JP3805921B2 - 磁性流体駆動ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体或いは液体を移送するための新規な磁性流体駆動ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、光ディスクや磁気ディスク等の回転型情報記録媒体の駆動装置にあっては、ディスクを含む回転部分は空気中にあるが、記録媒体の大容量化に伴いその高速化の要求が強くなっており、空気抵抗が無視できなくなっている。記録媒体の高速回転により空気抵抗が大きくなると、それだけモータに負荷がかかり、消費電力も大きくなる。
【0003】
このため、従来より、記録媒体の収納空間を減圧して回転時の空気抵抗を低減し、消費電力を抑えることが試みられている。例えば、特開平10−222960号公報には、光ディスクの装着部を気密室にして真空ポンプによりこの気密室を減圧する構成が開示されている。また、磁気ディスク装置(HDD)においても、密閉されたディスク室を真空ポンプを用いて真空排気したり、ディスクを保持するロータに関連してエアポンプとしての部材を設け、ロータの回転によりディスク室から外部へのポンプ作用を生じさせ、ディスク室を減圧するようにしたものがある(例えば米国特許第5,328,270号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のポンプでは、機械的可動部が必須であるため、保守,寿命の点で問題があり、長寿命での動作を必要とする装置には適さず、しかも装置が大型化する難点がある。
【0005】
本発明は、上述した従来の技術の有する問題点に留意してなされたものであり、その目的とするところは、機械的可動部がなく長寿命で、小型化することが可能な磁性流体駆動ポンプを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の磁性流体駆動ポンプにあっては、吸入口及び排出口を有し内部に磁性流体が部分的に充填された環状路と、この環状路において磁性流体を保持するためのバイアス磁界、及び磁性流体を環状路に沿って移動させるための駆動用磁界を発生させる磁界印加手段を有し、環状路には常時バイアス磁界が加えられて磁性流体を保持する常時保持部及び磁性流体を移動させる駆動部を有し、環状路における常時保持部の磁性流体移動方向に関して前方に吸入口が、後方に排出口がそれぞれ配置されており、磁界印加手段は、吸入口部分に少なくともパルス状の駆動用磁界を印加して常時保持部の磁性流体を分離しこれを移動するよう構成され、常時保持部に保持された磁性流体により排出口及び吸入口の開閉が制御され、常時保持部の磁性流体が吸入口部分で分離されて磁性流体ブロックとなり、これが環状路に沿って移動駆動され、排出口を経て再び常時保持部に保持されるように構成されているものである(請求項1)。
【0007】
上記でいう環状路は、円環状に限られるものではなく、楕円はもとより四角形や三角形等閉路を構成するものであればよい。また、バイアス磁界及び駆動用磁界を発生させる磁界印加手段は、バイアス磁界と駆動用磁界とを個々に発生させる磁界発生器により構成することができ、或いはバイアス磁界を発生する磁界発生器が駆動用磁界の発生も兼用する構成とすることもできる。バイアス磁界の発生器が駆動用磁界の発生を兼用する場合には、パルス状駆動用磁界を発生する発生器を別途設けるのがよい。環状路に部分的に充填された磁性流体は、常時保持部にバイアス磁界で保持され、磁性流体移動方向の前方の吸入口と後方の排出口とを選択的に開閉し、吸入口と排出口との間に磁性流体ブロックが存在しない状態では、両口が同時に開状態になることがないように調整されている。言うまでもなく、気体或いは液体の移送対象は、磁性流体(磁性流体ブロック)と反応或いは混和することの少ないものとすることが必要である。
【0008】
常時保持部にバイアス磁界で保持された磁性流体は、吸入口部分に印加されたパルス状駆動用磁界により、吸入口側の一部が分離されて磁性流体ブロックとなり、吸入口を経て環状路の駆動部に案内され、駆動部において駆動用磁界により排出口側に移動駆動され、排出口を経て再び常時保持部に至り、常時保持部の磁性流体と一体となって保持される。
【0009】
磁性流体ブロックが吸入口を経て駆動部を移動することに関連して吸入口から環状路に気体或いは液体の移送対象が取り込まれ、パルス状駆動磁界により磁性流体ブロックが駆動部を移動することにより移送対象も排出口側に移動され、排出口より排出される。この吸入口から排出口への移送動作は、磁性流体ブロックの常時保持部からの分離・駆動部での移動・常時保持部への回収の一連の動作に応じて行われる。
【0010】
上記の磁性流体駆動ポンプにおいて、駆動部には、常時保持部の磁性流体から分離された磁性流体ブロックを常時保持部に移動せしめるまで徐々に磁界強度が増大するようバイアス磁界及び駆動用磁界が印加されるものとすることができる(請求項2)。常時保持部の磁性流体から分離された磁性流体ブロックは、駆動部における磁界強度に従ってその増大する方向つまり移動方向に引き寄せられ、常時保持部まで速やかに移動駆動されることとなる。
【0011】
この場合、環状路にこれを含む面に直交する方向に一様な磁界を加え、環状路を前記直交する方向から挟む対の磁性体の間隙、或いは環状路に接する部分の磁性体の面積を制御することにより磁界強度を調整することができ(請求項3)、磁性体の間隙或いは環状路に接する部分の磁性体の面積を、移動方向において常時保持部に向かうに従って小さくすることにより、磁界強度を増大させることが可能である。
