JP2000266735A - 超音波探傷装置および超音波探傷方法 - Google Patents

超音波探傷装置および超音波探傷方法

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JP2000266735A JP11076851A JP7685199A JP2000266735A JP 2000266735 A JP2000266735 A JP 2000266735A JP 11076851 A JP11076851 A JP 11076851A JP 7685199 A JP7685199 A JP 7685199A JP 2000266735 A JP2000266735 A JP 2000266735A
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    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
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    • G01N2291/04Wave modes and trajectories
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベローズ部材の探傷技術を確立し、ベローズ
部材を備える部品の交換コストの低減を図るとともに、
ベローズ部材のクラックを原因とする装置の不具合の可
能性を低くする。 【解決手段】 検出部1から発射する超音波によってベ
ローズ部材Baを探傷する超音波探傷装置であって、検
出部1の一部であるとともにベローズ部材Baの凹部B
a1に挿入されてベローズ部材Baの凹面Ba2に超音
波を発射する検出ヘッド1aと、検出ヘッド1aを凹面
Ba2に沿って相対的に周回させる走査手段3とを備え
るように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検出部から発射す
る超音波によって、ベローズ部材を探傷する超音波探傷
装置および超音波探傷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ガスタービン等を備える装置で
の蒸気配管には、配管の熱収縮等を吸収する手段とし
て、蛇腹状のベローズ部材を有する伸縮管継手が用いら
れることがある。こうした伸縮管継手のベローズ部材
は、伸縮時の繰り返し応力による疲労等によって徐々
に、ベローズ部材の一部に傷(クラック)が生じること
が多い。こうしたクラックは、一般には、応力分布の特
性などによりベローズ部材の内側の凹面の中央部に生じ
る。そして、こうしたクラックが一定以上の大きさにな
ると、ベローズ部材が損傷する恐れが増大し、ガスター
ビン等の装置に不具合を生じさせてしまう可能性が大き
くなる。このため、従来、こうした装置では、ベローズ
部材を有する伸縮管継手を、所定の使用期間経過ごと
に、新しいものに交換するといったことを行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たように、所定の期間経過ごとに伸縮管継手を交換して
いると、ベローズ部材にクラックの生じていない伸縮管
継手、すなわち、まだ継続して使用可能な伸縮管継手ま
で交換する場合が生じるため、交換部品コストに多大な
無駄が生じてしまう。また、これまで、ベローズ部材の
クラックを探傷する技術が確立されていないので、所定
の期間が経過していない伸縮管継手であっても、ベロー
ズ部材のクラックによる損傷の恐れを拭い去ることがで
きず、そのため、ベローズ部材のクラックを原因とする
装置の不具合の可能性を低くすることは困難であった。
【0004】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、ベローズ部材の探傷技術を確立し、ベロー
ズ部材を備える部品の交換コストの低減を図るととも
に、ベローズ部材のクラックを原因とする装置の不具合
