JP2000267551A - 変色性蒸着印刷物とその製造方法 - Google Patents

変色性蒸着印刷物とその製造方法

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JP2000267551A JP6800899A JP6800899A JP2000267551A JP 2000267551 A JP2000267551 A JP 2000267551A JP 6800899 A JP6800899 A JP 6800899A JP 6800899 A JP6800899 A JP 6800899A JP 2000267551 A JP2000267551 A JP 2000267551A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色彩が変化する変色性蒸着印刷物とその製造
方法を提供する。 【解決手段】 本発明の変色性蒸着印刷物は、観察する
視角度により色彩が変化する変色性蒸着媒体であって、
基材11上に、硬化した放射線硬化型樹脂組成物と、金
属蒸着層14と、印刷層15と、が順次設けられてお
り、当該金属蒸着層は印刷層と同調して設けられ、かつ
放射線硬化型樹脂組成物が加熱された際の基材との伸び
の差に基づく微細な凹凸形状が形成されていることを特
徴とする。印刷層上には粘着剤またはHS剤を設けても
良く、凹凸形状に重畳してホログラムパターンまたは回
折格子パターンを形成しても良い。このような変色性蒸
着印刷物は、基材上に放射線硬化型の樹脂組成物を塗工
した後、当該樹脂組成物を半硬化状態になるよう電磁放
射線を照射してから金属蒸着層を設け、当該層を加熱処
理して生じる微細凹凸形状を蒸着層に定着し、さらに印
刷層を設けアルカリ処理することにより製造することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、観察する視角度により
色彩が変化し偽造防止や装飾目的に利用できる変色性蒸
着印刷物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ホログラムや回折格子によって反射光を
分光しレインボー調の色彩を持たせた媒体や印刷物が偽
造防止や装飾印刷技術として使用されている。また、液
晶表示装置に使われる偏光フィルムや鱗片状のパール顔
料を使用した角度によって色彩が変化する媒体や印刷イ
ンキが同様の目的で使用されている。しかし、ホログラ
ムや回折格子を作製する場合は、それらを干渉露光した
レジスト塗工板に撮影した画像をエッチングして凹凸を
作製し回折柄とするか、切削加工装置を用いて彫り込ん
だ型版を作製するか、電子線描画装置によって凹凸を描
画した型版を作製して、回折柄を作るなど画像の作製に
手間がかかると共に、媒体化にはこの版を媒体に複製す
る必要があった。このような回折格子あるいはホログラ
ム層を有するシートの製造方法の一例として特開平4−
104188号公報に記載する技術があるが、シートの
片面にはやはり回折格子あるいはホログラム層を複製し
て形成する必要がありコスト高となるものである。
【0003】一方、パール印刷の場合は印刷柄は自由で
あるものの、印刷インキの厚盛りが必要であり、コスト
が高くなるとともに印刷基材や用途を制限することにな
っていた。液晶用偏光フィルムを用いた場合は、価格が
高いとともにパターンを形成し難く、適用できる媒体種
が少ないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、上記の問
題点を解決するため、ホログラム、回折格子と同様の角
度変色効果を得るとともに、その媒体作製過程から手間
のかかる製版・複製の工程を削除することを目的として
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、変色性蒸着印刷物の第1は、観察する視角度により
色彩が変化する変色性蒸着印刷物であって、基材上に、
硬化した放射線硬化型樹脂組成物と、金属蒸着層と、印
刷層と、が順次設けられており、当該金属蒸着層は印刷
層と同調して設けられ、かつ放射線硬化型樹脂組成物が
加熱された際の基材との伸びの差に基づく微細な凹凸形
状が形成されていることを特徴とする変色性蒸着印刷
物、にある。かかる変色性蒸着印刷物であるため、偽造
防止や装飾目的等の各種用途に利用できる。
【0006】上記課題を解決するための、変色性蒸着印
刷物の第2は、観察する視角度により色彩が変化する変
色性蒸着印刷物であって、基材上に、硬化した放射線硬
化型樹脂組成物と、金属蒸着層と、印刷層と、が順次設
けられており、当該金属蒸着層は印刷層と同調して設け
られ、かつホログラムパターンと放射線硬化型樹脂組成
物が加熱された際の基材との伸びの差に基づく微細な凹
凸形状とが、重畳して形成されていることを特徴とする
変色性蒸着印刷物、にある。かかる変色性蒸着印刷物で
あるため、偽造防止や装飾目的等の各種用途に利用でき
る。
【0007】上記課題を解決するための、変色性蒸着印
刷物の第3は、観察する視角度により色彩が変化する変
色性蒸着印刷物であって、基材上に、硬化した放射線硬
化型樹脂組成物と、金属蒸着層と、印刷層と、が順次設
けられており、当該金属蒸着層は印刷層と同調して設け
られ、かつ回折格子パターンと放射線硬化型樹脂組成物
が加熱された際の基材との伸びの差に基づく微細な凹凸
形状とが、重畳して形成されていることを特徴とする変
色性蒸着印刷物、にある。かかる変色性蒸着印刷物であ
るため、偽造防止や装飾目的等の各種用途に利用でき
る。
