JP2000266655A - 近接場光プローブの製造方法及びその構造 - Google Patents

近接場光プローブの製造方法及びその構造

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JP2000266655A
JP2000266655A JP11073722A JP7372299A JP2000266655A JP 2000266655 A JP2000266655 A JP 2000266655A JP 11073722 A JP11073722 A JP 11073722A JP 7372299 A JP7372299 A JP 7372299A JP 2000266655 A JP2000266655 A JP 2000266655A
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optical fiber
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conical
core
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JP11073722A
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Tomoshi Nishikawa
智志 西川
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コア部の先端部のテーパ角が、先端部以外の
側面部のテーパ角より大きくなり、光の透過効率の高い
近接場光照射/検出用プローブを、汎用の安価な光ファ
イバを用いて製造する方法を提供する。 【解決手段】 光ファイバ先端部のコア部をエッチング
して円錐状の第1円錐部を形成するに際し、エッチング
液のメニスカスを用いてエッチングすることにより、ク
ラッド部の先端部も同時に細くすることができ、その後
に光ファイバの先端部をエッチング液に浸してエッチン
グすることにより、第1円錐部の基端側に隣接して円錐
面のテーパ角が第1円錐部より小さい第2円錐部を形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近接場光を照射、
検出するための近接場光プローブに関し、特に、光ファ
イバを用いた透過効率の高い近接場光プローブの製造方
法及びその構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図12は、微小な開口部から近接場光を
発生する従来構造の近接場光プローブの断面図であり、
図13は、近接場光プローブの先端部の拡大図である。
これらの図において、近接場光プローブは光ファイバ1
からなる。光ファイバ1は、その中心軸に沿って伸びる
コア部2と、このコア部2の外周面を覆うクラッド部3
とを有する。コア部2は、光ファイバ1の一端におい
て、クラッド部3の端面から突出しており、その突出部
分は略円錐状に尖鋭化されている。この突出部分(尖頭
部2a)と、その近傍に位置するクラッド部3の表面部
分は、アルミニウム等の金属被覆層9で覆われている。
ただし、尖頭部2aの先端を覆う金属被覆層部分は適宜
手段により除かれて露出しており、これにより光の出射
口が形成されている。なお、尖頭部2aの出射口の大き
さは、コア部2を伝送される光の波長よりも小さく、例
えば、直径50〜100nm程度である。この近接場光
プローブを用いて、例えば、被検体から情報を読み取る
場合、図12に示すように、光ファイバ1の先端を被検
体に接近して配置する。光ファイバ1の先端と被検体と
の距離は、例えば出射口の径にほぼ等しくする。この状
態で、コア部2を介して伝送された光は、コア部2の先
端出射口を介して、微かな近接場光として出射される。
また、出射した光は被検体の表面で反射し、その反射光
が出射口を介してコア部2に送り戻される。いま、図示
するように、被検体の表面に凹凸が存在する場合、この
被検体から反射した光の強度が、その凹凸に対応して変
化する。従って、コア部2を通じて送り返される光の強
度を光検出器で検出することで、被検体の凹凸、すなわ
ち被検体の情報を読み取ることができる。このような近
接場光プローブは、従来、コア部にGeO2をドープし
た可視光用光ファイバを用い、その先端部をエッチング
して尖頭部を形成し、さらに金属層を被覆して得られて
いる。このようにして形成した近接場光プローブが、例
えば、アプライド・フィジックス・レターズ68巻、2
612−2614頁(1996年)に記載されている。
また、このようにコア部を尖頭化した近接場光プローブ
は、尖頭部のテーパ角(中心軸と外周面とのなす角)が
大きいほど、コア部での伝導損失を小さくでき、先端出
射口から出射される光の強度、すなわち透過効率(先端
出射口から出射される光の強度/光ファイバに導入され
て先端出射口に向かって送られる光の強度)が大きくな
ることが報告されている。そこで、先端出射口近傍のテ
ーパ角を大きくするために、先端出射口の近傍に第1の
テーパ角を有する第1の円錐部を形成すると共に、この
第1の円錐部の基端側(先端出射口と反対側)に第1の
テーパ角よりも小さな第2のテーパ角を有する第2の円
錐部を隣接して形成し、これにより透過効率を改善した
もの(2段テーパ構造)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような2
段テーパ構造を得るためには、第1の円錐部と第2の円
錐部に対応して、コア部分にドープするGeO2の量を
