JP2000236857A - 液中の病原性シスト形成微生物の不活化方法 - Google Patents

液中の病原性シスト形成微生物の不活化方法

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JP2000236857A
JP2000236857A JP11043354A JP4335499A JP2000236857A JP 2000236857 A JP2000236857 A JP 2000236857A JP 11043354 A JP11043354 A JP 11043354A JP 4335499 A JP4335499 A JP 4335499A JP 2000236857 A JP2000236857 A JP 2000236857A
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liquid
pressure
cyst
pathogenic
forming microorganisms
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Shinta Kunitomo
新太 國友
Kazuo Yamauchi
和雄 山内
Chiaki Igarashi
千秋 五十嵐
Kenichi Sasaki
賢一 佐々木
Kenichi Kurokawa
憲一 黒川
Motohiro Izeki
基弘 井関
Isao Kimata
勲 木俣
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Ebara Corp
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水などの液中にいるクリプトスポリジウムな
どの病原性シスト形成微生物を、簡易に低コストで不活
化する方法を提供する。 【解決手段】 病原性シスト形成微生物が混入している
液を加圧することを特徴とする液中の病原性シスト形成
微生物の不活化方法である。好ましい加圧条件は、加圧
力が1500kgf/cm2 以上、加圧時間が5分以上であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液中の病原性シス
ト形成微生物の不活化方法に関し、更に詳しくは、例え
ば水道水などに生息可能で、人体に下痢を引き起こすこ
とのあるクリプトスポリジウムなどの微生物の不活化方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】水を介して伝染し、下痢を起こす病原体
として、クリプトスポリジウムというのがある。病原性
シスト形成微生物の一種である。病原性シスト形成微生
物は、無性世代のシストを形成する原生動物亜界(Prot
ozoa)に含まれるものを主に示す。代表的なものとして
は寄生性のアメーバ類のアメーバ赤痢症の原因となるEn
tomoeba属、鞭毛虫類のジアルジア症の原因となるラン
ブル原虫Gardia属、胞子虫類のクリプトスポリジウム症
の原因であるClyptosporidium属などが拳げられる。ク
リプトスポリジウム等の原虫は水道原水中に棲息し、水
を介して伝染する。特に問題となるのはこれら原虫の耐
性力の強い状態にあるもの、すなわち、シストであっ
て、沈殿・濾過という一般的な浄化過程でオーシストは
殆んど除去されない。水道水などに通常投入される実用
濃度の塩素でも殺滅されない。クリプトスポリジウムや
他の病原性シスト形成微生物で汚染された水道水で食品
を洗浄してしまうと、食品自身が汚染されてしまい、人
体に入った場合発症する恐れが生じる。食事寸前で食品
を殺菌する必要がある。ひとたび水道水が汚染されれば
非常に多くの住民に感染して下痢を発症させるおそれが
ある。公衆衛生上の問題として最近注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】食品の殺菌では、主に
