JP2000236898A - アンチトロンビンiiiの測定法 - Google Patents
アンチトロンビンiiiの測定法Info
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Abstract
を反応させて残存酵素活性を合成基質法で測定するアン
チトロンビンIIIの測定法において、反応系にアルギニ
ン又はアルギニンを含む2〜6個のアミノ酸からなるオ
リゴペプチドを添加することを特徴とするアンチトロン
ビンIIIの測定法。 【効果】 検体を希釈せずアンチトロンビンIIIを測定
できる。
Description
固因子の最も重要な阻害物質として血液の凝固、線溶を
コントロールしているアンチトロンビンIII(以下「A
TIII」という)の測定法に関する。
物質やその反応を阻害する阻害物質により制御・調整さ
れ、機能の調節が図られている。例えば、血液凝固機能
においては血管損傷部位以外での血液凝固反応や、過度
の凝固亢進・線溶亢進を阻害する酵素阻害物質が存在
し、これにより血液凝固・線溶の制御・調節が行われて
いる。酵素阻害物質のうち、ATIIIは、血液中の活性
型凝固因子の最も重要な阻害物質として、血液の凝固、
線溶をコントロールしている。その血中レベルは汎発性
血管内凝固症(DIC)、肝疾患、ネフローゼ症候群で
低下するなど種々の疾患、症状により変動し、また、血
中レベルが低下すると、ヘパリン治療の効果が現れない
ことがある。そのため、ATIIIの活性は、これらの疾
患のスクリーニング、病体解析、予後判定、及びヘパリ
ン治療、あるいはATIII濃縮製剤投与時の指標となっ
ている。従って、ATIIIを測定することは、重要な意
義を有する。
である酵素阻害物質と過剰量の酵素と反応させ、残存す
る酵素を測定することにより定量されてきた。例えば、
生体試料(検体)中のATIII量を測定する場合には、
ATIIIが活性型血液凝固第10因子(FXa)あるい
はトロンビンを阻害することを利用して、一定量のFX
aあるいはトロンビンを検体中のATIIIと反応させた
後、残存するFXaあるいはトロンビンの活性を測定す
ることにより、ATIII量を求めることが行われてい
る。そして、この場合、FXaあるいはトロンビンの活
性は、発色性合成基質の加水分解速度を吸光度の変化を
もって測定する方法などにより求められる。
にはATIIIが高濃度(約25mg/dl)で存在するた
め、通常の検体量(2〜50μl)で希釈せずに従来法
によりATIIIを測定することは次の理由から困難であ
った。
しないで測定するには、検体量を極端に少なくすること
が考えられる。しかし検体量を少なくすると測定値の再
現性が低下するという問題があり、また2μl未満のサ
ンプリングは実質的に不可能である。 (2)通常の検体量の非希釈検体を用いて測定しようと
すると、酵素(FXa又はトロンビン)は希釈検体に対
応した濃度に調整されているため酵素が消費し尽くされ
てしまい、残存酵素量に基づいて検体中のATIII量を
測定することは不可能である。 (3)一方、これを回避するために酵素量を増加させる
と、残存酵素量が多くなりすぎ、合成基質を用いる方法
では吸光度が3以上となり測定が不可能となる。 (4)更に、残存酵素量の差(例えば、ATIII濃度が
0%と100%での残存酵素量の差)が大きくなること
から、各残存酵素量で反応速度に差が生じやすくなり、
検体の希釈系列は湾曲し、検体の希釈直線性は不十分と
なる。 (5)また、各残存酵素量での反応速度が一定になるよ
うに合成基質濃度を増加させると、反応開始後、短時間
で吸光度が3以上となり測定が不可能となる。特に、分
解されやすい基質を用いた場合、各残存酵素量で反応速
度に差が生じやすく、短い反応時間で吸光度が3以上と
なる傾向が強くなる。
検体を希釈せざるを得なかったが、希釈の操作は煩雑で
あり、測定の迅速化、簡便化を図る上でこれは障害とな
っていた。
III等の酵素阻害物質を測定する方法として、第二の酵
素阻害物質を添加する方法が報告されている(特開平6
−181798号)。しかしながら、この方法に用いる
第二の酵素阻害物質は酵素の活性中心に少量で強く作用
するため、使用濃度の調整が難しく、反応系中に入る微
妙な量の違いや分析装置の攪拌能力の差により、反応液
中での酵素、第二酵素阻害物質及び合成基質の競合の仕
方が測定毎に異なり、このため、データの再現性、希釈
直線性等の性能に問題を有していた。
ことなく、ATIIIを精度良く測定できる方法を提供す
ることにある。
者は鋭意研究を行った結果、検体と酵素液(FXa、ト
