JP2000260750A - 昇温脱離ガス分析装置 - Google Patents

昇温脱離ガス分析装置

Info

Publication number
JP2000260750A
JP2000260750A JP11060420A JP6042099A JP2000260750A JP 2000260750 A JP2000260750 A JP 2000260750A JP 11060420 A JP11060420 A JP 11060420A JP 6042099 A JP6042099 A JP 6042099A JP 2000260750 A JP2000260750 A JP 2000260750A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vacuum chamber
sample
arm
vacuum
valve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11060420A
Other languages
English (en)
Inventor
Noboru Nishikata
登 西片
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DENSHI KAGAKU KK
Original Assignee
DENSHI KAGAKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DENSHI KAGAKU KK filed Critical DENSHI KAGAKU KK
Priority to JP11060420A priority Critical patent/JP2000260750A/ja
Publication of JP2000260750A publication Critical patent/JP2000260750A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空形成時間および観測時間を短縮するとと
もに、試料交換を確実に行い、熱線の影響を受けること
なく、かつ誤操作が行われないようにして観測精度を向
上させる。 【解決手段】 三つの真空チャンバを設け、第一および
第二の真空チャンバの真空度を維持した状態で第三の真
空チャンバに観測試料を入れ、その真空度が所定値に達
したときに第二の真空チャンバに試料を移送する。次い
で、第二の真空チャンバの真空度が所定値に達したとき
に第一の真空チャンバに試料を移送し、第一の開閉弁を
閉じて第一の真空チャンバ内の排気を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高真空雰囲気の中
で試料から脱離する微量のガスを捕捉分析する装置の改
良に関する。本発明の装置は、半導体あるいは集積回路
の製造工程の評価に利用するために開発されたものであ
るが、これに限らず真空中に遊離するきわめて微量のガ
スを分析する装置として広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の製造工程では、基板の表面
に半導体物質を付着成長させる、感光物質を塗布する、
加熱する、マスクを重ねる、露光する、液体に浸漬して
エッチングを行う、溶媒または水中で洗浄する、乾燥す
る、さらにその上に別の半導体物質や絶縁物質を積層す
る、などの工程を繰り返しながら、所望の動作を行う回
路を形成する。たとえばその回路の大きさは、一辺が数
mmで厚さが数百μmの長方形板状である。そして、そ
の製造工程にしたがって製品を製造しても、一般にその
初期段階では多数の不良品を製造することになり、その
製造歩留りはきわめて悪い。特に外見上その形状が設計
どおりであっても、電気的性能が所望の特性とならない
不良品が多数製造される。
【0003】これは、これらの加工、洗浄、乾燥など
が、初期の目的のとおりに行われていないことに起因す
るものである。たとえば半導体素子の表面に半導体の電
気的動作を阻害する物質が残留する、あるいは化学反応
または洗浄などの工程で、予想外の物質が形成されるな
どが主な原因となる。そして、このように順次行われる
製造工程のどの部分を修正すべきであるのかを知ること
はなかなかむづかしい。また、製造コストを低くするた
めには、製品性能を得るに必要な処理を越えるむだな処
理を行うことは避けなければならない。すなわち、省い
てもよい余分な処理は省きたいが、どの工程で何を省い
てもよいのかを知ることはむづかしい。
【0004】このために、昇温脱離ガス分析装置が用い
られるようになった。これは、製造工程を経て製造され
た半導体素子、あるいはこれらの半製品などを試料とし
て真空雰囲気中に置き、その試料を加温すると、その試
料に微量に付着していた物質が気体分子となってその真
空雰囲気中に脱離する。この気体分子を質量分析計に取
込みその質量を観測することにより、付着していた物質
の種類や量を知ることができる。これにより、洗浄が十
分でなかった工程はどの工程であったか、処理薬品の濃
度が適当であったか、処理薬品の添加物が適当であった
か、などを知りその工程を改良することができる。
【0005】質量分析計は、真空雰囲気中に浮遊する分
子をその取込口から取込み、イオン化して電極間を通過
させることにより加速し、静電的あるいは電磁的に偏向
させてイオン検出器に到達するイオンの質量を選別する
ことにより、きわめて微量の分子についてその分子量を
測定することができる。
【0006】昇温脱離ガス分析装置については、特開平
4−48254号公報、特開平6−275697号公
報、質量分析計については特開平6−273383号公
報にこれら従来技術の開示がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術による昇
温脱離ガス分析装置は半導体製造工程の改良に大きく貢
献した。しかし、この装置を利用する技術者からさらに
高度な課題が出されている。
【0008】第一の課題は、さらに微量な分子を正確に
分析するために、さらに高真空の雰囲気を作ることであ
る。具体的には5E−8Pa(10のマイナス8乗パス
カルの5倍)程度の高真空が求められている。一般に、
目標圧力に到達するまでの時間は、真空チャンバの容積
に比例し、排気速度(真空ポンプの能力)に反比例す
る。したがって、真空チャンバの容積は質量分析に必要
な最小限とし、きわめて高性能の真空ポンプを利用する
ように改良された。しかし、初期圧をP1 、目標到達圧
力をP2 とすると、目標到達圧力に達するまでの時間は
log(P1 /P2 )に比例する。すなわち目標到達圧
力を一桁小さくする毎に、それまで要した時間にちょう
ど等しい時間だけ、つまり2倍の時間を要することにな
る。
【0009】第二の課題は、試料交換のために真空を破
壊すると、真空チャンバの壁面に大気から不純物が付着
し、これが試料観測の雑音になるのでこれを少なくした
いという要望である。これは観測の精度が高くなるほど
大きい問題となり、真空度が高くなるほど大きい問題と
なる。これを解決するためには、所望の真空状態に到達
してもなお、排気を継続して不純物を取り除くなど時間
