JP4472611B2 - 遠心式血液ポンプ装置 - Google Patents
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また、特許文献3のように、遠心ポンプとしては、動圧軸受とロータの反対方向にインペラを吸引する永久磁石を備えるものもある。このタイプのものにおいても、耐外乱性を考慮した場合、軸受のラジアル方向の剛性を向上させることが望ましい。
そして、本発明者等が検討したところ、インペラが上下の両方向より磁気的に吸引されるタイプの遠心式血液ポンプにおいて、インペラを軽量化することにより、軸受剛性を変更せずに耐外乱性を向上させることができることを知見した。
そこで、本発明の目的は、インペラが上下の両方向より磁気的に吸引されるタイプの遠心式血液ポンプにおいて、インペラを軽量化でき耐外乱性に優れ、かつ、内部に収納される磁性体の離脱、また、インペラ構成物の剥離等がなく、軽量化しても十分な耐久性を有するインペラを備える遠心式血液ポンプ装置を提供する。
(1) 血液流入ポートと血液流出ポートとを有するハウジングと、内部に第1の磁性体および第2の磁性体を備え、前記ハウジング内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラを有する遠心ポンプ部と、
前記遠心ポンプ部の前記インペラの第2の磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるためのインペラ回転トルク発生部と、前記インペラの第1の磁性体を前記インペラ回転トルク発生部と反対側に磁気的吸引し、前記インペラを前記ハウジング内にて浮上させた状態にて支持する非接触軸受機構を備える遠心式血液ポンプ装置であって、前記インペラは、熱可塑性高分子材料により形成されたリング状のインペラ本体部材と、熱可塑性高分子材料により形成され、かつ、前記インペラ本体部材の一方の面に固定されるリング状インペラ表面形成部材とを備え、前記第1の磁性体は、前記インペラ本体部材と前記インペラ表面形成部材間に移動不能に配置されており、前記インペラ本体部材および前記インペラ表面形成部材は、環状外縁部および環状内縁部にて接触しかつ該環状外縁部および環状内縁部においてレーザー溶着により融着されており、さらに、前記環状外縁部および前記環状内縁部には、特定波長のレーザー光を吸収し発熱する融着補助物質が設けられており、かつ、前記インペラ表面形成部材を形成する前記熱可塑性高分子材料は、前記特定波長のレーザー光を透過するものである遠心式血液ポンプ装置。
(3) 前記融着補助物質は、ダイヤモンドライクカーボンである(1)または(2)に記載の遠心式血液ポンプ装置。
(4) 前記融着補助物質は、厚さが0.01〜5μmとなるように配置されている(1)ないし(3)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
(5) 前記熱可塑性高分子材料が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である(1)ないし(4)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
(7) 前記非接触軸受機構は、前記インペラに設けられた前記第1の磁性体および第3の磁性体と、前記第1の磁性体を前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向と反対側に吸引する磁性体もしくは電磁石と、前記第3の磁性体を前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向に吸引する電磁石により構成されている(1)ないし(5)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
(8) 前記インペラは、前記インペラ本体部材の他方の面に固定されるリング状の第2のインペラ表面形成部材を備え、前記第2の磁性体および前記第3の磁性体は、前記インペラ本体部材と前記第2のインペラ表面形成部材間に移動不能に配置されており、前記インペラ本体部材および前記第2のインペラ表面形成部材は、環状外縁部および環状内縁部にて接触しかつ環状外縁部および環状内縁部において融着されている(7)に記載の遠心式血液ポンプ装置。
(10) 前記非接触軸受機構は、前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向と反対側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記第1の磁性体側の表面に設けられた第2の動圧溝を備えるものである(1)ないし(9)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
(11) 前記遠心式血液ポンプ装置は、前記インペラの位置を検出するための位置センサを備えている(1)ないし(10)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