ロンビン)又は残存酵素と合成基質液のそれぞれの反応
を弱く阻害する物質を新たに見出し、これを用いること
により検体を希釈することなく、ATIIIを上記問題点
がなく測定できることを見出し、本発明を完成した。
に酵素を反応させて残存酵素活性を合成基質法で測定す
るATIIIの測定法において、反応系にアルギニン又は
アルギニンを含む2〜6個のアミノ酸からなるオリゴペ
プチドを添加することを特徴とするATIIIの測定法を
提供するものである。
は上記オリゴペプチドを添加することで、検体と酵素又
は残存酵素と合成基質の反応を弱く阻害する。このうち
オリゴペプチドは、アルギニンを有するジペプチド、ト
リペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド又はヘキ
サペプチドである。オリゴペプチドのアミノ酸配列は、
アルギニンを有すること以外は特に限定されず、アルギ
ニン以外のアミノ酸としては、グリシン、チロシン、ト
レオニン、セリン、グルタミン酸、イソロイシン、アス
パラギン、バリン、グルタミン、アラニン、フェニルア
ラニン、ロイシン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギ
ン酸又はピペコリン酸が好ましい。本発明で用いられる
アミノ酸又はオリゴペプチドを構成するアミノ酸は水溶
液等での溶解性が良好であれば、アセチル基、ベンジル
基等の通常考えられる修飾基が付加されていてもよく、
また、塩酸塩等の塩であってもよい。
ペプチドの濃度又は添加量は、これらの種類により異な
るが、反応系中での終濃度が、検体の希釈系列を測定し
たときに湾曲を生じない濃度であり、かつ測定感度(0
%と100%濃度のATIII量を測定したときの吸光度
変化量の差)が極端に低下しない濃度であれば、いずれ
の濃度であってもよい。例えば終濃度が20mM以上とな
るよう添加することが好ましく、特に30〜200mMと
なるように添加することが好ましい。
酵素を反応させて残存酵素活性を合成基質法で測定する
ATIIIの測定法であり、上記アルギニン又はオリゴペ
プチドはこの反応系に添加すればよく、第1試薬液(F
Xa等の酵素)又は第2試薬液(合成基質等)のいずれ
でもよい。最近普及してきている血液凝固自動分析装置
を用いることを考慮して、検体希釈液に添加してもよ
い。すなわち、アルギニン又はオリゴペプチドは、残存
酵素と合成基質との反応時に存在していればよい。
阻害する酵素は、FXa又はトロンビンが好ましい。こ
れらの酵素は、分子量の違いによりα型、β型又はγ型
等があり、本発明では、いずれも用いることができる
が、特にα型が好ましい。本発明に用いるこれら酵素
は、クロモジェニックス社等で市販されているものを用
いることもできる。またこれらα型、β型又はγ型のF
Xa、更にα型、β型又はγ型のトロンビンは、単独又
は混合物としても用いることができる。また、使用量
は、検体無希釈液に含まれるATIII量の1.5倍量以
上に対応できる量であれば特に制限されないが、FXa
では、0.2〜6nkat/assay、特に0.5〜3nkat/a
ssay、トロンビンでは、0.2〜6.2nkat/assay、
特に0.5〜3.1nkat/assayとなるような範囲で用
いるのが好ましい。なお、1nkatは、FXaでは1秒間
に1nmolのFXa合成基質(S−2222)を分解する
FXa量を言い、トロンビンでは1秒間に1nmolのトロ
ンビン合成基質(S−2238)を分解するトロンビン
量をいう。
に制限されないが、例えばクロモジェニックス社製の合
成基質、FXaでは、S−2222、S−2337、S
−2732、S−2765、S−2767、S−277
2、S−2782、S−2787などが使用できる。ま
た、トロンビンでは、S−2238、S−2366、S
−2846などが使用できる。合成基質の濃度として
は、合成基質の種類により異なり、検体の希釈系列を測
定したときに湾曲を生じない濃度で、更に、測定感度が
極端に低下しない濃度であれば、いずれの濃度でも使用
できる。例えば、S−2772では、0.5mM以上、特
に0.5〜5.0mMとすることが好ましい。
FXa又はトロンビンを適当な緩衝液に溶解し、これに
血漿等の検体を加え、反応させ、次いでアルギニン又は
上記オリゴペプチドと合成基質を含有する液を加え、吸
光度の変化を測定し、検体中のATIII量を定量する方
法が挙げられる。なおアルギニン又はオリゴペプチドの
添加時は、前記した様にこれに限られない。
く高い測定精度を維持しながらATIIIを測定すること
ができる。また、本発明は操作性に優れ、簡便かつ迅速
にATIIIを測定でき、特に自動分析装置に好適に使用
することができる。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
含む血漿検体3μlを加え、5分間37℃で反応させ、
次いで下記組成の第2試薬180μlを添加後、1分間
37℃で反応させ、2%クエン酸900μlを添加し、
反応を停止させ、波長405nmで吸光度を測定した。本
実施例では、第2試薬液にArg、Arg−Gly、G
ly−Gly−Tyr−Arg、Ile−Glu−Gl
y−Arg−Gly、Ile−Glu−Gly−Arg
−Thr又はIle−Glu−Gly−Arg−Thr
−Serを100mM添加し、pHを7.4に調整した後使
用した。この時の切片及び感度を表1に示す。
ル−p−ニトロアニリド・二塩酸塩) 100mMアルギニン・HCl又はオリゴペプチド・NaO
H緩衝液(pH7.4)
は上記のオリゴペプチドを反応系中に添加することで、
切片及び感度を低下させることができた。なお、切片は
ATIII濃度が0%の時の吸光度、感度は切片からATI
II濃度が100%の時の吸光度を減じた値を示す。
含む血漿検体2μlを加え、1分間37℃で反応させ、
次いで下記組成の第2試薬530μlを添加後、1分間
37℃で反応させ、2%クエン酸2650μlを添加
し、反応を停止させ、波長405nmで吸光度を測定し
た。本実施例では、第2試薬にArg、Arg−Gly
又はGly−Gly−Tyr−Argを100mM添加
し、pHを7.4に調整した後使用した。この時の切片及
び感度を表2に示す。
−p−ニトロアニリド・塩酸塩) 100mMアルギニン・HCl又はオリゴペプチド・NaO
H緩衝液(pH7.4)
は上記のオリゴペプチドを反応系中に添加することで、
切片及び感度を低下させることができた。なお、切片A
TIII濃度が0%の時の吸光度、感度は切片からATIII
濃度が100%の時の吸光度を減じた値を示す。
含む血漿検体3μlを加え、5分間37℃で反応させ、
次いで下記組成の第2試薬180μlを添加後、波長4
05nmで1分間当たりの吸光度の変化量を測定し、検体
中のATIII量(活性:%)と吸光度の変化量を求め
た。本実施例では、第2試薬にアルギニンを100mM添
加し、pHを7.4に調整した後、日立7150の自動分
析装置にて、0〜175%濃度のATIII検体の希釈系
列を測定した(n=2測定)。この時の切片及び感度を
表3に示す。また、検体の希釈系列を測定した時のデー
タを図1、2に示す。
ル−p−ニトロアニリド・二塩酸塩) 100mMアルギニン・塩酸緩衝液(pH7.4)
認められるものの良好な希釈系列が得られた。なお、切
片はATIII濃度が0%の時の吸光度変化量、感度は切
片からATIII濃度が100%の時の吸光度変化量を減
じた値を示す。
す図である。
図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 被検体中のアンチトロンビンIIIに酵素
を反応させて残存酵素活性を合成基質法で測定するアン
チトロンビンIIIの測定法において、反応系にアルギニ
ン又はアルギニンを含む2〜6個のアミノ酸からなるオ
リゴペプチドを添加することを特徴とするアンチトロン
ビンIIIの測定法。
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---|---|---|---|
JP04428099A JP4311796B2 (ja) | 1999-02-23 | 1999-02-23 | アンチトロンビンiiiの測定法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04428099A JP4311796B2 (ja) | 1999-02-23 | 1999-02-23 | アンチトロンビンiiiの測定法 |
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JP04428099A Expired - Fee Related JP4311796B2 (ja) | 1999-02-23 | 1999-02-23 | アンチトロンビンiiiの測定法 |
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1999
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