を要する操作が必要になる。
【0010】第三の課題は、これらといずれも相反する
課題であり、多数の試料を次々と観察したいという要望
である。すなわち、一つの半導体製造工程を評価するた
めに、パラメタを少しづつ変更した多数の製品試料ある
いは半製品の試料が取り出されると、これらを総合的に
早く検査して、全体像を明らかにして製造工程の修正を
正確にかつ速やかに行うことにしたいという要望であ
る。このためには、試料を交換するために、いったん真
空を破壊した真空チャンバを高速に元の高い真空状態に
戻すことが必要である。
【0011】第四の課題は、真空チャンバの内部で試料
を加熱するときに、試料のみを所望の温度に加熱したい
という要望である。すなわち、試料だけでなく、その周
辺や真空チャンバの壁面などを共に加熱すると、試料以
外からも気体分子が離脱してこれが観測の雑音となる。
このためには真空チャンバを大きくして、試料台を独立
させ、熱が周辺にまわらないようにすることが必要であ
る。これも上の課題とは相反する。
【0012】第五の課題は、試料を加熱するための光線
が質量分析計の中に進入し、その動作に影響を与えない
ようにするとの要望である。この段階ではきわめて微量
の分子を観測分析することが必要になり、小さい温度変
化や光線の侵入は観測の雑音となるからこれを排除しな
ければならない。
【0013】本発明は、このように互いに相反する課題
を満足させなければならない背景に行われたものであ
り、昇温脱離ガス分析装置の観測精度を向上することを
目的とする。本発明は、観測時間の短縮、特に真空を形
成するための排気時間の短縮化を目的とする。併せて本
発明は、試料交換を確実に行うことができる昇温脱離ガ
ス分析装置を提供することを目的とする。本発明は、質
量分析計に試料加熱用の光線が影響しないように工夫し
た昇温脱離ガス分析装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の特徴は、
真空チャンバを三段階に構成したところにある。すなわ
ち、高真空の中に配置された試料を大気中に取り出し、
新しい試料をその高真空の中に配置するための交換作業
に、二つのロードロック機構を使い、高真空雰囲気を破
壊することなく試料交換を行うことができるようにした
ところにある。
【0015】すなわち、本発明は、試料台と、この試料
台に載置された試料を加熱する加熱手段と、この試料か
ら脱離するガスを捕捉する質量分析計とが配置された第
一の真空チャンバを備えた昇温脱離ガス分析装置におい
て、前記第一の真空チャンバに第一の開閉弁を介して連
通する第二の真空チャンバと、この第二の真空チャンバ
に第二の開閉弁を介して連通する第三の真空チャンバと
を備え、前記第二の真空チャンバは前記試料台への試料
の運搬路として形成された管状構造であり、前記第三の
真空チャンバは前記運搬路と直交し移送される試料が一
時収容される小室構造であり、この第三の真空チャンバ
には試料を出し入れする開閉蓋が設けられたことを特徴
とする。
【0016】第一の真空チャンバは試料を加熱しその試
料から脱離するガスを観測するに必要な容積に形成され
る。第二の真空チャンバは、第一の真空チャンバに試料
を搬送するに必要な程度に細い管状に形成され、その容
積は第一の真空チャンバにくらべてきわめて小さい。第
三の真空チャンバの容積は、第二の真空チャンバの容積
よりさらに小さく、開閉蓋を開いた状態で試料を交換す
ることができる程度にきわめて小さく形成される。
【0017】そしてこの装置は、試料交換操作のため
に、操作にしたがって前記第二の真空チャンバの内部を
移動する第一のアームと、この第一のアームに直交し操
作にしたがってその先端が前記第三の真空チャンバに達
するように移動し前記第一のアームとの間で試料を受け
渡す構造に形成された第二のアームとを備える。試料は
第一のアームの先端に載置される試料搬送台に収容し搬
送する。
【0018】上記従来例で説明した公報には、真空チャ
ンバを二段階に設け、試料を加熱し脱離ガスを発生させ
てその分析を行う第一のチャンバと、この第一の真空チ
ャンバに開閉弁を介して連通し試料の出し入れを行う第
二の真空チャンバを設ける構成が開示されている。本発
明は、これをさらに改良して、真空チャンバを三段階の
構成とし、しかもその間の試料の受渡しおよび搬送を要
領よく誤りなく行うことができるようにしたものであ
る。
【0019】すなわち、第一の真空チャンバはきわめて
高度の真空に維持される。本発明実施例では5E−8P
aを維持することができる。試料を加熱し、試料から脱
離するガスの分析は、第二の真空チャンバとの間の第一
の開閉弁を閉じた状態で行う。このときには、さらに第
二の真空チャンバと第三の真空チャンバとの間にある第
二の開閉弁を閉じておく。試料が第一の真空チャンバに
あるときには、第二の真空チャンバおよび第三の真空チ
ャンバの排気を継続して実行する。
【0020】第一の真空チャンバの試料観測が終了した
とき、第一の開閉弁を開き、第一のアームを操作して、
試料を第二の真空チャンバに移送する。移送後に第一の
開閉弁を閉じる。第一の開閉弁の閉塞が確認されたら、
次に第二の真空チャンバと第三の真空チャンバとの間に
ある第二の開閉弁を開き、試料を第三の真空チャンバに
移送する。移送後に第二の開閉弁を閉じる。第二の開閉
弁の閉塞が確認されたら、第三の真空チャンバ(小室)
の開閉蓋を開き、観測済の試料を取り出し、次に観測す
る試料をこの第三の真空チャンバに入れ、第三の真空チ
ャンバの開閉蓋を閉じる。
【0021】このような試料の交換過程での真空ポンプ
による各真空チャンバ内の排気は停止することなく継続
的に行う。真空チャンバ内の排気を短時間で行うために
複数の真空ポンプを配置することが望ましい。例えば、
第一の真空チャンバ専用の真空ポンプ、第二の真空チャ
ンバ専用の真空ポンプおよび第三の真空チャンバ専用の
真空ポンプを配置し、さらに、この第三の真空チャンバ
専用の真空ポンプを第一および第二の真空チャンバ専用
の真空ポンプに個別に開閉弁を介して結合し、その駆動
操作をプログラム制御により行う。これにより複雑な排
気操作の人為的なミスを防止することができる。
【0022】試料の交換を行うと、第三の真空チャンバ
内は真空状態が破壊されて大気圧となるが、第三の真空
チャンバに結合した真空ポンプと第一の真空チャンバお
よび第二の真空チャンバに結合した真空ポンプとの間の
開閉弁を閉じ、第三の真空チャンバに結合した真空ポン
プにより排気を行うことにより、短時間(1分以内)で
所望の真空状態に回復させることができる。
【0023】試料の交換を行い第三の真空チャンバの開
閉蓋を閉じたときは、第二の真空チャンバと第一の真空
チャンバとの間に設けた第一の開閉弁はすでに閉じた状
態にあり、かつ第二の真空チャンバに結合された真空ポ
ンプおよび第一の真空チャンバに結合された真空ポンプ
はともに動作状態にあるので、第一の真空チャンバおよ
び第二の真空チャンバの真空度はほぼ維持された状態に
ある。第三の真空チャンバの真空度が所定値に達したと
きに、第二の開閉弁を開いて試料を第三の真空チャンバ
から第二の真空チャンバに移送する。移送後に第二の開
閉弁を閉じる。
【0024】第二の真空チャンバの真空度が所定値にな