の可能性を低くすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に係る発明は、検出部から発射する超音波
によってベローズ部材を探傷する超音波探傷装置であっ
て、検出部の一部であるとともにベローズ部材の凹部に
挿入されてベローズ部材の凹面に超音波を発射する検出
ヘッドと、検出ヘッドを凹面に沿って相対的に周回させ
る走査手段とを備える技術が採用される。
【0006】この超音波探傷装置は、検出ヘッドが、ベ
ローズ部材の凹部に挿入された状態で、ベローズ部材の
凹面に超音波を発射しながら凹面に沿って相対的に周回
する。そのため、ベローズ部材でのクラックの発生場所
である凹面を超音波によって連続的に探傷することが可
能となる。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1の超音波
探傷装置において、ベローズ部材と検出部との間に水を
介在させるための給水手段を備える技術が採用される。
この超音波探傷装置では、給水手段によって、ベローズ
部材と検出部との間に水が介在するようになり、また、
超音波は空気中に比べて水中では減衰しにくいので、検
出部から発射された超音波がベローズ部材に届くまでの
間に減衰されにくくなる。
【0008】請求項3に係る発明は、請求項1または2
の超音波探傷装置において、走査手段は、ベローズ部材
の一端開口部に取り付けられる取付部と、取付部の内方
でベローズ部材の軸心を中心に回転自在に設置される回
転部と、ベローズ部材の軸方向へ移動自在に回転部に設
置されるシャフト部とを備え、検出部は、シャフト部の
一端に設置される技術が採用される。この超音波探傷装
置では、ベローズ部材の開口部の内方で回転する回転部
にシャフト部が設置され、このシャフト部の一端に検出
部が設置されるので、ベローズ部材の内側で検出部が周
回するようになる。また、シャフト部は、ベローズ部材
の軸方向へ移動自在に設置されるので、ベローズの凹部
ごとに検出部を移動させることが可能となる。
【0009】請求項4に係る発明は、請求項3の超音波
探傷装置において、シャフト部は、ベローズ部材の軸心
から偏心して回転部に設置される技術が採用される。こ
の超音波探傷装置では、シャフト部が偏心して回転部に
設置されているので、シャフト部自身を回転させること
で、シャフト部の一端に取り付けられた検出部の検出ヘ
ッドがベローズ部材の凹部に挿入されたり抜き出された
りするようになる。
【0010】請求項5に係る発明は、請求項3または4
の超音波探傷装置において、走査手段は、軸方向へのシ
ャフト部の移動先を位置決めするための位置決め手段を
備える技術が採用される。この超音波探傷装置では、位
置決め手段によって、軸方向へのシャフト部の移動先が
位置決めされるので、ベローズ部材の凹部から他の凹部
への検出部の移動を行うことが可能となる。
【0011】請求項6に係る発明は、超音波によって、
ベローズ部材を探傷する超音波探傷方法であって、ベロ
ーズ部材の凹面に沿って、超音波の発射場所を相対的に
周回させる技術が採用される。この超音波探傷方法は、
ベローズ部材の凹面に沿って超音波の発射場所を相対的
に周回させるので、ベローズ部材でのクラックの発生場
所である凹面を超音波によって連続的に探傷することが
可能となる。
【0012】請求項7に係る発明は、請求項6の超音波
探傷方法において、水を介してベローズ部材の凹面に超
音波を発射する技術が採用される。この超音波探傷方法
では、水を介してベローズ部材に超音波を発射するの
で、超音波が水を媒体とすることで減衰しにくくなる。
【0013】請求項8に係る発明は、請求項6の超音波
探傷方法において、軸心を水平にして設置されたベロー
ズの凹部の一部に水を溜めて、この水を介してベローズ
の凹面に超音波を発射するとともに、ベローズを回転さ
せる技術が採用される。この超音波探傷方法では、軸心
を水平にして設置されたベローズ部材の凹部の一部に水
を溜めて、この水を介して凹面に超音波を発射しながら
