JP2000263796A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

Info

Publication number
JP2000263796A
JP2000263796A JP6718099A JP6718099A JP2000263796A JP 2000263796 A JP2000263796 A JP 2000263796A JP 6718099 A JP6718099 A JP 6718099A JP 6718099 A JP6718099 A JP 6718099A JP 2000263796 A JP2000263796 A JP 2000263796A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
ink jet
orifice plate
jet head
polyimide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6718099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000263796A5 (ja
JP4454711B2 (ja
Inventor
Masataka Sakaeda
正孝 榮田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP6718099A priority Critical patent/JP4454711B2/ja
Publication of JP2000263796A publication Critical patent/JP2000263796A/ja
Publication of JP2000263796A5 publication Critical patent/JP2000263796A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4454711B2 publication Critical patent/JP4454711B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、インクジェット構成部材の耐摩耗性
が向上し、印字品位や画像品位の保証期間を長期間に設
定することが可能となるばかりでなく、熱膨張係数もシ
リコン基板とほぼ同等となり、インクジェット構成部
材、中でも長いサイズのインクジェットヘッドにおける
オリフィスプレートの反りや割れなどによる印字品位の
劣化をなくすことができるインクジェットヘッドを提供
することを目的としている。 【解決手段】本発明は、インク流路に供給されたインク
をオリフィスプレートから噴出して記録媒体に記録する
インクジェットヘッドにおいて、前記インクジェットヘ
ッドの少なくとも一部が、有機材料と無機材料が分子結
合により混成されているハイブリッド材料で形成され、
該有機材料がポリイミド、エポキシ樹脂、ポリフェニレ
ン、ポリサルフォンのいずれか一つの有機材料、若しく
はこれらのいずれか一つの有機材料の誘導体であり、或
いはこれらのいずれか一つの有機材料とその誘導体の少
なくとも2種類以上が含まれる材料からなることを特徴
とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リント方式で液体を噴出して記録でき、文字や画像の印
刷装置(通称プリンター)、あるいはコピー、ファクス
などの画像出力装置などに使用される液体噴出ヘッドに
関するものである。中でも、主に、インクジェットプリ
ント方式による装置に関するもので、特に、インクを紙
などの記録媒体に吐出するインクジェットヘッドに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリント方式は、その原
理が米国特許第4,723,129号明細書に技術記載
されているが、プリンター製品として1985年くらい
からオンデマンド方式で、広く普及しはじめて来た。そ
のインクを飛ばすインクジェットヘッドは、特開平3−
101944号公報や特開平6−8447号公報、ある
いは、特開平9−183228号公報に示されるよう
に、ポリイミド、ポリサルフォン、ニッケル、ステンレ
スなどで構成されるインクジェットオリフィスプレート
が使用されている。これらの材料を用いるインクジェッ
トヘッドは、その材料の特徴故に使用されて来た。
【0003】ポリイミドは、米国デュポン社のカプトン
や日本国宇部興産社ユーピレックスに代表されるよう
に、優れた柔軟性と強靭性を有する材料である。しかし
ながら、フィルム状態にしか形成出来ないということか
ら、フィルムやプレートとして使用されて来た。また、
熱膨張係数がシリコン板と接合して使用可能なレベルで
あり、エキシマレーザーで加工されることで、インクジ
ェットオリフィスプレートとしてインクジェットヘッド
では使用されている。
【0004】ポリサルフォンは、強靭でかなり高い温度
までの耐熱性があり、成形樹脂として使用可能であり、
さらに、エキシマレーザー加工が可能であることでイン
クジェットヘッドのインクジェットオリフィスプレート
やインクジェットオリフィスプレートの構成体として使
用されてきた。しかしながら、これらの材料の問題点
は、材料の表面の耐摩耗性が低く、また、紙などに含ま
れるタルクやチタン、シリカ粉により、容易に摩耗する
ことである。
【0005】一方、ニッケルやステンレスは金属であ
り、耐摩耗性は良好である。しかしながら、その性質上
微細加工が困難なために、インクジェット吐出孔程度の
形成しか出来ず、主に、インクジェットオリフィスプレ
ートとして使用されてきた。さらに、熱膨張係数がシリ
コンやセラミックスなどより高く、短いインクジェット
ヘッドは形成出来るが、長いインクジェットヘッドには
使用不可能であるという欠点を有している。
【0006】図4には、従来技術の一例である特開平0
8−58094号公報に記述されているNi製のインク
ジェットオリフィスプレートをメッキで形成し、インク
に腐食されないように金メッキしたインクジェットオリ
フィスプレートを用いたインクジェットヘッドの概略構
造断面図が示されている。同図において、シリコン基板
91に形成されたインクジェット発泡部(加熱素子)1
00の上に、フォトリソグラフィーによりインク流路構
成部材85が形成され、これによりインクは共通インク