ったときに、第二の真空チャンバと第一の真空チャンバ
との間に設けた第一の開閉弁を開いて、試料を第一の真
空チャンバに移送し、第一の開閉弁を閉じる。駆動を継
続している第一の真空チャンバの真空ポンプにより第一
の真空チャンバの真空度が所望の値に達した後に、試料
を加熱しその脱離ガスを分析する。
【0025】このような操作を行うことにより、試料の
交換に際して真空が大気圧まで破壊されるのは第三の真
空チャンバである小室のみであり、その容積は小さいか
ら比較的短い時間で所望の真空度を得ることができる。
このとき、第二の真空チャンバの真空度はほぼ維持され
ているので、第二の開閉弁を開いたときに破壊される真
空の程度は小さく、比較的短い時間で元の真空度に到達
することができる。したがって、第一の開閉弁を開いた
ときには、第一の真空チャンバに与える影響は緩和され
てきわめて小さくなる。これにより、試料が第一の真空
チャンバの試料台に載置されてから多くの時間を要する
ことなく観測を開始することができる。
【0026】三つの真空チャンバのそれぞれの真空制御
のための操作弁および真空ポンプの操作、三つの真空ポ
ンプの間の開閉弁の操作および試料の移送は、一人の人
が操作を行った場合に操作の錯覚を起こしやすい。開閉
弁の操作および真空ポンプと操作弁の操作について、そ
の操作順序を誤ると、予期せずに真空が破壊されてしま
うことになり、これを回復するためにきわめて長い時間
(例えば2〜3日間)がかかることになる。したがっ
て、本発明の装置では、これらの操作端にはそれぞれ状
態センサを設け、その状態をプログラム制御装置が取込
みその制御情報に基づいて自動的に真空制御を行うよう
に構成し、さらに試料の移送について現時点で操作可能
な操作端を例えばランプの点灯により表示することがで
きるように構成した。
【0027】このように、真空チャンバを三段階構成に
し、第一の真空チャンバ内への試料の搬送後は試料搬送
機構を第二の真空チャンバ内に戻す構造にしたことによ
り、第一の真空チャンバ内の表面積を小さくすることが
可能となり、短い排気時間で高い真空度を得ることがで
き、さらに、第一の真空チャンバ内で加熱されるのは分
析する試料だけになるために同時に発生するバックグラ
ンドガスをきわめて少なくすることができる。
【0028】一方、真空チャンバを三段階構成とするこ
とにより、試料を順次移送するための装置を必要とする
ことになった。真空チャンバが二段階であるときには、
ロードロック機構は一つであり、試料を押し込むような
操作で試料を試料台に移送し、その逆の操作で試料を外
部に取り出すことができたが、真空チャンバが三段階構
成となることにより、試料の移送または搬送のための機
構に工夫が必要になった。
【0029】この真空チャンバ間の試料の移送は、第二
の真空チャンバの内部を移動する第一のアーム、および
第二の真空チャンバに対して移動する第二のアームによ
って行われるために直交方向の受け渡しが必要になる。
この受け渡しの際の試料の取り置きを容易にするために
試料の大きさ、形状によってあらかじめ準備された試料
搬送台を選択し、この試料搬送台を支持台により支持し
て移送する。第二の真空チャンバと第三の真空チャンバ
との間に設ける第二の開閉弁は開放時にこの支持台を通
過させる空間が必要になる。
【0030】この空間を得るために、第二の真空チャン
バと第三の真空チャンバとの接続部にフランジを設け、
第二のアームの先端に円板状の弁を固定し、第三の真空
チャンバ側のフランジにこの弁に整合する弁座を形成す
る。これにより移送手段を第二の開閉弁とすることがで
き、支持台を弁そのものの移動によって搬送することが
できる。
【0031】すなわち、第二のアームが上昇端あるいは
移動端に達したときに弁座の内周に弁の外周が整合して
第二の真空チャンバと第三の真空チャンバとを閉状態に
し、第二のアームが降下あるいは戻り弁が弁座から抜け
出したときに第二の真空チャンバと第三の真空チャンバ
とを連通状態にする。これにともなって、弁の上面に載
置された支持台がその上下動あるいは水平動によって第
三の真空チャンバと第二の真空チャンバとの間を移動す
ることができる。
【0032】第三の真空チャンバ側のフランジに形成し
た弁座の内周にOリングを埋設すれば弁が弁座に整合し
たときにこのOリングの作用により気密性を高めること
ができる。
【0033】第三の真空チャンバから第一の真空チャン
バ内の試料台に試料を移送するときは、まず、第二のア
ームを上昇端または移動端に移動させ、弁上の支持台に
より支持された試料搬送台に試料を載置し、第二のアー
ムを第二の真空チャンバの運搬路内の所定の位置まで移
動させる。次いで、スクレーパ操作機構を操作して第一
のアームを第一の真空チャンバ側に移動させ、試料搬送
具を試料搬送台の下側に対応させる。
【0034】この状態で第二のアームを降下させると試
料搬送台は試料搬送具上に載置される。ここで、第一の
アームをいったん第二の真空チャンバ内に引き戻し、第
二のアームを上昇させて第二の開閉弁を閉じた後に、第
一のアームを第一の真空チャンバ内に移動させ、試料搬
送台を試料台の外周に当接させる。この当接により試料
搬送台の上面と試料台の上面とは同一面で接続される。
【0035】試料台および試料搬送台の表面には多数の
平行溝を形成する。この平行溝は試料台に試料搬送台を
当接させたときに、その溝筋が一致するように配置す
る。この平行溝に移動アームの先端に固定されたスクレ
ーパの爪を試料搬送台の平行溝に落とし込み前方に押し
出す。これによりスクレーパの爪がこの平行溝に沿って
移動し、試料は試料搬送台から試料台上に移動し載置さ
れる。
【0036】試料の試料台からの取出しは、搬送時と同
様に試料搬送台を試料台に当接させ平行溝を一致させた
状態で、スクレーパの爪を試料搬送台の先端側で平行溝
にかみ合わせ移動アームを引き戻す。これにより、試料
台上の試料を試料搬送台上に移動させることができる。
移動アームおよびスクレーパはスクレーパ操作機構によ
り操作される。
【0037】試料台上に載置された試料は加熱手段によ
り加熱され、試料から脱離した分子は第一の真空チャン
バ内に気体分子として放出される。この加熱手段の光源
は第一の真空チャンバの外部に設け、光源と試料との間
は第一の真空チャンバの壁面を気密構造下に貫通する透
明体により接続される。光源からの光エネルギは回転楕
円面鏡で反射し、光源側を一方の焦点として透明体内の
他方の焦点に集光し試料台上の試料を加熱する。これに
より、光源が発生する光エネルギを効率よく伝達するこ
とができる。
【0038】質量分析計は、その分子取込口を加熱手段
の出力光路から外した状態で試料に最も接近した位置に
配置し、かつ、分子取込通路の中心軸と出力光路の光軸
とのなす角度を90度以下になるように配置する。これ
により、光源からの光線による背景雑音の影響を少なく
することができるとともに、上部のぞき窓から試料を観
察することができる。
【0039】第一の真空チャンバ、第二の真空チャンバ
および第三の真空チャンバにはそれぞれに真空ポンプを
結合し、これら各真空チャンバと真空ポンプとの間には
それぞれ操作弁を配置する。プログラム制御回路は前記
三つの真空チャンバ、各操作弁、第一の開閉弁および第
