JP2000254613A - 廃棄物処分場における漏水管理修復システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な設備により的確に漏水を管理でき、漏
水しても地中内への浸透を防止しかつ破損箇所を確実に
修復することができる優れた経済性の廃棄物処分場にお
ける漏水管理修復システムを得る。 【解決手段】 廃棄物処分場Ａの底部基盤を複数の区画
に分割する。それぞれの区画に中空立体構造の仕切室１
を遮水シートで形成して、内部に充填材５を充填して設
置する。仕切室１の下層面上に漏水吸引手段１０と漏水
検知手段１１を内部に設ける集水ボックス８をそれぞれ
配設する。集水ボックス８に漏水管理管１３と空気抜き
管１４の一端がそれぞれ挿入される。漏水管理管１３と
空気抜き管１４の下流末端部に漏水を管理する漏水管理
ピット１５を設ける。漏水管理ピット１５で漏水管理管
１３により漏水が検出された場合には漏水が発生してい
る仕切室１内に上方から建込まれる補修材注入管１８に
より補修材を注入して漏水を修復する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物処分場にお
ける漏水管理修復システムに係るものであり、詳しくは
遮水シートからの漏水を管理し、漏水検出時には漏水箇
所を修復する廃棄物処分場における漏水管理修復システ
ムに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、産業廃棄物や一般廃棄物を投棄貯
留する管理型廃棄物処分場においては、廃棄物からの浸
出水の地下浸透を防止するために、一般的に処理場の底
部基盤にゴム製や合成樹脂製等の不透水性で比較的低強
度の遮水シートを一層に敷設した遮水構造が形成されて
いるが、施工時や供用時にシートを破損する可能性が高
く、万一破損すると廃棄物からの有害成分を含む浸出水
が破損箇所から地中に流出することで地下水汚梁や生活
環境への悪影響等が発生することが懸念されており、ま
た、従来より廃棄物処分場においては、遮水シートが破
損しているかどうか、シートが破損している場合に廃棄
物からの浸出水が漏水しているかどうかの管理が困難で
あるため、これら不具合を解決する技術の開発が望まれ
ていた。

【０００３】そこで、最近これら不具合を解決するた
め、処理場の底部基盤に通気層を中間部に設けた透水材
を複数の区画に分割して二層構造の遮水シートにより挾
み込んだものを敷設し、これら区画それぞれに漏水管理
管を配設し、この漏水管理管を介して浸出水を真空吸引
することにより浸出水の漏水及び遮水シートの破損の有
無が検知され、漏水が検知された場合には検知と連動し
て漏水管理管を介して漏水区画の遮水シートと透水材と
の間に補修材を圧送注入して修復するようにしたもの
や、または処理場の底部基盤を二層構造に遮水シートを
敷設して複数の区画に分割し、これら区画それぞれに漏
水管理管を配設し、この漏水管理管を介して浸出水が流
下して漏水検知手段で検知させることにより浸出水の漏
水及び遮水シートの破損の有無が検知され、漏水が検知
された場合には検知と連動して漏水管理管を介して複数
の区画およびその周辺区画の集水ボックスまで補修材を
圧送注入して修復するようにしたものが提案されてい
る。

【０００４】

【発明の解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の技術で述べたもののうち前者においては、遮水シ
ートからの漏水を真空吸引することによって管理される
が、この管理システムは長期供用される処理場では供用
期間中ぞれぞれの区画を漏水管理管を介して吸引装置が
吸引し続けるため維持管理には多大な経費が必要とな
り、また漏水管理管内に発生した結露を漏水と誤認して
検知してしまうなどの問題点がある。

【０００５】後者においては、遮水シートからの漏水を
漏水管理管を介して自然流下させることによって管理さ
れるが、この管理システムは漏水管理管内に発生した結
露が自然流下して漏水と誤認して検知してしまうこと
と、漏水を修復する場合に漏水を漏水管理管を介して自
然流下させるために下流末端部の低所に管理システムが
設置されるから、高所の漏水区画まで漏水管理管を介し
て補修材を注入するには高い圧力で注入するための施設
を設置する必要があるなどの問題点がある。

