JP2000265388A - 難燃性機能を有する光触媒シート - Google Patents

難燃性機能を有する光触媒シート

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JP2000265388A
JP2000265388A JP11075411A JP7541199A JP2000265388A JP 2000265388 A JP2000265388 A JP 2000265388A JP 11075411 A JP11075411 A JP 11075411A JP 7541199 A JP7541199 A JP 7541199A JP 2000265388 A JP2000265388 A JP 2000265388A
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retardant function
flame
photocatalyst
flame retardant
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JP11075411A
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Takahiko Haraguchi
孝彦 原口
Hideki Hariguchi
秀樹 針口
Isao Ebihara
功 海老原
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光触媒機能および難燃性機能を兼備した光触媒
シートを提供することであり、また、それを用いた衝立
やロールスクリーンの提供である。 【解決手段】少なくとも光反応性半導体を含有する光触
媒シートにおいて、該光触媒シート中に、アクリル樹脂
および塩化ビニリデン樹脂の共重合体よりなる合成繊維
を含有する光触媒シート、さらに、これに光反応性半導
体および無機バインダーを塗設することにより、課題は
解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光反応性半導体の
光触媒反応を利用し、悪臭物質や環境汚染物質などの有
害物質を分解し除去することができる、光反応性半導体
を含有する光触媒シートを用いた難燃性機能を有する光
触媒シートに関するものであり、特に病院、保健所、老
人ホームなど、汚染、感染に対して十分配慮すべき施設
内での壁面や天井などに用いられる難燃性機能を有する
光触媒シートとして好適であり、殊に室内空気清浄器
具、就中、衝立やロールスクリーンとして最適に使用で
きる難燃性機能を有する光触媒シートに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年の環境問題に対する関心の高まり
は、瞠目すべきものがあるが、最近の傾向として日常生
活の中においても、悪臭や室内汚染物質の除去の要求が
増加している。そして、従来このような有害物質の除去
には、特に日常生活における悪臭除去材としては、一般
的に活性炭やシリカ、アルミナ、及び金属酸化物などの
複合化された無機吸着剤などが使用されている。
【0003】ところが、このような吸着剤を用いた除去
方法では、吸着剤に有害物質が吸着されるに従い、次第
に吸収能力が低下して行く。そこで、実用的吸着能力を
喪失した場合には、吸着材を取り替える必要があった。
またそれがため、吸着能力が有効に働く期間を見極める
必要があるなど、使用上の数々の問題点があった。
【0004】これに対し、近年光反応性半導体を用いた
有害物質の除去方法が注目を集めている。特開昭61−
135669号公報には、酸化亜鉛等の光反応性半導体
に紫外光を照射して、悪臭物質である硫黄化合物を分解
する方法が述べられている。また、特公平2−6229
7号公報には、酸化チタンと活性炭混合物により低濃度
窒素酸化物を除去する方法が記載されている。酸化チタ
ンや酸化亜鉛等の光反応性半導体による悪臭物質の分解
は、紫外線の照射により表面に発生したラジカルや正孔
による酸化分解作用により発現するので、被分解物が有
機物だけでなく硫化物、アンモニア等の含窒素化合物に
まで及び、光反応性半導体自身は悪臭物質の分解で消費
及び劣化を被らず、その能力は紫外線照射されている限
り基本的に低下せず、吸着剤のみを使用する場合に比べ
て大きな利点を有する。
【0005】これら光反応性半導体による分解能は、分
解しようとする有害物質との接触の機会が多い程向上す
るから、最も効果的使用形態は有害物質との接触する反
応面積の減ずることのない粉体の状態で使用することで
ある。しかしながら、実際には粉体を粉体のまま使用す
ると粉落ちなどの問題が生じ、これを取り扱うためには
何らかの加工が必要である。
【0006】特開平3−75062号公報には、光反応
性半導体がラテックスを用いて担持できることが記載さ
れている。樹脂ラテックスは高い皮膜形成能力を持ち、
水分散性であることから簡便に塗設することができる
が、この方法で光反応性半導体をラテックスに混合させ
シート上に担持させると、光反応性半導体の強い酸化力
で樹脂自身が分解作用を受け、特に光触媒活性の強い酸
化チタン等では使用に耐えなかった。更に大気中の有害
物質を除去するという目的には、樹脂が光反応性半導体
の表面を覆い尽くすために、有害物質の光反応性半導体
上への吸着を阻害するため、有効な手段となり得なかっ
た。
【0007】また特開平6−315614号公報では、
大気浄化を行うにあたり、光触媒である光反応性半導体
の粉末を合成樹脂粉末を用いてシート材或いはパネル材
とすることや、同じく粉末を接着剤を用いてシート材や
パネル材の表面に付着させることを提案している。樹脂
としては、光触媒の強い酸化力に侵されないポリテトラ
フルオロエチレン等の高価なフッ素樹脂が用いらてお
り、大気清浄のために必要な大規模な大面積化には有効
とは言い難く、更に耐久性の高すぎるフッ素樹脂では燃