変えなければならない。しかし、コア部分にドープする
GeO2の量を局部的に変えることは容易ではないし、
そのような汎用性に欠ける光ファイバの製造は極めて高
価である。また、GeO2のドープされた光ファイバは
紫外線を吸収する。そのため、このような光ファイバ
は、紫外線を利用した検出には利用できない。逆に、紫
外線を利用した検出を可能にするために、コア部に石英
ガラスを用いた光ファイアでは、第1のテーパ角を十分
に大きくすることができず、そのために実質的に2段テ
ーパ構造は得られなかった。以上のことから、従来の近
接場光プローブでは、光ファイバの内部を尖頭部に向か
って伝送される光の強度に対する、この尖頭部の出射口
を介して光ファイバから出射される光の強度が極めて小
さく(約105分の1程度)、具体的に、光源に半導体
レーザを用いた場合、近接場光の強度は、nWからμW
以下の微弱なものであった。
【0004】そこで、本発明は、コア部の先端部のテー
パ角が、先端部以外の側面部のテーパ角より大きくな
り、光の透過効率の高い近接場光照射/検出用プローブ
を、汎用の安価な光ファイバを用いて製造する方法を提
供することを目的とする。特に、コア部にGeO2が添
加されない紫外光用プローブの製造にも適用できる方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、発明者は鋭意研
究の結果、光ファイバ先端部のコア部をエッチングして
円錐状の第1円錐部を形成するに際し、エッチング液の
メニスカスを用いてエッチングすることにより、クラッ
ド部の端部も同時に細くすることができ、その後に光フ
ァイバの先端部をエッチング液に浸してエッチングする
ことにより、第1円錐部の基端側に隣接して第1円錐部
よりもテーパ角の小さい第2円錐部を形成できることを
見出し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は、コア部とクラッド部とか
らなる光ファイバの先端部をエッチングして略円錐状の
尖頭部を形成し、次に上記尖頭部を被覆し、続いて上記
尖頭部の頂点を露出させる近接場光プローブの製造方法
であって、上記尖頭部を形成する工程が、上記クラッド
部に対するエッチング速度が上記コア部に対するエッチ
ング速度より大きいエッチング液と、上記エッチング液
より比重が小さくかつ上記エッチング液に対して非混和
性の有機溶媒とを1つの容器内に準備する工程と、上記
光ファイバの一端をほぼ垂直下方に移動してエッチング
液に接触させて、上記光ファイバの周囲にメニスカスを
形成しながら持ち上げた状態で保持し、これによりコア
部の先端に第1テーパ角を有する第1円錐部を形成する
とともに、上記クラッド部の先端を、端部が細くなった
円錐状とする第1エッチング工程と、上記光ファイバの
一端をこれがエッチング液と有機溶媒との界面から所定
の距離下方に位置するように上記エッチング液に浸け、
これにより上記コア部の先端であって第1円錐部の基端
側にこれと隣接して第1テーパ角よりも小さな第2テー
パ角を有する第2円錐部を形成する第2エッチング工程
とを備えることを特徴とする近接場光プローブの製造方
法である。かかる製造方法を用いることにより、従来方
法のように、コア部に添加するGeO2の濃度を変える
ことなく、先端部のテーパ角(2θ1)が、基端部のテ
ーパ角(2θ2)よりも大きくなる2段テーパ構造の近
接場光プローブを作製することが可能となるからであ
る。特に、従来方法が適用できなかった、コア部が酸化
ケイ素からなる紫外線用マルチモードファイバにも本製
造方法を適用することができ、2段テーパ構造の近接場
光プローブを作製することが可能となる
【0007】上記第1エッチング工程は、上記メニスカ
スを形成した状態で、上記光ファイバを上昇させながら
上記先端部をエッチングして、上記コア部をエッチング
して上記第1円錐部とするとともに、上記クラッド部の
先端部を表面が凸面状の円錐状にエッチングする工程で
あり、上記第1エッチング後に上記第2のエッチングを
行うことにより、上記第2円錐部を、表面が凸面状の円
錐部とするものであっても良い。第2円錐部をこのよう
な形状とすることにより、試料表面の走査時に障害とな
る部位がプローブ先端にない構造が得られるとともに、
伝搬光を基端部のコア部側面で反射させることにより先
端方向に伝搬する伝搬光の量を増加させ、光の透過効率
が高い近接場光プローブを形成することができるからで
ある。
【0008】上記第2エッチング工程は、上記光ファイ
バの先端部を、上記コア部のエッチング速度に対する上
記クラッド部のエッチング速度の比が順に大きくなるよ
うに選択した複数のエッチング溶液に浸して、少なくと
も上記コア部を、端部から順にテーパ角が小さくなるよ
うに連続した複数の円錐部にエッチングする工程である
っても良い。かかる製造方法により、コア部を、その円
錐面の中心軸に対するテーパ角が、端部から順に小さく
なるように連続した複数の円錐部にエッチングすること
により、試料表面の走査時に障害となる部位がプローブ
先端にない構造が得られるとともに、基端部のコア部側
面で反射され先端方向に伝搬する光量を増加させ、光の
透過効率が高い近接場光プローブを形成することができ
るからである。
【0009】また、本発明は、コア部とクラッド部とか
らなる光ファイバの先端部をエッチングして略円錐状の
尖頭部を形成し、次に上記尖頭部を被覆し、続いて上記
尖頭部の頂点を露出させる近接場光プローブの製造方法
であって、上記尖頭部を形成する工程が、上記クラッド
部に対するエッチング速度が上記コア部に対するエッチ
