JP2000243309A - サイクロトロン用内部負イオン源 - Google Patents

サイクロトロン用内部負イオン源

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JP2000243309A
JP2000243309A JP11040060A JP4006099A JP2000243309A JP 2000243309 A JP2000243309 A JP 2000243309A JP 11040060 A JP11040060 A JP 11040060A JP 4006099 A JP4006099 A JP 4006099A JP 2000243309 A JP2000243309 A JP 2000243309A
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Tsuneo Sato
庸夫 佐藤
Kazuhide Sawayama
一英 沢山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はサイクロトロンの内部装着型負
イオン源において、負イオン(H、D)を十分な量
で安定して発生させる。 【解決手段】 放電室3からイオン取り出し口10に至
る間の陽極2壁部に、低電子温度領域用凹部7を形成
し、LaB焼結体からなる陰極5を放電室3とともに
気密空間におく。 【効果】 上記負イオン源によれば、イオン、特に
負イオンが十分な量で安定して得られ、また、優れた耐
久性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核医学などに使用
されるサイクロトロンにおいて内部で負イオンを発生さ
せる内部負イオン源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】サイクロトロンは、種々の核種を生成す
る装置として核医学などの多くの分野で利用されてお
り、その一例を図6に基づいて以下に説明する。加速箱
21は下部電磁石22上に設けられており、該加速箱2
1の外壁に、互いに対向する第1ターゲット23と第2
ターゲット24が設けられている。また加速箱21内に
は、一対の共振器25a、25bに接続され、所要周波
数の高周波電場を発生するために加速箱21の中央部に
おいて結合された一対の加速電極26a、26b(通称
ディーと云う)が設けられており、共振器25aまた
は、25bのいずれかに図示しない高周波電源が接続さ
れている。さらに、加速箱21内には、加速電極26
a、26bの結合点を中心としてストリッピングフォイ
ル27a、27bが互いに対向配置されているととも
に、加速箱21の中心部付近に内部型負イオン源30が
配置されている。また、上記下部電磁石22上には、上
部電磁石28が昇降可能に配置されており、電磁石2
2、28によって加速箱21内に鉛直方向の磁場が形成
されるように構成されている。
【0003】上記装置では、各電磁石22、28を閉状
態とし、真空装置(図示せず)によって加速箱21およ
び各ターゲット23、24直前までを真空下とした状態
で、高周波電源より高周波電力を供給して加速電極26
a、26bに高周波電場を発生させる。一方、内部型負
イオン源30にて水素または重水素ガスより負イオン粒
子を発生させてイオンビームとして供給する。負イオン
は、磁場で封じ込められた状態で、加速電極26a、2
6bの各エツジ部において高周波電場により加速を受け
つつ加速箱21内で回転し、加速箱21の最大半径に達
すると、ストリッピングフォイル27a、27bに当た
って電子がはぎとられ、陽子または重陽子となる。この
陽子または重陽子は各ターゲット23、24に打ち込ま
れ、内部の標的物質と衝突して核反応を引き起こし、短
寿命RIを生成する。
【0004】上記装置で短寿命RIを良好に生成するた
めには、その源となる負イオンを十分な量で安定して発
生させることが必要であり、この観点から内部負イオン
源には優れたビーム性能を有することが求められる。な
お、イオンが安定しているという目安としては、ビーム
出力の時間当たりの変動幅が数%以内で、しかも200
時間程度持続あるいは断続して使えることが挙げられ
る。また、イオン源はサイクロトロンの中央部に設置さ
れることから、大きさに対する制限があり、できるだけ
小型化することが求められる。水平面の制限は、イオン
源から引き出されたビームがはじめの一回転目にイオン
源自身に衝突して失われないための大きさであり、また
イオン源が対向(例えば間隙約5mm)する加速電極と
の間で放電を起こさないことも必要とされる。
【0005】従来、上記イオン源としては、コーン型や
ボックス型、PIG型等のいくつかの方式が提案、実施
されているが、この内で、PIG型は、大電力イオン源