ベローズ部材を回転させることにより、凹部の一部のみ
に連続的に水を供給しながらベローズ部材を超音波探傷
することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図1〜図3を参照して説明する。図1は、本実施形態
の超音波探傷装置を、ベローズ部材を有する伸縮管継手
に取り付けた様子を示している。この図1において、符
号Bは伸縮管継手、符号1は検出部、符号2は制御手
段、符号3は走査手段、符号4は水槽をそれぞれ示し、
本実施形態の超音波探傷装置は、検出部1、制御手段
2、走査手段3、水槽4を主体として構成されている。
【0015】伸縮管継手Bが有するベローズ部材Ba
は、本実施形態では、円形(筒状)であり、ベローズ部
材Baの材質にはステンレス鋼が用いられている。伸縮
管継手Bは、ベローズ部材Baの中心軸Bm方向(上下
方向)の両端に連結用のフランジBbを備えていて、こ
の両端のフランジBbは、フランジBb同士の距離を定
めるように、ボルトナットBcで両者の外周面同士が結
ばれている。また、伸縮管継手Bは、中心軸Bmを垂直
方向に立てた状態で、超音波探傷装置が備える設置部材
10に搭載されることにより、水槽4内に設置されてい
る。
【0016】検出部1は、超音波を発射してベローズ部
材Ba内部で反射された超音波(エコー)を受信するも
のであり、制御手段2に接続されている。また、検出部
1は、略直方体状に形成されていて、その一面から棒状
に突出した検出ヘッド1aを備えている。この検出ヘッ
ド1aは、ベローズ部材Baの凹部Ba1に挿入され
て、先端部からベローズ部材Baの凹面Ba2へ超音波
を発射するようになっている。また、制御手段2は、図
示しない電源部、制御部およびモニタ2aを備え、検出
部1に受信されたエコーをモニタ2a上に表示するよう
になっている。
【0017】走査手段3は、検出ヘッド1aを凹面Ba
2に沿って周回させるためのものであり、ベローズ部材
Baの上端開口部のフランジBbに締結される取付部1
1と、取付部11の内方でベローズ部材Baの中心軸B
mを中心に回転自在に設置される回転部12と、中心軸
Bm方向(上下方向)へ移動自在に回転部12に設置さ
れるシャフト部13とを備えている。
【0018】このうち、取付部11は、中央部に凹部を
持つ円盤状に形成され、凹部にはベアリング14が嵌合
されている。さらに、取付部11の外側の端面には伸縮
管継手BのフランジBbに連結されるように所定のピッ
チ径でボルト孔が形成されている。
【0019】回転部12は、上部に段差面を有する略円
柱状に形成され、下部がベアリング14の孔に嵌合され
ている。これにより、回転部12は、ベローズ部材Ba
の中心軸Bmを中心として回転するようになっている。
回転部12の上端面には中心軸Bmから偏心した状態
で、回転時の保持手段となる取っ手15が設置されてい
る。また回転部12には、中心軸Bmから偏心した位置
に貫通孔12aが形成され、この貫通孔12aにシャフ
ト部13が挿入されている。
【0020】シャフト部13は、丸棒部材から形成され
ていて、下方の先端に検出部1が接合されている。さら
に、内部には検出部1と制御手段2とを接続するための
導体(図示なし)が配されている。また、シャフト部1
3には、中心軸Bm方向(上下方向)への移動先を位置
決めするための位置決め手段として、外周面に目盛13
aが刻まれている。この目盛13aは、ベローズ部材B
aの凹部Ba1同士のピッチ距離とほぼ同一ピッチで刻
まれている。また、シャフト部13には、シャフト部1
3と回転部12とを固定するための円筒状のソケット1
6が取り付けられている。
【0021】ソケット16は、内周面でシャフト部13
と当接し、下端面で回転部12の上端面と当接するよう
に配され、目盛13aをソケット16の上端面に合わせ
ることで、検出ヘッド1aがベローズ部材Baの凹部B
a1とほぼ同じ高さとなるようになっている。また、ソ
ケット16にはネジ孔が形成されていて、ボルト17を
ねじ込むことでソケット16とシャフト部13とを固定