ング速度より大きい複数のエッチング液を準備する工程
と、上記光ファイバの先端部を、上記コア部のエッチン
グ速度に対する上記クラッド部のエッチング速度の比が
順に大きくなるように選択した複数の上記エッチング液
に順に浸して、上記コア部を、そのテーパ角が、端部か
ら順に小さくなるように連続した複数の円錐部にエッチ
ングすることを特徴とする近接場光プローブの製造方法
でもある。かかる製造方法を用いることによっても、コ
ア部を、その円錐面の中心軸に対するテーパ角が、端部
から順に小さくなるように連続した複数の円錐部にエッ
チングすることが可能となるからである。
【0010】上記連続した複数の円錐部は、ほぼ表面が
凸面状の円錐部として形成することが好ましい。基端部
のコア部側面で反射され先端方向に伝搬する光量を増加
させ、光の透過効率が高い近接場光プローブを形成する
ことができるからである。
【0011】上記複数のエッチング液は、第1エッチン
グ液と、上記コア部に対する上記クラッド部のエッチン
グ速度の比が上記第1エッチング液より大きい第2エッ
チング液とからなり、上記光ファイバの先端部を第1エ
ッチング液に浸し、上記コア部の端部を、第1テーパ角
を有する第1円錐部にエッチングする工程と、上記光フ
ァイバの先端部を第2エッチング液に浸し、上記第1円
錐部の基端側にこれに隣接して上記第1テーパ角よりも
小さい第2テーパ角を有する第2円錐部を形成する工程
とを備えるものであっても良い。かかる製造方法を用い
ることによっても、従来方法のように、コア部に添加す
るGeO2の濃度を変えることなく、先端部分のテーパ
角(2θ1)が、基端部のテーパ角(2θ2)よりも大
きくなる2段テーパ構造の近接場光プローブを作製する
ことが可能となるからである。
【0012】また、本発明は、上記光ファイバの先端部
を被覆金属層で覆い、上記コア部の円錐部頂点が露出す
るように上記被覆金属層を開口する工程を備える製造方
法でもある。
【0013】上記光ファイバは、コア部が石英ガラスか
らなるものであっても良い。即ち、従来方法とは異な
り、本製造方法は、コア部が酸化ケイ素からなる光ファ
イバにも適用可能である。
【0014】上記コア部に、酸化ゲルマニウムが均一に
添加されたものであっても良い。即ち、従来方法とは異
なり、本製造方法は、コア部に、酸化ゲルマニウムが均
一の添加された光ファイバにも適用可能である。
【0015】また、本発明は、近接場光の検出や照射に
用いる近接場光プローブであって、クラッド部より突出
した酸化ケイ素からなるコア部を備えた光ファイバと、
光ファイバの先端部を覆う被覆金属層とからなり、上記
コア部の先端部が、その円錐面が第1テーパ角を有する
第1円錐部と、上記第1円錐部の基端側にこれに隣接し
て連続して形成され、上記第1テーパ角よりも小さい第
2テーパ角を有する第2円錐部からなり、上記第1円錐
部の頂点を、上記被覆金属層に設けた開口部から露出さ
せたことを特徴とする近接場光プローブでもある。かか
る2段テーパ構造の近接場光プローブでは、第1円錐部
のテーパ角(2θ1)が大きくなっているので、光ファ
イバの内部を伝搬する光は、減衰を受ける伝搬距離が小
さく、減衰を小さくし、光の透過効率を高くすることが
できる。また、第2円錐部のテーパ角(2θ2)が小さ
くなっているので、凹凸の大きい試料表面の走査時に障
害となる部位がプローブ先端になく良好に走査できる。
【0016】上記コア部は、酸化ゲルマニウムが均一に
添加されたものであっても良い。
【0017】上記第2円錐部の表面は、凸面状の曲面で
あっても良い。
【0018】上記クラッド部は、先端部において、その
端部ほど細くなったことが好ましい。凹凸の大きい試料
表面の走査時に障害となる部位がなく、良好に走査でき
るからである。
【0019】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の実施の形
態1について、図1から図3を参照して説明する。これ
らの図は、本発明に係る近接場光プローブの製造方法及
びそれに使用する製造装置の概略を示す。製造装置23
は容器24を有する。容器24には、エッチング液4
(例えば、フッ化水素酸)と、このエッチング液4より
も比重が小さくかつこのエッチング液に対して非混和性
の有機溶媒5(例えば、n−テトラデカン)を収容して
いる。なお、図中、エッチング液4と有機溶媒5の界面
が、符号6で表わされている。容器24の側部には、光
ファイバ1を鉛直方向に向けて保持すると共に、この光
ファイバ1を鉛直方向に微動させるための垂直微動機構
8が設けてある。光ファイバ1には、例えば、コア部2
が石英ガラスで作られたものを用いる。一方、クラッド
部には、コア部との屈折率差を設けるために、クラッド
部の石英ガラスにフッ素等がドープされている。従っ
て、エッチング液を選択することにより、両者のエッチ
ング速度を異なるようにすることができる。光ファイバ
1は、マルチモード光ファイバでもよいし、シングルモ
ード光ファイバでもよい。
【0020】近接場光プローブの製造にあたって、まず
図1(a)に示すように、容器24が用意され、これに
上述のエッチング液4と有機溶媒5が収容される。光フ
ァイバ1は、垂直微動機構8により、有機溶媒5上でほ
ぼ垂直に保持される。
【0021】次に、図1(a)、(b)に示すように、
垂直微動機構8を作動し、光ファイバ1を下降する。な
お、光ファイバ1の端面7と界面6との間隔が約0.5
mm程度になるまでは、目視により観察しながら下降さ
せることができる。しかし、間隔がその値より小さくな
ると、垂直微動装置8で光ファイバ1を下降し、光ファ