加熱殺菌法が用いられている。しかし食品の加熱は、熱
による食品成分の変化を伴うため、調理手段としては有
効な手段ではあるが、殺菌手段としては過剰加熱による
食品の品質低下はさけることができない。また、薬剤を
用いる化学的方法や放射線照射などの加熱以外の物理的
方法は、安全面で問題があり、食品の殺菌にはほとんど
使用されない。飲用水は、膜濾過で除菌するという方法
がある。この方法は単独で、あるいは水処理プラント内
に組み込まれた形で稼働している。膜濾過法では、オー
シストは濁り成分とともに捕捉・除去される。膜濾過法
の場合、捕捉後、捕捉物を安全に処理する方法に問題を
残している。例えば、水処理工程での膜濾過によりシス
ト形成微生物が取り除かれた場合、シスト形成微生物を
含む微生物濃縮水は、大量の水とともに河川に直接放流
されるのが一般である。これは環境汚染を引き起こす恐
れがある。また膜濾過法は、膜の破損やピンホールに伴
うリークの可能性の問題も残している。
【0004】こうしたことから、簡易で低コストなクリ
プトスポリジウムなどの病原性シスト形成微生物の不活
化法の実現が望まれていた。本発明は、このような点を
考慮し、水などの液中にいるクリプトスポリジウムなど
の病原性シスト形成微生物を、簡易に低コストで不活化
する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、熱を使わ
ない方法であって、圧力を利用する高圧殺菌技術を応用
する次のような技術で解決された。本発明は、静水圧お
よび圧力差を利用して、液中の病原性シスト形成微生物
を不活化する。なお、本発明においてはシストの状態に
ある微生物のみならず、他の状態にあるものやシストを
形成しない微生物に対しても効果的な不活化を達成す
る。
【0006】1. 病原性シスト形成微生物が混入して
いる液を加圧することを特徴とする液中の病原性シスト
形成微生物の不活化方法。 2. 上記液の加圧条件が、圧力1500kgf/cm2 以上
で加圧時間5分以上、または圧力2000kgf/cm2 以上
で加圧時間2分以上であることを特徴とする前項1に記
載の不活化方法。 3. 上記液の加圧方法が、病原性シスト形成微生物の
混入液を貯蔵容器に外部より加圧して注入し、この加圧
注入によって容器内の圧力を上昇させることを特徴とす
る前項1又は2に記載の不活化方法。 4. 上記液の加圧方法が、病原性シスト形成微生物の
混入液を貯蔵容器に外部より注入し、該貯蔵容器内の容
積を外部からの加圧力により圧縮することを特徴とする
前項1又は2に記載の不活化方法。 5. 上記液を加圧後、容器内を急激に減圧することを
特徴とする前項1又は2に記載の不活化方法。 6. 上記液を加圧後次いで減圧し、加圧と減圧を1回
以上繰り返すことを特徴とする前項1又は2に記載の不
活化方法。 7. 上記病原性シスト形成微生物の混入液を濃縮し、
該濃縮液を加圧することを特徴とする前項1又は2に記
載の不活化方法。 8. 濾過分離膜を用いて濃縮を行うことを特徴とする
前項7に記載の不活化方法。 9. 濾過分離膜を備えた容器中の液全体を加圧するこ
とを特徴とする前項7に記載の不活化方法。 10. 病原性シスト形成微生物の混入液を高圧タンク
に貯蔵し、加圧後、該高圧タンクの流出管先端に設けた
ノズル先端から、高圧状態の混入液を常圧下に放出し、
急激な減圧を行うことを特徴とする前項1に記載の不活
化方法。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を説明す
るが、本発明はこれに限定されない。図1は、病原性シ
スト形成微生物を不活化する装置例の中の第一の装置例
を示す概略図である。図1に沿って説明する。第一の装
置では、処理前液槽1の近傍に吸上げ高圧ポンプ2を設
け、その吐出バルブ3を介して高圧容器4に連結してい
る。高圧容器4の放出管は放出バルブ5を有するととも
に、先端は処理後液槽6内で開口している。高圧ポンプ
2の吐出バルブ3を開け、高圧容器4の放出バルブ5を
閉じ、病原性シスト形成微生物により汚染された原水を