【0008】上記課題を解決するための、変色性蒸着印
刷物の製造方法の第1は、観察する視角度により色彩が
変化する変色性蒸着印刷物の製造方法であって、伸縮
の少ない基材上に放射線硬化型樹脂組成物を塗工する工
程、当該塗工された樹脂組成物が完全に硬化しない程
度に放射線を照射して半硬化状態の樹脂層に変化させる
工程、半硬化状態の樹脂層表面に金属蒸着層を形成す
る工程、基材および半硬化状態の樹脂層の全体を加熱
処理することにより、樹脂層を完全に硬化させるととも
に樹脂層および金属蒸着層に微細な凹凸形状を形成する
工程、金属蒸着層上に印刷層を設けて、当該印刷層を
レジストとして金属蒸着層のエッチングを行う工程、を
含むことを特徴とする変色性蒸着印刷物の製造方法、に
ある。かかる変色性蒸着印刷物の製造方法であるため、
偽造防止や装飾目的等の各種用途に利用可能な蒸着印刷
物を容易に製造できる。
【0009】上記課題を解決するための、変色性蒸着印
刷物の製造方法の第2は、観察する視角度により色彩が
変化する変色性蒸着印刷物の製造方法であって、伸縮
の少ない基材上に放射線硬化型樹脂組成物を塗工する工
程、放射線硬化型樹脂組成物の表面にホログラムパタ
ーンを転写する工程、当該塗工された樹脂組成物が完
全に硬化しない程度に放射線を照射して半硬化状態の樹
脂層に変化させる工程、半硬化状態の樹脂層表面に金
属蒸着層を形成する工程、基材および半硬化状態の樹
脂層の全体を加熱処理することにより、樹脂層を完全に
硬化させるとともに樹脂層および金属蒸着層に微細な凹
凸形状を形成する工程、金属蒸着層上に印刷層を設け
て、当該印刷層をレジストとして金属蒸着層のエッチン
グを行う工程、を含むことを特徴とする変色性蒸着印刷
物の製造方法、にある。かかる変色性蒸着印刷物の製造
方法であるため、偽造防止や装飾目的等の各種用途に利
用可能な蒸着印刷物を容易に製造できる。
【0010】上記課題を解決するための、変色性蒸着印
刷物の製造方法の第3は、観察する視角度により色彩が
変化する変色性蒸着印刷物の製造方法であって、伸縮
の少ない基材上に放射線硬化型樹脂組成物を塗工する工
程、放射線硬化型樹脂組成物の表面に回折格子パター
ンを転写する工程、当該塗工された樹脂組成物が完全
に硬化しない程度に放射線を照射して半硬化状態の樹脂
層に変化させる工程、半硬化状態の樹脂層表面に金属
蒸着層を形成する工程、基材および半硬化状態の樹脂
層の全体を加熱処理することにより、樹脂層を完全に硬
化させるとともに樹脂層および金属蒸着層に微細な凹凸
形状を形成する工程、金属蒸着層上に印刷層を設け
て、当該印刷層をレジストとして金属蒸着層のエッチン
グを行う工程、を含むことを特徴とする変色性蒸着印刷
物の製造方法、にある。かかる変色性蒸着印刷物の製造
方法であるため、偽造防止や装飾目的等の各種用途に利
用可能な蒸着印刷物を容易に製造できる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、放射線硬化型樹脂を低
架橋密度状態に架橋させた場合に、その半硬化状態の組
成物では耐熱性が十分でなく、高熱を印加した場合に当
該半硬化状態の層が熱で伸びて基材との伸びの差に基づ
く微細凹凸形状が発生する現象を利用したものである。
すなわち、基材および樹脂層のその後の熱過程において
凹凸が生じると樹脂層はそのまま熱硬化するかもしくは
不飽和結合が飽和して失われるので、元の平面状態には
戻らずに定着する。この際、樹脂層表面に金属蒸着膜が
形成されている場合は金属蒸着粒子の並び方にも凹凸形
状が樹脂に追従して形成残存するので微細凹凸形状紋を
発生して定着する。このような微細凹凸形状紋は1〜2
μmピッチ程度の規則的な筋状の形状を呈するので、ホ
ログラムパターンや回折格子パターンと同様に視角度に
より色彩が変化する特性を呈する。さらに、金属蒸着層
上に印刷を施して当該印刷層をレジストとして金属蒸着
層を部分的にエッチング除去することにより一層特殊な
装飾的硬化を発揮するようになる。また、このような媒
体は一定の条件下で連続的に大量に生産できるので複製
版を準備したり複製工程を施す必要なく7色の角度変色
性蒸着印刷物として直接製造でき各種用途に利用でき
る。
【0012】こうして製造した角度変色性蒸着印刷物面
にヒートシール剤や粘着剤を塗布して転写媒体等に加工
をすれば任意の箔押しパターンにより絵柄を形成できる
他、ヒートシール剤塗布したものを同様に細断してリボ
ン化した場合には、例えばサーマルヘッドによる転写で
自由なパターンを形成できる。このような金属蒸着面は
自然な回折色彩を持つが、ホログラムと同様な色彩効果
があり装飾材料として優れるとともに、薄く壊れやすい
特性のため、偽造防止材料としても有用である。また、
この放射線硬化型樹脂にホログラムパターンや回折パタ
ーンを重畳して複製することにより、簡単なホログラム
絵柄等を用いた場合にも、両者を組み合わせることによ
り変色効果の大きいパターンを形成できる。
【0013】以下、図面を参照して本発明の実施形態を
説明する。図1は、本発明の変色性蒸着印刷物とその使
用状態を示す斜視図である。図1(A)は媒体の斜視
図、図1(B)は媒体使用時の状態を示す図である。図
1(A)のように本発明の変色性蒸着印刷物1は、基材
11に剥離層12を介してまたは介さずに放射線硬化型
樹脂の硬化した樹脂層13hを有し、さらに金属蒸着層
14と印刷層15を設け、当該金属蒸着層14は印刷層
15と同調した形状を有している。最後に最表面にはヒ
ートシール剤または粘着剤16を設ける。粘着剤を塗布
する場合はさらに保護剥離紙(不図示)を設けて実際の