【0012】
或いは、バイアス磁界の磁界発生器を常時保持部に配置した磁石により構成する一方、この磁石からの磁束を伝達する磁性体を、環状路に沿って磁性流体の移動方向とは逆方向に周回すると共に前記磁石とは磁気的に間隙を有して終端するように配置してもよく(請求項4)、駆動部においては磁性体からの磁界強度が磁石に近づくほど増大する結果、移動方向に常時保持部に向かうに従って磁界強度を増大させることが可能になり、この磁性体による磁界が磁性流体ブロックに対する駆動用磁界を発生することになる。
【0013】
また、上記磁性流体駆動ポンプにおいて、環状路内の磁性流体ブロックの駆動部に、磁性流体ブロックの移動方向前方に順次局所磁界を断続的に加えて磁性流体ブロックを吸引するよう、磁界印加手段を設けることができる(請求項5)。常時保持部の磁性流体より分離された磁性流体ブロックは、磁界印加手段により順次印加された局所磁界により移動方向前方に順次吸引されて移動し、常時保持部への移動が迅速に行われる。この場合、局所磁界を印加する複数場所のそれぞれの間に磁性流体の移動方向に磁界強度が増大するようなバイアス磁界印加手段を有することにより、断続する局所駆動磁界とバイアス磁界とで磁性流体ブロックを順次移動せしめることができる(請求項6)。
【0014】
環状路を移動する磁性流体ブロックの位置を検知して駆動磁界の断続のタイミングを制御するものとすれば(請求項7)、磁性流体ブロックの移動を円滑に制御することが可能となり、この場合、磁性流体が導電性を有するものとし、磁性流体ブロックの位置検知手段として、環状路の一部に周囲から絶縁された電極を配置し、この電極と他の導体との電気伝導度の変化を検知することにより前記磁性流体ブロックの位置を検知することもできる(請求項8)。
【0015】
上述した磁性流体駆動ポンプにおいて、磁性流体ブロックの移動方向の前方の環状路断面積を後方のそれより小にして、圧力差により磁性流体ブロックを駆動すること(請求項9)、磁性流体ブロックの移動方向の前方の環状路断面の最小間隙を後方のそれより小にして、磁性流体ブロックの移動を促進すること(請求項10)も可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳述する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の磁性流体駆動ポンプの第1の実施形態を示す平面図であり、閉鎖された環状空間である閉回路を形成する環状路2は、その周囲が非磁性外殻部材により覆われて円環状に構成され、環状路2に比較的近接して設けられた吸入口4及び排出口6においてのみ外部と連通している。この環状路2は、これとほぼ同形で一部に切り欠きを有する環状の磁性体8,10により上下から挟み込まれている。
【0017】
図2は、環状路2に沿って展開した場合の一部の断面構成を示している。図1における吸入口4及び排出口6は説明のために便宜上外周側から環状路2に接続されているように記載しているが、図2に見られるように環状路2に上方から接続されているものとすることができる。吸入口4及び排出口6を有する環状路2の下側にほぼ平板環状の磁性体10が配置され、磁性体10の切り欠き部が吸入口4の対向位置に設定され、環状路2の上側にほぼ環状の磁性体8が配置され、磁性体8の切り欠き部が概ね吸入口4の位置に配置されている。上側の磁性体8は、図2より明らかなように、両磁性体8,10の間隔が吸入口4から排出口6に向けて(図1の紙面時計回りに)連続的に小さくなるよう傾斜して設けられ、排出口6から吸入口4にかけては逆に上記間隔が大きくなるよう傾斜して設けられている。
【0018】
環状路2の吸入口4と排出口6との間の上側には、バイアス磁界及び駆動用磁界の発生器として永久磁石よりなるバイアス磁石12が配置され、これに上側の磁性体8の排出口側端部が磁気的に接続されている。これにより上側磁性体8から下側磁性体10に向かう磁界が加えられ、環状路2に上から下への磁界が常時印加されることになる。この場合、環状路2内の磁界は、吸入口4から図1で時計方向に排出口6に向かうに従い、バイアス磁石12に近接することと磁性体8,10間の間隔が小さくなることにより、磁界強度が徐々に増大することになる。
【0019】
上述した環状路2には、その一部に磁性流体14が収容されている。この磁性流体14は、バイアス磁界の磁界強度の最も大きいバイアス磁石12付近に常時保持され、この部分が環状路2における磁性流体14の常時保持部2aとなる。環状路2の吸入口4から(図1の時計方向に)常時保持部2aに至るまでは磁性流体14を移動する駆動部2bとなる。磁性流体14は、後で詳述するように、環状路2に沿って図1において時計方向に移動駆動されるが、この移動方向に関連して、常時保持部2aの前方に吸入口4が、後方に排出口6がそれぞれ配置されることになる。なお、環状路2を覆う外殻部材の内面は、この磁性流体14との接触角が比較的大きくなるよう撥油性を有しており、磁性流体14が外殻部材の内面に沿って滲むいわゆるマイグレーションを生じることのないよう配慮されている。
【0020】
環状路2の吸入口4部分(詳しくは吸入口4より磁性流体移動方向側)には、常時保持部2aの磁性流体14を分離するための駆動用磁界発生器としての電磁石16が設けられている。この電磁石16はパルス状駆動用磁界を環状路2に印加し、このパルス状駆動用磁界により磁性流体14が吸引されて磁性流体ブロック14aとして分離される。なお、磁性流体ブロック14aに対する駆動用磁界は、電磁石16によるパルス状駆動用磁界とバイアス用磁石12による駆動部2bのバイアス磁界とを含むことになる。