イバ1の端面7をほぼ界面6に一致させる。その結果、
表面張力によりエッチング液5が光ファイバ1の先端側
外周面に沿って上昇し、その回りにメニスカス22が形
成される。
【0022】次に、図2(c)に示すように、クラッド
径125μmの光ファイバを用いる場合、垂直微動機構
8により光ファイバ1を例えば60μmだけ引き上げ
る。引き上げ距離は微小であるため、光ファイバ1の側
面に形成されたエッチング液5のメニスカス22は維持
されたままである。かかる状態で、例えば、990秒間
保持することにより、光ファイバ1の先端部のエッチン
グを行う。
【0023】この結果、図2(d)に示すように、コア
部2の端部がクラッド部3から突出し、その突出部に第
1テーパ角を有する第1円錐部が形成され、またクラッ
ド部の側壁にも端部が細くなるようにテーパが形成され
る。このように、光ファイバ1の先端部において、コア
部2は円錐状にエッチングされる。これは、コア部2の
エッチング速度がクラッド部3のエッチング速度より小
さいために、光ファイバ1の先端面で、クラッド部3の
上昇速度(エッチング速度)とコア部2の上昇速度(エ
ッチング速度)との間に差が生じ、これによりコア部2
の側壁が露出されて、側壁方向からもコア部2がエッチ
ングされるためである。一方、光ファイバ1の先端部に
おいて、クラッド部3は端部が細くなったテーパ状にエ
ッチングされる。これは、メニスカス22の高さは、光
ファイバ1の直径に比例するため、光ファイバ1のエッ
チングが進んで光ファイバ1の直径が小さくなると、メ
ニスカス22の高さも低くなり、光ファイバ1の先端部
でエッチング液5に接触している高さも徐々に低くなっ
てくるからである。従って、光ファイバ1の先端部のク
ラッド部3の側壁では、エッチングが進んで光ファイバ
1が細くなるに従って、エッチング液4のメニスカス2
2の上端が下降し、先端部が細くなった円錐状にエッチ
ングされることとなる。
【0024】次に、図3(e)に示すように、光ファイ
バ1を下げて、先端部を界面6より下に位置させてエッ
チング液4に浸し、それまで有機溶媒に接していたため
にエッチングされなかった部分も含めてエッチングを行
う。エッチング時間は、例えば、990秒間である。こ
の時、クラッド部3の先端側の円錐状部分の存在によ
り、第1円錐部の基端側(図の上端側)にあるコア部2
のエッチング量に差を生じることにより、光ファイバ1
の先端部には、テーパ角(2θ1)の第1円錐部と、か
かる第1円錐部の基端側に隣接し、テーパ(2θ2)の
第2円錐部とを備えた2段テーパ構造が形状される。
【0025】図3(f)は、図1(a)(エッチング
前)、図2(d)、図3(e)の各工程終了時の光ファ
イバ先端部の形状を示し、矢印(a)、(d)、(e)
で示す線は各工程終了後の形状を示す。
【0026】最後に、エッチング液4から光ファイバ1
を取り出し、水、次にアルコールを用いて光ファイバ1
を順に洗浄する。
【0027】エッチング終了後、この上に金属被覆層9
を成膜する。金属被覆層9の材料としては、例えば、ア
ルミニウムを用いることができ、バックグラウンドの光
を遮光できるように、膜厚は約200nmとする。成膜
は、真空蒸着、スパッタ、無電解メッキ等を用いて行な
うことができる。真空蒸着の場合、成膜は光ファイバを
回転させながら光ファイバ1の側面から行う。これによ
り、光ファイバ1のプローブ先端の金属被覆の膜厚が小
さくなるように成膜することができる。その後、金属被
覆層9に微小な開口部10を形成する。開口部10の開
口径は、光の波長より小さく、例えば、100nm程度
であることが好ましい。開口部10の形成はイオンビー
ム加工やエッチング、機械的加工などを用いて金属被覆
層9の先端を除去して開口することにより行なう。
【0028】このような製造方法を用いることにより、
従来方法のように、コア部2に添加するGeO2の濃度
を変えることなく、先端部の第1円錐部のテーパ角(2
θ1)が、第1円錐部の基端側に隣接して設けた第2円
錐部のテーパ角(2θ2)よりも大きくなる2段テーパ
形状の近接場光プローブを作製することが可能となる。
かかる2段テーパ構造の近接場光プローブでは、光ファ
イバ1の内部を伝搬する光は、2段テーパの先端部で非
伝搬光となって減衰を受けつつ開口部10に達するが、
先端部のテーパ角(2θ1)が大きくなっているので、
減衰を受ける伝搬距離が小さく、減衰を小さくし、光の
透過効率を高くすることができる。
【0029】一方、基端部のテーパ角(2θ2)が小さ
くなっているので、凹凸の大きい試料表面に対しても、
従来の単一円錐形状を有するプローブ(図12)と同様
に、試料表面の走査時に障害となる部位がプローブ先端
になく良好に走査できる。
【0030】また、基端部の側面で反射され先端方向に
伝搬する光量が増加するので、全入射光に対する出射光
の割合、即ち光の透過効率を高くすることができる。こ
のように、光の利用効率の高い近接場光プローブを形成
することができる。
【0031】このような2段テーパ構造のプローブは、
GeO2を、SiO2からなるコア部に、均一に添加した
ファイバを用いても形成できる。GeO2を添加した光
ファイバの場合、エッチング液4には、フッ化水素酸溶
液ではなく、フッ化水素酸、水、NH4F水溶液の混合
液を用いる。フッ化水素酸の濃度は48wt%、NH4
F水溶液の濃度は40wt%である。NH4F水溶液の
混合比を変えることにより、Ge2Oを添加したコア部
のエッチング速度が変わり、円錐部のテーパ角(2θ
1)を調整することができる。フッ化水素酸、水、NH
4F水溶液の体積比を、1:1:Xとした場合、X>1.