使用時には当該保護剥離紙を剥離して、図1(A)の状
態から上下を反対にした状態で表示する物品等にそのま
ま貼着して使用する場合が多い。このように物品に貼着
してラベル状態で使用する場合は基材11と硬化した樹
脂層13hが強固に結合している方が望ましいので、剥
離層12は用いないのが通常である。
【0014】図1(B)は、変色性蒸着印刷物1の他の
使用方法を示す図である。この場合はヒートシール剤1
6を加熱して物品に貼着した後、基材11を剥離して使
用する。脆弱な偽造防止媒体等に使用する場合はこの状
態の場合が多い。金属蒸着層14には、光回折効果を生
じるようなストライプ状の微細凹凸形状が形成されてお
り、凹凸面に入射した光は色光毎に分離して回折する。
金属蒸着層が除去された部分は回折効果を生じないの
で、物品の表面状態を観察することができ、物品が印刷
物等である場合はその図柄を視認することができる。サ
ーマルヘッド用リボンとして使用する場合も同様に使用
され、基材11側からサーマルヘッドで加熱してHS剤
により紙面等に貼着して転写すると同時に基材11を剥
離する。
【0015】図2、図3は、変色性蒸着印刷物の製造工
程を示す断面図、図4は、変色性蒸着印刷物の他の形態
の製造工程を示す断面図である。まず、図2(A)のよ
うに、耐熱性が高く比較的に伸縮の少ない基材11上に
剥離層12を介してまたは介さずに放射線硬化型樹脂組
成物13を塗工する。剥離層は硬化した樹脂組成物が基
材に対して易剥離性である場合、あるいは前記のように
剥離を目的としない場合は設ける必要はない。剥離を容
易とするためには2〜3μm以下の薄層に形成すること
が好ましい。放射線硬化型樹脂組成物13の塗布厚は、
0.5〜5.0μm程度が好ましい。剥離層12や樹脂
組成物13の塗布はグラビアコート、ダイコート、ロー
ルコート、バーコート等で行うことができる。続いて、
図2(B)のように紫外線、電子線等の放射線5を該硬
化型樹脂組成物13が完全には硬化しない程度に照射す
る。これにより樹脂層は半硬化した状態の樹脂層13s
となる。半硬化状態とするためには、通常の硬化条件の
20〜50%程度の照射量で十分である。
【0016】硬化状態は、赤外線吸収スペクトルによる
分析で、照射前後の不飽和結合の減衰を見ることにより
判断することができる。実験的には、完全に硬化した状
態に比して架橋密度が不足した状態であって、不飽和結
合比が未硬化状態の40%以上残存することが好結果を
得ることが確認されている。不飽和結合比が40%以下
の場合は硬化が進み過ぎて、次の熱過程での伸びが十分
には生じないからである。また、全く放射線照射しない
場合の加熱のみでは硬化に時間がかかり塗膜として安定
しないからである。
【0017】次に、図2(C)のように硬化型樹脂層1
3上に金属蒸着層14を設ける。金属蒸着は、アルミニ
ュウム、クロム、ニッケルあるいは銀等の光輝性の単一
成分の金属か青銅、真鍮、白銅等の合金もしくは酸化
物、硫化物等の金属化合物を使用することもできる。合
金は着色もしくは薄膜の反射率を調整する場合に用い
る。金属化合物を使用する場合は、その選択により透明
または半透明性の蒸着層にできる効果がある。金属蒸着
層14の厚みは、光を反射できれば良く薄層であること
が好ましいので100〜2000Å程度とする。蒸着層
を透明または半透明の反射蒸着層とする場合には、蒸着
面からの反射光と蒸着層を透してその下面の印刷図柄等
の双方を合わせて視認することができ特殊な装飾効果を
発揮することができる。
【0018】この状態で、基材およびその上に形成され
た半硬化状態の樹脂層をオーブン等の加熱装置に導入し
て100°C〜170°C程度、好ましくは120°C
〜150°C程度の温度で1分間程度強熱すると、放射
線硬化型樹脂層は熱硬化もするので完全に硬化するが、
その際、樹脂層と蒸着金属層に一定の方向性を有する筋
状の微細凹凸形状が発生する。この現象の理由は詳細に
解明されてはいないが、加熱負荷直後であって室温に戻
る前であっても当該形状が発生していることから、加熱
の際に樹脂層に伸びを生じ、その伸びが基材の伸び率よ
りは大きいため樹脂層に微細な凹凸形状が形成されると
解される(図2(D))。
【0019】凹凸のピッチや形状、方向性等は基材の特
性や剥離層の有無、樹脂組成物によっても変化する。ま
た、基材の延伸特性や組成物の塗布条件によっても変化
するので一定の形状とするためにはそれらの条件を管理
する必要がある。一般に延伸して熱固定した基材は熱収
縮が小さく、未延伸の場合または延伸しても熱固定しな
い基材では熱収縮が大きく生じる。延伸した場合も一軸
延伸か二軸延伸かによって収縮の方向に違いが生じる。
基材のこれらの伸びや収縮特性と半硬化した放射線硬化
型樹脂組成物との伸び率との関係が凹凸形状に影響する
ことになる。また、加熱時にシートに負荷される張力の
問題もあるので一該にどの方向にどのように凹凸形状が
生じると定めることはできない。しかし、同一のシート
で無負荷の張力状態で熱処理した場合にも凹凸形状が発
生するので加熱時の張力の影響のみではないと解され
る。以上のように種々の変化要因があるが、一定条件で
製造された基材を使用して所定の塗布材料を同一条件で
塗工して加工すれば、ほぼ一定の色変化を与える媒体が
得られるので工業的に量産する上での問題はない。
【0020】微細凹凸形状は加熱を除去して室温に冷却
しても樹脂層の凹凸形状はそのまま残るので、金属蒸着
層の微細凹凸形状14pもそのまま凹凸形状を維持して
縮緬状または筋状微細凹凸形状を発生して定着する。こ
の蒸着媒体自体であっても十分な装飾的効果を有するも
