JP2000239688A - 耐摩耗性向上剤 - Google Patents

耐摩耗性向上剤

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JP2000239688A
JP2000239688A JP11038089A JP3808999A JP2000239688A JP 2000239688 A JP2000239688 A JP 2000239688A JP 11038089 A JP11038089 A JP 11038089A JP 3808999 A JP3808999 A JP 3808999A JP 2000239688 A JP2000239688 A JP 2000239688A
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JP
Japan
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group
carbon atoms
compound
phosphoric
general formula
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JP11038089A
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English (en)
Inventor
Takakazu Imai
尭一 今井
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩素原子を含有せず、塩素化パラフィンと同
等以上の極圧性を有し、かつ鉱物油などの基油と相溶性
に優れた耐摩耗性向上剤を提供する。 【解決手段】 リン酸エステル基を含有する特定の化学
構造を有するポリエーテル化合物(A)と、特定の化学
構造を有するアミン化合物(B)からなることを特徴と
する耐摩耗性向上剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐摩耗性向上剤(極
圧剤)に関する。さらに詳しくは、金属加工油、潤滑
油、グリースなどに添加して耐摩耗性を向上させる耐摩
耗性向上剤;およびこれを含有した金属加工油、潤滑
油、グリースに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、切削油、研削油、塑性加工
油、圧延油などの金属加工油;作動油、ギヤー油、エン
ジンオイル、コンプレッサー油、摺動油などの潤滑油;
グリースに耐摩耗性を付与するために、塩素系極圧剤、
中でも塩素化パラフィンが多く使用されている。しか
し、塩素原子を含有する廃油を焼却処分すると有害物質
を発生して環境汚染を引き起こしたり、焼却炉の損傷す
る問題があり、塩素原子を含有しない耐摩耗性向上剤が
求められてる。塩素原子を含有しない耐摩耗性向上剤と
しては、硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化脂肪酸エステル、
ポリサルファイド、アルキルチオカーバメイトなどの硫
黄系極圧剤、トリクレジルホスフェート、トリフェニル
ホスフェート、アルキルリン酸エステルなどのリン系極
圧剤が知られている。しかし、これらの硫黄系およびリ
ン系極圧剤は特に厳しい圧力条件下においては効果が十
分でなく、リン系極圧剤においては鉱物油との相溶性が
悪いものも多くあり使いにくいものがあった。リン系耐
摩耗性向上剤(極圧剤)としては、例えば、特開昭5
6−127690号公報記載の、炭素数6〜24の炭化
水素基を有するアルコールにプロピレンオキシドを1〜
4モル付加したもののリン酸エステル塩;特公昭60
−43394号公報記載の、ドデシルアルコールのリン
酸ジエステルやドデシルアルコールにエチレンオキシド
を2モル付加したものの亜リン酸ジエステルと炭素数1
2または18のアルキルアミンのエチレンオキシド付加
物が水溶性金属加工油用;特開昭60−69198号
記載の、炭素数4〜24のアルコールの亜リン酸エステ
ル、リン酸エステル、またはこれらのエステルのエチレ
ンオキサイド付加物とアミンを含有するものを用いるこ
とが知られている。しかし、は、分子量が小さいた
め、摩擦面での油膜厚さが得られず、は、鉱物油との
相溶性が乏しく、摩擦面での油性膜が十分に形成されず
極圧状態では摩耗防止性が乏しい。また、は、アルコ