高圧ポンプ2で処理前液槽1から高圧容器4に注入す
る。吐出バルブ3を閉めて一定の時間汚染液を高圧に保
ち、その後放出バルブ5を開けて高圧タンク(高圧容器
4)の中の液体を処理後液槽6へ放出する。この場合の
高圧容器4の内部の圧力と加圧時間は、それぞれ150
0kgf/cm2以上で5分以上、または2000kgf/cm2
上で2分以上が望ましい。
【0008】図2は、第二の装置例を示す概略図であ
る。図1と同一の構成要素は同じ符号を付す。以下、図
2に沿って説明する。第二の装置は、低圧ポンプとピス
トンシリンダのような加圧機構とを持つ。すなわち、第
一の装置の吸上げ高圧ポンプ2に代えて吸上げ低圧ポン
プ7を有し、更に高圧容器4内を進退して加圧するピス
トンシリンダ8が高圧容器4に付属している。その外は
第一の装置と同様である。吸上げ低圧ポンプ7の吐出バ
ルブ3を開け、高圧容器4の放出バルブ5を閉じ、病原
性シスト形成微生物により汚染された原水を処理前液槽
1から低圧ポンプ7で高圧容器4内に注入する。その後
吐出バルブ3を閉じてピストンシリンダ8で高圧容器4
内を圧縮させ、これにより容器4内を高圧に保ち、汚染
液中の病原性シスト形成微生物に対し不活化処理を行
う。第一の装置を使用した場合と同じ様に高圧容器4の
放出バルブ5を開け、高圧タンク(高圧容器4)の中の
液体を処理後液槽6へ放出する。この場合の高圧容器4
の内部の圧力と加圧時間は、第一の装置を使用した場合
と同様に、それぞれ1500kgf/cm2 以上で5分以上、
または2000kgf/cm2以上で2分以上が望ましい。
【0009】図3は、第三の装置例を示す概略図であ
る。図3に沿って説明する。第三の装置は、シスト形成
微生物を膜濾過で分離し、分離されたことで生じたシス
ト形成微生物の濃縮液を濾過膜ごと加圧し、濃縮されて
いた病原性シスト形成微生物を不活化させる装置例であ
る。この例では、膜濾過を2系統持つため、通液を止め
ることなく連続的に膜濾過と不活化をすることを可能に
している。
【0010】原水流入部9に、一方側と他方側とに吐出
口を有する第一の二又分岐管を設け、一方側第一のバル
ブ10と他方側第二のバルブ11とをそれぞれの吐出口
に設けてある。第一のバルブ10の流出側には第一の三
方管の第一の口が連結し、第二のバルブ11の流出側に
は第二の三方管の第一の口が連結している。第一の三方
管の第二の口から延びる通液路には第一の濾過膜装置1
2が設けられ、第二の三方管の第二の口から延びる通液
路には第二の濾過膜装置13が設けられている。第一,
第二の濾過膜装置12,13には上流側と下流側それぞ
れに流出入口を有しており、第一の三方管の第二の口
は、第一の濾過膜装置12の上流側に接続されている。
第二の三方管の第二の口は、第二の濾過膜装置13の上
流側に接続されている。第一の濾過膜装置12の下流側
の開口部からは更に通液路が延び、第三の三方管の第一
の口に接続している。第二の濾過膜装置13の下流側の
開口部からも通液路が延び、第四の三方管の第一の口に
接続している。第三の三方管の第二の口は第三のバルブ
14を介し、第四の三方管の第二の口は第四のバルブ1
5を介し、第一の合流管で合流して処理液流出部16に
連結されている。第三の三方管の第三の口は、吸上げ高
圧ポンプ2の吐出口に連結する第二の二又分岐管の一方
の流出側に、第五のバルブ17を介して連結している。
第四の三方管の第三の口は、同じく吸上げ高圧ポンプ2
の吐出口に連結する第二の二又分岐管の他方の流出側
に、第六のバルブ18を介して連結している。第一の三
方管の第三の口は第七のバルブ19を有し、第二の三方
管の第三の口は第八のバルブ20を有している。第七の
バルブ19と第八のバルブ20のそれぞれの吐出側は、
第二の合流管で合流し、一つになったその合流口は排液
槽21に向けて開口している。
【0011】この第三の装置は汚染液の連続的な浄化処
理が可能である。第一の濾過膜装置と第二の濾過膜装置
とで交互に汚染液の膜濾過・分離を行う。濾過膜装置の