7の範囲で、Xが大きくなるほど円錐部のテーパ角(2
θ1)が小さくなる。図3(g)に示す2段テーパ構造
のプローブは、GeO2が添加されたコア部のテーパ角
(2θ1)が、基端側のテーパ角(2θ2)より大きく
なるようにエッチングされる条件に混合比を調整した場
合、即ち、例えば、1.7<X<3とした場合に得られ
る。
【0032】実施の形態2.本発明の実施の形態2につ
いて、図2を参照して説明する。図1に示す部材、部分
と同一に部材、部分には、同一の符号を付す。光ファイ
バ1には、例えば、コア部にGeO2が添加されていな
い紫外光用のマルチモードファイバを用いる。
【0033】本実施の形態にかかる製造方法では、上述
の実施の形態1と同様に、まず、図4(a)に示すよう
に、光ファイバ1を界面6に対して鉛直方向になるよう
に、垂直微動装置8で設置する。続いて、界面6と光フ
ァイバ端面7との間隔が、目視で0.5mm程度となる
まで、光ファイバ1を下降させ、その後、垂直微動機構
8によって徐々に両者の間隔を近づけ、両者が接触した
時点で停止させる。
【0034】このように、光ファイバ1の端面7を界面
6に接触させることにより、図4(b)に示すように、
エッチング液4のメニスカス22が、光ファイバ1の側
面に形成される。この場合、メニスカス22の高さh
は、上述のようにファイバ径に比例し、 h=k×d(μm) と表すことができる。ここで、本実施の形態の場合、 k=3.12 d:ファイバ径 125μm である。定数kの値は、エッチング液4と有機溶媒5の
組み合わせによって決定される。
【0035】次に、図5(c)に示すように、光ファイ
バの端面7と、界面6とを接触させた後、垂直微動機構
8により、光ファイバ1を長さLだけ下げて、光ファイ
バ1の先端部をエッチング液4に浸す。かかる状態か
ら、エッチング時間をTとし、光ファイバ1の上昇速度
を時間tの関数としてf(t)とした場合、 f(t)=V0−αt (0≦t≦T) を満足するように、光ファイバ1を時間Tの間だけ、上
昇させる。ここで、V0は初期の移動速度、αは移動速
度の変化率である。ここで、移動速度は、 V0T−1/2・αT2= L+(d−a)/2 (μ
m) の関係を満たすように設定する。ここでdは光ファイバ
のクラッド径、aはエッチングプロセスのパラメータで
あり実験的に定められる値である。更に、時刻Tにおい
て、移動速度f(T)が0になるように、即ち、停止す
るように、 α=V0/T とすることが、基端部の曲面部分の長さを短くして、プ
ローブの透過効率を大きくする上で望ましい。
【0036】エッチング時間は、メニスカス22の上端
が光ファイバ1の端部7に達して、エッチングが自動的
に停止するまでの時間であり、エッチング開始時の光フ
ァイバ1の位置設定を注意深く行えば、良好な再現性を
得ることができる。これらのパラメータの値は、具体的
には、 L=0μm a=5μm V0=0.121 μm/s α=1.22 ×10-4 μm/s2 T=990sec となるように選択することが好ましい。この時、エッチ
ングで形成された光ファイバのクラッド部3の側面は、
図5(d)に示すように円錐面が凸面状の円錐部11に
なっている。上記パラメータの値を変えることにより、
エッチングにより形成される円錐部11の形状を制御す
ることができる。例えば、Lを大きくすることにより、
円錐部11が細長い形状になる。尚、円錐部11の形状
は、放物線状の円錐面を有することが好ましい。
【0037】次に、図6(e)に示すように、光ファイ
バ1の先端部をエッチング液4に浸してエッチングを行
うことにより、テーパ角(2θ1)の先端部の円錐部
と、かかる円錐部の基端側に隣接し、テーパ角が(2θ
1)より小さい円錐部12とを備えた近接場光プローブ
が得られる。なお、後半のエッチング(図6(e)に示
すエッチング)を行っても、前半のエッチング(図5
(c)、(d)に示すエッチング)によって形成された
クラッド部3の曲面形状は維持されることとなる。
【0038】図6(f)に、図4(a)エッチング前、
図5(d)、図6(e)の各時点におけるファイバ先端
の形状を示す。図中、矢印(a)、(d)、(e)で示
すのは、各エッチング工程終了後の光ファイバ1の先端
部の形状である。尚、あらかじめエッチングまたは延伸
等により、径を細くしたファイバを用いてプローブの作
製を行う場合には、上述した後半のエッチングの時間を
短縮することにより、同様に、テーパ角(2θ1)の円
錐部と、かかる円錐部の基端側に隣接した表面が凸面状
の円錐部とを備えた近接場光プローブを形成することが
できる。
【0039】エッチング終了後、エッチング液4から光
ファイバ1を取り出し、水、次にアルコールを用いて、
順に、光ファイバ1を洗浄する。その後に、Al等の金
属からなる、金属被覆層9を蒸着等により形成し、その
先端部をエッチング等により開口して開口部10を形成
し、近接場光プローブが完成する。
【0040】本実施の形態にかかる近接場光プローブで
は、上記実施の形態1の場合と同様に先端部のテーパ角
(2θ1)が大きくなっているので、減衰を受ける伝搬
距離が小さく、光の透過効率を高くすることが可能とな
る。また、先端部の円錐部に隣接した基端部のテーパ角
が小さくなっているので、凹凸の大きい試料表面に対し
ても、試料表面の走査時に障害となる部位がプローブ先
端になく、良好に走査できる。また、基端部が、凸面状
の表面を有する円錐となっているため、基端部を光が伝
搬する場合に、側面で反射され先端方向に伝搬する光量
が増加するので、光ファイバ1への全入射光に対する出
射光の割合、即ち、光の透過効率を高くすることができ
る。従って、光の利用効率の高い近接場光プローブを形
成することが可能となる。
【0041】実施の形態3.本発明の実施の形態3につ
いて、図7を参照して説明する。図1に示す部材、部分
と同一に部材、部分には、同一の符号を付す。又、エッ
チング液16としては、フッ化水素酸、水、NH4F水
溶液の混合液を用いる。本実施の形態では、光ファイバ