【0021】
上述した実施形態において、例えば、環状路2の径方向の幅をミリオーダ(1〜数ミリ)、環状路2の直径をセンチオーダ(数センチ)、環状路2における上下方向の間隙をミクロンオーダ(数百ミクロン)で構成することができ、製品装置(例えば磁気ディスク装置)内部或いはこの外部に隣接して設置することができる。
【0022】
次に、上記第1の実施形態のポンプ動作につき説明する。
図2(a)は、初期状態を示し、環状路2に収容された全ての磁性流体14が常時保持部2aにおいてバイアス磁石12の磁界により保持されている。この状態では、常時保持部6の磁性流体14により排出口6が閉状態、吸入口4は開状態にそれぞれ設定されている。
上記初期状態から、駆動用磁界発生器としての電磁石16にパルス状電流を印加してパルス状駆動磁界を発生させると、図2(b)に示すように、この磁界により常時保持部2aの磁性流体14が吸気口4側に磁気吸引される。磁性流体14を保持するバイアス磁石12より磁性流体移動方向前方には吸入口4が存在してこの吸入口4より空気が流入するので、この部分で磁性流体14は分離され、図2(c)に示すように、磁性流体ブロック14aが吸入口4より移動方向前方に生成される。
【0023】
この磁性流体ブロック14aは環状路2を上下から挟む一対の磁性体8,10間に位置することになり、ここで、上側磁性体8から下側磁性体10に向けて磁束が流れ、しかもこの磁界強度が図1の時計方向つまり移動方向前方に行くに従い増大傾向にあるため、磁性流体ブロック14aは、図2の(d)のように、移動方向前方にバイアス磁石12の位置に至るまで駆動される。この磁性流体ブロック14aの移動に伴い、環状路2に封入された空気は磁性流体ブロック14aに押されて移動し、排出口6より徐々に排出され、磁性流体ブロック14aは遂には、磁界強度の最も大きいバイアス磁石12に引き寄せられて、常時保持部2aの磁性流体14と合体し、図2(a)の初期状態に戻る。
【0024】
このように、磁性流体14より磁性流体ブロック14aを分離することに関連して、吸入口4より空気を環状路2に取り込み、磁性流体ブロック14aを移動駆動することによりこの空気を排出口6に案内し、排出することができ、上述の動作を繰り返し行うことにより、空気に対するポンピング動作が実現する。この場合、従来より使用されている真空ポンプなどに比較し、毎分の空気排出量は少ないが、機械的可動部を全く要しないことからメンテナンスフリーで長寿命を期待できることになる。
【0025】
ここで、第1の実施形態の環状路2においては、その間隙を吸入口4から移動方向前方に行くに従い徐々に小さくなるよう設定しているが、この作用効果について説明する。
第1に、環状路2に対するバイアス磁界の磁束供給源はバイアス磁石12であり、バイアス磁石12からの磁束は上側磁性体8沿いに流れ、適宜磁性体8,10間の間隙に漏れて下側磁性体10沿いに流れ、バイアス磁石12に還流する。この場合、仮に磁性体8,10間の間隙が同じであってもバイアス磁石12から遠ざかる程、つまり図1の反時計方向に行くに従い、磁束は少なくなるので、環状路2における磁界強度はバイアス磁石12に近づくほど大となる。上述した実施形態のように、吸入口4から排出口6に時計方向に向かうに従い磁性体8,10の間隙を小さくすることにより、より以上に磁界強度の変化の勾配を大きく或いはその程度を調整できることになる。
【0026】
第2に、磁性流体ブロック14aの移動をより円滑にすることができる効果が期待できる。即ち、磁性流体14より分離された磁性流体ブロック14aは空気を押し込む方向に移動されるため、磁性流体ブロック14aの移動方向前方は移動方向後方に比較して空気の圧力が大であるが、環状路2の断面積を移動方向前方ほど小さくしたため、磁性流体ブロック14aを移動方向の前後の圧力差により移動方向後方に押し戻そうとする力を軽減することができ、或いは磁性流体ブロック14aの駆動力の発生を期待できる。
【0027】
第3に、環状路2の各断面における最小間隙を移動方向前方に行くに従い徐々に小としたので、磁性流体ブロック14aの前方側の境界面の曲率が後方のそれより小さくなり、磁性流体の表面張力により磁性流体ブロック14aが前方への移動力を発生できるようになる。この移動力のみでは、磁性流体ブロック14aを前後の圧力差に抗して前方へ移動するに十分とは思われないが、上述した磁界による駆動力の補助として効果を期待できる。
【0028】
(第2の実施形態)
つぎに、本発明による第2の実施形態を、図3及び図4を用いて説明する。なお、図3及び図4において前図と同一符号のものは同一若しくは相当するものを示すものとする。
【0029】
図3に示すように、吸入口4及び排出口6を有する環状路2に磁性流体14が部分的に充填され、この磁性流体14を保持するためのバイアス磁界を発生するバイアス磁石(永久磁石)12が環状路2における吸入口4と排出口6との間に配置されて、この部分に磁性流体14を保持する常時保持部2aが形成され、環状路2を上下から挟むように設けられたほぼ円環板状の磁性体8,10を、バイアス磁石12の位置から磁性流体ブロック14aの移動方向とは逆方向に環状路2に沿って周回すると共にバイアス磁石12とは間隙を有して終端するように配置することにより、磁性流体14を移動させる駆動部2bが形成される。
【0030】
