JP2000262357A - 3次元ネットを有するクッション部材及びその製造方法 - Google Patents

3次元ネットを有するクッション部材及びその製造方法

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JP2000262357A
JP2000262357A JP11072060A JP7206099A JP2000262357A JP 2000262357 A JP2000262357 A JP 2000262357A JP 11072060 A JP11072060 A JP 11072060A JP 7206099 A JP7206099 A JP 7206099A JP 2000262357 A JP2000262357 A JP 2000262357A
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Masaki Nishino
正樹 西野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カバーの3次元ネット端部に対する縫製ライ
ンの蛇行を低減し、見栄え及びクッション性の向上した
3次元ネットを有するクッション部材及びその製造方法
を提供すること。 【解決手段】 3次元ネット8の少なくとも両端部にカ
バー10,10を取り付けるに際し、3次元ネット両端
部をまず振動溶着し、この振動溶着部にカバー10,1
0を縫製するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートあるいはベ
ッド等に採用可能な通気性に優れた3次元ネットを有す
るクッション部材及びその製造方法に関し、特に3次元
ネットの端部処理構造及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のシートあるいはベッドは、フレー
ムに乗せたパッド材を表皮で被覆したものや、クッショ
ン性を高めるためにばね材をさらに設けたものが一般的
である。
【0003】このようなシートあるいはベッドは、通気
性あるいは放熱性の面でまだまだ改良の余地があるばか
りでなく、全体として重たく高価なものが多いことか
ら、最近では、通気性に優れた軽量のネット状のクッシ
ョン構造を有するものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このネット状のクッシ
ョン構造は、端末処理をしてそのまま座布団等のクッシ
ョン部材として使用したり、端末処理をした後係止用金
具を取り付け、この係止用金具をシート等のフレームに
係止してシートクッションとして使用される。
【0005】しかしながら、端末処理は3次元ネットの
端部をカバーで被覆し、両者を縫製することにより接合
するのが一般的であり、3次元ネットの端部を素材のま
まで縫製すると、3次元ネットの目の影響で縫製ライン
が蛇行して見栄えが悪いという問題があった。
【0006】また、3次元ネットにテンションを加えて
縫製すると、着座時のクッション性が向上するが、従来
の端末処理では、縫製前にテンションを加えることがで
きなかった。
【0007】本発明は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであり、カバーの3次元ネッ
ト端部に対する縫製ラインの蛇行を低減し、見栄え及び
クッション性の向上した3次元ネットを有するクッショ
ン部材及びその製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、3次元ネ
ットと、該3次元ネットの少なくとも両端部に取り付け
られたカバーとを有し、該カバーが上記3次元ネットを
振動溶着した部位に縫製されていることを特徴とする3
次元ネットを有するクッション部材である。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、上記3次
元ネットの振動溶着部が、上記3次元ネットの両端縁部
より所定距離離間した凹部であることを特徴とする。
【0010】また、請求項3に記載の発明は、上記3次
元ネットが、上記カバーの取付方向に所定のテンション
を有することを特徴とする。
【0011】さらに、請求項4に記載の発明は、3次元
ネットの少なくとも両端部を振動溶着により潰し、振動
溶着部にカバーの両辺を縫製により取り付けたことを特
徴とする3次元ネットを有するクッション部材の製造方
法である。
【0012】また、請求項5に記載の発明は、上記カバ
ーの一辺を上記3次元ネット端部に縫製した後、上記カ
