JP2000251773A - 電子線装置の構造体および電子線装置 - Google Patents

電子線装置の構造体および電子線装置

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JP2000251773A
JP2000251773A JP5154699A JP5154699A JP2000251773A JP 2000251773 A JP2000251773 A JP 2000251773A JP 5154699 A JP5154699 A JP 5154699A JP 5154699 A JP5154699 A JP 5154699A JP 2000251773 A JP2000251773 A JP 2000251773A
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electron beam
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Taro Hiroike
太郎 廣池
Hisafumi Azuma
尚史 東
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造支持体への帯電を制御することにより、
所望の電子線軌道を得る。 【解決手段】 電子を放出する電子源1012と、電子
源より放出された電子を照射する電子線被照射部101
8と、電子源と電子線被照射部との間に配置された構造
支持体1020と、を有する電子線装置において、構造
支持体1020の側壁部の電子源側の一部領域が、電子
源から電子線被照射部方向に次式で表される角度θの範
囲で広がる傾斜面からなる。 θ=0.3tan-1(1/k)〜2.0tan-1(1/
k) k=(0.5×(Ai1/As −1))0.5 、Ai1は前記
構造支持体の二次電子放出係数が1となる最小エネルギ
ー、As は前記構造支持体から放出される二次電子の初
期放出エネルギー

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線装置および
その応用である表示装置等の画像形成装置、これらの装
置に用いられている構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、たとえば表面伝導型電子放出素子や、電界
放出型電子放出素子(以下FE型と記す)や、金属/絶
縁層/金属型電子放出素子(以下MIM型と記す)、な
どが知られている。
【0003】表面伝導型電子放出素子としては、たとえ
ば、M.I.Elinson,Radio Eng.Electron Phys.,10,1290,
(1965)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等に
よるSnO2 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるも
の[G.Dittmer:“Thin Solid Films",9,317(1972)]
や、In2O3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and C.
G.Fonstad:“IEEE Trans.ED Conf.",519(1975)]や、カ
ーボン薄膜によるもの[荒木久他:真空、第26巻、第1
号、22(1983)]等が報告されている。
【0005】これらの表面伝導型電子放出素子の素子構
成の典型的な例として、図31に前述のM.Hartwellらに
よる素子の平面図を示す。同図において、3001は基
板で、3004はスパッタで形成された金属酸化物より
なる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図示のよ
うにH字形の平面形状に形成されている。該導電性薄膜
3004に後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理
を施すことにより、電子放出部3005が形成される。
図中の間隔Lは、0.5〜1[mm]、Wは、0.1
[mm]で設定されている。尚、図示の便宜から、電子
放出部3005は導電性薄膜3004の中央に矩形の形
状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子
放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではな
い。
【0006】M.Hartwellらによる素子をはじめとして上
述の表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を行
う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ばれ
る通電処理を施すことにより電子放出部3005を形成
するのが一般的であった。すなわち、通電フォーミング
とは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電
圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりと
したレートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電
性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変
質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005
を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは変形
もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、亀裂
が発生する。前記通電フォーミング後に導電性薄膜30
04に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近に
おいて電子放出が行われる。
【0007】また、FE型の例は、たとえば、W.P.Dyke
&W.W. Dolan,“Field emission",Advance in Electron
Physics,8,89(1956)や、あるいは、 C.A.Spindt,“Physi
calproperties of thin-film field emission cathodes
with molybdenium cones",J.Appl.Phys.,47,5248(197
6)などが知られている。
【0008】FE型の素子構成の典型的な例として、図
32に前述のC.A.Spindtらによる素子の断面
図を示す。同図において、3010は基板で、3011
は導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタ
コーン、3013は絶縁層、3014はゲート電極であ
る。本素子は、エミッタコーン3012とゲート電極3
014の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッ
タコーン3012の先端部より電界放出を起こさせるも
のである。
【0009】また、FE型の他の素子構成として、図3
2のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ
平行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0010】また、MIM型の例としては、たとえば、
C.A.Mead,“Operation of tunnel-emission Devices,J.
Appl.Phys.,32,646(1961)などが知られている。MIM
型の素子構成の典型的な例を図33に示す。同図は断面
図であり、図において、3020は基板で、3021は
金属よりなる下電極、3022は厚さ100オングスト
ローム程度の薄い絶縁層、3023は厚さ80〜300
オングストローム程度の金属よりなる上電極である。M
IM型においては、上電極3023と下電極3021の
間に適宜の電圧を印加することにより、上電極3023
の表面より電子放出を起こさせるものである。
【0011】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒー
ターを必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構
造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、
基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱
溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒ
ーターの加熱により動作するため応答速度が遅いのとは
異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利
点もある。
【0012】このため、冷陰極素子を応用するための研
究が盛んに行われてきている。
【0013】たとえば、表面伝導型電子放出素子は、冷
陰極素子のなかでも特に構造が単純で製造も容易である
ことから、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点
がある。そこで、たとえば本出願人による特開昭64−
31332号公報において開示されるように、多数の素
子を配列して駆動するための方法が研究されている。ま
た、表面伝導型電子放出素子の応用については、たとえ
ば、画像表示装置、画像記録装置などの画像形成装置
や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0014】特に、画像表示装置への応用としては、た
とえば本出願人による米国特許第5,066,883号
や特開平2−257551号公報や特開平4−2813
7号公報において開示されているように、表面伝導型電
子放出素子と電子ビームの照射により発光する蛍光体と
を組み合わせて用いた画像表示装置が研究されている。
表面伝導型電子放出素子と蛍光体とを組み合わせて用い
た画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置より
も優れた特性が期待されている。たとえば、近年普及し
てきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるため
バックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優
れていると言える。
【0015】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、たとえば本出願人による米国特許第4,904,
895号に開示されている。また、FE型を画像表示装
置に応用した例として、たとえば、R.Meyerらにより報
告された平板型表示装置が知られている[R.Meyer:“Re
cent Development on Micro tips Display at LETI",Te
ch.Digest of 4th Int.Vacuum Microelectronics Con
f.,Nagahama,pp.6〜9(1991)]。
【0016】また、MIM型を多数個並べて画像表示装
置に応用した例は、たとえば本出願人による特開平3−
55738号公報に開示されている。
【0017】上記のような電子放出素子を用いた画像形
成装置のうちで、奥行きの薄い平面型表示装置は省スペ
ースかつ軽量であることから、ブラウン管型の表示装置
に置き替わるものとして注目されている。
【0018】図34は平面型の画像表示装置をなす表示
パネル部の一例を示す斜視図であり、内部構造を示すた
めにパネルの一部を切り欠いて示している。
【0019】図中、3115はリアプレート、3116
は側壁、3117はフェースプレートであり、リアプレ
ート3115、側壁3116およびフェースプレート3
117により、表示パネルの内部を真空に維持するため
の外囲器(気密容器)を形成している。
【0020】リアプレート3115には基板3111が
固定されているが、この基板3111上には冷陰極素子
3112が、N×M個形成されている(N,Mは2以上
の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜
設定される。)。また、前記N×M個の冷陰極素子31
12は、図34に示すとおり、M本の行方向配線311
3とN本の列方向配線3114により配線されている。
これら基板3111、冷陰極素子3112、行方向配線
3113および列方向配線3114によって構成される
部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。また、行方向配線3
113と列方向配線3114の少なくとも交差する部分
には、両配線間に絶縁層(不図示)が形成されており、
電気的な絶縁が保たれている。
【0021】フェースプレート3117の下面には、蛍
光体からなる蛍光膜3118が形成されており、赤
(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体(不図
示)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をな
す上記各色蛍光体の間には黒色体(不図示)が設けてあ
り、さらに蛍光膜3118のリアプレート3115側の
面には、Al等からなるメタルバック3119が形成さ
れている。
【0022】Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよ
びHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気
的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子で
ある。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配
線3113と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の
列方向配線3114と、Hvはメタルバック3119と
各々電気的に接続している。
【0023】また、上記気密容器の内部は10-6Tor
r程度の真空に保持されており、画像表示装置の表示面
積が大きくなるにしたがい、気密容器内部と外部の気圧
差によるリアプレート3115およびフェースプレート
3117の変形あるいは破壊を防止する手段が必要とな
る。リアプレート3115およびフェースプレート31
17を厚くすることによる方法は、画像表示装置の重量
を増加させるのみならず、斜め方向から見たときに画像
のゆがみや視差を生ずる。これに対し、図32において
は、比較的薄いガラス板からなり大気圧を支えるための
構造支持体(スペーサあるいはリブと呼ばれる)312
0が設けられている。このようにして、マルチビーム電
子源が形成された基板3111と蛍光膜3118が形成
されたフェースプレート3117間は通常サブミリない