第2の実施形態の場合、環状路2を上下から挟む一対の磁性体8,10が平行に配置されて磁性体8,10間の間隙は一定に保持されている。加えて、環状路2に非磁性体よりなる間隙制御部材18が配置され、環状路2の駆動部2bにおける空間断面積が磁性流体14の移動方向に沿って排出口6に行くに従い徐々に小さく調整されている。磁性体8の終端位置付近には、吸入口4部分にパルス状駆動用磁界を印加して磁性流体14を吸引する駆動用磁界発生器としての電磁石16が配置されている。
【0031】
上述の環状路2は、例えば図4に示すように構成することができる。すなわち、一部が切り欠かれたほぼ円環状の磁性体10の上面に外殻部材の底面を円環状に敷設すると共に、この上面に断面ほぼコ字状の間隙制御部材18を配置して環状路2を構成し、さらに間隙制御部材18の上面に磁性体8を設ける。間隙制御部材18の内天井面に図3に示すように周方向に傾斜を持たせることにより、環状路2の断面を周方向に間隙が異なるように制御することができる。ここで、特に上側磁性体8は、スパッタ、蒸着、メッキ、エッチング等の薄膜形成技術を用いて製造することができる。勿論、下側磁性体10の製造においてもこの技術により製造することもできる。
【0032】
図3の(a)〜(d)は、第2の実施形態におけるポンプ動作のそれぞれの過程を示し、これは第1の実施形態を示す図2の(a)〜(d)に対応し、これと同様であるため、詳細は省略する。特に、第2の実施形態の場合は、磁性体8,10間の間隙を一定としているため、環状路2の駆動部2bにおけるバイアス磁界の磁界強度は、バイアス磁石12からの距離のみに依存することになり、磁界強度の勾配を考えるには制御しやすい構造となる。
【0033】
(第3の実施形態)
つぎに、本発明の第3の実施形態を、図5及び図6を用いて説明する。これらの図面において、前記と同一符号のものは同一若しくは相当するものを示すものとする。
この実施形態は、図1で示した磁性流体駆動ポンプにおいて、環状路2にバイアス磁界(磁性流体の保持用磁界及び磁性流体ブロックの駆動用磁界を含む)を印加するためのバイアス磁石12に代えて、バイアス磁界発生器20を設けると共に、パルス状の駆動用磁界を発生させる電磁石16に代えて、駆動用パルス磁界発生器30を設けたものである。
【0034】
バイアス磁界発生器20は、図6(a)に示すように、永久磁石22と一対の磁性ブロック24,26とを有してなり、永久磁石22の両磁極に一対の磁性ブロック24,26のそれぞれの一端部が磁気的に接続され、一対の磁性ブロック24,26のそれぞれの他端部が環状路2の常時保持部2aにおける磁性体8,10に磁気的に接続されている。
【0035】
環状路2を挟むように設けられた一対の磁性体8,10は、前述した実施形態の場合のように、常時保持部2aから磁性流体の移動方向とは逆方向に周回すると共に吸入口4の位置で終端しており、従って、バイアス磁界発生器20の一対の磁性ブロック24,26のそれぞれの他端部が磁性体8,10に磁気的に接続されることにより、永久磁石22からの磁束が両磁性ブロック24,26を経て常時保持部2aにおける磁性体8,10間に印加され、前記実施形態の場合と同様に、両磁性体8,10間にバイアス磁界が印加されることになる。
【0036】
駆動用パルス磁界発生器30は、図6(b)に示すように、コ字状磁性ブロック32とこの磁性ブロック32の中腹部に巻回されたコイル34とを有してなり、磁性ブロック32の開放端間に吸入口4付近の環状路2が挟み込まれている。そして、コイル34にパルス状電流を通電してコイル34を駆動すると、コイル34により磁性ブロック32が励磁され、磁性ブロック32の開放端間にパルス状駆動磁界が発生する。従って、環状路2においては、このパルス状駆動磁界により、常時保持部2aの磁性流体の一部が吸入口4を経て駆動部2b側に吸引される。
【0037】
(第4の実施形態)
つぎに、第4の実施形態を、図7を用いて説明する。
この第4の実施形態は、環状路2における磁性流体ブロック14aの駆動力を3以上の複数の磁界発生器により得るようにしたものである。
【0038】
すなわち、環状路2の常時保持部2a及び吸入口4付近には、第1の実施形態等の場合と同様に、バイアス磁界及び駆動用磁界発生用のバイアス磁石12及び駆動用パルス磁界発生用の電磁石16がそれぞれ配置されるが、環状路2の駆動部2bには、さらに3個の駆動用バイアス磁界発生器42,44,46がほぼ等間隔に配置されている。この磁界発生器42,44,46は、磁界強度の異なる2レベルの磁界を切り換えて発生させることができるものである。
【0039】
駆動用バイアス磁界発生器を複数設置することに関連して、環状路2を上下から挟み込むよう配置された磁性体も多段構造に分割されている。すなわち、上側の磁性体は、電磁石16と磁界発生器42との間を結合する磁性体8Aと、各磁界発生器42〜46のそれぞれの間を結合する磁性体8B,8Cと、磁界発生器46とバイアス磁石12との間を結合する磁性体8Dとに分割され、各磁性体8A〜8Dはそれぞれの端部が隙間を介在させて互いに対向し、下側の磁性体も同様に分割されてそれぞれの端部が隙間を介在させて対向している。そして、上下の磁性体の分割部分においてその磁性流体移動方向前方寄りに磁界発生手段42〜46がそれぞれ配置されている。なお、上下の磁性体の間隙は、第1の実施形態のように、移動方向前方に行くに従い小さくなるように設定してもよいし、第2の実施形態のように、上下の磁性体の間隙を一定として環状路2に間隙制御部材を配置してもよく、或いは上下の磁性体の間隙を一定としかつ環状路2の断面積を周方向一定としてもよい。