二の開閉弁の動作状態をそれぞれに配置したセンサから
制御情報として取込み、各真空チャンバ内の真空度の維
持制御を行う。
【0040】このような構成にすることにより、脱離ガ
ス分析の観測精度をより向上させるとともに、観測時間
および排気時間を大幅に短縮することができる。また、
試料交換を確実に行うことができ、試料加熱用の光線の
影響を受けない正確な分析を行うことができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
【0042】
【実施例】次に、本発明実施例装置を図面に基づいて説
明する。図1は本発明実施例装置の要部の構成を示す部
分断面図、図2は本発明実施例装置の要部の構成および
真空排気系の構成を示すブロック図、図3は本発明実施
例装置の全体構成を示す斜視図である。
【0043】本発明実施例装置は、試料台4と、この試
料台4に載置された試料5を加熱する加熱手段6と、こ
の試料5から脱離するガスを捕捉する質量分析計7とが
配置された第一の真空チャンバ1と、この第一の真空チ
ャンバ1に第一の開閉弁11を介して連通する第二の真
空チャンバ2と、この第二の真空チャンバ2に第二の開
閉弁12を介して連通する第三の真空チャンバ3とが備
えられ、第二の真空チャンバ2は試料台4への試料5の
運搬路として水平方向に形成された管状構造であり、第
三の真空チャンバ3はその運搬路と直交し垂直方向に移
送される試料5が一時収容される小室構造であり、この
第三の真空チャンバ3には試料5を出し入れする開閉蓋
8が設けられる。
【0044】さらに、先端に試料搬送具9が取付けられ
操作にしたがって第二の真空チャンバ2の内部を水平方
向に移動する第一のアーム21と、この第一のアーム2
1に直交し操作にしたがってその先端が第三の真空チャ
ンバ3に達するように垂直方向に移動し第一のアーム2
1との間で試料搬送具9により試料搬送台26を受け渡
す構造に形成された第二のアーム22とが備えられる。
第一のアーム21はスクレーパ操作機構23に連結し、
第二のアーム22の垂直方向の移動は電動機19の駆動
により行われる。第二の真空チャンバ2と第三の真空チ
ャンバ3との間には上部フランジ10aおよび下部フラ
ンジ10bが設けられ、第二の開閉弁12は上部フラン
ジ10aの内側に作られた弁座41に整合する外径の弁
13を含み、この弁13は第二のアーム22に取付けら
れる。上部フランジ10aの内壁にはOリング14aが
埋め込まれて弁座41を形成している。スクレーパ操作
機構の操作はスクレーパ操作機構23を操作することに
よって行われる。
【0045】また、真空排気系として、図2に示すよう
に、第一の真空チャンバ1、第二の真空チャンバ2およ
び第三の真空チャンバ3それぞれに結合された真空ポン
プ15と、この真空ポンプ15と第一の真空チャンバ
1、第二の真空チャンバ2および第三の真空チャンバ3
との間にそれぞれ設けられた操作弁Vと、真空度を表示
する真空計Iと、圧力を表示する圧力計Pと、第一の開
閉弁11および第二の開閉弁12の動作を検知する検知
センサ16とが備えられる。なお、図2中には省略され
ているが各操作弁Vおよび真空ポンプ15にも動作を検
知するセンサが備えられる。これらセンサの検知出力は
プログラム制御装置18に送出される。
【0046】第一の真空チャンバ1、第二の真空チャン
バ2および第三の真空チャンバ3の排気はこれらの制御
情報に基づきプログラム制御装置18により自動的にシ
ーケンシャルに制御される。
【0047】加熱手段6はコンピュータ装置51の制御
にしたがって試料5の加熱を行い、質量分析計7はこの
加熱によって試料5から脱離したガスを分析しそのデー
タをコンピュータ装置51に送出する。コンピュータ装
置51はそのデータ処理を行い分析結果を表示装置17
に表示する。
【0048】第二のアーム22の先端部に取付けられた
弁13上には支持台25が載置され、この支持台25は
試料5を載置して搬送する試料搬送台26を支持する。
【0049】図4(a)は本発明実施例装置の試料搬送
台の形状を示す平面図、(b)はその右側面図、(c)
はそのA矢視方向断面図である。
【0050】試料搬送台26は、円筒状に形成された試
料台4の外周の一部に対応してその一方の端面が当接す
るように円弧状に形成され、その上面に移動方向と同一
の方向に多数(本例では6条)の平行溝26aが形成さ
れ、さらにその下面にはこの平行溝26aと直交し支持
台25に係合する係合溝26bおよび試料搬送具9の上
面部が係合する係合凹部26cが形成される。試料5は
図4(c)に2点鎖線で示すように平行溝26a上の側
壁の内側に載置される。この試料台4は、試料5の大き
さおよび形状によっていくつかの種類が準備され、分析
を行う試料に適合した試料台が選択され使用される。
【0051】図5は本発明実施例装置の支持台の形状を
示す斜視図である。
【0052】支持台25は、円板状の台座25aと、こ
の台座25a上に設置された一対の支持柱25bとによ
り構成され、支持柱25bには試料搬送台26の係合溝
26bに係合する切欠き部25cがそれぞれ内向きに形
成される。
【0053】図6(a)は本発明実施例装置の試料台の
形状を示す平面図、(b)はそのB矢視方向断面図、
(c)はそのC矢視方向断面図である。
【0054】試料台4は、その表面に多数の平行溝4a
が形成され、その中心を通りこの平行溝4aに平行に熱
電対20が布設される。この試料台4は加熱手段に備え
られた透明体24に支持される。
【0055】図7(a)は本発明実施例装置の第一のア
ームの構成を示す平面図、(b)はその側面図、(c)
はそのD矢視方向拡大図である。
【0056】第一のアーム21は、固定アーム27と、
この固定アーム27の一方の端部に固定された試料搬送
具9と、この試料搬送具9を支持し第一の真空チャンバ
1内に設けられたストッパ29上を転動する一対の第一
のローラ31と、その一方の端部が図1および図3に示
すスクレーパ操作機構23に連結し固定アーム27の一
方の端部を回動自在に貫通する操作軸30と、この操作
軸30に連結され固定アーム27上を転動する一対の第
二のローラ32に支持された移動ブロック33と、この
移動ブロック33に回転軸受34によりその一方の端部
が回動自在に支持された移動アーム35と、試料台4お
よび試料搬送台26の平行溝4aおよび26aに係合し
摺動する爪36aが形成されたスクレーパ36と、操作
軸30の一方の端部近傍に固定されスクレーパ操作機構
23により回動されたときに移動アーム35を上部に移
動させるカム37と、移動ブロック33の引き戻し時に
付勢力を与える一対のスプリング38とにより構成され
る。
【0057】図8は本発明実施例装置の第二の開閉弁お
よび第三の真空チャンバの構造を示す部分拡大断面図で
ある。
【0058】第二の開閉弁12は、第二のアーム22の
上端部に固定された連結板39と、この連結板39に連
結ロッド40を介して連結された弁13と、上部フラン
ジ10aに形成されこの弁13を上昇端で内包する弁座
41と、この弁座41の内周に埋設され弁13の内包時
にその外周に密着するOリング14aとにより構成され
る。
【0059】上部フランジ10aは第二の真空チャンバ
2に直交する運搬路42の上部に設けられた下部フラン