1に、コア部2にGeO2を添加した市販のGeO2ドー
プコアファイバを用いる。かかるGeO2ドープコアフ
ァイバを用いた場合、NH4F水溶液の混合比を変える
ことにより、コア部2の先端部をエッチングして形成し
た円錐部の円錐面のテーパ角を制御できることが報告さ
れている。
【0042】そこで、本実施の形態にかかる製造方法で
は、図7(a)において、エッチング液16として、N
4F水溶液の混合比の異なる2種類のエッチング液を
準備する。そして、まず第1に、円錐面のテーパ角が大
きくなるような混合比としたエッチング液を用いて、光
ファイバ1の先端部のエッチングを行う。エッチング時
間は、最初125μm程度であったクラッド部の直径
が、60μm程度に減少するまで行う。かかるエッチン
グ後において、コア部2は、円錐面が所定のテーパ角を
有する第1円錐部にエッチングされている。
【0043】次に、円錐面のテーパ角が大きくなるよう
な混合比にしたエッチング液を用いて、光ファイバ1の
先端部を再度エッチングする。エッチングが進むにつれ
て、第1円錐部の基端側に隣接したコア部2が、円錐面
のテーパ角の小さい円錐にエッチングされ、第2円錐部
が形成される。これにより、テーパ角の異なる第1円錐
部と第2円錐部とが隣接して形成された2段テーパ構造
のコア部2を形成することができる。図7(b)は、エ
ッチング前、最初のエッチング後、エッチング終了後の
光ファイバ1の先端部の形状を示したものである。図か
らわかるように、光ファイバ1の先端部は、エッチング
が進むにつれて円錐状となり、小さくなる。ここで、プ
ローブ内での光の伝送損失を小さくし、透過効率を高く
するためには、クラッド部の直径が伝搬モードが存在で
きる径より大きい部分(基端側)では、テーパ角の小さ
い円錐状とし、クラッド部の直径が伝搬モードが存在で
きる径より小さい部分(先端側)では、テーパ角の大き
い円錐状とすることが好ましい。本実施の形態では、エ
ッチング液の濃度や、エッチング時間を調節することに
より、このうように透過効率の高いプローブ形状とする
ことが可能となる。特に、エッチングに際して、実施の
形態1と同じように、エッチング液16とともに、エッ
チング液16より比重が小さく非混和性の有機溶媒を用
いることが好ましい。これにより、エッチング液16か
らフッ化水素酸が蒸発するのを防止することができるか
らである。尚、金属被覆層および開口部(図示せず)の
形成は、実施の形態1と同様の方法で行う。
【0044】かかる製造方法を用いることにより、図7
(b)に示すような、2段テーパ構造の近接場光プロー
ブを作製することができる。光ファイバ内部を伝搬する
光は、プローブの先端部で非伝搬光となって減衰しつつ
開口部に達すが、本実施の形態にかかるプローブでは、
基端部のテーパ角を小さく、先端部のテーパ角を大きく
形成しているので、減衰を受ける伝搬距離が短くなり、
光の透過効率を高くすることができる。また、基端部の
テーパ角が小さくなっているので、凹凸の大きい試料表
面に対しても良好に走査することができる。また、上記
実施の形態2の場合と同様に、基端部で反射され先端方
向に伝搬する光の量が増加するため、全入射光に対する
出射光の割合、即ち透過効率を高くすることができる。
このように、本実施の形態にかかる製造方法を用いるこ
とにより、光の透過効率の高い近接場光プローブを作製
することが可能となる。
【0045】実施の形態4.本発明の実施の形態4につ
いて、図8を参照して説明する。本実施の形態では、上
記実施の形態3と同じ工程により近接場光プローブを作
成するが、実施の形態3では2工程であったエッチング
工程を、本実施の形態4では3工程以上とする。それぞ
れのエッチング工程には、NH4Fの混合率の異なるエ
ッチング液が用いられる。混合比の異なる複数のエッチ
ング液は、光ファイバ1をエッチングした場合、円錐面
のテーパ角がしだいに小さくなるような順で用いられ
る。
【0046】このように、光ファイバ1の先端部のエッ
チングに用いるエッチング液の種類を増加させて、順に
エッチングを行うと、エッチング液の種類の数だけ、テ
ーパ角を順に変えた円錐面を得ることができる。エッチ
ング液をより多く使用することにより、プローブの表面
形状を、放物線状に近づけることができる。図8は、4
種類のエッチング液を用いて、順次、エッチングを行っ
た場合の、各エッチング工程における光ファイバ1の先
端部の形状を示すものである。エッチング終了後のコア
部2の先端部は、ほぼ、表面が凸面状の円錐体となって
いる。尚、金属被覆層および開口部(図示せず)は、実
施の形態1と同様に方法により形成する。
【0047】このように、コア部2の形状が、ほぼ、表
面が凸面状の円錐体形状になっているプローブ、特に、
放物線状になっているプローブでは、コア部2を伝搬す
る伝搬光を、その凸面の焦点の位置に集光することがで
き、光の利用効率を増大させることができる。加えて、
光の集光位置に開口部を設けることにより、出射光の強
度が増大し、入射光に対する出射光の割合、即ち透過効
率の高いプローブを形成することができる。
【0048】実施の形態5.本発明の実施の形態5につ
いて、図9から図11を参照して説明する。図1に示す
部材、部分と同一に部材、部分には、同一の符号を付
す。16はフッ化水素酸と水とNH4F水溶液の混合液
からなるエッチング液であり、フッ化水素酸の濃度は4
8wt%、NH4F水溶液の濃度は40wt%である。
【0049】本実施の形態にかかる製造方法では、図9
(a)に示すように、エッチング液16は、光ファイバ
1の先端部がエッチングされて形成される円錐体のテー
パ角が小さくなるような組成(例えば、フッ化水素酸:
水:NH4F=1:1:10(体積比))に調整する。
光ファイバ1には、例えば、可視光用のシングルモード
GeO2ドープコアファイバを用いる。まず、図9
(a)に示すように、エッチング液16と有機溶媒5と
の界面6に対して光ファイバ1を鉛直方向に設置する。
続いて、界面6と光ファイバ1の端面7との間隔が0.