ールの亜リン酸エステルおよびリン酸エステルは摩耗量
が多く、リン酸エステルのエチレンオキサイド付加物は
鉱物油との相溶性が悪い。これらの他に有機モリブデン
やジンクジアルキルホスフェートなどの耐摩耗性防止剤
などが知られているが、これらは摩耗防止効果は優れて
いるが、摩擦係数が高く、また、高価であるという欠点
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塩素原子を
含有せず、塩素化パラフィンと同等以上の優れた極圧性
を有し、かつ鉱物油などの基油と相溶性に優れた耐摩耗
性向上剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、前記目
的を達成するため、耐摩耗防止剤について研究を重ねた
結果、リン酸エステル基を含有するポリエーテル化合物
である下記一般式(1)で示される化合物(A1)、一
般式(2)で示される化合物(A2)および一般式
(3)で示される化合物(A3)から選ばれる1種以上
のリン酸エステル基含有ポリエーテル(A)と、下記一
般式(4)で示される化合物(B1)および下記一般式
(5)で表される化合物(B2)から選ばれる1種以上
のアミン化合物(B)からなることを特徴とする耐摩耗
性向上剤が有用であり、この向上剤を金属加工油に1〜
80重量%、潤滑油に0.1〜30重量%、およびグリ
ースに5〜50重量%含有させることで本願は発明の目
的を達成できることを見いだした。
【0005】
【化6】
【0006】
【化7】
【0007】
【化8】
【0008】
【化9】
【0009】
【化10】
【0010】[式(1)〜(3)中、R1は炭素数1〜
30の1価の炭化水素基;R2は炭素数1〜20の2価
の炭化水素基;A1Oは炭素数3〜4のオキシアルキレ
ン基;pは18〜100の整数、qは0または1〜40
の整数、sは10〜50の整数、tは0または1〜20
の整数を表す。qとtが0でない場合、{(A1O)p
/(CH2CH2O)q}、{(A1O)s/(CH2CH
2O)t}はランダム付加またはブロック付加を表し、
付加順序は問わない。また、式(4)、(5)中、R3
は炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基;R
4とR5は炭素数4〜22のアルキル基またはアルケニル
基であり、R 4とR5は同一でも異なっていてもよい。A
2Oはオキシプロピレン基を表す。mとnは1〜19の
整数(但しm+nは2〜20)であり、rは1〜20の
整数である。]
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の化合物(A1)を示す一
般式(1)において、R1は炭素数1〜30の1価の炭
化水素基であり、例えば、炭素数1〜30のアルキル
基、炭素数3〜30のアルケニル基、無置換またはアル
キル置換のアリール基があげられる。
【0012】アルキル基としては、直鎖でも分岐でもよ
く、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−、sec−、iso−、t−ブチル
基、ペンチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル
基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オ
クタデシル基、およびエイコシル基などがあげられる。
アルケニル基としては、直鎖でも分岐でも良く、オクタ
デセニル基などがあげられる。無置換アリール基として
は、フェニル基;アルキル置換アリール基としては、直
鎖でも分岐でも良く、例えば、ブチルフェニル基、オク
チルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル
基などがあげられる。これらのうち好ましいのは、炭素
数8〜22のアルキル基、炭素数8〜22のアルケニル
基であり、より好ましいのは、炭素数12〜18のアル
キル基、炭素数12〜18のアルケニル基である。
【0013】本発明の化合物(A2)または(A3)を
示す一般式(2)または(3)において、R2は炭素数
1〜20の2価の炭化水素基であり、炭素数1〜20の
アルキレン基、炭素数3〜20のアルケニレン基または
炭素数6〜20のアリーレン基があげられる。アルキレ
ン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロ
ピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、オクチレン基、
デシレン基、ドデシレン基、オクタデシレン基などがあ
げられる。アルケニレン基としては、ブテニレン基、ペ
ンテニレン基、オクタニレン基またはドデセニレン基な
どがあげられる。アリーレン基としては、o、m、p−
フェニレン基、−ph−ph−、−ph−C(CH32
−ph−(但し、−ph−はフェニレン基を表す。)な
どがあげられる。これらのうち、好ましいものは炭素数
2〜12のアルキレン基である。
【0014】一般式(1)〜(3)中のA1Oは炭素数
3〜4のオキシアルキレン基を表し、具体的には水酸基
含有化合物に付加させるアルキレンオキサイドに由来す
るものである。このようなアルキレンオキサイドとして
は、例えば、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレン
オキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、オキセタ
ン、メチルオキセタン、テトラヒドロフランなどがあげ
られ、好ましくはプロピレンオキサイド、1,2−ブチ
レンオキサイドである。
【0015】一般式(1)〜(3)中のpとsはアルキ
レンオキサイドの付加モル数を表し、pは通常18〜1
00の整数、好ましくは、30〜80である。sは通常
10〜50の整数、好ましくは18〜40である。pが
18未満、sが10未満であると、摩耗防止性が悪くな
り、pが100、sが50を超えると、粘性が大きくな
り、取り扱いが難しくなる。
【0016】一般式(1)〜(3)中のqおよびtはエ
チレンオキサイドの付加モル数を表す。qは0または1
〜40の整数、好ましくは、0または1〜15であり、
特に好ましくは、1〜10である。tは0または1〜2
0の整数、好ましくは、tは0または1〜8、特に好ま
しくは、1〜4であるである。qが40、tが20を超
えると、鉱物油との相溶性が悪くなる。qおよびtが1
以上の場合のアルキレンオキサイドの付加形式は、EO
と1種類または2種類の炭素数3〜4のアルキレンオキ
サイドのランダム付加またはブロック付加のいずれでも
よい。好ましくはプロピレンオキサイド(PO)へのエ
チレンオキサイド(EO)のブロック付加物である。
【0017】本発明のリン酸エステル基含有ポリエーテ
ル(A)は、一般式(1)で示される化合物(A1)、
一般式(2)で示される化合物(A2)および一般式
(3)で示される化合物(A3)から選ばれる1種以上
であり、これらは、1個または2個の水酸基を有する化
合物(a)にアルキレンオキサイドを付加重合した後
に、更に後述するリン酸エステル化剤によりリン酸エス
テルとしたものである。
【0018】アルキレンオキサイドを付加重合したもの
としては、例えば、下記〜に示すものが挙げられ
る。 :化合物(a)に、プロピレンオキサイド(PO)ま
たは1,2−ブチレンオキサイド(BO)またはテトラ
ヒドロフラン(THF)を単独付加したもの :化合物(a)に、POとBOをランダム付加したも
の :またはに、更にエチレンオキサイド(EO)を
ブロック付加したもの :化合物(a)に、POとBOとEOをランダム付加
したもの :化合物(a)に、THFとEOをランダム付加した
もの EOと共に他の炭素数3〜4のアルキレンオキサイドを
用いる付加様式は、ランダム付加でもブロック付加でも
よい。また、炭素数3または4のアルキレンオキサイド
を2種類以上併用してもよい。
【0019】(A1)としては、1価のアルコールのP
O・EOブロック付加体(「PO・EO」は、PO付加
後にEOをブロック付加することを表す)のリン酸エス
テル、1価アルコールのPO/EOランダム付加体
(「PO/EO」はPOとEOをランダムに付加するこ
とを表す)のリン酸エステル、1価アルコールのTHF
/EOランダム付加体のリン酸エステル、アルキルフェ
ノールのPO/EOランダム付加体のリン酸エステルが
挙げられ、好ましくは1価アルコールのPO・EOブロ
ック付加体のリン酸エステルである。
【0020】(A2)、(A3)としては、2価アルコ
ールのPO付加体のリン酸エステル、2価アルコールの
PO/EOランダム付加体のリン酸エステル、2価アル
コールのPO・EOブロック付加体のリン酸エステル、
2価アルコールのTHF/EOランダム付加体のリン酸