焼等の廃棄処理ができず、環境に対する逆汚染の問題も
あった。更に同特許には高粘度エポキシ等の樹脂も用い
ることができるとあるが、その特性は優秀とは言い難
い。
【0008】一方、触媒の表面が絶えず大気と接触する
ように、取りも直さず大気中の有害物質を効率よく除去
する方法として、特開平2−187147号公報には、
コロイダルシリカと脱硝触媒としての酸化チタンの混合
が述べられている。しかしコロイダルシリカと酸化チタ
ンの混合膜は、耐水性がなく、皮膜強度も弱く、これら
の欠点を克服するには、皮膜形成後の焼結等の後処理が
必要であり、支持体の選択を狭める結果になっている。
【0009】極く最近になって、脱臭、抗菌、防黴に有
効とされる技術が公開されている。例えば、特開平9−
31335号公報は、多孔質無機物でコーティングし
た、酸化チタン光触媒と無機系脱臭吸着剤との混合物
を、有機系樹脂に配合した脱臭機能を有する樹脂系組成
物を開示している。
【0010】また、特開平10−180943号公報
は、基材の片面に、発泡性樹脂層、絵柄層、無機質層及
び光触媒機能層が、この順に積層されてなる光触媒機能
を有する化粧紙を開示している。
【0011】さらに、特開平10−217383号公報
は、シート上基材の表面に、光触媒機能を有する粉体を
付着せしめてなる装飾シートを開示している。
【0012】またさらに、特開平10−258473公
報は、支持体上に光反応性半導体を含有するコーティン
グ層を設け、該支持体の反対面に通常状態では粘着性、
接着性ともに示さず加熱時に接着性を示すヒートシール
層を設けた防汚効果を有する室内装飾シートを開示して
いる。
【0013】このほかにも、難燃性が付与されたものと
しては、例えば特開平10−156141公報は、繊維
基材がポリ塩化ビニル系繊維を60〜80重量%、天然
繊維およびバインダー繊維を20〜40重量%含有し、
天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の
範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体および微細
繊維の凝集複合体を内添してなる脱臭抗菌シートを開示
している。
【0014】また、特開平10−212685公報は、
繊維基材がポリ塩化ビニル系繊維を60〜80重量%、
天然繊維およびバインダー繊維を20〜40重量%含有
し、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.
6の範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体、無機
吸着剤並びに微細繊維の凝集複合体を内添してなる吸着
分解シートを開示している。
【0015】しかしながら、上記のような光反応性半導
体を用いた各種の有害物質除去方法は、それぞれに特徴
はあるものの、それでも難燃性機能の点では不満があ
り、難燃性機能が十分配慮されるべき室内空気清浄器
具、就中、衝立やロールスクリーンに適用するには、未
だ幾つかの問題点がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、光反
応性半導体の光触媒能力を利用した、悪臭などの有害物
質除去能力に優れ、かつ優れた光反応性半導体の保持性
を持ち、さらには簡便に製造することのできる難燃性機
能を有する光触媒シートを提供することにあり、殊に、
室内空気清浄器具、就中、衝立やロールスクリーンとし
て好適に使用できる難燃性機能を有する光触媒シートを
提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した
ものである。すなわち、
【0018】(1)本発明は、少なくとも光反応性半導
体を含有する光触媒シートにおいて、該光触媒シート中
に、アクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合体
よりなる合成繊維を有することを特徴とする難燃性機能
を有する光触媒シートの発明である。
【0019】(2)上記の発明1において、アクリル樹
脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合体よりなる合成繊
維のアクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合比
率が10:90〜90:10であることを特徴とする難
燃性機能を有する光触媒シートの発明である。
【0020】(3)上記の発明2において、アクリル樹
脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合体よりなる合成繊
維のアクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合比
率が50:50〜80:20であることを特徴とする難
燃性機能を有する光触媒シートの発明である。
【0021】(4)上記の発明1〜3において、該光触
媒シート中に、ミクロフィブリル化セルロースを内添す
ることを特徴とする難燃性機能を有する光触媒シートの
発明である。
【0022】(5)上記の発明1〜4において、該光触
媒シート中に、ポリエステル繊維状バインダーを内添す
ることを特徴とする難燃性機能を有する光触媒シートの
発明である。
【0023】(6)上記の発明1〜5において、該光触
媒シート中に、吸着剤を内添することを特徴とする難燃
性機能を有する光触媒シートの発明である。
【0024】(7)上記の発明1〜6において、該光触
媒シート中に、無機バインダーを内添することを特徴と
する難燃性機能を有する光触媒シートの発明である。
【0025】(8)本発明は、少なくともアクリル樹脂
および塩化ビニリデン樹脂の共重合体よりなる合成繊維
を含有する基材の少なくとも一方の面に、少なくとも光
反応性半導体および無機バインダーを塗設することを特
