JP2000254495A - 酸化チタン複合化バイオマス炭化物、その製造方法、及びそれによる化学物質の分解方法 - Google Patents

酸化チタン複合化バイオマス炭化物、その製造方法、及びそれによる化学物質の分解方法

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JP2000254495A
JP2000254495A JP11062435A JP6243599A JP2000254495A JP 2000254495 A JP2000254495 A JP 2000254495A JP 11062435 A JP11062435 A JP 11062435A JP 6243599 A JP6243599 A JP 6243599A JP 2000254495 A JP2000254495 A JP 2000254495A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸着、分解効率が高く、経済的に安価な光分
解触媒、その製造方法及びそれを使用した有害化学成分
の処理方法を提供すること。 【解決手段】 バイオマス材料の細胞壁内、細胞内腔及
び細胞表面のいずれか1以上に、酸化チタン原料を複合
化した酸化チタン原料複合化バイオマスを加熱により炭
化処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化チタン複合化
バイオマス炭化物、その製造方法、及びそれを使用した
化学成分の分解方法に関するものであり、詳しくは、バ
イオマス材料の細胞壁内、細胞内腔、細胞表面のいずれ
か1以上に、酸化チタンを複合化した酸化チタン複合化
バイオマスを加熱により炭化処理して得られる酸化チタ
ン複合化バイオマス炭化物、その製造方法、及び酸化チ
タン複合化バイオマス炭化物に化学成分を吸着させ、光
を照射して化学成分を分解する方法、特に有害化学成分
を分解して無害化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、環境浄化用や冷蔵庫の脱臭用の触
媒として二酸化チタンを活性炭等に担持した光分解触媒
が知られている。例えば、特開平8−332378号公
報には、Ti成分の存在下で炭素化および賦活された酸
化チタン担持木質炭化物を主成分とする光触媒活性炭が
記載されており、具体的にはノボラック樹脂のような活
性炭前駆体有機物とTi含有溶液とを均一に混合処理し
た後、次いで焼成により炭素化し、賦活化処理すること
により光触媒活性炭を製造している。また、これらを繊
維状にして製造することにより、弾性率や強度の要求さ
れる分野に使用できることが示されている。しかしなが
ら、ノボラック樹脂のような活性炭前駆体有機物では、
木材等が本来有する細胞壁及び細胞内腔が重要であるこ
とを認識しておらず、光分解効率が高く、しかも経済的
に有利な触媒は得られない。
【0003】特開平10−28861号公報には、木質
系材料を不活性ガス雰囲気中で焼成した木質焼成炭化物
と、酸化チタンとが複合されてなる環境浄化用複合材が
開示されている。また、この複合体を使用して窒素酸化
物等を吸着させ、光により無害化できることが記載され
ている。しかしながら、この技術も、木材等が本来有す
る細胞壁及び細胞内腔とその前処理が重要であることを
認識しておらず、光分解効率の高い触媒が得られること
を示していない。さらに酸化チタンゲル中に残存する有
機残基のために、分解効率の高い触媒能が得られていな
い。
【0004】一方社会問題として、新築の住宅では、合
板や壁紙等からホルムアルデヒドのような刺激性物質が
少しづつ放出されたり、大気中には窒素酸化物類、硫黄
酸化物類、ダイオキシン等の有害成分や、オゾンホール
の原因となるフロンガスが放出されたりたりして、これ
らの処理が検討されている。したがって、より高い効率
で化学成分を吸着し、同時に光分解反応により高効率で
分解、無害化できる新規な酸化チタン複合化炭化物を得
ることが重要であり、その技術開発が望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、吸
着、分解効率が高く、経済的に安価な光分解触媒、その
製造方法及びそれを使用した有害化学成分の処理方法を
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、木材の高
機能化研究の一環として、金属アルコキシドを用いたゾ
ル−ゲル法による木材の無機質複合化の研究を行い、木
材の持つ多孔質特性をできる限り維持した形で木材の諸
機能向上が可能であることを見出した。この中で、本発
明者等は、バイオマス材料の主として細胞内腔部、細胞
壁内部又は細胞壁表面に酸化チタンを複合させ、炭化処
理することにより、酸化チタンとバイオマス炭化物が細
胞レベルで複合化した新規な複合体の調製に成功した。
なお、酸化チタンとバイオマス炭化物が細胞レベルで複
合化した状態は、図7におけるI〜Vのタイプのような
状態である。この複合体は、有害化学成分が吸着される
サイトと酸化チタンによる光分解触媒作用を示すサイト
が接近して設けることが、高い吸着とそれに続く光分解
