JP2000265971A - 磁性流体駆動ポンプ - Google Patents

磁性流体駆動ポンプ

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JP2000265971A
JP2000265971A JP11072763A JP7276399A JP2000265971A JP 2000265971 A JP2000265971 A JP 2000265971A JP 11072763 A JP11072763 A JP 11072763A JP 7276399 A JP7276399 A JP 7276399A JP 2000265971 A JP2000265971 A JP 2000265971A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的可動部がなく長寿命で、かつ小型化す
ることを可能にする。 【解決手段】 吸入口4及び排出口6を有し内部に磁性
流体14が部分的に充填された環状路2と、この環状路
2において磁性流体14を保持するためのバイアス磁
界、及び磁性流体を環状路2に沿って移動させるための
駆動用磁界を発生させる磁界印加手段として、バイアス
磁界及び駆動用磁界発生用の磁石12,パルス状駆動用
磁界発生用の電磁石16を備える。これらの磁界を発生
させることにより、環状路2の常時保持部2aに保持さ
れた磁性流体14が吸入口4部分で分離されて磁性流体
ブロック14aとなり、これが環状路2に沿って移動駆
動され、排出口6を経て再び常時保持部2aに保持され
るように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体或いは液体を
移送するための新規な磁性流体駆動ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】通常、光ディスクや磁気ディスク等の回
転型情報記録媒体の駆動装置にあっては、ディスクを含
む回転部分は空気中にあるが、記録媒体の大容量化に伴
いその高速化の要求が強くなっており、空気抵抗が無視
できなくなっている。記録媒体の高速回転により空気抵
抗が大きくなると、それだけモータに負荷がかかり、消
費電力も大きくなる。
【0003】このため、従来より、記録媒体の収納空間
を減圧して回転時の空気抵抗を低減し、消費電力を抑え
ることが試みられている。例えば、特開平10−222
960号公報には、光ディスクの装着部を気密室にして
真空ポンプによりこの気密室を減圧する構成が開示され
ている。また、磁気ディスク装置(HDD)において
も、密閉されたディスク室を真空ポンプを用いて真空排
気したり、ディスクを保持するロータに関連してエアポ
ンプとしての部材を設け、ロータの回転によりディスク
室から外部へのポンプ作用を生じさせ、ディスク室を減
圧するようにしたものがある(例えば米国特許第5,3
28,270号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のポンプでは、機械的可動部が必須であるため、
保守,寿命の点で問題があり、長寿命での動作を必要と
する装置には適さず、しかも装置が大型化する難点があ
る。
【0005】本発明は、上述した従来の技術の有する問
題点に留意してなされたものであり、その目的とすると
ころは、機械的可動部がなく長寿命で、小型化すること
が可能な磁性流体駆動ポンプを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の磁性流体駆動ポンプにあっては、吸入口及
び排出口を有し内部に磁性流体が部分的に充填された環
状路と、この環状路において磁性流体を保持するための
バイアス磁界、及び磁性流体を環状路に沿って移動させ
るための駆動用磁界を発生させる磁界印加手段を有し、
環状路には常時バイアス磁界が加えられて磁性流体を保
持する常時保持部及び磁性流体を移動させる駆動部を有
し、環状路における常時保持部の磁性流体移動方向に関
して前方に吸入口が、後方に排出口がそれぞれ配置され
ており、磁界印加手段は、吸入口部分に少なくともパル
ス状の駆動用磁界を印加して常時保持部の磁性流体を分
離しこれを移動するよう構成され、常時保持部に保持さ
れた磁性流体により排出口及び吸入口の開閉が制御さ
れ、常時保持部の磁性流体が吸入口部分で分離されて磁
性流体ブロックとなり、これが環状路に沿って移動駆動
され、排出口を経て再び常時保持部に保持されるように
構成されているものである(請求項1)。
【0007】上記でいう環状路は、円環状に限られるも
のではなく、楕円はもとより四角形や三角形等閉路を構
成するものであればよい。また、バイアス磁界及び駆動
用磁界を発生させる磁界印加手段は、バイアス磁界と駆
動用磁界とを個々に発生させる磁界発生器により構成す
ることができ、或いはバイアス磁界を発生する磁界発生
器が駆動用磁界の発生も兼用する構成とすることもでき
る。バイアス磁界の発生器が駆動用磁界の発生を兼用す
る場合には、パルス状駆動用磁界を発生する発生器を別
途設けるのがよい。環状路に部分的に充填された磁性流
体は、常時保持部にバイアス磁界で保持され、磁性流体
移動方向の前方の吸入口と後方の排出口とを選択的に開
閉し、吸入口と排出口との間に磁性流体ブロックが存在
しない状態では、両口が同時に開状態になることがない
ように調整されている。言うまでもなく、気体或いは液
体の移送対象は、磁性流体(磁性流体ブロック)と反応
或いは混和することの少ないものとすることが必要であ
る。
【0008】常時保持部にバイアス磁界で保持された磁
性流体は、吸入口部分に印加されたパルス状駆動用磁界
により、吸入口側の一部が分離されて磁性流体ブロック
となり、吸入口を経て環状路の駆動部に案内され、駆動
部において駆動用磁界により排出口側に移動駆動され、
排出口を経て再び常時保持部に至り、常時保持部の磁性
流体と一体となって保持される。
