JP2000249768A - シンチレータ及びそれを用いた放射線検出器 - Google Patents

シンチレータ及びそれを用いた放射線検出器

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JP2000249768A
JP2000249768A JP5425999A JP5425999A JP2000249768A JP 2000249768 A JP2000249768 A JP 2000249768A JP 5425999 A JP5425999 A JP 5425999A JP 5425999 A JP5425999 A JP 5425999A JP 2000249768 A JP2000249768 A JP 2000249768A
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scintillator
decay time
fluorescence
crystal
radiation
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Hitoshi Nishimura
仁 西村
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光効率が高くかつ室温において極めて減衰
時間が短い蛍光成分を含む蛍光を発するシンチレータ、
並びに分解能の高い放射線検出器、を提供すること。 【解決手段】 放射線の入射に応じて所定の減衰時間を
有する蛍光成分を含む蛍光を発するシンチレータであっ
て、該シンチレータが、下記一般式: CsBr1-xx [式中、xは0.01〜0.1の数である。]で表され
る組成を有する結晶からなり、かつ、前記蛍光成分の減
衰時間が室温にて2ns以下である、ことを特徴とする
シンチレータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線の入射に応
じて蛍光を発するシンチレータ、並びにそれを用いた放
射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無機シンチレータの中で、減衰時
間(decay time、蛍光寿命ともいう)が比較的短く、計測
速度の向上が可能なものとして、CsI(ヨウ化セシウ
ム)シンチレータが高エネルギー粒子の検出や医療機器
に広く使用されてきた。しかしながら、従来のCsIシ
ンチレータにあっては、発光効率は4〜5%と小さく、
また速い蛍光成分の減衰時間が10〜16nsと決して
充分に短いものではなかった(S.Kubota, J.Ruan, M.It
oh, S.Hashimoto, S.Sakuragi "A New Type of Lumines
cence Mechanism in Large Band-Gap Insulators: Prop
osal for Fast Scintillation Materials" Nuclear Ins
truments and Methods in Physics Research A289 (199
0) p.253-260)。
【0003】一方、CsIにRb(ルビジウム)、K
(カリウム)、Br(臭素)、Cl(塩素)等を不純物
としてドープした結晶からなるシンチレータが検討され
ており、CsIに少量のBrをドープすることによって
減衰速度が向上することが開示されている(A.Gektin,
N.Shiran, V.Shlyahturov, A.Belsky "Development ofF
ast Scintillators on the Basis of CsI Doped with H
omological Impurities" Proc. Int. Conf. on Inorgan
ic Scintillators and Their Applications, SCINT95
(1996) Delft University Press, The Netherlands, p.
415-418)。しかしながら、CsIに少量のBrをドー
プした場合であっても減衰時間の減少はごく僅かであ
り、未だ充分なものではなく、一方、Br濃度が高くな
ると結晶が不安定となって分解が発生すると従来は認識
されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、発光効率
が高くかつ室温において極めて減衰時間が短い蛍光成分
を含む蛍光を発するシンチレータ、並びに分解能の高い
放射線検出器、を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、CsBrに少量の
Iをドープした場合に、発光効率が高くかつ極めて減衰
時間が短い蛍光成分を含む蛍光を発するシンチレータを
得られる可能性があることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0006】すなわち、本発明のシンチレータは、放射
線の入射に応じて所定の減衰時間を有する蛍光成分を含
む蛍光を発するシンチレータであって、このシンチレー
タが、下記一般式: CsBr1-xx [式中、xは0.01〜0.1の数である。]で表され
る組成を有する結晶からなり、かつ、前記蛍光成分の減
衰時間が室温にて2ns以下である、ことを特徴とする
ものである。
【0007】また、本発明の放射線検出器は、(a)放
射線の入射に応じて所定の減衰時間を有する蛍光成分を
含む蛍光を発するシンチレータであって、このシンチレ
ータが、下記一般式: CsBr1-xx [式中、xは0.01〜0.1の数である。]で表され
る組成を有する結晶からなり、かつ、前記蛍光成分の減
衰時間が室温にて2ns以下であるシンチレータと、
(b)前記シンチレータから発せられた蛍光を検出する
蛍光検出器と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
好適な実施形態について詳細に説明する。尚、図面中、
同一又は相当部分には同一符号を付することとする。
【0009】先ず、本発明のシンチレータについて説明
する。
【0010】本発明のシンチレータは、下記一般式: CsBr1-xx で表される組成を有する結晶からなるものである。上式
中のxは、結晶中のBr(臭素)原子とI(ヨウ素)原
子との合計数(モル数)に対するI原子の数の比率(モ
ル分率)であり、原料としてCsBr(臭化セシウム)
とCsI(ヨウ化セシウム)との混合物を用いる場合は
原料中のCsIのモル分率に相当する。
【0011】本発明においては、上記xが0.01以上
0.1以下の範囲の数であることが必要である。xが
0.01未満では蛍光強度が弱くなり、他方、xが0.