反応に有効であること、また、炭化の際に酸素の存在下
に加熱処理することがさらに有効であることを見いだ
し、鋭意検討を継続した結果、かかる問題点を解決しう
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明の第1は、バイオマス材料
の細胞壁内、細胞内腔及び細胞表面のいずれか1以上
に、酸化チタン原料を複合化した酸化チタン原料複合化
バイオマスを加熱により炭化処理することを特徴とする
酸化チタン複合化バイオマス炭化物の製造方法を提供す
る。本発明の第2は、バイオマス材料の細胞壁内及び細
胞内腔に、酸化チタン原料を複合化したことを特徴とす
る本発明の第1に記載の酸化チタン複合化バイオマス炭
化物の製造方法を提供する。本発明の第3は、バイオマ
ス材料の細胞内腔及び細胞表面に、酸化チタン原料を複
合化したことを特徴とする本発明の第1に記載の酸化チ
タン複合化バイオマス炭化物の製造方法を提供する。本
発明の第4は、バイオマス材料の細胞内腔に、酸化チタ
ン原料を複合化したことを特徴とする本発明の第1に記
載の酸化チタン複合化バイオマス炭化物の製造方法を提
供する。本発明の第5は、バイオマス材料の細胞壁内
に、酸化チタン原料を複合化したことを特徴とする本発
明の第1に記載の酸化チタン複合化バイオマス炭化物の
製造方法を提供する。本発明の第6は、酸化チタン原料
複合化バイオマスを酸素の非存在下に加熱した後、酸素
の存在下に加熱することを特徴とする本発明の第1に記
載の酸化チタン複合化バイオマス炭化物の製造方法を提
供する。本発明の第7は、本発明の第1〜6のいずれか
に記載の酸化チタン複合化バイオマス炭化物の製造方法
で得られた酸化チタン複合化バイオマス炭化物を提供す
る。本発明の第8は、酸化チタン含有率が0.1〜90
重量%である本発明の第7に記載の酸化チタン複合化バ
イオマス炭化物を提供する。本発明の第9は、本発明の
第7〜8のいずれかに記載の酸化チタン複合化バイオマ
ス炭化物に、処理すべき化学成分を吸着させ、光を照射
することを特徴とする化学成分の分解方法を提供する。
本発明の第10は、化学成分が、アルデヒド類、ケトン
類、メルカプタン類、アルコール類、カルボン酸類、ハ
ロゲン化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水
素類、窒素酸化物類、硫黄酸化物類、オゾン、又はこれ
らの混合物であることを特徴とする本発明の第9に記載
の化学成分の分解方法を提供する。
【0008】また、本発明は次の発明も開示する。水分
を28重量%以下に乾燥されたバイオマス材料に酸化チ
タン原料を複合化させ、得られた酸化チタン原料複合化
バイオマスを加熱により炭化処理することを特徴とする
本発明の第1に記載の酸化チタン複合化バイオマス炭化
物の製造方法。バイオマス材料が、有機溶媒及び/又は
水により抽出された上で、乾燥されたものであることを
特徴とする本発明の第1に記載の酸化チタン複合化バイ
オマス炭化物の製造方法。酸化チタン原料が、チタンア
ルコキシド、チタンキレート、酸化チタンゾル、又はこ
れらの混合物である本発明の第1に記載の酸化チタン複
合化バイオマス炭化物の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の酸化チタン複合化バイオ
マス炭化物は、バイオマス材料の細胞壁内、細胞内腔及
び細胞表面のいずれか1以上に、酸化チタンを複合化し
て得られた酸化チタン複合化バイオマスを加熱により炭
化処理することにより製造される。
【0010】以下、それらの原料、工程、条件等につい
て説明する。 酸化チタンゾル溶液の製造及びそのゲル化 一般に、金属酸化物触媒の調製方法の一つにゾル−ゲル
法がある。ゾル−ゲル法とは、金属の有機および無機化
合物にゾル化剤を加えてゾル溶液となし、ゾルを担体に
担持したりした後、ゲルとして固化させ、加熱等によっ
て金属酸化物の固体を作る方法である。一般に、金属ア
ルコキシドM(0R)n、(MはSi、Ti、Ba、Z
rなどの金属原子、Rはアルキル基(特に制限はない
が、通常炭素数1〜20である。)、nは金属の酸化数
を表す。)を用い、例えば、金属アルコキシド−アルコ
ール−水の混合溶液を出発物質とする。金属アルコキシ
ドを25〜80℃で加水分解して重縮合させると、金属
酸化物の微粒子コロイドが生成し、溶液はゾルとなり、
さらに反応が進むと湿潤ゲルとなる。このゲルは加熱に
よりガラス、セラミックス状になるが、木材の無機質複
合化では、木材試料片(試片と略称する。)中の水を開
始剤として、例えば、金属アルコキシド−アルコール−
酢酸の系に減圧下または常圧で所定時間、試片を浸漬し
て、メタロキサン(金属酸化物)ゲルを木材細胞中に生
成せしめて、無機質複合化木材を調製する。
【0011】これまでの発明者等の研究(例えば、AP
AST,No.30,pp10−14,1999,1)
で、無機物(金属酸化物)の木材細胞内分布は、用いる
金属アルコキシドの種類と木材の含水状態の違いによっ
て異なることが、走査型電子顕微鏡による観察で判っ
た。すなわち、調湿試片を用いる場合と飽水試片を用い
る場合とでは、同じ金属アルコキシドを用いても無機物