【０００６】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、簡単な設備により的確に漏水を管理できるとと
もに漏水しても地中内への浸透を防止しかつ確実に破損
箇所を修復することができて経済性にも優れた廃棄物処
分場における漏水管理修復システムを提供しようとする
ものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、このような
従来の技術における問題点を克服する方法について種々
研究した結果、廃棄物処分場に二層構造で敷設される遮
水シートの底部基盤面を複数の区画に分割し、該区画そ
れぞれに設ける漏水管理管により漏水を管理し、漏水検
出時には漏水区画を修復する漏水管理修復システムにお
いて、そのそれぞれの区画に独立した中空立体構造の仕
切室を遮水シートで形成してそれぞれ結合して設置して
あり、該仕切室の下層面上に内部に漏水吸引手段と漏水
検知手段を設ける集水ボックスをそれぞれ配設し、該集
水ボックスには漏水管理管と空気抜き管の一端がそれぞ
れ挿入されており、該漏水管理管と空気抜き管の下流末
端部に漏水を管理する漏水管理ピットが設けられ、該漏
水管理ピットで漏水管理管により漏水が検出された場合
には漏水が発生している仕切室内に上方から建込まれる
補修材注入管により補修材を注入して漏水を修復するこ
とにより目的を達成しうることを見いだし、本発明を成
すに至った。

【０００８】

【発明の実施の形態】図面によって本発明の廃棄物処分
場における漏水管理修復システムの一実施例を説明する
と、図１〜図７において、この実施例にかかる廃棄物処
分場Ａは、山間部や谷間等の窪地を利用して廃棄物７が
収容可能な形状で一方向に傾斜させて造成され、この処
分場Ａの下流側に貯留構造物Ｂが設置され、また処分場
Ａの傾斜方向に沿って底部基盤内の所定位置に所要数の
湧水集水管Ｃが埋設され、そして処分場Ａの底部基盤と
周囲法面を二層構造の遮水シートで被装して漏水管理も
可能にする遮水構造Ｇが形成され、さらに遮水構造Ｇ上
面の略中央部に傾斜方向に沿って浸出水集排水管Ｄが配
設され、その浸出水集排水管Ｄの上部の所要箇所にガス
抜き管Ｅが立設され、処分場Ａ下流側外部には浸出水集
排水管Ｄにより排水する浸出水の処理施設Ｆが設置され
る。

【０００９】そして遮水構造Ｇは、底部基盤を横方向に
複数の列に分割し、この列をさらにそれぞれ複数に分割
して一辺が５ｍ〜１０ｍ四方の形状の区画に細分化し、
これら区画それぞれの形状に整合させて厚さが１ｍ〜２
ｍの中空立体構造で箱状の仕切室１に遮水シートにより
形成されるのが目安であるが、修復時の作業効率と経済
性を考慮するとこれより可能な限り縮小してもよい。こ
れら仕切室１の内部には、下層に充填材５の砂層を４分
の３、上層に保護土４の粘土層を４分の１に積層して十
分に充填され、仕切室１それぞれは底部基盤の各区画上
に隣接する側壁と接着結合して敷設されており、また、
周囲法面には下層遮水シート３を法面に当接する仕切室
１の側壁に結合させて小段部まで敷設され、また、この
下層遮水シート３及び法面の上層部には粘土層の保護土
４が積層され、この保護土４の上層部には上層遮水シー
ト２が法面に当接する仕切室１の上縁部に結合させて法
面天端まで敷設されており、さらに処分場Ａ内面全体に
敷設される上層遮水シート２の上層部には粘土層の保護
土４が積層されることで遮水構造Ｇが形成される。

【００１０】底部基盤上に敷設されるそれぞれの仕切室
１は、これら仕切室１の下層遮水シート３面に傾斜を設
けて下流側略中央部が最低部となるようにそれぞれ形成
され、この最低部上面に現場打ちコンクリートやプレス
トレストコンクリート等で形成する縦横４０ｃｍ、長さ
８０ｃｍの集水ボックス８がそれぞれ長手方向を傾斜方
向にして固設され、この集水ボックス８には表面に樹脂
を塗布して砂が内部に侵入できない口径の集水孔９を表
面の所要位置に所要数穿孔されており、この集水ボック
ス８内部には仕切室１内部に浸透する漏水を内部に吸引
集水する吸水材１０が充填され、さらに漏水を検知する
漏水センサー１１が内面底部に設置されている。これら
集水ボックス８の下流側側壁の底部位置に漏水管理管１
３の一端が挿入してあり、また下流側側壁の上部位置に
は内部に漏水センサーケーブル１２を挿通する空気抜き
管１４の一端をそれぞれ挿入し、これらの他端は底部基
盤を横方向に分割する列ごとに貯留構造物Ｂに当接する
仕切室１区画内の貯留構造物Ｂに近接する位置の底部基
盤上に内部作業が可能な形状に現場打ちコンクリートや
プレストレストコンクリート等でマンホール状に形成さ
れてそれぞれ設置される漏水管理ピット１５にその列の
仕切室１それぞれの集水ボックス８から連結する仕切室
１を貫通して接続されてあり、これら漏水管理ピット１
５に接続された漏水管理管１３の開口部下方には収容容
器１６が漏水管理管１３それぞれに設けられており、ま
た空気抜き管１４は漏水管理ピット１５内で集合されて
廃棄物７で開口部が閉塞しない高さまで立設されてお
り、また空気抜き管１４内部に挿通される漏水センサー
ケーブル１２はピット内で漏水検知器に接続される。