【0040】
第4の実施形態においては、常時保持部2aに保持された磁性流体14は、電磁石16からのパルス状磁界によりその一部が分離されて磁性流体ブロック14aとなり、磁性体8Aに対応する環状路2の駆動部2bに吸引されるが、この磁性流体ブロック14aは以下のようにして環状路2を移動駆動する。
【0041】
磁性体8Aの移動方向前端位置に対応する駆動用バイアス磁界発生器42は、磁性流体ブロック14aが磁性体8Aに対応する環状路2にある時には、2レベルのうち低レベル磁界強度の磁界を発生させており、この磁界により磁性流体ブロック14aは発生器42側に吸引されて移動する。この磁性流体ブロック14aが磁性体8Aの端部に達したとき、発生器42は高レベル磁界強度の磁界を発生するように切り替わり、磁性流体ブロック14aはこの位置から磁性体8Bに対応する位置までこの強力な磁界により吸引される。
【0042】
磁性体8Bに対応する位置に吸引された磁性流体ブロック14aは、つぎに駆動用バイアス磁界発生器44による低レベル磁界強度の磁界により移動駆動され、以下同様にして、磁性流体ブロック14aが磁性体8Bの対応位置から磁性体8Cの対応位置、さらには磁性体8Dの対応位置に吸引かつ移動駆動される。磁性体8Dの対応位置に達した磁性流体ブロック14aは、さらにバイアス磁石12の磁力により常時保持部2a側に移動駆動され、排出口6を経て常時保持部2aの磁性流体14と合体する。
【0043】
上記実施形態の場合、環状路2における磁性流体ブロック14aの位置を検出することもできる。これはより大きな力(圧力差)を生じさせる場合や磁性流体ブロック14aを連続的にかつ高速に駆動する場合に非常に有利である。この位置検知手段としては、例えば、磁性流体14を導電性を有するものとし、各駆動用バイアス磁界発生器42,44,46の位置に対応してそれぞれ、環状路2に周囲から絶縁された電極を配置し、この電極と他の導体間の電気伝導度の変化を検知することにより磁性流体ブロック14aの存在つまり位置を検出するようにする。そして、この位置検知結果を基に、各発生器42〜46の駆動、磁界レベルの切換を制御することにより、磁性流体ブロック14aの移動駆動の円滑な制御が実現できる。また、上記駆動用バイアス磁界発生器42,44,46で磁界強度の異なる2レベルの磁界を発生させる具体的な方法としては、例えば、永久磁石と電磁石を併用し、低いレベルの磁界強度は永久磁石で常時発生させ、高いレベルの磁界強度を発生させるときに電磁石を駆動して、永久磁石の磁界に電磁石の磁界を重畳させるようにしてもよい。
【0044】
(第5の実施形態)
つぎに、第5の実施形態を、図8を用いて説明する。
図5に示す実施形態は、第4の実施形態のように環状路2を上下から挟み込む磁性体を周方向に4分割してバイアス磁界を多段構造としたものであるが、吸入口4付近に配置したパルス状駆動用磁界発生器50と、分割した各磁性体8A〜8Dのそれぞれの分割位置に配置した駆動用バイアス磁界発生器52,54,56とをそれぞれ1個のコイル58により駆動するようにしたものである。パルス状駆動用磁界発生器50は第3の実施形態(図5)で説明したと同様の構造であり、コイル58によりパルス状駆動用磁界を発生させる。また、バイアス磁界発生器52〜56は、第4の実施形態のように磁界強度の異なる2レベルの磁界を発生させることができるものであり、第3の実施形態で説明した両発生器20,30を組み合わせたと同様の構造であり、低レベルの磁界強度は内蔵した永久磁石により発生させ、高レベルの磁界強度を発生させるときにコイル58を駆動させてコイル58による磁界を永久磁石の磁界に重畳させるようにしている。
【0045】
この第5の実施形態においては、環状路2の常時保持部2aにおける磁性流体14を磁性体8A対応位置側に吸引する際にコイル58が駆動され、パルス状駆動用磁界発生器50による磁気吸引力により磁性流体14から磁性流体ブロック14aが分離される。磁性体8A対応位置における磁性流体ブロック14aはバイアス磁界発生器52の永久磁石による低レベル磁界により移動駆動され、これを磁性体8A対応位置の移動方向終端から磁性体8B対応位置の移動方向始端に移動させる際に、コイル58が駆動されて発生器52の高レベルの磁界強度により磁性流体ブロック14aが速やかに磁性体8B対応位置に移動する。
【0046】
以下、同様にして、コイル58の駆動が制御され、環状路2の磁性体ブロック14aが磁性体8B対応位置、磁性体8C対応位置、磁性体8D対応位置にそれぞれ移動され、常時保持部2aにおけるバイアス磁界発生器20により、磁性流体ブロック14aが排出口6を経て常時保持部2aの磁性流体14に合体する。ここで、コイル58は各発生器50,52,54,56の駆動毎に駆動されるが、常時保持部2aにおける磁性流体14の量を調整することにより、磁性流体14より分離した一つの磁性流体ブロック14aのみを駆動することもでき、或いはコイル58の駆動毎に、パルス状駆動用磁界発生器50による磁性流体ブロック14aの分離と、各駆動用バイアス磁界発生器52〜56それぞれによる磁性流体ブロック14aの移動とを同時に並行して行わせることもできる。
【0047】
第5の実施形態の場合、各発生器50〜56に共通のコイル58を環状路2の内周側に配置することによりポンプ全体としてのスペース効率が良好になる。勿論、コイル58を環状路2の上側(或いは下側)に重ねてもよい。さらには、各発生器50〜56を駆動するコイルは個々に設けてもよいし、バルス状駆動用磁界発生器50単独と駆動用バイアス磁界発生器52〜56共通との2つを設けてもよい。