の細胞内分布が全く異なったものになる。図7には、無
機物の分布のタイプ(図で、白い部分は無機物のない部
分を、網掛けした部分は無機物の存在する部分を示
す。)を、また表1には、生成する無機物のゲル組成と
その分布のタイプをチタンアルコキシド(又はチタンキ
レート)/アルコールの反応系について示す。
【0012】
【表1】
【0013】 TPT:テトライソプロポキシチタニウム TBT:テトラ−n−ブトキシチタニウム TOT:テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタ
ニウム TAA:ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナー
ト)チタニウム TAT:ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナ
ート)チタニウム
【0014】調湿試片とは、繊維飽和点以下の含水率を
有するものであり、結合水のみが木材細胞壁内に存在し
ている。飽水試片とは、これに対し、結含水に加えて自
由水が細胞内腔にも存在している。このように、水分子
の分布の異なる試片を用いると、チタンアルコキシド
(又はチタンキレート)との組合せで異なった無機物の
分布を持つ複合化木材が得られる。絶乾試片(単に乾燥
試片と略す。)とは、結合水が実質的に存在しないもの
である。調湿試片も乾燥試片も乾燥により得られ、その
水分の程度は、乾燥温度、圧力、時間等の条件を調節し
て決められる。表1の調湿試片の水分は20〜28重量
%であり、飽水試片の水分は150重量%程度である。
【0015】まず、細胞壁内のみに選択的に無機物を生
成(タイプ[I])するには、チタンキレートの一種(ジ
イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウ
ム(TAA))またはジ−n−ブトキシビス(トリエタ
ノールアミナート)チタニウム(TAT)を調湿試片に
対して加えるとよい。一方飽水試片では、細胞内腔にも
水があるためにタイプ[IV]のように、細胞壁内、細胞内
腔及び試片の外側(細胞表面)等、全体に無機物が存在
する分布となる。これらの系では無機物の分布は、ほぼ
試片に含まれる水の分布に近い。しかし、チタンアルコ
キシドのうちテトライソプロポキシチタニウム(TP
T)では、調湿試片を用いてもタイプ[I]の分布とはな
らず、タイプ[II]およびタイプ[III]に見られるような
細胞内腔を充填または包囲するような無機物の分布とな
る。一方、飽水試片を用いた場合には、細胞内腔にも細
胞壁内にも無機物を生成させることができず、試片の外
側を無機物が覆うのみである。しかし、チタンアルコキ
シドのうちテトラ−n−ブトキシチタニウム(TBT)
やテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタニウム
(TOT)を使用した場合には、調湿試片において、細
胞壁内と同時に細胞内腔にも無機物を生成し得る。これ
らのチタン化合物の細胞内分布は、その加水分解速度と
それに続く重縮合反応によるゾル化速度に依存するもの
と思われる。特に、化学成分を吸着状態で光分解させる
に必要な酸化チタン複合化バイオマス炭化物を製造する
場合には、複合化において、チタン化合物がただ単に木
材に複合化されるよりも、チタン化合物が最大限の効果
を示すように、適切なサイト即ち、細胞内腔及び/又は
細胞壁及び/又は細胞表面に複合化させることが極めて
重要である。
【0016】チタン酸化物のゾル溶液を合成するため
に、使用するチタン化合物としては、チタンアルコキシ
ド又はチタンキレートが使用できる。チタンアルコキシ
ドとしては、ジ、トリ又はテトラアルコキシチタンであ
り、好ましくはテトラアルコキシチタンである。アルコ
キシ基としては炭素数1〜12のアルコキシ基が好まし
い。チタンアルコキシドとしては、具体的には上記TP
T、TBT、TOT等が挙げられる。チタンキレートと
しては、TAA、TAT等が挙げられる。なお、チタン
成分のほかに、必要により、V、Cr、Fe、Co、N
i、Mn、Zn、Zr、Mo、Cu、Ag、Au、P
t、Pd、Si、B等の一種又は2種以上を複合させる
ことも可能である。これら化合物としては、硝酸塩、塩
化物、酢酸塩等が好ましく、その水溶液、または、有機
溶媒を用いた溶液状態で使用し、焼成後は酸化物にな
る。
【0017】本発明で担体原料として使用するバイオマ
ス材料とは、少なくとも細胞壁及び細胞内腔を有する構
造のものであり、細胞表面を有していてもよく、細胞壁
及び細胞内腔からなる細胞が複数存在していてもよく、
好ましくは金属酸化物が複合できる細胞内腔を多数有す
るものがよい。各細胞は、外気と連通していることが好
ましい。バイオマス材料としては、具体的には、針葉
樹、広葉樹等の木粉、チップ、木枝、木材、木繊維、樹
皮、実、殻、穀物、草等が挙げられるが、それらを加工
して得られる紙類や、綿、麻などの繊維等、上記構造を
有する全てのバイオマス資源が含まれる。バイオマス材
料の形状としては、特に制限はないが、抽出/乾燥/含
浸工程を考慮すると、好ましくは木粉又は薄い木片であ