1を超えると混晶ができず、Iが析出し、格子欠陥が増
加する。また、上記xは0.05以上0.08以下の範
囲の数であることが好ましい。xが上記下限未満ではI
2の数が減少し、蛍光強度が弱くなる傾向にあり、他
方、xが上記上限を超えるとIの析出による格子欠陥が
増加し、早い減衰時間の成分が減少する傾向にある。
【0012】加えて、上記本発明のシンチレータは、放
射線の入射に応じて、室温における減衰時間が2ns以
下、好ましくは1.5ns以下、である蛍光成分を含む
蛍光を発するものである。このように室温における減衰
時間が2ns以下という、極めて減衰時間が短い蛍光成
分を含む蛍光が上記組成の結晶から発せられるというこ
とは、従来は全く認識されておらず、本発明者によって
初めて見出された事実にほかならない。そして、本発明
のシンチレータによって発せられる蛍光は上記のように
室温において極めて減衰時間が短い蛍光成分を含むた
め、その成分を用いることによって非常に分解能が高い
放射線検出器が得られる。他方、減衰時間が短いほどそ
のシンチレータを用いた放射線検出器の分解能の向上が
可能となるが、減衰時間が100ps未満ではシンチレ
ータと組み合わせて用いられる蛍光検出器の分解能を超
えてしまう傾向にあることから、上記減衰時間は100
ps以上であることが好ましい。なお、ここでいう「室
温」とは、300K(27℃)をいう。
【0013】また、本発明のシンチレータによって発せ
られる蛍光は、その発光メカニズムに基づいて通常複数
の減衰成分(蛍光成分)を含んでおり、その場合はそれ
らの減衰成分のうちの少なくとも一つの成分(いわゆる
早い成分(fast component))の減衰時間が室温にて2n
s以下である。このように、本発明のシンチレータによ
って発せられる蛍光は、室温において極めて減衰時間が
短い蛍光成分を少なくとも一つ含むため、その成分を用
いることによって非常に分解能が高い放射線検出器が得
られる。
【0014】なお、ここでいう「減衰時間」とは、シン
チレータによって発せられた蛍光の減衰曲線を以下の方
法にしたがって解析して求めた値である。すなわち、先
ず、蛍光が一つの成分からなる場合は、その減衰曲線は
以下の指数関数: F(t)=k・e-t/τ [式中、tは時間、F(t)は時間に対する蛍光強度の
関数、kは蛍光強度の初期値(k=F(0))、τは減
衰時間、をそれぞれ示す]で表される。そして、減衰時
間は蛍光強度が初期値の1/eに減衰するまでの時間で
あり、以下の関係: F(τ)/F(0)=1/e を満たす値である。
【0015】また、蛍光が二つの成分からなる場合は、
図1に示すように、その減衰曲線は二つの指数関数の
和、すなわち以下の関数: [式中、tは時間、F(t)は時間に対する蛍光強度の
関数、f1(t)は第1成分についての時間に対する蛍
光強度の関数、f2(t)は第2成分についての時間に
対する蛍光強度の関数、k1は第1成分についての蛍光
強度の初期値(k1=f1(0))、k2は第2成分につ
いての蛍光強度の初期値(k2=f2(0))、τ1は第
1成分についての減衰時間、τ2は第2成分についての
減衰時間、をそれぞれ示す]で表される。そして、第1
及び第2成分についての減衰時間はそれぞれ、第1及び
第2成分についての蛍光強度が初期値の1/eに減衰す
るまでの時間であり、以下の関係: f1(τ1)/f1(0)=1/e f2(τ2)/f2(0)=1/e を満たす値である。
【0016】更に、蛍光が三つ以上の成分からなる場合
も同様に、その減衰曲線はその成分数に応じた指数関数
の和で表され、各成分についての減衰時間は各成分につ
いての蛍光強度が初期値の1/eに減衰するまでの時間
として求められる。
【0017】従って、計測データ(蛍光の減衰データ)
を最小二乗法を用いて近似すると共に、その成分数に応
じた数の指数関数を求め、得られた指数関数に基づいて
各成分についての減衰時間が求められる。そして、蛍光
が複数の成分からなる場合は、得られた減衰時間がより
短い成分がより早い成分に対応する。なお、このような
解析方法はシンチレータの特性を評価する方法として一
般的に使用されている方法である。
【0018】本発明のシンチレータに入射される放射線