するようになっている。さらにソケット16の下端面に
は、ソケット16の位置決め用の図示しないボールプラ
ンジャが設置されていて、回転部12に形成される位置
決め用のピン穴(図示なし)にボールプランジャの先端
部が挿入するようになっている。
【0022】水槽4は、ベローズ部材Baと検出部1と
の間に水を介在させるための給水手段であり、内部に伸
縮管継手Bを設置可能な所定の大きさで形成され、ベロ
ーズ部材Baがすべて浸るように内部に水が溜められる
ようになっている。これにより、ベローズ部材Baの凹
部Ba1すべてが水で充たされるようになっている。
【0023】次に、このように構成された超音波探傷装
置を用いたベローズ部材Baの超音波探傷方法の一例に
ついて、検出部1の動きを中心に図1〜図3を参照して
説明する。
【0024】超音波探傷を開始するにあたっては、検出
部1のキャリブレーションが前もって行われており、こ
れにより受信されるエコーの判定基準の校正が既に行わ
れているものとする。また、制御手段2の電源は予め投
入されており、検出部1から安定して超音波を発射して
いる状態にある。なお、本実施形態での超音波の波長に
は、10〜25MHzを用いている。
【0025】まず、水槽4内に検査対象の伸縮管継手B
を設置して水を溜める。このときの水の量は、伸縮管継
手Bのベローズ部材Baが水に十分に浸る量である。そ
して、ベローズ部材Baの凹部Ba1に気泡が残留して
いる場合は、伸縮管継手Bを動かすなどして凹部Ba1
に気泡が残らないようにする。なお、ここで超音波探傷
に水を用いるのは、ある大きさの波長以上の超音波は空
気中で著しく減衰してしまうので、媒体として水を用い
ることで超音波が減衰されにくくするためである。
【0026】次に、取付部11、回転部12、シャフト
部13、およびベアリング14等によって組み立てられ
た走査手段3を、伸縮管継手Bにボルトナットで締結す
る。このとき、シャフト部13は、回転部12のベロー
ズ部材Ba側から挿入され、ソケット16のボルト17
によって仮止めされる。またこのとき、シャフト部13
の下端に接合されている検出部1は、ベローズ部材Ba
と干渉しないように、図1の2点鎖線で示す検出ヘッド
1aを内方へ向けた状態で、ベローズ部材Ba内へ投入
される。
【0027】続いて、シャフト13に刻まれている目盛
13aのうち所定の目盛13aを、ソケット16の上端
面に合わせ、ボルト17でその位置を固定する。所定の
目盛13aをソケット16の上端面に合わせることで、
検出ヘッド1aが所定の凹部Ba1と同じ高さに配され
る。そして、シャフト部13自身を回転させて、内方に
向いている検出ヘッド1aを外方、すなわちベローズ部
材Ba側へ向ける。これにより、検出ヘッド1aがベロ
ーズ部材Baの凹部Ba1に挿入された状態となる。ま
たこのとき、検出ヘッド1aが正しく凹部Ba1へ挿入
されると、図示しないボールプランジャによってシャフ
ト部13が係止されて位置決めされるようになってい
る。
【0028】検出ヘッド1aを凹部Ba1に挿入した
後、取っ手15を動かして回転部12を回転させる。こ
れにより、シャフト部13およびシャフト部13の下端
に接合されている検出部1が、ベローズ部材Baの中心
軸Bmを中心として周回する。
【0029】ここで図2は、図1に示すA−A断面図で
ある。シャフト部13は中心軸Bmに偏心して設置され
ており、図2に示すように、検出部1は、中心軸Bmを
中心に所定のピッチ円周P1上を周回し、これにともな
って超音波を発射する検出ヘッド1aがベローズ部材B
aの凹面Ba2に沿って周回する。
【0030】そして、図3は検出ヘッド1aから発射さ
れた超音波(Uw)の様子を示す模式図である。図3に
示すように、検出ヘッド1a内に備えられた素子1bか
ら発射された超音波(Uw)は、検出部1(検出ヘッド
1a)とベローズ部材Baとの間の水(W)を介して、
ベローズ部材Baの凹面Ba2で屈折し、そして、ベロ
ーズ部材Ba内部を反射しながら進んでいく。ベローズ