(12) 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの第2の磁性体を吸引するための磁石を備えるロータと、該ロータを回転させるモータとを備えるものである(1)ないし(11)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
(13) 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの第2の磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるために円周上に配置された複数のステーターコイルを備えるものである(1)ないし(11)のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
このため、インペラは、全体を金属材料により形成した場合に比べて、十分に軽量化されるため、耐外乱性に優れたものとなる。さらに、インペラは、第1の磁性体をインペラ本体部材とインペラ表面形成部材間に移動不能に収納するとともに、インペラ本体部材およびインペラ表面形成部材は、環状外縁部および環状内縁部にて接触しかつこの環状外縁部および環状内縁部において融着されているため、インペラ構成物の剥離等がなく、軽量化しても十分な耐久性を有するものとなっている。
図1は、本発明の遠心式血液ポンプ装置の実施例の正面図である。図2は、図1に示した遠心式血液ポンプ装置の平面図である。図3は、図2の遠心式血液ポンプ装置のA−A線断面図である。図4は、図3の遠心式血液ポンプ装置のB−B線断面図(インペラは外観にて表す)である。図5は、図3の遠心式血液ポンプ装置のB−B線断面図よりインペラを取り外した状態を示す断面図である。図6は、図3の遠心式血液ポンプ装置のC−C線断面図よりインペラを取り外した状態を示す断面図である。図7は、図3の遠心式血液ポンプ装置におけるインペラの拡大断面図である。図8は、図7のD−D線断面図である。
具体的には、遠心式血液ポンプ装置1は、インペラ回転トルク発生部3は、インペラ21の第2の磁性体25を吸引するための磁石33を備えるロータ31と、ロータ31を回転させるモータ34を備えている。また、遠心ポンプ部内において、インペラ21に対するインペラ回転トルク発生部3の磁力発生源による吸引力と永久磁石41による吸引力の合力が、ハウジング20内のインペラ21の可動範囲の中央付近にて釣り合うものとなっている。また、インペラ回転トルク発生部側のハウジング内面もしくはインペラ21のインペラ回転トルク発生部側に設けられた第1の動圧溝38を備えている。さらに、この実施例のポンプ1のように、永久磁石41側のハウジング内面もしくはインペラ21の第1の磁性体29側の表面に設けられた第2の動圧溝71を備えることが好ましい。
インペラ21は、図3に示すように、回転時に動圧溝38により発生する圧力により、ハウジング内面に接触することなく回転する。特に、このポンプ装置1では、永久磁石41によりインペラ21をロータと反対方向に吸引するため、通常の動圧溝により得られるインペラとハウジング間距離よりもさらに離間した状態にて回転する。
そして、第1の磁性体29は、インペラ本体部材18とインペラ表面形成部材28間に移動不能に配置されている。また、インペラ本体部材18およびインペラ表面形成部材28は、環状外縁部および環状内縁部にて接触し、かつ環状外縁部および環状内縁部において融着されている。具体的には、図7および図8に示すように、インペラ本体部材18は、等角度に配置された複数(この実施例では7つ)のベーン形成部19aと、複数のベーン形成部19aの上部を連結する上部リング部19bと、複数のベーン形成部19aの下部を連結する下部リング部19cとを備えている。さらに、インペラ本体部材18は、上部側の環状外縁部18a、上部側の環状内縁部18b、下部側の環状外縁部18c、下部側の環状内縁部18dを備えている。この実施例では、各外縁部、各内縁部は、環状に突出する環状突出部となっている。
そして、インペラ本体部材18およびインペラ表面形成部材28は、環状外縁部および環状内縁部にて接触し、かつ環状外縁部および環状内縁部において融着されている。融着は、高周波融着、超音波融着、レーザー融着などの接着剤を用いない方法により行われていることが好ましい。特に、環状外縁部および環状内縁部は、レーザー溶着により融着されていることが好ましい。
第2の磁性体25としては、永久磁石、磁性ステンレスなどが使用され、特に、永久磁石が好ましい。この実施例では、インペラ21には、複数(例えば、14〜24個)の第2の磁性体25(永久磁石、従動マグネット)が埋設されている。第2の磁性体25(永久磁石)は、インペラ回転トルク発生部3のロータ31に設けられた永久磁石33によりインペラ21を血液流入ポート22と反対側に吸引され、ロータとのカップリングおよび回転トルクをインペラ回転トルク発生部より伝達するために設けられている。また、この実施例のようにある程度の個数の磁性体25を埋設することにより、後述するロータ31との磁気的結合も十分に確保できる。