し数ミリに保たれ、前述したように気密容器内部は高真
空に保持されている。
【0024】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子DxlないしDxm、Dylないし
Dynを通じて各冷陰極素子3112に電圧を印加する
と、各冷陰極素子3112から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック3119に容器外端子Hvを通じ
て数百[V]ないし数[kV]の高圧を印加して、上記
放出された電子を加速し、フェースプレート3117の
内面に衝突させる。これにより、蛍光膜3118をなす
各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示される。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した画像表示
装置の表示パネルにおいては、以下のような問題点が生
ずる場合があった。
【0026】第1に、冷陰極素子3112らの放出電子
を加速するためにマルチビーム電子源とフェースプレー
ト3117との間には数百V以上の高電圧(即ち1kV
/mm以上の高電界)が印加されるため、構造支持体3
120表面での沿面放電が懸念される。特に、構造支持
体3120の近傍から放出された電子の一部が構造支持
体3120に当たることにより、あるいはフェースプレ
ート3117上の蛍光膜3118とメタルバック311
9に衝突した電子が背面散乱されて構造支持体3120
に当たることにより、構造支持体の帯電をひきおこす場
合があり、構造支持体3120とリアプレート3115
との接合部において電界が集中することにより、放電が
誘発される可能性がある。また、上述の現象は側壁31
16の近傍でも生じることが確認された。
【0027】第2に上述の構造支持体の帯電により冷陰
極素子3112から放出された電子はその軌道を曲げら
れ、蛍光体上の正規の位置とは異なる場所に到達し、構
造支持体近傍の画像が歪んで表示されることになる。
【0028】これら問題点を解決するために、スペーサ
(構造支持体)に微小電流が流れるようにして帯電を除
去する提案がなされている(特開昭57−118355
号公報、特開昭61−124031号公報)。そこでは
絶縁性のスペーサの表面に高抵抗薄膜を形成することに
より、スペーサ表面に微小電流が流れるようにしてい
る。ここで用いられている帯電防止膜は酸化スズ、ある
いは酸化スズと酸化インジウム混晶薄膜や金属膜であ
る。しかしながら、微小電流が流れる構造支持体の場合
には画像形成装置の大型化に伴い、構造支持体の増加に
つれ無効電流が増し、消費電力の増大が問題となる。ま
た、消費電力と帯電除去はトレードオフの関係にあり、
両者を成立させる方策が切望されていた。
【0029】本発明は上記従来の構造支持体の問題を改
善するものであり、消費電力の増加もなく、さらに帯電
が安定した状態で平等電界となるため、画像の歪みの少
ない構造支持体とそれを用いた画像形成装置或いは電子
線装置を提供するものである。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、上記課題は以下の構成の構造体を有する電子線
装置により改善されることを明らかにした。
【0031】すなわち、本発明の電子線装置は、電子を
放出する電子源と、前記電子源より放出された電子を照
射する電子線被照射部と、前記電子源と前記電子線被照
射部との間に配置された構造体と、を有する電子線装置
において、前記構造体の側壁部の一部領域が、前記電子
源から前記電子線被照射部方向に次式で表される角度θ
の範囲で広がる傾斜面からなることを特徴とする電子線
装置である。
【0032】
【数6】θ=0.3tan-1(1/k)〜2.0tan
-1(1/k) k=(0.5×(Ai1/As −1))0.5 、Ai1は前記
構造体の二次電子放出係数が1となる最小エネルギー、
s は前記構造体から放出される二次電子の初期放出エ
ネルギーまた本発明の電子線装置は、電子を放出する電
子源と、前記電子源より放出された電子を制御する電極
と、前記電子源より放出された電子を照射する電子線被
照射部と、前記電子源と前記電極との間、および前記電
極と電子線被照射部との間に配置された構造体と、を有
する電子線装置において、前記構造体の側壁部の一部領
域が、前記電子源から前記電子線被照射部方向に次式で
表される角度θの範囲で広がる傾斜面からなることを特
徴とする電子線装置である。
【0033】
【数7】θ=0.3tan-1(1/k)〜2.0tan
-1(1/k) k=(0.5×(Ai1/As −1))0.5 、Ai1は前記
構造体の二次電子放出係数が1となる最小エネルギー、
s は前記構造体から放出される二次電子の初期放出エ
ネルギー本発明の構造体は、本発明の電子線装置におい
て用いられているものである。
【0034】本発明の構造体は、電子線装置における耐
大気圧支持構造体であるものや、または外囲器を形成し
ている枠であってもよい。
【0035】本発明の電子線装置としては、例えば、入
力信号に応じて電子放出素子から放出された電子を画像
形成部材に照射して画像を形成する画像形成装置の態様
がある。そして画像形成装置として特に、前記画像形成
部材が蛍光体である画像表示装置が挙げられる。あるい
は感光性ドラムと発光ダイオード等で構成された光プリ
ンタの発光ダイオード等の代替の発光源が挙げられる。
またこの際、m本の行方向配線とn本の列方向配線を、
適宜選択することで、ライン状発光源だけでなく、2次
元状の発光源としても応用できる。この場合、画像形成
部材としては、以下の実施例で用いる蛍光体のような直
接発光する物質に限るものではなく、電子の帯電による
潜像画像が形成されるような部材を用いることもでき
る。また、本発明の思想によれば、例えば電子顕微鏡の
ように、電子源からの放出電子の被照射部材が、蛍光体
等の画像形成部材以外のものである場合についても、本
発明は適用できる。従って、本発明は被照射部材を特定
しない一般的電子線装置としての形態をとることができ
る。
【0036】
【作用】上記本発明の構成により、構造支持体の帯電が
安定した状態で、構造支持体とリアプレートとの間の電
界集中が緩和され、また構造支持体下部の傾斜面からな
る領域あるいは複数の傾斜面からなる多段構造の領域に
おいて平等電界を得ることが可能となる。すなわち、構
造支持体表面での沿面放電が抑制されるとともに、構造
支持体近傍の電子放出素子から放出された電子は、放出
直後の運動エネルギーの小さな段階でその軌道を偏向さ
れることなく電子線被照射部へ向かって加速され、傾斜
面の形成されていない領域の帯電による静電場の歪みの
影響をあまり受けることなく所望の電子線被照射部に到
達することができる。そのため、構造支持体の近傍の画
像の歪みというが解決される。
【0037】次に、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果
得られた上記の形状作用について詳細に述べる。
【0038】電子線装置内の構造支持体の帯電はほとん
どが電子線被照射部からの弾性、非弾性散乱電子(背面
散乱電子)或いは電子源からの直接入射電子によって引
き起こされている。つまり、電子線被照射部からの背面
散乱電子或いは電子源からの直接入射電子が構造支持体
へ衝突すると、構造支持体の表面から二次電子放出が生
じる[A.J.DEKKER Solid State Phys.6(1958)271]。
【0039】二次電子と一次(入射)電子との比を広義
の二次電子放出係数δと呼び、一次電子の入射エネルギ
ーと入射角度に依存することが半経験式にて示されてい
る[G.F.DIONNE,“Origin of secondary-electron-emis
sion yield-curve parameters",J.Appl.Phys.46(1975)3
347]。図9は二次電子放出係数δと入射エネルギーA
の関係を角度ψ=0、30、60度のときについて示す
模式図である。二次電子放出係数δがδ>1のときに
は、正帯電が生じ、δ<1のときには負帯電、δ=1の
ときには帯電が生じない。二次電子放出係数がδ=1と
なる入射エネルギーは二箇所あり、勾配(dδ/dA)
が正である小さな方の値をAi1(第1クロスポイントエ
ネルギー)、勾配が負である大きな方の値をAi2(第2
クロスポイントエネルギー)と呼ぶ。
【0040】本発明者らの詳細な実験的研究と数値シミ
ュレーションにより、帯電の安定状態では、一次電子に
より生じた二次電子がAi1というエネルギーで構造支持
体の表面に何度も衝突して(ホッピングと呼ぶ)、電子
線被照射部に到達する電場が形成されて安定しているこ
とが明らかになった。ホッピングの模式図を図10に示
す。電子源基板11上に形成された電子源(不図示)か
ら放出された電子がフェースプレート17に衝突・背面
散乱され、構造支持体20に入射する。すると、構造支
持体20の表面から二次電子放出が生じ、二次電子がA
i1というエネルギーで構造支持体の表面をホッピングし
てフェースプレート17に到達する。この状態ではそれ
以上帯電が進行することはない安定状態である。
【0041】この現象は、次のように説明できる。つま
り、構造支持体中に正帯電しているところがあると、二
次電子は正電荷に引き寄せられることによりその飛翔距
離が短くなり、Ai1以下の衝突エネルギーで衝突するよ
うになる。その結果負帯電が生じ、正電荷を打ち消そう
とする。逆に、負帯電しているところがあると、構造支
持体への吸引力が弱まり、二次電子の飛翔距離が長くな
るため、Ai1以上の衝突エネルギーの二次電子が増加
し、結果として正に帯電が進行する。このような自己調
整機構が働く結果、上述の安定状態が実現される。
【0042】さらに一般化させて構造支持体表面に傾斜
角θの傾斜面とした系について図11を参考しつつ考え
る。ここでは帯電が安定した状態で、電子軌道が偏向さ
れない平等電界Ey(=Va/d,電子線被照射部と電
子放出部の電位差Va、距離d)となる場合を考える。
構造支持体20の表面から鉛直方向に初期エネルギーA
sで出射した2次電子は、平等電界中を二次曲線(放物
線)の軌道にて飛翔し、構造支持体の表面に再衝突す
る。その際の衝突エネルギーがAi1となる条件のもと
で、θ⊥の条件式を求めると次式に示す通りになる。
【0043】
【数8】 Ai1=4As・cos(θ⊥)2・[1+1/tan(θ⊥)2] ・・・・ ・ [1]式 上式中では、二次電子の出射角度を構造支持体表面の鉛
直方向と仮定したが、余弦法則を考慮したほうが実際的
であり、余弦法則を考慮した二次電子の平均衝突エネル
ギーを考える。図12に示す通りに構造支持体法線方向
の電界をEξ、接線方向の電界をEηとすると、帯電が
安定した状態では次式が成立している[C.H.DE TOURREI
L and K.D.SRIVASTAVA“Mechanism of surface chargin
g of high-voltage insulators in vacuum”,IEEE Tran
s.Elect.Insulation,8,No.17(1973)]。
【0044】
【数9】Eη+Eξ=0 ・・・・・ [2]式 次に、構造支持体法線方向の電界Eξ、接線方向の電界
Eηから図12に示すEx、Eyを求めるためEξおよ
びEηに対し回転角θの回転変換を行い、Ex=0とい
う条件を課すと次の式が得られる。
【0045】
【数10】 θ=tan-1(1/k) ・・・・・ [3]式 但し、
【0046】
【数11】 k=(0.5(Ai1/As−1))0.5 ・・・・・[4]式 である。
【0047】上式は、構造支持体の表面が、電子源と電
子線被照射部と結ぶ線から時計方向にθの傾きをなす場
合に、帯電が安定した状態で電子源と電子線被照射部を
結ぶ線の垂直方向電界Exが0となることを示してい
る。
【0048】つまり、構造支持体の側面部を前記の角度
θで規定される傾斜面にて構成することにより、帯電が
安定した状態で平等電界が達成され、帯電電荷を逃すた
めの微少電流を流す必要のない絶縁性の構造支持体を得
ることができる。これにより消費電力の増加もなく、さ
らにビーム軌道のずれによる画像の歪みのない電子線装
置を得ることが可能となる。
【0049】上記の作用は単一の傾斜面だけでなく、前
記角度θで規定された複数の傾斜面によってなる多段構
造によっても同様に得られる。ここで多段構造を形成す
ることにより、電子線被照射部と対向する面が生じる
が、この面に電子線被照射部からの背面散乱電子等が衝
突することにより正帯電が生じる場合がある。この場
合、該対向面に金属等の導電膜を形成することで次の効
果が期待できる。すなわち、金属等の導電材料は一般に
2次電子放出係数が小さく、そのため生じる帯電電荷量
が少なくなる。さらに対向面と傾斜面との間で帯電電荷
がキャンセルされることにより、構造支持体の高さ方向
の電位分布を適正化することができ、本発明の効果を得
ることができる。
【0050】本研究者らによるさらに詳細な実験と数値
シミュレーション及び理論的考察の結果、前記傾斜面か
らなる構造あるいは複数の傾斜面からなる多段構造を、
構造支持体の下部(冷陰極電子源側)の一部領域に形成
することによっても同様の効果が得られることが明らか
となった。
【0051】これは電子源から放出された電子の放出直
後の、その運動エネルギーが小さい領域において平等電
界を形成し、ある程度以上の運動エネルギーを得られる
まで電子を加速することにより、傾斜面形成領域以外の
範囲での帯電の影響をあまり受けることなく所望の被電
子線照射部へ到達することが可能になるからである。
【0052】本発明によれば、構造支持体の下部の一部
領域に前記角度θで規定される傾斜面からなる構造、あ
るいは複数の傾斜面からなる多段構造を形成することに
より、帯電が安定した状態で電子源から放出された電子
ビーム軌道への影響の大きい領域で平等電界が実現され
ることになる。この場合、構造支持体の側面全体にわた
って同様の多段傾斜面を作製するのに比較して、加工
面積が減少する、運搬時および組み立て時の可搬領域
を確保できる、加工時、運搬時における欠陥の発生を
抑制できる、などの効果により歩留まりが向上し、大幅
に低いコストで耐高電圧性に優れ、かつ画像歪みのない
電子線装置を得ることが可能となる。さらに構造支持体
の電子源側の辺を面取り加工することによっても同様の
効果を得ることができ、その場合、更に大幅なコストダ
ウンを実現することが可能になる。
【0053】
【発明の実施の形態】まず、本発明で作製した構造支持
体について、詳細に説明する。図1は板状形状の構造支
持体の一実施態様を示すものである。図中の上側が電子
線被照射部であるアノード側であり、下側が冷陰極電子
源であるカソード側である。寸法は長手方向に40m
m、高さdは約2.83mm、そして底辺幅が200μ
mであり、広がり角θを有する傾斜面が高さhの領域ま
で多段に形成されている。傾斜面の突起高さtは100
μmであり、ピッチs及び段数nは規定角度θ及び傾斜
面を形成する領域の高さhにより決定される。寸法は先
述の値に限定されることはなく、要は広がり角θが指定
範囲となっていれば良い。ただしピッチsは帯電が安定
した状態での2次電子の平均自由行程以上であることが