部材Ba内部を進んだ超音波(Uw)の一部は、ベロー
ズ部材Ba内部のいずれかの部分で反射され、反射され
た超音波の一部は、再び素子1bへ戻ることになる。ま
た、超音波(Uw)の経路上に傷(クラックCR)があ
ると、クラックCRによって超音波の一部が反射され
て、進んできた経路を逆に戻り、その超音波(エコー)
が素子1bに受信される。
【0031】ところで、ベローズ部材Baでは、一般
に、応力分布の特性などによりほぼ凹面Ba2の中央部
にクラックCRが生じることが分かっている。そこで、
本実施形態では、クラックCRが生じる凹面Ba2の中
央部に超音波が当たるように、超音波の進路計算を元に
素子1bの角度などが設定されている。そして、超音波
の進路を元に、発射された超音波がクラックCRで反射
され、再び素子1bで受信されるまでの時間差(受信時
間差)が予め算出されている。すなわち、この受信時間
差で受信されたエコーは、クラックCRで反射されたも
のである可能性が極めて高いことになる。
【0032】また、超音波は、クラックCRが大きいほ
どクラックCRで反射される超音波が多くなり、モニタ
2aに強く現れるようになる。よって、モニタ2aに表
示される所定の受信時間差範囲内のエコーの大きさで、
ベローズ部材BaのクラックCRの大きさを相対的に推
定できることになる。
【0033】そして、検出ヘッド1aをベローズ部材B
aの凹面Ba2に沿って周回させながら、制御手段2の
モニタ2aによって受信されるエコーの状態を確認し、
所定の受信時間差範囲内に所定の判断基準以上のエコー
が現れるか否かを連続的に検査する。このとき、所定の
判断基準以上のエコーが現れた場合は、そのときのエコ
ーの大きさを記録するとともに、エコーが現れた探傷場
所を記録する。そして、検出ヘッド1aを一周させるこ
とで、一つの凹部Ba1の探傷が終了する。
【0034】一つの凹部Ba1の探傷が終了すると、次
の凹部Ba1の探傷を行う。まず、シャフト部13を回
転させて検出ヘッド1aを再び内方に向けた後、シャフ
ト部13を中心軸Bm方向(上下方向)に移動させる。
目盛13aピッチは、凹部Ba1同士のピッチとほぼ同
じ距離で刻まれているので、次の目盛13aをソケット
16の上端面に合わせることで、検出ヘッド1aが次の
凹部Ba1と同じ高さになる。そして、上述した動作と
同様に、検出ヘッド1aを凹面Ba2に沿って回転させ
て超音波探傷を行う。こうした一連の動作を各凹部Ba
1ごとに繰り返して行うことによって、ベローズ部材B
aの凹部Ba1のすべてを探傷する。
【0035】図4は、ベローズ部材Baの凹面Ba2の
中央部に人工的に形成した3種類のクラックCRを、上
述した実施形態の超音波探傷装置および方法によって探
傷し、そのときのモニタ2aでの出力表示を示してい
る。そして、図4において、 (a):クラックCRの形成されていない健全部 (b):長さ1.0mm,深さ0.3mm,幅0.07
mmのクラックCR1 (c):長さ1.5mm,深さ0.5mm,幅0.07
mmのクラックCR2 (d):長さ2.0mm,深さ0.7mm,幅0.07
mmのクラックCR3 を探傷した結果をそれぞれ示している。また、探傷時の
周波数は15MHzであり、横軸は受信時間差を距離に
換算したもの(単位:mm)、縦軸はエコーの大きさ
(単位:%)を示している。
【0036】この図4を見ると、横軸24〜26(m
m)の領域において、(a)では検出されていなかった
エコーが、(b)(c)(d)に進むに従って大きく検
出されていることが分かる。すなわち、この領域で検出
されているエコーがベローズ部材Baの凹面Ba2に形
成されたクラックCRであると推定され、そして、クラ
ックCR1からクラックCR2、そしてクラックCR3
へと、クラックCRが大きくなるに従い、前述したよう
にモニタ2aに強くエコーが現れている。これにより、
本実施形態で示した装置および方法によって、ベローズ
部材BaのクラックCRを探傷可能であることが分か
る。
【0037】このように本実施形態では、ベローズ部材
Baの取付部11の内方で回転する回転部12にシャフ
