JP2000263779A - インクジェットヘッド及びアクチュエータ - Google Patents

インクジェットヘッド及びアクチュエータ

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JP2000263779A
JP2000263779A JP7039099A JP7039099A JP2000263779A JP 2000263779 A JP2000263779 A JP 2000263779A JP 7039099 A JP7039099 A JP 7039099A JP 7039099 A JP7039099 A JP 7039099A JP 2000263779 A JP2000263779 A JP 2000263779A
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JP
Japan
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diaphragm
electrode
jet head
ink jet
ink
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JP7039099A
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English (en)
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Shinji Tanaka
田中  慎二
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 インク滴吐出力が向上し、インク滴吐出量、
インク滴速度が大きなインクジェットヘッドを得る。 【解決手段】 振動板と該振動板に対向して設けられた
電極とを備え、振動板と電極の間へ充電して発生する静
電力により前記振動板を変位させた状態から放電して振
動板を復元させるインクジェットヘッドにおいて、電極
11は、短辺方向両端部に段差を設けて、振動板の長辺
に沿った両端部に対応する一部分11aをその他の部分
11bよりも振動板に近づけて、狭ギャップ領域とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェットヘッド及
びアクチュエータに関し、特に静電力を用いるアクチュ
エータ部を備えたインクジェットヘッド及び静電型アク
チュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置として用いるインクジェット記録装置にお
いて使用するインクジェットヘッドは、インク滴を吐出
するノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(圧力
室、加圧液室、液室、インク流路等とも称される。)
と、この吐出室内のインクを加圧するエネルギーを発生
するエネルギー発生手段(アクチュエータ)とを備え
て、アクチュエータを駆動することで吐出室内インクを
加圧してノズル孔からインク滴を吐出させるものであ
り、記録の必要なときにのみインク滴を吐出するインク
・オン・デマンド方式のものが主流である。そして、イ
ンク滴(記録液体)の発生方法及び飛翔方向を制御する
ための制御方法により、幾つかの方式に大別される。
【0003】ここで、静電型アクチュエータを用いるイ
ンクジェットヘッドとして、例えば、特開平4−522
14号公報、特開平3−293141号公報などに記載
されているように、シリコン基板からなる第1の基板
(振動板基板)にエッチングによって液室とこの液室の
一壁面を形成する振動板とを形成し、この第1の基板の
下側に電極を形成した第2の基板(電極基板)を配置し
て、振動板に所定ギャップを置いて電極を対向させるこ
とで静電型アクチュエータを構成し、このアクチュエー
タの振動板と電極間に電圧を印加することで、静電力に
よって振動板を撓ませて液室の内容積を変化させて液室
に連通するノズルからインク滴を吐出させるものが知ら
れている。
【0004】この静電型インクジェットヘッドのアクチ
ュエータの駆動方式は、振動板を静電力で引いたときの
変位の限度によって方式が2種類に区別される。一つ
は、特開平7−10470号公報等に開示されているよ
うに、振動板が対向する電極(対向電極)に接触(当
接)するまで変位させる方式(「当援駆動」方式と呼ば
れる。)。他の一つは、振動板の変位を対向電極に接触
しない範囲に限定する方式(「非当接駆動」方式と呼ば
れる。)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、静電
型インクジェットヘッドは、静電力により振動板を撓ま
せて、静電力をオフしたときに振動板が戻る力(反力)
によってインク滴を吐出するものであるため、例えば圧
電素子を用いたピエゾ型インクジェットヘッドに比べて