【0009】磁性流体ブロックが吸入口を経て駆動部を
移動することに関連して吸入口から環状路に気体或いは
液体の移送対象が取り込まれ、パルス状駆動磁界により
磁性流体ブロックが駆動部を移動することにより移送対
象も排出口側に移動され、排出口より排出される。この
吸入口から排出口への移送動作は、磁性流体ブロックの
常時保持部からの分離・駆動部での移動・常時保持部へ
の回収の一連の動作に応じて行われる。
【0010】上記の磁性流体駆動ポンプにおいて、駆動
部には、常時保持部の磁性流体から分離された磁性流体
ブロックを常時保持部に移動せしめるまで徐々に磁界強
度が増大するようバイアス磁界及び駆動用磁界が印加さ
れるものとすることができる(請求項2)。常時保持部
の磁性流体から分離された磁性流体ブロックは、駆動部
における磁界強度に従ってその増大する方向つまり移動
方向に引き寄せられ、常時保持部まで速やかに移動駆動
されることとなる。
【0011】この場合、環状路にこれを含む面に直交す
る方向に一様な磁界を加え、環状路を前記直交する方向
から挟む対の磁性体の間隙、或いは環状路に接する部分
の磁性体の面積を制御することにより磁界強度を調整す
ることができ(請求項3)、磁性体の間隙或いは環状路
に接する部分の磁性体の面積を、移動方向において常時
保持部に向かうに従って小さくすることにより、磁界強
度を増大させることが可能である。
【0012】或いは、バイアス磁界の磁界発生器を常時
保持部に配置した磁石により構成する一方、この磁石か
らの磁束を伝達する磁性体を、環状路に沿って磁性流体
の移動方向とは逆方向に周回すると共に前記磁石とは磁
気的に間隙を有して終端するように配置してもよく(請
求項4)、駆動部においては磁性体からの磁界強度が磁
石に近づくほど増大する結果、移動方向に常時保持部に
向かうに従って磁界強度を増大させることが可能にな
り、この磁性体による磁界が磁性流体ブロックに対する
駆動用磁界を発生することになる。
【0013】また、上記磁性流体駆動ポンプにおいて、
環状路内の磁性流体ブロックの駆動部に、磁性流体ブロ
ックの移動方向前方に順次局所磁界を断続的に加えて磁
性流体ブロックを吸引するよう、磁界印加手段を設ける
ことができる(請求項5)。常時保持部の磁性流体より
分離された磁性流体ブロックは、磁界印加手段により順
次印加された局所磁界により移動方向前方に順次吸引さ
れて移動し、常時保持部への移動が迅速に行われる。こ
の場合、局所磁界を印加する複数場所のそれぞれの間に
磁性流体の移動方向に磁界強度が増大するようなバイア
ス磁界印加手段を有することにより、断続する局所駆動
磁界とバイアス磁界とで磁性流体ブロックを順次移動せ
しめることができる(請求項6)。
【0014】環状路を移動する磁性流体ブロックの位置
を検知して駆動磁界の断続のタイミングを制御するもの
とすれば(請求項7)、磁性流体ブロックの移動を円滑
に制御することが可能となり、この場合、磁性流体が導
電性を有するものとし、磁性流体ブロックの位置検知手
段として、環状路の一部に周囲から絶縁された電極を配
置し、この電極と他の導体との電気伝導度の変化を検知
することにより前記磁性流体ブロックの位置を検知する
こともできる(請求項8)。
【0015】上述した磁性流体駆動ポンプにおいて、磁
性流体ブロックの移動方向の前方の環状路断面積を後方
のそれより小にして、圧力差により磁性流体ブロックを
駆動すること(請求項9)、磁性流体ブロックの移動方
向の前方の環状路断面の最小間隙を後方のそれより小に
して、磁性流体ブロックの移動を促進すること(請求項
10)も可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について図面を参照しながら詳述する。 (第1の実施形態)図1は、本発明の磁性流体駆動ポン
プの第1の実施形態を示す平面図であり、閉鎖された環
状空間である閉回路を形成する環状路2は、その周囲が
非磁性外殻部材により覆われて円環状に構成され、環状
路2に比較的近接して設けられた吸入口4及び排出口6
においてのみ外部と連通している。この環状路2は、こ
れとほぼ同形で一部に切り欠きを有する環状の磁性体
8,10により上下から挟み込まれている。
【0017】図2は、環状路2に沿って展開した場合の
一部の断面構成を示している。図1における吸入口4及
び排出口6は説明のために便宜上外周側から環状路2に
接続されているように記載しているが、図2に見られる
ように環状路2に上方から接続されているものとするこ
とができる。吸入口4及び排出口6を有する環状路2の
下側にほぼ平板環状の磁性体10が配置され、磁性体1
0の切り欠き部が吸入口4の対向位置に設定され、環状
路2の上側にほぼ環状の磁性体8が配置され、磁性体8
の切り欠き部が概ね吸入口4の位置に配置されている。
上側の磁性体8は、図2より明らかなように、両磁性体
8,10の間隔が吸入口4から排出口6に向けて(図1
の紙面時計回りに)連続的に小さくなるよう傾斜して設
けられ、排出口6から吸入口4にかけては逆に上記間隔
が大きくなるよう傾斜して設けられている。
【0018】環状路2の吸入口4と排出口6との間の上
側には、バイアス磁界及び駆動用磁界の発生器として永
久磁石よりなるバイアス磁石12が配置され、これに上
側の磁性体8の排出口側端部が磁気的に接続されてい
る。これにより上側磁性体8から下側磁性体10に向か
う磁界が加えられ、環状路2に上から下への磁界が常時
印加されることになる。この場合、環状路2内の磁界
は、吸入口4から図1で時計方向に排出口6に向かうに
従い、バイアス磁石12に近接することと磁性体8,1
0間の間隔が小さくなることにより、磁界強度が徐々に
増大することになる。
【0019】上述した環状路2には、その一部に磁性流
体14が収容されている。この磁性流体14は、バイア
ス磁界の磁界強度の最も大きいバイアス磁石12付近に
常時保持され、この部分が環状路2における磁性流体1