る。木片の大きさは特に制限はないが、好ましくは最大
長さ1〜100mm、特に好ましく10mm以下であ
る。木粉の大きさは、0.001〜10mm、好ましく
は0.01〜1mm、特に好ましくは0.05mm以下
である。なお、これらの原料は、最初から木粉等にしな
くても、酸化チタン複合化バイオマス形成後に、あるい
は焼成後に、粉砕して上記木粉等の大きさにしてもよ
い。
【0018】原料として使用するバイオマス材料は、そ
のまま使用しても、細胞内腔及び細胞内壁に金属酸化物
が複合される割合は極めて低く、適切な触媒は得られな
い。バイオマス材料としては、酸化チタンを細胞壁内に
生成させる場合には、調湿した試片とチタンキレートを
使用するのがよく、酸化チタンを細胞内腔及び/又は細
胞表面に生成させる場合には、調湿した試片とチタンア
ルコキシドを使用する。ただし、酸化チタンゾルを使用
する場合には、乾燥試片、調湿試片、飽水試片のいずれ
でもよい。調湿試片の水分は、通常、最大28重量%
(組織飽和点)であり、20〜28重量%のものが好ま
しい。試片としては、乾燥したもの、溶媒により抽出処
理したもの、溶媒抽出して乾燥したもの、調湿したも
の、飽水したもの等が挙げられる。乾燥したり、溶媒抽
出したものでは、細胞内腔及び細胞内壁に金属酸化物ゲ
ルを複合させやすくなる。バイオマス材料の抽出溶媒と
しては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;
メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコ
ール、メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピル
エーテル等のエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル等のエ
ステル;水、及びこれらの混合物である。好ましくはア
セトン又はアセトンと水の混合物である。抽出操作とし
ては、上記異なる溶媒により複数回抽出を行ってもよ
い。抽出温度、時間及び圧力は特に制限はなく、好まし
くは常圧で、常圧沸点で、1〜24時間、好ましくは3
〜12時間抽出される。抽出後のバイオマス材料は、そ
のまま金属酸化物ゾルを含浸させてもよいが、好ましく
は乾燥される。乾燥条件は、特に制限はないが、80〜
150℃、常圧でも減圧下でもよく、1〜48時間、好
ましくは3〜24時間乾燥されて、調湿ないし乾燥され
る。上記処理工程により、酸化チタンが細胞内腔、細胞
壁内、細胞表面に複合化され易いバイオマス材料が得ら
れる。
【0019】前記チタンアルコキシド、チタンキレー
ト、酸化チタンゾル、又はこれらの混合物(以上を酸化
チタン原料という。)は、上記のバイオマス材料に混合
され、含浸等により複合化される。該バイオマス材料と
酸化チタンゾルの混合比率には特に制限はないが、酸化
チタンゾルの溶液にバイオマス材料が十分に浸るのが好
ましい。含浸は50℃以下、好ましくは常温付近で、常
圧下、加圧下、又は減圧下のいずれでもよく、1〜48
時間、好ましくは3〜24時間、静置、振り混ぜ、又は
機械的もしくは超音波による撹拌により行われる。含浸
後に、不要な酸化チタン原料は遠心分離、ろ過、吸着等
により分離される。ゾル溶液を含浸させた場合には、含
浸後、例えば酢酸アンモニウム水溶液に加えられる等の
操作によりゾルをゲル化してもよい。ゲル分を含むバイ
オマスは好ましくは乾燥される。乾燥条件には、特に制
限はないが、好ましくは不活性ガス存在下に、80〜1
50℃、常圧でも減圧下でもよく、1〜48時間、好ま
しくは3〜24時間乾燥される。
【0020】このようにして得られたチタン複合化バイ
オマス材料は、不活性ガス気流下(酸素非存在下)に2
50〜1,500℃、好ましくは400〜600℃で、
特に好ましくは450〜550℃で、0.1〜10時
間、好ましくは0.5〜2時間加熱して、炭化、結晶化
処理を施した後、酸素ガス存在下、または空気気流下に
300〜1,000℃、好ましくは350〜600℃、
さらに好ましくは400〜500℃で、1分〜1時間、
好ましくは3〜20分加熱して、酸化チタン複合化バイ
オマス炭化物が得られ、吸着性及び分解性に優れた光触
媒として使用される。このような処理をすることによ
り、細胞内腔及び/又は細胞壁内に金属酸化物が複合さ
れ、化学成分の吸着サイトと活性金属触媒サイトとが同
一ないし極めて近傍に、多量に存在させることができる
ので、適当な波長の光を照射することにより、効率的に
化学成分を分解し、脱着させ、新たな化学成分を吸着
し、分解することができる。
【0021】複合化バイオマス炭化物に複合化された酸
化チタンは、アナターゼ型、ルチル型、プロッカイト
型、無定型、又はこれらの混合でもよい。好ましくはア
ナターゼ型が主体で、ルチル型が0〜50重量%、好ま
しくは0〜30重量%含むものが使用される。また、酸
化チタン複合化バイオマス炭化物中の酸化チタンの含有
量は、二酸化チタンとして0.1〜90重量%、好まし
くは1.0〜87重量%、さらに好ましくは10〜85
重量%の範囲である。本発明では、酸化チタンの含有量