インク滴の吐出力が小さくなる。
【0006】そこで、静電型インクジェットヘッドにお
ける吐出力を向上させるためには、振動板の厚みを厚く
して、これによる変位量の減少を補って十分な変位量を
得るために駆動電圧を高くしたり、振動板の短辺の幅を
狭くして、変位量を十分に得るために駆動電圧を高くし
たり、或いは、振動板の変位可能量を大きくするために
電極とのギャップを広くし、駆動電圧を高くすることな
どが考えられるが、これらの対策ではいずれも駆動電圧
が高くなる。
【0007】また、静電型インクジェットヘッドにおい
ては、振動板が変位することで、振動板の各部にはそれ
ぞれの大きさの内部応力が生じ、この応力の最大値は振
動板の両長辺部に生じる。この応力が大きいと、材料の
経時疲労を加速させ、材料の破壊降伏値を超えると振動
板が破損することになる。
【0008】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、請求項1乃至3の発明は駆動電圧を高くするこ
となくインク滴吐出力を大きくすることを目的とし、請
求項4の発明は振動板の疲労破壊を低減することを目的
とし、請求項5の発明は駆動電圧を高くすることなくイ
ンク滴吐出力を大きくできると共に、振動板の疲労破壊
を低減することを目的とし、請求項6の発明は駆動電圧
を高くすることなく振動板の反力を大きくすることを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1のインクジェットヘッドは、少なくとも振
動板と該振動板に対向して設けられた電極とを備え、前
記振動板と電極の間へ充電して発生する静電力により前
記振動板を変位させた状態から放電して前記振動板を復
元させるインクジェットヘッドにおいて、前記電極は前
記振動板の端部に対応する一部分が他の部分よりも前記
振動板に近づいている構成とした。
【0010】請求項2のインクジェットヘッドは、上記
請求項1のインクジェットヘッドにおいて、前記振動板
に近づいた前記電極の一部分は前記振動板の端部から振
動板短辺長の1/10の間までの部分に設けた構成とし
た。
【0011】請求項3のインクジェットヘッドは、上記
請求項1又は2のインクジェットヘッドにおいて、前記
電極は前記振動板に近づいた一部分と他の部分とで個別
的に電圧を印加可能にした構成とした。
【0012】請求項4のインクジェットヘッドは、少な
くとも振動板と該振動板に対向して設けられた電極とを
備え、前記振動板と電極の間へ充電して発生する静電力
により前記振動板を変位させた状態から放電して前記振
動板を復元させるインクジェットヘッドにおいて、前記
振動板の端部の変位量を制限する手段を設けた構成とし
た。
【0013】請求項5のインクジェットヘッドは、上記
請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記振動板に近づいた前記電極の一部分が前記振
動板の端部の変位量を制限する手段をなす構成とした。
【0014】請求項6のアクチュエータは、少なくとも
振動板と該振動板に対向して設けられた電極とを備え、
前記振動板と電極の間へ充電して発生する静電力により
前記振動板を変位させた状態から放電して前記振動板を
復元させるアクチュエータにおいて、前記電極は前記振
動板の端部に対応する一部分が他の部分よりも前記振動
板に近づいている構成とした。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実
施形態に係るインクジェットの模式的断面説明図、図2
は同ヘッドの図1と直交する方向の模式的断面説明図、
図3は図2の要部拡大図である。
【0016】インクジェットヘッドは、振動板基板1
と、この振動板基板1の下側に設けた電極基板2と、振
動板基板1の上側に設けたノズル基板3とを備え、複数
のノズル4、各ノズル4が連通する加圧液室5などを形
成している。
【0017】振動板基板1には、加圧液室5及びこの加
圧液室5の底部をなし、第1の電極で共通電極となる振
動板6を形成する凹部7と、各加圧液室5にインクを供
給する図示しない共通インク室、共通インク室と加圧液
室5とを連通する流体抵抗部8を形成する凹部を形成し
ている。この振動板基板1は、SUS基板などの金属基
板、シリコン基板等をエッチングすることで所望の微細
な液室パターンを形成したものである。
【0018】電極基板2には凹部10を形成して、この
凹部10の底面に振動板6に所定のギャップを置いて対
向する第2の電極となる個別電極11を形成し、この電
極11と振動板6によって、振動板6を変位させて加圧
液室5の内容積を変化させるアクチュエータ部を構成し
ている。この電極11表面には図示しないが電極保護膜
などを成膜することもできる。
【0019】ここで、電極11は、図3にも拡大して示
すように、短辺方向両端部に段差を設けて、振動板6の
長辺に沿った両端部に対応する一部分11aをその他の
部分11bよりも振動板6に近づけて、狭ギャップ領域