バーの対辺を上記3次元ネット端部に縫製するようにし
たことを特徴とする。
【0013】また、請求項6に記載の発明は、上記振動
溶着部に凹部を形成したことを特徴とする。
【0014】また、請求項7に記載の発明は、上記カバ
ーが取り付けられる方向にテンションを加え、上記カバ
ーが取り付けられる端部以外の端部を振動溶着により潰
したことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、3
次元ネットを構成する立体メッシュニットを示してお
り、基布の織りをハニカム状(六角形)のメッシュに形
成するとともに、上部メッシュ層2と下部メッシュ層4
とを多数のパイル6からなるパイル層で結合した3層の
立体的なトラス構造としている。
【0016】上部メッシュ層2と下部メッシュ層4の各
糸は、多数の細い糸をよったもので形成する一方、パイ
ル6の各々は1本の太い糸で形成し立体メッシュニット
に剛性を付与している。
【0017】表1は、上部メッシュ層2、下部メッシュ
層4、及び、パイル層を形成するパイル6として使用し
た材料の物性値を示している。
【表1】
【0018】表1において、「原着黒」とは材料を黒く
着色したものである。また、dはデニールを表し、1d
は1グラムの糸を9,000m引っ張った時の太さの単
位であり、210dは1グラムの糸を9,000/21
0=42.9m引っ張った時の太さの糸である。さら
に、fはフィラメントを表し、糸が何本の細い糸で構成
されているかを示す単位で、60fは60本の細い糸で
1本の糸を構成している。また、引張強度のkg/5c
mとは、5cm幅のメッシュを長手方向に引っ張った時
の強度である。また、パイル組織の「直行」とは上部メ
ッシュ層2の六角形と下部メッシュ層4の六角形とが真
上から見た場合に完全に重なった状態を示しており、
「クロス」とは両者がズレている状態を示している。
【0019】なお、立体メッシュニットの材料としては
熱可塑性樹脂が好ましく、繊維状に成形可能で、それを
織物にした場合にシート地として要求される強度を発現
しうるものであればよい。具体例を挙げると、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステ
ル樹脂類、ナイロン6、ナイロン66などに代表される
ポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
に代表されるポリオレフィン樹脂類、あるいは、これら
の樹脂を2種類以上混合した樹脂などである。
【0020】また、各パイル6の繊維太さとしては38
0d以上で、好ましくは600d以上がよく、立体メッ
シュニットに加わる着座者の荷重を六角形メッシュの変
形とパイルの倒れにより支持することができ、応力集中
が起きない柔構造となる。図3は、上部及び下部メッシ
ュ層2,4として使用される種々の基布組織を模式的に
示しており、(a)は図1に示されるハニカム状(六角
形)メッシュを、(b)は菱形メッシュを、(c)は鎖
挿入組織をそれぞれ示している。
【0021】また、図4は、上部及び下部メッシュ層
2,4を結合するパイル組織を模式的に示しており、
(a)は図2に対応するストレート状組織を、(b)は
8の字ストレート状組織を、(c)はクロス状組織を、
(d)は8の字クロス状組織をそれぞれ示している。
【0022】表2は、上部メッシュ層2、下部メッシュ
層4、及び、パイル層を形成するパイル6として使用し
た材料及び他の種々の材料の物性値を示している。
【表2】
【0023】図5乃至図7は、車両等のシートあるいは
座布団等として使用される本発明の実施の形態1にかか
る3次元ネット8を有するクッション部材C1を示して
いる。
【0024】3次元ネット8は、全周にわたりその端部
を振動溶着により潰した後、その一端部の表裏両面をカ
バー10で被覆し、3次元ネット8の一端部とカバー1
0の両辺を縫製することにより接合している。また、3
次元ネット8の他端部も同様に、その表裏両面をカバー
10で被覆した後、縫製している。
【0025】上記構成のクッション部材C1は、3次元
ネット8の端部を素材のままカバー10とともに縫製せ
ず、振動溶着により3次元ネット8の端部を略平坦に潰
した後、縫製していることから、縫製ラインが大きく蛇
行することがなく見栄えが向上する。
【0026】図8乃至図10は、本発明の実施の形態2
にかかる3次元ネットを有するクション部材C2を示し
ている。
【0027】この実施の形態2にかかるクッション部材
C2は、3次元ネット8の端部を振動溶着により潰した
後、各カバー10を3次元ネット8に縫製するに際し、