4の常時保持部2aとなる。環状路2の吸入口4から
(図1の時計方向に)常時保持部2aに至るまでは磁性
流体14を移動する駆動部2bとなる。磁性流体14
は、後で詳述するように、環状路2に沿って図1におい
て時計方向に移動駆動されるが、この移動方向に関連し
て、常時保持部2aの前方に吸入口4が、後方に排出口
6がそれぞれ配置されることになる。なお、環状路2を
覆う外殻部材の内面は、この磁性流体14との接触角が
比較的大きくなるよう撥油性を有しており、磁性流体1
4が外殻部材の内面に沿って滲むいわゆるマイグレーシ
ョンを生じることのないよう配慮されている。
【0020】環状路2の吸入口4部分(詳しくは吸入口
4より磁性流体移動方向側)には、常時保持部2aの磁
性流体14を分離するための駆動用磁界発生器としての
電磁石16が設けられている。この電磁石16はパルス
状駆動用磁界を環状路2に印加し、このパルス状駆動用
磁界により磁性流体14が吸引されて磁性流体ブロック
14aとして分離される。なお、磁性流体ブロック14
aに対する駆動用磁界は、電磁石16によるパルス状駆
動用磁界とバイアス用磁石12による駆動部2bのバイ
アス磁界とを含むことになる。
【0021】上述した実施形態において、例えば、環状
路2の径方向の幅をミリオーダ(1〜数ミリ)、環状路
2の直径をセンチオーダ(数センチ)、環状路2におけ
る上下方向の間隙をミクロンオーダ(数百ミクロン)で
構成することができ、製品装置(例えば磁気ディスク装
置)内部或いはこの外部に隣接して設置することができ
る。
【0022】次に、上記第1の実施形態のポンプ動作に
つき説明する。図2(a)は、初期状態を示し、環状路
2に収容された全ての磁性流体14が常時保持部2aに
おいてバイアス磁石12の磁界により保持されている。
この状態では、常時保持部6の磁性流体14により排出
口6が閉状態、吸入口4は開状態にそれぞれ設定されて
いる。上記初期状態から、駆動用磁界発生器としての電
磁石16にパルス状電流を印加してパルス状駆動磁界を
発生させると、図2(b)に示すように、この磁界によ
り常時保持部2aの磁性流体14が吸気口4側に磁気吸
引される。磁性流体14を保持するバイアス磁石12よ
り磁性流体移動方向前方には吸入口4が存在してこの吸
入口4より空気が流入するので、この部分で磁性流体1
4は分離され、図2(c)に示すように、磁性流体ブロ
ック14aが吸入口4より移動方向前方に生成される。
【0023】この磁性流体ブロック14aは環状路2を
上下から挟む一対の磁性体8,10間に位置することに
なり、ここで、上側磁性体8から下側磁性体10に向け
て磁束が流れ、しかもこの磁界強度が図1の時計方向つ
まり移動方向前方に行くに従い増大傾向にあるため、磁
性流体ブロック14aは、図2の(d)のように、移動
方向前方にバイアス磁石12の位置に至るまで駆動され
る。この磁性流体ブロック14aの移動に伴い、環状路
2に封入された空気は磁性流体ブロック14aに押され
て移動し、排出口6より徐々に排出され、磁性流体ブロ
ック14aは遂には、磁界強度の最も大きいバイアス磁
石12に引き寄せられて、常時保持部2aの磁性流体1
4と合体し、図2(a)の初期状態に戻る。
【0024】このように、磁性流体14より磁性流体ブ
ロック14aを分離することに関連して、吸入口4より
空気を環状路2に取り込み、磁性流体ブロック14aを
移動駆動することによりこの空気を排出口6に案内し、
排出することができ、上述の動作を繰り返し行うことに
より、空気に対するポンピング動作が実現する。この場
合、従来より使用されている真空ポンプなどに比較し、
毎分の空気排出量は少ないが、機械的可動部を全く要し
ないことからメンテナンスフリーで長寿命を期待できる
ことになる。
【0025】ここで、第1の実施形態の環状路2におい
ては、その間隙を吸入口4から移動方向前方に行くに従
い徐々に小さくなるよう設定しているが、この作用効果
について説明する。第1に、環状路2に対するバイアス
磁界の磁束供給源はバイアス磁石12であり、バイアス
磁石12からの磁束は上側磁性体8沿いに流れ、適宜磁
性体8,10間の間隙に漏れて下側磁性体10沿いに流
れ、バイアス磁石12に還流する。この場合、仮に磁性
体8,10間の間隙が同じであってもバイアス磁石12
から遠ざかる程、つまり図1の反時計方向に行くに従
い、磁束は少なくなるので、環状路2における磁界強度
はバイアス磁石12に近づくほど大となる。上述した実
施形態のように、吸入口4から排出口6に時計方向に向
かうに従い磁性体8,10の間隙を小さくすることによ
り、より以上に磁界強度の変化の勾配を大きく或いはそ
の程度を調整できることになる。
【0026】第2に、磁性流体ブロック14aの移動を
より円滑にすることができる効果が期待できる。即ち、
磁性流体14より分離された磁性流体ブロック14aは
空気を押し込む方向に移動されるため、磁性流体ブロッ
ク14aの移動方向前方は移動方向後方に比較して空気
の圧力が大であるが、環状路2の断面積を移動方向前方
ほど小さくしたため、磁性流体ブロック14aを移動方
向の前後の圧力差により移動方向後方に押し戻そうとす
る力を軽減することができ、或いは磁性流体ブロック1
4aの駆動力の発生を期待できる。
【0027】第3に、環状路2の各断面における最小間
隙を移動方向前方に行くに従い徐々に小としたので、磁
性流体ブロック14aの前方側の境界面の曲率が後方の
それより小さくなり、磁性流体の表面張力により磁性流
体ブロック14aが前方への移動力を発生できるように
なる。この移動力のみでは、磁性流体ブロック14aを
前後の圧力差に抗して前方へ移動するに十分とは思われ
ないが、上述した磁界による駆動力の補助として効果を
期待できる。
【0028】(第2の実施形態)つぎに、本発明による
第2の実施形態を、図3及び図4を用いて説明する。な
お、図3及び図4において前図と同一符号のものは同一