としている。
【0020】ノズル基板3は、NiやSUSなどの金属
板、ガラス、或いは樹脂などで形成し、エッチングやニ
ッケルのエレクトロフォーミング法などの周知の方法で
作製することができる。このノズル基板3には複数のノ
ズル4を形成すると共に、振動板基板1と共に加圧液室
5を形成する凹部13を形成し、また、ノズル面(吐出
方向の表面)には、インクとの撥水性を確保するため、
メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングなどの周知の
方法で撥水膜を形成している。
【0021】これらの振動板基板1、電極基板2及びノ
ズル基板3は、接着剤や陽極接合などの直接接合法、共
晶接合法等によって接合している。
【0022】このインクジェットヘッドにおいては、駆
動波形を電極11に印加して振動板6と電極11との間
に充電することで電荷によるクーロン力を発生させ、振
動板6を電極11側に撓ませて、加圧液室5の容積を拡
大する。この状態から、電極11と振動板6との間の電
荷を急激に放電させることにより、振動板6はその弾性
復元力によって復帰し、加圧液室5内の容積が急激に収
縮し、このとき発生するインク圧力によってノズル4か
らインク滴が吐出される。
【0023】そして、再度電極11に駆動波形を印加し
て振動板6を電極11側に変位させてその状態に保持
し、インク滴吐出により加圧液室5内に負圧が生じて共
通インク流路からインク供給路(流体抵抗部)8を通じ
て加圧液室5内にインクが供給され、ノズル4のインク
メニスカスがある程度安定した状態で、次のインク滴吐
出行程へと移行する。
【0024】以上のように構成したインクジェットヘッ
ドの作用について図4及び図5をも参照して説明する。
静電型インクジェットヘッドにおけるインク滴吐出力
は、液室の構成等にもよるが、根本的に振動板に生じる
面方向の反力の大きさが重要である。この振動板に生じ
る反力は、振動板端に生じ、長辺に生じる反力が問題と
なる。両長辺に生じる反力は、静電力により振動板面方
向に加えられた力に比例する。
【0025】したがって、振動板の面方向に加わる力を
大きくすることで、振動板面方向に生じる反力を大きく
することができ、結果としてインク滴吐出力を向上させ
ることができる。この場合、図4に示すように、振動板
6に対して荷重1、荷重2、荷重3、荷重4がそれぞれ
の領域にかかっているとしたときでも、振動板6の長辺
端の或る部分Saに生じる反力は、その部分Saを含む
短辺領域sに加わる荷重のみによって決まる。
【0026】そこで、上記第1実施形態における構造解
析を行った。ただし、ここで扱った荷重は静電力による
ものであるが、振動板6と個別電極11の相対距離が変
わっても一定であると仮定している。このことは、後述
する他の実施形態でも同じである。計算では、このよう
な仮定を設けたが、現実の静電力下での振動板6の振る
舞いも、定性的には以下の議論は成立する。
【0027】ここで、図5に示すように、四辺を固定し
た振動板6の長辺方向の長さをbとし、短辺方向の両端
部に長辺方向に沿って設けた狭ギャップ領域(電極11
の一部分11aに対向する領域)I、IIの幅をa1、a
3とし、狭ギャップ領域I、IIの間の平板部(電極11
の他の部分11bに対向する領域)の幅をa2とする。
【0028】具体的には、 振動板 :10mm(長辺:b)×2mm(短辺)×1
00μm(厚み) a1=a3:0.1mm a2= :1.8mm 領域IIに加わる荷重:20mN/mm2
【0029】振動板6に加わる力は、静電力により撓む
前の平板時に加わる静電力で、荷重をP、ギャップ長を
dとしたとき、次の(1)式で表わされる。
【0030】
【数1】
【0031】したがって、荷重領域I、IIIに加わる荷重
は、荷重領域IIに加わる荷重よりも大きくなる。振動板
6の領域IIの中心をA点とし、このA点に対応する領域
IIIの長手方向の点をBとし、領域I、IIIのギャップ長
dを狭くしていった場合に振動板6に生じる反力、変
位、応力の変化の具体的な計算結果を表1に示してい
る。なお、ギャップ長dは比で示している。また、ギャ
ップ長の大きさは任意であるが、ここでは振動板の最大
変位が9μmであるので、少なくともこれ以上の値にし
ている(非当接駆動の場合)。
【0032】
【表1】
【0033】この表1から、振動板6の端部(領域I,II
I)のギャップ長を狭くすると、振動板6面方向の反力
が増すことが分かる。例えば、ケース3では、個別電極
11が全面フラットな場合に比べて、反力は3.41倍
になっている。また、それぞれのケースで、A点の変位
はほとんど変わらず、ケース3でさえ個別電極11が全
面フラットな場合に比べて、僅か5%の増加で収まって
いる。また、B点の変位量は、A点の変位量に対して
4.12% 程度なので、ケース3の場合でも領域I、II
Iのギャップ長をさらに狭くできる余裕があることが分
かる。
【0034】このように、振動板に対向する電極は、振