【0048】
(第6の実施形態)
つぎに、第6の実施形態を、図9及び図10を用いて説明する。
この実施形態は、吸入口4と排気口6との圧力をさらに取りたい場合や高速で排気を行うような応用に適したポンプの形態であり、多相の磁界を発生させて順次磁性流体ブロックを吸引するようにしたものである。以下に説明の説明では、2相の磁界で磁性流体ブロックを順次吸引して移動させるものについて説明するが、3相以上の多相の磁界を用いて同様に実施できることは明らかである。
【0049】
吸入口4及び排出口6を有する円環状の環状路2は、吸入口4と排出口6との間に位置する常時保持部2aと、吸入口4から磁性流体移動方向(図9で時計方向)に排出口6に至る駆動部2bとを有する。環状路2には、先の実施形態で説明したような磁性体は存在せず、環状路2に沿ってこの環状路2の上方外周寄りと上方内周よりとに円環状の2相のコイル60,62が配設されている。
【0050】
環状路2の常時保持部2aには、バイアス磁界発生器64が配置されている。この発生器64は、図10(a)に示すように、バイアス磁界を発生させるための永久磁石64aと一対の磁性板64b,64cとよりなり、磁性板64b,64cの端部間に永久磁石64aがその両磁極を磁性板64b,64cに向けて挟み込まれており、両磁性板64b,64cの開放端は常時保持部2aの外周側を上下から覆うように配置されている。上側の磁性板64bには外周側のコイル60が接合され、このコイル60が駆動した際には、永久磁石64aによる磁界にコイル60による磁界が重畳されることになる。この発生器64は吸入口4と排出口6との間に永久磁石64aが配置されることからこの位置の磁界強度が最大となり、磁性流体はこの付近を中心に保持されることになる。
【0051】
環状路2の常時保持部2aを除く部分には、環状路2の内周側の駆動用磁界発生器66と外周側の駆動用磁界発生器68とが環状路2に沿って交互に配置されている。吸入口4の対応位置を含め、環状の内周側に間隔を介して配置された複数個(図9では6個)の駆動用磁界発生器66は、図10(b)に示すように、外周側に開口した断面コ字状の磁性体ブロック66aと各発生器66に共通の内周側コイル62とからなり、磁性体ブロック66aの下側片が環状路2の内周半部を支持すると共に、磁性体ブロック66aの上側片が環状路2の内周半部の上側を覆っており、上側片の下面にコイル62が接合されている。
【0052】
環状路2の外周側に環状路2に沿って間隔を配置された複数個(図9では5個)の駆動用磁界発生器68は、図10(c)に示すように、内周側に開口した断面コ字状の磁性体ブロック68aと各発生器68に共通の外周側コイル60とからなり、磁性体ブロック68aの下側片が環状路2の外周半部を支持すると共に、磁性体ブロック68aの上側片が環状路2の外周半部の上側を覆っており、上側片の下面にコイル60が接合されている。
【0053】
吸入口4に対応して配置された発生器66は、その磁性体ブロック66aの周方向側縁(磁性流体移動方向前方側縁)が前記発生器64の両磁性板64bの周方向側縁(磁性流体移動方向後方側縁)に移動方向に対し重なることなく一致している。しかし、その他の外周側の発生器68と内周側の発生器66は、それぞれの磁性体ブロック68,66がその周方向全長のほぼ1/3を周方向に互いに重ならせて配置され、常時保持部2aに移動方向逆方向において近接した内周側の発生器66は、その磁性体ブロック66がバイアス磁界発生器64の磁性板64bに周方向に幾分重なって配置されている。
【0054】
この第6の実施形態では、初期状態において、バイアス磁界発生器64の永久磁石64aの磁束により常時保持部2aにバイアス磁界が常時印加されているため、常時保持部2aに磁性流体が保持される。この初期状態からポンプ動作を開始する場合、まず内周側のコイル62が駆動され、吸入口4に対応した駆動用磁界発生器66による磁界が吸入口4に印加され、これに隣接する常時保持部2aの磁性流体が吸入口4側に吸引され、磁性流体ブロックとして分離される。この動作時、内周側の各発生器66は一斉に磁界を発生するが、問題はなく、特に常時保持部2aに移動方向逆方向において近接する発生器66からの磁界は、バイアス磁界発生器64の永久磁石64aの位置から幾分離れているため、常時保持部2aの磁性流体が逆方向に吸引されることはほとんどない。
【0055】
コイル62の駆動により磁性流体ブロックが分離された直後、このコイル62の駆動が停止されてつぎに外周側のコイル60が駆動される。従って外周側の駆動用磁界発生器68による磁界が発生し、環状路2において吸入口4位置の発生器66に対応した位置に分離された磁性流体ブロックがこれに隣接した発生器68の磁界により移動方向前方に吸引され、環状路2を移動する。その後、外周側のコイル60が停止してさらに内周側のコイル62が再び駆動し、上記発生器68に移動方向前方側に隣接した発生器66の磁界により磁性流体ブロックが前方に移動する。以下同様にして、コイル62,60が交互に駆動することにより、磁性流体ブロックが移動方向前方に配置された発生器68,66による磁界により移動する。移動方向最終端の内周側発生器66の発生磁界によりこの発生器66に対応する位置に移動した磁性流体ブロックは、つぎに外周側コイル60が駆動されることによるバイアス磁界発生器64の磁界により排気口6側に吸引移動され、排気口6を経て永久磁石64aの磁力により常時保持部2a側に速やかに移動され、常時保持部2aの磁性流体と合体する。