【００１１】このことより漏水管理管１３からの流下と
漏水センサー１１による検知により流下水が確認される
と、この流下水を採取、分析して判定し、浸出水が検出
された場合には浸出水が流下した漏水管理管１３と漏水
センサー１１による検知結果から漏水する仕切室１が特
定され、この仕切室１は底部基盤の区画分割位置から決
定して処理場Ａの上方からボーリングマシンにより削孔
したボーリング孔１７に補修材注入管１８を漏水する仕
切室１の上層遮水シート２に直接建込んでから液状体で
あるスメクタイト系複合コロイド溶液やセメントモルタ
ル等の補修材を仕切室１内に充分行き渡らせて注入する
ことで漏水箇所が補修される。

【００１２】そして、この実施例によれば、漏水管理ピ
ット１５から空気抜き管１４に液体を注入して集水ボッ
クス８まで送水させることにより、集水ボックス８から
漏水管理ピット１５まで流下する液体の状況を確認する
ことにより漏水管理管１３の破損の有無を管理すること
ができる。

【００１３】

【発明の効果】以上述べたように本発明の廃棄物処分場
における漏水管理修復システムによれば、底部基盤面の
遮水層を複数の区画に分割した遮水シートによる中空立
体構造の仕切室を形成してそれぞれ結合して構成されて
おり、これら仕切室に下流末端部に設置する漏水管理ピ
ットに接続する漏水管理管をそれぞれ挿通してあり、こ
れら漏水管理管を漏水管理ピットに接続し、漏水管理管
を介して流下してくる流下水を採取分析して判定するた
め、簡単な構造でかつ漏水及び漏水位置を的確に管理で
き、また漏水が検出された場合には漏水の発生が特定さ
れた仕切室だけに注入管を上方から建込んで補修材を注
入するため漏水を確実に効率よく経済的に修復でき、さ
らに仕切室の上層シートが破損して浸出水が漏水しても
下層シートにより浸出水の地中内への直接浸透が確実に
阻止されるから地下水汚染の恐れがないなどの優れた効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】漏水管理修復システムにおける廃棄物処分場の
構成を示す斜視図である。

【図２】漏水管理修復システムにおける廃棄物処分場の
遮水構造を示す平面図である。

【図３】漏水管理修復システムにおける廃棄物処分場の
Ｘ−Ｘ断面図である。

【図４】漏水管理修復システムにおける遮水構造の要部
斜視図である。

【図５】漏水管理ピットの断面図である。

【図６】集水ボックスの要部横断面図である。

【図７】集水ボックスの要部縦断面図である。

【符号の説明】

Ａ 廃棄物処分場 Ｂ 貯留構造物 Ｃ 湧水集水管 Ｄ 浸出水集排水管 Ｅ ガス抜き管 Ｆ 浸出水処理施設 Ｇ 遮水構造 Ｈ 雨水排水溝 １ 仕切室 ２ 上層遮水シート ３ 下層遮水シート ４ 保護土 ５ 充填材 ６ 覆土 ７ 廃棄物 ８ 集水ボックス ９ 集水孔 １０ 吸水材 １１ 漏水センサー １２ 漏水センサーケーブル １３ 漏水管理管 １４ 空気抜き管 １５ 漏水管理ピット １６ 収容容器 １７ ボーリング孔 １８ 補修材注入管

フロントページの続き Ｆターム(参考） 2G067 AA01 AA19 BB07 CC02 4D004 AA46 BB05 CA50 CC13 CC20 DA01 DA09

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 廃棄物処分場Ａに二層構造で敷設される
   遮水シートの底部基盤面を複数の区画に分割し、該区画
   それぞれに設ける漏水管理管１３により漏水を管理し、
   漏水検出時には漏水区画を修復する漏水管理修復システ
   ムにおいて、そのそれぞれの区画に独立した中空立体構
   造の仕切室１を遮水シートで形成してそれぞれ結合して
   設置してあり、該仕切室１の下層面上に内部に漏水吸引
   手段１０と漏水検知手段１１を設ける集水ボックス８を
   それぞれ配設し、該集水ボックス８には漏水管理管１３
   と空気抜き管１４の一端がそれぞれ挿入されており、該
   漏水管理管１３と空気抜き管１４の下流末端部に漏水を
   管理する漏水管理ピット１５が設けられ、該漏水管理ピ
   ット１５で漏水管理管１３により漏水が検出された場合
   には漏水が発生している仕切室１内に上方から建込まれ
   る補修材注入管１８により補修材を注入して漏水を修復
   することを特徴とする廃棄物処分場における漏水管理修
   復システム。