ジ10bに締結される。
【0060】第三の真空チャンバ3は、上部フランジ1
0aに取付けられた中空円筒状のチャンバ本体43と、
このチャンバ本体43に固定された開閉蓋取付けフラン
ジ44と、この開閉蓋取付けフランジ44に固定される
開閉蓋8とにより構成される。
【0061】開閉蓋8には第三の真空チャンバ3内を透
視するガラス製の透視板45が設けられ、チャンバ本体
43と開閉蓋取付けフランジ44との嵌合部および開閉
蓋取付けフランジ44と開閉蓋8との間にはOリング1
4bおよび14cが配置される。
【0062】図9は本発明実施例装置の加熱手段の要部
の構成を示す断面図である。
【0063】加熱手段6は、第一の真空チャンバ1の外
に設けられた光源46と、この第一の真空チャンバ1の
壁面を気密構造下に貫通する透明体24と、光源46が
一方の焦点F1 となり透明体内の焦点F2 が他方の焦点
となり、この透明体24を介して第一の真空チャンバ1
の中に配置される試料5に光が伝達するように配置され
た回転楕円面鏡47と、この回転楕円面鏡47に対向し
鏡面が内側になるように配置された平面鏡48とが含ま
れる。
【0064】図10は本発明実施例装置の質量分析計の
取付け位置を示す図である。
【0065】質量分析計7は、その分子取込口7aが加
熱手段6の出力光路の外になり、かつその分子取込通路
7bの中心軸と出力光路の光軸とのなす角度θが90度
以下になるように配置される。
【0066】ここで、このように構成された本発明実施
例装置による第一の真空チャンバ1への試料5の搬送お
よび取出し操作について説明する。
【0067】まず、試料5を第一の真空チャンバ1に搬
送する場合の操作について説明する。プログラム制御装
置の制御にしたがってすべての真空ポンプ15は駆動さ
れた状態にあり、第一の開閉弁11および第二の開閉弁
12は閉じられた状態にあって、第一の真空チャンバ1
および第二の真空チャンバ2内はあらかじめ所定の真空
度が維持されている。このとき弁13は第二のアーム2
2により上昇し弁座41内に整合した状態にあり、第三
の真空チャンバ3内には弁13上に載置された支持台2
5およびこの支持台により支持された試料搬送台26が
収容されている。
【0068】第三の真空チャンバ3の開閉蓋8を外し試
料搬送台26上に試料5を載置し、開閉蓋8を開閉蓋取
付けフランジ44に取付け固定する。開閉蓋8と開閉蓋
取付けフランジ44とはOリング14cにより完全密閉
状態となる。試料搬送台26上に載置された試料5は透
視板45から載置状態を確認することができる。
【0069】開閉蓋8が開閉蓋取付けフランジ44に固
定されると、第三の真空チャンバ3内の空気が排出さ
れ、その真空度が所定値に達したときに、搬送操作パネ
ル50を操作して電動機19を駆動し第二のアーム22
を降下させる。この第二のアーム22の降下にともなっ
て弁13が弁座41から離脱し、第三の真空チャンバ3
と第二の真空チャンバ2とが連通して同じ真空度とな
る。この間も真空ポンプ15による排気は継続する。
【0070】第二のアーム22が降下し、弁13上で支
持台25により支持された試料搬送台26が所定の位置
に達したときに、第二のアーム22の降下を停止し、ス
クレーパ操作機構23を操作して第一のアーム21の固
定アーム27を図11(a)に示すように支持台側に移
動させる。この固定アームの移動により試料搬送具9が
支持台25の一対の支持柱25bの間に進入する。
【0071】試料搬送具9の先端部上面の中心部が試料
搬送台26の係合凹部26cの中心部に達したときに第
一のアーム21の移動を停止し、第二のアーム22をわ
ずかに降下させる。この第二のアーム22の降下により
弁13上の支持台25も降下し、図11(b)に示すよ
うに、試料搬送台26の係合凹部26cが試料搬送具9
の先端側上面部に係合した状態で支持される。
【0072】この状態で第一のアーム21を操作して試
料搬送台26の先端部が運搬路42を外れる位置まで固
定アーム27を後退させ、第二のアーム22を操作して
弁13を上昇させる。弁13が上昇し図8に示す上部フ
ランジ10aの弁座41内に整合したときにその移動を
停止する。これにより第二の真空チャンバ2と第三の真
空チャンバ3とは閉塞される。
【0073】第二の真空チャンバ2の真空度が所定値に
達したときに、第二の真空チャンバ2と第一の真空チャ
ンバ1との間に設けられた第一の開閉弁11を開放し、
第一のアーム21を操作して図11(c)に示すように
固定アーム27を連結ロッド40の間を通過させ、試料
搬送具9上に載置された試料搬送台26とともに試料を
第一の真空チャンバ1内に移送する。
【0074】第一のアーム21の固定アーム27が第一
の真空チャンバ1内に移動すると、図12(a)に示す
ように試料搬送具9の下部に取付けられた第一のローラ
31がストッパ29の斜面に接触し、この斜面を乗り上
げて図12(b)に示すように停止壁29aに当接す
る。このとき、試料搬送台26の先端部に形成された円
弧状の縁が試料台4の外周の一部に図4および図6に示
す平行溝4aおよび26aの溝筋を一致させた状態で当
接する。
【0075】ここで、第一のアーム21の移動アーム3
5を操作し、図12(b)に示すようにスクレーパ36
に形成された爪36aを試料搬送台26の平行溝26a
の後端に当てがい試料台4側に移動させる。スクレーパ
36の爪36aはまず試料搬送台の平行溝26aに沿っ
て移動し、図12(c)に示すように試料5を押し出
す。
【0076】さらに移動アーム35を移動させると、ス
クレーパ36の爪36aは溝筋が一致した試料台4の平
行溝4aに沿って試料5を押し出す。これにより試料5
は図12(d)に示すように試料台4上に載置される。
【0077】このようにして試料5の移送が終了する
と、第一のアーム21を操作し、固定アーム27および
移動アーム35を図8に示すように第二の真空チャンバ
2内に引き戻す。ここで、第一の開閉弁11を閉塞し、
第一の真空チャンバ1内の真空度が試料分析に必要な値
になったときに試料5を加熱手段6により加熱し、試料
5から脱離したガスを質量分析計7により分析する。
【0078】加熱手段6は、図9に示すように、光源4
6が一方の焦点F1 になるように構成されているので、
ここから放射された光線には、回転楕円面鏡47に反射
して透明体24内の他方の焦点F2 に集光するものと、
平面鏡48および回転楕円面鏡47に反射して焦点F1
に戻るものと、透明体24内に直接放射されるものとが
あり、これらの光線のほとんどが透明体24内に集光す
る。この焦点F2 に集光する光線は透明体24内を通過
して試料台4上の試料5に伝達される。
【0079】質量分析計7は、図10に示すように、そ
の軸線と試料5の中心を通る鉛直線との角度θが90度
以下になるように配置され、かつ分子取込口7aが出力
光路からわずかに離れた位置に配置されているので、光
線による背景雑音の影響が少なく、かつ放射ガスにでき
るだけ接近した状態で、最も有効な角度から分子を取込
むことができる。
【0080】このようにして試料の分析が終了すると、
第一の開閉弁11を開放し、第一のアーム21を操作し
て試料搬送具9を試料5の移送時と同様に第一の真空チ
ャンバ1内に移動させ、図13(a)に示すように、試