【0056】
内周側のコイル62が駆動する毎に、吸入口4に対応した発生器66の磁界により常時保持部2aの磁性流体を吸入口4側に分離して磁性流体ブロックを生成することが可能であるため、2相のコイル62,60が交互に駆動することにより、磁性流体ブロックを順次生成してこれを移動方向前方に順次移動駆動することができ、連続した空気の移動つまりポンピング動作を行わせることができ、吸入口4から環状路2を通して排気口6に連続的に排気することができる。
【0057】
上述した実施形態において、第1及び第2の実施形態で説明したように、環状路2の間隙が移動方向前方に行くに従い小さくなるようにすれば、磁性流体ブロックの移動をより円滑に行わせることが可能である。
【0058】
なお、上述した各実施形態において、吸入口4及び排出口6と環状路2とを接続する際においては、例えば図11に示すように、吸入口4及び排出口6の間隙G1を環状路2の最小間隙G2より大とすることが必要である。これは、毛細管現象を利用して、環状路2を移動する磁性流体ブロックが吸入口4及び排出口6側に漏れることを防ぐためである。図11では、吸入口4及び排出口6を環状路2に外周側から接続する場合を示しているが、図2に示すように、環状路2に上方から接続する場合においても同様に間隙を設定することができる。或いは、それらの接続部の吸入口4及び排出口6側の表面に撥油剤を塗布することによっても、同様の効果を期待することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で変更乃至修正が可能である。たとえば、第3の実施形態で述べた磁性流体ブロックの位置検出手段は、他の実施形態においても同様に適用することができ、ポンプ動作を高速度で運転することが可能になる。
【0060】
また、上述した実施形態では、単体のポンプ構成を示しているが、これを多段に構成して並列運転することもでき、ポンプ容量を大幅に増大することが可能であり、特に、環状路2を多段に積層した場合には、バイアス磁界発生手段や駆動用磁界発生手段をこれら多段のポンプに共用とすることも可能である。
【0061】
さらに、上記では空気を排気する場合を説明したが、排気対象はこれに限らず、他の気体や液体でも同様に適用することができることは明らかである。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、つぎに記載する効果を奏する。
環状路の一部に充填した磁性流体をバイアス磁界及び駆動用磁界により環状路に沿って移動駆動させ、この磁性流体の移動に関連させて吸入口からの気体や液体を環状路を通して排出口より排出することができるので、ポンピング動作の全てを磁気的に行わせることができ、機械的な駆動部分を全く要さず、メンテナンスフリーである上、長寿命を実現できるものである。しかも、吸入口及び排出口を有する環状路にバイアス磁界及び駆動用磁界の磁界印加手段を設けるだけの構成であるため、小型化が可能であり、ポンプ搭載装置の小型化にも大きく寄与できるものである。
【0063】
特に、本発明の磁性流体駆動ポンプは、ポンプ容量そのものはあまり大きくないものの、長寿命での動作を必要とする製品装置に適用して大きな効果を発揮でき、例えば、磁気ディスク装置に搭載することによりこの装置内を低圧に保持でき、ディスクの高速回転を可能にし、低消費電力化,信頼性向上を実現できるものである。勿論、他の製品装置に適用してメンテナンスフリー及び長寿命の特徴を十分に享受できるものである。
【0064】
また、環状路の駆動部に磁性流体ブロックの移動方向に磁界強度が増大するようなバイアス磁界及び駆動用磁界が印加するようにした場合には、駆動部に吸引された磁性流体ブロックをこの磁界勾配で円滑かつ迅速に移動駆動することができ、気体や液体のポンピング動作をより高めることができる。この駆動部における磁界強度の勾配の調整・制御において、環状路を対の磁性体で挟み込むようにして行う場合には、対の磁性体の間隙や環状路に対面する磁性体の面積を制御することにより簡単に磁界勾配を制御でき、構成が簡単になる効果が得られ、特にこの磁性体はスパッタや蒸着、メッキ、エッチング等の薄膜形成技術で製造することもでき、超小型のポンプを製造することも可能となる。
【0065】
さらに、環状路の駆動部において、磁性流体の移動方向前方に順次局所磁界を断続的に加えるようにすれば、磁性流体ブロックの移動駆動をより確実かつ高速に行わせることができ、ポンプ容量の増大を図ることができ、しかも、環状路における磁性流体ブロックの位置を検出する手段を設けて駆動磁界の断続のタイミングを制御するようにすれば、より正確に高速運転が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性流体駆動ポンプの第1の実施形態を示す概略平面図である。
【図2】図1において環状路に沿って切断した場合の断面展開図であり、(a)〜(d)はそれぞれ異なる動作状態を示すものである。
【図3】本発明の磁性流体駆動ポンプの第2の実施形態を示す図2に対応する断面展開図であり、(a)〜(d)はそれぞれ異なる動作状態を示すものである。
【図4】図3(a)のa−a’線断面図である。
【図5】本発明の磁性流体駆動ポンプの第3の実施形態を示す概略平面図である。
【図6】図5におけるバイアス磁界発生器及び駆動用磁界発生器を示し、(a)は図5のバイアス磁界発生器のb−b’線断面図、(b)は図5の駆動用磁界発生器のc−c’線断面図である。