インペラを形成する部材の接合には、インペラ接合用収納体が用いられる。インペラ接合用収納体101は、インペラ本体部材18を収納可能な環状凹部およびインペラ本体部材18の中央開口を貫通可能な円柱突出部を備える筒状体である。また、融着対象のインペラ本体部材18およびインペラ表面形成部材28のいずれかの環状外縁部には、融着補助物質42が塗布される。特に、インペラ本体部材18の環状外縁部18aに融着補助物質42を塗布することが好ましい。同様に、融着対象のインペラ本体部材18およびインペラ表面形成部材28のいずれかの環状内縁部には、融着補助物質43が塗布される。特に、インペラ本体部材18の環状内縁部18bに融着補助物質43を塗布することが好ましい。融着補助物質42,43としては、特定波長のレーザー光を吸収し発熱する上述のものが好適に使用される。
インペラ回転トルク発生部3は、図3に示すように、ハウジング20内に収納されたロータ31とロータ31を回転させるためのモータ34を備える。ロータ31は、血液ポンプ部2側の面に設けられた複数の永久磁石33を備える。ロータ31の中心は、モータ34の回転軸に固定されている。永久磁石33は、インペラ21の第2の磁性体(永久磁石)25の配置形態(数および配置位置)に対応するように、複数かつ等角度ごとに設けられている。また、ロータ31を回転駆動させるモータとしては、DCブラシレスモータを含む同期モータ、インダクションモータを含む非同期モータなどが使用されるが、モータの種類はどのようなものであってもよい。
動圧溝38は、図5に示すように、インペラ21の底面(ロータ側面)に対応する大きさに形成されている。この実施例のポンプ装置1では、ハウジング内面20aの中心より若干離間した円形部分の周縁(円周)上に一端を有し、渦状に(言い換えれば、湾曲して)ハウジング内面20aの外縁付近まで、幅が徐々に広がるように延びている。また、動圧溝38は複数個設けられており、それぞれの動圧溝38はほぼ同じ形状であり、かつほぼ同じ間隔に配置されている。動圧溝38は、凹部であり、深さとしては、0.005〜0.4mm程度が好適である。動圧溝としては、6〜36個程度設けることが好ましい。この実施例では、12個の動圧溝がインペラの中心軸に対して等角度に配置されている。この実施例のポンプ装置における動圧溝38は、いわゆる内向スパイラル溝形状となっており、インペラが反時計方向に回転することにより、この動圧溝の作用による流体のポンピングは、溝部の外径から内径に向け圧力が高められるために、インペラ21とこの動圧溝を形成しているハウジング20間に反発力が得られ、これが動圧力となる。
このような動圧溝を有するため、インペラ回転トルク発生部3側に吸引されるが、ハウジングの動圧溝38とインペラ21の底面間(もしくはインペラの動圧溝とハウジング内面間)に形成される動圧軸受効果により、若干であるが、ハウジング内面より離れ、非接触状態にて回転し、インペラの下面とハウジング内面間に血液流路を確保するため、両者間での血液滞留およびそれに起因する血栓の発生を防止する。さらに、通常状態において、動圧溝が、インペラの下面とハウジング内面間において撹拌作用を発揮するので、両者間における部分的な血液滞留の発生を防止する。
さらに、動圧溝38は、その角となる部分が少なくとも0.05mm以上のRを持つように丸められていることが好ましい。このようにすることにより、溶血の発生をより少ないものとすることができる。
具体的には、図3ないし図6に図示するように、ハウジング20は、インペラ21を収納するとともに血液室24を形成するハウジング内面を備え、ロータ31側のハウジング内面20aに設けられた第1の動圧溝38を備えるとともに、永久磁石41側のハウジング内面20bに設けられた第2の動圧溝71を備えている。
このため、インペラ21は、所定以上の回転数により回転することにより発生する第1の動圧溝38とインペラ21間に形成される動圧軸受効果により、非接触状態にて回転するとともに、外的衝撃を受けた時また第1の動圧溝38による動圧力が過剰となった時に、インペラのハウジング内面20b側への密着を防止する。そして、第1の動圧溝により発生する動圧力と第2の動圧溝により発生する動圧力は異なるものとなっていてもよい。
なお、第2の動圧溝は、ハウジング側ではなくインペラ21の永久磁石側の面に設けてもよい。この場合も上述した第2の動圧溝と同様の構成とすることが好ましい。さらに、動圧溝71は、その角となる部分が少なくとも0.05mm以上のRを持つように丸められていることが好ましい。このようにすることにより、溶血の発生をより少ないものとすることができる。
また、インペラ補助吸引部4における磁性体29と永久磁石41の吸引力に起因するインペラの剛性低下を防ぐため、対向する磁性体と永久磁石とはその対向面のサイズが異なることが好ましい。永久磁石41は、磁性体28より小さいものとなっており、両者対向面のサイズが異なっている。これによって、両者間の距離によって変化する吸引力の変化量、すなわち負の剛性を小さく抑えることで、インペラ支持剛性の低下を防いでいる。