エステル、2価のフェノールのPO・EOブロック付加
体のリン酸エステル、2価フェノールのPO/EOラン
ダム付加体のリン酸エステルが挙げられ、好ましくは2
価アルコールのPO・EOブロック付加体のリン酸エス
テルである。
【0021】本発明のポリエーテル(A)のリン酸エス
テル化前のポリエーテルの数平均分子量(水酸基価換算
分子量)は、通常、1100〜10000であり、好ま
しくは1800〜7000、より好ましくは2000〜
5000である。ポリエーテルの数平均分子量が110
0未満では摩耗防止性が悪くなり、10000を超える
と粘度が大きくなり、取り扱いが難しくなる。
【0022】本発明のポリエーテル(A)の製造におい
て、リン酸エステル化剤としては、無水リン酸、工業用
リン酸、ポリリン酸などの公知のものを使用できる。リ
ン酸エステル化反応において、これらのリン酸エステル
化剤を単独で用いても良いし、2種以上のリン酸エステ
ル化剤を併用することもできる。また、リン酸化反応の
開始時に水を加えても良い。さらに、リン酸エステル化
反応において必要に応じて溶剤を用いたり、リン酸エス
テル化反応が進行するにつれて生成する水を減圧脱水ま
たは溶剤との共沸脱水によって除去して、反応を円滑に
進行させても良い。
【0023】公知の方法でリン酸エステル化を行うと、
通常、リン酸モノエステル以外に、リン酸ジエステル、
リン酸トリエステルも生成する。本発明において、リン
酸モノエステルとこれらの混合物が使用できるが、リン
酸トリエステルの含有量が低く、リン酸モノエステル/
リン酸ジエステルの含有率の高い混合物が好ましい。例
えばリン酸モノエステル/リン酸ジエステルが重量比で
100/0〜60/40の混合物が好ましい。また、リ
ン酸トリエステルの含有量は5重量%以下が好ましい。
【0024】本発明のアミン化合物(B)は、一般式
(4)で示されるアミン化合物(B1)および一般式
(5)で示されるアミン化合物(B2)から選ばれる1
種以上であり、これらは、脂肪族1級アミン(b1)ま
たは脂肪族2級アミン(b2)にプロピレンオキサイド
を付加することにより得られる。
【0025】一般式(4)において、R3は炭素数8〜
22のアルキル基またはアルケニル基を表し、例えば、
オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、
ステアリル基、ラウリル基、オレイル基などが挙げられ
る。好ましくは、炭素数12〜18のアルキル基であ
る。アミン化合物(B1)の原料となる脂肪族1級アミ
ン(b1)としては、オクチルアミン、デシルアミン、
ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミ
ン、オレイルアミンが挙げられ、ステアリルアミン、オ
レイルアミンが好ましい。
【0026】また、一般式(5)において、R4とR5
炭素数4〜22のアルキル基またはアルケニル基を表
し、例えば、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキ
サデシル基、ステアリル基、ラウリル基、オレイル基な
どが挙げられる。好ましくは、炭素数8〜18のアルキ
ル基である。R4とR5は同一でも異なっていてもよい
が、同一が好ましい。R4とR5の炭素数の合計は、通
常、8〜44、好ましくは、16〜40である。炭素数
が8未満では摩擦係数が高くなり、44を超えると摩擦
係数が大きくなる。アミン化合物(B2)の原料となる
脂肪族2級アミン(b2)としては、ジオクチルアミ
ン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジヘキサデシ
ルアミン、ジステアリルアミン、ジオレイルアミンが挙
げられ、ジステアリルアミン、ジオレイルアミンが好ま
しい。
【0027】一般式(4)において、mとnはプロピレ
ンオキサイドの付加モル数を表し、mとnはそれぞれ独
立に通常1〜19、好ましくは1〜9であるが、(m+
n)が、通常2〜20、好ましくは2〜10である。
(m+n)が2未満では皮膚への刺激性が高く、20を
超えると摩耗痕が大きくなる。
【0028】また、一般式(5)において、rはプロピ
レンオキサイドの付加モル数を表し、通常1〜20、好
ましくは、2〜8であり、さらに好ましくは2〜4であ
る。rが1未満では、皮膚への刺激性が悪く、20を超
えると摩耗防止性が悪くなる。