流路80より個別インク流路8を経由して前記のインク
ジェット発泡部(加熱素子)100に供給される。そし
て、インクジェット発泡により、瞬間的な発熱によりイ
ンクの気相化による体積膨張の圧力により、インクジェ
ットオリフィス孔4から吐出、飛翔することが開示され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術には、その熱膨張係数については全く記載して
おらず、また、そのインクジェットヘッドのオリフィス
孔の数や長さについても全く記載していない。さらに、
インクジェット発泡部(加熱素子)100が発泡する時
に高温になることや、外部環境に関する温度変化、ある
いはヒートサイクル試験、耐摩耗性などの品質に関する
事項等についても、そこには一切開示されていない。
【0008】ところで、インクジェット方式によるプリ
ントは、近年、パーソナルコンピュータの演算速度の向
上、記憶媒体の技術革新、画像処理ソフトの向上などの
技術開発により、写真調のプリント画像や高速プリント
が可能となってきた。しかし、そのプリントレベルはま
だ一歩の段階である。その理由は写真調のレベルの画像
を形成するためには、人間の視覚限界である40μm以
下の大きさに1つの画像ドットを形成する必要がある
が、現在は、60μm程度の領域である。しかし、この
大きさが40μm以下になることは時間の問題である。
このように、ドットの大きさが小さくなることは、イン
クジェットのオリフィス孔の大きさも小さくなることを
意味する。したがって、今までは1個のドットであった
ところが2個や4個のドットで形成する必要が発生し、
インクジェット吐出プリントの回数が増えることとな
る。つまり、インクジェットの吐出回数が増えることは
インクジェットのオリフィス孔の増加が必要となるが、
このレベルは、インクジェット吐出機構の構造上の制約
で集積密度を上げられず、必然的に、インクジェットオ
リフィスプレートを長くするか、平面的にインクジェッ
トオリフィスプレートを広げてオリフィス孔を増やすこ
ととなる。この傾向がピエゾ型インクジェットヘッドに
は顕著である。
【0009】また、写真調のプリントであれば、色の階
調が必要であるが、ドットの大きさを大きく変化させる
ことは困難であるために、その分その階調に対応したイ
ンクが必要となり、そのインクの吐出するオリフィス孔
が必要となる。当然ながら、印字速度を向上させようと
すれば、オリフィス孔の数を増やす必要があることはい
うまでもない。以上のように、画像の品位や印字速度を
向上させるためには、インクジェットオリフィス孔を増
やすことであり、ひいては、インクジェットオリフィス
プレートの面積を大きくするか、長さを長くするかの方
式を取らざるを得ないということである。
【0010】ところが、前述したように、金属性のイン
クジェットオリフィスプレートでは、熱膨張係数がピエ
ゾ型のインクジェット吐出機構を形成するセラミックス
素子やBJ方式のシリコン製インクジェット吐出素子よ
り、かなり大きく、温度変化において、割れやクラック
やズレを発生しやすい傾向にある。一方、樹脂製のポリ
サルフォンにおいても同様の傾向が見られるが、ポリイ
ミドに関してはそれほどの違いでもないので、若干は軽
減されるが、樹脂の場合、インクジェットオリフィス孔
を形成する面(通称:フェイス面)が傷付き易く、長期
の印字に耐えることができない。また、インクジェット
オリフィスプレートが大面積、もしくは、かなり長く
(1インチ以上)なれば、その分、傷の発生頻度も増加
し、印字品位が低下する。以上述べたように、従来のイ
ンクジェットオリフィスプレートでは、熱膨張係数上の
問題か、もしくは、インクジェットオリフィスプレート
の耐摩耗性の低さで、あるいはその両方の問題で、写真
調の画像が高速でプリントできないという問題がある。
【0011】そこで、本発明は、上記した従来のものに
おける課題を解決し、インクジェット構成部材の耐摩耗
性が向上し、印字品位や画像品位の保証期間を長期間に
設定することが可能となるばかりでなく、熱膨張係数も
シリコン基板とほぼ同等となり、インクジェット構成部
材、中でも長いサイズのインクジェットヘッドにおける
オリフィスプレートの反りや割れなどによる印字品位の
劣化をなくすことができるインクジェットヘッドを提供
することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するため、インクジェットヘッドをつぎのように構成
したことを特徴とするものである。すなわち、本発明の
インクジェットヘッドは、インク流路に供給されたイン
クをオリフィスプレートから噴出して記録媒体に記録す
るインクジェットヘッドにおいて、前記インクジェット
ヘッドの少なくとも一部が、有機材料と無機材料が分子
結合により混成されているハイブリッド材料で形成さ
れ、該有機材料がポリイミド、エポキシ樹脂、ポリフェ
ニレン、ポリサルフォンのいずれか一つの有機材料、若
しくはこれらのいずれか一つの有機材料の誘導体であ
り、或いはこれらのいずれか一つの有機材料とその誘導
体の少なくとも2種類以上が含まれる材料からなること
を特徴としている。また、本発明のインクジェットヘッ
ドは、前記無機材料が、SiO2、TiO2、ZrO2
あり、或いはこれらの少なくとも2種類以上が含まれる
材料からなることを特徴としている。また、本発明のイ
ンクジェットヘッドは、前記無機材料と前記有機材料と
は、その一部若しくはその全てが水素結合によって結合
されていることを特徴としている。また、本発明のイン
クジェットヘッドは、前記無機材料が、前記ハイブリッ
ド材料中に10〜80wt%含有されることを特徴とし
ている。また、本発明のインクジェットヘッドは、前記
無機材料が、均一に分散されていることを特徴としてい
る。また、本発明のインクジェットヘッドは、前記オリ
フィスプレートが、前記ハイプリッド材料で形成されて
いることを特徴としている。また、本発明のインクジェ
ットヘッドは、前記オリフィスプレートが、インク流路
と一体であることを特徴としている。また、本発明のイ
ンクジェットヘッドは、前記オリフィスプレートは、該
オリフィスプレートのインク吐出面にフッ化物による撥
インク性が形成されていることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】上記した本発明の構成は、上記し
た課題を解決するため、インクジェットオリフィスプレ
ートを形成する材料として、熱膨張係数が2.8〜4.