【図7】本発明の磁性流体駆動ポンプの第4の実施形態を示す概略平面図である。
【図8】本発明の磁性流体駆動ポンプの第5の実施形態を示す概略平面図である。
【図9】本発明の磁性流体駆動ポンプの第6の実施形態を示す概略平面図である。
【図10】図9におけるバイアス磁界発生器及び駆動用磁界発生器を示し、(a)は図9のバイアス磁界発生器のd−d’線断面図、(b)は図9の駆動用磁界発生器のe−e’線断面図、(c)は図9の駆動用磁界発生器のf−f’線断面図である。
【図11】環状路に対する吸入口及び排出口の接続部分の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
環状路
2a 常時保持部
2b 駆動部
4 吸入口
排出口
10 磁性体
バイアス磁石(バイアス磁界発生器)
14 磁性流体
14a 磁性流体ブロック
電磁石(駆動用磁界発生器)
18 間隙制御部材
20 バイアス磁界発生器
30 駆動用パルス磁界発生器
コイル
44,46 駆動用バイアス磁界発生器
8A、8B、8C、8D 磁性体
50 パルス状駆動用磁界発生器
54、56 駆動用バイアス磁界発生器
コイル
60、62 コイル
64 バイアス磁界発生器
66、68 駆動用磁界発生器

Claims (9)

  1. 吸入口及び排出口を有し内部に磁性流体が部分的に充填された環状路と、該環状路において前記磁性流体を保持するためのバイアス磁界、及び前記磁性流体を前記環状路に沿って移動させるための駆動用磁界を発生させる磁界印加手段を有し、前記環状路には、常時バイアス磁界が加えられて前記磁性流体を保持する常時保持部及び前記磁性流体を移動させる駆動部を有し、前記環状路における前記常時保持部の磁性流体移動方向に関して、前方に前記吸入口が、後方に前記排出口がそれぞれ配置されており、前記磁界印加手段は、前記吸入口部分に少なくともパルス状の駆動用磁界を印加して前記常時保持部の前記磁性流体を分離してこれを移動するように構成され、前記常時保持部に保持された磁性流体により前記排出口及び前記吸入口の開閉が制御され、前記常時保持部の磁性流体が前記吸入口部分で分離されて磁性流体ブロックとなり、これが前記環状路に沿って移動駆動され、前記排出口を経て再び前記常時保持部に保持されるように構成され、かつ、前記駆動部には、前記常時保持部の磁性流体から分離された磁性流体ブロックを前記常時保持部に移動せしめるまで徐々に磁界強度が増大するよう前記バイアス磁界及び駆動用磁界が印加されることを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  2. 請求項において、前記環状路には、これを含む面に直交する方向に一様な磁界が加えられ、前記環状路を前記直交する方向から挟む対の磁性体の間隙、或いは前記環状路に接する部分の磁性体の面積を制御することにより磁界強度が調整されることを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  3. 請求項において、前記バイアス磁界の磁界印加手段として前記常時保持部に磁石を配置し、該磁石からの磁束を伝達する磁性体を、前記環状路に沿って磁性流体の移動方向とは逆方向に周回すると共に前記磁石とは磁気的に間隙を有して終端するように配置したことを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  4. 請求項1において、前記環状路内の磁性流体ブロックの駆動部には、前記磁性流体ブロックの移動方向前方に順次局所磁界を断続的に加えて前記磁性流体ブロックを吸引するよう、駆動用磁界のための磁界印加手段が設けられていることを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  5. 請求項において、局所磁界を印加する複数場所のそれぞれの間には前記磁性流体の移動方向に磁界強度が増大するようなバイアス磁界印加手段を有し、断続する局所駆動磁界とバイアス磁界とで前記磁性流体ブロックを順次移動せしめることを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  6. 請求項において、前記環状路を移動する磁性流体ブロックの位置を検知して駆動磁界の断続のタイミングを制御することを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  7. 請求項において、前記磁性流体が導電性を有するものとし、前記磁性流体ブロックの位置検知手段として、前記環状路の一部に周囲から絶縁された電極を配置し、該電極と他の導体との電気伝導度の変化を検知することにより前記磁性流体ブロックの位置を検知することを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  8. 請求項1,2,3,4,5,6及び7において、前記磁性流体ブロックの移動方向の前方の環状路断面積を後方のそれより小にして、圧力差により前記磁性流体ブロックを駆動することを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
  9. 請求項1,2,3,4,5,6及び7において、前記磁性流体ブロックの移動方向の前方の環状路断面の最小間隙を後方のそれより小にして、前記磁性流体ブロックの移動を促進することを特徴とする磁性流体駆動ポンプ。
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