動板の端部に対応する一部分が他の部分よりも振動板に
近づいている構成にすることで、ヘッドのスケール、駆
動電圧、変位量をほとんど変更することなく、振動板の
反力を大きくすることが可能となっている。
【0035】次に、ギャップ長を狭くする振動板端部の
幅(振動板端からの距離−狭ギャップ領域I、IIIの幅−
a1、a3)について説明する。上述した図5を参照し
て、振動板6の狭ギャップ領域I、IIIの幅を狭くしてい
った場合の振動板6に生じる反力、変位の変化の計算結
果を表2、表3に示している。
【0036】ここで、表2の例の構成は、次のとおりで
ある。 振動板 :10mm(長辺:b)×2mm(短辺)×2
0μm(厚み) 領域IIのギャップ長:領域I、IIIのギャップ長=1:
0.316 領域IIの荷重=20mN/mm2 領域I、IIIの荷重=200mN/mm2
【0037】また、表3の例の構成は、次のとおりであ
る。 振動板 :10mm(長辺:b)×2mm(短辺)×1
00μm(厚み) 領域IIのギャップ長:領域I、IIIのギャップ長=1:
0.316 領域IIの荷重=20mN/mm2 領域I、IIIの荷重=200mN/mm2
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】これら2つの例において異なる条件は、振
動板厚みのみである。したがって、これらの表2、3か
ら振動板の断面のアスペクト比(短辺長/板厚)が異な
っていても、狭ギャップ領域のない構成に対して、A点
の変位量の増加を2%、10%程度に抑えようとすれ
ば、狭ギャップ領域I、IIIの振動板端からの距離(端辺
方向の幅)を、振動板短辺長の1/20(狭ギャップ領
域幅0.1μmの場合)、1/10(狭ギャップ領域幅
0.20μmの場合)程度以下にする必要がある。
【0041】この場合、A点の変位量増加の許容量を何
%にするかにもよるが、仮に10%とすれば、狭ギャッ
プ領域は、振動板端から振動板短辺長の1/10の距離
以内に形成されなければならない。また、好ましくは、
狭ギャップ領域は、振動板端から振動板短辺長の1/2
0程度の距離以内に形成する。
【0042】このように、振動板に近づいた電極の一部
分は振動板の端部から振動板短辺長の1/10の間(距
離)までの部分に設けることによって、インク滴吐出力
が大きくなる。
【0043】次に、第1実施形態の他の例について図6
を参照して説明する。この例では、電極11の振動板6
の端部に対応する一部分を他の部分より振動板6に近づ
けて狭ギャップ領域とするために、電極基板2に凸部2
a、2aを設けることによってこの電極基板2上に電極
11を形成したときに、電極11の振動板6の端部に対
応する一部分11aが他の部分11bよりも振動板6に
近づいて狭ギャップ領域が形成される。
【0044】また、上記の例では、振動板6と電極11
との狭ギャップ領域Gsは、図7(a)に示すように振
動板6の短辺方向両端で長手方向に沿った形状にしてい
るが、これに限るものではなく、例えば同図(b)に示
すように、振動板6の端部全周に設定してもよく、或い
は同図(c)に示すように振動板6の短辺方向両端で長
手方向に沿って複数箇所に部分的に設定してもよい。
【0045】次に、本発明の第2実施形態について図8
を参照して説明する。本実施形態においては、電極基板
2に凸部2a、2aを形成して、この凸部2a、2a間
にフラットな領域となる電極11bを、各凸部2a、2
aの上端面に電極11a、11aを形成して、電極11
aと電極11bとは電気的に分離して個別的に異なる大
きさの駆動電圧を印加できるようにしている。
【0046】ここで、振動板6に近づいている側の電極
11aに印加する電圧をフラットな電極11bに印加す
る電圧よりも大きくすると、上記第1実施形態において
得られる反力よりも、より大きな反力を得ることができ
る。
【0047】また、上記第1実施形態において狭ギャッ
プ領域のギャップ長が狭くなりすぎると、技術的に形成
が難しくなるが、本実施形態によれば、狭ギャップ領域
のギャップ長は実現可能な距離で形成しておき、反力の
大きさは電極11aに印加する電圧の大きさで調整する
ことが可能となる。
【0048】このように、電極は振動板に近づいた一部
分と他の部分とで個別的に電圧を印加可能にすること
で、大きな反力を得ることができると共に、ギャップ形
成が容易になる。
【0049】次に、本発明の第3実施形態について図9
を参照して説明する。本実施形態では、電極基板2の凹
部2aの振動板6の端部に対応する部分に振動板6の変
位を規制する変位規制手段としての段差部15を設けた
ものである。
【0050】このように電極基板2の凹部2aの振動板
6の端部に対応する部分に段差部15を設けることで、
振動板6の端部は或る量以上変位できない。この場合、
振動板6に生じる応力は、振動板6長辺部が最大である
ので、振動板6の端部の変位量を規制することによっ
て、振動板6に生じる最大応力を小さくできる(このと