求められる。平均自由行程はアノード−カソード間の電
界強度や2次電子の平均射出エネルギーに依存する値で
あり、sとしてはおおむね数〜数100μm程度が好ま
しい。
【0054】広がり角θは[3]、[4]式により材料
物性によって決まるものであるが、θが大きくなるに従
い帯電していない状態で、電子軌道が構造支持体から反
発する方向に働く。反発量は構造支持体の比誘電率等に
も依存するため、採用した構造支持体の材料により適時
θが設定される。
【0055】なお、形状は板状形状に何ら限定されるこ
とはなく、図2に示すような円断面あるいは楕円断面の
柱状形状でも同様の効果が得られる。また図3(a)、
(b)に示すように板状あるいは円柱状の構造支持体の
電子源側の辺を面取りして加工した形状でも同様の効果
が得られる。すなわち、図4(a)、(b)に示すよう
に、カソード側とアノード側を結ぶ線分を含む構造支持
体の側面部の下部の高さhまでの領域が、カソード側か
らアノード側方向へ次式で表される角度θの範囲で広が
る斜面部から構成される構造を有していれば本発明の効
果が得られる。
【0056】
【数12】 θ=0.3tan-1(1/k)〜2.0tan-1(1/k) [5]式 但し、k=(0.5×(Ai1/As −1))0.5 であ
り、Ai1は構造支持体の二次電子放出係数が1となる最
小エネルギーであり、As は前記構造支持体から放出さ
れる二次電子の初期放出エネルギーである。
【0057】高さhについてはh≧0.3dの範囲内に
あれば本発明の効果が得られる。但しdは構造支持体の
高さである。さらに好ましくはh≧0.6であることが
望ましい。
【0058】角度θの許容範囲については、ビームずれ
等の画像劣化が許容できる範囲にあるかどうかによって
決定する。その際まず画像を形成する電子線装置の仕
様、すなわち加速電圧、カソード−アノード間距離、構
造支持体との最近接の電子源間距離、構造支持体材料と
二次電子放出係数の第一クロスポイントAi1と二次電子
初期エネルギーAs 、比誘電率を決定或いは同定する。
また、電子線ビームによる輝点の位置ずれ、及び輝度む
らの許容量を決める。
【0059】最も好ましい広がり角度については、上記
の条件から
【0060】
【数13】 θ=tan-1(1/k) [6]式 として一意に決定することができる。
【0061】また広がり角度θの許容範囲の決定にあた
っては次のような手順で計算を行う。まず構造支持体の
高さ、誘電率、広がり角度θ及び加速電圧等を考慮し
て、帯電の安定状態における構造支持体表面での境界条
件([2]式)、及びその他の境界条件を用いて構造支
持体近傍の空間における静電場を計算する。電界計算に
は有限要素法、境界要素法、または有限差分法等の数値
解析法、あるいは解析的な手法を用いればよい。この他
モンテカルロシミュレーション[山本他、モンテカルロ
シミュレーションによる真空中スペーサの帯電特性の研
究、電学論A、114、2、p108(1994)]を
用いることによって解を求めることも可能であるが、こ
の場合計算時間が長くかかる。
【0062】このようにして帯電安定状態における静電
場が得られたら、次に電子源から放出された電子の軌道
計算を行い、アノードにおける電子の到達位置の座標を
計算する。電子軌道は得られた静電場中において電子源
の初期位置座標と初期速度等の条件を与え、次式により
求めることができる。
【0063】
【数14】 但し、e、me は電子の電荷量及び質量であり、
【0064】
【数15】 は時刻tにおける構造支持体周りの静電場、
【0065】
【数16】 はそれぞれ時刻tにおける電子の位置ベクトル、速度ベ
クトルである。数値的にはルンゲ・クッタ法或いはシン
プレクティック法等の時間発展アルゴリズムを用いて計
算することができる。
【0066】以上の計算によりアノード上における電子
線の到達位置座標が得られるので、これと設計値とのず
れΔxが、設定した許容範囲内にあるような広がり角度
θに対する条件を決定することができる。
【0067】また角度規定された斜面部あるいは複数の
斜面部からなる多段構造の高さhについても、画像劣化
が許容範囲にあるかどうかの主観的な比較評価、及び帯
電安定状態における電子軌道の数値シミュレーションに
よる比較評価を通じて決定した(詳細は後述する)。
【0068】本実施例においては、図5に示す2種類の
材料を用いh=0、0.3d、0.6d、及びd(全
面)の高さまで傾斜面構造あるいは傾斜多段構造を有す
る構造支持体を作製した。アルミナとソーダライムガラ
スは切削加工と表面研磨により作製した。作製方法は上
記のものに限定されることはなく、モールド法や押し出
し形成法、あるいは加熱延伸法などでもよい。それぞれ
の二次電子放出係数等の物性値は文献から引用し、二次
電子の平均出射エネルギーを4eVとして求めた広がり
角θとなるように加工を行っている。ここで二次電子の
平均射出エネルギーは4evとしたが、この値は材料が
変わると変化することが容易に想像されるため、材料固
有の値を使用することが好ましい。
【0069】また、図27に示すように、帯電が生じる
電子線装置内側の側壁1016にも、広がり角θを付け
ることにより、上に述べた効果が得られ側壁1016近
傍の電子軌道の攪乱が抑えられる。側壁1016は青板
ガラス等の材料を切削加工、研磨することにより作製す
る。
【0070】(画像表示装置の構成および製造方法)次
に、本発明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成
と製造法について、具体的な例を示して説明する。
【0071】図27は、本実施例に用いた表示パネルの
斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの一部を切
り欠いて示している。
【0072】図中、1015はリアプレート、1016
は枠となる側壁、1017はフェースプレートであり、
1015〜1017により表示パネルの内部を真空に維
持するための気密容器を形成している。気密容器を組み
立てるにあたっては、各部材の接合部に十分な強度と気
密性を保持させるため封着する必要があるが、たとえば
フリットガラスを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素
雰囲気中で、摂氏400〜500度で10分以上焼成す
ることにより封着を達成した。気密容器内部を真空に排
気する方法については後述する。また、上記気密容器の
内部は10-6[Torr]程度の真空に保持されるの
で、大気圧や不意の衝撃などによる気密容器の破壊を防
止する目的で、耐大気圧構造体として構造支持体である
スペーサ1020が設けられている。なお、枠となる側
壁はスペーサ(支持部材)を兼ねるものであってもよ
い。
【0073】次に、本発明の画像形成装置に用いること
ができる電子放出素子基板について説明する。
【0074】本発明の画像形成装置に用いられる電子源
基板は複数の冷陰極素子を基板上に配列することにより
形成される。
【0075】冷陰極素子の配列の方式には、冷陰極素子
を並列に配置し、個々の素子の両端を配線で接続するは
しご型配置(以下、はしご型配置電子源基板と称する)
や、冷陰極素子の一対の素子電極のそれぞれX方向配
線、Y方向配線を接続した単純マトリクス配置(以下、
マトリクス型配置電子源基板と称する)が挙げられる。
なお、はしご型配置電子源基板を有する画像形成装置に
は、電子放出素子からの電子の飛翔を制御する電極であ
る制御電極(グリッド電極)が求められる。
【0076】リアプレート1015には、基板1011
が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1012
がN×M個形成されている(N,Mは2以上の正の整数
であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定され
る。たとえば、高品位テレビジョンの表示を目的とした
表示装置においては、N=3000、M=1000以上
の数を設定することが望ましい。)。前記N×M個の冷
陰極素子は、M本の行方向配線1013とN本の列方向
配線1014により単純マトリクス配線されている。前
記、1011〜1014によって構成される部分をマル
チ電子ビーム源と呼ぶ。
【0077】本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子
ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線もしく
は、はしご型配置した電子源であれば、冷陰極素子の材
料や形状あるいは製法に制限はない。
【0078】したがって、たとえば表面伝導型電子放出
素子やFE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用
いることができる。
【0079】次に、冷陰極素子として表面伝導型電子放
出素子(詳細は後述する)を基板上に配列して単純マト
リクス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べ
る。
【0080】図22に示すのは、図27の表示パネルに
用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板101
1上には、後述の図15で示すものと同様な表面伝導型
電子放出素子が配列され、これらの素子は行方向配線1
013と列方向配線1014により単純マトリクス状に
配線されている。行方向配線1013と列方向配線10
14の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が
形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0081】図22のB−B′に沿った断面を図23に
示す。
【0082】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線1013、列方向配線1
014、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型電
子放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方
向配線1013および列方向配線1014を介して各素
子に給電して通電フォーミング処理(詳細は後述する)
と通電活性化処理(詳細は後述する)を行うことにより
製造した。
【0083】本実施例においては、気密容器のリアプレ
ート1015にマルチ電子ビーム源の基板1011を固
定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板101
1が十分な強度を有するものである場合には、気密容器
のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板101
1自体を用いてもよい。
【0084】また、フェースプレート1017の下面に
は、蛍光膜1018が形成されている。
【0085】本実施例はカラー表示装置であるため、蛍
光膜1018の部分にはCRTの分野で用いられる赤、
緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色
の蛍光体は、たとえば図13(a)に示すようにストラ
イプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には黒
色の導電体1010が設けてある。黒色の導電体101
0を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれ
があっても表示色にずれが生じないようにすることや、
外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐこ
と、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止す
ることなどである。黒色の導電体1010には、黒鉛を
主成分として用いたが、上記の目的に適するものであれ
ばこれ以外の材料を用いても良い。
【0086】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記
図13(a)に示したストライプ状の配列に限られるも
のではなく、たとえば図13(b)に示すようなデルタ
状配列や、それ以外の配列(例えば図14)であっても
よい。なお、モノクロームの表示パネルを作成する場合
には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1018に用いればよ
く、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよい。
【0087】また、蛍光膜1018のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1019
を設けてある。メタルバック1019を設けた目的は、
蛍光膜1018が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させることや、負イオンの衝突から蛍光膜10
18を保護することや、電子ビーム加速電圧を印加する
ための電極として作用させることや、蛍光膜1018を
励起した電子の導電路として作用させることなどであ
る。メタルバック1019は、蛍光膜1018をフェー
スプレート基板1017上に形成した後、蛍光膜表面を
平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により
形成した。なお、蛍光膜1018に低電圧用の蛍光体材
料を用いた場合や加速電圧が低い場合にはメタルバック
の無いほうが輝度が大きい場合があり、こうした場合に
はメタルバックは用いない。
【0088】また、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性
向上を目的として、フェースプレート基板1017と蛍
光膜1018との間に、たとえばITOを材料とする透
明電極を設けてもよい。
【0089】図28は図27のA−A′の略断面模式図
であり、各部の番号は図27に対応している。スペーサ
1020は切削加工、研磨により作製した絶縁性部材か
らなり、大気圧支持のために必要な数だけ、かつ必要な
間隔をおいて配置され、フェースプレートの内側および
基板1011の表面に接合材1041により固定され
る。また、スペーサ1020は接合材1041を介し
て、フェースプレート1017の内側(メタルバック1
019等)および基板1011の表面(行方向配線10
13または列方向配線1014)に電気的に接続され
る。ここで説明される態様においては、スペーサ102
0の形状は薄板状とし、行方向配線1013に平行に配
置され、行方向配線1013に電気的に接続されてい
る。
【0090】スペーサ1020としては、基板1011
上の行方向配線1013および列方向配線1014とフ
ェースプレート1017内面のメタルバック1019と
の間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有する
ことが求められる。
【0091】スペーサ1020の絶縁性部材としては、
先に示した材料に限定されることなく、例えば石英ガラ