若しくは相当するものを示すものとする。
【0029】図3に示すように、吸入口4及び排出口6
を有する環状路2に磁性流体14が部分的に充填され、
この磁性流体14を保持するためのバイアス磁界を発生
するバイアス磁石(永久磁石)12が環状路2における
吸入口4と排出口6との間に配置されて、この部分に磁
性流体14を保持する常時保持部2aが形成され、環状
路2を上下から挟むように設けられたほぼ円環板状の磁
性体8,10を、バイアス磁石12の位置から磁性流体
ブロック14aの移動方向とは逆方向に環状路2に沿っ
て周回すると共にバイアス磁石12とは間隙を有して終
端するように配置することにより、磁性流体14を移動
させる駆動部2bが形成される。
【0030】第2の実施形態の場合、環状路2を上下か
ら挟む一対の磁性体8,10が平行に配置されて磁性体
8,10間の間隙は一定に保持されている。加えて、環
状路2に非磁性体よりなる間隙制御部材18が配置さ
れ、環状路2の駆動部2bにおける空間断面積が磁性流
体14の移動方向に沿って排出口6に行くに従い徐々に
小さく調整されている。磁性体8の終端位置付近には、
吸入口4部分にパルス状駆動用磁界を印加して磁性流体
14を吸引する駆動用磁界発生器としての電磁石16が
配置されている。
【0031】上述の環状路2は、例えば図4に示すよう
に構成することができる。すなわち、一部が切り欠かれ
たほぼ円環状の磁性体10の上面に外殻部材の底面を円
環状に敷設すると共に、この上面に断面ほぼコ字状の間
隙制御部材18を配置して環状路2を構成し、さらに間
隙制御部材18の上面に磁性体8を設ける。間隙制御部
材18の内天井面に図3に示すように周方向に傾斜を持
たせることにより、環状路2の断面を周方向に間隙が異
なるように制御することができる。ここで、特に上側磁
性体8は、スパッタ、蒸着、メッキ、エッチング等の薄
膜形成技術を用いて製造することができる。勿論、下側
磁性体10の製造においてもこの技術により製造するこ
ともできる。
【0032】図3の(a)〜(d)は、第2の実施形態
におけるポンプ動作のそれぞれの過程を示し、これは第
1の実施形態を示す図2の(a)〜(d)に対応し、こ
れと同様であるため、詳細は省略する。特に、第2の実
施形態の場合は、磁性体8,10間の間隙を一定として
いるため、環状路2の駆動部2bにおけるバイアス磁界
の磁界強度は、バイアス磁石12からの距離のみに依存
することになり、磁界強度の勾配を考えるには制御しや
すい構造となる。
【0033】(第3の実施形態)つぎに、本発明の第3
の実施形態を、図5及び図6を用いて説明する。これら
の図面において、前記と同一符号のものは同一若しくは
相当するものを示すものとする。この実施形態は、図1
で示した磁性流体駆動ポンプにおいて、環状路2にバイ
アス磁界(磁性流体の保持用磁界及び磁性流体ブロック
の駆動用磁界を含む)を印加するためのバイアス磁石1
2に代えて、バイアス磁界発生器20を設けると共に、
パルス状の駆動用磁界を発生させる電磁石16に代え
て、駆動用パルス磁界発生器30を設けたものである。
【0034】バイアス磁界発生器20は、図6(a)に
示すように、永久磁石22と一対の磁性ブロック24,
26とを有してなり、永久磁石22の両磁極に一対の磁
性ブロック24,26のそれぞれの一端部が磁気的に接
続され、一対の磁性ブロック24,26のそれぞれの他
端部が環状路2の常時保持部2aにおける磁性体8,1
0に磁気的に接続されている。
【0035】環状路2を挟むように設けられた一対の磁
性体8,10は、前述した実施形態の場合のように、常
時保持部2aから磁性流体の移動方向とは逆方向に周回
すると共に吸入口4の位置で終端しており、従って、バ
イアス磁界発生器20の一対の磁性ブロック24,26
のそれぞれの他端部が磁性体8,10に磁気的に接続さ
れることにより、永久磁石22からの磁束が両磁性ブロ
ック24,26を経て常時保持部2aにおける磁性体
8,10間に印加され、前記実施形態の場合と同様に、
両磁性体8,10間にバイアス磁界が印加されることに
なる。
【0036】駆動用パルス磁界発生器30は、図6
(b)に示すように、コ字状磁性ブロック32とこの磁
性ブロック32の中腹部に巻回されたコイル34とを有
してなり、磁性ブロック32の開放端間に吸入口4付近
の環状路2が挟み込まれている。そして、コイル34に
パルス状電流を通電してコイル34を駆動すると、コイ
ル34により磁性ブロック32が励磁され、磁性ブロッ
ク32の開放端間にパルス状駆動磁界が発生する。従っ
て、環状路2においては、このパルス状駆動磁界によ
り、常時保持部2aの磁性流体の一部が吸入口4を経て
駆動部2b側に吸引される。
【0037】(第4の実施形態)つぎに、第4の実施形
態を、図7を用いて説明する。この第4の実施形態は、
環状路2における磁性流体ブロック14aの駆動力を3
以上の複数の磁界発生器により得るようにしたものであ
る。
【0038】すなわち、環状路2の常時保持部2a及び
吸入口4付近には、第1の実施形態等の場合と同様に、
バイアス磁界及び駆動用磁界発生用のバイアス磁石12
及び駆動用パルス磁界発生用の電磁石16がそれぞれ配
置されるが、環状路2の駆動部2bには、さらに3個の
駆動用バイアス磁界発生器42,44,46がほぼ等間
隔に配置されている。この磁界発生器42,44,46
は、磁界強度の異なる2レベルの磁界を切り換えて発生
させることができるものである。
【0039】駆動用バイアス磁界発生器を複数設置する
ことに関連して、環状路2を上下から挟み込むよう配置
された磁性体も多段構造に分割されている。すなわち、
上側の磁性体は、電磁石16と磁界発生器42との間を
結合する磁性体8Aと、各磁界発生器42〜46のそれ
ぞれの間を結合する磁性体8B,8Cと、磁界発生器4
6とバイアス磁石12との間を結合する磁性体8Dとに
分割され、各磁性体8A〜8Dはそれぞれの端部が隙間
を介在させて互いに対向し、下側の磁性体も同様に分割