のであるが、本発明ではなお、一層の装飾効果を持たせ
るべく以下の加工を追加して施す。図2(E)のよう
に、微細凹凸形状が形成された金属蒸着層上に、アルカ
リ処理に耐久性のある印刷インキを用いて印刷カラーイ
ンキまたは透明インキによる印刷層15を施す。印刷イ
ンキは通常転写した状態では直接視認できない側になる
が透明インキであれば印刷物全体の透明性を高めること
ができ透明蒸着膜を使用した場合には有利である。次
に、この印刷インキまたは透明インキ15をレジストと
として金属蒸着層14をエッチングするためにアルカリ
温湯液中にフィルム全体を通過させると印刷インキの無
い部分の金属層は溶解して消失する。したがって金属蒸
着層は完全に印刷層と同調したパターンとなる。アルカ
リ溶液には、通常1〜数%程度の濃度の荷性ソーダ溶液
が使用される(図3(F))。
【0021】この状態で金属蒸着面にヒートシール剤や
粘着剤16を施せば転写箔やラベルとして使用すること
ができ、転写と同時にまたは転写後、任意の絵柄を箔押
ししてパターンを形成することもできる。また、ヒート
シール剤を塗布して数ミリから数センチ幅の長尺リボン
状に細断すればサーマルヘッドによる熱転写リボンとし
て使用することができる(図3(G))。
【0022】図4は、微細凹凸形状と重畳してホログラ
ムパターンや回折格子パターンを設ける場合の製造工程
を示している。この場合は、基材11上に剥離層12を
介してまたは介さずに放射線硬化型樹脂組成物13を塗
工した後、予め別の工程で感光性樹脂にホログラム露光
してエッチングによりパターン形成したホログラム版面
にニッケルメッキを施してホログラムマイクロエンボス
を移し取って作製したホログラム型版17を押しつけて
(図4(B))、ホログラムパターンを写しとる。放射
線硬化型樹脂は未硬化の状態でホログラム型の型押しが
なされるので、ホログラム型を正しく写し取るためには
組成物13の表面硬度がやわらかい状態である必要があ
り、硬化前の鉛筆硬度が6B〜2Bで、硬化後にはF〜
2Hになることが望ましい。連続的な工程ではホログラ
ム型版の型押しはロール状に形成された型版と押圧ロー
ルとの間で行われることになる。
【0023】ホログラム型を複製した後、紫外線、電子
線等の放射線5を該硬化型樹脂組成物13が完全に硬化
しない程度に照射する。これにより樹脂層は半硬化した
樹脂層13sとなる(図4(C))。次に、樹脂層13
s上に金属蒸着を行う。金属蒸着は、図2の場合と同様
に行う(図4(D))。この状態で、基材およびその上
に形成された半硬化状態の樹脂層をオーブン等の加熱装
置に導入して100°C〜170°C、好ましくは12
0°C〜150°C程度の温度で1分間程度強熱するこ
とにより、金属蒸着層14と硬化した樹脂層13面には
型押しによるホログラムパターン17pと微細凹凸形状
14pが複合して出現する(図4(E))。その後の工
程は、図2または図3の場合と同様である。ホログラム
パターンは回折格子パターンあっても同様であり、この
場合は研削等により形成した回折格子型版を使用する。
【0024】図5は、剥離層を設けない場合の微細凹凸
形状の表面状態を示す図である。印刷工程前の金属蒸着
層表面の状態を示している。図5(A)はその平面図、
図5(B)は図5(A)のXY両端間におけるAFM
(デジタル インストゥルメント株式会社製「ナノスコ
ープ3」)で測定した表面の凹凸チャートを示してい
る。図5(A)において、XY間は50μmである。図
5(B)は当該XY間の表面状態凹凸を示すチャート
で、微細凹凸形状の凹凸間平均ピッチは、1.953μ
m、*1と*2間の高低差は、157.13nmと測定
されている。凹凸形状は機械的研削またはフォトエッチ
ング技術等により作った回折格子パターンよりはランダ
ム性が大きいが、光学的に撮影して作ったホログラムパ
ターンとは同程度の縞模様を形成しているように見られ
る。ただし、深さ方向のランダム性は大きくなる(深さ
の制御は効かない)傾向になる。
【0025】図6は、剥離層を設けた場合の表面状態を
示す図である。図6(A)はその平面図、図6(B)は
図6(A)のPQ両端間における同一測定器によるチャ
ートを示す。図6(A)において、PQ間は58μmで
ある。図6(B)は当該PQ間の表面状態凹凸を示すチ
ャートで、微細凹凸形状の凹凸間平均ピッチは、1.3
67μm、*3と*4間の高低差は、43.253nm
と測定される。上記は、基材の厚み、剥離層以外の条件
は同一であり、剥離層がある場合は、凹凸ピッチ、深さ
も縮小する傾向が認められる。凹凸のピッチ間隔は比較
的に均一であるが、深さの制御が困難と見られるのは図
5と同様である。なお、上記チャートは、後述の実施例
1と実施例2のものであるが、基材シートには厚み、5
0μm(図5)と25μm(図6)のポリエステルシー
トを使用し、ウェブ状原反の流れ方向はチャートの走査
方向に平行にされている。
【0026】このような微細凹凸形状は通常の回折格子
とほぼ同一の条件で角度色変化効果を生じる。図5にお
いて、平均凹凸ピッチ間隔を格子定数d(d=1.95
3μm)として計算すると、波長λ、入射角θ、回折角
φとの関係において回折光の明部が生ずる角度では以下
の(1)の関係式が成立する。 d(sinθ−sinφ)=mλ (1) m=1,λ=550×10-9m(緑色光),d=1.9
53×10-6m 入射角θ=45°で白色光を照射した場合、sinφ=
0.451となり、回折角φ=25.2度となる。同様
にλ=650×10-9m(赤色光)では、φ=22.0
度、λ=450×10-9m(青色光)では、φ=28.