ス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、ソーダラ
イムガラス、アルミナ等のセラミックス部材等でもよ
い。なお、絶縁性部材はその熱膨張率が気密容器および
基板1011を成す部材と近いものが好ましい。
【0092】接合材1041はスペーサ1020が行方
向配線1013およびメタルバック1019と電気的に
接続するように、導電性をもたせる。すなわち、導電性
接着材や金属粒子や導電性フィラーを添加したフリット
ガラスが好適である。
【0093】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行
方向配線1013と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビー
ム源の列方向配線1014と、Hvはフェースプレート
のメタルバック或いは透明導電膜と電気的に接続してい
る。
【0094】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10-7[Torr]程度
の真空度まで排気する。その後、排気管を封止するが、
気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前ある
いは封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不
図示)を形成する。ゲッター膜とは、たとえばBaを主
成分とするゲッター材料をヒーターもしくは高周波加熱
により加熱し蒸着して形成した膜であり、該ゲッター膜
の吸着作用により気密容器内は1×10-5ないしは1×
10-7[Torr]の真空度に維持される。
【0095】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子1012に電圧を印加する
と、各冷陰極素子1012から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック或いは透明導電体に容器外端子H
vを通じて数百[V]ないし数[kV]の高圧を印加し
て、上記放出された電子を加速し、フェースプレート1
017の内面に衝突させる。これにより、蛍光膜101
8をなす各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示
される。
【0096】通常、冷陰極素子である表面伝導型電子放
出素子1012への印加電圧は12〜16[V]程度、
メタルバック1019と冷陰極素子1012との距離d
は0.1[mm]から8[mm]程度、メタルバック1
019と冷陰極素子1012間の電圧は0.1[kV]
から10[kV]程度である。
【0097】以上、本発明の実施例の表示パネルの基本
構成と製法、および画像表示装置の概要を説明した。 (マルチ電子ビーム源の製造方法)次に、前記実施例の
表示パネルに用いたマルチ電子ビーム源の製造方法につ
いて説明する。本発明の画像表示装置に用いるマルチ電
子ビーム源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電
子源であれば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に
制限はない。したがって、たとえば表面伝導型電子放出
素子やFE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用
いることができる。
【0098】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
表示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極
素子の中でも、表面伝導型電子放出素子が特に好まし
い。すなわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極
の相対位置や形状が電子放出特性を大きく左右するた
め、極めて高精度の製造技術を必要とするが、これは大
面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要因と
なる。また、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄
くてしかも均一にする必要があるが、これも大面積化や
製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。そ
の点、表面伝導型電子放出素子は、比較的製造方法が単
純なため、大面積化や製造コストの低減が容易である。
また、発明者らは、表面伝導型電子放出素子の中でも、
電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した
ものがとりわけ電子放出特性に優れ、しかも製造が容易
に行えることを見いだしている。したがって、高輝度で
大画面の画像表示装置のマルチ電子ビーム源に用いるに
は、最も好適であると言える。そこで、上記実施例の表
示パネルにおいては、電子放出部もしくはその周辺部を
微粒子膜から形成した表面伝導型電子放出素子を用い
た。そこで、まず好適な表面伝導型電子放出素子につい
て基本的な構成と製法および特性を説明し、その後で多
数の素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源
の構造について述べる。 (表面伝導型電子放出素子の好適な素子構成と製法)電
子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成する表
面伝導型電子放出素子の代表的な構成には、平面型と垂
直型の2種類があげられる。 (平面型の表面伝導型電子放出素子)まず最初に、平面
型の表面伝導型電子放出素子の素子構成と製法について
説明する。図15(a)は平面型の表面伝導型電子放出
素子の構成を説明するための平面図、図15(b)はそ
の断面図である。図中、1101は基板、1102と1
103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は
通電フォーミング処理により形成した電子放出部、11
13は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0099】基板1101としては、たとえば、石英ガ
ラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、ア
ルミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上
述の各種基板上にたとえばSiO2 を材料とする絶縁層
を積層した基板、などを用いることができる。
【0100】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。たとえば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn23 −SnO2 をはじめとする金属
酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜
材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、た
とえば真空蒸着などの成膜技術とフォトリソグラフィ
ー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて
用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(たとえ
ば印刷技術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0101】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメーターの範囲から適当な数値を選ん
で設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好
ましいのは数マイクロメーターより数十マイクロメータ
ーの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、
通常は数百オングストロームから数マイクロメーターの
範囲から適当な数値が選ばれる。
【0102】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0103】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件、などである。具体的には、
数オングストロームから数千オングストロームの範囲の
なかで設定するが、なかでも好ましいのは10オングス
トロームから500オングストロームの間である。
【0104】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,S
nO2 ,In2 3 ,PbO,Sb2 3 ,などをはじ
めとする酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,C
eB6 ,YB4 ,GdB4 ,などをはじめとする硼化物
や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,
などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,Hf
N,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などを
はじめとする半導体や、カーボン、などがあげられ、こ
れらの中から適宜選択される。
【0105】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
103から107[オーム/sq]の範囲に含まれるよう
設定した。
【0106】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図15の例においては、
下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0107】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図15においては模式的に示した。
【0108】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0109】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、も
しくはその混合物であり、膜厚は500[オングストロ
ーム]以下とするが、300[オングストローム]以下
とするのがさらに好ましい。なお、実際の薄膜1113
の位置や形状を精密に図示するのは困難なため、図15
においては模式的に示した。
【0110】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施例においては以下のような素子を用いた。
【0111】すなわち、基板1101には青板ガラスを
用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメーター]とした。
【0112】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメーター]とした。
【0113】次に、好適な平面型の表面伝導型電子放出
素子の製造方法について説明する。図16(a)〜
(e)は、表面伝導型電子放出素子の製造工程を説明す
るための断面図で、各部材の表記は前記図15と同一で
ある。1)まず、図16(a)に示すように、基板11
01上に素子電極1102および1103を形成する。
【0114】形成するにあたっては、あらかじめ基板1
101を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、
素子電極の材料を堆積させる。堆積する方法としては、
たとえば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用
いればよい。その後、堆積した電極材料を、フォトリソ
グラフィー・エッチング技術を用いてパターニングし、
図16(a)に示した一対の素子電極1102,110
3を形成する。2)次に、図16(b)に示すように、
導電性薄膜1104を形成する。
【0115】形成するにあたっては、まず図16(a)
の素子電極1102,1103を形成した基板に有機金
属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理して微粒子膜を
成膜した後、フォトリソグラフィー・エッチングにより
所定の形状にパターニングする。ここで、有機金属溶液
とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を主要元素とす
る有機金属化合物の溶液である。具体的には、本実施例
では主要元素としてPdを用いた。また、本実施例では
塗布方法として、ディッピング法を用いたが、それ以外
のたとえばスピンナー法やスプレー法を用いてもよい。
【0116】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施例で用いた有機金属溶液の塗布
による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ法、
あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
3)次に、図16(c)に示すように、フォーミング用
電源1110から素子電極1102と1103の間に適
宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行って、電
子放出部1105を形成する。
【0117】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好
適な構造に変化した部分(すなわち電子放出部110
5)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。
なお、電子放出部1105が形成される前と比較する
と、形成された後は素子電極1102と1103の間で
計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0118】通電方法をより詳しく説明するために、図
17に、フォーミング用電源1110から印加する適宜
の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄
膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ま
しく、本実施例の場合には同図に示したようにパルス幅
T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加し
た。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇
圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニタ
ーするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角波
パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計11
11で計測した。
【0119】実施例においては、たとえば10-5[To
rr]程度の真空雰囲気下において、たとえばパルス幅
T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]
とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ昇
圧した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1回
の割りで、モニターパルスPmを挿入した。フォーミン
グ処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニターパ
ルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そして、
素子電極1102と1103の間の電気抵抗が1×10
6[オーム]になった段階、すなわちモニターパルス印
加時に電流計1111で計測される電流が1×10
-7[A]以下になった段階で、フォーミング処理にかか
わる通電を終了した。
【0120】なお、上記の方法は、本実施例の表面伝導
型電子放出素子に関する好ましい方法であり、たとえば
微粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表
面伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、それ
に応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。4)
次に、図16(d)に示すように、活性化用電源111
2から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を
印加し、通電活性化処理を行って、電子放出特性の改善
を行う。
【0121】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部1105に適宜の条
件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物
を堆積せしめる処理のことである。図16(d)におい
ては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1
113として模式的に示した。なお、通電活性化処理を
行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧にお
ける放出電流を典型的には100倍以上に増加させるこ
とができる。
【0122】具体的には、10-4ないし10-5[Tor
r]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に
印加することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合
物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。
堆積物1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラフ
ァイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその
混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以
下、より好ましくは300[オングストローム]以下で
ある。
【0123】通電方法をより詳しく説明するために、図
18(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜
の電圧波形の一例を示す。本実施例においては、一定電
圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行った
が、具体的には、矩形波の電圧Vacは14[V]、パ
ルス幅T3は1[ミリ秒]、パルス間隔T4は10[ミ
リ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施例の表
面伝導型電子放出素子に関する好ましい条件であり、表
面伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、それ
に応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0124】図16(d)に示す1114は該表面伝導
型電子放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉する
ためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および
電流計1116が接続されている。なお、基板1101
を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う
場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114
として用いる。活性化用電源1112から電圧を印加す
る間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活
性化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源111
2の動作を制御する。電流計1116で計測された放出
電流Ieの一例を図18(b)に示すが、活性化電源1
112からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過
とともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほ
とんど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほ
ぼ飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加
を停止し、通電活性化処理を終了する。
【0125】なお、上述の通電条件は、本実施例の表面
伝導型電子放出素子に関する好ましい条件であり、表面
伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、それに
応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0126】以上のようにして、図16(e)に示す平
面型の表面伝導型電子放出素子を製造した。 (垂直型の表面伝導型電子放出素子)次に、電子放出部
もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面伝導型電
子放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち垂直
型の表面伝導型電子放出素子の構成について説明する。
【0127】図19は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜、である。
【0128】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、片方の素子電極1202が段差形成部材1206上
に設けられており、導電性薄膜1204が段差形成部材
1206の側面を被覆している点にある。したがって、
前記図15の平面型における素子電極間隔Lは、垂直型
においては段差形成部材1206の段差高Lsとして設
定される。なお、基板1201、素子電極1202およ
び1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、に
ついては、前記平面型の説明中に列挙した材料を同様に
用いることが可能である。また、段差形成部材1206
には、たとえばSiO2 のような電気的に絶縁性の材料
を用いる。
【0129】次に、垂直型の表面伝導型電子放出素子の
製法について説明する。図20の(a)〜(f)は、製
造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記
図19と同一である。 1)まず、図20(a)に示すように、基板1201上
に素子電極1203を形成する。 2)次に、同図(b)に示すように、段差形成部材を形
成するための絶縁層を積層する。絶縁層は、たとえばS
iO2 をスパッタ法で積層すればよいが、たとえば真空
蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用いてもよい。 3)次に、同図(c)に示すように、絶縁層の上に素子
電極1202を形成する。 4)次に、同図(d)に示すように、絶縁層の一部を、
たとえばエッチング法を用いて除去し、素子電極120
3を露出させる。 5)次に、同図(e)に示すように、微粒子膜を用いた
導電性薄膜1204を形成する。形成するには、前記平
面型の場合と同じく、たとえば塗布法などの成膜技術を
用いればよい。 6)次に、前記平面型の場合と同じく、通電フォーミン
グ処理を行い、電子放出部を形成する(図16(c)を
用いて説明した平面型の通電フォーミング処理と同様の
処理を行えばよい。)。 7)次に、前記平面型の場合と同じく、通電活性化処理
を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆
積させる(図16(d)を用いて説明した平面型の通電
活性化処理と同様の処理を行えばよい。)。
【0130】以上のようにして、図20(f)に示す垂
直型の表面伝導型電子放出素子を製造した。 (表示装置に用いた表面伝導型電子放出素子の特性)以
上、平面型と垂直型の表面伝導型電子放出素子について
素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用いた素
子の特性について述べる。
【0131】図21に、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素
子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例
を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、
これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータ
を変更することにより変化するものであるため、2本の
グラフは各々任意単位で図示した。
【0132】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0133】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
【0134】すなわち、放出電流Ieに関して、明確な
閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0135】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0136】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0137】以上のような特性を有するため、表面伝導
型電子放出素子を表示装置に好適に用いることができ
た。たとえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設
けた表示装置において、第一の特性を利用すれば、表示
画面を順次走査して表示を行うことが可能である。すな
わち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電
圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子に
は閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子
を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査
して表示を行うことが可能である。
【0138】また、第二の特性かまたは第三の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、階調表示を行うことが可能である。 (多数素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム
源の構造)次に、上述の表面伝導型電子放出素子を基板
上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム
源の構造について述べる。
【0139】図22に示すのは、前記図27の表示パネ
ルに用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上
には、前記図15で示したものと同様な表面伝導型電子
放出素子が配列され、これらの素子は行方向配線電極1
003と列方向配線電極1004により単純マトリクス
状に配線されている。行方向配線電極1003と列方向
配線電極1004の交差する部分には、電極間に絶縁層
(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれて
いる。
【0140】図22のB−B′に沿った断面を、図23
に示す。
【0141】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上に行方向配線電極1013、列方向配
線電極1014、電極間絶縁層(不図示)、および表面
伝導型電子放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した
後、行方向配線電極1013および列方向配線電極10
14を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と
通電活性化処理を行うことにより製造した。 (駆動回路構成および駆動方法)図26は、NTSC方
式のテレビ信号に基づいてテレビジョン表示を行う為の
駆動回路の概略構成をブロック図で示したものである。
同図中、表示パネル1701は前述した表示パネルに相
当するもので、前述した様に製造され、動作する。ま
た、走査回路1702は表示ラインを走査し、制御回路
1703は走査回路1702へ入力する信号等を生成す
る。シフトレジスタ1704は1ライン毎のデータをシ
フトし、ラインメモリ1705は、シフトレジスタ17
04からの1ライン分のデータを変調信号発生器170
7に入力する。同期信号分離回路1706はNTSC信
号からの同期信号を分離する。
【0142】以下、図26の装置各部の機能を詳しく説
明する。
【0143】まず表示パネル1701は、端子Dx1な
いしDxmおよび端子Dy1ないしDyn、および高圧
端子Hvを介して外部の電気回路と接続されている。こ