を、二酸化チタンとして40重量%以上、あるいは50
重量%以上、さらには60重量%以上にすることができ
ることも特徴である。酸化チタンの含有量が0.1重量
%より小さすぎると光触媒作用の効果が不十分であり、
90重量%より大きすぎるとバイオマス炭化物による化
学成分の吸着効果の減少、機械的物性低下等が生じる。
酸化チタン複合化バイオマス炭化物の比表面積は、10
〜2,000m2/g、好ましくは100m2/g以上、
さらに好ましくは500m2/g以上である。比表面積
が10m2/g未満であると、処理すべき化学成分の吸
着が不足する。
【0022】本発明に係る酸化チタン複合化バイオマス
炭化物は、使用目的によって、粉体、粗破砕体、又は成
形体のいずれであってもよい。粉体の粒度は特に限定す
るものではないが、前記バイオマス材料の粉体の大きさ
等が挙げられ、光分解触媒活性が増加するように微粉砕
してもよい。また、成形体にあっては粒状、ハニカム
状、板状、波板状、リング状、繊維状などの形状をとる
ことができる。これらの酸化チタン複合化バイオマス炭
化物は、吸着及びそれに続く光分解触媒反応のために、
そのまま処理すべき環境に堆積して使用してもよいし、
該触媒を処理すべき家等の場所の内壁や外壁、器具、家
具、車輌、航空機、船舶などに塗布したりすることもで
きる。また、パイレックスないし石英製の下記照射光線
の透過率の良い容器に充填して、化学成分を該容器に導
き、吸着、処理させることもできる。また、該容器を冷
蔵庫内に収納して、臭気成分を吸着しながら、光を照射
して分解することもできる。また、該容器等を台所、流
し、調理器、ストーブ、トイレット、押入、車輌内等に
設けることもできる。吸着操作と、光照射操作は別々に
行っても、同時に行っても、連続して行っても、間欠的
に行ってもよい。
【0023】本発明の酸化チタン複合化バイオマス炭化
物が処理対象とする化学成分としては、特に限定されな
いが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、
プロピルアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェ
ノン、ベンゾフェノン等のケトン類;メタン、エタン、
プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、ブテン、シ
クロヘキサン、アセチレン、ブタジエン等の飽和又は不
飽和炭化水素;メチルハライド、メチレンジハライド、
トリハロメタン、テトラハロゲンメタン、エチレンジハ
ライド、トリハロエタン、ビニルハライド、ビニリデン
ジハライド、トリハロエチレン、各種フロンガス等のハ
ロゲン化アルキル(ハロゲンとしては、フッ素、塩素、
臭素、ヨウ素、及びこれらの混合物である。)、ダイオ
キシン類、PCB類等のハロゲン化合物;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、エチルベンゼン、キュメン、スチレ
ン、ベンツピレン等の不飽和炭化水素;インドール、ス
カトール等のインドール類;フェノール類;各種窒素酸
化物、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、ピリジン等の窒素化合物;硫化
水素、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、メ
チルメルカプタン、エチルメルカプタン、硫黄酸化物等
の各種硫黄化合物;メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、ブタノール等のアルコール類;ギ酸、酢酸、
酪酸、吉草酸、イソ吉草酸等の脂肪族カルボン酸;オゾ
ン;下水臭、腐敗臭、植物臭、動物臭、人体臭等の臭
気;光化学オキシダント等の刺激性物質;杉花粉、ダニ
粉等の有機性微粒子;その他の光分解可能なガス等が挙
げられる。本発明の酸化チタン複合化バイオマス炭化物
は、上記の成分に対して、吸着と共に光触媒作用に基づ
き効果的に光分解、光酸化又は光還元(本発明ではこれ
らを光分解と総称する。)処理を行うことができる。
【0024】本発明において、酸化チタン複合化バイオ
マス炭化物に吸着された化学成分を処理するために照射
する光としては、可視光線以下の波長の短い光が使用さ
れる。具体的には、可視光線、近紫外線、遠紫外線であ
り、600nm以下、好ましくは400nm以下の光で
ある。これらの光の光源としては、太陽光、蛍光灯、高
圧、中圧又は低圧の各水銀灯、ハロゲンランプ、カドミ
ウムランプ、ナトリウムランプ、及びこれらの組み合わ
せ等が挙げられる。これらの光線は、単色光でも、多色
光でも、レーザー光線のように位相が揃ったものでもよ
い。
【0025】本発明の酸化チタン複合化バイオマス炭化
物の化学物質の吸着、分解の温度、圧力、照射時間には
特に制限はなく、0℃以下でも、常温でも、数百度のよ
うな高温でも使用できるが、好ましくは吸着に適する温
度である。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 熱重量測定:熱重量測定装置TGA−50(島津製作所