図5には、内向スパイラル溝形状の動圧溝を示したが、この動圧溝形状はいかなるものであっても利用できる。
図6に示すように、この実施例における第2の動圧溝71は、いわゆるヘリングボーン形状となっている。インペラ21はこの動圧溝に対向して配置し、インペラ21はこの溝に対して、時計回りに回転することで、この動圧溝の作用による流体のポンピングはインペラ21の外径側および内径側からその中央部に向けポンピング流体の流れを作るように作用する。その結果、インペラ21とこの動圧溝を形成しているハウジング20間に反発力が得られこれが動圧力となる。動圧溝形状には種々あるが、血液ポンプとして利用するためには、ポンピング流体の流れがスムーズな内向スパイラル溝形状が好ましい。
図9は、本発明の遠心式血液ポンプ装置の他の実施例の平面図である。図10は、図9の遠心式血液ポンプ装置のE−E線断面図である。図11は、図10の遠心式血液ポンプ装置のF−F線断面図(インペラは外観にて表す)である。図12は、図10の遠心式血液ポンプ装置におけるインペラの拡大断面図である。図13は、図12のG−G線断面図である。
この実施例の遠心式血液ポンプ装置100と上述した実施例の遠心式血液ポンプ装置1との相違は、非接触軸受機構のみであり、その他は同じであり、上述した説明を参照するものとする。
そして、この遠心式血液ポンプ装置100に用いられるインペラ21は、図12に示すように、インペラ本体部材18の他方の面に固定されるリング状の第2のインペラ表面形成部材27を備え、第2の磁性体25および第3の磁性体46は、インペラ本体部材18と第2のインペラ表面形成部材27間に移動不能に配置されている。そして、上述したインペラ21と同様に、このインペラもインペラ本体部材18および第2のインペラ表面形成部材27は、環状外縁部および環状内縁部にて接触しかつ環状外縁部および環状内縁部において融着されている。
そして、第1の磁性体29は、インペラ本体部材18とインペラ表面形成部材28間に移動不能に配置されている。また、インペラ本体部材18およびインペラ表面形成部材28は、環状外縁部および環状内縁部にて接触し、かつ環状外縁部および環状内縁部において融着されている。具体的には、図12および図13に示すように、インペラ本体部材18は、等角度に配置された複数(この実施例では7つ)のベーン形成部19aと、複数のベーン形成部19aの上部を連結する上部リング部19bと、複数のベーン形成部19aの下部を連結する下部リング部19cとを備えている。さらに、インペラ本体部材18は、上部側の環状外縁部18a、上部側の環状内縁部18b、下部側の環状外縁部18c、下部側の環状内縁部18dを備えている。この実施例では、各外縁部、各内縁部は、環状に突出する環状突出部となっている。
この実施例の遠心式血液ポンプ装置100では、第3の磁性体46を吸引する電磁石47を備えるものの、インペラ回転トルク発生部と同じ側に配置することにより、ポンプ軸長を小さくし、ポンプ装置を小型化することができる。そして、この遠心式血液ポンプ装置100では、第2の磁性体25と永久磁石33間の吸引力と、第3の磁性体46と電磁石47間の吸引力と、第1の磁性体29と永久磁石41間の吸引力とが釣り合うように、電磁石47に流れる電流を制御して、インペラ21を血液室24の中心に保持することにより、インペラを非接触軸受するものである。
図14は、本発明の遠心式血液ポンプ装置の他の実施例の正面図である。図15は、図14に示した遠心式血液ポンプ装置の平面図である。図16は、図15の遠心式血液ポンプ装置のH−H線断面図である。図17は、図16の遠心式血液ポンプ装置のI−I線断面図(インペラは外観にて表す)である。図18は、図16の遠心式血液ポンプ装置におけるインペラの拡大断面図である。図19は、図18のインペラよりインペラ表面形成部材を取り外した状態の外観図である。図20は、図18のインペラよりインペラ表面形成部材を取り外した状態のインペラの外観図である。図20は、図18のJ−J線断面図である。
この実施例の遠心式血液ポンプ装置200と上述した実施例の遠心式血液ポンプ装置1との相違は、非接触軸受機構のみであり、その他は同じであり、上述した説明を参照するものとする。
非接触軸受機構として、図15および図16に示すように、インペラの第1の磁性体29を吸引するための固定された複数の電磁石49と、インペラの第1の磁性体29の位置を検出するための位置センサ48を備えている。具体的には、インペラ位置制御部4は、ハウジング20内に収納された複数の電磁石49と、複数の位置センサ48を有する。インペラ位置制御部の複数(3つ)の電磁石49および複数(3つ)の位置センサ48は、それぞれ等角度間隔にて設けられており、電磁石49と位置センサ48も等角度間隔にて設けられている。電磁石49は、鉄心とコイルからなる。電磁石49は、この実施例では、3個設けられている。電磁石49は、3個以上、例えば、4つでもよい。3個以上設け、これらの電磁力を位置センサ48の検知結果を用いて調整することにより、インペラ21の回転軸(Z軸)方向の力を釣り合わせ、かつ回転軸(Z軸)に直交するX軸およびY軸まわりのモーメントを制御することができる。