のうち、端子Dx1ないしDxmには、表示パネル17
01内に設けられているマルチ電子ビーム源、すなわち
m行n列の行列状にマトリクス配線された冷陰極素子を
1行(n素子)ずつ順次駆動してゆく為の走査信号が印
加される。一方、端子Dy1ないしDynには、前記走
査信号により選択された1行分のn個の各素子の出力電
子ビームを制御する為の変調信号が印加される。また、
高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、たとえば5
[kV]の直流電圧が供給されるが、これはマルチ電子
ビーム源より出力される電子ビームに蛍光体を励起する
のに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0144】次に、走査回路1702について説明す
る。同回路は、内部にm個のスイッチング素子(図中、
S1ないしSmで模式的に示されている)を備えるもの
で、各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧
もしくは0[V](グランドレベル)のいずれか一方を
選択し、表示パネル1701の端子Dx1ないしDxm
と電気的に接続するものである。S1ないしSmの各ス
イッチング素子は、制御回路1703が出力する制御信
号Tscanに基づいて動作するものだが、実際にはたとえ
ばFETのようなスイッチング素子を組み合わせること
により容易に構成することが可能である。なお、前記直
流電圧源Vxは、図21に例示した電子放出素子の特性
に基づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が
電子放出しきい値電圧Vth電圧以下となるよう、一定
電圧を出力するよう設定されている。
【0145】また、制御回路1703は、外部より入力
する画像信号に基づいて適切な表示が行われるように各
部の動作を整合させる働きをもつものである。次に説明
する同期信号分離回路1706より送られる同期信号T
syncに基づいて、各部に対してTscanおよびTsft およ
びTmry の各制御信号を発生する。同期信号分離回路1
706は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信
号から、同期信号成分と輝度信号成分とを分離する為の
回路で、良く知られているように周波数分離(フィル
タ)回路を用いれば容易に構成できるものである。同期
信号分離回路1706により分離された同期信号は、良
く知られるように垂直同期信号と水平同期信号より成る
が、ここでは説明の便宜上、Tsync信号として図示し
た。一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信
号成分を便宜上DATA信号と表すが、同信号はシフト
レジスタ1704に入力される。
【0146】シフトレジスタ1704は、時系列的にシ
リアルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライ
ン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記
制御回路1703より送られる制御信号Tsft に基づい
て動作する。すなわち、制御信号Tsft は、シフトレジ
スタ1704のシフトクロックであると言い換えること
もできる。シリアル/パラレル変換された画像1ライン
分(電子放出素子n素子分の駆動データに相当する)の
データは、Id1ないしIdnのn個の信号として前記
シフトレジスタ1704より出力される。
【0147】ラインメモリ1705は、画像1ライン分
のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路1703より送られる制御信号Tmry にし
たがって適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記
憶された内容は、I′d1ないしI′dnとして出力さ
れ、変調信号発生器1707に入力される。
【0148】変調信号発生器1707は、前記画像デー
タI′d1ないしI′dnの各々に応じて、電子放出素
子1015の各々を適切に駆動変調する為の信号源で、
その出力信号は、端子Dy1ないしDynを通じて表示
パネル1701内の電子放出素子1015に印加され
る。
【0149】図21を用いて説明したように、表面伝導
型電子放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性
を有している。すなわち、電子放出には明確な閾値電圧
Vth(後述する実施例の表面伝導型電子放出素子では
8[V])があり、閾値Vth以上の電圧を印加された
時のみ電子放出が生じる。また、電子放出閾値Vth以
上の電圧に対しては、図21のグラフのように電圧の変
化に応じて放出電流Ieも変化する。このことから、本
素子にパルス状の電圧を印加する場合、たとえば電子放
出閾値Vth以下の電圧を印加しても電子放出は生じな
いが、電子放出閾値Vth以上の電圧を印加する場合に
は表面伝導型電子放出素子から電子ビームが出力され
る。その際、パルスの波高値Vmを変化させることによ
り出力電子ビームの強度を制御することが可能である。
また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力され
る電子ビームの電荷の総量を制御することが可能であ
る。
【0150】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器1707として、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの
波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いるこ
とができる。また、パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器1707として、一定の波高値の
電圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電
圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路
を用いることができる。
【0151】シフトレジスタ1704やラインメモリ1
705は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式の
ものでも採用できる。すなわち、画像信号のシリアル/
パラレル変換や記憶が所定の速度で行われればよいから
である。
【0152】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路1706の出力信号DATAをデジタル信号
化する必要があるが、これには同期信号分離回路170
6の出力部にA/D変換器を設ければよい。これに関連
してラインメモリ1705の出力信号がデジタル信号か
アナログ信号かにより、変調信号発生器に用いられる回
路が若干異なったものとなる。すなわち、デジタル信号
を用いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器1707
には、例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅
回路などを付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信
号発生器1707には、例えば高速の発振器および発振
器の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)および
計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器
(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いる。必要に
応じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号
を電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増
幅器を付加することもできる。
【0153】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器1707には、例えばオペアンプな
どを用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてシフトレ
ベル回路などを付加することもできる。パルス幅変調方
式の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)
を採用でき、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧まで
電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0154】このような構成をとりうる本発明の適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dx1乃至Dxm、Dy1乃至Dynを介して電
圧を印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子
Hvを介してメタルバックあるいは透明電極(不図示)
に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電
子は、蛍光膜1018に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。
【0155】ここで述べた画像表示装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の思
想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号につい
てはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限るも
のではなく、PAL,SECAM方式など他、これらよ
り多数の走査線からなるTV信号(MUSE方式をはじ
めとする高品位TV方式)をも採用できる。 (はしご型電子源)次に、前述のはしご型配置電子源基
板およびそれを用いた画像表示装置について図24およ
び図25を用いて説明する。
【0156】図24において、1110は電子源基板、
1111は電子放出素子、1112のDx1〜Dx10
は前記電子放出素子に接続する共通配線である。電子放
出素子1111は、基板1110上に、X方向に並列に
複数個配置される(これを素子行と呼ぶ)。この素子行
を複数個基板上に配置し、はしご型電子源基板となる。
各素子行の共通配線間に適宜駆動電圧を印加すること
で、各素子行を独立に駆動することが可能になる。すな
わち、電子ビームを放出させる素子行には、電子放出閾
値以上の電圧の電子ビームを、放出させない素子行には
電子放出閾値未満の電圧を印加すればよい。また、各素
子行間の共通配線Dx2〜Dx9を、例えばDx2、D
x3を同一配線とするようにしてもよい。
【0157】図25は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置の構造を示す図である。1120はグリッ
ド電極、1121は電子が通過するための空孔、112
2はDox1、Dox2…Doxmよりなる容器外端
子、1123はグリッド電極1120と接続されたG
1、G2…Gnからなる容器外端子、1124は前述の
ように各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基
板である。なお、図24、図25と同一の符号は同一の
部材を示す。前述の単純マトリクス配置の画像形成装置
との違いは、電子源基板1124とフェースプレート1
086の間にグリッド電極1120を備えていることで
ある。
【0158】前述のパネル構造は、電子源配置が、マト
リクス配線やはしご型配置のいずれの場合でも、大気圧
構造上必要に応じて、フェースプレートとリアプレート
の間にスペーサ部材(不図示)を設けることができる。
【0159】基板1124とフェースプレート1086
の中間には、グリッド電極1120が設けられている。
グリッド電極1120は、表面伝導型電子放出素子から
放出された電子ビームを変調することができるもので、
はしご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ
状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応
して1個ずつ円形の開口1121が設けられている。グ
リッドの形状や設置位置は必ずしも図25のようなもの
でなくともよく、開口としてメッシュ状に多数の通過口
を設けることもあり、また例えば表面伝導型電子放出素
子の周囲や近傍に設けてもよい。材料としては、導電性
のあるもので且つ熱膨張率が表示パネル材に近いものが
好ましい。たとえば、表示パネル材が青板ガラスとする
と、426合金等がある。
【0160】容器外端子1122およびグリッド容器外
端子1123は、不図示の制御回路と電気的に接続され
ている。
【0161】本画像形成装置では、素子行を1列ずつ順
次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に
画像1ライン分の変調信号を同時に印加することによ
り、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1
ラインずつ表示することができる。
【0162】また、本発明によればテレビジョン放送の
表示装置のみならずテレビ会議システム、コンピュータ
等の表示装置に適した画像形成装置を提供することがで
きる。さらには感光性ドラム等で構成された光プリンタ
ーとしての画像形成装置として用いることもできる。
【0163】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳述
する。
【0164】以下に述べる各実施例においては、マルチ
電子ビーム源として、前述した、電極間の導電性微粒子
膜に電子放出部を有するタイプのN×M個(N=307
2、M=1024)の表面伝導型電子放出素子を、M本
の行方向配線とN本の列方向配線とによりマトリクス配
線(図27参照)したマルチ電子ビーム源を用いた。
【0165】[実施例1]本実施例においては、マルチ
電子ビーム源として、前述した、電極間の導電性微粒子
膜に電子放出部を有するタイプのN×M個(N=307
2、M=1024)の表面伝導型電子放出素子を、M本
の行方向配線とN本の列方向配線とによりマトリクス配
線(図27参照)したマルチ電子ビーム源を用いた。
【0166】本実施例で用いる構造支持体(スペーサ)
を以下のように作成した。板状形状のアルミナ(Al2
3)を切削加工、研磨することにより、図1に示すよ
うに、電子源(カソード)側から電子線被照射部(アノ
ード)側へ向かって広がり角θ=21度となる複数の傾
斜面からなる多段構造を形成した。構造支持体の寸法は
長手方向40mm、底面幅0.2mm、高さdは約2.