5mm程度まで、目視により接近させ、その後、垂直微
動機構8を用いて両者の間隔を近づけ、両者が接触した
時点で移動を停止する。
【0050】かかる状態では、図9(b)に示すよう
に、界面6と端部7との接触により、光ファイバ1の側
面に、エッチング液16のメニスカス22が形成され
る。
【0051】次に、図10(c)に示すように、垂直微
動機構8によって光ファイバ1を一定距離、例えば60
μmだけ引き上げる。引き上げ距離が小さいため、光フ
ァイバ1の側面に形成されたメニスカス22は、そのま
ま維持されている。この状態のまま、一定時間、例えば
120分間保持し、第1エッチングを行う。
【0052】かかる第1エッチングは、実施の形態1で
説明したメカニズムと同じメカニズムで進行し、図10
(d)に示すように、光ファイバ1のコア部2の先端部
が円錐状にエッチングされる。一方、クラッド部3は、
メニスカス22の下降にともない先端部が細くなった円
錐状にエッチングされる。
【0053】このように、一定時間、第1エッチングを
続けた後、エッチング液の組成を、エッチングにより形
成される円錐面のテーパ角が大きくなるような組成(例
えば、フッ化水素酸:水:NH4F=1:1:1.7
(体積比))に変えて、光ファイバ1の先端部をエッチ
ングする。即ち、一定時間第1エッチングを行った後、
NH4Fの濃度の小さい順にエッチング液16を変え
て、第2エッチングから第5エッチングまでを行う。エ
ッチング液の組成は、フッ化水素酸:水:NH4Fの体
積比が、1:1:1.7から1:1:10の範囲で選択
される。それぞれのエッチング液の組成とエッチング時
間の一例を以下の表1に示す。
【0054】表1
【0055】第5エッチング終了後、エッチング液から
光ファイバ1を取り出し、水中、次にアルコール中で順
に洗浄する。
【0056】以上のようなエッチング処理によって、光
ファイバ1は、先端部の円錐部と、円錐部の基端側に隣
接した凸面状の表面からなる円錐部とに加工される。図
11は、エッチングの進行にともなう光ファイバ1の先
端部の形状変化を示すものである。最終的には、エッチ
ング終了時として表示した形状になる。最後に、かかる
光ファイバ1の先端部の上に、実施の形態1と同様の方
法で金属被覆層および開口部(図示せず)を形成する。
【0057】かかる製造方法を用いることにより、テー
パ角の小さな先端部の円錐部と、円錐部の基端側に隣接
した凸面状の表面の円錐部からなるコア部を備えた近接
場光プローブが得られる。光ファイバ1の内部を伝搬す
る光は、プローブの先端円錐部で非伝搬光となって減衰
を受けつつ開口部に達し、開口部からは、開口径程度の
領域にしか存在しない近接場光を形成する。図11に示
すプローブでは、先端部のテーパ角が大きくなっている
ので、減衰を受ける伝搬距離が小さく、光の透過効率が
高くなる。また、凹凸の大きい試料表面に対しても良好
に走査できる。また、基端部が凸面状の表面からなる円
錐部からなるため、側面で反射され先端方向に伝搬する
光量が増加し、全入射光に対する光の透過効率を高くす
ることができる。先端円錐部分のテーパ角は、第1エッ
チングのエッチング液組成、エッチング時間を変えるこ
とにより、より大きくすることができる。即ち、テーパ
角が小さい場合には、先端の開口部を形成することが容
易になり、テーパ角が大きい場合には光の透過効率が向
上する。
【0058】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる製造方法を用いることにより、コア部に添加す
るGeO2の濃度を変えることなく、先端部に形成され
たテーパ角(2θ1)の円錐体と、先端部の基端側に隣
接して設けられ、(2θ1)よりも小さいテーパ角(2
θ2)の円錐体とを備えた2段テーパ構造の近接場光プ
ローブを作製することが可能となる。
【0059】特に、本発明にかかる製造方法は、コア部
にGeO2が添加されない紫外光用のマルチモードファ
イバを用いた近接場光プローブの製造にも適用すること
が可能である。
【0060】また、本発明にかかる近接場光プローブで
は、先端部分のテーパ角(2θ1)が大きくなっている
ので、減衰を受ける伝搬距離が小さくなり、光の透過効
率を高くすることができる。
【0061】また、本発明にかかる近接場光プローブで
は、基端部のテーパ角(2θ2)が小さくなっているの
で、試料表面の走査時に障害となる部分が少なく、凹凸
の大きい試料表面に対しても、良好に走査することがで
きる。
【0062】また、本発明にかかる近接場光プローブで
は、テーパ角を持った基端部の側面で伝搬される光が反
射され、先端方向に伝搬する光の量が増加するため、光
の透過効率が高くなり、光の利用効率を高くすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかる近接場光プロ
ーブの製造工程図である。
【図2】 本発明の実施の形態1にかかる近接場光プロ
ーブの製造工程図である。
【図3】 本発明の実施の形態1にかかる近接場光プロ
ーブの製造工程図である。
【図4】 本発明の実施の形態2にかかる近接場光プロ
ーブの製造工程図である。
【図5】 本発明の実施の形態2にかかる近接場光プロ
ーブの製造工程図である。
【図6】 本発明の実施の形態2にかかる近接場光プロ
ーブの製造工程図である。
【図7】 本発明の実施の形態3にかかる近接場光プロ
ーブの製造工程図である。
【図8】 本発明の実施の形態4にかかる近接場光プロ
ーブの各製造工程におけるプローブの断面形状である。
【図9】 本発明の実施の形態5にかかる近接場光プロ
ーブの製造工程図である。
【図10】 本発明の実施の形態5にかかる近接場光プ
ローブの製造工程図である。
【図11】 本発明の実施の形態5にかかる近接場光プ
ローブの各製造工程におけるプローブの断面形状であ
る。
【図12】 従来構造の近接場光プローブの断面図であ
る。
【図13】 従来構造の近接場光プローブの拡大断面図
である。
【符号の説明】 1 光ファイバ、2 コア部、2a 尖頭部、3 クラ
ッド部、4 エッチング液、5 有機溶媒、6 エッチ
ング液と有機溶媒との界面、7 光ファイバの端面、8
光ファイバを固定した垂直微動機構、9 金属被覆
層、10 開口部、11 放物面形状、12 凸面形
状、13 近接場光、14 伝搬光、15被検体、16
フッ化水素酸、水、NH4F水溶液の混合液、22
メニスカス部、23 製造装置、24 容器。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア部とクラッド部とからなる光ファイ