5×10(-6)/℃であって、普通紙に含まれるタルクや
シリカ、チタン粉などの紙粉による摩耗に耐えて、且
つ、インクジェット吐出孔が微細に形成できる材料につ
いて、鋭意検討した結果つぎのような知見に基づいて見
出されたものである。通常、樹脂にセラミックスなどの
粒子やガラス繊維などを混合して、熱膨張係数や硬度、
耐摩耗性を向上させる方法が一般のプラスチック成形物
においては採用されている。同様な処方をインクジェッ
トオリフィスプレート構造材に適用しても、構造材とし
ては強固になるが、0.5μmとか1μmの精度を必要
とするインクジェットオリフィス孔の形成材料としては
採用できない。それは、従来の無機材料をポリイミドや
ポリサルフォンの中に含有混合させる方法では、1μm
とか0.5μmのレベルでの均一混合は不可能であった
からである。前述した直径40μm程度の人間の視覚限
界以下のドットを形成しようとすれば、4pl(4×1
(-12)リットル)程度のインクの量となるが、これ
は、一辺20μmの立方体の半分の高さの液滴であるの
で、加工精度が狂えばインクの液滴の微妙な大きさの差
となり、これが、画像の「ムラ」となって発生するから
であり、さらに、インクジェットオリフィス孔の出口が
崩れればインクジェットの液滴の飛翔方向が狂い着弾精
度の異常となり「ヨレ」という問題を発生するからであ
る。
【0014】そこで、無機材料を分子レベルで混合し、
均一化させ、前記目標を達成する材料を検討することと
なった。そして、これらについて鋭意検討した結果、無
機材料を単分子の形で有機材料に結合させ、この有機材
料としてポリイミドを結合させれば、骨格が強靭で柔軟
性に富むポリイミドで、その中に、1〜10nm(0.
001〜0.01μm)レベルで均一に分散された無機
材料の配合された、且つ、エキシマレーザーにてインク
ジェットオリフィス孔を形成可能な構造材を実現できる
ことを見出した。無機材料が配合されたポリイミドであ
るために、熱膨張係数は3.0〜4.3×10(-6)/℃
レベルであり、且つ、無機材料の配合によりその硬度は
向上し耐摩耗性もはるかに向上させることが可能となっ
た。さらに、当然ながら、C=C結合を含むポリイミド
を構造樹脂としているために、波長248nm(光子エ
ネルギー4.7eV)のエキシマレーザーで加工可能で
あることは言うまでもない。
【0015】また、有機材料は、ポリイミドとしたが、
レーザー加工がアブレーションという形態で可能であ
り、且つ、混成ハイブリッド体として、熱膨張係数を
4.5×l0(-6)/℃付近に出来るか、もしくは、シリ
コン基板と接合し少なくとも1.0インチ以上(望まし
くは1.5インチ以上)の長さのインクジェットヘッド
を形成することが可能でヒートサイクルなどの試験に耐
えられるものであれば、何でもよい。たとえば、エポキ
シ系やポリフェニレン系、ポリサルフォン系などの有機
材料があるが、熱膨張係数が比較的高いために、無機材
料を70wt%以上混成したものや、あるいは、無機材
料として負の熱膨張係数を有する酸化リチウムをさらに
混成させたものなどが上げられるが、本発明の従来技術
の問題点を解決できるものであれば、何でも良いもので
ある。
【0016】ハイブリッド材料は、その構成成分をポリ
イミドを骨格とする樹脂とし、その側鎖に無機材料が結
合している構造とする構成である。その状態を図1に示
す。この図に示されるように、ポリイミドのイミド基の
酸素に水素結合にて、無機材料(図ではSiO2)の末
端OH基が接続して、混成配位しているものである。図
1に示すポリイミド分子の骨格PIに無機材料分子SX
が、水素結合部Bにより、側鎖となって結合している。
このような結合を持っているために、分散のレベルは、
nm(1×10(-9)m)オーダーであり、且つ、容易に
無機材料が除去離脱するものでは無く、摩耗によっても
欠落することはない。
【0017】その製法は、ポリイミドの前駆体であるポ
リアミック酸と無機材料のアルコキシドをメタノールや
ジメチルアセトアミドなどの溶媒の中で混合すると、水
素結合を有するポリアミック酸アルコキシドとなる。こ
れをガラス板や金属板の上に流し出し、溶媒を乾燥除去
し、300℃付近で加熱するとフィルム状のポリイミド
とSiO2の水素結合ハイブリッド材料となる。このフ
ィルムをエキシマレーザーで加工すると、C=C結合の
アブレーション除去により、良好なインクジェット吐出
孔4やインク流路8が形成されたインクジェットオリフ
ィスプレート1が形成される。また、無機材料はフッ素
ガスにより比較的容易に酸素と置換し、フッ化物を形成
しこれが撥インク性を示すようになる性質を有するの
で、インクジェットオリフィスプレート1のインクジェ
ット吐出面20に撥インク性膜2を形成することが可能
となる。
【0018】ポリイミドは、そのイミド基に4個の酸素
2重結合を有しているために、4分子の無機物を水素結
合可能である。ここで、結合を水素結合としたのは、溶
媒中で良好に懸濁することなく溶解し、且つ、乾燥、加
熱という特に触媒や特殊な工程を経ることなく、構成さ
れることから、結合レベルがエネルギー的に低く、発生
容易なものと判断される結合であるために、水素結合と
したものである。中には、僅かではあるが共有結合(ポ
リイミドの末端、もしくは、酸素との直接配位)を行っ
ているものがあるかもしれない。よって、ポリイミド1
モルに対して、4モルの無機物のアルコキシドが混成結
合可能である。ただし、無機物の1モルの形態とは、S
iの単分子、2分子、その他複合体分子などとなるため
に一概には決められないが、ここでは単分子ということ
で扱った。しかし、実際は、図1に示すように、300
℃での縮合や水分離脱、酸化などにより、単分子は減少
し、2分子や3、4分子その他それ以上の多量体となっ
ていると考えられる。
【0019】したがって、その混合比率は、理論的には
ポリイミドの分子量が360で、Siのアルコキシドが
158であるので、63.7wt%程度しか混合できな
いはずである。300℃程度で加熱乾燥するにおいて、
水(H2O)の縮合除去が発生するために、実質的に
は、理論的SiO2の含有量は、54wt%程度であ
る。しかし、実際は80wt%以上程度まで均一に混合
でき、レーザー加工が可能である。その理由は、溶液中
に溶け込んだアルコキシドが、ポリイミド基以外の酸素
や窒素との弱い結合を持つか、さらには、アルコキシド
同士が弱い結合を有するか、さらには、これらの骨格の