料搬送台26の前端円弧部を試料台4の外周の一部に当
接させる。このとき、試料搬送台26の平行溝26aと
試料台4の平行溝4aとの溝筋は一致する。
【0081】ここで、図13(b)に示すように、移動
アーム35を操作してスクレーパ36の爪36aを試料
台4の平行溝4aの外側近傍に当てがい移動アーム35
を引き戻すと、スクレーパ36が試料5の側面に当接し
て試料台4の表面を摺動させ、図13(c)に示すよう
に試料搬送台26に試料5を移行させる。さらに移動ア
ーム35を移動させると図13(d)に示すように試料
5は試料搬送台26上に載置される。試料5が試料搬送
台26の所定の位置に達したときに、操作により移動ア
ーム35を上昇させてスクレーパ36を試料から分離
し、第一のアーム21を操作して固定アーム27および
移動アーム35を第二の真空チャンバ2内に収容する。
これにともなって試料搬送台26は試料5を載置した状
態で第二の真空チャンバ2内に収容される。この状態で
第一の開閉弁11を閉塞する。この操作が行われている
ときも真空ポンプ15は継続して駆動し第一の真空チャ
ンバ1、第二の真空チャンバ2および第三の真空チャン
バ3の排気は行われている。
【0082】次いで、電動機19を駆動して第二のアー
ム22を降下させる。この第二のアーム22の降下にと
もなって、弁13が上部フランジ10aの弁座41から
離脱し第三の真空チャンバ3と第二の真空チャンバ2と
は連通する。第二のアーム22の降下を継続し図14
(a)に示すように弁13上の支持台25の上端部が第
二の真空チャンバ2の底部にほぼ対応する位置に達した
ときに降下動作を停止する。
【0083】この状態で第一のアーム21を操作し、図
14(b)に示すように、固定アーム27を試料搬送具
9上に載置された試料搬送台26が第二の真空チャンバ
2内の運搬路の中央に位置するように移動させる。次い
で、第二のアーム22を操作し弁13を第3の真空チャ
ンバ3の方向に上昇させる。弁13が上昇すると支持台
25の切欠き部25cに試料搬送台26の係合溝26b
に係合し、図14(c)に示すように、試料搬送台26
は支持台25に支持された状態で試料搬送具9の先端部
上面から分離する。ここで、第二のアーム22の上昇動
作を停止し、第一のアーム21を操作して試料搬送具9
を図14(d)に示すように第二の真空チャンバ2内の
運搬路42を外れた位置に収容する。
【0084】次いで、電動機19を駆動して第二のアー
ム22を第3の真空チャンバ3方向に上昇させる。この
第二のアーム22の上昇により弁13が上部フランジ1
0aの弁座41に整合し、第二の開閉弁12が閉塞状態
になるとともに、支持台25に支持された試料搬送台2
6上の試料5が第三の真空チャンバ3内に移送される。
これにより開閉蓋8を開き脱離ガス分析済の試料5を取
出すことができる。
【0085】このように、試料5の第一の真空チャンバ
1への移送、および第一の真空チャンバ1からの取出し
の際に、真空状態が破壊されるのは第三の真空チャンバ
3だけにとどまり、かつこの第三の真空チャンバ3は小
室構造に形成されているので、きわめて短い時間で所望
する真空度を得ることができる。
【0086】また、この第三の真空チャンバ3の排気中
に第二の真空チャンバ2の排気を並列に行い、第二の真
空チャンバ2の真空度が維持された状態で第二の開閉弁
12が開放されるので、第二の真空チャンバ2および第
三の真空チャンバ3の真空の破壊を極力小さく抑えるこ
とができる。したがって、第一の開閉弁11を開いたと
きの第一の真空チャンバ1内の真空破壊の影響は小さ
く、第一の真空チャンバ1内の試料台4に試料5を載置
した後に短時間で所望の真空度を得ることができる。
【0087】ここで、このように構成された本発明装置
と従来装置とを比較した結果をいくつかの項目について
説明する。
【0088】図15は第二の真空チャンバ内の排気時の
圧力変化の一例を示す図である。これによれば、従来装
置の場合に所望の圧力(真空度)に達するまでに約20
分を要しているのに対し、本発明装置の場合はその所要
時間が約4分であり、しかも従来装置の圧力の約70分
の1まで排気されている。
【0089】図16は第一の真空チャンバ内の排気時の
圧力変化の一例を示す図である。この第一の真空チャン
バ内の圧力は、第一の開閉弁を開いたときに、従来装置
は第一の開閉弁を閉じているから25分以上経過しても
第一の開閉弁を開く前の圧力に回復しないが、本発明装
置の場合は第一の開閉弁を閉じてから約13分後に測定
開始時の圧力に回復している。さらに、従来装置の場合
は同図には図示されていないが3時間以上経過しても測
定開始時の圧力に回復しないことが確認されている。
【0090】図17は第一の真空チャンバ内に加熱にと
もなって発生し測定の雑音となる背景ガスの圧力値の一
例を示す図である。昇温開始時に第一の真空チャンバ内
にすでに存在している初期ガスにより示される圧力は、
従来装置に比して本発明装置の場合はその約4.5分の
1に減少している。昇温後も同様に本発明装置では背景
ガスの圧力は小さいことがわかる。
【0091】図18(a)は、本発明実施例装置の第一
の真空チャンバ内で昇温により真空チャンバから発生す
る水素ガス量の変化の一例を示す図、(b)は従来装置
における真空チャンバから発生する水素ガス量の変化の
一例を示す図である。これは、一度昇温脱離ガスの分析
を行った後に試料を搬入しない状態で、所定の圧力にな
るまで排気を行い、昇温を行ったときに第一の真空チャ
ンバの壁面から発生する水素ガス量を測定したものであ
る。これによると従来装置の場合は500℃を越える温
度範囲で水素ガスの放出が発生する。これに対し本発明
装置の場合はどの温度においても発生する水素ガス量は
ほぼ一定である。これにより、試料の搬出の際に不必要
なガスの侵入がなされていないことがわかる。
【0092】なお、上記実施例では、第二の真空チャン
バ2が水平であり、第三の真空チャンバ3とその運搬路
が垂直方向の例で説明したが、第三の真空チャンバとそ
の運搬路が水平方向であって第二の真空チャンバ2の運
搬路と直交する場合も同様に実施できる。この場合の試
料の第三真空チャンバ3から第二真空チャンバ2の試料
搬送台への移送は上記実施例とは若干違うが本発明の効
果にはなんら違いはない。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、昇
温脱離ガス分析装置の観測精度を向上させるとともに、
観測時間および真空を形成するための排気時間を短縮す
ることができる。さらに、試料の交換が確実に行われ質
量分析計が試料加熱用の熱線の影響を受けない状態で測
定されるので、信頼性の高い測定データを得ることがで
きる。また、真空ポンプおよび開閉弁により行われる排
気操作はプログラム制御により自動的に行われるので誤
った操作を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例装置の要部の構成を示す部分断面
図。
【図2】本発明実施例装置の要部の構成および真空排気
系の構成を示すブロック図。
【図3】本発明実施例装置の全体構成を示す斜視図。
【図4】(a)は本発明実施例装置の試料搬送台の形状