カバー10の一辺12をまず縫製し、その後、カバー1
0の対辺14を縫製するようにしたものである。
【0028】この方法は、カバー10の両辺を同時に3
次元ネット8に縫製するのに比べ、縫製ラインの蛇行を
さらに小さくすることができる。
【0029】図11乃至図13は、本発明の実施の形態
3にかかる3次元ネットを有するクッション部材C3を
示している。
【0030】図14に示されるように、クッション部材
C3には、3次元ネット8の両端縁部より所定距離離間
した位置を振動溶着することにより断面略U字状の凹部
8a,8aが表裏両面に形成されており、凹部8a,8
aの内縁部にカバー10両辺の端縁部を当接させた後、
3次元ネット8の振動溶着部に縫製することにより接合
されている。
【0031】この構成は、凹部8a,8aの外端部が、
縫製時のカバー10両辺のストッパあるいは位置決め手
段として作用し、縫製ラインの蛇行を極力小さくするこ
とができる。
【0032】なお、上記実施の形態において、3次元ネ
ット8にテンションを加えずに、その端部を振動溶着し
てもよいが、3次元ネット8の幅方向(カバー10,1
0が取り付けられる両端部が離反する方向)に所定のテ
ンションを加えるとともにカバー10,10を取り付け
ない両端部を振動溶着により潰すと、縫製後もそのテン
ションが維持され、クッション部材C1,C2,C3の
クッション性を向上することができる。
【0033】また、上記実施の形態において、カバー1
0,10を3次元ネット8の両端部に取り付ける構成と
したが、その全周に取り付けることもできる。
【0034】立体メッシュニットを3次元ネット8とし
て使用したクッション部材C1,C2,C3は、上部及
び下部メッシュ層2,4をハニカム状に形成するととも
に、多数のパイル6の各々を1本の太い糸で形成し、か
つ、トラス構造にしていることから、次のような特徴を
有している。 (1)個々のパイルが弾性機能を有しているので、材
質、繊維太さ、組織、機械的特性を変えることにより硬
度、弾力、フィット性をコントロールすることができ
る。 (2)ハニカム形状の形状記憶機能を利用することによ
り、復元性を高め、へたりにくくすることができる。 (3)トラス構造により、へたりにくい薄型の弾性構造
物を形成し、圧力分散と吸収及びフィット性の向上を図
ることができる。 (4)ハニカム・トラス構造の各部が独立した均一なク
ッション部材であるため、体圧分散(低圧で均一な体圧
分布)に優れ、体格差を吸収するとともに、やせ形で肉
付きの悪い人に対しては比較的疲労に対して鈍感な座骨
結節部に低圧で体圧集中させることにより前ズレを防止
することができる。さらに、体重移動性に優れ、姿勢変
化が容易で、かつ、対応しやすく、摩擦剪断力も低減す
る。 (5)ハニカム・トラス構造により、ハンモック状態
(局部的に圧力が集中し側圧感が強い状態)にならず、
自然な姿勢支持が可能となり、ハニカム各部の弾性効果
により異物感も減少する。 (6)ハニカム・トラス構造により気孔構造となり、透
湿性と通気性に優れている。 (7)ハニカム・トラス構造により支持(接触)面積は
拡大されている。しかしながら、マクロ的には面状支持
となっているもののミクロ的には線状支持となっており
ムレない構造である。 (8)フレーム形状と薄型高弾性部材により表皮とパッ
ドを無くしながらも、異物感を減少させている。 (9)ハニカム・トラス構造により強度アップになって
いる。3次元ネットを有するクッション部材にはこのよ
うな特徴があるので、例えばシート等に採用することに
より、大腿部までの血行障害、神経障害、腰椎障害等を
防止することができ、発汗、皮膚温度の適正化を図ると
ともに、筋肉組織を保護することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。本
発明のうちで請求項1あるいは4に記載の発明によれ
ば、3次元ネットの少なくとも両端部にカバーを取り付
けるに際し、3次元ネットを振動溶着した部位にカバー
を縫製するようにしたので、縫製ラインが3次元ネット
の目の影響をあまり受けず、縫製ラインの蛇行が低減し
た見栄えのいいクッション部材を提供することができ
る。
【0036】また、請求項2あるいは6に記載の発明に
よれば、3次元ネットの振動溶着部を、3次元ネットの
両端縁部より所定距離離間した凹部としたので、縫製
時、この凹部がカバーのストッパ、あるいは、カバーを
縫製する時に3次元ネットがズレていかないためのスト
ッパとして作用し、縫製ラインの蛇行を極力小さくする
ことができる。
【0037】さらに、請求項3あるいは7に記載の発明
によれば、3次元ネットがカバーの取付方向に所定のテ