内部に均一に閉じ込められ、分散されるかである。この
傾向は、当然ながらアルコキシドの含有量が増加すれば
その傾向が強くなる。300℃程度で生成したフィルム
を観察すると、SiO2の分散が均一ではあるが、大き
な塊となって発生する場合がある。
【0020】これは、溶媒をジアセチルアミドにして、
且つ、Si−アルコキシドにした場合である。溶媒をメ
タノールに変えるとこの分散径が小さくなる。したがっ
て、300℃での縮合時に分子の移動が疎外され、均一
分散系で、固化したものと判断される。つまり、宝石に
あるオパール状態である。これは、結晶固化が光での散
乱レベルでの約1μm(1000nm)以下程度で結晶
化したもので、一般にスピノーダル分解といわれる現象
である。よって、本発明の特徴は、水素結合による骨格
結合分散に加えて、スピノーダル分解による均一分散も
加えたポリイミドと無機材料の均一分散ハイブリッド材
料の構成である。このように、1μm以下の均一分散系
であれば、インクジェット吐出孔の形状も、均一とな
り、インクジェット吐出に支障を来すことは無い。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明をす
る。 [実施例1]ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸
をジアセチルアミド(DMAC)を溶媒として溶解させ
た。無機材料はSiO2をアルコキシドのテトラエトキ
シシラン(TEOS)の形態で純水中に溶解させた。こ
の溶液を前述のジメチルアセトアミド溶媒と混合させ
た。この時のポリイミドとSiO2の混成比率はSiO2
でほぼ10wt%となるようにした。前記混合溶液をマ
グネチックスターラーで約2時間混合した後に、24時
間静置放置した。その後、この溶液をポリエステルフィ
ルム上にキャストした。80℃でDMACを蒸発除去
し、水分を乾燥させた。その後この半生のフィルムを引
き剥がし300℃にてポリアミック酸をポリイミドに変
性させた。このようにして、厚さ50μmのポリイミド
とSiO2の混成ハイブリッドフィルムが形成された。
【0022】次に、本フィルムにエキシマレーザー(波
長248nm)にて、直径約30μmφのインクジェッ
ト吐出孔を形成した。このようにして、長さ約1.5イ
ンチのインクジェットオリフィスプレート1が形成され
た。このオリフィスプレート1を図2に示すように、イ
ンクジェット吐出機能部9にエポキシ系紫外線効果型樹
脂を接着剤として接合した。インクジェット吐出機構9
はシリコン基板91の上に薄膜発熱体と電気伝導体とそ
の保護膜が形成されたもので、米国特許第4,723,
129号明細書に示されるように、瞬間的な発熱により
液体を気相化させその発泡体積の増加により発生する液
体突出力により、液体(インク)を吐出するものであ
る。
【0023】このようにして、インクを吐出することが
可能なインクジェットヘッド10が形成された。このイ
ンクジェットヘッドに信号電極を接続し、また、インク
流路8にインクを流すことでインクを供給し、インクジ
ェット吐出可能な形態にした。このオリフィスプレート
を使用したものは何らの問題もなく、画像を形成するこ
とが可能であった。また、このプレートを用いたインク
ジェットヘッドを−30〜60℃のヒートサイクルテス
トを行っても割れや剥がれなどの問題は発生しなかっ
た。
【0024】次に、紙との摩耗テストを行った。普通紙
の側断面で100回擦る摩耗テストを行い、本発明の1
0%SiO2含有ハイブリッドフィルム使用ヘッドと、
ポリイミドのみのフィルム使用ヘッドとを比較した。そ
の結果、ポリイミドのみのフィルムを用いたヘッドはオ
リフィスプレート面に横スジが発生したが、10%Si
2含有のヘッドは横スジなどのキズは見られなかっ
た。この状態で、画像をプリントした結果、ポリイミド
のみのヘッドでのプリントでは僅かながら印字の「ヨ
レ」の発生が見られた。これはインクの吐出面が傷付
き、インクジェットの吐出方向が僅かにズレたためであ
るが、10%SiO2混成のインクジェットオリフィス
プレートを用いたものの印字では、この「ヨレ」の発生
は見られなかった。上記の普通紙での100回摩耗とい
う状況は通常有り得ない。インクジェットの特徴は紙な
どの被記録媒体と非接触で記録することであるから、紙
などの被記録媒体との摩耗など有り得ないのが通常であ
る。しかしながら、紙の装填ミスや紙詰まりなどで直接
インクジェットヘッドに紙が衝突する場合が発生するこ
とがある。
【0025】また、紙の紙粉が空中に舞い上がり、これ
がインクジェットオリフィスプレート1に付着し、この
粉をインクジェットヘッドの清掃ワイパーがインクジェ
ットヘッドのインクジェットオリフィスプレート1との
間で擦ることで間接的にインクジェットオリフィスプレ
ート1のインクジェット吐出面が傷付く場合が発生す
る。従って、このような状況のもとで、長期間の印字も
しくは画像の品質を保証する意味で、本発明のSiO2
混成添加のインクジェットオリフィスプレートは重要な
ものである。
【0026】[実施例2]インクジェットオリフィスプ
レート1を2インチ以上の長さにした場合、Ni製のイ
ンクジェットオリフィスプレートを使用するとインクジ
ェットオリフィスプレートの反りやうねりが発生する。
シリコン基板の上に厚さ50μmのNi板をインクジェ
ットオリフィス孔を形成せずに、エポキシ系熱硬化型接
合剤にて接着接合した。また、前述の10%SiO2
成添加のインクジェットオリフィスプレートをインクジ
ェットオリフィス孔4を形成しない状態で同様に、接着
接合した。次に、この状態で、両者を0〜45℃のヒー
トサイクルテストに供した。その結果、Ni板を用いた
ものでは、Ni板の部分的な反り(盛り上がり)が発生
した。一方、10%SiO2添加のインクジェットオリ
フィスプレートを用いたものは同様な問題が発生しなか
った。そこで、このインクジェットオリフィスプレート
1にインクジェットオリフィス孔4をエキシマレーザー
にて形成し、これをインク流路8を有するインクジェッ
ト吐出機構9に接合し、インクジェットヘッドとした。
−30〜60℃のヒートサイクルテストを行った後に、
印字記録テストを行ったが、インクジェット吐出は良好
に行われ、特に問題は発生しなかった。
【0027】[実施例3]次に、SiO2が何%まで添
加可能かのテストを行った。DMAC中にアルコキシド
として添加したものは40wt%を超えるとSiO2