【0029】(B1)の具体例としては、オクチルアミ
ンのPO2モル付加物、デシルアミンのPO2モル付加
物、ドデシルアミンのPO2モル付加物、ステアリルア
ミンのPO4モル付加物、ステアリルアミンのPO8モ
ル付加物、オレイルアミンのPO2モル付加物、オレイ
ルアミンのPO4モル付加物、パルミチルアミンのPO
4モル付加物などがあげられる。
【0030】(B2)の具体例としては、ジオクチルア
ミンのPO2モル付加物、ジオクチルアミンのPO1モ
ル付加物、ジドデシルアミンのPO2モル付加物、ジス
テアリルアミンのPO2モル付加物、ジステアリルアミ
ンのPO6モル付加物などがあげられる。
【0031】本発明の耐摩耗性向上剤におけるリン酸エ
ステル(A)とアミン化合物(B)を必須成分とし、
(A)/(B)は重量比で、通常、5/1〜1/5であ
り、1/1 〜1/2が好ましい。重量比の(A)/
(B)が5/1を超えると摩擦係数が大きくなり、
(A)/(B)が1/5未満の場合は極圧性が低下す
る。
【0032】本発明の耐摩耗性向上剤には、悪影響を及
ばさない範囲で、硫黄系、リン系などの他の極圧剤を併
用してもよい。塩素化パラフィンなどの塩素系極圧剤や
他の塩素原子を含有する添加剤の併用は、本発明の目的
が塩素原子を含まない耐摩耗性向上剤の提供にあるため
好ましくはないが、特に制限されない。
【0033】本発明耐摩耗性向上剤を、鉱物油、合成潤
滑油、ポリエーテルなどの潤滑基油に添加して、金属加
工油、潤滑油、グリースなどとして使用するが、金属加
工油の場合、金属加工油中の耐摩耗性向上剤の含有量
は、通常1〜80重量%、好ましくは5〜40重量%で
ある。潤滑油の場合の含有量は、通常0.1〜30重量
%、好ましくは0.5〜10重量%である。また、グリ
ースの場合の含有量は、通常5〜50重量%、好ましく
は10〜30重量%である。
【0034】金属加工油、潤滑油、グリースなどとして
使用する際には、本発明の耐摩耗性向上剤以外に、さら
に、動植物油脂、脂肪酸エステル、高級脂肪酸などの油
性剤;石油スルホネート、高級アルコールのエチレンオ
キサイド付加物などの乳化剤;アルケニルコハク酸、2
塩基酸、ベンゾトリアゾールなどの防錆剤などの他の添
加剤と併用してもよい。
【0035】また、本発明の耐摩耗性向上剤を金属加工
油、潤滑油、グリースなどに配合する場合、本発明の耐
摩耗性向上剤組成物を構成するリン酸エステル(A)と
アミン化合物(B)の両者を予め配合しておく必要はな
く、(A)と(B)を別々に金属加工油などと配合して
もよい。
【0036】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明するが、
これらに限定されるものではない。
【0037】実施例1〜8の(C−1)〜(C−8)お
よび比較例1〜8の(D−1)〜(D−8)の耐摩耗性
向上剤を以下のようにして製造した。さらに、これらの
耐摩耗性向上剤を、40℃粘度が8〜10mm2/sの
スピンドル油に10重量%添加して、その相溶性と潤滑
性(摩耗係数と摩耗痕)の性能評価を行った。
【0038】[耐摩耗性向上剤の製造例] (C−1):プロピレングリコール1モルに温度115
℃でまずPOを30モル付加させた後、温度130℃で
さらにEO15モルをブロック付加して得られたポリエ
ーテル(数平均分子量2500)と無水リン酸と水とを
モル比1:1:1で温度60℃、6時間反応させてリン
酸エステル化したものを得た(A−1;重量比でリン酸
モノエステル/リン酸ジエステル=90/10)。これ
と、オレイルアミンのPO2モル付加物(B−1)とを
重量比3/1で混合した。
【0039】(C−2):n−オクチルアルコール1モ
ルにPO32モルとEO8モルを温度125℃でランダ
ムで付加して得られたポリエーテル(数平均分子量20
00)と無水リン酸と水とをモル比2:1:2で温度6
0℃、6時間反応させてリン酸エステル化したものを得
た(A−2;リン酸モノエステル/リン酸ジエステル=
90/10)。これと、パルミチルアミンのPO2モル
付加物(B−2)とを重量比3/2で混合した。
【0040】(C−3):オレイルアルコール1モルに
先ずPOを温度115℃で45モル付加させた後に、さ
らにEO10モルをブロック付加して得られたポリエー
テ(数平均分子量3300)と無水リン酸と水とをモル
比2:1:2で温度60℃でリン酸エステル化したもの
を得た(C−3;リン酸モノエステル/リン酸ジエステ