製)により行った。 ホルムアルデヒド分析:ガスクロマトグラフィー質量分
析装置QP5000A(島津製作所製)により行った。
【0027】[ホルムアルデヒド分解試験]試料表面に吸
着した有機物を、予め紫外線照射により処理した光分解
試験用の試料を面積58.1cm2のシャーレ上に分散させ、
循環系ホルムアルデヒド分解装置(図8)内のパイレッ
クス製反応容器内に設置した。分解装置内を真空ポンプ
にて減圧し、CO2フリーの疑似エアー(窒素:酸素=8:
2)をバランスガスとする約210ppmの濃度のホルムアルデ
ヒドガスを3,100ml注入し、反応容器を紫外線から遮へ
いした状態で分解装置の循環ポンプを作動させた。経過
時間毎にガスタイトシリンジにて0.5mlづつサンプリン
グ口より採取し、分解装置内のホルムアルデヒド濃度及
びその分解生成物であるCO2の濃度をガスクロマトグラ
フィー質量分析装置により測定した。ホルムアルデヒド
の吸着が安定した時点より紫外線照射を開始し、各分解
試験用試料のホルムアルデヒド分解性能を評価した。な
お、反応容器内での紫外線強度は波長λ=365nmで0.49〜
0.50mW/cm2であり、ガス循環量は1.5リットル/minに設
定した。
【0028】[実施例1](木質細胞表面及び細胞内腔内
に酸化チタンゲルを複合) 予め、ベイスギ辺材の木粉(約0.08mmメッシュ)をアセ
トンで24時間及び熱水で24時間ソックスレー抽出した
後、60℃で24時間、さらに105℃で24時間、常圧で乾燥
してチタン複合化用の木粉(試料ともいう。)とした。
ジエチルアミン10mlを90mlの水に溶解させ、そこへテト
ライソプロピルチタネート(テトライソプロポキシチタ
ニウムともいう。)20gを投入し、溶液が透明になるま
で加熱、撹拌した。次に加熱をやめ、室温で6時間撹拌
を行うことにより酸化チタンゾル溶液を得た。抽出、乾
燥済みの木粉1.0gを上記酸化チタンゾル溶液中へ投入し
て、室温で一晩混合、撹拌した後に、この混合物を遠心
分離し、上澄みを除去することにより、酸化チタンゾル
を細胞内腔内及び細胞表面に含有する木粉を得た。次
に、この木粉を5%酢酸アンモニウム水溶液100ml中に投
入することで、酸化チタンゾルをゲル化し、上澄みの酢
酸アンモニウム水溶液を除去した後に、該木粉を105
℃、24時間乾燥することで、細胞表面及び細胞内腔内に
酸化チタンゲルを複合した粉末を得た。得られた粉末に
窒素気流下(50ml/min)、530℃で1時間の炭化、結晶化
処理を施し、更に空気気流下(10ml/min)、430℃で7分間
の酸化処理を施すことにより細胞表面及び細胞内腔内に
酸化チタンゲルを複合した酸化チタン複合化バイオマス
炭化物(試料)を得た。熱重量測定により得られた試料
中のバイオマス炭化物及び酸化チタンゲル含有率(重
量)は、それぞれ18.8%、81.2%であり、12.3mgの試料
(酸化チタン含有量10.0mg)を上記ホルムアルデヒド分
解試験に供した。その結果を図1(縦軸はホルムアルデ
ヒド(黒四角印)及び二酸化炭素(白四角印)のガスク
ロマトグラフのピーク面積を、横軸は処理時間を示す。
図1〜図6で同じ。)に示す。これより紫外線が照射さ
れていない領域(処理時間が0〜180分)では、木質炭化
物によるホルムアルデヒドの良好な吸着挙動が確認さ
れ、この領域でのCO2濃度の上昇は見られなかったが、
紫外線照射と同時に高速度でホルムアルデヒド濃度が低
下し、CO2濃度が上昇した。これは試料が紫外線照射条
件下で、高速度でホルムアルデヒドをCO2とH2Oにまで分
解する性能を有することを示す。
【0029】[実施例2](木質細胞内腔内に酸化チタン
ゲルを複合) ベイスギ辺材試片(約1(半径方向)×60(接線方向)×16
(繊維方向)mm)を実施例1と同様の条件で、抽出、乾燥
処理して、チタン複合化用木質試片(試片と略称す
る。)とした。実施例1と同様の酸化チタンゾル溶液中
へ、上記試片1.0gを投入し、減圧下で一晩、酸化チタン
ゾル溶液の試片中への含浸を行った。次に、酸化チタン
ゾル溶液を含有するその試片を、5%酢酸アンモニウム水
溶液100ml中へ投入することにより、酸化チタンのゲル
化を行った。試片表面に付着した酸化チタンゲルをウェ
イスで拭き取って、105℃、24時間の乾燥を行った後
に、試片を0.08mmメッシュにまで粉砕し、細胞内腔内に
酸化チタンを複合した酸化チタン複合化バイオマスの粉
末を得た。得られた粉末に、実施例1と同様の炭化、結
晶化処理及び酸化処理を行うことにより、細胞内腔内に
酸化チタンゲルを複合した酸化チタン複合化バイオマス
炭化物(試料)を得た。試料のバイオマス炭化物及び酸
化チタンゲル含有率はそれぞれ64.9%、35.1%であり、試
料28.5mg(酸化チタン含有量10.0mg)を上記ホルムアルデ
ヒド分解実験に供した。その結果を図2に示す。これよ
り、実施例1の場合と同様に、実施例2でも試料が紫外
線照射条件下において、ホルムアルデヒドをCO2とH2Oに
まで分解する性能を有することが確かめられた。
【0030】[実施例3](木質細胞壁内に酸化チタンゲ
ルを複合) 14.8gのジエタノールアミンと20gのテトライソプロピル