不均一析出が発生し、粒の大きさが3μmを超えるよう
になった。そこで、DMACをメタノールに変更し、テ
トラエトキシシランをテトラメトキシシランに変換させ
て、混合キャストを行った。その結果、80wt%まで
SiO2を添加することが可能であった。85wt%以
上となると、SiO2の粒径が3μmを超え始めた。こ
れらのポリイミドフィルムにおいて、SiO2の含有量
を10、30、50、70、80、85wt%と変化さ
せて作製し、エキシマレーザーにて、インクジェットオ
リフィス孔の形成が可能かどうかを確認した。
【0028】その結果、ポリイミドの含有量が減少する
に従い、レーザーフルエンスを上昇させねばならなかっ
た。10wt%では、0.3J/cm2、50wt%で
は0.7J/cm2、85wt%では1.3J/cm2
上のエネルギー密度が必要であった。0.5インチの長
さのインクジェットオリフィスプレートを形成し、直径
約20μmφのインクジェットオリフィス孔を300d
piピッチで形成し、インクジェット吐出を行った結
果、80wt%SiO 2混成のものまでは画像品位にお
いて「ヨレ」の発生が特に大きくは見られなかった。し
かし、85wt%を超えるものは、インクジェットオリ
フィス孔の形状が、内部に僅かに凹凸が有り、「ヨレ」
のレベルが大きく、40μmを超える状態であった。以
上の結果により、10〜80wt%SiO2混成のイン
クジェットオリフィスプレートにおいては、良好な印字
画像品位が得られるものであった。
【0029】ここで用いたレーザー加工機は、ラムダ社
のΛ1000型レーザー発振機を有する加工機であっ
た。通常、ポリアミック酸の持つ酸素への水素結合の比
率から考えると、54wt%のSiO2がその配位の限
界であるが、このように54wt%を超えても均一に分
散した形での構造体が形成できるのは、溶媒からのSi
2の析出がスピノーダル分解による均質析出を行った
ためと推察される。これは、宝石のオパールに見られる
1μm以下の均質別相の析出過程で一般的に知られるも
のである。このスピノーダル分解での相析出は均質に非
常に小さい粒径で発生するために、構造材として全体的
に均一相にすることが可能となる。つまり、インクジェ
ットオリフィスプレート1に要求される約3μm以下の
均質相、望ましくは、1μm以下の均質相を作製するこ
とが、このような相析出を用いることで可能となった。
たとえ外見は均質相に見えても、超ミクロのレベルから
は2相であるので、望ましくは、54wt%以下のSi
2の含有量が強度的、加工精度的にも望ましいことは
言うまでもないが、耐摩耗性という面では、これらの無
機材料の含有量が多いことが望ましいものである。
【0030】[実施例4]SiO2が30wt%のポリ
イミド混成フィルムプレートを用いて、インク流路8と
一体化するインクジェットオリフィスプレート1を作製
した。その方法は、厚さ80μmの前記混成フィルムプ
レートにエキシマレーザーにて、インク流路8を図3に
示すように形成した。エキシマレーザーのレーザーフル
エンスを0.5〜0.7J/cm2で、200パルス、
周波数100Hzにて、深さ40μmのインク流路8を
形成した。次に、同様に、インクジェットオリフィス孔
4をインク流路8の先端に形成した。インクジェットオ
リフィス孔の形状は入り口で約38μm、出口側で20
μmφのロート型の形状をなすものである。このように
して形成されたインク流路とインクジェットオリフィス
プレートが一体化されたインクジェットオリフィスプレ
ートをインクジェット吐出機能素子に接合して、インク
ジェットヘッドを作製した。
【0031】その結果、良好に、インクジェット吐出を
行うことが可能であった。また、前記無機材料は、ポリ
アミック酸とアルコキシドなどの形態で溶媒中で混合混
成され、水素結合を有するように配置されるものであれ
ば、何でも良い。例えば、ZnOやNiO2やMnOな
どが挙げられる。このように、ポリイミドの格子にアル
コキシドやメトキシドなどの形態で結合し、配位され、
その後、スピノーダル分解などの析出行程を経て、1μ
m以下の、望ましくは0.1μm以下の分散レベルで均
一に配置される無機材料であれば何でも良い。ただし、
インクジェットのインクやその他の構造材などに悪影響
の無いものである必要性は有るものである。
【0032】[実施例5]ポリイミドの前駆体であるポ
リアミック酸をジアセチルアミド(DMAC)を溶媒と
して溶解させた。無機材料はTiO2をアルコキシドの
テトラエトキシチタニア(TEOT)の形態で30%メ
タノール含有の純水中に溶解させた。この溶液を前述の
ジメチルアセトアミド溶媒と混合させた。この時のポリ
イミドとTiO2の混成比率はTiO2でほぼ30wt%
となるようにした。前記混合溶液をマグネチックスター
ラーで約2時間混合した後に、24時間静置放置した。
その後、この溶液をポリエステルフィルム上にキャスト
した。80℃でDMACを蒸発除去し、水分とメタノー
ルなどの溶媒を乾燥させた。その後この半生のフィルム
を引き剥がし300℃にてポリアミック酸をポリイミド
に変性させた。このようにして、厚さ50μmのポリイ
ミドとTiO2の混成ハイブリッドフィルムが形成され
た。同様に、ZrO2もアルコキシドの形態で購入し使
用した。
【0033】次に、本フィルムにエキシマレーザー(波
長248nm)にて、直径約30μmφのインクジェッ
ト吐出孔を形成した。このようにして、長さ約1.5イ
ンチのインクジェットオリフィスプレートが形成され
た。このオリフィスプレートをインクジェット吐出機能
部にエポキシ系紫外線効果型樹脂を接着剤として接合し
た。インクジェット吐出機構はシリコン基板の上に薄膜
発熱体と電気伝導体とその保護膜が形成されたもので、
米国特許第4,723,129号明細書に示されるよう
に、瞬間的な発熱により液体を気相化させその発泡体積
の増加により発生する液体突出力により、液体(イン
ク)を吐出するものである。
【0034】このようにして、インクを吐出することが
可能なインクジェットヘッドが形成された。このインク
ジェットヘッドに信号電極を接続し、また、インク流路
にインクを流すことでインクを供給し、インクジェット
吐出可能な形態にした。このオリフィスプレートを使用
したものは何らの問題もなく、画像を形成することが可
能であった。また、このプレートを用いたインクジェッ
トヘッドを−30〜60℃のヒートサイクルテストを行
っても割れや剥がれなどの問題は発生しなかった。次
に、紙との摩耗テストを行った。普通紙の側断面で10