を示す平面図、(b)はその右側面図、(c)はそのA
矢視方向断面図。
【図5】本発明実施例装置の支持台の形状を示す斜視
図。
【図6】(a)は本発明実施例装置の試料台の形状を示
す平面図、(b)はそのB矢視方向断面図、(c)はそ
のC矢視方向断面図。
【図7】(a)は本発明実施例装置の第一のアームの構
成を示す平面図、(b)はその側面図、(c)はそのD
矢視方向拡大図。
【図8】本発明実施例装置の第二の開閉弁および第三の
真空チャンバの構造を示す部分拡大断面図。
【図9】本発明実施例装置の加熱手段の要部の構成を示
す断面図。
【図10】本発明実施例装置の質量分析計の取付け位置
を示す図。
【図11】(a)〜(c)は本発明実施例装置の第一の
アームによる試料搬送台の第一の真空チャンバへの移送
動作を説明する図。
【図12】(a)〜(d)は、本発明装置の第一のアー
ムによる試料台への試料の載置動作を説明する図。
【図13】(a)〜(d)は、本発明実施例装置の第一
のアームによる試料台からの試料の取出し動作を説明す
る図。
【図14】(a)〜(d)は本発明実施例装置の第一の
アームおよび第二のアームによる第三の真空チャンバへ
の試料の移送動作を説明する図。
【図15】本発明実施例装置および従来例装置による第
二の真空チャンバ内の排気時の圧力変化の一例を示す
図。
【図16】本発明実施例装置および従来例装置による第
一の真空チャンバ内の排気時の圧力変化の一例を示す
図。
【図17】本発明実施例装置および従来例装置の第一の
真空チャンバ内に加熱にともなって発生する雑音となる
ガスの圧力値の一例を示す図。
【図18】(a)は本発明実施例装置の第一の真空チャ
ンバ内の昇温によりチャンバから発生する水素ガス量の
変化の一例を示す図、(b)は従来装置におけるチャン
バから発生する水素ガス量の変化の一例を示す図。
【符号の説明】
1 第一の真空チャンバ 2 第二の真空チャンバ 3 第三の真空チャンバ 4 試料台 4a、26a 平行溝 5 試料 6 加熱手段 7 質量分析計 7a 分子取込口 7b 分子取込通路 8 開閉蓋 9 試料搬送具 10a 上部フランジ 10b 下部フランジ 11 第一の開閉弁 12 第二の開閉弁 13 弁 14a、14b、14c Oリング 15 真空ポンプ 16 検知センサ 17 表示装置 18 プログラム制御装置 19 電動機 20 熱電対 21 第一のアーム 22 第二のアーム 23 スクレーパ操作機構 24 透明体 25 支持台 25a 台座 25b 支持柱 25c 切欠き部 26 試料搬送台 26b 係合溝 26c 係合凹部 27 固定アーム 29 ストッパ 29a 停止壁 30 操作軸 31 第一のローラ 32 第二のローラ 33 移動ブロック 34 回転軸受 35 移動アーム 36 スクレーパ 36a 爪 37 カム 38 スプリング 39 連結板 40 連結ロッド 41 弁座 42 運搬路 43 チャンバ本体 44 開閉蓋取付けフランジ 45 透視板 46 光源 47 回転楕円面鏡 48 平面鏡 50 搬送操作パネル 51 コンピュータ装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C23C 14/52 G01N 1/28 T Fターム(参考) 4K029 DA08 EA05 KA01 KA05 KA09 5C038 EE03 EF15 EF26 EF29 GH06 HH03 5F004 BB26 BC01 BC02 BC05 BC06 CA09 CB04 5F103 BB36 BB42 BB47 BB49 BB51 BB56 NN05 RR06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料台と、この試料台に載置された試料
    を加熱する加熱手段と、この試料から脱離するガスを捕
    捉する質量分析計とが配置された第一の真空チャンバを
    備えた昇温脱離ガス分析装置において、 前記第一の真空チャンバに第一の開閉弁を介して連通す
    る第二の真空チャンバと、この第二の真空チャンバに第
    二の開閉弁を介して連通する第三の真空チャンバとを備
    え、 前記第二の真空チャンバは前記試料台への試料の運搬路
    として形成された管状構造であり、 前記第三の真空チャンバは前記運搬路と直交し移送され
    る試料が一時収容される小室構造であり、 この第三の真空チャンバには試料を出し入れする開閉蓋
    が設けられたことを特徴とする昇温脱離ガス分析装置。
  2. 【請求項2】 操作にしたがって前記第二の真空チャン
    バの内部を移動する第一のアームと、 この第一のアームに直交し操作にしたがってその先端が
    前記第三の真空チャンバに達するように移動し前記第一
    のアームとの間で前記試料を受け渡す構造に形成された
    第二のアームとを備えた請求項1記載の昇温脱離ガス分
    析装置。
  3. 【請求項3】 前記試料を収容し前記第一のアームの先
    端に載置される試料搬送台を備えた請求項2記載の昇温
    脱離ガス分析装置。
  4. 【請求項4】 前記第二の真空チャンバと前記第三の真
    空チャンバとの間にはフランジが設けられ、前記第二の
    開閉弁はこのフランジの内径およびこれに整合する外径
    の弁を含み、この弁は前記第二のアームに取付けられた
    請求項3記載の昇温脱離ガス分析装置。
  5. 【請求項5】 前記フランジの内壁にOリングが埋め込
    まれた弁座を備えた請求項4記載の昇温脱離ガス分析装
    置。
  6. 【請求項6】 前記試料台にはその表面に多数の平行溝
    が形成され、前記第一のアームの先端にはこの平行溝に
    かみ合うスクレーパと、操作によりこのスクレーパを前
    記固定アームに対して移動させるスクレーパ操作機構が
    設けられた請求項2記載の昇温脱離ガス分析装置。
  7. 【請求項7】 前記試料搬送台にも前記スクレーパにか
    み合う平行溝が形成された請求項5記載の昇温脱離ガス
    分析装置。
  8. 【請求項8】 前記加熱手段は、前記第一の真空チャン
    バの外に設けられた光源と、この第一の真空チャンバの
    壁面を気密構造下で貫通する透明体と、前記光源が一方
    の焦点となりこの透明体を介して前記第一の真空チャン
    バの中に配置される試料が他方の焦点となるように配置
    された回転楕円面鏡とを含む請求項1記載の昇温脱離ガ
    ス分析装置。
  9. 【請求項9】 前記質量分析計は、その分子取込口が前
    記加熱手段の出力光路の外になり、かつその分子取込通
    路の中心軸と前記出力光路の光軸とのなす角度が90度
    以下になるように配置された請求項8記載の昇温脱離ガ
    ス分析装置。
JP11060420A 1999-03-08 1999-03-08 昇温脱離ガス分析装置 Pending JP2000260750A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11060420A JP2000260750A (ja) 1999-03-08 1999-03-08 昇温脱離ガス分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11060420A JP2000260750A (ja) 1999-03-08 1999-03-08 昇温脱離ガス分析装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000260750A true JP2000260750A (ja) 2000-09-22