されてそれぞれの端部が隙間を介在させて対向してい
る。そして、上下の磁性体の分割部分においてその磁性
流体移動方向前方寄りに磁界発生手段42〜46がそれ
ぞれ配置されている。なお、上下の磁性体の間隙は、第
1の実施形態のように、移動方向前方に行くに従い小さ
くなるように設定してもよいし、第2の実施形態のよう
に、上下の磁性体の間隙を一定として環状路2に間隙制
御部材を配置してもよく、或いは上下の磁性体の間隙を
一定としかつ環状路2の断面積を周方向一定としてもよ
い。
【0040】第4の実施形態においては、常時保持部2
aに保持された磁性流体14は、電磁石16からのパル
ス状磁界によりその一部が分離されて磁性流体ブロック
14aとなり、磁性体8Aに対応する環状路2の駆動部
2bに吸引されるが、この磁性流体ブロック14aは以
下のようにして環状路2を移動駆動する。
【0041】磁性体8Aの移動方向前端位置に対応する
駆動用バイアス磁界発生器42は、磁性流体ブロック1
4aが磁性体8Aに対応する環状路2にある時には、2
レベルのうち低レベル磁界強度の磁界を発生させてお
り、この磁界により磁性流体ブロック14aは発生器4
2側に吸引されて移動する。この磁性流体ブロック14
aが磁性体8Aの端部に達したとき、発生器42は高レ
ベル磁界強度の磁界を発生するように切り替わり、磁性
流体ブロック14aはこの位置から磁性体8Bに対応す
る位置までこの強力な磁界により吸引される。
【0042】磁性体8Bに対応する位置に吸引された磁
性流体ブロック14aは、つぎに駆動用バイアス磁界発
生器44による低レベル磁界強度の磁界により移動駆動
され、以下同様にして、磁性流体ブロック14aが磁性
体8Bの対応位置から磁性体8Cの対応位置、さらには
磁性体8Dの対応位置に吸引かつ移動駆動される。磁性
体8Dの対応位置に達した磁性流体ブロック14aは、
さらにバイアス磁石12の磁力により常時保持部2a側
に移動駆動され、排出口6を経て常時保持部2aの磁性
流体14と合体する。
【0043】上記実施形態の場合、環状路2における磁
性流体ブロック14aの位置を検出することもできる。
これはより大きな力(圧力差)を生じさせる場合や磁性
流体ブロック14aを連続的にかつ高速に駆動する場合
に非常に有利である。この位置検知手段としては、例え
ば、磁性流体14を導電性を有するものとし、各駆動用
バイアス磁界発生器42,44,46の位置に対応して
それぞれ、環状路2に周囲から絶縁された電極を配置
し、この電極と他の導体間の電気伝導度の変化を検知す
ることにより磁性流体ブロック14aの存在つまり位置
を検出するようにする。そして、この位置検知結果を基
に、各発生器42〜46の駆動、磁界レベルの切換を制
御することにより、磁性流体ブロック14aの移動駆動
の円滑な制御が実現できる。また、上記駆動用バイアス
磁界発生器42,44,46で磁界強度の異なる2レベ
ルの磁界を発生させる具体的な方法としては、例えば、
永久磁石と電磁石を併用し、低いレベルの磁界強度は永
久磁石で常時発生させ、高いレベルの磁界強度を発生さ
せるときに電磁石を駆動して、永久磁石の磁界に電磁石
の磁界を重畳させるようにしてもよい。
【0044】(第5の実施形態)つぎに、第5の実施形
態を、図8を用いて説明する。図5に示す実施形態は、
第4の実施形態のように環状路2を上下から挟み込む磁
性体を周方向に4分割してバイアス磁界を多段構造とし
たものであるが、吸入口4付近に配置したパルス状駆動
用磁界発生器50と、分割した各磁性体8A〜8Dのそ
れぞれの分割位置に配置した駆動用バイアス磁界発生器
52,54,56とをそれぞれ1個のコイル58により
駆動するようにしたものである。パルス状駆動用磁界発
生器50は第3の実施形態(図5)で説明したと同様の
構造であり、コイル58によりパルス状駆動用磁界を発
生させる。また、バイアス磁界発生器52〜56は、第
4の実施形態のように磁界強度の異なる2レベルの磁界
を発生させることができるものであり、第3の実施形態
で説明した両発生器20,30を組み合わせたと同様の
構造であり、低レベルの磁界強度は内蔵した永久磁石に
より発生させ、高レベルの磁界強度を発生させるときに
コイル58を駆動させてコイル58による磁界を永久磁
石の磁界に重畳させるようにしている。
【0045】この第5の実施形態においては、環状路2
の常時保持部2aにおける磁性流体14を磁性体8A対
応位置側に吸引する際にコイル58が駆動され、パルス
状駆動用磁界発生器50による磁気吸引力により磁性流
体14から磁性流体ブロック14aが分離される。磁性
体8A対応位置における磁性流体ブロック14aはバイ
アス磁界発生器52の永久磁石による低レベル磁界によ
り移動駆動され、これを磁性体8A対応位置の移動方向
終端から磁性体8B対応位置の移動方向始端に移動させ
る際に、コイル58が駆動されて発生器52の高レベル
の磁界強度により磁性流体ブロック14aが速やかに磁
性体8B対応位置に移動する。
【0046】以下、同様にして、コイル58の駆動が制
御され、環状路2の磁性体ブロック14aが磁性体8B
対応位置、磁性体8C対応位置、磁性体8D対応位置に
それぞれ移動され、常時保持部2aにおけるバイアス磁
界発生器20により、磁性流体ブロック14aが排出口
6を経て常時保持部2aの磁性流体14に合体する。こ
こで、コイル58は各発生器50,52,54,56の
駆動毎に駆動されるが、常時保持部2aにおける磁性流
体14の量を調整することにより、磁性流体14より分
離した一つの磁性流体ブロック14aのみを駆動するこ
ともでき、或いはコイル58の駆動毎に、パルス状駆動
用磁界発生器50による磁性流体ブロック14aの分離
と、各駆動用バイアス磁界発生器52〜56それぞれに
よる磁性流体ブロック14aの移動とを同時に並行して
行わせることもできる。
【0047】第5の実施形態の場合、各発生器50〜5