0回擦る摩耗テストを行い、本発明の30%TiO2
有ハイブリッドフィルム使用ヘッドと、ポリイミドのみ
のフィルム使用ヘッドとを比較した。その結果、ポリイ
ミドのみのフィルムを用いたヘッドはオリフィスプレー
ト面に横スジが発生したが、30%TiO2含有のヘッ
ドは横スジなどのキズは見られなかった。この状態で、
画像をプリントした結果、ポリイミドのみのヘッドでの
プリントでは僅かながら印字の「ヨレ」の発生が見られ
た。これはインクの吐出面が傷付き、インクジェットの
吐出方向が僅かにズレたためである。しかしながら、3
0%TiO2混成のインクジェットオリフィスプレート
を用いたものの印字ではこの「ヨレ」の発生は見られな
かった。
【0035】また、同様にZrO2を用いたものも、ほ
ぼ同様に問題は発生しなかった。上記の普通紙での10
0回摩耗という状況は通常有り得ない。インクジェット
の特徴は紙などの被記録媒体と非接触で記録することで
あるから、紙などの被記録媒体との摩耗など有り得ない
のが通常である。しかしながら、紙の装填ミスや紙詰ま
りなどで直接インクジェットヘッドに紙が衝突する場合
が発生することがある。また、紙の紙粉が空中に舞い上
がり、これがインクジェットオリフィスプレートに付着
し、この粉をインクジェットヘッドの清掃ワイパーがイ
ンクジェットヘッドのインクジェットオリフィスプレー
トとの間で擦ることで間接的にインクジェットオリフィ
スプレートのインクジェット吐出面が傷付く場合が発生
する。
【0036】従って、このような状況のもとで、長期間
の印字もしくは画像の品質を保証する意味で、本発明の
TiO2やZrO2混成添加のインクジェットオリフィス
プレートは重要なものである。また、SiO2とTiO2
やZrO2の混合のアルコキシドを用いても、同様に、
混合無機材料の混成ポリイミドのインクジェットオリフ
ィスプレートが形成されることは、容易に類推される。
また、前記の溶媒は、SiO2やTiO2やZrO2など
のアルコキシドを溶解させられるものであれば何でもよ
い。ただし、300℃、望ましくは、250℃以下の温
度で蒸発飛散するものが望ましく、メタノールやイソプ
ロピルアルコール、トルエン、キシレン、メチルセルソ
ルブなどがある。
【0037】また、前記の無機材料の添加形態は、アル
コキシドだけではなく、メトキシド、プロピシド、さら
には、金属キレートや有機酸の形でも良く、ポリアミッ
ク酸の溶液と良好に混合溶液となることが望ましい。当
然ながら、前記溶媒の内部においては、無機材料分子
は、ポリアミック酸と水素結合を有する配位を取るか、
分子レベルで良好に分散し、ポリアミック酸の格子の内
部に分散されていることがのぞましい。さらには、溶媒
の蒸発除去に伴い、偏析するのではなく、スピノーダル
分解により、均質に分散した形での析出がのぞましく、
その析出粒子の大きさは1μm程度以下が望ましい。可
能であれば、0.1μm以下が望ましい。
【0038】[実施例6]前記のSiO2やTiO2、Z
rO2の混合比率が50wt%のポリイミドとのハイブ
リッド(混成)フィルムを石英ガラス室に入れ、内部を
90%のフッ素ガス含有の窒素ガスに置換した。この状
態で、紫外線を20時間照射した。その結果、いままで
はインクを撥くことがなかったが、インクを撥く性質を
有するようになった。つまり、撥インク性が前記ハイブ
リッドフィルムの表面に形成された。これは、通常のポ
リイミドでは発生しないが、無機物を混成しているハイ
ブリッドフィルムであるために、無機材料の一部がフッ
化され、撥インク性を持つようになったためである。実
際、SiやTi、Zrのフッ化物は撥水性を有すること
が知られている。これは、フッ素が結合エネルギー的に
高く、原子の電子分布密度を歪め、他の原子との結合を
排他的に疎外するためである。従って、この性質は撥水
性ばかりでなく、撥油性、撥液性的な性質のものであ
り、インクは水性ばかりでなく、油性であっても同様に
発現するものである。さらに、温度を約150℃以上と
すると、8時間程度の紫外線照射程度でも上記の撥イン
ク性を示すようになった。ただし、この現象はフッ素ガ
スが接触した面において発生し、ガラス室の底面に接触
していた部分では発生しなかった。
【0039】次に、この3種類のハイブリッドフィルム
をレーザー加工にて、前記撥インク性膜が形成された面
をインクジェットの出口となるように、インクジェット
オリフィス孔4を形成した。次に、このインクジェット
オリフィスプレート1を図2に示したようにインクジェ
ット吐出機構9に前記接合剤を用いて接合し、インクジ
ェットヘッド10とした。その結果、良好にインクジェ
ット吐出を行うことが可能となり、前記撥インク性膜2
が形成されていない実施例1〜5においては、約10行
印字のインクジェットプリントのたびに、フェイス面2
0を清掃ワイパーで清掃していたものが、A4サイズで
2ページ程度プリントに一回のワイパー清掃で済むよう
になった。ポリイミドフィルムのみでは、フッ素との化
合物は形成されにくいが、無機材料は特に、酸化物はフ
ッ素との置換が起こり易く、熱や紫外線の照射により結
合変位の臨界を超えるエネルギーを得て、フッ化が進行
したものと思われる。但し、この現象は、ほぼ、表面層
に限定されており、内部までは進行していないようであ
った。従って、無機材料の混成比率が高いものほど、こ
の撥インク性は顕著であるが、一般的に有機物中にテフ
ロン粒子を7%以上添加することで、撥水性が得られる
ことが知られているために、表面全域が撥インク性であ
る必要はなく、部分的に撥インク性があればインクの表
面張力によりインクはインクジェット吐出面20から撥
かれ、除去されるものである。
【0040】図3(1)〜(3)には、本撥インク性皮
膜2を有するインク流路8と一体化されたインクジェッ
トオリフィスプレート1の概略斜視図を示した。図3に
おいては、無機材料混成フィルムプレートの厚さは約8
0μmであり、40μmの深さのインク流路8が形成さ
れている。そして、このインク流路8の末端にインクジ
ェット吐出孔4がインク流路8の形成面からレーザー加
工により形成される。このようにすることで、インクジ
ェット吐出孔4の形状はロート状になりインクジェット
の飛翔の直進性を良好とする。図3(2)、図3(3)
は、共通インク流路80を持つまた別の形態のインクジ
ェットオリフィスプレート1の斜視図である。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、μmオーダー、もしくは、0.1μmオーダーの均