    バの先端部をエッチングして略円錐状の尖頭部を形成
    し、次に上記尖頭部を被覆し、続いて上記尖頭部の頂点
    を露出させる近接場光プローブの製造方法であって、 上記尖頭部を形成する工程が、 上記クラッド部に対するエッチング速度が上記コア部に
    対するエッチング速度より大きいエッチング液と、上記
    エッチング液より比重が小さくかつ上記エッチング液に
    対して非混和性の有機溶媒とを1つの容器内に準備する
    工程と、 上記光ファイバの一端をほぼ垂直下方に移動してエッチ
    ング液に接触させて、上記光ファイバの周囲にメニスカ
    スを形成しながら持ち上げた状態で保持し、これにより
    コア部の先端に第1テーパ角を有する第1円錐部を形成
    するとともに、上記クラッド部の先端を端部が細くなっ
    た円錐状とする第1エッチング工程と、 上記光ファイバの一端を、これがエッチング液と有機溶
    媒との界面から所定の距離下方に位置するように上記エ
    ッチング液に浸け、これにより上記コア部の先端であっ
    て第1円錐部の基端側にこれと隣接して第1テーパ角よ
    りも小さな第2テーパ角を有する第2円錐部を形成する
    第2エッチング工程とを備えることを特徴とする近接場
    光プローブの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記第1エッチング工程が、上記メニス
    カスを形成した状態で、上記光ファイバを上昇させなが
    ら上記先端部をエッチングして、上記コア部をエッチン
    グして上記第1円錐部とするとともに、上記クラッド部
    の先端部を表面が凸面状の円錐状にエッチングする工程
    であり、 上記第1エッチング後に上記第2のエッチングを行うこ
    とにより、上記第2円錐部を、表面が凸面状の円錐部と
    することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記第2エッチング工程が、上記光ファ
    イバの先端部を、上記コア部のエッチング速度に対する
    上記クラッド部のエッチング速度の比が順に大きくなる
    ように選択した複数のエッチング溶液に浸して、上記コ
    ア部を、端部から順にテーパ角が小さくなるように連続
    した複数の円錐部にエッチングする工程であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 コア部とクラッド部とからなる光ファイ
    バの先端部をエッチングして略円錐状の尖頭部を形成
    し、次に上記尖頭部を被覆し、続いて上記尖頭部の頂点
    を露出させる近接場光プローブの製造方法であって、 上記尖頭部を形成する工程が、 上記クラッド部に対するエッチング速度が上記コア部に
    対するエッチング速度より大きい複数のエッチング液を
    準備する工程と、 上記光ファイバの先端部を、上記コア部のエッチング速
    度に対する上記クラッド部のエッチング速度の比が順に
    大きくなるように選択した複数の上記エッチング液に順
    に浸して、上記コア部を、そのテーパ角が端部から順に
    小さくなるように連続した複数の円錐部にエッチングす
    ることを特徴とする近接場光プローブの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記連続した複数の円錐部が、ほぼ表面
    が凸面状の円錐部を形成することを特徴とする請求項4
    に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記複数のエッチング液が、第1エッチ
    ング液と、上記コア部に対する上記クラッド部のエッチ
    ング速度の比が上記第1エッチング液より大きい第2エ
    ッチング液とからなり、 上記光ファイバの先端部を第1エッチング液に浸し、上
    記コア部の端部を、第1テーパ角を有する第1円錐部に
    エッチングする工程と、 上記光ファイバの先端部を第2エッチング液に浸し、上
    記第1円錐部の基端側にこれに隣接して上記第1テーパ
    角よりも小さい第2テーパ角を有する第2円錐部を形成
    する工程とを備えることを特徴とする請求項4に記載の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 上記光ファイバの先端部を被覆金属層で
    覆い、上記コア部の円錐部頂点が露出するように上記被
    覆金属層を開口する工程を備えることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記光ファイバが、コア部が石英ガラス
    からなることを特徴とする請求項1〜7に記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 上記コア部に、酸化ゲルマニウムが均一
    に添加されたことを特徴とする請求項8に記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 近接場光の検出や照射に用いる近接場
    光プローブであって、 クラッド部より突出した酸化ケイ素からなるコア部を備
    えた光ファイバと、 光ファイバの先端部を覆う被覆金属層とからなり、 上記コア部の先端部が、その円錐面が第1テーパ角を有
    する第1円錐部と、上記第1円錐部の基端側にこれに隣
    接して連続して形成され、上記第1テーパ角よりも小さ
    い第2テーパ角を有する第2円錐部からなり、上記第1
    円錐部の頂点を、上記被覆金属層に設けた開口部から露
    出させたことを特徴とする近接場光プローブ。
  11. 【請求項11】 上記コア部に、酸化ゲルマニウムが均
    一に添加されたことを特徴とする請求項10に記載の近
    接場光プローブ。
  12. 【請求項12】 上記第2円錐部の表面が、凸面状の曲
    面であることを特徴とする請求項10又は11に記載の
    近接場光プローブ。
  13. 【請求項13】 上記クラッド部が、先端部において、
    その端部ほど細くなったことを特徴とする請求項10〜
    12のいずれかに記載の近接場光プローブ。
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