徴とする難燃性機能を有する光触媒シートの発明であ
る。
【0026】(9)上記の発明8において、本発明は、
少なくともアクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂の共
重合体よりなる合成繊維を含有する基材の少なくとも一
方の面に、少なくとも光反応性半導体、無機バインダー
および吸着剤を塗設することを特徴とする難燃性機能を
有する光触媒シートの発明である。
【0027】(10)上記の発明1〜7において、その
少なくとも1項に記載された難燃性機能を有する光触媒
シートの少なくとも一方の面に、少なくとも光反応性半
導体および無機バインダーを塗設することを特徴とする
難燃性機能を有する光触媒シートの発明である。
【0028】(11)上記の発明1〜7において、その
少なくとも1項に記載された難燃性機能を有する光触媒
シートの少なくとも一方の面に、少なくとも光反応性半
導体、無機バインダーおよび吸着剤を塗設することを特
徴とする難燃性機能を有する光触媒シートの発明であ
る。
【0029】(12)本発明は、上記1〜11に記載の
難燃性機能を有する光触媒シートを用いた室内空気清浄
器具の発明である。
【0030】(13)上記の発明1〜11に記載の難燃
性機能を有する光触媒シートを用いた室内空気清浄器具
が衝立である発明である。
【0031】(14)上記の発明1〜11に記載の難燃
性機能を有する光触媒シートを用いた室内空気清浄器具
がロールスクリーンである発明である。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の難燃性機能を有
する光触媒シートについて詳細に説明する。
【0033】本発明の難燃性機能を有する光触媒シート
中に含有させる光反応性半導体としては、微細酸化チタ
ン粒子や酸化亜鉛粒子、酸化タングステン粒子、酸化セ
リウム粒子などを用いることができるが、紫外線照射下
における多湿下での安定性や毒性などの問題から酸化チ
タンを用いるのが好ましい。
【0034】酸化チタンの光触媒作用は、表面に形成さ
れるラジカル種による反応が主として作用するが、より
強く電子による還元性の性質を付与するために白金、
金、パラジウム、銀、銅、亜鉛、ロジウムなどの金属微
粒子の被覆処理や、或いはより強く正孔による酸化性の
性質を付与するために酸化ルテニウム等の金属酸化物被
覆処理などを行っても差し支えない。
【0035】酸化チタンは、四塩化チタニルや硫酸チタ
ニルの加水分解や、四塩化チタニルの気相燃焼法によっ
て工業的に製造される。硫酸チタニルを加水分解して得
られるメタチタン酸は安価で優れた光反応性半導体であ
る。これらの製造方法の他には有機チタネートからの製
造法があり、均一性が高く透明性の高い光反応性皮膜が
得られる。本発明の難燃性機能を有する光触媒シートに
用いられる酸化チタンの具体的な例示物としては、ST
−10(石原テクノ社製)が挙げられる。本発明の難燃
性機能を有する光触媒シートに内添される酸化チタンの
量は、要求される光触媒機能により一概には決め難い
が、通常1〜25重量%である。
【0036】本発明の難燃性機能を有する光触媒シート
は、少なくとも有害物質を除去する光反応性物質を含有
すると同時に、難燃性の機能をも付与されていなければ
ならない。
【0037】本発明においては、アクリル樹脂および塩
化ビニリデン樹脂の共重合体よりなる各種の繊度(デニ
ール)および繊維長を持つ合成繊維が、難燃性機能を有
する光触媒シートに好適に用いられる。
【0038】本発明の難燃性機能を有する光触媒シート
においては、アクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂の
共重合体よりなる合成繊維のアクリル樹脂および塩化ビ
ニリデン樹脂の共重合比率は、両者の持つ樹脂特性であ
る着色適性および難燃特性に対するそれぞれの要求度に
よって決められ、着色適性が要求される場合にはアクリ
ル樹脂リッチが好ましく、また、難燃特性が要求される
場合には塩化ビニリデン樹脂リッチが好ましいが、通常
は10:90〜90:10の幅広い範囲で使用可能であ
り、好ましくは50:50〜80:20であり、特に好
ましくは60:40〜70:30である。
【0039】本発明の実施に用いられる共重合体中の塩
化ビニリデン樹脂は、難燃性機能を有する合成樹脂とし
て従来から使用されている塩化ビニル樹脂に比べて、難
燃性および耐熱性が良好であり、アクリル樹脂との共重
合体として用いても難燃性機能を良く発揮するものであ
る。
【0040】本発明の難燃性機能を有する光触媒シート
中には、各種のバインダーを内添させることができる。
バインダーとしては、繊維状バインダーが好ましく、シ
ートを形成する際の強度の点からポリエステル繊維状バ
インダーが特に好ましい。本発明の難燃性機能を有する
光触媒シートに内添される繊維状バインダーの量は、要
求される強度により一概には決め難いが、通常10〜4
0重量%である。
【0041】また、本発明の難燃性機能を有する光触媒
シート中には、各種の吸着剤を内添させることが好まし
い。吸着剤としては、物理吸着作用を有するものであれ
ばいずれのもでもよいが、例えば活性炭、活性白土、ゼ
オライト、ハイシリカゼオライト、シリカゲル、セラミ
ック、活性アルミナ、複合フィロケイ酸塩などが挙げら
れ、これらの物理吸着作用を有する吸着剤を各々単独
に、または複数組み合わせて使用することができる。本
発明の難燃性機能を有する光触媒シートに内添される吸
着剤の量は、要求される特性により一概には決め難い
が、通常5〜30重量%である。
【0042】さらに、本発明の難燃性機能を有する光触
媒シート中には、各種の無機バインダーを含有させるこ
とが好ましい。無機バインダーとしては、皮膜形成性の
ある無機物質であればいずれのものでもよいが、例えば
サポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイトなどのス
メクタイト群、バーミキュライト群、カオリナイト、ハ
ロイサイトなどのカオリナイト−蛇紋石群、セピオライ
トなどの天然粘土鉱物の他、コロイダルシリカ、コロイ
ダルアルミナおよびこれらの変性物、合成無機高分子化
合物などが挙げられ、これらの皮膜形成性のある無機物
質を各々単独に、または複数組み合わせて使用すること
ができる。本発明の難燃性機能を有する光触媒シートに
内添される吸着剤の量は、要求される特性により一概に
は決め難いが、通常0.5〜10重量%である。
【0043】また、本発明の難燃性機能を有する光触媒
シート中には、無機バインダーと高分子化合物が複合さ
れた、例えばコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマ
ルジョンを内添させることができる。
【0044】本発明に使用可能なコロイダルシリカ複合
熱可塑性高分子エマルジョンとは、高分子エマルジョン
表面をコロイダルシリカが覆っている形状のものであ
り、支持体上に皮膜を形成した後も高分子成分とコロイ
ダルシリカ成分が分離して海島構造を保つメカニズムを
持っている。光反応性半導体と共に用いられる無機バイ
ンダーがコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子と皮膜形
成性のある無機物質であればいずれのもでもよいが、例
えばサポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイトなど
がエマルジョンと共に塗設された場合、光反応性半導体
の集合部と高分子成分の間にコロイダルシリカ層が形成
され、高分子成分は光反応性半導体の強い酸化分解反応
を直接被ることはなくなる。さらに好都合なことに、こ
の様にして形成された皮膜は多孔質になっており、耐水
性が付与されているにも拘わらず、吸水性があり、ガス
吸着性及び有害物質の光除去能力も向上される。
【0045】このほか、本発明の難燃性機能を有する光
触媒シート中には、光触媒機能および難燃性機能を阻害
しない程度に各種の添加剤、例えば各種の着色剤、分散
剤、定着剤、保水剤などを適宜内添させることができ
る。
【0046】さらに、本発明の難燃性機能を有する光触
媒シート中には、例えば光反応性半導体として使用され
る酸化チタンなどの粉体の歩留りを向上させるために、
各種のパルプ、繊維幅、微細繊維長を有するミクロフィ
ブリル化セルロースを内添させることが好ましい。具体
的な例示としては、セリッシュKY−100S(ダイセ
ル化学社製)が挙げられる。本発明の難燃性機能を有す
る光触媒シートに内添されるミクロフィブリル化セルロ
ースの量は、要求される特性により一概には決め難い
が、通常0.5〜20重量%である。
【0047】本発明の難燃性機能を有する光触媒シート
を製造するには、光反応性半導体とアクリル樹脂および
塩化ビニリデン樹脂の共重合体よりなる合成繊維のアク
リル樹脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合比率を適宜
選択した合成繊維を水中に分散したスラリーを、各種抄
紙機、例えば長網抄紙機、円網抄紙機などのワイヤー上
に流出し、脱水、搾水、乾燥などの一連の抄紙工程を経
て、シート状物とすればよい。この際、上記の各種共重
合比率を持つ合成繊維と光反応性半導体、例えば酸化チ
タンとの接着性を向上させる目的で、各種のバインダー
を含有させるのが好ましい。本発明においては、シート
の強度を向上させるために、ポリエステル繊維状バイン
ダー、具体的な例示物としては、メルティ4080(ユ
ニチカ社製)を内添させるのが好ましい。また、上記の
各種樹脂繊維のほかに、天然パルプ繊維、例えば、NB
KP、LBKP、コットン繊維、古紙再生繊維などを内
添させてもよい。さらに、各種無機バインダーおよび各
種吸着剤を内添させるのが好ましく、特に各種粉体の歩
留りを向上させるために、ミクロフィブリル化セルロー
スなどの微細繊維を内添させるのが好ましい。このほ
か、必要に応じて各種の着色剤、分散剤、定着剤、保水
剤などを内添させてもよい。また、光反応性半導体の光
触媒作用および難燃性機能を損なわない程度に、例えば
サイズ剤、耐水化剤などの各種の添加剤を内添させるこ
とができる。
【0048】このようにして製造される本発明の難燃性
機能を有する光触媒シートの坪量および厚さは、特に規
制はなく、シート状物として取り扱える範囲のものであ
ればよいが、通常50〜500g/m2程度の坪量のも
のが使用される。また、シート状物のままでも当然使用
できるが、用途に応じてクレープ加工やプリーツ加工を
施してもよいし、コルゲートやハニカムなどの構造体と
して使用することもできる。このような加工処理を施す
ことにより、光触媒シートの表面積を増大させ、それに
よって光触媒機能を向上させるのに効果的である。
【0049】以上、詳記した本発明の難燃性機能を有す
る光触媒シートは、少なくとも光反応性半導体を内添し
たタイプの光触媒シートであるが、本発明のもう一つの
難燃性機能を有する光触媒シートとしては、塗設タイプ
の光触媒シートがある。
【0050】塗設タイプの光触媒シートとしては、少な
くともアクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合
体よりなる合成繊維を含有する基材の少なくとも一方の
面に、少なくとも光反応性半導体および無機バインダー
を塗設することによって、難燃性機能を有する光触媒シ
ートを得ることができる。このものは、上記の内添タイ
プと同様に、難燃性機能を有する光触媒シートとして好
適に使用することができる。この際、基材中には上記の
各種の添加剤を含有させることができる。
【0051】前記の内添タイプの本発明の難燃性機能を
有する光触媒シートは、このままでも十分光触媒機能お
よび難燃性機能を有する光触媒シートであるが、本発明