5度となる。
【0027】このようにして形成した蒸着媒体は、物品
の表示ラベルとして基材11を剥離しないでそのまま使
用することができ、また転写箔として基材を剥離して例
えば塩化ビニールカード基材に任意の絵柄で転写するこ
とができ、カード上にホログラムやパール印刷と同様の
効果を持つ角度依存変色性絵柄を形成できる。また、ホ
ットスタンプ用の転写箔として使用すれば、スタンプに
任意の形状を設けて箔押しと同時に凹凸形状またはホロ
グラム形状の一部を押圧して色変化部分を消失した状態
とすることができる。さらにまた、剥離層12およびヒ
ートシール剤16にガラス転移点の低い樹脂を使用し、
前記のように細幅に裁断してリボン加工することによ
り、箔押しよりは熱条件が低いサーマルヘッドを使用す
る熱転写プリンター用リボンとして使用することができ
る。
【0028】<材質に関する実施例> 基材シート 耐熱性が高く比較的に伸縮の少ない硬質の基材シートが
好ましい。例えば、延伸したまたは未延伸のポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共
重合体等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリメ
チルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニ
ル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エ
チレン/4フッ化エチレン共重合体等のポリフッ化エチ
レン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミ
ド、ポリエチレンナフタレート(PNT)、ポリイミ
ド、ポリサルフォン、ポリカーボネート、トリアセテー
ト、ポリビニルアルコール等のシートやフィルムであ
る。これらのシートまたはフィルムは単層であっても複
層であってもよく、基材厚みとしては、10〜100μ
m程度が好ましい。リボン化してサーマルヘッドによる
熱転写を行う場合は、極力薄厚のものが好ましく、10
〜25μm程度のものを推奨できる。
【0029】剥離層樹脂 剥離層用塗工樹脂としては、上記基材シートに対して製
造工程では接着状態を維持し使用時には易剥離性となる
材料を選択して使用することができる。例えば、基材が
PET樹脂であれば、メチルメタアクリレート系のアク
リル樹脂をトルエン溶剤に溶解して使用することができ
る。
【0030】放射線硬化型樹脂組成物 本発明に使用する放射線硬化型樹脂組成物は、ラジカル
重合性を有し、常圧、20°C〜100°Cの温度で液
状の不飽和エチレン系モノマー10〜100重量部に対
し、光ラジカル重合開始剤と増感剤を0.05〜10重
量部、不飽和エチレン系オリゴマーを100重量部配合
してなることを特徴とする。本発明の放射線硬化型樹脂
組成物に用いる不飽和エチレン系モノマーは、常圧、2
0°C〜100°Cの温度で液体の、ラジカル重合性を
持つもので、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメ
タアクリレート、2−ヒドロキプロピルアクリレート、
テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロキ
シフルフリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリ
レート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアリレー
ト、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリ
レートなどの各種アクリレートが例示できる。また、各
種ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アク
リルアミドであってもよい。なお、オリゴマーにはこれ
らの低重合度のものを使用することができる。
【0031】上記不飽和エチレン系モノマーは、常温、
常圧での感光性樹脂の取扱いに際してモノマー状態を保
持する必要があるため、常圧、20°C〜100°Cの
温度で液状であることを必要とする。本発明に使用する
放射線硬化型樹脂組成物は、ホログラム露光するもので
はないのでホログラム撮影のために使用する高感度のホ
ログラム記録材料である必要はない。すなわち高感度の
ホログラム記録材料では、10〜100mJ/cm2
露光で記録可能のものも一般的に使用されていて、もち
ろんそのような感光材料でも使用可能であるが、本発明
の目的には極端に長時間の露光を要するもの以外、低感
度のものでも十分である。
【0032】次に、光ラジカル重合開始剤としては、ベ
ンゾインアルキルエーテル類、ケタール類、オキシムエ
ステル類、ベンゾフェノン、チオキサントン誘導体、キ
ノン、チオアクリドンなどの芳香族ケトン類、1,3−
ジ(t−ブチルジオキシルカルボニルベンゼン)、3,
3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカル
ボニル)ベンゾフェノンなどのパーオキシ酸エステル、
ヨードニウム塩類、ジアニン、ローダミン、サフラニ
ン、マラカイトグリーン、メチレンブルーなどのアルキ
ルまたはアルキルほう酸塩、鉄−アレーン錯体、ビスイ
ミダゾール類、N−アリールグリシンなどが例示でき
る。また、増感剤としては、種々の可視光増感剤、例え
ば、ミヒラーズケトンなどの芳香族アミン、キサンテン
系色素、チオピリリウム塩、メロシニン・キノリン系色
素、クマリン・ケトクマリン系色素、アクリジンオレン
ジ、ベンゾフラビン、ジアニン、フタロシアニン、ポル
フィン、ローダミン、サフラニン、マラカイトグリー
ン、メチレングリーン、などを例示できる。
【0033】上記光ラジカル重合開始剤と増感剤は、不
飽和エチレン系モノマー100重量部に対し、0.05
〜10重量部の割合で用いる場合が一般的には最も効果
的である。配合量が0.05重量部未満では、吸光量が
少なく効果がなく、10重量部を超えると、光の吸収が
過剰となり、硬化のための紫外光が照射されても開始剤
が周辺の高架橋された分子中に固定されて、ラジカルを
移動できなくなる問題が生じるからである。しかし、本
発明の変色性蒸着印刷物の製造では、放射線による硬化
時には完全な硬化状態とする必要はなく、熱をかけると
動く程度とすることが必要なため、寧ろ不完全な条件と
する必要がある。
【0034】ヒートシール剤 ホットメルト型、熱可塑性型の各種の材料を使用するこ
とができる。エポキシ樹脂系、酢酸ビニール系、ウレタ
ン系、塩ビ酢ビ系樹脂等のものが一般に使用されてい
る。 粘着剤 ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、SBR系、ポ
リイソブチレン系の接着成分に粘着付与剤や可塑剤等を
加えた溶剤型やエマルジョン型等各種の粘着剤を使用す
ることができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例につき、図1〜図4を
参照して説明する。 (実施例1)厚み50μmで、ウェブ状の2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製「ル
ミラー50T60」)に、剥離層を設けずに、下記組成
の紫外線硬化型樹脂組成物を厚み2μm塗布した。 (組成) 不飽和エチレン系モノマー 20重量部 不飽和エチレン系オリゴマー 80重量部 増感剤 0.3重量部 メチルエチルケトン 30重量部 この組成物の塗工時の粘度はザーンカップ♯3で測定し
て25°Cで、27秒であった。塗布後、メタルハライ
ドランプによる紫外線光を500mJ/cm2 照射して
組成物を半硬化状態にした。半硬化状態の架橋度をFT
−IR赤外分光光度計で測定したところ組成物の二重結
合の55%が未架橋状態であることが明らかになった。
【0036】半硬化した樹脂層13s上にアルミ蒸着層
400Åを形成する(図2(C))とともに、100°
Cの乾燥ゾーンに20秒以上流れるように制御したとこ
ろ、樹脂層およびアルミ蒸着層には、図5(A)のよう
にウェブの流れにほぼ直交した筋状微細凹凸形状が発生
した。この凹凸形状の平均ピッチは、1.953μm、
平均凹凸深さは、0.26μmであった。この金属蒸着
面は自然に角度に依存して変色する7色回折色彩を持つ
ようになった。微細凹凸形状が形成された金属蒸着層上
に、耐アルカリ性グラビアインキ(大日精化工業株式会
社製「VM−PEAL」)を用いてグラビア絵柄パター
ンを印刷した(図2(E))。次にこの印刷インキ15
をレジストととして1%のNaOH(荷性ソーダ)溶液
中にフィルム全体を通過させると印刷インキの無い部分
の金属層は溶解して消失した(図3(F))。
【0037】その後、アルミ蒸着層上にSBR系粘着剤
を厚み25μmに塗工し(図3(G))、蒸着印刷物を
完成した。このようにして作製した蒸着印刷物はラベル
として使用して十分な色変化効果を発揮することができ
た。
【0038】(実施例2)厚み25μmで、ウェブ状の
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株
式会社製「ルミラー25T60」)に剥離層として、メ
チルメタアクリレート系アクリル樹脂をトルエンに希釈
して厚み1μmに塗工した。その上に実施例1と同一の
紫外線硬化型樹脂組成物を厚み2μmに塗工した。な
お、塗工時の組成物の粘度も実施例1の場合と同一であ
った。塗布後、メタルハライドランプによる紫外線光を
500mJ/cm2 照射して組成物を半硬化状態にし
た。半硬化状態の架橋度をFT−IR赤外分光光度計で
測定したところ組成物の二重結合の52%が未架橋状態
であることが明らかになった。
【0039】半硬化した樹脂層13s上に、硫化亜鉛に
よるほぼ透明な金属蒸着層14を厚み400Åを形成し
た(図2(C))。その後、100°Cの乾燥ゾーンに
20秒以上流れるように制御したところ樹脂層および透
明蒸着層には、図5(A)のようにウェブの流れにほぼ
直交した筋状微細凹凸形状が発生した。この凹凸形状の
平均ピッチは、1.367μm、平均凹凸深さは、0.