Family

ID=13141708

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11060420A Pending JP2000260750A (ja) 1999-03-08 1999-03-08 昇温脱離ガス分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000260750A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009154130A1 (ja) * 2008-06-16 2009-12-23 株式会社アルバック プラズマディスプレイパネルの製造方法、成膜装置
JP2010054498A (ja) * 2008-07-31 2010-03-11 Denshi Kagaku Kk 試料分析方法、試料搬入部材、試料搬入方法および昇温脱離分析装置
CN105353024A (zh) * 2015-12-11 2016-02-24 安图实验仪器(郑州)有限公司 基质辅助激光解析离子源进出样装置
CN108375626A (zh) * 2018-04-18 2018-08-07 融智生物科技(青岛)有限公司 用于基质辅助激光解析电离飞行时间质谱的加载装置
CN109545647A (zh) * 2018-11-23 2019-03-29 暨南大学 具有质谱样品快速干燥功能的质谱仪及质谱分析方法
CN110108533A (zh) * 2019-05-24 2019-08-09 常州派斯杰医疗设备有限公司 组织脱水机
CN114113285A (zh) * 2021-12-08 2022-03-01 中国工程物理研究院材料研究所 一种金属材料放气率测定机构及其测定方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009154130A1 (ja) * 2008-06-16 2009-12-23 株式会社アルバック プラズマディスプレイパネルの製造方法、成膜装置
CN102067266B (zh) * 2008-06-16 2013-02-06 株式会社爱发科 等离子体显示器面板的制造方法、成膜装置
JP5235214B2 (ja) * 2008-06-16 2013-07-10 株式会社アルバック プラズマディスプレイパネルの製造方法、成膜装置
JP2010054498A (ja) * 2008-07-31 2010-03-11 Denshi Kagaku Kk 試料分析方法、試料搬入部材、試料搬入方法および昇温脱離分析装置
CN105353024A (zh) * 2015-12-11 2016-02-24 安图实验仪器(郑州)有限公司 基质辅助激光解析离子源进出样装置
CN108375626A (zh) * 2018-04-18 2018-08-07 融智生物科技(青岛)有限公司 用于基质辅助激光解析电离飞行时间质谱的加载装置
CN109545647A (zh) * 2018-11-23 2019-03-29 暨南大学 具有质谱样品快速干燥功能的质谱仪及质谱分析方法
CN110108533A (zh) * 2019-05-24 2019-08-09 常州派斯杰医疗设备有限公司 组织脱水机
CN110108533B (zh) * 2019-05-24 2023-10-24 常州派斯杰医疗设备有限公司 组织脱水机
CN114113285A (zh) * 2021-12-08 2022-03-01 中国工程物理研究院材料研究所 一种金属材料放气率测定机构及其测定方法
CN114113285B (zh) * 2021-12-08 2023-07-18 中国工程物理研究院材料研究所 一种金属材料放气率测定机构及其测定方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4341582A (en) Load-lock vacuum chamber
KR100620272B1 (ko) 기판 가열 장치 및 멀티-챔버 기판 처리 시스템
US8530242B2 (en) Wafer process chamber leak detector
US20040021071A1 (en) Apparatus and method for automated sample analysis by atmospheric pressure matrix assisted laser desorption ionization mass spectrometry
KR101131655B1 (ko) 기판 처리 장치, 기판 처리 방법 및 기억 매체
US9443707B2 (en) Method and apparatus for transporting samples in a mass spectrometer
KR20090105584A (ko) 반도체 웨이퍼 오염물질 측정장치의 vpd유닛과 그도어개폐장치
US10502651B2 (en) Creating a mini environment for gas analysis
KR101561746B1 (ko) 디스플레이 셀들을 검사하기 위한 장치
JP4961893B2 (ja) 基板搬送装置及び基板搬送方法
JP2000260750A (ja) 昇温脱離ガス分析装置
CN103855048A (zh) 使用残余气体分析仪的真空室测量
US8021513B2 (en) Substrate carrying apparatus and substrate carrying method
JPH0754287B2 (ja) 不純物検出分析方法
US20090053021A1 (en) Semiconductor manufacturing apparatus
JP2010526428A (ja) トランスポートポッドインターフェース
WO2004077024A1 (ja) 脱離ガスの検出装置および方法
JP2003222574A (ja) 試料処理装置
JP2619731B2 (ja) 脱離ガスの検出装置および方法
JP2007042929A (ja) ロードロック装置とその方法及び半導体製造装置
KR101471752B1 (ko) 디스플레이 셀들을 검사하기 위한 장치
JPH11287743A (ja) ウエハプロセスモニタ用の熱脱離分析室
KR20060116912A (ko) 웨이퍼 이송 장치
Kondoh et al. Measurements of trace gaseous ambient impurities on an atmospheric pressure rapid thermal processor
JP2002033280A (ja) 真空成膜装置、仕込・取出室及び仕込・取出室内部の排気方法