一性が要望される相構成において、従来は不可能とされ
てきた有機材料のポリイミドと無機材料のSiO2やT
iO2、ZrO2との混成材料よりなるインクジェットオ
リフィスプレートを作製することが可能となる。これに
より、インクジェットオリフィスプレートの耐摩耗性が
向上し、インクジェットでの印字品位や画像品位の保証
期間を長期間に設定することが可能となるばかりでな
く、熱膨張係数もシリコン基板とほぼ同等となり、長い
サイズのインクジェットヘッドを形成しても、インクジ
ェットヘッドにおけるオリフィスプレートの反りや割れ
などによる印字品位の劣化をなくすことができる。ま
た、本発明によれば、ポリイミドという有機物との混成
ハイブリッド材料であるために、通常、無機材料のみで
は、レーザー加工性がエネルギー的にも高く加工しにく
い点を、エネルギー密度1J/cm2程度で加工出来る
ようになり、レーザー装置の経済性を高めることが可能
となる。さらには、無機材料のみのレーザー加工では、
オリフィス孔がフェイス面に開く6μm程度手前で割れ
て吹き飛び、オリフィス孔の異常が発生する場合が多い
が、無機材料と有機材料の均質相であるために、レーザ
ー加工の最後の時点で発生するオリフィスプレートの前
記割れを解消することができる。また、本発明によれ
ば、インクジェットヘッドにおいて、インク流路と一体
のオリフィスプレートを作製することが可能となり、イ
ンクジェットヘッド作製の工数低減と品質の向上が可能
となる。さらには、本発明によれば無機物のフッ化処理
は有機物のフッ化処理よりも容易なために、フッ素ガス
をオリフィス孔の形成される面に吹き付け、200℃程
度で温度処理することや、紫外線照射などで容易に無機
物のフッ化物をオリフィスプレートの表面層に形成する
ことが可能となる。このことににより、インクジェット
の吐出面を撥インク性処理することが可能となり、イン
クのミストや小滴の付着によるインクジェットの吐出方
向の異常を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係るポリイミドと無機材料の混
成ハイブリッド材料の概略構造模式である。図中PIが
ポリイミドの骨格分子鎖で、SXが無機材料の側鎖分子
である。
【図2】前記混成ハイブリッド材料よりなるインクジェ
ットオリフィスプレートを用いたインクジェットヘッド
の概略構造斜視図である。
【図3】前記混成ハイブリッド材料よりなるインク流路
と一体となる構成のインクジェットオリフィスプレート
の概略構造斜視図である。
【図4】従来のNiプレートを用いたインクジェットオ
リフィスプレートを有するインクジェットヘッドの概略
斜視図である。
【符号の説明】
1:インクジェットオリフィスフプレート 2:撥インク性膜 4:インクジェットオリフィス孔 8:インク流路 9:インクジェット吐出機構(インクジェット吐出機能
部) 10:インクジェットヘッド 11:従来のNi製インクジェットオリフィスプレート 20:インクジェット吐出面(フェイス面) 80:共通インク流路 81:個別インク流入口 82:共通インク流入口 85:インク流路形成部材 91:シリコン基板 100:インクジェット発泡部100(加熱素子) B:水素結合部 PI:ポリイミド分子骨格部 SX:無機材料側鎖分子部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インク流路に供給されたインクをオリフィ
    スプレートから噴出して記録媒体に記録するインクジェ
    ットヘッドにおいて、 前記インクジェットヘッドの少なくとも一部が、有機材
    料と無機材料が分子結合により混成されているハイブリ
    ッド材料で形成され、該有機材料がポリイミド、エポキ
    シ樹脂、ポリフェニレン、ポリサルフォンのいずれか一
    つの有機材料、若しくはこれらのいずれか一つの有機材
    料の誘導体であり、或いはこれらのいずれか一つの有機
    材料とその誘導体の少なくとも2種類以上が含まれる材
    料からなることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】前記無機材料が、SiO2、TiO2、Zr
    2であり、或いはこれらの少なくとも2種類以上が含
    まれる材料からなることを特徴とする請求項1に記載の
    インクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】前記無機材料と前記有機材料とは、その一
    部若しくはその全てが水素結合によって結合されている
    ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】前記無機材料が、前記ハイブリッド材料中
    に10〜80wt%含有されることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】前記無機材料が、均一に分散されているこ
    とを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】前記オリフィスプレートが、前記ハイブリ
    ッド材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】前記オリフィスプレートが、インク流路と
    一体であることを特徴とする請求項6に記載のインクジ
    ェットヘッド。
  8. 【請求項8】前記オリフィスプレートは、該オリフィス
    プレートのインク吐出面にフッ化物による撥インク性が
    形成されていることを特徴とする請求項6または請求項
    7に記載のインクジェットヘッド。
JP6718099A 1999-03-12 1999-03-12 インクジェットヘッド Expired - Fee Related JP4454711B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6718099A JP4454711B2 (ja) 1999-03-12 1999-03-12 インクジェットヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6718099A JP4454711B2 (ja) 1999-03-12 1999-03-12 インクジェットヘッド