そして、この遠心式血液ポンプ装置200に用いられるインペラ21は、図18ないし図20に示すように、熱可塑性高分子材料により形成された平板リング状のインペラ本体部材18と、熱可塑性高分子材料により形成され、かつ、インペラ本体部材18の一方の面に固定されるリング状のインペラ表面形成部材28とを備える。さらに、この実施例におけるインペラ21は、インペラ本体部材18の他方の面に固定される平板リング状の第2のインペラ表面形成部材27を備える。そして、第1の磁性体29は、図19に示すように、幅の広い平板リング状のものが用いられている。
第2のインペラ表面形成部材27は、平板リング状部材となっており、インペラ本体部材18の下部側の環状外縁部18cと接触する環状外縁部27aと、インペラ本体部材18の下部側の環状内縁部18dと接触する環状内縁部27bを備えている。この実施例では、インペラ表面形成部材27の各外縁部および各内縁部は、インペラ本体部材18の各外縁部および各内縁部を収納可能な環状切欠部となっている。また、インペラ表面形成部材27は、第2の磁性体25の収納部を備えており、第1の磁性体29は、インペラ本体部材18と第2のインペラ表面形成部材27間に移動不能に配置されている。なお、第2の磁性体収納部は、インペラ本体部材18に設けてもよく、また、第2のインペラ表面形成部材27とインペラ本体部材18の両者に、配分して設けてもよい。
言い換えれば、上述したポンプ装置では、インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの第2の磁性体を吸引するための磁石を備えるロータと、ロータを回転させるモータとを備えるものとなっている。これに対して、図21ないし図23に示すポンプ装置300では、インペラ回転トルク発生部は、インペラの第2の磁性体を吸引するとともにインペラを回転させるために円周上に配置された複数のステーターコイルを備えるものとなっている。
この実施例のポンプ装置300と上述したポンプ装置200との相違は、インペラ回転トルク発生部3の機構のみである。このポンプ装置300では、遠心ポンプ部2のインペラ21の第2の磁性体25を吸引するとともにインペラ21を回転させるために円周上に配置された複数のステーターコイル91を備えるインペラ回転トルク発生部3を有している。
また、この実施例のように、インペラ内には、ある程度の個数の第2の磁性体25を埋設することにより、ステーターコイル91との磁気的結合も十分に確保できる。磁性体25(永久磁石)の形状としては、略台形状であることが好ましい。磁性体25は、リング状、板状のいずれでもよい。また、磁性体25の数および配置形態は、ステーターコイルの数および配置形態に対応していることが好ましい。複数の磁性体25は、磁極が交互に異なるように、かつ、インペラの中心軸に対してほぼ等角度となるように円周上に配置されている。
そして、このようなステーターコイルを用いるタイプのポンプ装置においても、上述した実施例のポンプ装置1、100、200とインペラの回転駆動システム以外は同じであってもよい。
2 液体ポンプ部
3 インペラ回転トルク発生部
18 インペラ本体部材
21 インペラ
25 第2の磁性体
27 第2のインペラ表面形成部材
28 インペラ表面形成部材
29 第1の磁性体
31 ロータ
34 モータ
41 永久磁石
20 ハウジング
Claims (13)
- 血液流入ポートと血液流出ポートとを有するハウジングと、内部に第1の磁性体および第2の磁性体を備え、前記ハウジング内で回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラを有する遠心ポンプ部と、
前記遠心ポンプ部の前記インペラの第2の磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるためのインペラ回転トルク発生部と、前記インペラの第1の磁性体を前記インペラ回転トルク発生部と反対側に磁気的吸引し、前記インペラを前記ハウジング内にて浮上させた状態にて支持する非接触軸受機構を備える遠心式血液ポンプ装置であって、