6に共通のコイル58を環状路2の内周側に配置するこ
とによりポンプ全体としてのスペース効率が良好にな
る。勿論、コイル58を環状路2の上側(或いは下側)
に重ねてもよい。さらには、各発生器50〜56を駆動
するコイルは個々に設けてもよいし、バルス状駆動用磁
界発生器50単独と駆動用バイアス磁界発生器52〜5
6共通との2つを設けてもよい。
【0048】(第6の実施形態)つぎに、第6の実施形
態を、図9及び図10を用いて説明する。この実施形態
は、吸入口4と排気口6との圧力をさらに取りたい場合
や高速で排気を行うような応用に適したポンプの形態で
あり、多相の磁界を発生させて順次磁性流体ブロックを
吸引するようにしたものである。以下に説明の説明で
は、2相の磁界で磁性流体ブロックを順次吸引して移動
させるものについて説明するが、3相以上の多相の磁界
を用いて同様に実施できることは明らかである。
【0049】吸入口4及び排出口6を有する円環状の環
状路2は、吸入口4と排出口6との間に位置する常時保
持部2aと、吸入口4から磁性流体移動方向(図9で時
計方向)に排出口6に至る駆動部2bとを有する。環状
路2には、先の実施形態で説明したような磁性体は存在
せず、環状路2に沿ってこの環状路2の上方外周寄りと
上方内周よりとに円環状の2相のコイル60,62が配
設されている。
【0050】環状路2の常時保持部2aには、バイアス
磁界発生器64が配置されている。この発生器64は、
図10(a)に示すように、バイアス磁界を発生させる
ための永久磁石64aと一対の磁性板64b,64cと
よりなり、磁性板64b,64cの端部間に永久磁石6
4aがその両磁極を磁性板64b,64cに向けて挟み
込まれており、両磁性板64b,64cの開放端は常時
保持部2aの外周側を上下から覆うように配置されてい
る。上側の磁性板64bには外周側のコイル60が接合
され、このコイル60が駆動した際には、永久磁石64
aによる磁界にコイル60による磁界が重畳されること
になる。この発生器64は吸入口4と排出口6との間に
永久磁石64aが配置されることからこの位置の磁界強
度が最大となり、磁性流体はこの付近を中心に保持され
ることになる。
【0051】環状路2の常時保持部2aを除く部分に
は、環状路2の内周側の駆動用磁界発生器66と外周側
の駆動用磁界発生器68とが環状路2に沿って交互に配
置されている。吸入口4の対応位置を含め、環状の内周
側に間隔を介して配置された複数個(図9では6個)の
駆動用磁界発生器66は、図10(b)に示すように、
外周側に開口した断面コ字状の磁性体ブロック66aと
各発生器66に共通の内周側コイル62とからなり、磁
性体ブロック66aの下側片が環状路2の内周半部を支
持すると共に、磁性体ブロック66aの上側片が環状路
2の内周半部の上側を覆っており、上側片の下面にコイ
ル62が接合されている。
【0052】環状路2の外周側に環状路2に沿って間隔
を配置された複数個(図9では5個)の駆動用磁界発生
器68は、図10(c)に示すように、内周側に開口し
た断面コ字状の磁性体ブロック68aと各発生器68に
共通の外周側コイル60とからなり、磁性体ブロック6
8aの下側片が環状路2の外周半部を支持すると共に、
磁性体ブロック68aの上側片が環状路2の外周半部の
上側を覆っており、上側片の下面にコイル60が接合さ
れている。
【0053】吸入口4に対応して配置された発生器66
は、その磁性体ブロック66aの周方向側縁(磁性流体
移動方向前方側縁)が前記発生器64の両磁性板64b
の周方向側縁(磁性流体移動方向後方側縁)に移動方向
に対し重なることなく一致している。しかし、その他の
外周側の発生器68と内周側の発生器66は、それぞれ
の磁性体ブロック68,66がその周方向全長のほぼ1
/3を周方向に互いに重ならせて配置され、常時保持部
2aに移動方向逆方向において近接した内周側の発生器
66は、その磁性体ブロック66がバイアス磁界発生器
64の磁性板64bに周方向に幾分重なって配置されて
いる。
【0054】この第6の実施形態では、初期状態におい
て、バイアス磁界発生器64の永久磁石64aの磁束に
より常時保持部2aにバイアス磁界が常時印加されてい
るため、常時保持部2aに磁性流体が保持される。この
初期状態からポンプ動作を開始する場合、まず内周側の
コイル62が駆動され、吸入口4に対応した駆動用磁界
発生器66による磁界が吸入口4に印加され、これに隣
接する常時保持部2aの磁性流体が吸入口4側に吸引さ
れ、磁性流体ブロックとして分離される。この動作時、
内周側の各発生器66は一斉に磁界を発生するが、問題
はなく、特に常時保持部2aに移動方向逆方向において
近接する発生器66からの磁界は、バイアス磁界発生器
64の永久磁石64aの位置から幾分離れているため、
常時保持部2aの磁性流体が逆方向に吸引されることは
ほとんどない。
【0055】コイル62の駆動により磁性流体ブロック
が分離された直後、このコイル62の駆動が停止されて
つぎに外周側のコイル60が駆動される。従って外周側
の駆動用磁界発生器68による磁界が発生し、環状路2
において吸入口4位置の発生器66に対応した位置に分
離された磁性流体ブロックがこれに隣接した発生器68
の磁界により移動方向前方に吸引され、環状路2を移動
する。その後、外周側のコイル60が停止してさらに内
周側のコイル62が再び駆動し、上記発生器68に移動
方向前方側に隣接した発生器66の磁界により磁性流体
ブロックが前方に移動する。以下同様にして、コイル6
2,60が交互に駆動することにより、磁性流体ブロッ
クが移動方向前方に配置された発生器68,66による
磁界により移動する。移動方向最終端の内周側発生器6
6の発生磁界によりこの発生器66に対応する位置に移
動した磁性流体ブロックは、つぎに外周側コイル60が
駆動されることによるバイアス磁界発生器64の磁界に
より排気口6側に吸引移動され、排気口6を経て永久磁
石64aの磁力により常時保持部2a側に速やかに移動