ト部13が設置され、このシャフト部13の下端に検出
ヘッド1aを有する検出部1が設置されるので、ベロー
ズ部材Baの内側で検出部1が周回するとともに、検出
ヘッド1aがベローズ部材Baの凹面Ba2に挿入され
た状態で、凹面Ba2に超音波を発射しながら凹面Ba
2に沿って周回することになり、ベローズ部材Baでの
クラックの発生場所である凹面Ba2を超音波によって
連続的に探傷することができる。さらに、ベローズ部材
Baの内側で検出部1による探傷動作が行われるので、
ベローズ部材Baの周囲の状態に制約されることなく小
さなスペースで容易にベローズ部材Baを超音波探傷す
ることができる。
【0038】よって、ベローズ部材Baの探傷技術を実
現できるとともに、ベローズ部材BaのクラックCRの
様子を探ることが容易となるので、ベローズ部材Baの
クラックCRを原因とする装置の不具合の可能性を低く
することができる。また、クラックの生じている伸縮管
継手Bのみを新しいものと交換するといったことが可能
となるので、交換部品コストを大幅に低減することがで
きる。
【0039】また、本実施形態では、水槽4に水を溜め
ることによって、ベローズ部材Baと検出部1との間に
水を介在させているので、ベローズ部材Baと検出部1
との間で超音波が減衰しにくくなり、確実に安定してベ
ローズ部材Baを探傷することができる。
【0040】さらに、シャフト部13が偏心して回転部
12に設置されているので、シャフト部13自身を回転
させることで、シャフト部13の下端に接合された検出
部1の検出ヘッド1aがベローズ部材Baの凹部Ba1
に挿入されたり抜き出されたりするようになる。そのた
め、複雑な機構を必要とすることなく、シンプルな構造
で検出ヘッド1aを凹部Ba1から抜き出して他の凹部
Ba1へ挿入するといったことを実現できる。
【0041】また、本実施形態では、目盛13aによっ
てシャフト部13の移動先が位置決めされるので、ベロ
ーズ部材Baの凹部Ba1から他の凹部Ba1への検出
ヘッド1aの移動を確実に行うことができる。このた
め、ベローズ部材Ba内側の検出部1の動きが目視にて
確認できない場合でも、確実に、検出部1をベローズ部
材Baの凹部Ba1へ移動させることができる。
【0042】なお、本実施形態では、円形のベローズ部
材Baに対して超音波探傷を行っているが、ベローズ部
材は円形に限るものではなく、矩形であってもよい。ベ
ローズ部材が矩形の場合は、走査手段を、例えば検出部
を矩形に周回させるような矩形の走査溝を備える構成と
することで適用可能となる。また、ベローズ部材の材質
も本実施形態で示したステンレス鋼に限るものではな
く、ベローズ部材に用いられる材質に応じて制御手段を
調節することにより、軟鋼やゴム材質といった材質にも
対応することが可能である。そのため、超音波探傷に用
いられる波長も本実施形態で示した10〜25Hzに限
られるものではない。
【0043】また、本実施形態では、一つの検出部1を
用いてベローズ部材Baの凹部Ba1を順に探傷してい
るが、複数の検出部を用いてもよい。検出部を複数とす
ることで、探傷作業に要する時間を低減するといったこ
とが可能となる。
【0044】さらに、本実施形態では、回転部12を人
が回転させて検出部1を周回させていたが、これはもち
ろん、例えば電動モータ等の駆動手段を用いて、自動的
に検出部1を回転させたり、あるいは、ベローズ部材B
aの軸方向(上下方向)へ移動させるといったことを行
ってもよい。これにより、より正確に検出部1の位置決
めが行えるようにすることが可能となるととともに、探
傷に要する労力を大幅に低減することが可能となる。
【0045】また、本実施形態のように、ベローズ部材
Ba内部側から探傷するのではなく、外側から探傷する
といった構成でも本発明は適用可能である。この場合、
一般には、探傷するためのスペースが大きくなったり、
探傷装置が大きくなったりする。しかしながら、ベロー
ズ部材Baを装置の配管部から取り外すことなく、超音