き、材料の破壊限界応力値よりも小さくなければならな
い。)。なお、振動板6に生じる最大応力は、振動板6
の厚み、短辺長、変位量等により変わるので、変位規制
手段の位置はそれらの値によって決める必要がある。
【0051】次に、本発明の第4実施形態について図1
0を参照して説明する。本実施形態においては、変位規
制手段として、振動板6の端部に対応する位置に絶縁部
材からなる変位規制部材16を配置している。このよう
にしても、上述したところと同じ作用効果を得ることが
できる。
【0052】次に本発明の第5実施形態に図11を参照
して説明する。本実施形態においては、第1電極11の
うちの振動板6に近づいている一部分11aを振動板6
の端部の変位を規制する程に振動板6に近づけて変位量
規制手段を兼ねるようにしている。これにより、振動板
の反力を向上させると共に、振動板の変位を制御して応
力値を抑えることができる。
【0053】この場合、電極11に振動板6が接触する
可能性があることを前提にしているので、電極11と振
動板6の材料によっては、その部分での電気的短絡が生
じることになる。
【0054】図12に、電極11の材料、振動板6の材
料と電流方向の組み合わせにおける良否を示している。
同表の「電流方向」の欄には、振動板と電極とが接触し
たときに、○を付記した矢印方向に電流が流れ、×を付
記した矢印方向には電流が流れないことを示している。
したがって、○を付記した矢印が記されている電極と振
動板の組合せ構成においては、両者の間に、Ta25
SiO2などの絶縁層を介在させる等の対処が必要であ
る。
【0055】ここで、変位規制手段を設けた例と変位規
制手段を設けない例について、応力、変位変化の計算結
果を表4に示している。なお、アクチュエータの構成は
次のとおりとする。 振動板 :10mm(長辺:b)×2mm(短辺)×2
0μm(厚み) 狭ギャップの幅:0.1μm
【0056】
【表4】
【0057】同表中、ケース2、3の変位規制手段を設
けた場合の振動板6と電極11aとのギャップ長は0.
32μmとした。ケース1とケース2からは、同じ荷重
条件でも、変位規制手段を設けることで最大応力値が大
きく減少することが分かる。このとき、A点の変位量も
減少しているので、変位量をケース1の場合にほぼ合わ
せたケース3を求めた。
【0058】このケース3では領域IIの荷重を増してい
るが、最大応力値はケース2の場合に比べて小さくなっ
ている。これは、図13に示すように、変位規制手段が
支持点となり、領域IIの変位量が増すと、領域I、IIIの
変位量が小さくなり、その結果、振動板端部の最大応力
値が減少することによる。さらに、領域IIの荷重を増し
ても、最大応力値は減少するのみである。
【0059】なお、上記実施形態においては、振動板を
電極に接触しない状態まで変位させた後静電力を解除し
て振動板を復元変位させる非当接駆動の場合について説
明しているが、振動板を電極に接触する状態まで変位さ
せた後静電力を解除して振動板を復元変位させる当接駆
動の場合についても同様に適用することができ、インク
滴吐出力の向上、低電圧駆動化を図れる。また、本発明
の構成、材料は上記実施形態のものに限られない。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のインク
ジェットヘッドによれば、少なくとも振動板と該振動板
に対向して設けられた電極とを備え、振動板と電極の間
へ充電して発生する静電力により前記振動板を変位させ
た状態から放電して振動板を復元させるインクジェット
ヘッドにおいて、電極は振動板の端部に対応する一部分
が他の部分よりも振動板に近づいている構成としたの
で、インク滴吐出力が向上し、インク滴吐出量、インク
滴速度が大きなインクジェットヘッドを得ることができ
る。
【0061】請求項2のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1のインクジェットヘッドにおいて、振
動板に近づいた電極の一部分は振動板の端部から振動板
短辺長の1/10の間までの部分に設けた構成としたの
で、インク滴吐出力が向上し、インク滴吐出量、インク
滴速度が大きなインクジェットヘッドを得ることができ
る。。
【0062】請求項3のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1又は2のインクジェットヘッドにおい
て、電極は振動板に近づいた一部分と他の部分とで個別
的に電圧を印加可能にした構成としたので、更に大きな
インク滴吐出力を得られると共にギャップの形成が容易
になる。
【0063】請求項4のインクジェットヘッドによれ
ば、少なくとも振動板と該振動板に対向して設けられた
電極とを備え、振動板と電極の間へ充電して発生する静
電力により振動板を変位させた状態から放電して振動板
を復元させるインクジェットヘッドにおいて、振動板の
端部の変位量を制限する手段を設けた構成としたので、
振動板に生じる最大応力を小さくすることができて、信