の難燃性機能を有する光触媒シートの特に好ましい態様
は、上述の如く内添タイプにて製造された難燃性機能を
有する光触媒シートの少なくとも一方の面に、少なくと
も光反応性半導体および無機バインダーを塗設したもの
である。この態様の光触媒シートは、優れた難燃性機能
を保持することはもとより、特に優れた光触媒機能を発
揮するので、本発明の最も好ましい態様である。
【0052】本発明のこの態様で用いられる光反応性半
導体は、前記の光反応性半導体が用いられ、酸化チタン
としては、ST−10が好適である。本発明の難燃性機
能を有する光触媒シートの塗設に用いられる塗液中に含
まれる酸化チタンの量は、要求される光触媒機能により
一概には決め難いが、通常20〜90重量%である。
【0053】また、各種の無機バインダーの使用が可能
であり、無機バインダーとしては、前記の各種皮膜形成
性のある無機物質であればいずれのものでもよいが、例
えばモンモリロナイトなどが挙げられ、特にクニピア−
F(クニミネ工業社製)が好適に用いられる。本発明の
難燃性機能を有する光触媒シートの塗設に用いられる塗
液中に含まれる各種皮膜形成性のある無機物質の量は、
要求される特性により一概には決め難いが、通常5〜4
0重量%である。
【0054】さらに、各種の吸着剤の使用が可能であ
り、吸着剤としては、上記の内添の際に用いられた、こ
れらの吸着剤が使用できる。本発明の難燃性機能を有す
る光触媒シートの塗設に用いられる塗液中に含まれる吸
着剤の量は、要求される特性により一概には決め難い
が、通常5〜30重量%である。
【0055】またさらに、塗設用塗液中には、前記の各
種の着色剤、分散剤などを適宜加えることができる。
【0056】本発明でいう含有とは、内添および/また
は塗設により、本発明の難燃性機能を有する光触媒シー
トに素材、薬品などの各種物質を含有させることを指
す。内添とは、例えば製紙工程における調成段階で、光
反応性半導体および無機バインダーなどをスラリー状で
適用することを意味し、塗設とは、本発明の難燃性機能
を有するシートの少なくとも一方の面に、例えば光反応
性半導体および無機バインダーを塗液状で適用すること
を意味し、具体的にはサイズプレス、含浸、噴霧などの
各種方式、または、エアーナイフ塗工、ブレード塗工な
どの各種コーティング方式により、オンラインおよび/
またはオフラインで塗設することを指す。さらに、これ
ら各種方式の塗設手段を2種以上組み合わせてもよい。
【0057】本発明の難燃性機能を有する光触媒シート
および、さらに、これに光反応性半導体および無機バイ
ンダーを塗設したものは、十分優れた難燃性機能を発揮
するが、さらに必要があれば、光触媒シートおよび、そ
れに塗設したものに、各種の難燃性物質を加えてもよ
い。
【0058】上記の本発明における光触媒シートは、十
分優れた光触媒機能および難燃性機能を発揮するので、
カーテン、壁紙、ふすま紙、テーブルクロス、ブライン
ドなどの室内空気清浄器具、車内のサンシエードとして
好適に使用にすることができるが、地合および仕上がり
品の見栄えが良いので、衝立やロールスクリーンとして
特に好適に用いられる。
【0059】本発明の内添タイプおよび/または塗設タ
イプの難燃性機能を有する光触媒シートを衝立、ロール
スクリーンやサンシェードに適用する場合、シート状の
ままでもよいが、クレープ加工やプリーツ加工したり、
衝立、サンシェードの場合はコルゲートやハニカムなど
の構造体として使用することもできる。
【0060】本発明における光触媒シートを用いた各種
構造物、例えば衝立やロールスクリーンは、上記のよう
にシート状物や構造体として使用するほかに、強度や遮
光性を補強するために、他の基材、例えば紙、布、不織
布、塩化ビニルやポリエステルなどの各種プラスティッ
クフィルムなどの少なくとも一方の面に、本発明におけ
る光触媒シートを積層したものを使用してもよい。ま
た、衝立の場合は、木材、合板、ボード、鋼板、鉄板、
アルミ板、トタンなどの少なくとも一方の面に、本発明
における光触媒シートを積層したものを使用してもよ
い。これら光触媒シートを積層したものを車両用サンシ
ェードとして使用してもよい。
【0061】本発明における光触媒シートは、アクリル
樹脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合体よりなる合成
繊維を主体として構成され、このうち塩化ビニリデン樹
脂は塩化ビニル樹脂に比べて、優れた難燃性および耐熱
性を有するほかに、光反応性半導体、無機バインダーお
よび吸着剤などが含有されている。通常、バインダーと
しては、有機バインダー例えばスチレン−ブタジエンラ
テックスなどの合成樹脂ラテックスが使用されるが、こ
れらは酸化による変色・劣化が起り易く、また、紫外灯
照射による劣化が著しく起り易い欠点がある。一方、本
発明における光触媒シートに用いられる無機バインダー
は、無機物質であるが故に、このような変色・劣化は殆
ど起らず、しかも無機物質であるが故に、難燃効果が極
めて大きい利点がある。さらに、地合および仕上がり品
の見栄えも良いことから、室内空気清浄器具、特に衝立
やロールスクリーン、更には車両用のサンシェードとし
て好適に使用することができる。
【0062】このようにして得られた本発明における光
触媒シートを用いた室内空気清浄器具、特に衝立やロー
ルスクリーンは、極めて有害物質除去機能が高いため
に、喘息患者やアレルギー患者など、殊に有害物質に対
して抵抗力のない患者の居る病室や、喫煙所に好適に使
用することができる。さらに、難燃性機能を有する本発
明における光触媒シートを用いた衝立やロールスクリー
ンは、火災に対して特に配慮されるべき老人ホームや病
院などの衝立やロースクリーンとして最適である。
【0063】
【実施例】以下、実施例により、さらに本発明を詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。文中の部、%は、特に断りのない限り、重量部、重