(励起光)としては、シンチレータに吸収された際にそ
の結晶中に励起状態を形成するものであればよく、例え
ばγ線、α線、β線、X線、紫外線が挙げられる。かか
る放射線(種類、光子エネルギー)に応じて各成分につ
いての蛍光強度は変化するが、上記減衰時間は対象とす
る放射線の影響を受けない。また、本発明のシンチレー
タから発せられる蛍光のピーク波長は、その組成に応じ
て変化するが、概ね287nmである。
【0019】更に、本発明のシンチレータの密度は概ね
4.44g/cm3と比較的高く、それゆえにγ線等の
放射線に対するストッピングパワー、ひいては吸収係数
が高い。また、本発明のシンチレータは、NaI(T
l)の発光強度を100%とした時の相対発光強度(発
光効率)が13.9〜17.5%であり、従来のCsI
シンチレータよりも発光効率が高い。
【0020】上記本発明のシンチレータを製造する方法
は特に制限されないが、大型結晶の合成が可能ないわゆ
る垂直ブリッジマン法が好ましい。垂直ブリッジマン法
とは、試料の融液を入れた縦長のるつぼを所定の温度勾
配をもつ縦型炉(結晶成長炉)の中でゆっくり降下さ
せ、るつぼ中の融液の下端から固化させて結晶を得る方
法である。具体的には、以下の方法が特に好ましい。
【0021】(i)先ず、下記一般式: CsBr1-xx [式中、xは0.01〜0.1の数である。]で表され
る組成となるようにCsBrとCsIとを混合して混合
粉末(試料)を得る。
【0022】(ii)次に、上記混合粉末を縦長のるつぼ
(例えば石英容器)の中に入れた後、るつぼ内を真空状
態(真空度:10-3〜10-5Torr)にしてるつぼを密封
する。
【0023】(iii)その後、上記るつぼを、所定の温度
勾配(高温帯:640〜670℃、低温帯:420〜4
50℃)をもつ縦型炉の高温帯に配置して、上記混合粉
末を融液状態にする。
【0024】(iv)続いて、上記るつぼを、降温速度が
1.2〜4.6℃/hrとなるように上記高温帯から低
温帯にゆっくり降下させ、上記融液をその下端から結晶
化せしめる。それによって、上記本発明のシンチレータ
を構成する結晶が効率良くかつ確実に得られる。
【0025】次に、本発明の放射線検出器について説明
する。図2に、本発明の放射線検出器の好適な一実施形
態を示す。同図に示す放射線検出器は、上記本発明のシ
ンチレータ10と、蛍光検出器としての光電子増倍管2
0とを備えている。具体的には、筒状容器11の中にシ
ンチレータ10が配置されており、筒状容器11の蛍光
出力面12以外の放射線入力面13には反射防止膜14
が形成されている。また、光電子増倍管20は、蛍光入
力面21を有する密封容器22を備えており、蛍光入力
面21の内側に光電面23が形成され、更に密封容器2
2中に収束電極24、ダイノード25及びアノード26
が配置されている。そして、蛍光出力面12と蛍光入力
面21とがシリコンオイル等のカップリング材によって
密着されている。
【0026】このような放射線検出器のシンチレータ1
0に放射線源30から放射線31が入射され、シンチレ
ータ10中の原子に衝突すると、一次的に励起状態が形
成されて蛍光32が発っせられる。次いで、蛍光出力面
12及び蛍光入力面21を透過した蛍光によって光電面
23内の電子が励起されて真空中に光電子33が放出さ
れる。そして、光電子33は収束電極24によって収束
され、ダイノード25によって増倍(二次電子増倍)さ
れた後、二次電子群(電荷)がアノード26から取り出
される。
【0027】このようにして、放射線のエネルギーに比
例した量(強度)の蛍光がシンチレータ10において発
生し、その蛍光量(蛍光強度)に比例した電荷が光電子
増倍管20によって出力されるため、結果的には光電子
増倍管20の出力パルス波高が放射線のエネルギーに比
例する。従って、出力パルスの波高値と計数率を測定す
ることによって放射線のエネルギー分布とその線量を測
定することができる。加えて、本発明のシンチレータに
よって発せられる蛍光は、前述のように室温において2
ns以下という極めて減衰時間が短い蛍光成分を含むた
め、その成分を用いることによって放射線検出器の分解
能の向上が可能となる。
【0028】以上、本発明の放射線検出器の好適な実施