に適しており、十分な量のイオンを取り出すことが可能
である。このPIG型のイオン源を図7〜図9に基づい
て説明すると、銅等によって構成された筒材が陽極31
とされ、該陽極31の両端部に、タンタル、タングステ
ン等によって構成された陰極32、32が配置されてお
り、これら陰極32、32は陰極支持材32aによって
支持されている。上記陽極31の内部空間は放電室33
を構成しており、この放電室33内のイオンを外部に取
り出すための取り出しスリット34が陽極31の壁部に
形成されている。なお、上記陽極31には、陽極を冷却
する水冷管35と、放電室33にガスを供給するガス管
36とが埋設されており、ガス管36の一端はガス供給
口36aとして陽極壁に開口している。また、陰極32
付近にも、水冷管37が配置されており、これら水冷管
35、水冷管37、ガス管36は、それぞれ外部の冷却
水供給源(図示しない)およびガス供給源に接続されて
いる。上記PIG型のイオン源では、放電室33内にガ
スを供給するとともに高電圧(アーク電圧と称する)を
陽極31と陰極32、32との間に印加することによっ
て放電室33内で放電を開始し、その後は、放電により
発生したイオンが放電室33内において鉛直方向磁場に
沿って上下に運動し、陰極32、32に衝突する衝撃に
よって熱電子を放出させる。そして、プラズマの発生に
よって得られたイオンは、イオンビームとして放電室3
3から取り出しスリット34を通して外部に引き出され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のPIG
型のイオン源は、前述した利点を有しているものの、以
下に示す問題点を有している。すなわち、 (1)電極の形状、配置、ガス圧力による放電状態の不
安定さがあり、イオン、特に負イオンを安定して得るこ
とが難しい。 (2)放電を持続させるためのアーク電圧が比較的高い
ため(500V程度又はそれ以上)、イオン衝撃による
電極形状の変化(陰極の損耗)に起因して陰極(カソー
ド)の寿命が低下する(数10時間)。 (3)イオン源で消費される電力および誘導される高周
波電流による熱を取り除く冷却機構が必要であり、大電
力消費に対して複雑な冷却が必要となり装置の大型化を
招く。 (4)ガス使用量が多い。ガス使用量が多いと、イオン
源に供給されたガスが最終的には前記加速箱内に流れ出
し真空度の悪化を招く。この真空度の悪化により、最大
半径まで加速されるはずのイオンビームが加速中に途中
の残留ガスと衝突して失われ、ビーム出力が不安定かつ
減少する。本発明は、上記事情を背景としてなされたも
のであり、小型の構造によってイオン(特に負イオン)
を十分な量で安定して供給することができ、また、耐久
性にも優れた内部負イオン源を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のサイクロトロン用内部負イオン源のうち第
1の発明は、筒状の陽極と、該陽極内空間で構成される
放電室と、前記放電室の両端側に配置された2つの陰極
と、放電室から外部にイオンを取り出すべく前記陽極に
形成されたイオン取り出し口とを有するサイクロトロン
用内部負イオン源において、放電室からイオン取り出し
口に至る間の陽極壁部に、低電子温度領域用凹部が形成
されていることを特徴とする。第2の発明は、筒状の陽
極と、該陽極内空間で構成される放電室と、前記放電室
の両端側に配置された2つの陰極と、放電室から外部に
イオンを取り出すべく前記陽極に形成されたイオン取り
出し口とを有するサイクロトロン用内部負イオン源にお
いて、陰極径が陽極内径よりも小さく、かつ陰極先端部
が先端側ほど小径となるテーパー形状を有しているとと
もに、陰極先端部に近接する陽極端部が中側ほど内径が
減少するテーパー形状を有していることを特徴とする。
第3の発明は、筒状の陽極と、該陽極内空間で構成され
る放電室と、前記放電室の両端側に配置された2つの陰
極と、放電室から外部にイオンを取り出すべく前記陽極
に形成されたイオン取り出し口とを有するサイクロトロ
ン用内部負イオン源において、2つの陰極は放電室を含
む密閉空間内に配置されていることを特徴とする。第4
の発明は、第1〜第3の発明において、陰極がLaB
焼結体からなることを特徴とする。
【0008】前述したように、PIG型のイオン源で
は、陰極(カソード)のPIGアーク放電により高温、
高密度のプラズマが得られるが、高密度プラズマ中の負
イオン生成の割合は、正イオンに比較して相当に低い
(5〜15%)と云われている。そこで、第1の発明に
示すように、放電室からイオン取り出し口に至る間の陽
極壁部に、低電子温度領域用凹部を形成することによ
り、負イオンを安定して発生させることが可能になる。
すなわち、放電室内では電子温度の高い放電領域が形成
されるが、上記凹部では、電子温度が低い放電領域が形
成され、放電領域が電子温度の高い領域と低い領域とに