前記インペラは、熱可塑性高分子材料により形成されたリング状のインペラ本体部材と、熱可塑性高分子材料により形成され、かつ、前記インペラ本体部材の一方の面に固定されるリング状インペラ表面形成部材とを備え、前記第1の磁性体は、前記インペラ本体部材と前記インペラ表面形成部材間に移動不能に配置されており、前記インペラ本体部材および前記インペラ表面形成部材は、環状外縁部および環状内縁部にて接触しかつ該環状外縁部および環状内縁部においてレーザー溶着により融着されており、さらに、前記環状外縁部および前記環状内縁部には、特定波長のレーザー光を吸収し発熱する融着補助物質が設けられており、かつ、前記インペラ表面形成部材を形成する前記熱可塑性高分子材料は、前記特定波長のレーザー光を透過するものであることを特徴とする遠心式血液ポンプ装置。 - 前記インペラは、前記インペラ本体部材の他方の面に固定されるリング状の第2のインペラ表面形成部材を備え、前記第2の磁性体は、前記インペラ本体部材と前記第2のインペラ表面形成部材間に移動不能に配置されており、前記インペラ本体部材および前記第2のインペラ表面形成部材は、環状外縁部および環状内縁部にて接触しかつ該環状外縁部および環状内縁部において融着されている請求項1に記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記融着補助物質は、ダイヤモンドライクカーボンである請求項1または2に記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記融着補助物質は、厚さが0.01〜5μmとなるように配置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記熱可塑性高分子材料が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である請求項1ないし4のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記非接触軸受機構は、前記インペラに設けられた前記第1の磁性体と、前記インペラの前記第1の磁性体を前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向と反対側に吸引する電磁石により構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記非接触軸受機構は、前記インペラに設けられた前記第1の磁性体および第3の磁性体と、前記第1の磁性体を前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向と反対側に吸引する磁性体もしくは電磁石と、前記第3の磁性体を前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向に吸引する電磁石により構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記インペラは、前記インペラ本体部材の他方の面に固定されるリング状の第2のインペラ表面形成部材を備え、前記第2の磁性体および前記第3の磁性体は、前記インペラ本体部材と前記第2のインペラ表面形成部材間に移動不能に配置されており、前記インペラ本体部材および前記第2のインペラ表面形成部材は、環状外縁部および環状内縁部にて接触しかつ環状外縁部および環状内縁部において融着されている請求項7に記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記非接触軸受機構は、前記インペラに設けられた前記第2の磁性体と、前記第1の磁性体を前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向と反対側に吸引する磁性体もしくは電磁石と、前記インペラ回転トルク発生部側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の表面に設けられた動圧溝により構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記非接触軸受機構は、前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向と反対側のハウジング内面もしくは前記インペラの前記第1の磁性体側の表面に設けられた第2の動圧溝を備えるものである請求項1ないし9のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記遠心式血液ポンプ装置は、前記インペラの位置を検出するための位置センサを備えている請求項1ないし10のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの第2の磁性体を吸引するための磁石を備えるロータと、該ロータを回転させるモータとを備えるものである請求項1ないし11のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
- 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラの第2の磁性体を吸引するとともに該インペラを回転させるために円周上に配置された複数のステーターコイルを備えるものである請求項1ないし11のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ装置。
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