8mmであり、傾斜面の突起高さは100μmである。
θ=21度であるから傾斜面のピッチは260μmであ
る。傾斜面の段数は7段とし、多段構造の領域の高さは
約0.6dである。導電膜はスペーサの側面全面にレジ
ストを塗布した後、パターニングを行い、アノード側よ
りAlを蒸着して、その後レジストを除去することによ
り形成した。Alの厚さは約1000Åとした。図1に
示すスペーサの側面、正面方向から見た断面図をそれぞ
れ図4(a)、図4(b)に示す。なお、図4では導電
膜は省略している。この構造支持体を行方向配線上に配
置し、導電性フリットガラスを用いて構造支持体の底面
と上面をそれぞれ行方向配線、アノード電極と電気的に
接続して、電位を規定している。導電性フリットガラス
は、フリットガラスに表面を金コーティングした導電性
微粒子を混合したものを使用している。本実施例では、
上述のスペーサを使用し図27に示す表示パネルを作製
した。
【0167】以下、図27及び図28を用いて詳述す
る。まず、あらかじめ基板上に行方向配線電極101
3、列方向配線電極1014、電極間絶縁層(不図
示)、及び表面伝導型電子放出素子の素子電極と導電性
薄膜を形成した基板1011を、リアプレート1015
に固定した。電子源基板の作製方法は実施態様で示した
通りである。次に、アルミナからなる広がり角θで規定
された複数の傾斜面からなる多段構造を設けた絶縁性部
材の構造支持体1020を基板1011の行方向配線1
013上に等間隔で、行方向配線1013と平行に固定
した。その後、基板1011の3mm上方に、内面と蛍
光膜1018とメタルバック1019が付設されたフェ
ースプレート1017を側壁1016を介し配置し、リ
アプレート1015、フェースプレート1017、側壁
1016及びスペーサ1020の各接合部を固定した。
なお、側壁1016の真空側の面には前述した広がり角
θを設けてある。
【0168】基板1011とリアプレート1015の接
合部、リアプレート1015と側壁1016の接合部、
及びフェースプレート1017と側壁1016の接合部
は、フリットガラス(不図示)を塗布し、大気中で40
0℃乃至500℃で10分以上焼成することで封着し
た。
【0169】また、スペーサ1020は、基板1011
側では行方向配線1013(線幅300[マイクロメー
トル])上に、フェースプレート1017側ではメタル
バック1019面上に、導電性のフィラーあるいは金属
等の導電材を混合した導電性フリットガラス(不図示)
を介して配置し、上記気密容器の封着と同時に、大気中
で400℃乃至500℃で10分以上焼成することで封
着し、かつ電気的な接続も行った。
【0170】なお、本実施例においては、蛍光膜101
8は、図14に示すように、各色蛍光体が列方向(Y方
向)に延びるストライプ形状を採用し、黒色の導電体1
010は各色蛍光体(R、G、B)間だけでなく、Y方
向の各画素間をも分離するように配置された蛍光膜が用
いられ、スペーサ1020は、行方向(X方向)に平行
な黒色の導電体1010領域(線幅250[マイクロメ
ートル])内にメタルバック1019を介して配置され
た。なお、前述の封着を行う際には、各色蛍光体と基板
1011上に配置された各素子とを対応させなくてはい
けないため、リアプレート1015、フェースプレート
1017及びスペーサ1020は十分な位置合わせを行
った。
【0171】以上のようにして完成した気密容器内を排
気管(不図示)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真
空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜
Dynを通じ、行方向配線電極1013及び列方向配線
電極1014を介して各素子に給電して前述の通電フォ
ーミング処理と通電活性化処理を行うことによりマルチ
電子ビーム源を製造した。
【0172】次に、10-6[Torr]程度の真空度
で、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着
し外囲器(気密容器)の封止を行った。
【0173】最後に、封止後の真空度を維持するため
に、ゲッター処理を行った。
【0174】以上のように完成した、図27及び図28
に示されるような表示パネルを用いた画像表示装置にお
いて、各冷陰極素子(表面伝導型電子放出素子)101
2には、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを
通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段よ
りそれぞれ印加することにより電子を放出させ、メタル
バック1019には、高圧端子Hvを通じて高圧を印加
することにより放出電子ビームを加速し、蛍光膜101
8に電子を衝突させ、各色蛍光体(図14のR、G、
B)を励起・発光させることで画像を表示した。なお、
高圧端子Hvへの印加電圧Vaは5[kV]、各配線1
013、1014間への印加電圧Vfは14[V]とし
た。
【0175】さらに、傾斜多段構造領域の高さhをh=
0、0.3d(段数4段)及びd(側面部全面傾斜加
工。)とした構造支持体を作製し、上記に示した方法で
表示パネルを作製し、傾斜面を形成していない構造支持
体(h=0)を用いて作製した表示パネルと傾斜面を形
成した構造支持体を用いて作製した表示パネル(h=
0.3d,0.6d,d)の比較検討を行った。その結
果、h=0の構造支持体を用いて作製した表示パネルと
比較して、傾斜面を形成した構造支持体を用いて作製し
た表示パネルにおいては放電等も見られることなく、安
定した駆動が可能であり、本発明の有効性を確認するこ
とができた。スペーサ1020と側壁部1016に近い
位置にある冷陰極素子1012からの放出電子による発
光スポットも含め、すべての2次元状の発光スポット列
に歪みや色ずれが無いかを主観的に評価を行った。その
結果を図6に示す。
【0176】h=0.3dの領域に多段傾斜面を形成す
ることにより、従来の平滑な板状の構造支持体と比較し
て等間隔の発光スポット列において歪みや色ずれ等に改
善が見られた。さらにh=0.6dとすることで全面に
多段傾斜面を形成したものと同等の効果がみられた。す
なわち本発明に基づいた構造支持体を用いることによ
り、鮮明で色再現性がよいカラー画像表示装置ができ
た。
【0177】従来の平滑な板状の構造支持体の場合と比
較して、効果が得られるのは、
【0178】
【数17】h≧0.3d であり、好ましくは、
【0179】
【数18】h≧0.6d であることが確認された。
【0180】さらに、傾斜面の角度θを種々変えて同様
の検討を行った結果、効果が得られるのはθ=7°から
θ=42°の範囲であった。θ=7°より下の角度にお
いては、耐高電圧性における効果がみられなくなり、ま
たθ=42°を超える角度においては電子ビームが反発
されることにより、画像の非表示部が見られるようにな
った。このことから、本発明の効果が得られるのは、 θ=0.3tan-1(1/k) 〜 2tan-1(1/k) の範囲であることが確認された。ただし、k=(0.5
×(Ai1/As −1)) 0.5 であり、Ai1は前記構造支
持体の二次電子放出係数が1となる最小エネルギーであ
り、As は前記構造支持体から射出される二次電子の平
均射出エネルギーである。
【0181】また、図24と図25に示すように(構造
支持体は不図示)、電極間の導電性微粒子膜に電子放出
部を有するタイプのN×M個(N=3072、M=10
24)の表面伝導型電子放出素子を配置したはしご型配
置電子源基板をマルチ電子ビーム線として用いた場合に
ついても、上記と同様の検討を行った。その結果、マト
リクス配置電子源基板の場合と全く同様であり、本発明
の有効性、有用性が示された。
【0182】さらに構造支持体の形状を図2に示すよう
な円断面の柱状形状とした場合、及び構造支持体材料と
してジルコニア、及びアルミナとジルコニアの混合材料
を用いた場合においても、同様の効果が得られた。
【0183】[実施例2]本実施例においては、マルチ
電子ビーム源として、前述した、電極間の導電性微粒子
膜に電子放出部を有するタイプのN×M個(N=24
0、M=80)の表面伝導型電子放出素子を、M本の行
方向配線とN本の列方向配線とによりマトリクス配線
(図27参照)したマルチ電子ビーム源を用いた。
【0184】本実施例で作製した構造支持体は青板ガラ
ス(ソーダライムガラス)であり、図3(a)に示すよ
うに構造支持体下部(電子源側)の辺を面取り加工する
ことにより規定された角度を持つ傾斜面を形成した。側
壁は広がり角θ=29度となるように青板ガラスを切削
加工、研磨して作製した。構造支持体の寸法は長手方向
40mm、底面幅0.1mm、高さ約2.8mmであ
る。傾斜面の領域の高さhは0.3dであり、θ=29
度であるので、上面幅は約1.0mmである。この構造
支持体を行方向配線上に配置し、導電性フリットガラス
を用いて構造支持体の底面と上面をそれぞれ行方向配
線、アノード電極と電気的に接続して、電位を規定して
いる。導電性フリットガラスは、フリットガラスに表面
を金コーティングした導電性微粒子を混合したものを使
用している。
【0185】本実施例では、表示パネルのその他の構成
や作製方法は図27の実施例1と同様であるので省略す
る。
【0186】図27及び図28に示されるような表示パ
ネルを用いた画像表示装置において、各冷陰極素子(表
面伝導型電子放出素子)1012には、容器外端子Dx
1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、走査信号及び変調
信号を不図示の信号発生手段よりそれぞれ印加すること
により電子を放出させ、メタルバック1019には、高
圧端子Hvを通じて高圧を印加することにより放出電子
ビームを加速し、蛍光膜1018に電子を衝突させ、各
色蛍光体21a(図13のR、G、B)を励起・発光さ
せることで画像を表示した。なお、高圧端子Hvへの印
加電圧Vaは5[kV]、各配線1013、1014間
への印加電圧Vfは14[V]とした。
【0187】さらに、傾斜面領域の高さhが0、0.6
d及びd(全面傾斜面)の構造支持体を作製し、上記に
示した通りの方法で表示パネルを作製し、傾斜面を形成
していない構造支持体(h=0)を用いて作製した表示
パネルと傾斜面を形成した構造支持体を用いて作製した
表示パネル(h=0.3d,0.6d,d)の比較検討
を行った。その結果、傾斜面を形成した構造支持体を用
いて作製した表示パネルにおいては、放電が見られるこ
となく、安定した駆動が可能であり、本発明の有効性を
確認することができた。またスペーサ1020と側壁部
1016に近い位置にある冷陰極素子1012からの放
出電子による発光スポットも含め、すべての2次元状の
発光スポット列に歪みや色ずれが無いかを主観的に評価
を行った。その結果を図8に示す。h=0.3dの傾斜
面を形成することで等間隔の発光スポット列が形成され
歪みや色ずれが気にならない程度となり、h=0.6d
の傾斜面を形成することで歪みや色ずれはまったく気に
ならなくなった。つまり本発明に基づいた構造支持体を
用いることにより、鮮明で色再現性のよいカラー画像表
示ができた。このことは、スペーサ1020を設置して
も電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発生しな
かったことを示している。
【0188】本実施例においても、傾斜面を形成してい
ない構造支持体の場合と比較して効果が見られるのは、
【0189】
【数19】d≧0.3d であり、好ましくは、
【0190】
【数20】h≧0.6d であることが確認された。
【0191】さらに、実施例1と同様に、種々の角度の
傾斜面についても同様の検討を行った結果、本発明の効
果が見られるのは、θ=9°からθ=58°の範囲であ
った。すなわち、本発明の効果が得られるのは、 θ=0.3tan-1(1/k) 〜 2tan-1(1/k) の範囲であることが確認された。
【0192】また、図24と図25に示すように(構造
支持体は不図示)、電極間の導電性微粒子膜に電子放出
部を有するタイプのN×M個(N=3072、M=10
24)の表面伝導型電子放出素子を配置したはしご型配
置電子源基板をマルチ電子ビーム線として用いた場合に
ついても、上記と同様の検討を行った。その結果、マト
リクス配置電子源基板の場合と全く同様であり、本発明
の有効性、有用性が示された。
【0193】[実施例3]本実施例で用いる構造支持体
は図3(b)に示す円筒形状の底面側の円周部を規定角
度θとなるように面取り加工したものである。構造支持
体の材料にはアルミナを使用し、モールド法により作製
した。その後、仕上げ研磨を行い、表示パネルに使用す
る構造支持体とした。高さdは200μmであり、広が
り角θはθ=21度であり、傾斜面を形成した領域の高
さhは120μm(0.6d)である。カソード側直径
φ50μm、アノード側直径はφ142μmである。
【0194】この構造支持体を行、列方向配線の交点直
上の行方向配線の上に配置し、導電性フリットガラスを
用いて構造支持体の底面と上面をそれぞれ行方向配線、
アノード電極と電気的に接続して、電位を規定してい
る。導電性フリットガラスはフリットガラスに、表面を