分けられることになる。この低電子温度領域では、以下
の解離性付着反応が促進される。 H (励起分子)+e(≦1eV)→H+H 上記反応により、イオン、特に負イオンが効率的に生成
される。また、上記凹部では、その形状によって負イオ
ンの生成量が大きく左右される。図5に、凹部の深さを
変えた場合のDイオンの生成量変化が示されているよ
うに、本発明者らの実験によれば、凹部の深さを2mm
程度とすることによりイオンの生成量が大幅に増大する
ことが確認されている。また、陰極間距離が40mmで
あるものでは、凹部が低電子温度領域として機能するた
めには、凹部高さを20mm以下にするのが望ましいこ
とが確認されている。
【0009】なお、本発明のPIG型イオン源は、筒状
の陽極とその両端部に配置される陰極とを有しており、
陽極内部の空間が放電室に割り当てられている。したが
って陽極は、少なくとも筒孔を有し、その孔壁が放電時
の陽極として作用するものであればよく、必ずしも陽極
自体が筒体で構成されていることが必須となるものでは
ない。但し、放電室に生成されるプラズマは、鉛直方向
磁場と同じく上下方向に長い円筒形状と考えられてい
る。従って陽極壁を筒孔とすることは、プラズマ密度を
高める点において有利であると考えられる。また、陽極
の材質は本発明としては特に限定されるものではなく、
従来と同様に銅等を用いることができる。但し、陽極の
冷却が十分でなければ、材質として高融点金属材料(モ
リブデン等)を選択する必要もある。
【0010】また、PIG型のイオン源では、放電状態
が不安定になるという欠点があるが、これは、陰極と陰
極近傍の陽極との間で放電が不安定になることが原因に
なっている。そこで、第2の発明に示すように陰極と陰
極近傍の陽極形状を工夫することにより放電の安定性が
得られる。この場合、少なくとも陰極径を陽極内径(端
部内径)よりも小さくすることが必要であり、望ましく
は、陰極径を陽極端内径の80〜85%程度とする。こ
れにより、放電室に生成されるプラズマの水平方向の境
界が陽極壁の内径より小さくなり、プラズマが陽極壁に
おいて消失する確率を少なくする。すなわち、高密度プ
ラズマ生成が促進される。また、陰極の径と陰極間距離
との間にも、イオン生成量において相関関係があり、実
験に供したサイクロトロンの磁場強度(約1.4Wb)
においては両者の比を約1:7とすることにより、イオ
ン生成量を増大させることができる。これは放電室に生
成されるプラズマの最適な空間形状は、磁場強度に依存
し、最適な形状において高密度プラズマが得られ、イオ
ン生成量が増すためと考えられる。
【0011】さらに、陰極の先端部形状は、先端側ほど
小径となるテーパー形状を有しているとともに、陰極先
端部に近接する陽極端部が内側ほど内径が減少するテー
パー形状とするのが望ましい。上記テーパー形状には、
径の減少率が一定で側面が傾斜した平面になるものは勿
論のこと、曲面をなすものも含まれる。特に陰極先端部
は、上記に従って球面形状とするのが望ましい。これら
形状の選定により、陰極と陽極端部とがほぼ同間隔で対
面することになり、陰極と陰極近傍の陽極との間の電場
が一様となるので局所的な放電の発生がなくなる。一方
において、アーク放電は、筒状陽極壁の中心軸方向に発
生し、その軸および軸の回りでの高密度プラズマ生成を
促進する。すなわちプラズマが陽極壁において消失する
確率が少なくなり放電開始の容易性、放電の安定性(経
時変化が少なくなる)が得られる。
【0012】また、使用ガス量を低減して、サイクロト
ロンの真空度をできるだけ悪化させないために、第3の
発明に示すように、取り出し口以外からのガスのリーク
を減らす気密構造とするのが有効である。これにより、
漏れたガスによってイオンビームが不安定になったり、
イオン量が減少するのを防止できる。また、放電室を含
む空間のガス圧力およびガス量が一定に保たれるので、
放電が安定する。また、気密構造とすることにより、第
1の発明に示す低電子温度領域にも安定してガスが供給
され、前述した低電子温度領域における解離性付着反応
を発生せしむるために必要な励起水素分子(H )の
生成に寄与し、従って、負イオンの生成を促進する。
【0013】また、PIG型イオン源では、前述したよ
うに初期作動時を除いて、陰極へのイオンの衝撃による
熱電子放出を利用するため、陰極には、イオン衝撃によ
ってスパッタリングされにくい材質とする必要があり、
従来は、タングステン、タンタル、モリブデン等が使わ
れている。しかし、これら材料は使用温度が高いため、
冷却手段への負担が大きく、また寿命の点でも問題があ
る。そこで、陰極としては第4の発明に示すように、仕
事関数が小さく、熱電子放出特性に優れたLaBセラ
ミック焼結体を採用するのが望ましい。この素材は仕事
関数が小さいことから、使用温度が低く、蒸発による消