され、常時保持部2aの磁性流体と合体する。
【0056】内周側のコイル62が駆動する毎に、吸入
口4に対応した発生器66の磁界により常時保持部2a
の磁性流体を吸入口4側に分離して磁性流体ブロックを
生成することが可能であるため、2相のコイル62,6
0が交互に駆動することにより、磁性流体ブロックを順
次生成してこれを移動方向前方に順次移動駆動すること
ができ、連続した空気の移動つまりポンピング動作を行
わせることができ、吸入口4から環状路2を通して排気
口6に連続的に排気することができる。
【0057】上述した実施形態において、第1及び第2
の実施形態で説明したように、環状路2の間隙が移動方
向前方に行くに従い小さくなるようにすれば、磁性流体
ブロックの移動をより円滑に行わせることが可能であ
る。
【0058】なお、上述した各実施形態において、吸入
口4及び排出口6と環状路2とを接続する際において
は、例えば図11に示すように、吸入口4及び排出口6
の間隙G1を環状路2の最小間隙G2より大とすること
が必要である。これは、毛細管現象を利用して、環状路
2を移動する磁性流体ブロックが吸入口4及び排出口6
側に漏れることを防ぐためである。図11では、吸入口
4及び排出口6を環状路2に外周側から接続する場合を
示しているが、図2に示すように、環状路2に上方から
接続する場合においても同様に間隙を設定することがで
きる。或いは、それらの接続部の吸入口4及び排出口6
側の表面に撥油剤を塗布することによっても、同様の効
果を期待することができる。
【0059】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明は上述した実施形態に限定されるものではな
く、その趣旨を逸脱しない範囲で変更乃至修正が可能で
ある。たとえば、第3の実施形態で述べた磁性流体ブロ
ックの位置検出手段は、他の実施形態においても同様に
適用することができ、ポンプ動作を高速度で運転するこ
とが可能になる。
【0060】また、上述した実施形態では、単体のポン
プ構成を示しているが、これを多段に構成して並列運転
することもでき、ポンプ容量を大幅に増大することが可
能であり、特に、環状路2を多段に積層した場合には、
バイアス磁界発生手段や駆動用磁界発生手段をこれら多
段のポンプに共用とすることも可能である。
【0061】さらに、上記では空気を排気する場合を説
明したが、排気対象はこれに限らず、他の気体や液体で
も同様に適用することができることは明らかである。
【0062】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、つぎに記載する効果を奏する。環状路の一
部に充填した磁性流体をバイアス磁界及び駆動用磁界に
より環状路に沿って移動駆動させ、この磁性流体の移動
に関連させて吸入口からの気体や液体を環状路を通して
排出口より排出することができるので、ポンピング動作
の全てを磁気的に行わせることができ、機械的な駆動部
分を全く要さず、メンテナンスフリーである上、長寿命
を実現できるものである。しかも、吸入口及び排出口を
有する環状路にバイアス磁界及び駆動用磁界の磁界印加
手段を設けるだけの構成であるため、小型化が可能であ
り、ポンプ搭載装置の小型化にも大きく寄与できるもの
である。
【0063】特に、本発明の磁性流体駆動ポンプは、ポ
ンプ容量そのものはあまり大きくないものの、長寿命で
の動作を必要とする製品装置に適用して大きな効果を発
揮でき、例えば、磁気ディスク装置に搭載することによ
りこの装置内を低圧に保持でき、ディスクの高速回転を
可能にし、低消費電力化,信頼性向上を実現できるもの
である。勿論、他の製品装置に適用してメンテナンスフ
リー及び長寿命の特徴を十分に享受できるものである。
【0064】また、環状路の駆動部に磁性流体ブロック
の移動方向に磁界強度が増大するようなバイアス磁界及
び駆動用磁界が印加するようにした場合には、駆動部に
吸引された磁性流体ブロックをこの磁界勾配で円滑かつ
迅速に移動駆動することができ、気体や液体のポンピン
グ動作をより高めることができる。この駆動部における
磁界強度の勾配の調整・制御において、環状路を対の磁
性体で挟み込むようにして行う場合には、対の磁性体の
間隙や環状路に対面する磁性体の面積を制御することに
より簡単に磁界勾配を制御でき、構成が簡単になる効果
が得られ、特にこの磁性体はスパッタや蒸着、メッキ、
エッチング等の薄膜形成技術で製造することもでき、超
小型のポンプを製造することも可能となる。
【0065】さらに、環状路の駆動部において、磁性流
体の移動方向前方に順次局所磁界を断続的に加えるよう
にすれば、磁性流体ブロックの移動駆動をより確実かつ
高速に行わせることができ、ポンプ容量の増大を図るこ
とができ、しかも、環状路における磁性流体ブロックの
位置を検出する手段を設けて駆動磁界の断続のタイミン
グを制御するようにすれば、より正確に高速運転が実現
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性流体駆動ポンプの第1の実施形態
を示す概略平面図である。
【図2】図1において環状路に沿って切断した場合の断
面展開図であり、(a)〜(d)はそれぞれ異なる動作
状態を示すものである。
【図3】本発明の磁性流体駆動ポンプの第2の実施形態
を示す図2に対応する断面展開図であり、(a)〜
(d)はそれぞれ異なる動作状態を示すものである。
【図4】図3(a)のa−a’線断面図である。
【図5】本発明の磁性流体駆動ポンプの第3の実施形態
を示す概略平面図である。
【図6】図5におけるバイアス磁界発生器及び駆動用磁
界発生器を示し、(a)は図5のバイアス磁界発生器の
b−b’線断面図、(b)は図5の駆動用磁界発生器の
c−c’線断面図である。
【図7】本発明の磁性流体駆動ポンプの第4の実施形態
を示す概略平面図である。
【図8】本発明の磁性流体駆動ポンプの第5の実施形態