31μmであった。微細凹凸形状が形成された金属蒸着
層上に、耐アルカリ性グラビア透明インキ(大日精化工
業株式会社製「VM−PEAL」)を用いてグラビア絵
柄パターンを印刷し(図2(E))、実施例1と同様に
アルカリ処理を行った(図3(F))。その後、透明反
射蒸着層上に塩酢ビ系ヒートシール剤を厚み4.0μm
に塗工し(図3(G))、蒸着印刷物を完成した。この
ようにして作製した蒸着印刷物は転写箔として使用して
塩化ビニールカード基材に任意の絵柄で転写し基材を剥
離したところ、カード上にホログラムやパール印刷と同
様の効果を持つ角度依存色柄を作製できた。また、蒸着
層が透明反射蒸着層となったため、蒸着層を透してカー
ド上の絵柄も観察することができ優れた装飾効果を発揮
した。
【0040】(実施例3)厚み16μmでウェブ状の2
軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式
会社製「ルミラー16S28」)に剥離層として、メチ
ルメタアクリレート系アクリル樹脂をトルエンに希釈し
て塗工した。その上に実施例1と同一の紫外線硬化型樹
脂組成物を厚み2μmに塗工した。なお、塗工時の組成
物の粘度も実施例1の場合と同一であった。塗布後、U
Vメタルハライドランプによる紫外線光を500mJ/
cm2 照射して組成物を半硬化状態にした。半硬化状態
の架橋度をFT−IR赤外分光光度計で測定したところ
組成物の二重結合の50%が未架橋状態であることが明
らかになった。つづいて、別の工程でレジスト樹脂にホ
ログラム露光を行いエッチングによりパターン形成した
ホログラム型版をニッケルメッキしてメッキ面にホログ
ラムマイクロエンボスを移し取って作製したホログラム
型版17を押しつけてホログラムを複製した後(図4
(B))、塗工樹脂に対して、UVメタルハライドラン
プによる紫外線を500mJ/cm2 照射して半硬化状
態にした。半硬化状態の架橋度をFT−IR赤外分光光
度計で測定したところ組成物の二重結合の50%が未架
橋状態であることが明らかになった。
【0041】半硬化した樹脂層13s上に、アルミ蒸着
層14を厚み400Åに形成した(図4(D))。その
後、100°Cの乾燥ゾーンに20秒以上流れるように
制御したところ、樹脂層およびアルミ蒸着層には、ウェ
ブの流れにほぼ直交した筋状微細凹凸形状が発生した
(図4(E))。この凹凸形状の平均ピッチは、1.6
54μm、平均凹凸深さは、0.29μmであった。微
細凹凸形状が形成された金属蒸着層上に、耐アルカリ性
グラビアインキ(大日精化工業株式会社製「VM−PE
AL」)を用いてグラビア絵柄パターンを印刷し実施例
1と同様にしてアルカリ処理を行った。その後、アルミ
蒸着層上に塩酢ビ系HS剤を厚み4.0μmに塗工し、
蒸着印刷物を完成した。
【0042】この蒸着印刷物は自然に角度に依存して変
色する7色回折色彩を持つとともに、ホログラムパター
ンと重畳した部分には複雑な色変化パターンが形成され
た。このようにして作製した蒸着印刷物を転写箔として
利用して塩化ビニールカード基材に任意の絵柄で転写し
基材を剥離したところ、カード上にホログラムやパール
印刷と同様の効果を持つ角度依存色柄を作製できた。ま
た、10mm幅の細幅に切断して熱転写用リボンとして
使用したところ角度依存色柄をサーマルヘッドで転写す
ることができた。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明の変色性蒸着印刷
物は、放射線硬化型樹脂組成物を半硬化状態で加熱した
際に表面に回折格子状の微細凹凸形状が発生するのを利
用して当該形状を金属蒸着層に定着させることで視角度
の変化により色変化を生じる変色性蒸着印刷物とするこ
とができた。このような蒸着印刷物は各種装飾材料や偽
造防止媒体として使用することができる。かかる媒体の
製造の従来方法は回折格子パターンやホログラムパター
ンの形成と複製工程を経て得られるため、製造コストの
高いものとなっていた。本発明の変色性蒸着印刷物の製
造方法では従来手法と全く異なる方法で同様の効果を発
揮する変色性蒸着印刷物を大量かつ低コストで製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の変色性蒸着印刷物とその使用状態を
示す斜視図である。
【図2】 本発明の変色性蒸着印刷物の製造工程を示す
断面図である。
【図3】 本発明の変色性蒸着印刷物の製造工程を示す
断面図である。
【図4】 本発明の変色性蒸着印刷物の他の形態の製造
工程を示す断面図である。
【図5】 剥離層を設けない場合の表面状態を示す図で
ある。
【図6】 剥離層を設けた場合の表面状態を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 変色性蒸着印刷物 11 基材 12 剥離層 13 放射線硬化型樹脂 13s 半硬化した樹脂層 13h 硬化した樹脂層 14 金属蒸着層 14p 微細凹凸形状 15 印刷層 16 ヒートシール剤または粘着剤 17 ホログラム型版
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C005 HA01 HA19 JB08 JB09 LA19 LA20 LA30 2H113 AA04 BA21 BA28 BB32 CA37 CA39 DA04 DA47 EA02 EA09 FA05 FA09 FA29 FA42 2K008 AA00 AA13 BB00 DD14 EE04 FF14 GG05

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 観察する視角度により色彩が変化する変
    色性蒸着印刷物であって、基材上に、硬化した放射線硬
    化型樹脂組成物と、金属蒸着層と、印刷層と、が順次設
    けられており、当該金属蒸着層は印刷層と同調して設け
    られ、かつ放射線硬化型脂組成物が加熱された際の基材
    との伸びの差に基づく微細な凹凸形状が形成されている
    ことを特徴とする変色性蒸着印刷物。
  2. 【請求項2】 観察する視角度により色彩が変化する変
    色性蒸着印刷物であって、基材上に、硬化した放射線硬
    化型樹脂組成物と、金属蒸着層と、印刷層と、が順次設
    けられており、当該金属蒸着層は印刷層と同調して設け
    られ、かつホログラムパターンと放射線硬化型樹脂組成