形態について説明したが、本発明の放射線検出器は上記
実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施
形態では蛍光検出器として光電子増倍管を使用している
が、蛍光検出器はフォトダイオード等であってもよい。
また、上記実施形態ではラインフォーカス型の光電子増
倍管を使用しているが、それ以外の型(例えば、ボック
ス型、サーキュラケージ型、ベネシアンブラインド型、
ファインメッシュ型、マイクロチャンネルプレート型)
であってもよい。
【0029】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。
【0030】実施例1 先ず、CsBr(和光純薬(株)製、商品名:臭化セシ
ウム純度99.9% 035-12062)とCsI(和光純薬(株)
製、商品名:ヨウ化セシウム純度99.9% 035-12442)と
の比率(モル比)が95:5となるように混合して混合
粉末(試料)を得た。次に、上記混合粉末6〜8gを石
英製円筒容器(20mmφ×35mmL)の中に入れた後、
容器内を真空状態(真空度:10-5Torr)にして容器を
密封した。その後、上記容器を、所定の温度勾配(高温
帯:670℃、低温帯:420℃)をもつ縦型炉の高温
帯に配置して、上記混合粉末を融液状態にした。続い
て、上記容器を、降温速度が1.2〜4.5℃/hrと
なるように上記高温帯から低温帯にゆっくり降下させ、
上記融液をその下端から結晶化せしめた。
【0031】得られた結晶の組成はCsBr0.950.05
であり、その密度は4.44g/cm3であった。その
結晶を10mmφ×2mmTに切断し、本発明の試料シ
ンチレータを得た。
【0032】(減衰時間の測定)図3に示す測定装置を
使って、遅延同時計数法(delayed-coincidence method)
によって上記シンチレータの減衰時間を測定した。図3
に示す装置においては、リファレンスとしてBaF2シ
ンチレータ50が用いられ、光電子増倍管(PMT、浜
松ホトニクス(株)製)51及び定フラクションデスク
リミネータ(CFD)52を介して時間−振幅変換回路
(TAC)53のスタート入力に接続されている。ま
た、放射線源54として22Naが使用され、放射線源5
4を挟んでBaF2シンチレータ50と上記試料シンチ
レータ55とが等間隔で対向するように配置されてい
る。更に、放射線源54からの放射線が直接入射せずか
つ試料シンチレータ55からのシンチレーション光がシ
ングルフォトンとなるように鉛ブロック56で囲われた
PMT(浜松ホトニクス(株)製)57が配置され、前
置増幅器(fast amp)58、CFD59及び遅延回路60
を介してTAC53のストップ入力に接続されている。
【0033】そして、以下の測定条件: 放射線:γ線(511keV) の下で試料シンチレータ55から発せられた蛍光の減衰
データを多チャンネルアナライザー(MCA)61で求
め、コンピュータ62により減衰データを最小二乗法を
用いて近似すると共に、蛍光成分数に応じた数の指数関
数を前述のようにして求めた。得られた減衰データ、減
衰曲線及び指数関数を図4に示す。
【0034】図4に示した指数関数から明らかなよう
に、早い蛍光成分についての減衰時間(τshort)が
1.4ns、遅い蛍光成分についての減衰時間
(τlong)が13.5nsであり、遅い蛍光成分の光量
に対する早い蛍光成分の光量の比(Sshor t/Slong
は0.22であった。なお、減衰時間(τshort)が1
40psの蛍光成分も含まれていたが、測定システムの
分解能(〜200ps)を超えているのでここでは検討
対象としなかった。
【0035】(相対発光強度の測定)放射線源としてX
線、分光器としてカール・ツァイス社製の商品名:M4
QIII、PMTとして浜松ホトニクス(株)製の商品
名:R−955を用いて、以下の測定条件: 温度:300K の下で試料シンチレータから発せられた蛍光の各波長に
対するスペクトルを測定した。その蛍光スペクトルの積
分値(発光強度)を、同様にして求めたNaI(Tl)
の発光強度と比較したところ、後者の発光強度を100
%とした時に前者の相対発光強度(発光効率)は17.
5%であった。 (蛍光スペクトルの温度依存性及び発光強度の温度依存
性の測定)放射線源としてX線、分光器としてカール・
ツァイス社製の商品名:M4QIII、PMTとして浜松
ホトニクス(株)製の商品名:R−955を用いて試料
シンチレータから発せられた蛍光スペクトルの温度依存
性を測定した。得られた結果を図5に示す。また、その
測定データから発光強度の温度依存性を求め、その結果
を図6に示す。
【0036】実施例2 CsBrとCsIとの比率(モル比)が90:10とな
るように混合した以外は実施例1と同様にして結晶を
得、その結晶を用いて本発明の試料シンチレータを得
た。得られた結晶の組成はCsBr0.900.10であり、
その密度は4.44g/cm3であった。
【0037】上記試料シンチレータを用い、実施例1と
同様にして蛍光の減衰データを求め、その減衰データに
基づいて蛍光成分数に応じた数の指数関数を求めた。得
られた減衰データ、減衰曲線及び指数関数を図7に示
す。図7に示した指数関数から明らかなように、早い蛍
光成分についての減衰時間(τshort)が0.72n
s、遅い蛍光成分についての減衰時間(τlong)が1
0.7nsであり、遅い蛍光成分の光量に対する早い蛍
光成分の光量の比(Sshort/Slong)は0.15であ
った。
【0038】また、上記試料シンチレータを用い、実施
例1と同様にして蛍光の各波長に対するスペクトルを測
定した。得られた結果を図8に示す。また、その測定デ
ータから相対発光強度を求めたところ、NaI(Tl)
の発光強度を100%とした時に相対発光強度(発光効
率)は13.9%であった。
【0039】更に、上記試料シンチレータを用い、実施
例1と同様にして蛍光スペクトルの温度依存性を測定し
た。得られた結果を図9に示す。また、その測定データ
から発光強度の温度依存性を求め、その結果を図10に
示す。
【0040】実施例3 CsBrとCsIとの比率(モル比)が99:1となる
ように混合した以外は実施例1と同様にして結晶を得、
その結晶を用いて本発明の試料シンチレータを得た。得
られた結晶の組成はCsBr0.990.01であり、その密
度は4.44g/cm3であった。
【0041】上記試料シンチレータを用い、実施例1と
同様にして蛍光の各波長に対するスペクトルを測定し、
その測定データから相対発光強度を求めたところ、Na
I(Tl)の発光強度を100%とした時に相対発光強
度(発光効率)は17.1%であった。
【0042】更に、上記試料シンチレータを用い、実施
例1と同様にして蛍光スペクトルの温度依存性を測定し
た。得られた結果を図11に示す。また、その測定デー
タから発光強度の温度依存性を求め、その結果を図12
に示す。
【0043】比較例1 CsBrとCsIとの比率(モル比)が10:90とな
るように混合した以外は実施例1と同様にして結晶を
得、その結晶を用いて試料シンチレータを得た。得られ
た結晶の組成はCsBr0.100.90であり、その密度は
4.5g/cm3であった。
【0044】上記試料シンチレータを用い、実施例1と
同様にして蛍光の各波長に対するスペクトルを測定し、
その測定データから相対発光強度を求めたところ、Na
I(Tl)の発光強度を100%とした時に相対発光強
度(発光効率)は5.1%であった。
【0045】更に、上記試料シンチレータを用い、実施
例1と同様にして蛍光スペクトルの温度依存性を測定し
た。得られた結果を図13に示す。また、その測定デー
タから発光強度の温度依存性を求め、その結果を図14
に示す。
【0046】比較例2 CsBrのみを原料として用いた以外は実施例1と同様
にして結晶を得、その結晶を用いて試料シンチレータを
得た。得られた結晶の組成はCsBrであり、その密度
は4.44g/cm3であった。
【0047】上記試料シンチレータを用い、実施例1と
同様にして蛍光の各波長に対するスペクトルを測定し、
その測定データから相対発光強度を求めたところ、Na
I(Tl)の発光強度を100%とした時に相対発光強
度(発光効率)は0%であった。
【0048】図4及び図7に示した結果から明らかなよ
うに、本発明のシンチレータは、室温において2ns以
下という極めて減衰時間が短い蛍光成分を含む蛍光を発
するものであり、しかも発光効率も充分に高水準であっ
た。他方、本発明の範囲外のシンチレータは発光効率が
低いものであった。
【0049】また、図5、図6、図9、図10、図11
及び図12に示した結果から明らかなように、本発明の
シンチレータは室温で発光効率が高く、しかも減衰時間
が短いという特性が得られた。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシンチレ
ータによれば、発光効率を高水準に維持しつつ、室温に
おいて極めて減衰時間が短い蛍光成分を含む蛍光を発す
ることが可能となる。また、本発明のシンチレータによ
って発せられる蛍光は上記のように室温において極めて
減衰時間が短い蛍光成分を含むため、その成分を用いる
ことによって非常に分解能が高い放射線検出器を得るこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】減衰曲線の解析方法を説明するための、減衰デ
ータ、減衰曲線及び指数関数を示すグラフである。
【図2】本発明の放射線検出器の好適な一実施形態を示
す断面模式図である。
【図3】減衰時間を測定するための装置構成を示すブロ
ック図である。
【図4】実施例1で得られたシンチレータにおける減衰
データ、減衰曲線及び指数関数を示すグラフである。
【図5】実施例1で得られたシンチレータにおける蛍光
スペクトルの温度依存性を示すグラフである。
【図6】実施例1で得られたシンチレータにおける発光
強度の温度依存性を示すグラフである。
【図7】実施例2で得られたシンチレータにおける減衰
データ、減衰曲線及び指数関数を示すグラフである。
【図8】実施例2で得られたシンチレータにおける蛍光
スペクトルを示すグラフである。
【図9】実施例2で得られたシンチレータにおける蛍光
スペクトルの温度依存性を示すグラフである。
【図10】実施例2で得られたシンチレータにおける発
光強度の温度依存性を示すグラフである。
【図11】実施例3で得られたシンチレータにおける蛍
光スペクトルの温度依存性を示すグラフである。
【図12】実施例3で得られたシンチレータにおける発
光強度の温度依存性を示すグラフである。
【図13】比較例1で得られたシンチレータにおける蛍
光スペクトルの温度依存性を示すグラフである。
【図14】比較例1で得られたシンチレータにおける発
光強度の温度依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
10…シンチレータ、11…筒状容器、12…蛍光出力
面、13…放射線入力面、14…反射防止膜、20…光
電子増倍管、21…蛍光入力面、22…密封容器、23
…光電面、24…収束電極、25…ダイノード、26…
アノード、30…放射線源、31…放射線、32…蛍
光、33…光電子。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線の入射に応じて所定の減衰時間を
    有する蛍光成分を含む蛍光を発するシンチレータであっ
    て、 該シンチレータが、下記一般式: CsBr1-xx [式中、xは0.01〜0.1の数である。]で表され
    る組成を有する結晶からなり、かつ、前記蛍光成分の減
    衰時間が室温にて2ns以下である、ことを特徴とする
    シンチレータ。
  2. 【請求項2】 前記蛍光が、所定の減衰時間を有する蛍
    光成分を複数含んでおり、該蛍光成分のうちの少なくと
    も一つの成分の減衰時間が室温にて2ns以下であるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のシンチレータ。
  3. 【請求項3】 前記結晶が、下記一般式: CsBr1-xx [式中、xは0.01〜0.1の数である。]で表され
    る組成となるように混合されたCsBrとCsIとの混
    合粉末を垂直ブリッジマン法によって結晶化せしめたも
    のであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシ
    ンチレータ。
  4. 【請求項4】 放射線の入射に応じて所定の減衰時間を
    有する蛍光成分を含む蛍光を発するシンチレータであっ
    て、該シンチレータが、下記一般式: CsBr1-xx [式中、xは0.01〜0.1の数である。]で表され
    る組成を有する結晶からなり、かつ、前記蛍光成分の減
    衰時間が室温にて2ns以下であるシンチレータと、 前記シンチレータから発せられた蛍光を検出する蛍光検
    出器と、を備えることを特徴とする放射線検出器。
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