チタネートを混合して、室温で30分間撹拌することで、
ジイソプロピルビス(ジエタノールアミネート)チタニウ
ム(チタンキレートである。)を得、そこに溶媒として
80mlのイソプロパノールを加えた。抽出処理し、含水率
が約20%に調湿された実施例2と同様のベイスギ辺材試
片約1.2gを、この溶液中へ投入し、減圧下で3日間ジイ
ソプロピルビス(ジエタノールアミネート)チタニウムの
バイオマス試片中への含浸を行った。得られた試片を、
80mlの新しいイソプロパノール中で1時間浸漬した後、1
05℃、24時間の乾燥を行い、0.08mmメッシュにまで粉砕
することにより、細胞壁内に酸化チタンゲルを複合した
酸化チタン複合化バイオマスの粉末を得た。得られた粉
末を、実施例1と同様の炭化、結晶化処理及び酸化処理
することにより、細胞壁内に酸化チタンを複合した酸化
チタン複合化バイオマス炭化物(試料)を得た。試料の
バイオマス炭化物及び酸化チタンゲル含有率はそれぞれ
51.4%、48.6%であり、試料20.6mg(酸化チタン含有量10.
0mg)を上記ホルムアルデヒド分解実験に供した。その結
果を図3に示す。これより、ホルムアルデヒドのCO2
までの分解は実施例1及び実施例2の場合と同様な傾向
が見られたが、細胞壁内の酸化チタンが紫外線に照射さ
れにくいため、分解速度は実施例1及び実施例2の場合
に比べて遅く、ホルムアルデヒドに対する分解機能は大
きくは発現しえなかった。そこで試料粉末を0.04mm及び
0.02mmメッシュまで細化したところ、実施例1及び実施
例2の場合と同様なホルムアルデヒドの高速度分解性能
が確かめられた。
【0031】[比較例1](木質炭化物のみ) 実施例1と同様の抽出、乾燥後のベイスギ辺材木粉に、
無機質複合化することなく実施例1同様の炭化及び酸化
処理を施すことによりバイオマス炭化物(試料)を得
た。試料の2.3mg、18.5mg及び10.6mgを上記ホルムアル
デヒド分解試験に供したところ図4(試料量18.5mg)の
ような結果が得られた。これよりホルムアルデヒドは良
好にバイオマス炭化物上へ吸着されたが、紫外線照射の
有無には関係なく、有意なCO2濃度上昇は見られず、ホ
ルムアルデヒドのCO2及びH2Oまでの分解性能は確認され
なかった。
【0032】[比較例2](酸化チタンゲルのみ) 実施例1と同様の酸化チタンゾル溶液中に、5%酢酸アン
モニウム水溶液を溶液全体がゲル化するまで滴下した。
次に、得られた酸化チタン湿潤ゲルを105℃、24時間の
乾燥後に、0.08mmメッシュにまで粉砕し、窒素気流下(5
0ml/min)、480℃で1時間の結晶化処理、及び空気気流下
(10ml/min)、430℃で7分間の酸化処理を施すことにより
酸化チタンゲル(試料)を得た。得られた試料の10.0mg
を上記ホルムアルデヒド分解試験に供した。結果を図5
に示す。これより紫外線非照射領域(処理時間が0〜200
分)においてはホルムアルデヒドの試料への緩やかな吸
着が確認され、紫外線照射領域(処理時間が200分以降)
においては、ホルムアルデヒド濃度の一層の低下及びCO
2濃度の上昇が見られたことより、試料がホルムアルデ
ヒドをCO2及びH2Oにまで分解・無害化する性能を有する
ことが確認されたが、実施例1〜実施例3での分解速度
に比べ大幅に劣っていた。
【0033】[比較例3](無複合木質炭化物と酸化チタ
ンゲルの混合物) 比較例1と同様の方法で得たバイオマス炭化物18.5mgと
比較例2の酸化チタンゲル10.0mgとを物理的に混合する
ことにより、バイオマス炭化物と酸化チタンの混合物
(試料)を得、上記ホルムアルデヒド分解実験に供し
た。結果を図6に示す。これより比較例1及び比較例2
において見られたバイオマス炭化物によるホルムアルデ
ヒドの良好な吸着、及び酸化チタンゲルによるホルムア
ルデヒドの分解性能が確認されたが、比較例2の場合と
同程度の分解速度であり、分解性能は実施例1〜実施例
3のものに比べ大幅に劣っていた。また、バイオマス炭
化物量を2.3mg及び10.6mgとしても同様の結果が得られ
た。
【0034】各実施例で得られた各光分解試験用試料の
バイオマス炭化物含有率及び酸化チタン含有率につき、
熱重量測定により測定した結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】実施例1〜3のいずれにおいても、比較例
1〜3に比べて、格段に高いホルムアルデヒド分解性能
が確認された。このことは、酸化チタンゲルをバイオマ
ス細胞の内腔内、細胞壁内、細胞表面に複合化した酸化
チタン複合化バイオマス炭化物にはホルムアルデヒドを
CO2及びH2Oにまで高速度で分解・無害化する性能が備わ
っていることを示し、この効果は酸化チタンゲルを単に
バイオマス炭化物と混合した場合では発現されない。な
お、この効果の対象となる有害物質は、ホルムアルデヒ
ドのみならずアセトアルデヒド等の他のアルデヒド、メ
ルカプタン類、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン、ハロ
ゲン化炭化水素類、アルコール類、カルボン酸類、芳香
族の各物質、炭化水素類等の種々の有機化合物及び無機