金コーティングした導電性微粒子を混合したものを使用
している。
【0195】本実施例では、表示パネルのその他の構成
や作製方法は図27の実施例1と同様であるので省略す
る。
【0196】以上のように完成した、図29及び図30
に示されるような表示パネルを用いた画像表示装置にお
いて、各冷陰極素子(表面伝導型電子放出素子)101
2には、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを
通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段よ
りそれぞれ印加することにより電子を放出させ、メタル
バック1019には、高圧端子Hvを通じて高圧を印加
することにより放出電子ビームを加速し、蛍光膜101
8に電子を衝突させ、各色蛍光体(図14のR、G、
B)を励起・発光させることで画像を表示した。なお、
高圧端子Hvへの印加電圧Vaは0.5[kV]ないし
1[kV]、各配線1013、1014間への印加電圧
Vfは14[V]とした。なお、本実施例3では加速電
圧が低いため、メタルバック(図29、図30中)を略
した構造をとっている。
【0197】比較例として、面取りを行わない円筒形状
の構造支持体を作製し、上記に示した通りの方法で表示
パネルを作製し、本実施例の表示パネルとの比較検討を
行った。その結果、傾斜面を形成した構造支持体を用い
た表示パネルにおいては、放電が見られることもなく安
定した駆動が可能であり、本発明の有効性を確認するこ
とができた。またスペーサ1020と側壁部1016に
近い位置にある冷陰極素子1012からの放出電子によ
る発光スポットも含め、すべての2次元状の発光スポッ
ト列に歪みや色ずれが無いかを主観的に評価を行い、本
発明に基づく方法の方が優れた結果を得ることができ
た。
【0198】また、図24と図25に示すように(構造
支持体は不図示)、電極間の導電性微粒子膜に電子放出
部を有するタイプのN×M個(N=3072、M=10
24)の表面伝導型電子放出素子を配置したはしご型配
置電子源基板をマルチ電子ビーム線として用いた場合に
ついても、上記と同様の検討を行った。その結果、マト
リクス配置電子源基板の場合と全く同様であり、本発明
の有効性、有用性が示された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施例の構造支持体の概略斜
視図である。
【図2】本発明における他の実施例の構造支持体の概略
斜視図である。
【図3】本発明における更に他の実施例の構造支持体の
概略斜視図である。
【図4】本発明における第一の実施例の構造支持体の側
面図および正面図である。
【図5】本発明における実施例で使用した構造支持体の
材料物性一覧表である。
【図6】本発明における第一の実施例の主観評価結果を
示す図である。
【図7】本発明における第二の実施例の主観評価結果を
示す図である。
【図8】二次電子放出係数δと入射エネルギーの関係の
模式図である。
【図9】帯電が安定した状態における構造支持体表面の
二次電子ホッピングを示す模式図である。
【図10】帯電が安定した状態における傾斜面を有する
構造支持体表面の二次電子ホッピングを示す模式図であ
る。
【図11】帯電が安定した状態における傾斜面を有する
構造支持体表面の二次電子ホッピングを示す詳細図であ
る。
【図12】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列
を例示した平面図である。
【図13】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列
を例示した平面図である。
【図14】(a)は実施例で用いた平面型の表面伝導型
電子放出素子の平面図、(b)はその断面図である。
【図15】平面型の表面伝導型電子放出素子の製造工程
を示す断面図である。
【図16】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を
示す図である。
【図17】(a)は通電活性化処理の際の印加電圧波形
を示す図、(b)は放出電流Ieの変化を示す図であ
る。
【図18】実施例で用いた垂直型の表面伝導型電子放出
素子の断面図である。
【図19】垂直型の表面伝導型電子放出素子の製造工程
を示す断面図である。
【図20】実施例で用いた表面伝導型電子放出素子の典
型的な特性を示すグラフである。
【図21】実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の
平面図である。
【図22】実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の
一部断面図である。
【図23】はしご型配置電子源基板の平面図である。
【図24】はしご型配置電子源基板を用いた画像表示装
置の表示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図であ
る。
【図25】本発明の実施例である画像表示装置の駆動回
路の概略構成を示すブロック図である。
【図26】本発明の実施例である画像表示装置の、表示
パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図27】本発明の実施例である表示パネルのA−A′
断面図である。
【図28】本発明の他の実施例である画像表示装置の、
表示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図29】本発明の他の実施例である表示パネルのA−
A′断面図である。
【図30】従来知られた表面伝導型電子放出素子の一例
を示す図である。
【図31】従来知られたFE型素子の一例を示す図であ
る。
【図32】従来知られたMIM型素子の一例を示す図で
ある。
【図33】画像表示装置の表示パネルの一部を切り欠い
て示した斜視図である。
【符号の説明】
1011 基板 1012 冷陰極素子 1013 行方向配線 1014 列方向配線 1015 リアプレート 1016 側壁 1017 フェースプレート 1018 蛍光膜 1019 メタルバック 1020 スペーサ

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子を放出する電子源と、前記電子源よ
    り放出された電子を照射する電子線被照射部と、前記電
    子源と前記電子線被照射部との間に配置された構造体
    と、を有する電子線装置において、 前記構造体の側壁部の一部領域が、前記電子源から前記
    電子線被照射部方向に次式で表される角度θの範囲で広
    がる傾斜面からなることを特徴とする電子線装置。 【数1】θ=0.3tan-1(1/k)〜2.0tan
    -1(1/k) k=(0.5×(Ai1/As −1))0.5 、Ai1は前記
    構造体の二次電子放出係数が1となる最小エネルギー、
    s は前記構造体から放出される二次電子の初期放出エ
    ネルギー
  2. 【請求項2】 電子を放出する電子源と、前記電子源よ
    り放出された電子を制御する電極と、前記電子源より放
    出された電子を照射する電子線被照射部と、前記電子源
    と前記電極との間、および前記電極と電子線被照射部と
    の間に配置された構造体と、を有する電子線装置におい
    て、 前記構造体の側壁部の一部領域が、前記電子源から前記
    電子線被照射部方向に次式で表される角度θの範囲で広
    がる傾斜面からなることを特徴とする電子線装置。 【数2】θ=0.3tan-1(1/k)〜2.0tan
    -1(1/k) k=(0.5×(Ai1/As −1))0.5 、Ai1は前記
    構造体の二次電子放出係数が1となる最小エネルギー、
    s は前記構造体から放出される二次電子の初期放出エ
    ネルギー
  3. 【請求項3】 前記構造体の側壁部の広がり角θが、 【数3】θ=tan-1(1/k) であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    電子線装置。
  4. 【請求項4】 前記構造体の側壁部の一部領域が、前記
    角度θの範囲で広がる複数の傾斜面からなる多段構造を
    有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求
    項に記載の電子線装置。
  5. 【請求項5】 前記構造体の側壁部の前記多段構造が形
    成された領域において、前記多段構造の前記電子線被照
    射部と対向する面に導電膜が形成されていることを特徴
    とする請求項4に記載の電子線装置。
  6. 【請求項6】 前記構造体の側壁部において、前記角度
    θの範囲で広がる傾斜面からなる領域もしくは複数の傾
    斜面からなる多段構造の領域が、前記構造体の前記電子
    源側より次式で表される高さhまでの範囲で形成されて
    いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの請求項
    に記載の電子線装置。 【数4】0.3×d≦h≦d dは前記電子源と前記電子線被照射部との間の距離(前
    記構造体の高さ)
  7. 【請求項7】 前記構造体の側壁部における、傾斜面か
    らなる領域の最大高さの範囲が、 【数5】h≧0.6d であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの請
    求項に記載の電子線装置。
  8. 【請求項8】 前記構造体は、前記電子源と前記電子線
    被照射部との間隔を支持する支持部材であることを特徴
    とする請求項1〜7のいずれかの請求項に記載の電子線
    装置。
  9. 【請求項9】 前記構造体は、前記電子源と前記電子線
    被照射部の周辺部を固定する枠であることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかの請求項に記載の電子線装置。
  10. 【請求項10】 前記構造体が絶縁部材であることを特
    徴とする請求項1〜9のいずれかの請求項に記載の電子
    線装置。
  11. 【請求項11】 前記構造体がアルミナ或いはジルコニ
    ア、またはアルミナとジルコニアの混合材料からなり、
    その構造体の側壁部の広がり角度θが7度から42度の
    範囲であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれ
    かの請求項に記載の電子線装置。
  12. 【請求項12】 前記構造体がガラス材からなり、その
    構造体の側壁部の広がり角度θが9〜58度の範囲であ
    ることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかの請求
    項に記載の電子線装置。
  13. 【請求項13】 前記電子線装置は、入力信号に応じて
    前記電子源から放出された電子を前記電子線被照射部で
    ある蛍光体に照射して画像を形成する画像形成装置であ
    ることを特徴とする請求項1〜12のいずれかの請求項
    に記載の電子線装置。
  14. 【請求項14】 前記電子源は冷陰極素子であることを
    特徴とする請求項1〜13のいずれかの請求項に記載の
    電子線装置。
  15. 【請求項15】 前記冷陰極素子が電子放出部を含む導
    電性膜を一対の電極間に有する表面伝導型電子放出素子
    であることを特徴とする請求項14に記載の電子線装
    置。
  16. 【請求項16】 前記電子源は、配線が複数の行方向配
    線と複数の列方向配線とでマトリクス配線された、複数
    の冷陰極素子を有する単純マトリクス状配置の電子源で
    あることを特徴とする請求項13〜15のいずれかの請
    求項に記載の電子線装置。
  17. 【請求項17】 前記電子源は、配列された複数の冷陰
    極素子の個々が両端で配線に接続されてなる冷陰極素子
    の行を複数配し、この配線と直交する方向に沿って、前
    記冷陰極素子の上方に配した制御電極により、前記冷陰
    極素子からの電子を制御するはしご状配置の電子源であ
    ることを特徴とする請求項13〜15のいずれかの請求
    項に記載の電子線装置。
  18. 【請求項18】 前記構造体の前記一部領域は、前記電
    子源と前記電子線被照射部材との間の中間よりも電子源
    側の領域を含む請求項1〜17のいずれかの請求項に記
    載の電子源装置。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかの請求項に
    記載の電子線装置において用いられている構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005093778A1 (ja) * 2004-03-29 2005-10-06 Kabushiki Kaisha Toshiba 画像表示装置およびその製造方法

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