耗を低く抑えることができる(表1)。そのため陰極の
長寿命化が可能となる。またタングステン、タンタル、
モリブデン等の高融点金属の熱陰極と比較して、アーク
放電電圧が低くなるため、消費電力を小さくでき、冷却
も容易になることからイオン源の小型化も可能となる。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態の負
イオン源を説明する。上下方向に所定の間隔を有するよ
うにイオン源支持材1、1が配置されており、該イオン
源支持材1、1の先端部間に挟持されるように陽極部材
2が取り付けられている。該陽極部材2には放電室3と
して、上下方向に貫通する筒孔が形成されており、該放
電室3を囲む周囲壁部が陽極4に割り当てられている。
また、放電室3の両端側には、放電室3と同軸にLaB
焼結体からなる陰極5、5が互いに対向するように配
置されており、該陰極5、5は、陽極4との絶縁性を確
保するために絶縁材6を介在させて陽極部材2に固定さ
れており、この絶縁材6によって、陰極5が露出してい
る空間と放電室3とからなる空間が気密にされている。
なお、陰極5、5はその基部が陽極4の内径よりも小径
(径:6mm)の円柱形状に形成されており、先端部5
aは、先端側が小径となるように半球形状とされてい
る。一方、陽極4の内面は、陰極5の基部の周囲では、
陰極5外周壁と一定の間隔を有するように同一の径で形
成されており、陰極5の先端部の周囲の陽極端部4aで
は、内側に向かうに従って径が一定の比率で減少するテ
ーパー面形状を有しており、さらにその内側は一定の内
径(径:7mm)を有している。なお、陰極5、5は、
電力導入端子11、11等を介して図示しない直流電源
の負極性出力に接続され、陽極4は、その電源の正極性
(アース)に接続される。
【0016】また、放電室3の先端側中央部の陽極4に
は、陽極壁が先端側に窪んだ凹部7が2mmの深さで形
成されており、該凹部7の先端側には陽極部材2の外部
に開口するスリット状のイオン取り出し口10が形成さ
れている。さらに、陽極部材2には、水冷管13が埋設
されており、該水冷管13は、外部の冷却水供給源(図
示しない)に接続されている。また、陽極部材2には、
外部のガス供給源(図示しない)に接続されたガス管1
4が埋設されており、該ガス管14は、陽極4の内壁面
に開口して放電室3に連通している。
【0017】以下に上記イオン源の動作について説明す
る。陽極部材2を水冷管13により冷却しつつ、ガス管
14から放電室3内にガスを供給し、陽極4と陰極5、
5間に高電圧の放電開始電圧を加えて放電を開始する。
この放電により放電室3内でガスがイオン化し、このイ
オンが陰極5、5に衝突することにより熱電子が放出さ
れて、放電室3内でガスがプラズマ化される。なお、陰
極5の先端部と、陽極4の端部とは、その対向面がほぼ
沿った形状を有しており、安定した放電がなされる。ま
た、アーク放電は、筒状陽極壁の中心軸方向に発生し、
その軸および軸の回りでの高密度プラズマ生成を促進す
る。すなわち、放電が一様になされ、一層放電の安定性
が得られる。上記放電室3では、高い電子温度での放電
が生じており、高密度のプラズマが生じている。一方、
陽極2に設けられた凹部7では、陰極5との直接の対面
がなく、低い電子温度での放電領域を形成している。こ
の領域では解離性付着反応が促進され、特に負イオンが
多く生成される。上記イオン源で生成された負イオンを
取り出し口10を通して放電室3外部に引き出す場合に
は、引き出された負イオンは図示しない加速電極により
加速箱内で加速され、ストリッピングフォイルとの衝突
等を経てターゲットに照射される。
【0018】上記内部負イオン源によれば、イオンを十
分にかつ安定して供給することができ、例えば、H
の負イオン粒子を安定して製造することができる。
例えば、図3、図4に示すように、適切なアーク電流を
設定することにより、Hで190μA、Dで70μ
Aの十分な量のイオンビームを得ることができ、医療用
サイクロトロンとして必要十分な性能が得られる。ま
た、放電室が気密な空間に置かれるので、ガスの使用量
が少なくてすみ、例えば、H、Dの生成に際して
は、5CC/分程度の原料ガスを供給することにより所
望のイオンを発生させることができる。このため、加速
箱へのガスの漏れも極めて小さく、加速中のビームを著
しく減少させたり、内部の放射化を招くなどして真空度
を悪化させることがない。また、アーク放電特性が安定
しており、ビーム立ち上げ時および長時間運転において
も優れた放電安定性が得られる。また、放電の安定性、
材質の選定から陰極の耐久性も大幅に向上しており、そ
の寿命は200時間を優に超えている。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のサイクロ
トロン用イオン源によれば、放電室からイオン取り出し