波探傷可能な構成とすることで、伸縮管継手Bの脱着・
取付のための労力を低減させることが可能となる。
【0046】さらには、本実施形態のように、検出ヘッ
ド1aを周回させるのではなく、ベローズ部材Baを回
転させることによって、検出ヘッド1aを凹面Ba2に
沿って相対的に周回させてもよい。この場合、例えば、
走査手段3をベローズ部材Baに取り付けるのではなく
ベローズ部材Baと独立した構成とすることで、一つの
走査手段3で大きさの異なる複数種類のベローズ部材B
aの超音波探傷を行うことが可能となる。
【0047】また、本発明の超音波探傷装置の他の実施
形態として、軸心を水平にして設置されたベローズ部材
の凹部の一部、すなわち下側に配される凹部に水を溜め
て、この水を介してベローズ部材の凹面に超音波を発射
するともに、このベローズ部材を回転させるような構成
としてもよい。この実施形態では、軸心を水平にしてベ
ローズ部材が設置されることで、ベローズ部材の凹部の
一部にのみ水が溜まるようになり、そして、この水を介
して凹面に超音波を発射しながらベローズ部材を回転さ
せることにより、凹部の一部のみに連続的に水を供給し
ながらベローズ部材を超音波探傷できるようになる。こ
のため、前述した実施形態のように、水槽を用いてベロ
ーズ部材を水中に浸水させるといった必要がなく、小さ
なスペースでベローズ部材を超音波探傷することができ
る。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
以下の効果を得ることができる。請求項1に係る超音波
探傷装置は、検出ヘッドが、ベローズ部材の凹部に挿入
された状態で、ベローズ部材の凹面に超音波を発射しな
がら凹面に沿って相対的に周回するので、ベローズ部材
でのクラックの発生場所である凹面を超音波によって連
続的に探傷することができる。このため、ベローズ部材
の探傷技術を実現できるとともに、ベローズ部材のクラ
ックCRの様子を探ることが容易となるので、ベローズ
部材のクラックを原因とする装置の不具合の可能性を低
くすることができる。また、クラックの生じている伸縮
管継手のみを新しいものと交換するといったことが可能
となるので、交換部品コストを大幅に低減することがで
きる。
【0049】請求項2に係る超音波探傷装置では、給水
手段によって、ベローズ部材と検出部との間に水が介在
するようになり、ベローズ部材と検出部との間で超音波
が減衰されにくくなるので、確実に安定してベローズ部
材を探傷することができる。
【0050】請求項3に係る超音波探傷装置では、ベロ
ーズ部材の開口部の内方で回転する回転部にシャフト部
が設置され、このシャフト部の一端に検出部が設置さ
れ、また、シャフト部がベローズ部材の軸方向へ移動自
在に設置されるので、ベローズ部材の内側で検出部が周
回するとともに、ベローズの凹部ごとに検出部を移動さ
せることができるようになり、ベローズ部材の超音波探
傷を実現することができる。また、ベローズ部材の内側
で検出部による探傷動作が行われるので、ベローズ部材
の外側の状態に制約されることなく小さなスペースで容
易にベローズ部材を超音波探傷することができる。
【0051】請求項4に係る超音波探傷装置では、シャ
フト部が偏心して回転部に設置されているので、シャフ
ト部自身を回転させることで、シャフト部の一端に取り
付けられた検出部の検出ヘッドがベローズ部材の凹部に
挿入されたり抜き出されたりするようになり、検出ヘッ
ドを凹部へ挿入する動作を容易に行える。そのため、複
雑な機構を必要とすることなく、シンプルな構造で検出
ヘッドを凹部から他の凹部へ移動させることができる。
【0052】請求項5に係る超音波探傷装置では、位置
決め手段によって、軸方向へのシャフト部の移動先が位
置決めされるので、ベローズ部材の凹部から他の凹部へ
の検出部の移動を確実に行うことができる。このため、
ベローズ部材内側の検出部の動くが目視にて確認できな
い場合でも、確実に、検出部を所定の位置に移動させる
ことができる。
【0053】請求項6に係る超音波探傷方法は、ベロー
