造の半導体と金属との接続部
    には、エネルギビームによる溶着部が設けられているこ
    とを特徴とする電極構造。
  11. 【請求項11】 p型半導体とn型半導体との間に金属
    電極を接続して構成される熱電素子の製造方法におい
    て、 前記各半導体と金属電極とを圧接させて、前記各半導体
    と前記金属電極との接触面に、前記各半導体側から各半
    導体を透過するようにしてエネルギビームを照射し、前
    記金属電極をその融点付近まで加熱することによって、
    前記各半導体と前記金属電極とを溶着するようにしたこ
    とを特徴とする熱電素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の熱電素子の製造方
    法において、 前記金属電極と半導体との間に、両者の電気的接合を行
    う導電性のキャリア供給材を介在させて前記金属電極と
    半導体との溶着を行うことを特徴とする熱電素子の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 p型半導体とn型半導体との間に金属
    電極を接続して構成される熱電素子において、 前記p型半導体と前記金属電極、および前記n型半導体
    と前記金属電極との接続部には、エネルギビームによる
    溶着部が設けられていることを特徴とする熱電素子。
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