量%を表す。
【0064】実施例1 カナダ標準濾水度で500mlに叩解したNBKP40
部およびアクリル樹脂と塩化ビニリデン樹脂の共重合比
率が50:50よりなる合成繊維(三菱レーヨン社製)
50部を水を張ったパルパー中に入れ、十分に攪拌し分
散した。この中に酸化チタン(ST−10:石原テクノ
社製)10部を加え、さらに十分に攪拌し分散した。こ
のようにして得られたスラリーを、長網抄紙機のヘッド
ボックスよりワイヤー上に流出させ、脱水、搾水、乾燥
の一連の抄紙工程を経て、実施例1の本発明における光
触媒シート(坪量100g/m2)を作製した。
【0065】実施例2 実施例1において、NBKP38部、合成繊維50部お
よび酸化チタン10部に、さらにミクロフィブリル化セ
ルロースとしてセリツシュ KY−100S(ダイセル化
学社製)2部を用いるほかは、実施例1と同様にして、
実施例2の本発明における光触媒シートを作製した。
【0066】実施例3 実施例2において、NBKPを18部に変え、さらにポ
リエステル繊維状バインダーとしてメルティ4080
(ユニチカ社製)20部を用いるほかは、実施例1と同
様にして、実施例3の本発明における光触媒シートを作
製した。
【0067】実施例4 実施例3において、NBKPを16部に変え、さらに無
機バインダーとしてクニピア−F(クニミネ工業社製)
2部を用いるほかは、実施例1と同様にして、実施例4
の本発明における光触媒シートを作製した。
【0068】実施例5 実施例4において、NBKPを6部に変え、さらに吸着
剤としてミズカナイトAP(水澤化学社製)10部を用
いるほかは、実施例1と同様にして、実施例5の本発明
における光触媒シートを作製した。
【0069】実施例6〜9 実施例5において、アクリル樹脂と塩化ビニリデン樹脂
の共重合比率が、それぞれ10:90、30:70、7
0:30および90:10よりなる合成繊維を用いるほ
かは、実施例1と同様にして、実施例5の本発明におけ
る光触媒シートを作製した。
【0070】実施例10 カナダ標準濾水度で500mlに叩解したNBKP7
部、アクリル樹脂と塩化ビニリデン樹脂の共重合比率
が、70:30よりなる合成繊維50部およびポリエス
テル繊維状バインダー(メルティ4080:ユニチカ社
製)18部を水を張ったパルパー中に入れ、十分に攪拌
し分散した。この中にミズカナイトAP20部、ST−
10を2.5部およびセリツシュ KY−100S2.5
部を加え、さらに十分に攪拌し分散した。以下、実施例
1と同様にして、実施例11に使用する本発明における
光触媒シートを作製した。この際、乾燥工程時に、ST
−10を80%、クニピア−F(クニミネ工業社製)2
0%、カルボン酸ナトリウム(アロンT:東和合成社
製)0.02%およびカーボンブラック顔料(EMブラ
ックK−16:東洋インキ社製)0.015%をそれぞ
れ含む10%水分散液をサイズプレス液として、塗工量
が10g/m2(乾燥重量)となるように含浸加工を行
うほかは、実施例1と同様にして、実施例10の本発明
における光触媒シートを作製した。
【0071】実施例11 実施例10において、酸化チタンST−10を2.5部
を削除し、NBKPを9.5部するほかは、実施例1と
同様にして、実施例11の本発明における光触媒シート
を作製した。
【0072】実施例12 実施例10において、クニピア−F20%の代わりに、
PVA117(クラレ社製)を20%使用するほかは、
実施例1と同様にして、実施例12の本発明における光
触媒シートを作製した。
【0073】比較例1 実施例1において、アクリル樹脂と塩化ビニリデン樹脂
の共重合よりなる合成繊維の代わりに、塩化ビニル樹脂
繊維を用いるほかは、実施例1と同様にして、比較例1
の光触媒シートを作製した。
【0074】比較例2 比較例1において、塩化ビニル樹脂繊維の代わりに、ビ
ニロン樹脂繊維を用いるほかは、実施例1と同様にし
て、比較例2の光触媒シートを作製した。
【0075】このようにして得られた実施例1〜12お
よび比較例1〜2の14種の試料について、下記の試験
方法により、特性を求めた。
【0076】<光触媒効果の確認試験>以下の手順によ
り、光触媒効果を求めた。 (1)サンプルの準備 サンプルを100mm×100mmに裁断し、5.6リ
ットルのポリ容器の中に入れる。 (2)初期化 ポリ容器内およびサンプルに付着した臭気物質を光触媒
にて酸化分解させることを目的として、6Wブラックラ
ンプを20mmの距離から照射した状態で、24時間放
置する。 (3)初期アセトアルデヒド濃度の測定 ブラックランプをOFFとし、容器内の濃度が15pp
m程度となるように飽和アセトアルデヒドガスを注入
し、ガス検知管にて濃度を測定する。その測定値をAp
pmとする。 (4)光触媒反応の実施 ブラックランプをONとし、10分間放置する。 (5)光触媒反応後のアセトアルデヒド濃度の測定 ブラックランプをOFFとし、ガス検知管にて濃度を再
度測定する。その測定値をBppmとする。 (6)光触媒によるアセトアルデヒド除去率の算出 除去率(%)=(A−B)/A×100 上記の式にて、アセトアルデヒド除去率の算出し、光触
媒効果の指標とした。
【0077】<難燃性試験> UL94VTM:薄い材料の垂直燃焼性試験(難燃タイ
プ:PM−IN−CD)に準拠して試験した。
【0078】上記の試験方法により求めた結果を表1に
示す。
【0079】
【表1】
【0080】<光触媒効果の評価>実施例1を除いて、
実施例2〜12は、比較例1および2に比べて、いずれ
もアセトアルデヒド除去率は向上し、良好な結果が得ら
れた。中でも実施例5〜9は優れており、特に実施例1
0〜12は、アセトアルデヒド除去率100%であっ
て、極めて良好な結果が得られた。実施例1は、比較例
1および2に比べて、それ程効果が認められなかった。 <難燃性効果の評価>実施例1〜12は、比較例2に比