化合物である。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、経済的に安価で、高い
吸着能及び光分解能を有する酸化チタン複合化バイオマ
ス炭化物が得られ、それを使用して有害化学成分、例え
ば空気中のホルムアルデヒドを短時間で、ほぼ完全に分
解し、無害化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における、ホルムアルデヒド吸着、紫
外線照射によるホルムアルデヒド及び二酸化炭素の濃度
変化を示す図である。
【図2】実施例2における、ホルムアルデヒド吸着、紫
外線照射によるホルムアルデヒド及び二酸化炭素の濃度
変化を示す図である。
【図3】実施例3における、ホルムアルデヒド吸着、紫
外線照射によるホルムアルデヒド及び二酸化炭素の濃度
変化を示す図である。
【図4】比較例1における、ホルムアルデヒド吸着、紫
外線照射によるホルムアルデヒド及び二酸化炭素の濃度
変化を示す図である。
【図5】比較例2における、ホルムアルデヒド吸着、紫
外線照射によるホルムアルデヒド及び二酸化炭素の濃度
変化を示す図である。
【図6】比較例3における、ホルムアルデヒド吸着、紫
外線照射によるホルムアルデヒド及び二酸化炭素の濃度
変化を示す図である。
【図7】無機質複合化木材の無機物分布のタイプを示す
図である。
【図8】実施例で使用した循環系ホルムアルデヒド分解
装置を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/00 B01D 53/36 ZABG 101Z Fターム(参考) 4B065 AA99X BD22 CA55 4D048 AA02 AA06 AA11 AA12 AA17 AA19 AA20 AB03 BA05X BA07X BA41X BB01 CC40 EA01 EA04 4G046 CA00 CB02 CC02 4G069 AA02 AA03 AA08 AA09 BA04A BA04B BA08A BA08B BA37 BA38 BA48A BA48C CA01 CA15 CA16 CA17 CA18 CA19 DA06 EA01Y FB08 FB29 FB34 FB36

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バイオマス材料の細胞壁内、細胞内腔及
    び細胞表面のいずれか1以上に、酸化チタン原料を複合
    化した酸化チタン原料複合化バイオマスを加熱により炭
    化処理することを特徴とする酸化チタン複合化バイオマ
    ス炭化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 バイオマス材料の細胞壁内及び細胞内腔
    に、酸化チタン原料を複合化したことを特徴とする請求
    項1に記載の酸化チタン複合化バイオマス炭化物の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 バイオマス材料の細胞内腔及び細胞表面
    に、酸化チタン原料を複合化したことを特徴とする請求
    項1に記載の酸化チタン複合化バイオマス炭化物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 バイオマス材料の細胞内腔に、酸化チタ
    ン原料を複合化したことを特徴とする請求項1に記載の
    酸化チタン複合化バイオマス炭化物の製造方法。
  5. 【請求項5】 バイオマス材料の細胞壁内に、酸化チタ
    ン原料を複合化したことを特徴とする請求項1に記載の
    酸化チタン複合化バイオマス炭化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化チタン原料複合化バイオマスを酸素
    の非存在下に加熱した後、酸素の存在下に加熱すること
    を特徴とする請求項1に記載の酸化チタン複合化バイオ
    マス炭化物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の酸化チ
    タン複合化バイオマス炭化物の製造方法で得られた酸化
    チタン複合化バイオマス炭化物。
  8. 【請求項8】 酸化チタン含有率が0.1〜90重量%
    である請求項7に記載の酸化チタン複合化バイオマス炭
    化物。
  9. 【請求項9】 請求項7〜8のいずれかに記載の酸化チ
    タン複合化バイオマス炭化物に、処理すべき化学成分を
    吸着させ、光を照射することを特徴とする化学成分の分
    解方法。
  10. 【請求項10】 化学成分が、アルデヒド類、メルカプ
    タン類、アルコール類、カルボン酸類、ハロゲン化炭化
    水素類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、窒素酸
    化物類、硫黄酸化物類、オゾン、又はこれらの混合物で
    あることを特徴とする請求項9に記載の化学成分の分解
    方法。
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