    物が加熱された際の基材との伸びの差に基づく微細な凹
    凸形状とが、重畳して形成されていることを特徴とする
    変色性蒸着印刷物。
  3. 【請求項3】 観察する視角度により色彩が変化する変
    色性蒸着印刷物であって、基材上に、硬化した放射線硬
    化型樹脂組成物と、金属蒸着層と、印刷層と、が順次設
    けられており、当該金属蒸着層は印刷層と同調して設け
    られ、かつ回折格子パターンと放射線硬化型樹脂組成物
    が加熱された際の基材との伸びの差に基づく微細な凹凸
    形状とが、重畳して形成されていることを特徴とする変
    色性蒸着印刷物。
  4. 【請求項4】 放射線硬化型樹脂組成物が、不飽和エチ
    レン系モノマー10〜100重量部に対し、不飽和エチ
    レン系オリゴマーを100重量部配合してなるものであ
    ることを特徴とする請求項1から請求項3記載の変色性
    蒸着印刷物。
  5. 【請求項5】 基材と硬化した放射線硬化型樹脂組成物
    との間に剥離層を有することを特徴とする請求項1から
    請求項4記載の変色性蒸着印刷物。
  6. 【請求項6】 印刷層上に粘着剤層がさらに設けられて
    いることを特徴とする請求項1から請求項5記載の変色
    性蒸着印刷物。
  7. 【請求項7】 印刷層上にヒートシール剤層がさらに設
    けられていることを特徴とする請求項1から請求項5記
    載の変色性蒸着印刷物。
  8. 【請求項8】 金属蒸着層の金属が単一の金属組成から
    なることを特徴とする請求項1から請求項7記載の変色
    性蒸着印刷物。
  9. 【請求項9】 金属蒸着層の金属が合金からなることを
    特徴とする請求項1から請求項7記載の変色性蒸着印刷
    物。
  10. 【請求項10】 金属蒸着層の金属化合物からなること
    を特徴とする請求項1から請求項7記載の変色性蒸着印
    刷物。
  11. 【請求項11】 金属蒸着層が透明反射蒸着層であるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項7記載の変色性蒸着
    印刷物。
  12. 【請求項12】 変色性蒸着印刷物がサーマルヘッドに
    よる熱転写可能にリボン状に細断されされていることを
    特徴とする請求項7記載の変色性蒸着印刷物。
  13. 【請求項13】 観察する視角度により色彩が変化する
    変色性蒸着印刷物の製造方法であって、 伸縮の少ない基材上に放射線硬化型樹脂組成物を塗工
    する工程、 当該塗工された樹脂組成物が完全に硬化しない程度に
    放射線を照射して半硬化状態の樹脂層に変化させる工
    程、 半硬化状態の樹脂層表面に金属蒸着層を形成する工
    程、 基材および半硬化状態の樹脂層の全体を加熱処理する
    ことにより、樹脂層を完全に硬化させるとともに樹脂層
    および金属蒸着層に微細な凹凸形状を形成する工程、 金属蒸着層上に印刷層を設けて、当該印刷層をレジス
    トとして金属蒸着層のエッチングを行う工程、 を含むことを特徴とする変色性蒸着印刷物の製造方法。
  14. 【請求項14】 観察する視角度により色彩が変化する
    変色性蒸着印刷物の製造方法であって、 伸縮の少ない基材上に放射線硬化型樹脂組成物を塗工
    する工程、 放射線硬化型樹脂組成物の表面にホログラムパターン
    を転写する工程、 当該塗工された樹脂組成物が完全に硬化しない程度に
    放射線を照射して半硬化状態の樹脂層に変化させる工
    程、 半硬化状態の樹脂層表面に金属蒸着層を形成する工
    程、 基材および半硬化状態の樹脂層の全体を加熱処理する
    ことにより、樹脂層を完全に硬化させるとともに樹脂層
    および金属蒸着層に微細な凹凸形状を形成する工程、 金属蒸着層上に印刷層を設けて、当該印刷層をレジス
    トとして金属蒸着層のエッチングを行う工程、 を含むことを特徴とする変色性蒸着印刷物の製造方法。
  15. 【請求項15】 観察する視角度により色彩が変化する
    変色性蒸着印刷物の製造方法であって、 伸縮の少ない基材上に放射線硬化型樹脂組成物を塗工
    する工程、 放射線硬化型樹脂組成物の表面に回折格子パターンを
    転写する工程、 当該塗工された樹脂組成物が完全に硬化しない程度に
    放射線を照射して半硬化状態の樹脂層に変化させる工
    程、 半硬化状態の樹脂層表面に金属蒸着層を形成する工
    程、 基材および半硬化状態の樹脂層の全体を加熱処理する
    ことにより、樹脂層を完全に硬化させるとともに樹脂層
    および金属蒸着層に微細な凹凸形状を形成する工程、 金属蒸着層上に印刷層を設けて、当該印刷層をレジス
    トとして金属蒸着層のエッチングを行う工程、 を含むことを特徴とする変色性蒸着印刷物の製造方法。
  16. 【請求項16】 放射線硬化型樹脂組成物が、不飽和エ
    チレン系モノマー10〜100重量部に対し、不飽和エ
    チレン系オリゴマーを100重量部配合してなるもので
    あることを特徴とする請求項13から請求項15記載の
    変色性蒸着印刷物の製造方法。
  17. 【請求項17】 基材と硬化した放射線硬化型の樹脂組
    成物との間に剥離層を設けることを特徴とする請求項1
    3から請求項16記載の変色性蒸着印刷物の製造方法。
  18. 【請求項18】 金属蒸着層の金属が単一の金属組成か
    らなることを特徴とする請求項13から請求項16記載
    の変色性蒸着印刷物の製造方法。
  19. 【請求項19】 金属蒸着層の金属が合金からなること
    を特徴とする請求項13から請求項16記載の変色性蒸
    着印刷物の製造方法。
  20. 【請求項20】 金属蒸着層の金属化合物からなること
    を特徴とする請求項13から請求項16記載の変色性蒸
    着印刷物の製造方法。
  21. 【請求項21】 金属蒸着層が透明反射蒸着であること
    を特徴とする請求項13から請求項16記載の変色性蒸
    着印刷物の製造方法。
  22. 【請求項22】 加熱処理を100°C、20秒以上の
    条件で行うことを特徴とする請求項13から請求項16
    記載の変色性蒸着印刷物の製造方法。
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