ル=93/7)。これと、オレイルアミンのPO4モル
付加物(B−3)とを重量比2/1で混合した。
【0041】(C−4):ステアリルアルコール1モル
に、THFを温度50℃で25モル付加させた後、さら
に、EOを温度135℃で25モルランダム付加して得
られたポリエーテル(数平均分子量3100)と無水リ
ン酸とをモル比2:1で温度60℃、6時間反応させて
リン酸エステル化したものを得た(A−4;リン酸モノ
エステル/リン酸ジエステル=70/30)。これと、
イソステアリルアミンのPO2モル付加物(B−4)と
を重量比4/1で混合した。
【0042】(C−5):炭素数10〜16の直鎖アル
コール(水酸基価225)1モルに、先ずPO35モル
を温度115℃で付加させた後に、さらにEOを温度1
35℃で10モルをブロック付加して得られたポリエー
テル(数平均分子量2700)と無水リン酸と水とをモ
ル比2:1:2で温度60℃でリン酸エステル化したも
のを得た(A−5;リン酸モノエステル/リン酸ジエス
テル=90/10)。これと、ジオクチルアミンのPO
3モル付加物(B−5)を重量比4/1で混合した。
【0043】(C−6):ポリテトラメチレングリコー
ル(数平均分子量:2000)1モルにEO20モル付
加して得られたポリエーテル(数平均分子量2900)
と無水リン酸と水とをモル比2:0.8:1.6で温度
60℃でリン酸エステル化したものを得た(A−6;リ
ン酸モノエステル/リン酸ジエステル=75/25)。
これと、オレイルアミンのPO2モル付加物(B−6)
を重量比3/1で混合し。
【0044】(C−7):ドデシルフェノール1モル
に、POを30モルとEO20モルを温度135℃でラ
ンダムに付加して得られたポリエーテル(数平均分子量
2900)と無水リン酸と水とをモル比2:1:1で温
度60℃でリン酸エステル化したものを得た(A−7;
リン酸モノエステル/リン酸ジエステル=75/2
5)。これと、ステアリルアミンのPO2モル付加物
(B−7)を重量比2.5/1で混合した。
【0045】(C−8):オレイルアルコール1モル
に、PO25モルとBO6モルを温度135℃で付加し
て得られたポリエーテル(数平均分子量2150)と無
水リン酸と水とをモル比2:1:1で温度60℃でリン
酸エステル化したものを得た(A−8;リン酸モノエス
テル/リン酸ジエステル=80/20)。これと、ジス
テアリルアミンのPO2モル付加物(B−8)を重量比
3/1で混合した。
【0046】同様にして、以下の比較のための添加剤を
製造し、これをスピンドル油に配合して性能評価した。
【0047】(D−1):オレイルアルコール1モルに
EOを15モルとPO12モルを温度135℃でランダ
ムに付加させて得られたポリエーテルと無水リン酸とを
モル比2:1で温度60℃でリン酸エステル化したもの
を得た(A’−1;リン酸モノエステル/リン酸ジエス
テル=70/30)。これとトリエタノールアミンを重
量比1/1で混合した。
【0048】(D−2):ラウリルアルコール1モルに
POを温度115℃で24モル付加させた後、さらにE
Oを温度135℃で10モル付加させて得られたポリエ
ーテル(数平均分子量2000)と無水リン酸とをモル
比2:1で温度60℃でリン酸エステル化したものを得
た(A’−2;リン酸モノエステル/リン酸ジエステル
=75/25)。これとラウリルアミンを重量比で1/
1に混合した。
【0049】(D−3):(D−2)で得られた(A’
−2)とオレイルアミンのPO1.4モル付加物(B’
−3)を重量比1/1で混合した。
【0050】(D−4):ラウリルアルコール1モルに
POを4モルとEO1モルをランダム付加させて得られ
たポリエーテル(数平均分子量460)と無水リン酸を
モル比3:1で温度60℃でリン酸エステル化したもの
を得た(A’−4;リン酸モノエステル/リン酸ジエス
テル=65/35)。これとオレイルアミンのPO4モ
ル付加物(B’−4)を重量比3/1で混合した。
【0051】(D−5):炭素数12のアルコール1モ
ルにEOを4モル付加したポリエーテル(数平均分子量
480)と無水リン酸をモル比2:1で60℃でリン酸
エステル化したものを得た(A’−5;リン酸モノエス
テル/リン酸ジエステル=90/10)。これとオクチ
ルアミンのEO2モル付加物(B’−5)を重量比1/
1で混合した。
【0052】(D−6):ポリプロピレングリコール
(数平均分子量:2000)にEOを10モル付加させ