べて、いずれも難燃性効果は顕著に認められた。比較例
1に比べると、実施例1および2を除いて、実施例3〜
12は、難燃性効果は認められた。中でも実施例5〜9
は優れており、特に実施例10〜12は、極めて良好な
難燃性効果が認められた。
【0081】上記の光触媒効果および難燃性効果の評価
結果から、総合的にみて内添タイプでは、実施例5〜9
が良好であり、特に塗設タイプのものは良好であって、
就中、実施例10および11は優れていた。このほか、
アクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合体より
なる合成繊維を主体として構成された本発明における光
触媒シートは、従来の塩化ビニル樹脂を主体として構成
された比較例1に比べて、抄紙前のスラリーの分散性が
良好であって、その結果として地合の均一性、仕上がり
品の見栄えなどが良好となり、衝立やロールスクリーン
に好適に使用できるものが得られた。
【0082】<本発明における光触媒シートの衝立への
適用> 実施例13 実施例10で作製した本発明における光触媒シートをプ
リーツ加工して、衝立に適用したものを、実施例13と
した。
【0083】実施例14 実施例10で作製した本発明における光触媒シートをコ
ルゲート構造体に加工して、衝立に適用したものを、実
施例14とした。
【0084】実施例15 実施例10で作製した本発明における光触媒シートをハ
ニカム構造体に加工して、衝立に適用したものを、実施
例15とした。
【0085】比較例3 比較例1で作製した光触媒シートをプリーツ加工して、
衝立に適用したものを、比較例3とした。
【0086】実施例13および比較例3で得られたプリ
ーツ加工を施した各光触媒シートを衝立に適用し、下記
の試験方法によって、臭気除去効果を求めた。
【0087】(1)衝立の光触媒シート部の形態:プリ
ーツ加工。加工度合は平シートの2倍長。 (2)衝立の光触媒シート部の面積:9.0m2 (1.
25m×2倍×2枚×幅1.8m)高さ。 (3)試験部屋体積:19.2m3 (床面積8.0m2
×高さ2.4m)。 (4)試験部屋様態:畳敷き、外部採光なし、換気装置
なし。 (5)調査期間:40日間。 (6)調査判定者:10名。定まった老人ホームの職員
および利用者で、臭気に敏感で、臭気改善要望者。 (7)調査方法: a)調査に先立ち、試験部屋内で4人が1時間にタバコ
を総計20本喫煙した。その後、部屋を24時間密閉状
態にした。 b)24時間後、高さ1.25m、幅1.8mの衝立
(光触媒シート部面積9.0m2 )を部屋中央部に設置
して試験を開始した。試験開始後は、タバコを1時間に
1本の割合で1日に10本喫煙し、これを40日間継続
した。この間、部屋のドアの開閉は、喫煙者が出入りす
る都度2回、1日に20回行い、1回当たり5秒間開閉
した。部屋は常時20Wの蛍光灯を4本点灯させた。 c)試験開始後、10人の臭気判定者が、試験開始直後
のタバコ臭気に比べて、2日後、10日後、40日後
に、どの程度タバコ臭気が変化したか、官能試験により
判定した。尚、10人の臭気判定者が、部屋に出入りす
る都度ドアの開閉を2回行い、1回当たり10秒間開閉
した。
【0088】調査判定結果を、表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】<評価>表2の結果、連続調査としての効
果は、2日目で全く臭いが消えたと判定した者は10人
中2人、臭いが少し残っている程度は10人中7人、変
わらないと判定した者は10人中1人と、90%の人が
効果を認めている。また、長期観察においても、40日
目で示しているとおり、10日目以降と同様の連続効果
があることは、10人全てが効果を認めている。一方、
比較例3について、実施例13と同様にして調査判定を
した結果、いずれも2日目〜40日目に亘って、調査判
定者全員が臭いは変わらないと回答し、本発明品の優れ
た効果が認められた。また、調査判定者より、実施例1
4および15は、実施例13よりやや効果があると判定
された。また、比較例3の衝立は地合が悪いため、外観
が劣り、地合の悪い分光触媒剤の保持力やや劣り粉落ち
が多かった。
【0091】<本発明における光触媒シートのロールス
クリーンへの適用> 実施例16 実施例10で作製した本発明における光触媒シートをプ
リーツ加工して、ロールスクリーンに適用したものを、
実施例16とした。
【0092】比較例4 比較例1で作製した光触媒シートをプリーツ加工して、
ロールスクリーンに適用したものを、比較例4とした。
【0093】実施例16および比較例4で得られたプリ
ーツ加工を施した各光触媒シートをロールスクリーンに
適用し、下記の試験方法によって、臭気除去効果を求め
た。
【0094】(1)ロールスクリーンの光触媒シート部
の面積:2.4m2 (長さ2m×幅1.2m)。 (2)試験部屋体積:23.0m3 (床面積10.0m
2 ×高さ2.3m)。 (3)試験部屋様態:床面リノリュム敷き、1面外部採
光、換気装置停止。 (4)調査期間:40日間。 (5)臭気判定者:定まった10名で、臭気に敏感で臭
気改善要望者。 (6)試験方法: a)調査に先立ち、試験部屋内で4人が1時間にタバコ
を総計20本喫煙した。その後、部屋を24時間密閉状
態にした。 b)24時間後、高さ2m、幅1.2mのロールスクリ
ーン(光触媒シート部面積2.4m2 )を部屋の外部採
光面(高さ1.8m、幅0.9mの窓)を覆うように設
置して試験を開始した。試験開始後は、タバコを1時間
に1本の割合で1日に10本喫煙し、これを40日間継
続した。この間、部屋のドアの開閉は、喫煙者が出入り
する都度2回、1日に20回行い、1回当たり5秒間開
閉した。40日間の外部採光時間は1日当たり12.5
時間であった。 c)試験開始後、10人の臭気判定者が、試験開始直後
のタバコ臭気に比べて、2日後、10日後、40日後
に、どの程度タバコ臭気が変化したか、官能試験により