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2000263796A true JP2000263796A (ja) 2000-09-26
JP2000263796A5 JP2000263796A5 (ja) 2006-04-27
JP4454711B2 JP4454711B2 (ja) 2010-04-21

Family

ID=13337448

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6718099A Expired - Fee Related JP4454711B2 (ja) 1999-03-12 1999-03-12 インクジェットヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4454711B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013067055A (ja) * 2011-09-21 2013-04-18 Fujifilm Corp 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの異常検知方法
JP2015003483A (ja) * 2013-06-23 2015-01-08 株式会社リコー 液体吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2015047855A (ja) * 2013-09-04 2015-03-16 株式会社リコー 液体吐出ヘッド及び画像形成装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013067055A (ja) * 2011-09-21 2013-04-18 Fujifilm Corp 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの異常検知方法
US8960848B2 (en) 2011-09-21 2015-02-24 Fujifilm Corporation Liquid ejection head, liquid ejection apparatus and abnormality detection method for liquid ejection head
JP2015003483A (ja) * 2013-06-23 2015-01-08 株式会社リコー 液体吐出ヘッド及び画像形成装置
US9205652B2 (en) 2013-06-23 2015-12-08 Ricoh Company, Ltd. Liquid ejection head, and image forming apparatus using the liquid ejection head
JP2015047855A (ja) * 2013-09-04 2015-03-16 株式会社リコー 液体吐出ヘッド及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4454711B2 (ja) 2010-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1192889C (zh) 喷墨头基片、喷墨头及其制造方法和喷墨头使用方法及喷墨装置
JP4503120B2 (ja) プリントヘッド
EP0612621B1 (en) Improved liquid jet printing head, and liquid jet printing apparatus provided with liquid jet printing head
JPS59194860A (ja) 液体噴射記録ヘツド
JP2000263796A (ja) インクジェットヘッド
JPH05116325A (ja) インクジエツト記録ヘツドの製造方法
EP0477378B1 (en) Liquid injection recording head
JPH09239992A (ja) 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び該ヘッドを有する液体噴射記録装置
JPH05131624A (ja) インクジエツト記録ヘツド及びインクジエツト記録装置
JP2002154210A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置
JP6965796B2 (ja) 積層体の製造方法、積層体、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
US6315393B1 (en) Ink-jet printhead
JPS5995157A (ja) バブル駆動インク・ジエツト・プリント用ヘツド
US6637868B2 (en) Inkjet head and method of manufacturing the same
JP2866256B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP4164321B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置
JP3428616B2 (ja) インクジェットプリンタヘッドおよびその製造方法
JPH09143414A (ja) インク噴射型プリンター用インク及びその製造方法
JPH10157142A (ja) エキシマレーザ加工方法および液体噴射記録ヘッドの製造方法
JP2865945B2 (ja) インクジェットヘッド、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録装置
JP2007001242A (ja) インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JP2003277664A (ja) インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録用ノズル板、インクジェットヘッド、及び記録装置
JP3989248B2 (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JPH03239559A (ja) インクジェットヘッド用ノズル形成部材の製造方法
JPH10138496A (ja) インクジェットヘッド用ノズルプレートおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060308

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060308

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090521

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090605

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091027

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100202

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100203

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130212

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140212

Year of fee payment: 4

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D03

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees