JP2000249042A - フライホイール型エネルギ蓄積装置 - Google Patents

フライホイール型エネルギ蓄積装置

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JP2000249042A
JP2000249042A JP11047974A JP4797499A JP2000249042A JP 2000249042 A JP2000249042 A JP 2000249042A JP 11047974 A JP11047974 A JP 11047974A JP 4797499 A JP4797499 A JP 4797499A JP 2000249042 A JP2000249042 A JP 2000249042A
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flywheel
axis
support
pulley
around
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JP11047974A
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Hideo Nakai
英雄 中井
Toshifumi Arakawa
俊史 荒川
Akinori Matsuda
明教 松田
Yukio Inaguma
幸雄 稲熊
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フライホイールをそれのスピン軸線が変化し得
るようにx軸およびy軸まわりに回転可能に支持台に対
して支持するフライホイール型エネルギ蓄積装置におい
て、フライホイールのジャイロ効果を、そのフライホイ
ールと支持台との相対角の増加防止と、フライホイール
を回転可能に支持する軸受の荷重の増加防止という背反
する2つの要求が同時にできる限り満たされるように抑
制する。 【解決手段】4個のプーリ体90,92,94,96 が4本のワイ
ヤ98により連結されて構成された4組のプーリ装置100,
102,104,106 を含むコントローラ要素40により、x軸に
関する物理量とy軸に関する物理量との力学的関係を、
x軸に関する物理量を入力、y軸に関する物理量を出力
とする正方向力伝達系と、y軸に関する物理量を入力、
x軸に関する物理量を出力とする逆方向力伝達系とが位
相に関して実質的に 180度ずれるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体においてフ
ライホイールに運動エネルギを蓄積させるとともに、そ
の蓄積された運動エネルギを必要に応じて発電機により
電気エネルギに変換して出力するフライホイール型エネ
ルギ蓄積装置に関するものであり、特に、フライホイー
ルのジャイロ効果を低減する技術の改良に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】上記フライホイール型エネルギ蓄積装置
は一般に、車両等、移動体に取り付けられる支持台と、
フライホイールと、フライホイール支持体とを含むよう
に構成される。フライホイールは、自身の慣性によりス
ピンし続けることによって運動エネルギを蓄積する。フ
ライホイール支持体は、軸受を介してフライホイールを
それのスピン軸線まわりに回転可能に支持する。
【0003】フライホイール型エネルギ蓄積装置は、さ
らに、スピン軸線が絶対空間内において変化し得るよう
にフライホイール支持体を支持台に対して支持するジン
バルを含むように構成される。ジンバルは、フライホイ
ール支持体には第1軸線まわりに、支持台には第1軸線
と直角な第2軸線まわりにそれぞれ相対回転可能に連携
させられるジンバル枠を有する。
【0004】フライホイール型エネルギ蓄積装置は、さ
らに、フライホイールとフライホイール支持体との間に
設けられ、フライホイールの回転により電気エネルギを
発生させる発電機を含むように構成される。それによ
り、フライホイール型エネルギ蓄積装置は、フライホイ
ールに蓄積された運動エネルギを必要に応じて電気エネ
ルギに変換して出力する。
【0005】この種のフライホイール型エネルギ蓄積装
置を使用する際、移動体が絶対空間に対して傾斜させら
れると、フライホイールのスピン軸線が絶対空間に対し
て傾斜させられ、その結果、フライホイールにジャイロ
効果が発生する。ジャイロ効果が発生するとフライホイ
ールにジャイロモーメントが発生し、その結果、スピン
軸線が傾斜させられる。
【0006】これに対して、移動体が絶対空間に対して
傾斜させられても、フライホイールのスピン軸線が絶対
空間に対して傾斜させられないようにすれば、フライホ
イールにジャイロ効果が発生しない。しかし、このよう
にするためには、フライホイール型エネルギ蓄積装置が
フライホイールをそれのスピン軸線が任意の方向を取り
得るように支持することが必要である。一方、このよう
にフライホイールを支持すると、フライホイールと支持
台との相対角が極めて大きくなる。そのため、フライホ
イールに干渉することなくフライホイール型エネルギ蓄
積装置を移動体に設置するために大きなスペースが必要
となる。
【0007】また、フライホイールにジャイロモーメン
トが発生しても、そのジャイロモーメントによってフラ
イホイールが傾斜しないようにフライホイールを支持台
に対して相対変位不能に、すなわち、フライホイールと
支持台との相対角が変化しないように支持することも考
えられる。しかし、このようにフライホイールを支持す
ると、フライホイールのジャイロモーメントにより、フ
ライホイールを支持する軸受に作用する軸受荷重が増加
する。
【0008】このように、この種のフライホイール型エ
ネルギ蓄積装置を使用する際には、フライホイールのジ
ャイロ効果を抑制するために、相対角の増加防止と軸受
荷重の増加防止という背反する2つの要求を満たさなけ
ればならない。
【0009】これに対して、特開平10−281050
号公報には、慣性モーメントが同じフライホイールを2
個、互いに同軸に連結するとともに、それら2個のフラ
イホイールを互いに逆向きに回転させる技術が開示され
ている。この従来技術を実施すれば、移動体が絶対空間
に対して傾斜させられても、フライホイールと移動体と
の間にジャイロモーメントによる相対角の増加が発生せ
ずに済む。
【0010】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発
明の効果】しかしながら、この従来技術を実施する場合
には、回転方向が互いに異なるフライホイールを2個設
けることが不可欠である。そのため、この従来技術に
は、フライホイールの重量が増加してしまうという問題
や、その重量増加という理由や、回転方向が互いに異な
るフライホイール間の相対角を抑制するために、向きが
互いに異なるジャイロモーメントを軸受で支持すること
が必要になるという理由により、フライホイールを回転
可能に支持する軸受の負担が増し、その結果、フライホ
イールの回転抵抗が増加してしまうという問題があっ
た。
【0011】このような事情を背景として、本発明は、
フライホイールの重量増加やそれに伴うフライホイール
の回転抵抗の増加を回避しつつフライホイールのジャイ
ロ効果を相対角の増加防止と軸受荷重の増加防止という
背反する2つの要求が同時にできる限り満たされるよう
に抑制することを課題としてなされたものであり、本発
明によって下記各態様が得られる。各態様は、請求項と
同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて
他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明
細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合せのいくつ
かの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技
術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると
解釈されるべきではない。
【0012】(1) 移動体に取り付けられる支持台と、自
身の慣性によりスピンし続けることによって運動エネル
ギを蓄積するフライホイールと、軸受を介してそのフラ
イホイールをそれのスピン軸線まわりに回転可能に支持
するフライホイール支持体と、前記スピン軸線が絶対空
間内において変化し得るように前記フライホイール支持
体を前記支持台に対して支持するジンバルであって、フ
ライホイール支持体には第1軸線まわりに、支持台には
前記第1軸線と直角な第2軸線まわりにそれぞれ相対回
転可能に連携させられるジンバル枠を有するものと、前
記フライホイールと前記フライホイール支持体との間に
設けられ、フライホイールの回転により電気エネルギを
発生させる発電機とを含み、フライホイールに蓄積され
た運動エネルギを必要に応じて電気エネルギに変換して
出力するフライホイール型エネルギ蓄積装置において、
前記スピン軸線が前記支持台に対して、前記第1および
第2軸線の各々のまわりに相対的に回転する角度とそれ
の角速度との少なくとも一方である第1物理量と、前記
フライホイール支持体に第1および第2軸線の各々のま
わりに作用するモーメントである第2物理量との間にお
ける力学的関係を制御する制御装置であって、第1軸線
に関する第1物理量を入力、第2軸線に関する第2物理
量を出力とする力伝達系を正方向力伝達系、第2軸線に
関する第1物理量を入力、第1軸線に関する第2物理量
を出力とする力伝達系を逆方向力伝達系とした場合に、
正方向力伝達系を規定する伝達関数と逆方向力伝達系を
規定する伝達関数とが位相に関して互いに実質的に18
0度ずれるように前記力学的関係を制御するものを設け
たことを特徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装置
〔請求項1〕。本発明者らは、フライホイール型エネル
ギ蓄積装置に関し、フライホイールのジャイロ効果を相
対角の増加防止と軸受荷重の増加防止という背反する2
つの要求が同時にできる限り満たされるように抑制する
ことを目的として研究を行い、その結果、次のような知
見を得た。それは、その目的を達成するためには、フラ
イホイールが支持台に対して第1軸線まわりに相対的に
回転する角度とそれの角速度との少なくとも一方である
物理量を入力、フライホイール支持体に第2軸線まわり
に作用するモーメントである物理量を出力とする力伝達
系を正方向伝達系とし、かつ、フライホイールが支持台
に対して第2軸線まわりに相対的に回転する角度とそれ
の角速度との少なくとも一方である物理量を入力、フラ
イホイール支持体に第1軸線まわりに作用するモーメン
トである物理量を出力とする力伝達系を逆方向力伝達系
とした場合に、正方向力伝達系を規定する伝達関数と逆
方向力伝達系を規定する伝達関数とが位相に関して互い
に実質的に180度ずれるように、それら物理量相互の
関係である力学的関係を制御することが望ましいという
知見である。この知見に基づいて本項に記載の装置がな
されたのであり、よって、この装置によれば、フライホ
イールのジャイロ効果を相対角の増加防止と軸受荷重の
増加防止という背反する2つの要求が同時にできる限り
満たされるように抑制することが可能となる。 (2) 移動体に取り付けられる支持台と、自身の慣性によ
りスピンし続けることによって運動エネルギを蓄積する
フライホイールと、軸受を介してそのフライホイールを
それのスピン軸線まわりに回転可能に支持するフライホ
イール支持体と、前記スピン軸線が絶対空間内において
変化し得るように前記フライホイール支持体を前記支持
台に対して支持するジンバルであって、フライホイール
支持体には第1軸線まわりに、支持台には前記第1軸線
と直角な第2軸線まわりにそれぞれ相対回転可能に連携
させられるジンバル枠を有するものと、前記フライホイ
ールと前記フライホイール支持体との間に設けられ、フ
ライホイールの回転により電気エネルギを発生させる発
電機とを含み、フライホイールに蓄積された運動エネル
ギを必要に応じて電気エネルギに変換して出力するフラ
イホイール型エネルギ蓄積装置において、前記スピン軸
線が前記支持台に対して前記第1軸線まわりに相対的に
回転する角度である第1相対角の変化に基づき、その変
化に起因した前記フライホイールのジャイロ効果によ
る、スピン軸線が支持台に対して前記2軸線まわりに相
対的に回転する角度である第2相対角の増加を抑制する
第1ジャイロ効果抑制機構と、前記第2相対角の変化に
基づき、その変化に起因した前記フライホイールのジャ
イロ効果による前記第1相対角の増加を抑制する第2ジ
ャイロ効果抑制機構とを設けたことを特徴とするフライ
ホイール型エネルギ蓄積装置〔請求項2〕。前記(1) 項
に記載の説明から明らかように、フライホイールのジャ
イロ効果が発生する状況においては、スピン軸線が支持
台に対して第1軸線まわりに相対的に回転する角度であ
る第1相対角の変化と、スピン軸線が支持台に対して第
2軸線まわりに相対的に回転する角度である第2相対角
の変化との間に一定の関係がある。そこで、本項に記載
の装置においては、第1ジャイロ効果抑制機構により、
第1相対角の変化に基づき、その変化に起因したフライ
ホイールのジャイロ効果による第2相対角の増加が抑制
され、また、第2ジャイロ効果抑制機構により、第2相
対角の変化に基づき、その変化に起因したフライホイー
ルのジャイロ効果による第1相対角の増加が抑制され
る。 (3) 前記第1ジャイロ効果抑制機構が、前記第1相対角
の変化に起因して前記フライホイール支持体に前記第1
軸線まわりに生ずる第1外乱モーメントにより機械的
に、前記ジャイロ効果による前記第2相対角の増加を抑
制するパッシブ型であり、前記第2ジャイロ効果抑制機
構が、前記第2相対角の変化に起因して前記フライホイ
ール支持体に前記第2軸線まわりに生ずる第2外乱モー
メントにより機械的に、前記ジャイロ効果による前記第
1相対角の増加を抑制するパッシブ型である(2) 項に記
載のフライホイール型エネルギ蓄積装置〔請求項3〕。
この装置によれば、フライホイールにジャイロ効果を発
生させる原因となる物理現象、すなわち、相対角の変化
を利用してそのジャイロ効果が抑制されるため、ジャイ
ロ効果を抑制するための力を積極的に発生させる専用の
機構が不要になる。 (4) 前記ジンバルが、さらに、前記第1軸線に沿って延
びるとともにその第1軸線まわりに前記フライホイール
支持体と一体的に回転させられる第1支持軸と、前記第
2軸線に沿って延びるとともにその第2軸線まわりに前
記ジンバル枠と一体的に回転させられる第2支持軸とを
含み、前記パッシブ型の第1ジャイロ効果抑制機構が、
前記第1支持軸にそれと同軸に設けられた第1回転体
と、前記第2支持軸にそれと同軸に設けられた第2回転
体であって前記第1回転体とは直径が異なるものと、そ
れら第1および第2回転体を互いに連結することによ
り、両回転体間において力の伝達を行う第1力伝達媒体
と、前記フライホイールのジャイロ効果による前記フラ
イホイール支持体の前記第2軸線まわりの運動を抑制す
ることとなるモーメントが前記第1支持軸に前記第1軸
線まわりに生じた場合にはその第1支持軸に生じたモー
メントが第2支持軸に伝達されることを許容し、それ以
外の場合には阻止する第1ワンウェイクラッチとを含
み、かつ、前記第1および第2回転体の一方は、前記第
1および第2支持軸の一方と相対回転可能、他方の回転
体は他方の支持軸と相対回転不能とされ、かつ、その相
対回転可能な回転体と支持軸との間に前記第1ワンウェ
イクラッチが設けられ、かつ、その第1ワンウェイクラ
ッチが、相対回転可能な回転体と支持軸との相対回転
を、第1支持軸に生じたモーメントを第2支持軸に伝達
することが必要である場合には阻止し、そうでない場合
には許容するものであり、前記パッシブ型の第2ジャイ
ロ効果抑制機構が、前記第2支持軸にそれと同軸に設け
られた第3回転体と、前記第1支持軸にそれと同軸に設
けられた第4回転体であって前記第3回転体とは直径が
異なるものと、それら第3および第4回転体を互いに連
結することにより、両回転体間において力の伝達を行う
第2力伝達媒体と、前記フライホイールのジャイロ効果
による前記フライホイール支持体の前記第1軸線まわり
の運動を抑制することとなるモーメントが前記第2支持
軸に前記第2軸線まわりに生じた場合にはその第2支持
軸に生じたモーメントが第1支持軸に伝達されることを
許容し、それ以外の場合には阻止する第2ワンウェイク
ラッチとを含み、かつ、前記第3および第4回転体の一
方は、前記第2および第1支持軸の一方と相対回転可
能、他方の回転体は他方の支持軸と相対回転不能とさ
れ、かつ、その相対回転可能な回転体と支持軸との間に
前記第2ワンウェイクラッチが設けられ、かつ、その第
2ワンウェイクラッチが、相対回転可能な回転体と支持
軸との相対回転を、第2支持軸に生じたモーメントを第
1支持軸に伝達することが必要である場合には阻止し、
そうでない場合には許容するものである(3) 項に記載の
フライホイール型エネルギ蓄積装置〔請求項4〕。この
装置によれば、前記(3) 項に記載の装置を実施する一具
体的態様が提供される。この装置において「回転体」は
例えば、歯なしまたは歯付きのプーリとしたり、ギヤと
することができる。また、「力伝達媒体」は例えば、可
撓性を有する金属性のワイヤまたはベルトとしたり、弾
性材料を含む材料で構成されたワイヤまたはベルトとす
ることができる。 (5) 前記パッシブ型の第1ジャイロ効果抑制機構が、さ
らに、前記第1および第2支持軸と前記第1および第2
回転体とのうち相対回転可能に連結された支持軸と回転
体との間に設けられ、その相対回転可能な支持軸と回転
体との相対回転である第1相対回転により、前記フライ
ホイールのジャイロ効果による前記ジンバル枠と前記支
持台との前記第2軸線まわりの相対回転である第2相対
回転を抑制する第1力を発生させる第1力発生部を含
み、前記パッシブ型の第2ジャイロ効果抑制機構が、さ
らに、前記第2および第1支持軸と前記第3および第4
回転体とのうち相対回転可能に連結された支持軸と回転
体との間に設けられ、その相対回転可能な支持軸と回転
体との相対回転である第3相対回転により、前記フライ
ホイールのジャイロ効果による前記フライホイール支持
体と前記支持台との前記第1軸線まわりの相対回転であ
る第4相対回転を抑制する第2力を発生させる第2力発
生部を含む(4) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄
積装置〔請求項5〕。この装置においては、第1相対回
転が、フライホイール支持体とジンバル枠との第1軸線
まわりの相対回転と、フライホイール支持体と支持台と
の第2軸線まわりの相対回転との差である相対回転差を
意味している。また、第3相対回転も同様に、フライホ
イール支持体と支持台との第2軸線まわりの相対回転
と、フライホイール支持体とジンバル枠との第1軸線ま
わりの相対回転との差である相対回転差を意味してい
る。そして、第1および第2力発生部はそれぞれ、第1
および第3相対回転を原因として、第2および第4相対
回転を抑制する力を発生させる。このように、各力発生
部は、互いに直交する2本の軸線間に配置されている。
ところで、第1力発生部を、フライホイール支持体とジ
ンバル枠との間に配置する一方、第2力発生部を、フラ
イホイール支持体と支持台との間に配置した場合には、
移動体に振動が生じると、その振動がそれら力発生部を
媒介としてフライホイール支持体に伝達される可能性が
ある。これに対して、本項に記載の装置においては、上
述のように、第1および第2力発生部が、互いに直交す
る2本の軸線間に配置されている。したがって、この装
置によれば、それら力発生部が、移動体の振動をフライ
ホイール支持体に伝達してしまうことはなく、移動体の
振動に起因してフライホイール支持体に振動が励起され
ることが回避される。この装置において「第1および第
2力発生部」の各々は、ばね要素とダンパ要素とのうち
少なくともダンパ要素を含むように構成することが望ま
しい。ダンパ要素には、ばね要素とは異なり、相対運動
させられる2部材の運動エネルギを熱エネルギに変換し
てその運動を減衰させる特性があり、この特性を利用す
れば、フライホイール支持体の振動が抑制されるからで
ある。 (6) 前記第1力発生部における第1相対回転と第1力と
の関係が、前記ジャイロ効果による前記フライホイール
支持体の歳差運動の実際の周波数が、その歳差運動の共
振周波数を含むように設定された設定周波数帯域に存在
する場合には、前記第2相対角の増加が抑制されず、存
在しない場合には、抑制されるように設定され、前記第
2力発生部における第2相対回転と第2力との関係が、
前記ジャイロ効果による前記フライホイール支持体の歳
差運動の実際の周波数が、その歳差運動の共振周波数を
含むように設定された設定周波数帯域に存在する場合に
は、前記第1相対角の増加が抑制されず、存在しない場
合には、抑制されるように設定された(5) 項に記載のフ
ライホイール型エネルギ蓄積装置〔請求項6〕。本発明
者らは、ジャイロ効果によるフライホイールの歳差運動
のうち最も問題となるのは、その歳差運動の周波数がそ
れの共振周波数近傍であるときであり、このときには、
ジャイロ効果の原因となる相対角の変化を許容する一
方、それ以外のときには、相対角の変化を抑制すれば、
相対角の増加防止と軸受荷重の増加防止とを両立させ得
るという知見を得た。本項に記載の装置は、その知見に
基づいてなされたものである。 (7) 前記第1ジャイロ効果抑制機構が、(a) 電気信号に
基づき、前記第2相対角が前記ジャイロ効果により増加
することを抑制可能な第1アクチュエータと、(b) 前記
第1相対角とそれの変化速度との少なくとも一方に基づ
き、前記第1アクチュエータに供給すべき電気信号を、
前記第2相対角が前記ジャイロ効果により増加すること
が抑制されるように決定し、決定した電気信号を第1ア
クチュエータに供給する第1コントローラとを含むアク
ティブ型であり、前記第2ジャイロ効果抑制機構が、
(a) 電気信号に基づき、前記第1相対角が前記ジャイロ
効果により増加することを抑制可能な第2アクチュエー
タと、(b) 前記第2相対角とそれの変化速度との少なく
とも一方に基づき、前記第2アクチュエータに供給すべ
き電気信号を、前記第1相対角が前記ジャイロ効果によ
り増加することが抑制されるように決定し、決定した電
気信号を第2アクチュエータに供給する第2コントロー
ラとを含むアクティブ型である(2) 項に記載のフライホ
イール型エネルギ蓄積装置。この装置によれば、フライ
ホイールのジャイロ効果を抑制するための力が積極的に
発生させられるため、ジャイロ効果を精度よく抑制する
ことが容易となる。 (8) 前記第1コントローラが、前記第2相対角の増加
を、前記フライホイール支持体とジンバル枠との前記第
1軸線まわりの第1相対回転に起因した前記フライホイ
ールのジャイロ効果によるフライホイール支持体の歳差
運動の実際の周波数が、その歳差運動の共振周波数を含
むように設定された設定周波数帯域に存在する場合には
抑制されず、存在しない場合には抑制されるように制御
するものであり、前記第2コントローラが、前記第1相
対角の増加を、前記ジンバル枠と支持台との前記第2軸
線まわりの第2相対回転に起因した前記フライホイール
のジャイロ効果によるフライホイール支持体の歳差運動
の実際の周波数が、その歳差運動の共振周波数を含むよ
うに設定された設定周波数帯域に存在する場合には抑制
されず、存在しない場合には抑制されるように制御する
ものである(7) 項に記載のフライホイール型エネルギ蓄
積装置。この装置によれば、前記(6) 項に記載の知見に
基づき、相対角の増加防止と軸受荷重の増加防止とを容
易に両立させ得る。 (9) 移動体に取り付けられる支持台と、自身の慣性によ
りスピンし続けることによって運動エネルギを蓄積する
フライホイールと、軸受を介してそのフライホイールを
それのスピン軸線まわりに回転可能に支持するフライホ
イール支持体と、前記スピン軸線が絶対空間内において
変化し得るように前記フライホイール支持体を前記支持
台に対して支持するジンバルであって、フライホイール
支持体には第1軸線まわりに、支持台には前記第1軸線
と直角な第2軸線まわりにそれぞれ相対回転可能に連携
させられるジンバル枠を有するものと、前記フライホイ
ールと前記フライホイール支持体との間に設けられ、フ
ライホイールの回転により電気エネルギを発生させる発
電機とを含み、フライホイールに蓄積された運動エネル
ギを必要に応じて電気エネルギに変換して出力するフラ
イホイール型エネルギ蓄積装置において、前記フライホ
イール支持体と前記支持台との相対角を制御する相対角
制御装置であって、前記フライホイールのジャイロ効果
によるフライホイール支持体の歳差運動の実際の周波数
が、その歳差運動の共振周波数を含むように設定された
設定周波数帯域に存在する場合には、前記相対角の増加
を抑制せず、存在しない場合には、抑制するものを設け
たことを特徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装
置。この装置によれば、前記(6) 項に記載の知見に基づ
き、相対角の増加防止と軸受荷重の増加防止とを容易に
両立させ得る。 (10)前記相対角制御装置が、(a) 前記フライホイール支
持体と前記ジンバル枠との前記第1軸線まわりの第1相
対回転と、ジンバル枠と前記支持台との前記第2軸線ま
わりの第2相対回転との差である第1相対回転差により
第1力を発生させる第1力発生部と、(b) その発生させ
られた第1力を前記ジンバル枠に、前記第1相対回転に
起因した前記フライホイールのジャイロ効果による前記
第2相対回転が抑制されるように伝達する第1力伝達部
とを有し、かつ、前記第1力発生部における第1相対回
転差と第1力との関係が、前記歳差運動の実際の周波数
が前記設定周波数帯域に存在する場合には、前記第2相
対角の増加が抑制されず、存在しない場合には、抑制さ
れるように設定された第1ジャイロ効果抑制機構と、
(c) 前記ジンバル枠と前記支持台との前記第2軸線まわ
りの第3相対回転と、フライホイール支持体と前記ジン
バル枠との前記第1軸線まわりの第4相対回転との差で
ある第2相対回転差により第2力を発生させる第2力発
生部と、(b) その発生させられた第2力を前記フライホ
イール支持体に、前記第3相対回転に起因した前記フラ
イホイールのジャイロ効果による前記第4相対回転が抑
制されるように伝達する第2力伝達部とを有し、かつ、
前記第2力発生部における第2相対回転差と第2力との
関係が、前記歳差運動の実際の周波数が前記設定周波数
帯域に存在する場合には、前記第1相対角の増加が抑制
されず、存在しない場合には、抑制されるように設定さ
れた第2ジャイロ効果抑制機構とを含む(9) 項に記載の
フライホイール型エネルギ蓄積装置。この装置によれ
ば、前記(6) 項に記載の原理と同じ原理により、力発生
部が、移動体の振動をフライホイール支持体に伝達して
しまうことはなく、移動体の振動に起因してフライホイ
ール支持体に振動が励起されることが回避される。この
装置において「第1および第2力発生部」の各々は、ば
ね要素とダンパ要素とのうち少なくともダンパ要素を含
むように構成することが望ましい。この理由も前記(6)
項に記載の理由と同じである。 (11)移動体に取り付けられる支持台と、自身の慣性によ
りスピンし続けることによって運動エネルギを蓄積する
フライホイールと、軸受を介してそのフライホイールを
それのスピン軸線まわりに回転可能に支持するフライホ
イール支持体と、前記スピン軸線が絶対空間内において
変化し得るように前記フライホイール支持体を前記支持
台に対して支持するジンバルであって、フライホイール
支持体には第1軸線まわりに、支持台には前記第1軸線
と直角な第2軸線まわりにそれぞれ相対回転可能に連携
させられるジンバル枠を有するものと、前記フライホイ
ールと前記フライホイール支持体との間に設けられ、フ
ライホイールの回転により電気エネルギを発生させる発
電機とを含み、フライホイールに蓄積された運動エネル
ギを必要に応じて電気エネルギに変換して出力するフラ
イホイール型エネルギ蓄積装置において、(a) 前記フラ
イホイール支持体と前記ジンバル枠との前記第1軸線ま
わりの第1相対回転と、ジンバル枠と前記支持台との前
記第2軸線まわりの第2相対回転との差である第1相対
回転差により第1力を発生させる第1力発生部と、(b)
その発生させられた第1力を前記ジンバル枠に、前記第
1相対回転に起因した前記フライホイールのジャイロ効
果による前記第2相対回転が抑制されるように伝達する
第1力伝達部とを有し、かつ、前記第1力発生部におけ
る第1相対回転差と第1力との関係が、前記歳差運動の
実際の周波数が前記設定周波数帯域に存在する場合に
は、前記第2相対角の増加が抑制されず、存在しない場
合には、抑制されるように設定された第1ジャイロ効果
抑制機構と、(c) 前記ジンバル枠と前記支持台との前記
第2軸線まわりの第3相対回転と、フライホイール支持
体と前記ジンバル枠との前記第1軸線まわりの第4相対
回転との差である第2相対回転差により第2力を発生さ
せる第2力発生部と、(b) その発生させられた第2力を
前記フライホイール支持体に、前記第3相対回転に起因
した前記フライホイールのジャイロ効果による前記第4
相対回転が抑制されるように伝達する第2力伝達部とを
有し、かつ、前記第2力発生部における第2相対回転差
と第2力との関係が、前記歳差運動の実際の周波数が前
記設定周波数帯域に存在する場合には、前記第1相対角
の増加が抑制されず、存在しない場合には、抑制される
ように設定された第2ジャイロ効果抑制機構とを設けた
ことを特徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装置。
この装置によれば、前記(6) 項に記載の原理と同じ原理
により、力発生部が、移動体の振動をフライホイール支
持体に伝達してしまうことはなく、移動体の振動に起因
してフライホイール支持体に振動が励起されることが回
避される。この装置において「第1および第2力発生
部」の各々は、ばね要素とダンパ要素とのうち少なくと
もダンパ要素を含むように構成することが望ましい。こ
の理由も前記(6) 項に記載の理由と同じである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1には、本発明の第1実施形態であるフ
ライホイール型エネルギ蓄積装置(以下、「システム」
という)が示されている。以下、このシステムをいくつ
かの項に分けて順に説明する。
【0015】1.システムの基本的構成
【0016】システムは、同図に示すように、図示しな
い車体に固定された支持台10と、フライホイール12
(図2参照)とを備えている。フライホイール12は、
自身の慣性によりスピンし続けることによって運動エネ
ルギを蓄積する。システムは、さらに、そのフライホイ
ール12をそれのスピン軸線まわりに回転可能に支持す
るフライホイール支持体14を備えている。フライホイ
ール支持体14は、具体的には、図2に示すように、ハ
ウジング20とステータ22とフライホイール12と軸
受26とを含むように構成されている。ステータ22は
ハウジング20内に位置固定に設けられている。フライ
ホイール12はハウジング20内にスピン軸線Lまわり
に回転可能に設けられていて、ステータ22にとってロ
ータとして機能する。本実施形態においては、ステータ
22とフライホイール12とにより、モータとしての機
能と発電機としての機能とを選択的に実現するモータ/
発電機28が構成されている。フライホイール12は軸
受26により回転可能かつ軸方向移動不能に支持されて
いる。軸受26は、フライホイール12からラジアル荷
重とスラスト荷重との双方を受ける。
【0017】システムは、さらに、図1に示すように、
スピン軸線が絶対空間内において変化し得るようにフラ
イホイール支持体14を支持台10に対して相対回転可
能に支持するジンバル30を備えている。フライホイー
ル支持体14はフライホイール12と一緒に揺動させら
れる。
【0018】ジンバル30は、フライホイール支持体1
4にはx軸まわりに、支持台10にはy軸まわりにそれ
ぞれ相対回転可能に連携させられるジンバル枠32を有
する。ジンバル30は、フライホイール支持体14を回
転可能に支持する2軸であるx軸とy軸とが互いに直交
するため、それら2軸間で振動が連成しないという特徴
を有する。
【0019】ジンバル30は、さらに、x軸に沿って延
びるとともにそのx軸まわりにフライホイール支持体1
4と一体的に回転させられる第1支持軸34と、y軸に
沿って延びるとともにそのy軸まわりにジンバル枠32
と一体的に回転させられる第2支持軸36とを備えてい
る。第1支持軸34は、フライホイール支持体14に、
x軸上における正領域と負領域とにおいてそれぞれ設け
られている。また、同様に、第2支持軸36は、ジンバ
ル枠32に、y軸上における正領域と負領域とにおいて
それぞれ設けられている。
【0020】システムは、さらに、(a) フライホイール
支持体14とジンバル枠32とに連携させられ、それら
のx軸まわりの相対位置をニュートラル位置に向かって
付勢する第1ばね要素S1および第1ダンパ要素D1
(共に図示しない。以下、それらを「第1ばね・ダンパ
系」と総称する)と、(b) フライホイール支持体14と
支持台10とに連携させられ、それらのy軸まわりの相
対位置をニュートラル位置に向かって付勢する第2ばね
要素S2および第2ダンパ要素D2(共に図示しない。
以下、それらを「第2ばね・ダンパ系」と総称する)と
を備えている。
【0021】第1ばね要素S1は、フライホイール支持
体14とジンバル枠32とのx軸まわりの相対角である
第1相対角に応じた弾性力をフライホイール支持体14
にx軸まわりに発生させる。第1ダンパ要素D1は、第
1相対角の変化速度である第1相対角速度に応じた減衰
力をフライホイール支持体14にx軸まわりに発生させ
る。第2ばね要素S2は、フライホイール支持体14と
支持台10とのy軸まわりの相対角である第2相対角に
応じた弾性力をジンバル枠32を介してフライホイール
支持体14にy軸まわりに発生させる。第2ダンパ要素
D2は、第2相対角の変化速度である第2相対角速度に
応じた減衰力をジンバル枠32を介してフライホイール
支持体14にy軸まわりに発生させる。
【0022】システムは、さらに、後述の最適な力伝達
特性を実現するために、コントローラ要素40を備えて
いる。
【0023】コントローラ要素40は、(a) 各軸まわり
の相対角および相対角速度の少なくとも一方と、それと
同じ軸まわりのモーメントとの間における力学的関係を
制御することと、(b) x軸とy軸との一方のまわりの相
対角および相対角速度との少なくとも一方と、x軸とy
軸との他方のまわりのモーメントとの間における力学的
関係を制御することとの双方が可能である。したがっ
て、同じ軸間における力学的関係は、前述の第1または
第2ばね・ダンパ系S1,D1,S2,D2とコントロ
ーラ要素40との共同により制御可能であるのに対し
て、異なる軸間における力学的関係は、コントローラ要
素40のみにより制御可能である。
【0024】2.座標系および各種変数の定義
【0025】(1) 座標系の定義 支持台10には、x軸とy軸とz軸とが互いに直交する
座標系が固定されている。この座標系は、絶対空間に固
定の絶対座標系との相対位置関係が変化するものである
ことから、相対座標系と称することができる。
【0026】(2) 各種変数の定義 Θx :支持台10のx軸まわりの絶対回転角 Θy :支持台10のy軸まわりの絶対回転角 θx :フライホイール支持体14のx軸まわりの絶対回
転角 θy :フライホイール支持体14のy軸まわりの絶対回
転角 θx −Θx :支持台10とフライホイール支持体14と
のx軸まわりの相対回転角である第1相対角 θy −Θy :支持台10とフライホイール支持体14と
のy軸まわりの相対回転角である第2相対角 Ωx :支持台10のx軸まわりの角速度 Ωy :支持台10のy軸まわりの角速度 ωx :フライホイール支持体14のx軸まわりの角速度 ωy :フライホイール支持体14のy軸まわりの角速度 ωz :フライホイール支持体14のz軸まわりの角速度 ωx −Ωx :第1相対角の変化速度である第1相対角速
度 ωy −Ωy :第2相対角の変化速度である第2相対角速
度 kx :第1ばね要素S1の弾性係数 ky :第2ばね要素S2の弾性係数 cx :第1ダンパ要素D1の減衰係数 cy :第2ダンパ要素D2の減衰係数 Mx :フライホイール支持体14に作用するx軸まわり
のモーメント My :フライホイール支持体14に作用するy軸まわり
のモーメント
【0027】3.システムが実現すべき最適な力伝達特
【0028】(1) 相対角の低減と軸受荷重の低減との両
【0029】システムにおいては、フライホイール支持
体14と支持台10との相対角(θ x −Θx ),(θy
−Θy )の絶対値とモーメントMx ,My の絶対値との
和ができる限り小さくなることが最適である。モーメン
トMx が小さくなることは、フライホイール12の軸受
26に、x軸と交差する方向に作用する軸受荷重が小さ
くなることを意味し、また、同様に、モーメントMy
小さくなることは、フライホイール12の軸受26に、
y軸と交差する方向に作用する軸受荷重が小さくなるこ
とを意味する。具体的には、システムを評価する評価関
数J J=a1 (θx −Θx 2 +a2 (θy −Θy 2 +b
1 x 2 +b2 y 2 が最小になることが最適である。ここに、係数a1 ,a
2 ,b1 およびb2 は、実験,シミュレーション等によ
り設定される。
【0030】(2) ジャイロ効果の低減と相対角の低減と
の両立
【0031】フライホイール支持体14と支持台10と
の相対角(以下、単に「相対角」という)の変化を自由
に許容すれば、フライホイール12のジャイロ効果が低
減される。しかし、相対角の変化を自由に許容すると、
支持台10の姿勢変化により相対角が著しく増加する。
ここに、相対角の増加は一般に、フライホイール支持体
14に干渉することなくシステムを収容するスペースの
大形化を招く。また、システムにおいては、モータ/発
電機28がフライホイール支持体14に共に揺動するよ
うに取り付けられ、また、モータ/発電機28から電線
が外部に延びるのが普通であるため、相対角の増加によ
り、モータ/発電機28の電線の取り回しの設計が困難
になる。
【0032】本発明者らは、ジャイロ効果が軸受荷重お
よび車体姿勢に及ぼす悪影響の強さと、ジャイロ効果に
起因したフライホイール支持体14の歳差運動の周波数
との関係について研究を行い、その結果、ジャイロ効果
の悪影響の強さは、周波数領域全域において強いわけで
はなく、歳差運動の共振周波数近傍の周波数帯域に限ら
れるという事実に気がついた。
【0033】したがって、このような知見に基づいて検
討すれば、周波数領域全域のうち、問題の周波数帯域よ
り周波数が低い領域においては、ジャイロ効果の悪影響
がそれほど問題にならないから、相対角の変化を抑制す
る一方、問題の周波数帯域およびそれより周波数が高い
領域においては、相対角の変化を抑制しないように、相
対角の変化の抑制度合いと歳差運動の周波数との関係を
制御することとすれば、ジャイロ効果の低減と相対角の
低減とが両立することとなる。
【0034】4.理想的な伝達関数の特性
【0035】(1) x−x軸間における理想的な伝達関数
の特性 第1相対角(θx −Θx )を入力、モーメントMx を出
力とする第1力伝達系を想定する。運動方程式は、モー
メントMx を軸受荷重として扱うことを条件に、 Mx =kx (θx −Θx )−cx d/dt(θx −Θx ) となる。
【0036】図3には、第1力伝達系の伝達関数がボー
ド線図で示されている。同図には、第1力伝達系全体の
特性が破線グラフで、コントローラ要素40のみによっ
て実現される特性が実線グラフでそれぞれ示されてい
る。
【0037】破線グラフは、第1力伝達系を記述する伝
達関数の位相が−180度であることを示している。位
相が−180度であるということは、例えば、第1ばね
要素S1および第1ダンパ要素D1の各々につき、ある
向きの変位に対して、それとは逆向きにモーメントMx
が作用することを意味し、これは、普通のばね要素およ
びダンパ要素と同じ特性である。よって、第1ばね要素
S1および第1ダンパ要素D1の特性を変更しさえすれ
ば、最適な力伝達特性を容易に実現できる。
【0038】図4には、図3の破線グラフ(第1力伝達
系全体の伝達関数)と同じものは破線グラフ、特性が最
適化された第1ばね要素S1および第1ダンパ要素D1
によって実現される第1力伝達系の伝達関数は実線グラ
フでそれぞれ示されている。
【0039】(2) y−y軸間における理想的な伝達関数
の特性 第2相対角(θy −Θy )を入力、モーメントMy を出
力とする第2力伝達系を想定する。運動方程式は、モー
メントMy を軸受荷重として扱うことを条件に、 My =ky (θy −Θy )−cy d/dt(θy −Θy ) となる。
【0040】図5には、第2力伝達系の伝達関数がボー
ド線図で示されている。同図には、第2力伝達系全体の
特性が破線グラフで、コントローラ要素40のみによっ
て実現される特性が実線グラフでそれぞれ示されてい
る。
【0041】破線グラフは、第2力伝達系を記述する伝
達関数の位相が、低周波数領域(約1(Hz)以下の領
域)において0度であることを示している。位相が0度
であるということは、例えば、第2ばねS2および第2
ダンパ要素D2の各々につき、ある向きの変位に対し
て、それと同じ向きにモーメントMy が作用することを
意味し、これは、普通のばね要素およびダンパ要素とは
全く逆の特性である。よって、第2ばね要素S2および
第2ダンパ要素D2の特性を変更しても、最適な力伝達
特性を実現できない。
【0042】そこで、低周波領域の位相特性を無視し、
ゲイン特性のみを実現すべく、第2ばね要素S2および
第2ダンパ要素D2の特性を変更することとする。
【0043】図6には、図5の破線グラフ(第2力伝達
系全体の伝達関数)と同じものは破線グラフ、特性が最
適化された第2ばね要素S2および第2ダンパ要素D2
によって実現される第2力伝達系の伝達関数は実線グラ
フでそれぞれ示されている。
【0044】(3) x−y軸間における理想的な伝達関数
の特性
【0045】 第1相対角(θx −Θx )を入力、モ
ーメントMy を出力とする第3力伝達系について 図7には、第3力伝達系の伝達関数がボード線図で示さ
れている。同図には、第3力伝達系全体の特性(コント
ローラ要素40のみによって実現される)が実線グラフ
で示されている。第3力伝達系の伝達関数の位相は、歳
差運動の共振周波数近傍で約0度である。
【0046】 第2相対角(θy −Θy )を入力、モ
ーメントMx を出力とする第4力伝達系について 図8には、第4力伝達系の伝達関数がボード線図で示さ
れている。同図には、第4力伝達系全体の特性(コント
ローラ要素40のみよって実現される)が実線グラフで
示されている。第4力伝達系の伝達関数の位相は、歳差
運動の共振周波数近傍で約−180度である。
【0047】 第3および第4力伝達系相互の関係に
ついて このように、x−y間において、伝達特性の位相が、力
の伝達方向によって互いに逆向きとなる。x軸からy軸
を見た場合に成立する力学的関係が、逆にy軸からx軸
を見た場合に成立しないのである。
【0048】また、x軸からy軸までの力伝達は、普通
のばね要素およびダンパ要素の少なくとも一方で構成さ
れる対抗力発生要素では実現できないのに対して、y軸
からx軸までの力伝達は、実現できる。したがって、x
軸とy軸との間に、対抗力発生要素を介在させ、かつ、
その対抗力発生要素を、x軸からy軸までの力伝達は許
容されるが、y軸からx軸までの力伝達は阻止されるよ
うに方向性を持たせることが必要となる。
【0049】5.理想的な伝達関数の特性を実現するコ
ントローラ要素40
【0050】(1) 原理
【0051】 パッシブ型 コントローラ要素40は、一方の軸まわりの相対角の変
化により、他方の軸まわりにフライホイール支持体14
がジャイロ効果により運動することを抑制するように設
計する。具体的には、異なる軸間における力の伝達を、
一対のプーリがワイヤにより互いに連結されたプーリ装
置により行うように設計する。コントローラ要素40
は、フライホイール支持体14のジャイロ効果を抑制す
るためのエネルギを、システムが外乱として受けたエネ
ルギによって生成するのであり、そのエネルギを積極的
に生成しない点で、パッシブ型であると称することがで
きる。
【0052】 少なくともダンパ要素を含む力発生部 コントローラ要素40は、一方の軸まわりの相対角の変
化に応じた力を、ばね要素とダンパ要素とのうち少なく
ともダンパ要素を含む力発生部を含み、その力発生部に
より発生させられた力により、他方の軸まわりにフライ
ホイール支持体14がジャイロ効果により運動すること
を抑制する。
【0053】 力発生部の力学的特性 上記力発生部の力学的特性を、フライホイール支持体1
4の歳差運動の周波数の変化領域全域のうち、その歳差
運動の共振周波数より周波数が低い領域においては、相
対角の変化を抑制する一方、その共振周波数およびそれ
より周波数が高い領域においては、相対角の変化を抑制
しないように設定する。
【0054】 ワンウェイクラッチ 前述のように、x軸からy軸までの伝達特性と、y軸か
らx軸までの伝達特性とでは、位相が互いに逆になって
いる。このようなシステムは、単純なプーリ装置および
単純なダンパ要素のみでは、実現が困難である。そこ
で、そのような力伝達における方向性をワンウェイクラ
ッチにより実現する。以下、ワンウェイクラッチを設け
た理由をさらに詳しく説明する。
【0055】図9には、コントローラ要素40を4組の
プーリ装置50,52,54,56を含むように構成し
た一例が示されている。それら4組のプーリ装置50〜
56は、第1ないし第4プーリ装置とそれぞれ呼称され
る。
【0056】第1プーリ装置50は、第1支持軸34に
x軸の正領域において一体的に回転可能に固定されたプ
ーリ60と、第2支持軸36にy軸の正領域において一
体的に回転可能に固定されたプーリ62とがワイヤ64
により互いに連結されて構成されている。第2プーリ装
置52は、第2支持軸36にy軸の正領域において一体
的に回転可能に固定されたプーリ66と、第1支持軸3
4にx軸の負領域において一体的に回転可能に固定され
たプーリ68とがワイヤ70により互いに連結されて構
成されている。第3プーリ装置54は、第1支持軸34
にx軸の負領域において一体的に回転可能に固定された
プーリ72と、第2支持軸36にy軸の負領域において
一体的に回転可能に固定されたプーリ74とがワイヤ7
6により互いに連結されて構成されている。第4プーリ
装置56は、第2支持軸36にy軸の負領域において一
体的に回転可能に固定されたプーリ78と、第1支持軸
34にx軸の正領域において一体的に回転可能に固定さ
れたプーリ80とがワイヤ82により互いに連結されて
構成されている。それら4組のプーリ装置50,52,
54,56はいずれも、前述のワンウェイクラッチを備
えていない。
【0057】この例においては、フライホイール支持体
14がx軸まわりに正回転させられると、同図の(a) に
示すように、第1プーリ装置50についてのみ代表的に
説明すれば、プーリ60がx軸まわりにフライホイール
支持体14と一体的に正回転させられ、その結果、プー
リ62がy軸まわりにジンバル枠32およびフライホイ
ール支持体14と一体的に正回転させられる。これに対
して、フライホイール支持体14がy軸まわりに正回転
させられると、同図の(b) に示すように、プーリ62が
y軸まわりにジンバル枠32およびフライホイール支持
体14と一体的に正回転させられ、その結果、プーリ6
0がx軸まわりにフライホイール支持体14と一体的に
正回転させられる。このように、ワンウェイクラッチが
ないため、x軸からy軸までの力伝達と、y軸からx軸
までの力伝達とで、位相が同じになってしまう。
【0058】これに対して、図10に示すように、第1
プーリ装置50を、フライホイール支持体14にx軸ま
わりの正回転が生じたときには、プーリ60からプーリ
62への力の伝達を行い、その結果、ジンバル枠32お
よびフライホイール支持体14がy軸まわりに正回転さ
せられるが、ジンバル枠32およびフライホイール支持
体14にy軸まわりの正回転が生じたときには、プーリ
62からプーリ60への力の伝達を行わず、その結果、
フライホイール支持体14がx軸まわりに正回転させら
れなように設計するとともに、第2プーリ装置52を、
ジンバル枠32およびフライホイール支持体14のy軸
まわりの正回転が生じたときは、プーリ66からプーリ
68への力伝達を行い、その結果、フライホイール支持
体14がx軸まわりに逆回転させられるが、フライホイ
ール支持体14にx軸まわりの逆回転が生じたときに
は、プーリ68からプーリ66への力の伝達を行わず、
その結果、ジンバル枠32およびフライホイール支持体
14がy軸まわりに正回転させられないように設計する
ことが考えられる。このようにすれば、x軸からy軸ま
での力伝達と、y軸からx軸までの力伝達とで、位相が
逆になる。
【0059】このような力伝達技術は、1組のプーリ装
置に着目して検討すれば、図11に示すように、一方の
プーリIに回転が与えられてそれがトリガ側となった場
合には、その回転がプーリJに伝達されず、一方、他方
のプーリJに回転が与えられてトリガ側となった場合に
は、そのプーリJが駆動プーリとして機能して、それの
回転をプーリIに伝達することとして表現される。
【0060】そして、本実施形態においては、図12に
示すように、プーリJがそれと同軸の支持軸(第1およ
び第2支持軸34,36のうち対応するもの)に対して
相対回転可能とされるとともに、それらの間にワンウェ
イクラッチ86が装着されている。これに対して、プー
リIは、それと同軸の支持軸(第1および第2支持軸3
4,36のうち対応するもの)に一体的に回転可能に固
定されている。
【0061】 異径プーリ 本実施形態においては、各プーリ装置が、一対のプーリ
I,Jがエンドレスのワイヤにより互いに連結されて構
成されている。さらに、それら一対のプーリI,Jのう
ち選択的に駆動プーリとして機能することが可能なプー
リJに回転を与える支持軸の回転をトリガとしてプーリ
Jが駆動プーリとして選択的に機能することとなるよう
にするために、次のような対策が講じられている。すな
わち、プーリJの直径がプーリIの直径より大きくされ
ているのである。その結果、大プーリJにおいて小プー
リIにおけるより、各支持軸の同じ角速度に対応する各
プーリI,Jの周速度が大きくなる。したがって、プー
リJに回転を与える支持軸の正方向回転に対してより敏
感にワンウェイクラッチ86が応答してその正方向回転
をプーリIに伝達する。
【0062】なお付言すれば、各プーリI,Jについて
「正回転」とは、一対のプーリI,JにおけるプーリI
を左側、プーリJを右側に見た場合に各プーリI,Jを
反時計方向に回転させることをいう。したがって、プー
リJは、x軸の正領域と負領域とにそれぞれ配置される
が、正領域に配置されたプーリJは、それの正回転方向
と、そのプーリJのx軸まわりの正の回転方向とが互い
に一致する一方、負領域に配置されたプーリJは、それ
の正回転方向と、そのプーリJのx軸まわりの負の回転
方向とが互いに一致することになる。
【0063】 擬似スカイフックダンパ 本実施形態においては、各軸ごとに支持台10とジンバ
ル枠32との間に前記第1ばね・ダンパ系S1,D1が
装着されるとともに、各軸ごとにジンバル枠32とフラ
イホイール支持体14との間に前記第2ばね・ダンパ系
S2,D2が装着されている。そのため、フライホイー
ル支持体14の振動がそれらばね・ダンパ系S1,D
1,S2,D2により抑制される反面、車体が振動する
と、その振動がそれらばね・ダンパ系S1,D1,S
2,D2によりフライホイール支持体14に伝達され、
フライホイール支持体14が加振されてしまう。
【0064】したがって、本実施形態においては、車体
振動をフライホイール支持体14に伝達することなく、
そのフライホイール支持体14のジャイロ効果を抑制す
る擬似スカイフックダンパの存在が要望される。
【0065】(2) 具体的構成 図1に示すように、コントローラ要素40は、4個のプ
ーリ体90,92,94,96を備え、それらプーリ体
90〜96と4組のエンドレスのワイヤ98とによって
4組のプーリ装置100,102,104,106を構
成している。
【0066】各プーリ体90〜96は、直径が大きい大
プーリ110と小プーリ112とが互いに同軸に連結さ
れて構成されている。各プーリ体90〜96は、第1お
よび第2支持軸34,36のうち対応するもの(以下、
「対応支持軸」という)に同軸に連結されている。ただ
し、大プーリ110は、対応支持軸にワンウェイクラッ
チ86を介して連結され、一方、小プーリ112は、対
応支持軸に常に一体的に回転可能に連結されている。4
個のプーリ体90〜96は、第1ないし第4プーリ体と
それぞれ呼称される。第1プーリ体90は、フライホイ
ール支持体14の前部(x軸の正領域)において第1支
持軸34に連結されている。第2プーリ体92は、ジン
バル枠32の前部(y軸の正領域)において第2支持軸
36に連結されている。第3プーリ体94は、フライホ
イール支持体14の後部(x軸の負領域)において第1
支持軸34に連結されている。第4プーリ体96は、ジ
ンバル枠32の後部(y軸の負領域)において第2支持
軸36に連結されている。
【0067】4組のプーリ装置100〜106は、第1
ないし第4プーリ装置とそれぞれ呼称される。第1プー
リ装置100は、第1プーリ体90の大プーリ110と
第2プーリ体92の小プーリ112とがワイヤ98によ
り互いに連結された構成を有するとともに、大プーリ1
10と第1支持軸34との間に設けられたワンウェイク
ラッチ86を備えている。第2プーリ装置102は、第
2プーリ体92の大プーリ110と第3プーリ体94の
小プーリ112とがワイヤ98により互いに連結された
構成を有するとともに、大プーリ110と第2支持軸3
6との間に設けられたワンウェイクラッチ86を備えて
いる。第3プーリ装置104は、第3プーリ体94の大
プーリ110と第4プーリ体96の小プーリ112とが
ワイヤ98により互いに連結された構成を有するととも
に、大プーリ110と第1支持軸34との間に設けられ
たワンウェイクラッチ86を備えている。第4プーリ装
置106は、第4プーリ体96の大プーリ110と第1
プーリ体90の小プーリ112とがワイヤ98により互
いに連結された構成を有するとともに、大プーリ110
と第2支持軸36との間に設けられたワンウェイクラッ
チ86を備えている。
【0068】各プーリ装置100〜106においては、
大プーリ110と小プーリ112とがワイヤ98により
互いに連結されている。ワイヤ98は、ジンバル枠32
の4個のコーナ部のうち各プーリ装置100〜106に
対応するコーナ部に沿って屈曲して配置されている。ジ
ンバル枠32には、ワイヤ98にテンションを与えるた
めのテンションプーリ116がブラケット118を介し
て取り付けられている。
【0069】図12には、1組のプーリ装置が代表的
に、かつ、それの小プーリIと大プーリJとが同一平面
上に展開された状態で示されている。その代表的なプー
リ装置が第1プーリ装置100である場合には、小プー
リIは、y軸の正領域に設けられたプーリに相当し、大
プーリJは、x軸の正領域に設けられたプーリに相当す
ることになる。
【0070】大プーリJにおいては、プーリ外枠要素1
20とプーリ内軸要素122とが互いに同軸に、かつ、
相対回転可能に配置されている。プーリ内軸要素122
は、その大プーリJが第1プーリ体90または第3プー
リ体94に属する場合には、第1支持軸34にそれと一
体的に回転可能に連結され、これに対して、第2プーリ
体92または第4プーリ体96に属する場合には、第2
支持軸36にそれと一体的に回転可能に連結されてい
る。
【0071】それらプーリ外枠要素120とプーリ内軸
要素122との間にワンウェイクラッチ86が同軸に設
けられている。ワンウェイクラッチ86は、プーリ内軸
要素122の外周に沿ってほぼ等間隔で配置された複数
個のカム要素124と、それらカム要素124の外側に
配置されたクラッチ外枠要素126とを備えている。各
カム要素124は、プーリ内軸要素122に対して回動
中心点Oまわりに回動可能に連結されている。各カム要
素124は、プーリ内軸要素122の中心から遠ざかる
向きに回動させられるとクラッチ外枠要素126の内周
面である摩擦面に係合させられ、プーリ内軸要素122
の回転力がクラッチ外枠要素126に伝達され、それに
より、プーリ内軸要素122とクラッチ外枠要素126
とが一体的に回転させられる。また、各カム要素124
は、図示しない復元ばねにより、クラッチ外枠要素12
6から最も離れた初期位置に復元するように常時付勢さ
れている。
【0072】クラッチ外枠要素126とプーリ外枠要素
120との間にダンパ要素130が装着されている。ダ
ンパ要素130は、それらクラッチ外枠要素126とプ
ーリ外枠要素120との周速度差に応じた減衰力をそれ
らクラッチ外枠要素126とプーリ外枠要素120とに
互いに逆向きに作用させる。
【0073】ここで、ワンウェイクラッチ86の作動を
説明する。
【0074】 記号の定義について まず、作動の説明に用いる記号を以下のように定義す
る。 ωi :プーリIの角速度 Ri :プーリIの半径 ωj :プーリJの角速度 ωjo:プーリ外枠要素120の角速度 ωjc:クラッチ外枠要素126の角速度 Rjo:プーリ外枠要素120の半径 Rjc:クラッチ外枠要素126の内周面の直径
【0075】ただし、説明を簡単にするために、プーリ
外枠要素120の厚さと、ダンパ要素130の厚さとは
共に、それぞれの半径に対して十分に小さいことに着目
することにより、0であるとみなす。よって、プーリ外
枠要素120の半径Rjoと、クラッチ外枠要素126の
外周面の半径とが互いに一致することになる。
【0076】 カム要素124がクラッチ外枠要素1
26の内周面に接触する条件について プーリJが回転する場合、カム要素124には、それの
重心に、プーリJの回転による遠心力と、プーリJの回
転変動による周方向慣性力と、重力と、上記復元ばねに
よるカム要素124の復元力とが作用する。カム要素1
24の回動中心点Oとそれの重心とを結んだ線L1と、
回動中心点とプーリ内軸要素122の中心点とを結んだ
線L2とが成す角度と、上記復元力の大きさと、カム要
素124の慣性と、その形状などを相互に適当に調整す
れば、プーリJの回転状態が基準状態以上になると、カ
ム要素124がクラッチ外枠要素126の内周面に接触
する。
【0077】本実施形態においては、プーリJの回転角
がせいぜい60度というように小さく、同じ方向に回転
し続けることはない。したがって、カム要素124の回
動中心点まわりの動きは、プーリJの回転変動による周
方向慣性力と、上記復元ばねによるカム要素124の復
元力とによって決まる。すなわち、正回転時には、その
回転の変動による慣性力(カム要素124をクラッチ外
枠要素126に接近させる向きに作用する)が復元ばね
による復元力より大きくなると、カム要素124がクラ
ッチ外枠要素126の内周面に接近させられ、一方、逆
回転時には、その回転の変動による慣性力(カム要素1
24をクラッチ外枠要素126から離間させる向きに作
用する)と復元ばねの復元力との共同により、カム要素
124がクラッチ外枠要素126の内周面から離間させ
られる。カム要素124は、クラッチ外枠要素126の
内周面に接触しない状態では、カム要素124の慣性や
復元力などを考慮すると、正回転時に、慣性力が復元力
より大きくなった後多少遅れて、クラッチ外枠要素12
6の内周面に接触する。また、カム要素124は、クラ
ッチ外枠要素126の内周面に接触している状態では、
その接触面の摩擦や慣性を考慮すると、正回転から逆回
転に転じた後多少遅れて、クラッチ外枠要素126の内
周面から離間させられる。慣性力,復元力などを調整す
ることによって正回転時における上記遅れを調整すれ
ば、正回転時におけるプーリ内軸要素122の角速度
(回転数)が一定値以上である場合においてのみ、カム
要素124がクラッチ外枠要素126の内周面に接触す
るようにすることが可能となる。
【0078】 プーリ径が異なる理由について プーリ径は、図12に示すように、プーリJにおいてプ
ーリIにおけるより大きくされている。この技術は前述
したが、ここでは、その技術をさらに詳しく説明する。
ただし、その説明を簡単にするために、プーリ外枠要素
120の角速度ωjoとクラッチ外枠要素126の角速度
ωjcとが、相対回転の原因となるダンパ要素130の介
在にもかかわらず、互いに等しいと仮定する。
【0079】プーリIとJとが、実質的に伸縮しないワ
イヤ98により互いに連結されているため、プーリIの
周速度Ri ωi とプーリJの周速度Rjoωjoとが互いに
一致し、よって、 Ri ωi =Rjoωjo なる式で表される関係が成立する。一方、前記仮定か
ら、プーリ外枠要素120の角速度ωjoとクラッチ外枠
要素126の角速度ωjcとの間に、 ωjo=ωjc なる式で表される関係が成立する。したがって、クラッ
チ外枠要素126の角速度ωjcは、 ωjc=(Ri /Rjo)ωi なる式で表される。また、クラッチ外枠要素126のう
ちカム要素124と接触すべき部位の周速度(以下、
「クラッチ側周速度」という)は、 Rjcωjc で表され、これに対して、その部位におけるカム要素1
24の周速度(以下、「カム側周速度」という)は、 Rjcωj で表される。
【0080】ここで、カム側周速度Rjcωj がクラッチ
側周速度Rjcωjcより大きく、 Rjcωj −Rjcωjc>0 なる式で表される関係が成立する場合には、よく知られ
たドーボ摩擦継手におけると同様に、カム要素124と
クラッチ外枠要素126との間において力のやりとりが
行われ、その力が相互にとっての回転力となる。この場
合、結局、力がプーリJからプーリIに伝達されること
になる。
【0081】これに対して、カム側周速度Rjcωj がク
ラッチ側周速度Rjcωjcより小さく、 Rjcωj −Rjcωjc<0 なる式で表される関係が成立する場合には、ドーボ摩擦
継手におけると同様に、カム要素124とクラッチ外枠
要素126との間において力のやりとりが瞬間的には行
われるが、その力によりカム要素124が回動中心点O
を中心にプーリ内軸要素122に接近する向きに回動さ
せられ、両者間における力のやりとりが不可能な状態と
なる。この場合、力がプーリJからプーリIに伝達され
ることはない。
【0082】本実施形態においては、プーリ内軸要素1
22が正方向に回転した場合のみ、力をプーリJからプ
ーリIに伝達し、逆方向に回転した場合には、伝達しな
いように設計される。
【0083】力がプーリJからプーリIに伝達される状
態にあるか伝達されない状態にあるか、すなわち、カム
側周速度Rjcωj からクラッチ側周速度Rjcωjcを引き
算した値である周速度差(Rjcωj −Rjcωjc)の符号
の正負は、プーリ内軸要素122の角速度ωj の影響の
みならず、クラッチ外枠要素126の角速度ωjcの符号
の正負およびそれの絶対値の影響も受ける。ここで、改
めて、クラッチ外枠要素126の角速度ωjcに着目する
と、上記のように、 ωjc=(Ri /Rjo)ωi なる式で表されるから、(Ri /Rjo)の値を十分小さ
い値に設定すれば、クラッチ外枠要素126の角速度ω
jcも十分に小さい値に設定される。したがって、(Ri
/Rjo)の値を十分小さい値に設定すれば、周速度差
(Rjcωj −Rjcωjc)の符号の正負が、ほぼクラッチ
外枠要素126の角速度ωjcの正負だけで決まることに
なる。
【0084】したがって、本実施形態においては、プー
リIの半径Ri がプーリ外枠要素120の半径Rjoすな
わちプーリJの半径より小さく設定されている。
【0085】 フライホイール12のスピン方向とプ
ーリの接続態様との関係について本実施形態において
は、図1に示すように、各プーリ体90〜96の大プー
リ110が、x軸とy軸との交点を中心として時計方向
において隣接するプーリ体の小プーリ112に、ワイヤ
98により連結されているが、このように時計方向にお
いて隣接するプーリ体90〜96の小プーリ112に連
結されるのか、これとは異なり、反時計方向において隣
接するプーリ体90〜96の小プーリ112に連結され
るのかは、フライホイール12がそれのスピン軸線まわ
りに回転する方向に依存する。以下、このことをさらに
詳しく説明する。
【0086】フライホイール12の運動方程式は次のよ
うになる。 Ix d(ωx )/dt=−kx (θx −Θx )−cx (ωx
Ωx )+Iz ωz ωyy d(ωy )/dt=−ky (θy −Θy )−cy (ωy
Ωy )−Iz ωz ωx ただし、 Ix :フライホイール12のx軸まわりの慣性モーメン
ト Iy :フライホイール12のy軸まわりの慣性モーメン
ト Iz :フライホイール12のy軸まわりの慣性モーメン
【0087】それら2式においては、Iz ωz ωy とい
う項と、Iz ωz ωx という項とが共に、フライホイー
ル12の、回転による慣性項を表していて、フライホイ
ール12のジャイロ効果に関係している。ジャイロ効果
は、角速度ωy またはωx が変化することに応答してフ
ライホイール12にモーメント(以下、「ジャイロモー
メント」という)が、角速度ωy またはωx が変化する
向きとフライホイール12の角速度ωz の向きとに応じ
た向きに作用する現象をいう。ジャイロモーメントが作
用する向きは、いわゆる右手の法則により、右手の親指
を、フライホイール12の角速度ωz の向き(ただし、
フライホイール12と同じ方向に右ねじを回転させた場
合にその右ねじが進行する向きと等しい)に対応させる
とともに、中指に、角速度ωy またはωx が変化する向
き(ただし、角速度ωy またはω x が変化する向きと同
じ向きに右ねじを回転させた場合にその右ねじが進行す
る向きと等しい)を対応させた場合に、その右手の人指
し指の向き(ただし、その人指し指の向きに右ねじが進
行するように場合にその右ねじを回転させる向きと等し
い)により表される。
【0088】一方、一対のプーリI,Jは、ジャイロモ
ーメントを打ち消すように、一方の軸に生じた外乱モー
メントを他方の軸に伝達する。したがって、一対のプー
リI,Jにおいては、フライホイール12の角速度ωz
の向きが右方向であるか左方向であるかによって、一方
の軸に生じた外乱モーメントを他の軸に、それと同じ向
きに伝達するのか、逆向きに伝達するのかが決まる。
【0089】本実施形態においては、図13に示すよう
に、フライホイール12を真上から見た場合に右方向に
回転させられるようになっているため、x軸に生じた外
乱モーメントがy軸に、それと同じ向きに伝達されるよ
うに、x軸上において正領域に位置する第1プーリ体9
0の大プーリJが、y軸上において正領域に位置する第
2プーリ体92の小プーリIに連結され、さらに、その
第2プーリ体92の小プーリ112が、x軸上において
負領域に位置する第3プーリ体94の大プーリJに連結
され、さらに、その第3プーリ体94の小プーリIが、
y軸上において負領域に位置する第4プーリ体96の大
プーリJに連結され、さらに、その第4プーリ体96の
大プーリJが、第1プーリ体90の小プーリIに連結さ
れている。
【0090】そして、フライホイール12が上記の場合
とは逆向きに回転させられる場合には、プーリ間の接続
方向が上記の場合とは逆向きに変更されることになる。
【0091】 x−y軸間における力の伝達について まず、図13を参照しつつ概略的に説明する。フライホ
イール支持体14がx軸まわりに正回転させられると、
左側の第1プーリ体90から上側の第2プーリ体92に
力が伝達され、ジンバル枠32およびフライホイール支
持体14がy軸まわりに正回転させられる。一方、フラ
イホイール支持体14がx軸まわりに逆回転させられる
と、右側の第3プーリ体94から下側の第4プーリ体9
6に力が伝達され、ジンバル枠32およびフライホイー
ル支持体14がy軸まわりに逆回転させられる。したが
って、正回転時であると逆回転時であるとを問わず、x
軸からy軸を見た場合の正方向力伝達系の位相が0度と
なる。
【0092】これに対して、フライホイール支持体14
およびジンバル枠32がy軸まわりに正回転させられる
と、上側の第2プーリ体92から右側の第3プーリ体9
4に力が伝達され、フライホイール支持体14がy軸ま
わりに逆回転させられる。一方、フライホイール支持体
14およびジンバル枠32がy軸まわりに逆回転させら
れると、下側の第4プーリ体96から左側の第1プーリ
体90に力が伝達され、フライホイール支持体14がx
軸まわりに正回転させられる。したがって、正回転時で
あると逆回転時であるとを問わず、y軸からx軸を見た
場合の正方向力伝達系の位相が−180度となる。
【0093】したがって、本実施形態においては、x軸
からy軸を見た場合の正方向力伝達系と、y軸からx軸
を見た場合の正方向力伝達系とが、位相に関して180
度異なっている。
【0094】次に、具体的に説明する。なお、各プーリ
装置100〜106において大プーリJが駆動プーリと
なるためにその大プーリJが超えることが必要である角
速度をω0 とする。
【0095】1)|ωx |<ω0 かつ|ωy |<ω0
ある場合 この場合、4個の大プーリJの中に、駆動プーリとして
機能し得るものは存在しない。よって、x軸からy軸に
伝達されるモーメントも、y軸からx軸に伝達されるモ
ーメントも0である。
【0096】2)ωx >ω0 かつ|ωy |<ω0 である
場合 この場合、4個の大プーリJのうち駆動プーリとして機
能し得るものは、第1プーリ体90の大プーリJのみで
ある。また、角速度ωy は、小さいから、0であるとみ
なすことができる。したがって、この場合にx軸からy
軸に伝達されるモーメントMy は、 My =−cy (−Ri ωx )Rjo なる式で表され、また、x軸に生じるモーメントM
x は、 Mx = cx (−Rjoωx )Rjo なる式で表される。このように、x軸からy軸に伝達さ
れるモーメントMy の符号は、角速度ωx の符号と同じ
である。
【0097】3)|ωx |<ω0 かつωy >ω0 である
場合 この場合、4個の大プーリJのうち駆動プーリとして機
能し得るものは、第2プーリ体92の大プーリJのみで
ある。また、角速度ωx は、小さいから、0であるとみ
なすことができる。したがって、この場合にy軸からx
軸に伝達されるモーメントMx は、 Mx = c(−Ri ωy )Rjo なる式で表され、また、y軸に生じるモーメントM
y は、 My = c(−Rjoωy )Rjo なる式で表される。このように、y軸からx軸に伝達さ
れるモーメントMx の符号は、角速度ωy の符号と逆で
ある。
【0098】4)ωx <ω0 かつ|ωy |<ω0 である
場合 この場合、4個の大プーリJのうち駆動プーリとして機
能し得るものは、第3プーリ体94の大プーリJのみで
ある。よって、上記2)の場合と同様に、x軸からy軸
に伝達されるモーメントMy は、 My =−c(−Ri ωx )Rjo なる式で表される。このように、x軸からy軸に伝達さ
れるモーメントMy の符号は、角速度ωx の符号と同じ
である。
【0099】5)ωy <ω0 かつ|ωx |<ω0 である
場合 この場合、4個の大プーリJのうち駆動プーリとして機
能し得るものは、第4プーリ体96の大プーリJのみで
ある。よって、上記3)の場合と同様に、y軸からx軸
に伝達されるモーメントMx は、 Mx = c(−Ri ωy )Rjo なる式で表される。このように、y軸からx軸に伝達さ
れるモーメントMx の符号は、角速度ωy の符号と逆で
ある。
【0100】6)ωx >ω0 かつωy >ω0 である場合 この場合、4個の大プーリJのうち駆動プーリとして機
能し得るものは、第1プーリ体90の大プーリJと第2
プーリ体92の大プーリJとである。よって、第1プー
リ体90と第2プーリ体92との間においては、y軸に
生じるモーメントMy1が、 My1=−c((Ri Ri /Rjo)ωy −Ri ωx )Rjo なる式で表され、また、x軸に生じるモーメントM
x1が、 Mx1= c(Ri ωy −Rjoωx )Rjo なる式で表される。また、第2プーリ体92と第3プー
リ体94との間においては、x軸に生じるモーメントM
x2が、 Mx2= c(−(Ri Ri /Rjo)ωx −Ri ωy )R
jo なる式で表され、また、y軸に生じるモーメントM
y2が、 My2= c(−Ri ωx −Rjoωy )Rjo なる式で表される。そして、システム全体として見る
と、x軸に生じるモーメントMx は、 Mx =−c(Ri Ri +RjoRjo)ωx なる式で表され、また、y軸に生じるモーメントM
y は、 My =−c(Ri Ri +RjoRjo)ωy なる式で表される。
【0101】そして、それら2式から明らかなように、
モーメントMx は角速度ωy に依存せず、また、モーメ
ントMy は角速度ωx に依存しておらず、よって、シス
テム全体として見れば、x軸からy軸に伝達されるモー
メントも、y軸からx軸に伝達されるモーメントも0で
ある。
【0102】7)ωx >ω0 かつ ωy <ω0 である場
合 この場合、6)の場合と同様に、システム全体として見
ると、x軸からy軸に伝達されるモーメントも、y軸か
らx軸に伝達されるモーメントも0である。
【0103】8)ωx <ω0 かつ ωy >ω0 である場
合 この場合、6)の場合と同様に、システム全体として見
ると、x軸からy軸に伝達されるモーメントも、y軸か
らx軸に伝達されるモーメントも0である。
【0104】9)ωx <ω0 かつ ωy <ω0 である場
合 この場合、6)の場合と同様に、システム全体として見
ると、x軸からy軸に伝達されるモーメントも、y軸か
らx軸に伝達されるモーメントも0である。
【0105】 システムの検証
【0106】(i) 逆位相の検証 図14には、各軸まわりの角速度ωx ,ωy と各軸まわ
りのモーメントMx ,My との関係が4つのグラフで示
されている。(a) のグラフは、フライホイール支持体1
4に角速度ωx を与えるとそれに応答してフライホイー
ル支持体14にモーメントMx が生じる様子を表すグラ
フである。(b) のグラフは、フライホイール支持体14
に角速度ωy を与えるとそれに応答してフライホイール
支持体14にモーメントMx が生じる様子を表すグラフ
である。(c) のグラフは、フライホイール支持体14に
角速度ωx を与えるとそれに応答してフライホイール支
持体14にモーメントMy が生じる様子を表すグラフで
ある。(d) のグラフは、フライホイール支持体14に角
速度ωy を与えるとそれに応答してフライホイール支持
体14にモーメントMy が生じる様子を表すグラフであ
る。
【0107】それらグラフから明らかなように、角速度
ωx を入力、モーメントMy を出力とする正方向力伝達
系((c) のグラフ)と、角速度ωy を入力、モーメント
Mを出力とする逆方向力伝達系((b) のグラフ)とは、
それらを記述する伝達関数の位相に関して180度異な
っていることが分かり、理想とする力伝達特性が実現さ
れていることが分かる。
【0108】(ii) 擬似スカイフックダンパの検証 本実施形態においては、各軸ごとに装着された前記ばね
・ダンパ系S1,D1,S2,D2に加えて、前記ダン
パ要素130が配置されている。このダンパ要素130
は、それらばね・ダンパ系S1,D1,S2,D2のよ
うに同じ軸ごとに配置されているのではなく、異なる軸
間に配置されている。そして、そのダンパ要素130
は、フライホイール12のジャイロ効果によってフライ
ホイール支持体14が歳差運動をする際、それを抑制す
るように機能する。さらに、そのダンパ要素130は、
ばね・ダンパ系S1,D1,S2,D2とは異なり、車
体振動をフライホイール支持体14に伝達するようには
機能せず、車体振動がばね・ダンパ系S1,D1,S
2,D2によりフライホイール支持体14に伝達されて
それが加振されようとすると、それを抑制するように作
用する。ダンパ要素130がそのように作用すること
は、図14の(a) および(d) に示すように、モーメント
x およびMy が、 Mx =−cx ωxy =−cy ωy なる式で表され、このことは、仮にダンパ要素130を
同じ軸に配置した場合とは逆位相であることを表す。よ
って、車体振動がばね・ダンパ系S1,D1,S2,D
2によりフライホイール支持体14に伝達されてそれが
加振されようとすると、それを抑制するようにダンパ要
素130が作用することが分かる。
【0109】(iii) 参考システムとの比較
【0110】(a) ステップ状外乱に対する整定性 図15には、本実施形態においてフライホイール12の
x軸またはy軸まわりにステップ状外乱が入力された場
合に、各種パラメータが時間と共に変化する様子が6つ
の実線グラフで示されている。さらに、同図には、本実
施形態の構成要素から、異なる2軸間において力の伝達
を行うプーリ装置100〜106およびダンパ要素13
0を取り除いた参考システムにおいて同様な実験を行っ
た場合の結果が6つの破線グラフで示されている。参考
システムは、x軸に関してはジンバル枠32とフライホ
イール支持体14との間に第1ばね・ダンパ系S1,D
1を有し、y軸に関して支持台10とジンバル枠32と
の間に第2ばね・ダンパ系S2,D2を有する。それら
の実験は、ステップ状外乱に対するフライホイール12
の姿勢の整定性を評価するために行った。
【0111】具体的には、同図の(a) の実線および破線
グラフは、ステップ状外乱に応答して回転角θx が時間
tと共に変化する様子を示しており、(b) の実線および
破線グラフは、ステップ状外乱に応答して回転角θy
時間tと共に変化する様子を示している。また、(c) の
実線および破線グラフは、ステップ状外乱に応答して第
1相対角(θx −Θx )が時間tと共に変化する様子を
示しており、(d) の実線および破線グラフは、ステップ
状外乱に応答して第2相対角(θy −Θy )が時間tと
共に変化する様子を示している。それらグラフから明ら
かなように、本実施形態によれば、上記参考システムに
比較して、ステップ状外乱に対してフライホイール支持
体14が短時間で整定する。
【0112】同図の(e) の実線および破線グラフは、ス
テップ状外乱に応答してモーメントMx が時間tと共に
変化する様子を示しており、(f) の実線および破線グラ
フは、ステップ状外乱に応答してモーメントMy が時間
tと共に変化する様子を示している。それらグラフから
明らかなように、本実施形態によれば、上記参考システ
ムに比較して、フライホイール支持体14内においてフ
ライホイール12を支持する軸受26にステップ状外乱
に応答して作用する荷重が小さくて済む。
【0113】(b) パルス状外乱に対する減衰性 図16には、本実施形態においてフライホイール12の
x軸またはy軸まわりにインパルス状外乱が入力された
場合に、各種パラメータが時間と共に変化する様子が6
つの実線グラフで示されている。さらに、同図には、上
記参考システムにおいて同様な実験を行った場合の結果
が6つの破線グラフで示されている。それらの実験は、
インパルス状外乱に対するフライホイール支持体14の
歳差運動の減衰性を評価するために行った。
【0114】具体的には、同図の(a) の実線および破線
グラフは、インパルス状外乱に応答して回転角θx が時
間tと共に変化する様子を示しており、(b) の実線およ
び破線グラフは、インパルス状外乱に応答して回転角θ
y が時間tと共に変化する様子を示している。また、
(c) の実線および破線グラフは、インパルス状外乱に応
答して第1相対角(θx −Θx )が時間tと共に変化す
る様子を示しており、(d) の実線および破線グラフは、
インパルス状外乱に応答して第2相対角(θy −Θy
が時間tと共に変化する様子を示している。それらグラ
フから明らかなように、本実施形態によれば、上記参考
システムとは異なり、インパルス状外乱に対してそれの
初期においてのみフライホイール支持体14に歳差運動
が生じるだけで、以後は減衰してニュートラル位置に保
持される。
【0115】同図の(e) の実線および破線グラフは、イ
ンパルス状外乱に応答してモーメントMx が時間tと共
に変化する様子を示しており、(f) の実線および破線グ
ラフは、インパルス状外乱に応答してモーメントMy
時間tと共に変化する様子を示している。それらグラフ
から明らかなように、本実施形態によれば、上記参考シ
ステムに比較して、フライホイール支持体14内におい
てフライホイール12を支持する軸受26にインパルス
状外乱に応答して作用する荷重が小さくて済む。
【0116】(c) ジャイロ効果の抑制と相対角の増加の
抑制との両立図15の(c) および(d) のグラフを見る
と、上記参考システムを実施する場合には、ステップ状
外乱が入力されると、フライホイール支持体14の歳差
運動の共振周波数と同じ周波数で振動し、約10秒経過
すると、歳差運動が0に、すなわち、相対角が0に減衰
している。これに対して、本実施形態によれば、ステッ
プ状外乱が入力されると、歳差運動の共振周波数と同じ
周波数で振動することなくなめらかに歳差運動が0に向
かって減衰している。また、本実施形態によれば、歳差
運動が減衰する間、同図の(e) および(f) のグラフに示
すように、モーメントMx ,My に、上記参考システム
におけるより遙に小さな変化しか現れていない。したが
って、本実施形態によれば、ジャイロ効果の低減と相対
角の低減とが高次元で両立している。
【0117】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、コントローラ要素40が「制御装置」を
構成し、コントローラ要素40のうち第1および第3プ
ーリ装置100,104が互いに共同して「第1ジャイ
ロ効果抑制機構」を構成し、コントローラ要素40のう
ち第2および第4プーリ装置102,106が互いに共
同して「第2ジャイロ効果抑制機構」を構成しているの
である。また、第1および第3プーリ装置100,10
4における各小プーリIが「第2プーリ」を構成し、各
大プーリJが「第1プーリ」を構成し、各ワイヤ98が
「第1力伝達媒体」を構成し、各ワンウェイクラッチ8
6が「第1ワンウェイクラッチ」を構成しているのであ
る。また、第2および第4プーリ装置102,106に
おける各小プーリIが「第3プーリ」を構成し、各大プ
ーリJが「第4プーリ」を構成し、各ワイヤ98が「第
2力伝達媒体」を構成し、各ワンウェイクラッチ86が
「第2ワンウェイクラッチ」を構成しているのである。
また、第1および第3プーリ装置100,104におけ
る各ダンパ要素130が「第1力発生部」を構成し、ま
た、第2および第4プーリ装置102,106における
各ダンパ要素130が「第2力発生部」を構成している
のである。
【0118】なお付言すれば、本実施形態においては、
ダンパ要素130の作動特性が、そのダンパ要素130
とは理想的な特性が同じではないばね・ダンパ系S1,
D1,S2,D2の作動特性とは独立して設計すること
ができるため、ダンパ要素130の作動特性をより理想
的なものに近づけることが容易となる。
【0119】さらに付言すれば、本実施形態において
は、異なる軸間における力伝達がダンパ要素130を媒
介として行われるようになっており、しかも、プーリI
とJとの相対速度が実質的に0である微小相対速度領域
と、負である相対速度領域では、力の伝達を行わないよ
うになっている。一方、微小相対速度領域では、フライ
ホイール支持体14と支持台10との相対角の変化を許
容しても、その変化がゆるやかであるため、フライホイ
ール12に現れるジャイロ効果が小さい。そのため、微
小相対速度領域では、相対角の変化を許容しても問題は
なく、また、許容した方がかえってジャイロ効果が良好
に抑制される。
【0120】さらに付言すれば、本実施形態において
は、プーリJの軸線まわりに外乱モーメントが生じ、か
つ、そのプーリJが正方向に回転したときに、その外乱
モーメントがプーリJからプーリIに伝達されるように
なっているが、ワンウェイクラッチ86として例えば遠
心クラッチを用いることにより、プーリJの軸線まわり
に外乱モーメントが生じたときに、その外乱モーメント
がプーリJからプーリIに伝達されるようにしてもよ
い。
【0121】次に、本発明の第2実施形態を図面に基づ
いて説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と
プーリの接続方向が異なるのみで、他の構成については
共通であるため、プーリの接続方向のみを詳細に説明
し、他の構成については同一の符号を使用することによ
って詳細な説明を省略する。
【0122】本実施形態においては、フライホイール1
2が第1実施形態とは逆向きに回転させられる。図17
に示すように、フライホイール12を真上から見た場合
に左方向に回転させられるようになっているのである。
そのため、本実施形態においては、プーリ間の接続方向
が第1実施形態とは逆向きになっている。
【0123】具体的には、同図に示すように、x軸上に
おいて正領域に位置する第1プーリ体90の大プーリ1
10が、y軸上において負領域に位置する第4プーリ体
96の小プーリ112に連結されている。さらに、その
第4プーリ体96の小プーリ112が、x軸上において
負領域に位置する第3プーリ体94の大プーリ110に
連結されている。さらに、その第3プーリ体94の小プ
ーリ112が、y軸上において正領域に位置する第2プ
ーリ体92の大プーリ110に連結されている。さら
に、その第2プーリ体92の大プーリ110が、x軸上
において正領域に位置する第1プーリ体90の小プーリ
112に連結されている。
【0124】そして、本実施形態においては、同図に示
すように、角速度ωx を入力、モーメントMy を出力と
する正方向力伝達系の位相が−180度となり、一方、
角速度ωy を入力、モーメントMx を出力とする逆方向
力伝達系の位相が0度となる。このように、力伝達系の
向きと位相との関係は、第1実施形態とは逆の関係であ
るが、正方向力伝達系と逆方向力伝達系とが、それらを
記述する伝達関数の位相に関して180度異なることが
実現されている。
【0125】次に、本発明の第3実施形態を説明する。
ただし、本実施形態は、ジャイロ効果を抑制する基本的
な理論は第1実施形態と共通で、それを実現するコント
ローラ要素の形式がアクティブ型である点で、パッシブ
型である第1実施形態と異なっているため、理論につい
ては説明を省略し、コントローラ要素のみを詳細に説明
する。
【0126】第1実施形態においては、車体姿勢の変化
によってシステムに生じた外乱モーメントを駆動源とし
て、機械的な構成により、その外乱モーメントが、ジャ
イロモーメントを打ち消すようにシステムに作用させら
れる。これに対して、本実施形態においては、ジャイロ
モーメントを打ち消すモーメントが電気的に発生させら
れる。
【0127】図18には、コントローラ要素200のハ
ードウェア構成が示されている。コントローラ要素20
0は、フライホイール支持体14のジンバル枠32に対
するx軸まわりの相対回転を制御する駆動装置としての
x軸アクチュエータ202を備えている。x軸アクチュ
エータ202は例えば、サーボモータとして構成するこ
とができる。x軸アクチュエータ202は、それのハウ
ジングにおいてジンバル枠32に固定される一方、それ
の回転軸がフライホイール支持体14に一体的に回転可
能に連結されている。x軸アクチュエータ202は、x
軸上において正領域に配置されている。ジンバル枠32
には、x軸上における負領域において、x軸アクチュエ
ータ202の自重により生ずるモーメントに対抗するモ
ーメントを発生させるバランスウェイト204が固定さ
れている。ジンバル枠32とフライホイール支持体14
との間には、それらのx軸まわりの相対角および相対角
速度に応じた弾性力および減衰力をそれぞれ発生させる
第1ばね要素S1および第1ダンパ要素D1(共に図示
しない)が装着されている。
【0128】コントローラ要素200は、さらに、ジン
バル枠32の支持台10に対するy軸まわりの相対回転
を制御する駆動装置としてのy軸アクチュエータ208
を備えている。y軸アクチュエータ208は例えば、サ
ーボモータとして構成することができる。y軸アクチュ
エータ208は、それのハウジングにおいて支持台10
に固定される一方、それの回転軸がジンバル枠32に一
体的に回転可能に連結されている。y軸アクチュエータ
208は、y軸上において負領域に配置されている。支
持台10とジンバル枠32との間には、それらのy軸ま
わりの相対角および相対角速度に応じた弾性力および減
衰力をそれぞれ発生させる第2ばね要素S2および第2
ダンパ要素D2(共に図示しない)が装着されている。
【0129】図19には、コントローラ要素200のソ
フトウェア構成が示されている。コントローラ要素20
0は、フライホイール支持体14のジンバル枠32に対
するx軸まわりの角速度ωx を検出するx軸角速度セン
サ210と、ジンバル枠32の支持台10に対するy軸
まわりの角速度ωy を検出するy軸角速度センサ212
とを備えている。なお、各角速度センサ210,212
は、各相対角を検出する相対角センサと、それの検出値
を実質的に時間に関して微分することにより各相対角速
度を演算する演算器とを含むように構成することが可能
である。
【0130】コントローラ要素200は、さらに、CP
U,ROMおよびRAMを含むコンピュータ214を備
えている。そのコンピュータ214の入力側にx軸角速
度センサ210およびy軸角速度センサ212が接続さ
れ、それの出力側に上記x軸アクチュエータ202およ
びy軸アクチュエータ208が接続されている。ROM
にジャイロ効果抑制ルーチンが記憶されており、そのル
ーチンがCPUによりRAMを使用しつつ実行されるこ
とにより、フライホイール12のジャイロ効果が2個の
アクチュエータ210,212によりアクティブ型で抑
制される。
【0131】図20には、そのジャイロ効果抑制ルーチ
ンがフローチャートで表されている。本ルーチンは繰返
し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS1
において、x軸角速度センサ210およびy軸角速度セ
ンサ212により角速度ωx,ωy が検出される。次
に、ステップS2において、検出された第1および第2
角速度ωx ,ωy に基づいてモーメントMx およびMy
の目標値が、図14に示す関係に近似する関係であっ
て、角速度ωx とモーメントMy との関係と角速度ωy
とモーメントMx との関係(ROMに記憶されている)
に従って決定される。その後、ステップS3において、
決定された目標値が実現されるようにx軸アクチュエー
タ202およびy軸アクチュエータ208が制御され