ズ部材の凹面に沿って超音波の発射場所を相対的に周回
させるので、ベローズ部材でのクラックの発生場所であ
る凹面を連続的に探傷することができる。
【0054】請求項7に係る超音波探傷方法では、水を
介してベローズ部材の凹面に超音波を発射する技術が採
用される。この超音波探傷方法では、水を介してベロー
ズ部材に超音波を発射するので、超音波が水を媒体とす
ることで減衰しにくくなり、確実に安定してベローズ部
材を探傷することができる。
【0055】請求項8に係る超音波探傷方法では、水平
に設置されたベローズ部材の凹部の一部に水を溜めて、
この水を介して凹面に超音波を発射しながらベローズ部
材を回転させることにより、凹部の一部のみに連続的に
水を供給させながらベローズ部材を超音波探傷すること
ができる。このため、水槽等を用いてベローズ部材を水
中に浸水させるといった必要がなく、小さなスペースで
ベローズ部材を超音波探傷することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を伸縮管継手に取り付け
た様子を示す側面図である。
【図2】 図1に示すA−A断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態の検出ヘッドから発射さ
れた超音波の様子を示す模式図である。
【図4】 本発明の一実施形態による探傷結果を示す説
明図である。
【符号の説明】
B 伸縮管継手 Ba ベローズ部材 Ba1 凹部 Ba2 凹面 Bm 中心軸 1 検出部 1a 検出ヘッド 3 走査手段 4 水槽(給水手段) 11 取付部 12 回転部 13 シャフト部 13a 目盛(位置決め手段)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出部から発射する超音波によってベロ
    ーズ部材を探傷する超音波探傷装置であって、 前記検出部の一部であるとともに前記ベローズ部材の凹
    部に挿入されて該ベローズ部材の凹面に超音波を発射す
    る検出ヘッドと、 該検出ヘッドを前記凹面に沿って相対的に周回させる走
    査手段とを備えることを特徴とする超音波探傷装置。
  2. 【請求項2】 前記ベローズ部材と前記検出部との間に
    水を介在させるための給水手段を備えることを特徴とす
    る請求項1記載の超音波探傷装置。
  3. 【請求項3】 前記走査手段は、前記ベローズ部材の一
    端開口部に取り付けられる取付部と、該取付部の内方で
    該ベローズ部材の軸心を中心に回転自在に設置される回
    転部と、該ベローズ部材の軸方向へ移動自在に該回転部
    に設置されるシャフト部とを備え、 前記検出部は、該シャフト部の一端に設置されることを
    特徴とする請求項1または2記載の超音波探傷装置。
  4. 【請求項4】 前記シャフト部は、前記軸心から偏心し
    て前記回転部に設置されることを特徴とする請求項3記
    載の超音波探傷装置。
  5. 【請求項5】 前記走査手段は、前記軸方向への前記シ
    ャフト部の移動先を位置決めするための位置決め手段を
    備えることを特徴とする請求項3または4記載の超音波
    探傷装置。
  6. 【請求項6】 超音波によって、ベローズ部材を探傷す
    る超音波探傷方法であって、 前記ベローズ部材の凹面に沿って、超音波の発射場所を
    相対的に周回させることを特徴とする超音波探傷方法。
  7. 【請求項7】 水を介して前記ベローズ部材の凹面に超
    音波を発射することを特徴とする請求項6記載の超音波
    探傷方法。
  8. 【請求項8】 軸心を水平にして設置された前記ベロー
    ズ部材の凹部の一部に水を溜めて、該水を介して該ベロ
    ーズ部材の凹面に超音波を発射するとともに、該ベロー
    ズ部材を回転させることを特徴とする請求項6記載の超
    音波探傷方法。
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