て得られたポリエーテル(数平均分子量2500)と無
水リン酸および水をモル比2:1:2で温度60℃でリ
ン酸エステル化したものを得た(A’−6;リン酸モノ
エステル/リン酸ジエステル=80/20)。これとジ
エタノールアミンを重量比2/1で混合した。
【0053】(D−7):ラウリルアルコール1モルと
無水リン酸をモル比2:1で温度60℃でリン酸エステ
ル化したものを得た(A’−7;リン酸モノエステル/
リン酸ジエステル=60/40)。これとラウリルアミ
ンのEO4モル付加物(B’−7)を重量比で1/1に
混合した。
【0054】(D−8):塩素化パラフィン(塩素含量
43%)
【0055】[性能評価方法] <相溶性>相溶性を目視で判定した。 ○:透明溶解、△:やや濁りあり、×:濁りまたは分
離、 <潤滑性>振動摩擦摩耗試験機(オプチモール社製)を
使って、摩擦係数と摩耗痕(mm)を測定した。 測定条件 荷重:200N、300N、500N 振幅:2mm 振動数:50Hz 測定温度:30℃ 測定時間:10分間 (1)摩擦係数:10分間の平均値 (2)摩耗痕 :10mm鋼球(SUJ−2)の摩耗直
径mm
【0056】
【表1】
【0057】この表1から明らかなように、実施例1〜
8の耐摩耗性向上剤は、鉱物油への相溶性が良好であ
り、高荷重下(500N)でも摩擦係数、摩耗痕が小さ
く、比較例1〜7よりも優れており、従来の塩素化パラ
フィン(比較例8)と同等以上の耐摩耗性(極圧性)を
有している。
【0058】
【発明の効果】本発明の耐摩耗性向上剤は、優れた極圧
性を付与し、かつ、塩素原子を含まないため、廃油を焼
却処理する際に有害物質を発生したり、焼却炉を損傷す
る恐れが無く、金属加工油や潤滑油に配合する耐摩耗性
向上剤として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:20 50:10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示される化合物(A
    1)、一般式(2)で示される化合物(A2)および一
    般式(3)で示される化合物(A3)から選ばれる1種
    以上のリン酸エステル基含有ポリエーテル(A)と、下
    記一般式(4)で示される化合物(B1)および下記一
    般式(5)で表される化合物(B2)から選ばれる1種
    以上のアミン化合物(B)からなることを特徴とする耐
    摩耗性向上剤。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 [式(1)〜(3)中、R1は炭素数1〜30の1価の
    炭化水素基;R2は炭素数1〜20の2価の炭化水素
    基;A1Oは炭素数3〜4のオキシアルキレン基;pは
    18〜100の整数、qは0または1〜40の整数、s
    は10〜50の整数、tは0または1〜20の整数を表
    す。qとtが0でない場合、{(A1O)p/(CH2
    2O)q}、{(A1O)s/(CH2CH2O)t}は
    ランダム付加またはブロック付加を表し、付加順序は問
    わない。また、式(4)、(5)中、R3は炭素数8〜
    22のアルキル基またはアルケニル基;R4とR5は炭素
    数4〜22のアルキル基またはアルケニル基であり、R
    4とR5は同一でも異なっていてもよい。A2Oはオキシ
    プロピレン基を表す。mとnは1〜19の整数(但しm
    +nは2〜20)であり、rは1〜20の整数であ
    る。]
  2. 【請求項2】 (A)/(B)が重量比で1/0.2〜
    1/5である請求項1記載の耐摩耗性向上剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の耐摩耗性向上剤
    を1〜80重量%含むことを特徴とする金属加工油。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の耐摩耗性向上剤
    を0.1〜30重量%含むことを特徴とする潤滑油。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の耐摩耗性向上剤
    を5〜50重量%含むことを特徴とするグリース。
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