る。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0132】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本
発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決
手段および発明の効果〕の項に記載された態様を始めと
して、当業者の知識に基づいて種々の改良,変形を加え
た形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるフライホイール型
エネルギ蓄積装置を示す斜視図である。
【図2】図1におけるフライホイール支持体を示す断面
図である。
【図3】上記蓄積装置が実現すべき最適な力伝達特性を
示すボード線図である。
【図4】図3の最適な力伝達特性を実現すべく提案され
た機構による力伝達特性を示すボード線図である。
【図5】上記蓄積装置が実現すべき最適な力伝達特性を
示すボード線図である。
【図6】図5の最適な力伝達特性を実現すべく提案され
た機構による力伝達特性を示すボード線図である。
【図7】上記蓄積装置が実現すべき最適な力伝達特性を
示すボード線図である。
【図8】上記蓄積装置が実現すべき最適な力伝達特性を
示すボード線図である。
【図9】上記蓄積装置においてワンウェイクラッチが設
けられている理由を説明するための平面図である。
【図10】上記理由を説明するための別の平面図であ
る。
【図11】上記ワンウェイクラッチに求められている特
性を説明するための図である。
【図12】そのワンウェイクラッチを含むプーリ装置を
示す正面断面図である。
【図13】上記蓄積装置の作動の概略を説明するための
平面図である。
【図14】上記蓄積装置において最適な力伝達特性が実
現されていることを示すグラフである。
【図15】上記蓄積装置のステップ状外乱に対する時間
的応答を示すグラフである。
【図16】上記蓄積装置のインパルス状外乱に対する時
間的応答を示すグラフである。
【図17】本発明の第2実施形態であるフライホイール
型エネルギ蓄積装置の作動を説明するための平面図であ
る。
【図18】本発明の第3実施形態であるフライホイール
型エネルギ蓄積装置を示す斜視図である。
【図19】上記蓄積装置のコントローラ要素のソフトウ
ェア構成を示すブロック図である。
【図20】図19のコンピュータのROMに記憶されて
いるジャイロ効果抑制ルーチンを示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
10 支持台 12 フライホイール 14 フライホイール支持体 30 ジンバル 32 ジンバル枠 40,200 コントローラ要素 86 ワンウェイクラッチ 100 第1プーリ装置 102 第2プーリ装置 104 第3プーリ装置 106 第4プーリ装置 130 ダンパ要素
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 明教 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 稲熊 幸雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】移動体に取り付けられる支持台と、 自身の慣性によりスピンし続けることによって運動エネ
    ルギを蓄積するフライホイールと、 軸受を介してそのフライホイールをそれのスピン軸線ま
    わりに回転可能に支持するフライホイール支持体と、 前記スピン軸線が絶対空間内において変化し得るように
    前記フライホイール支持体を前記支持台に対して支持す
    るジンバルであって、フライホイール支持体には第1軸
    線まわりに、支持台には前記第1軸線と直角な第2軸線
    まわりにそれぞれ相対回転可能に連携させられるジンバ
    ル枠を有するものと、 前記フライホイールと前記フライホイール支持体との間
    に設けられ、フライホイールの回転により電気エネルギ
    を発生させる発電機とを含み、フライホイールに蓄積さ
    れた運動エネルギを必要に応じて電気エネルギに変換し
    て出力するフライホイール型エネルギ蓄積装置におい
    て、 前記スピン軸線が前記支持台に対して、前記第1および
    第2軸線の各々のまわりに相対的に回転する角度とそれ
    の角速度との少なくとも一方である第1物理量と、前記
    フライホイール支持体に第1および第2軸線の各々のま
    わりに作用するモーメントである第2物理量との間にお
    ける力学的関係を制御する制御装置であって、第1軸線
    に関する第1物理量を入力、第2軸線に関する第2物理
    量を出力とする力伝達系を正方向力伝達系、第2軸線に
    関する第1物理量を入力、第1軸線に関する第2物理量
    を出力とする力伝達系を逆方向力伝達系とした場合に、
    正方向力伝達系を規定する伝達関数と逆方向力伝達系を
    規定する伝達関数とが位相に関して互いに実質的に18
    0度ずれるように前記力学的関係を制御するものを設け
    たことを特徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装
    置。
  2. 【請求項2】移動体に取り付けられる支持台と、 自身の慣性によりスピンし続けることによって運動エネ
    ルギを蓄積するフライホイールと、 軸受を介してそのフライホイールをそれのスピン軸線ま
    わりに回転可能に支持するフライホイール支持体と、 前記スピン軸線が絶対空間内において変化し得るように
    前記フライホイール支持体を前記支持台に対して支持す
    るジンバルであって、フライホイール支持体には第1軸
    線まわりに、支持台には前記第1軸線と直角な第2軸線
    まわりにそれぞれ相対回転可能に連携させられるジンバ
    ル枠を有するものと、 前記フライホイールと前記フライホイール支持体との間
    に設けられ、フライホイールの回転により電気エネルギ
    を発生させる発電機とを含み、フライホイールに蓄積さ
    れた運動エネルギを必要に応じて電気エネルギに変換し
    て出力するフライホイール型エネルギ蓄積装置におい
    て、 前記スピン軸線が前記支持台に対して前記第1軸線まわ
    りに相対的に回転する角度である第1相対角の変化に基
    づき、その変化に起因した前記フライホイールのジャイ
    ロ効果による、スピン軸線が支持台に対して前記2軸線
    まわりに相対的に回転する角度である第2相対角の増加
    を抑制する第1ジャイロ効果抑制機構と、 前記第2相対角の変化に基づき、その変化に起因した前
    記フライホイールのジャイロ効果による前記第1相対角
    の増加を抑制する第2ジャイロ効果抑制機構とを設けた
    ことを特徴とするフライホイール型エネルギ蓄積装置。
  3. 【請求項3】前記第1ジャイロ効果抑制機構が、前記第
    1相対角の変化に起因して前記フライホイール支持体に
    前記第1軸線まわりに生ずる第1外乱モーメントにより
    機械的に、前記ジャイロ効果による前記第2相対角の増
    加を抑制するパッシブ型であり、前記第2ジャイロ効果
    抑制機構が、前記第2相対角の変化に起因して前記フラ
    イホイール支持体に前記第2軸線まわりに生ずる第2外
    乱モーメントにより機械的に、前記ジャイロ効果による
    前記第1相対角の増加を抑制するパッシブ型である請求
    項2に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
  4. 【請求項4】前記ジンバルが、さらに、 前記第1軸線に沿って延びるとともにその第1軸線まわ
    りに前記フライホイール支持体と一体的に回転させられ
    る第1支持軸と、 前記第2軸線に沿って延びるとともにその第2軸線まわ
    りに前記ジンバル枠と一体的に回転させられる第2支持
    軸とを含み、 前記パッシブ型の第1ジャイロ効果抑制機構が、 前記第1支持軸にそれと同軸に設けられた第1回転体
    と、 前記第2支持軸にそれと同軸に設けられた第2回転体で
    あって前記第1回転体とは直径が異なるものと、 それら第1および第2回転体を互いに連結することによ
    り、両回転体間において力の伝達を行う第1力伝達媒体
    と、 前記フライホイールのジャイロ効果による前記フライホ
    イール支持体の前記第2軸線まわりの運動を抑制するこ
    ととなるモーメントが前記第1支持軸に前記第1軸線ま
    わりに生じた場合にはその第1支持軸に生じたモーメン
    トが第2支持軸に伝達されることを許容し、それ以外の
    場合には阻止する第1ワンウェイクラッチとを含み、か
    つ、前記第1および第2回転体の一方は、前記第1およ
    び第2支持軸の一方と相対回転可能、他方の回転体は他
    方の支持軸と相対回転不能とされ、かつ、その相対回転
    可能な回転体と支持軸との間に前記第1ワンウェイクラ
    ッチが設けられ、かつ、その第1ワンウェイクラッチ
    が、相対回転可能な回転体と支持軸との相対回転を、第
    1支持軸に生じたモーメントを第2支持軸に伝達するこ
    とが必要である場合には阻止し、そうでない場合には許
    容するものであり、 前記パッシブ型の第2ジャイロ効果抑制機構が、 前記第2支持軸にそれと同軸に設けられた第3回転体
    と、 前記第1支持軸にそれと同軸に設けられた第4回転体で
    あって前記第3回転体とは直径が異なるものと、 それら第3および第4回転体を互いに連結することによ
    り、両回転体間において力の伝達を行う第2力伝達媒体
    と、 前記フライホイールのジャイロ効果による前記フライホ
    イール支持体の前記第1軸線まわりの運動を抑制するこ
    ととなるモーメントが前記第2支持軸に前記第2軸線ま
    わりに生じた場合にはその第2支持軸に生じたモーメン
    トが第1支持軸に伝達されることを許容し、それ以外の
    場合には阻止する第2ワンウェイクラッチとを含み、か
    つ、前記第3および第4回転体の一方は、前記第2およ
    び第1支持軸の一方と相対回転可能、他方の回転体は他
    方の支持軸と相対回転不能とされ、かつ、その相対回転
    可能な回転体と支持軸との間に前記第2ワンウェイクラ
    ッチが設けられ、かつ、その第2ワンウェイクラッチ
    が、相対回転可能な回転体と支持軸との相対回転を、第
    2支持軸に生じたモーメントを第1支持軸に伝達するこ
    とが必要である場合には阻止し、そうでない場合には許
    容するものである請求項3に記載のフライホイール型エ
    ネルギ蓄積装置。
  5. 【請求項5】前記パッシブ型の第1ジャイロ効果抑制機
    構が、さらに、前記第1および第2支持軸と前記第1お
    よび第2回転体とのうち相対回転可能に連結された支持
    軸と回転体との間に設けられ、その相対回転可能な支持
    軸と回転体との相対回転である第1相対回転により、前
    記フライホイールのジャイロ効果による前記ジンバル枠
    と前記支持台との前記第2軸線まわりの相対回転である
    第2相対回転を抑制する第1力を発生させる第1力発生
    部を含み、前記パッシブ型の第2ジャイロ効果抑制機構
    が、さらに、前記第2および第1支持軸と前記第3およ
    び第4回転体とのうち相対回転可能に連結された支持軸
    と回転体との間に設けられ、その相対回転可能な支持軸
    と回転体との相対回転である第3相対回転により、前記
    フライホイールのジャイロ効果による前記フライホイー
    ル支持体と前記支持台との前記第1軸線まわりの相対回
    転である第4相対回転を抑制する第2力を発生させる第
    2力発生部を含む請求項4に記載のフライホイール型エ
    ネルギ蓄積装置。
  6. 【請求項6】前記第1力発生部における第1相対回転と
    第1力との関係が、前記ジャイロ効果による前記フライ
    ホイール支持体の歳差運動の実際の周波数が、その歳差
    運動の共振周波数を含むように設定された設定周波数帯
    域に存在する場合には、前記第2相対角の増加が抑制さ
    れず、存在しない場合には、抑制されるように設定さ
    れ、前記第2力発生部における第2相対回転と第2力と
    の関係が、前記ジャイロ効果による前記フライホイール
    支持体の歳差運動の実際の周波数が、その歳差運動の共
    振周波数を含むように設定された設定周波数帯域に存在
    する場合には、前記第1相対角の増加が抑制されず、存
    在しない場合には、抑制されるように設定された請求項
    5に記載のフライホイール型エネルギ蓄積装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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