判定した。尚、10人の臭気判定者が、部屋に出入りす
る都度ドアの開閉を2回行い、1回当たり10秒間開閉
した。
【0095】調査判定結果を、表3に示す。
【0096】
【表3】
【0097】<評価>表3の結果、連続調査としての効
果は、2日目で全く臭いが消えたと判定した者は10人
中1人、臭いが少し残っている程度は10人中7人、変
わらないと判定した者は10人中2人と、80%の人が
効果を認めている。また、長期観察においても、40日
目で示しているとおり、10日目以降と同様の連続効果
があることは、10人全てが効果を認めている。一方、
比較例4について、実施例16と同様にして調査判定を
した結果、いずれも2日目〜40日目に亘って、調査判
定者全員が臭いは変わらないと回答し、本発明品の優れ
た効果が認められた。また、比較例4のロールスクリー
ンは地合が悪いため、外観が劣り、地合の悪い分光触媒
剤の保持力がやや劣り粉落ちが多かった。
【0098】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の難燃性機能
を有する光触媒シートは、優れた脱臭効果を示し、この
光触媒シートにさらに光反応性半導体および無機バイン
ダーを塗設したものは、極めて優れた脱臭効果を示し
た。これらの光触媒シートは、いずれも難燃性機能に優
れているため、これらを室内空気清浄器具、特に衝立や
ロールスクリーンに適用した場合、老人ホーム、病院、
保健所など特に環境に留意すべき場所で、好適に使用す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C080 AA05 AA07 BB02 JJ06 JJ09 LL03 MM02 NN24 NN26 NN27 QQ20 4L055 AF09 AF23 AF27 AF33 AF39 AF44 AF46 AG02 AG19 AG27 AH02 AH37 AH50 AJ04 BE08 EA29 FA30 GA21 GA44 GA50

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも光反応性半導体を含有する光
    触媒シートにおいて、該光触媒シート中に、アクリル樹
    脂および塩化ビニリデン樹脂の共重合体よりなる合成繊
    維を有することを特徴とする難燃性機能を有する光触媒
    シート。
  2. 【請求項2】 アクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂
    の共重合体よりなる合成繊維のアクリル樹脂および塩化
    ビニリデン樹脂の共重合比率が10:90〜90:10
    であることを特徴とする請求項1記載の難燃性機能を有
    する光触媒シート。
  3. 【請求項3】 アクリル樹脂および塩化ビニリデン樹脂
    の共重合体よりなる合成繊維のアクリル樹脂および塩化
    ビニリデン樹脂の共重合比率が50:50〜80:20
    であることを特徴とする請求項2記載の難燃性機能を有
    する光触媒シート。
  4. 【請求項4】 該光触媒シート中に、ミクロフィブリル
    化セルロースを内添することを特徴とする請求項1、2
    または3記載の難燃性機能を有する光触媒シート。
  5. 【請求項5】 該光触媒シート中に、繊維状バインダー
    を内添することを特徴とする請求項1、2、3または4
    記載の難燃性機能を有する光触媒シート。
  6. 【請求項6】 該光触媒シート中に、吸着剤を内添する
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の
    難燃性機能を有する光触媒シート。
  7. 【請求項7】 該光触媒シート中に、無機バインダーを
    内添することを特徴とする請求項1、2、3、4、5ま
    たは6記載の難燃性機能を有する光触媒シート。
  8. 【請求項8】 少なくともアクリル樹脂および塩化ビニ
    リデン樹脂の共重合体よりなる合成繊維を含有する基材
    の少なくとも一方の面に、少なくとも光反応性半導体お
    よび無機バインダーを塗設することを特徴とする難燃性
    機能を有する光触媒シート。
  9. 【請求項9】 少なくともアクリル樹脂および塩化ビニ
    リデン樹脂の共重合体よりなる合成繊維を含有する基材
    の少なくとも一方の面に、少なくとも光反応性半導体、
    無機バインダーおよび吸着剤を塗設することを特徴とす
    る難燃性機能を有する光触媒シート。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7の少なくとも1項に記載
    された難燃性機能を有する光触媒シートの少なくとも一
    方の面に、少なくとも光反応性半導体および無機バイン
    ダーを塗設することを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6または7記載の難燃性機能を有する光触媒シ
    ート。
  11. 【請求項11】 少なくとも光反応性半導体、無機バイ
    ンダーおよび吸着剤を塗設することを特徴とする請求項
    10記載の難燃性機能を有する光触媒シート。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11に記載の難燃性機能を
    有する光触媒シートを用いた室内空気清浄器具。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11に記載の難燃性機能を
    有する光触媒シートを用いた衝立。
  14. 【請求項14】 請求項1〜11に記載の難燃性機能を
    有する光触媒シートを用いたロールスクリーン。
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