を示す概略平面図である。
【図9】本発明の磁性流体駆動ポンプの第6の実施形態
を示す概略平面図である。
【図10】図9におけるバイアス磁界発生器及び駆動用
磁界発生器を示し、(a)は図9のバイアス磁界発生器
のd−d’線断面図、(b)は図9の駆動用磁界発生器
のe−e’線断面図、(c)は図9の駆動用磁界発生器
のf−f’線断面図である。
【図11】環状路に対する吸入口及び排出口の接続部分
の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
環状路 2a 常時保持部 2b 駆動部 4 吸入口 排出口 10 磁性体 バイアス磁石(バイアス磁界発生器) 14 磁性流体 14a 磁性流体ブロック 電磁石(駆動用磁界発生器) 18 間隙制御部材 20 バイアス磁界発生器 30 駆動用パルス磁界発生器 コイル 44,46 駆動用バイアス磁界発生器 8A、8B、8C、8D 磁性体 50 パルス状駆動用磁界発生器 54、56 駆動用バイアス磁界発生器 コイル 60、62 コイル 64 バイアス磁界発生器 66、68 駆動用磁界発生器

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸入口及び排出口を有し内部に磁性流体
    が部分的に充填された環状路と、該環状路において前記
    磁性流体を保持するためのバイアス磁界、及び前記磁性
    流体を前記環状路に沿って移動させるための駆動用磁界
    を発生させる磁界印加手段を有し、 前記環状路には、常時バイアス磁界が加えられて前記磁
    性流体を保持する常時保持部及び前記磁性流体を移動さ
    せる駆動部を有し、前記環状路における前記常時保持部
    の磁性流体移動方向に関して、前方に前記吸入口が、後
    方に前記排出口がそれぞれ配置されており、前記磁界印
    加手段は、前記吸入口部分に少なくともパルス状の駆動
    用磁界を印加して前記常時保持部の前記磁性流体を分離
    してこれを移動するように構成され、前記常時保持部に
    保持された磁性流体により前記排出口及び前記吸入口の
    開閉が制御され、前記常時保持部の磁性流体が前記吸入
    口部分で分離されて磁性流体ブロックとなり、これが前
    記環状路に沿って移動駆動され、前記排出口を経て再び
    前記常時保持部に保持されるように構成されていること
    を特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記駆動部には、前
    記常時保持部の磁性流体から分離された磁性流体ブロッ
    クを前記常時保持部に移動せしめるまで徐々に磁界強度
    が増大するよう前記バイアス磁界及び駆動用磁界が印加
    されることを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記環状路には、こ
    れを含む面に直交する方向に一様な磁界が加えられ、前
    記環状路を前記直交する方向から挟む対の磁性体の間
    隙、或いは前記環状路に接する部分の磁性体の面積を制
    御することにより磁界強度が調整されることを特徴とす
    る磁性流体駆動ポンプ。
  4. 【請求項4】 請求項2において、前記バイアス磁界の
    磁界印加手段として前記常時保持部に磁石を配置し、該
    磁石からの磁束を伝達する磁性体を、前記環状路に沿っ
    て磁性流体の移動方向とは逆方向に周回すると共に前記
    磁石とは磁気的に間隙を有して終端するように配置した
    ことを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記環状路内の磁性
    流体ブロックの駆動部には、前記磁性流体ブロックの移
    動方向前方に順次局所磁界を断続的に加えて前記磁性流
    体ブロックを吸引するよう、駆動用磁界のための磁界印
    加手段が設けられていることを特徴とする磁性流体駆動
    ポンプ。
  6. 【請求項6】 請求項5において、局所磁界を印加する
    複数場所のそれぞれの間には前記磁性流体の移動方向に
    磁界強度が増大するようなバイアス磁界印加手段を有
    し、断続する局所駆動磁界とバイアス磁界とで前記磁性
    流体ブロックを順次移動せしめることを特徴とする磁性
    流体駆動ポンプ。
  7. 【請求項7】 請求項5において、前記環状路を移動す
    る磁性流体ブロックの位置を検知して駆動磁界の断続の
    タイミングを制御することを特徴とする磁性流体駆動ポ
    ンプ。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記磁性流体が導電
    性を有するものとし、前記磁性流体ブロックの位置検知
    手段として、前記環状路の一部に周囲から絶縁された電
    極を配置し、該電極と他の導体との電気伝導度の変化を
    検知することにより前記磁性流体ブロックの位置を検知
    することを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  9. 【請求項9】 請求項1,2,3,4,5,6,7及び
    8において、前記磁性流体ブロックの移動方向の前方の
    環状路断面積を後方のそれより小にして、圧力差により
    前記磁性流体ブロックを駆動することを特徴とする磁性
    流体駆動ポンプ。
  10. 【請求項10】 請求項1,2,3,4,5,6,7及
    び8において、前記磁性流体ブロックの移動方向の前方
    の環状路断面の最小間隙を後方のそれより小にして、前
    記磁性流体ブロックの移動を促進することを特徴とする
    磁性流体駆動ポンプ。
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