口に至る間の陽極壁部に、低電子温度領域用凹部を形成
したので、解離性付着反応が促進され、イオンの生成量
が増大する。また、陰極径を陽極内径よりも小さくし、
かつ陰極先端部を先端側ほど小径となるテーパー形状に
するとともに、陰極先端部に近接する陽極端部を中側ほ
ど内径が減少するテーパー形状にすれば、陰極と陰極近
傍の陽極との間の電場が一様となるので、局所的な放電
の発生がなくなる、またアーク放電は、筒状陽極壁の中
心軸方向に発生し、その軸および軸の回りでの高密度プ
ラズマ生成が促進される。すなわちプラズマが陽極壁に
おいて消失する確率が少なくなり、放電が安定し、十分
な量で安定したイオンを発生させることができる。さら
に、2つの陰極を放電室を含む密閉空間内に配置すれ
ば、放電室が気密になり、イオン源外部に漏れるガス量
を極力少なくでき、すなはち、イオンビーム加速中にお
いて、残留ガスとの衝突により損失するビームは低減さ
れ、安定したイオンビームが得られるとともに、第1の
発明との組み合わせでは、凹部に確実かつ安定してガス
を供給することができるので、凹部における解離性付着
反応を発生せしむるために必要な励起水素分子
(H )の生成に寄与し、従って十分な量の負イオン
が安定して得られる。また、陰極をLaB焼結体で構
成すれば、アーク放電電圧が低くなるため、より低い電
力での放電が可能でかつ使用温度が低いため、冷却手段
への負担が軽減できるとともに耐久性が大幅に向上する
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態におけるイオン源の断面
図である。
【図2】 同じく拡大断面図である。
【図3】 同じくHイオン生成量を示すグラフであ
る。
【図4】 同じくDイオン生成量を示すグラフであ
る。
【図5】 陽極に設けた凹部の深さ変化におけるガス量
とイオン生成量との関係を示すグラフである。
【図6】 従来のサイクロトロンを示す概略斜視図であ
る。
【図7】 同じくPIG型イオン源の拡大断面図であ
る。
【図8】 図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】 図7のIX−IX線断面図である。
【符号の説明】
2 陽極部材 3 放電室 4 陽極 4a 陽極端部 5 陰極 5a 陰極先端部 7 凹部 10 イオン取り出し口 13 水冷管 14 ガス管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 庸夫 東京都府中市日鋼町1番1 株式会社日本 製鋼所内 (72)発明者 沢山 一英 北海道室蘭市茶津町4番地 株式会社日本 製鋼所内 Fターム(参考) 2G085 AA11 BA02 BB20 BE10 CA01 CA11 EA01 5C030 DD03 DE01 DG01 DG09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状の陽極と、該陽極内空間で構成され
    る放電室と、前記放電室の両端側に配置された2つの陰
    極と、放電室から外部にイオンを取り出すべく前記陽極
    に形成されたイオン取り出し口とを有するサイクロトロ
    ン用内部負イオン源において、放電室からイオン取り出
    し口に至る間の陽極壁部に、低電子温度領域用凹部が形
    成されていることを特徴とするサイクロトロン用内部負
    イオン源
  2. 【請求項2】 筒状の陽極と、該陽極内空間で構成され
    る放電室と、前記放電室の両端側に配置された2つの陰
    極と、放電室から外部にイオンを取り出すべく前記陽極
    に形成されたイオン取り出し口とを有するサイクロトロ
    ン用内部負イオン源において、陰極径が陽極内径よりも
    小さく、かつ陰極先端部が先端側ほど小径となるテーパ
    ー形状を有しているとともに、陰極先端部に近接する陽
    極端部が中側ほど内径が減少するテーパー形状を有して
    いることを特徴とするサイクロトロン用内部負イオン源
  3. 【請求項3】 筒状の陽極と、該陽極内空間で構成され
    る放電室と、前記放電室の両端側に配置された2つの陰
    極と、放電室から外部にイオンを取り出すべく前記陽極
    に形成されたイオン取り出し口とを有するサイクロトロ
    ン用内部負イオン源において、2つの陰極は放電室を含
    む密閉空間内に配置されていることを特徴とするサイク
    ロトロン用内部負イオン源
  4. 【請求項4】 陰極がLaB焼結体からなることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロトロ
    ン用内部負イオン源
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