頼性が向上する。
【0064】請求項5のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、振動板に近づいた電極の一部分が振動板
の端部の変位量を制限する手段をなす構成としたので、
大きなインク滴吐出力を得られると共に信頼性が向上す
る。
【0065】請求項6のアクチュエータによれば、少な
くとも振動板と該振動板に対向して設けられた電極とを
備え、振動板と電極の間へ充電して発生する静電力によ
り振動板を変位させた状態から放電して振動板を復元さ
せるアクチュエータにおいて、電極は振動板の端部に対
応する一部分が他の部分よりも振動板に近づいている構
成としたので、振動板の大きな反力をえることができる
アクチュエータを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットの
模式的断面図
【図2】同ヘッドの図1と直交する方向の模式的断面図
【図3】図2の電極部分の拡大図
【図4】振動板長辺に生じる反力の大きさを決める条件
の説明に供する説明図
【図5】第1実施形態の作用説明に供する説明図
【図6】同実施形態の他の例の説明に供する説明図
【図7】同実施形態の更に他の例の説明に供する説明図
【図8】本発明の第2実施形態の説明に供する要部拡大
説明図
【図9】本発明の第3実施形態の説明に供する要部拡大
説明図
【図10】本発明の第4実施形態の説明に供する要部拡
大説明図
【図11】本発明の第5実施形態の説明に供する要部拡
大説明図
【図12】同実施形態の電極と振動板の組合せ例の説明
に供する説明図
【図13】同実施形態の説明に供する説明図
【符号の説明】
1…振動板基板、2…電極基板、3…ノズル基板、4…
ノズル、5…加圧液室、6…振動板、11…電極。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも振動板と該振動板に対向して
    設けられた電極とを備え、前記振動板と電極の間へ充電
    して発生する静電力により前記振動板を変位させた状態
    から放電して前記振動板を復元させるアクチュエータ部
    を備えたインクジェットヘッドにおいて、前記電極は前
    記振動板の端部に対応する一部分が他の部分よりも前記
    振動板に近づいていることを特徴とするインクジェット
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記振動板に近づいた前記電極の一部分は前
    記振動板の端部から振動板短辺長の1/10の間までの
    部分に設けたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のインクジェット
    ヘッドにおいて、前記電極は前記振動板に近づいた一部
    分と他の部分とで個別的に電圧を印加可能にしたことを
    特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 少なくとも振動板と該振動板に対向して
    設けられた電極とを備え、前記振動板と電極の間へ充電
    して発生する静電力により前記振動板を変位させた状態
    から放電して前記振動板を復元させるインクジェットヘ
    ッドにおいて、前記振動板の端部の変位量を制限する手
    段を設けたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記振動板に近づいた前記
    電極の一部分が前記振動板の端部の変位量を制限する手
    段をなすことを特徴とするインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 少なくとも振動板と該振動板に対向し
    て設けられた電極とを備え、前記振動板と電極の間へ充
    電して発生する静電力により前記振動板を変位させた状
    態から放電して前記振動板を復元させるアクチュエータ
    において、前記電極は前記振動板の端部に対応する一部
    分が他の部分よりも前記振動板に近づいていることを特
    徴とするアクチュエータ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008284824A (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Seiko Epson Corp 静電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド
JP2013028175A (ja) * 2012-09-28 2013-02-07 Seiko Epson Corp 静電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド

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