ンションを有しているので、着座時のクッション性を向
上させることができる。
【0038】また、請求項5に記載の発明によれば、カ
バーの一辺を3次元ネット端部に縫製した後、カバーの
対辺を3次元ネット端部に縫製するようにしたので、カ
バーの両辺を同時に縫製するのに比べ、縫製ラインの蛇
行をより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるクッション部材に設けられた
3次元ネットの部分拡大正面図である。
【図2】 図1の3次元ネットの部分断面側面図であ
る。
【図3】 3次元ネットを構成する上部及び下部メッシ
ュ層に使用される種々の基布組織を模式的に示してお
り、(a)は図1に示されるハニカム状(六角形)メッ
シュを、(b)は菱形メッシュを、(c)は鎖挿入組織
をそれぞれ示している。
【図4】 上部及び下部メッシュ層を結合するパイル組
織を模式的に示しており、(a)は図2に対応するスト
レート状組織を、(b)は8の字ストレート状組織を、
(c)はクロス状組織を、(d)は8の字クロス状組織
をそれぞれ示している。
【図5】 本発明の実施の形態1にかかる3次元ネット
を有するクッション部材の斜視図である。
【図6】 図5のクッション部材の平面図である。
【図7】 図5のクッション部材の側面図である。
【図8】 本発明の実施の形態2にかかる3次元ネット
を有するクッション部材の斜視図である。
【図9】 図8のクッション部材の平面図である。
【図10】 図9の線X−Xに沿った断面図である。
【図11】 本発明の実施の形態3にかかる3次元ネッ
トを有するクッション部材の斜視図である。
【図12】 図11のクッション部材の平面図である。
【図13】 図11のクッション部材の側面図である。
【図14】 図11のクッション部材の3次元ネットに
カバーを取り付ける前の部分側面図である。
【符号の説明】
2 上部メッシュ層 4 下部メッシュ層 6 パイル 8 3次元ネット 8a 凹部 10 カバー 12 カバーの一辺 14 カバーの対辺 C1,C2,C3 クッション部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西野 正樹 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 保田 嘉和 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 Fターム(参考) 3B096 BA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3次元ネットと、該3次元ネットの少な
    くとも両端部に取り付けられたカバーとを有し、該カバ
    ーが上記3次元ネットを振動溶着した部位に縫製されて
    いることを特徴とする3次元ネットを有するクッション
    部材。
  2. 【請求項2】 上記3次元ネットの振動溶着部が、上記
    3次元ネットの両端縁部より所定距離離間した凹部であ
    る請求項1に記載の3次元ネットを有するクッション部
    材。
  3. 【請求項3】 上記3次元ネットが、上記カバーの取付
    方向に所定のテンションを有する請求項1あるいは2に
    記載の3次元ネットを有するクッション部材。
  4. 【請求項4】 3次元ネットの少なくとも両端部を振動
    溶着により潰し、振動溶着部にカバーの両辺を縫製によ
    り取り付けたことを特徴とする3次元ネットを有するク
    ッション部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記カバーの一辺を上記3次元ネット端
    部に縫製した後、上記カバーの対辺を上記3次元ネット
    端部に縫製するようにした請求項4に記載の3次元ネッ
    トを有するクッション部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記振動溶着部に凹部を形成した請求項
    4に記載の3次元ネットを有するクッション部材の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 上記カバーが取り付けられる方向にテン
    ションを加え、上記カバーが取り付けられる端部以外の
    端部を振動溶着により潰した請求項4乃至6のいずれか
    1項に記載の3次元ネットを有するクッション部材の製
    造方法。
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