一方側で膜濾過・分離処理をしている間、濾過膜装置の
他方側は同時並行的に濃縮液の加圧による不活化処理を
行う。具体的には以下のように行う。
【0012】第一,第三,第六のバルブ10,14,1
8を開、その他のバルブを閉とし、原水流入部9から第
一の二又分岐管に向け、病原性シスト形成微生物で汚染
された原水を送液する。原水は、第一のバルブ10を通
過し、第一の濾過膜装置12から、第三のバルブ14、
第一の合流管を通って処理液流出部16に至る。その
間、液中の病原性シスト形成微生物は、第一の濾過膜装
置12で流れが阻止され、第一の濾過膜装置12の上流
側で濃縮する。次いで、第二,第四,第五のバルブ1
1,15,17を開、その他のバルブを閉とする。原水
流入部9から第一の二又分岐管に原水を送液する。原水
は第二のバルブ11を通過して第二の濾過膜装置13で
濾過され、第四のバルブ15、第一の合流管を通って処
理液流出部16に至る。その間、吸上げ高圧ポンプ2を
駆動して洗浄液を第二の二又分岐管,第五のバルブ17
を通って第一の濾過膜装置12に加圧して流し込む。第
一の濾過膜装置12の上流側で濃縮されていた微生物に
対し、第一の濾過膜12ごと洗浄液で逆流方向に高圧で
加圧して不活化する。その後、第七のバルブ19を開
き、不活化された微生物排液を洗浄液とともに排液槽2
1に逆流方向に放出し、併せて第一の濾過膜装置12も
洗浄液で逆洗浄する。
【0013】第一,第三,第六のバルブ10,14,1
8を開、その他のバルブを閉とし、第一の濾過膜装置1
2で原水を病原性シスト形成微生物濃縮液と膜分離処理
液とに分離しつつ、第二の濾過膜装置13の濃縮側の微
生物を高圧ポンプ2による高圧加圧で不活化する。以
後、これを繰り返す。
【0014】通常の上水処理などの水処理工程で用いる
膜分離では、濃縮液を河川に再放流してしまう。そのた
めに濃縮液中のシスト形成微生物が再度河川中に還流
し、河川の二次環境汚染の心配を生じさせる。本発明の
濃縮液中のシスト形成微生物真核細菌を不活化するこの
方法は、その心配がなくなる。
【0015】図4は、第四の装置例を示す概略図であ
る。図4に沿って説明する。第四の装置例では、高圧タ
ンクに液体を加圧貯蔵後、ノズル先端から急激に減圧す
ることで微生物を不活化する。病原性シスト形成微生物
が混入した原水を汲み上げる吸上げ高圧ポンプ2を設
け、そのバルブ3を介して高圧タンク(高圧容器4)に
連結している。高圧タンク(高圧容器4)の上端から延
びる排出管はバルブ5を有するとともにその先端に複数
の噴霧ノズル22を下向きに開口させて設けてある。噴
霧ノズル22の直下には、噴霧液を集める受器槽23を
設け、処理液導管を受器槽23から処理液流出部16に
まで延ばしている。バルブ3を開け、バルブ5を閉じ、
病原性シスト形成微生物が混入した原水を吸上げ高圧ポ
ンプ2で高圧タンク4に送り込み、バルブ3を閉めて一
定の時間汚染液を高圧に保ち、混入している微生物を不
活化する。バルブ5を開け、高圧下で混入微生物が不活
化した液を噴霧ノズル22で放出し、急激に減圧するこ
とで更に不活化の徹底を図り、噴霧液を受器槽23で集
めて処理液流出部16に導液する。ここで、「急激に減
圧する」とは、原水を加圧処理した後、加圧状態の液の
圧力を大気圧まで減圧する時に、1秒以下の短時間で大
気圧まで開放することを意味する。これに対し、「通常
の減圧」とは、加圧状態の液の圧力を数秒〜数十秒(長
くても1分程度)の時間をかけて大気圧まで開放するこ
とを意味する。
【0016】なお、この第四の装置例では、バルブ3お
よびバルブ5を省略することも可能である。この場合、
病原性シスト形成微生物が混入した原水を吸上げ高圧ポ
ンプ2で高圧タンク4に送り込み、噴霧ノズル22との
間でタンク4内を加圧し、混入している微生物を不活化
する。高圧下で混入微生物が不活化した液を連続的に噴
霧ノズル22で放出し、急激に減圧することで不活化の
徹底を図り、噴霧液を受器槽23で集めて処理液流出部
16に導液する。
【0017】図5は、第五の装置例を示す概略図であ
る。図5に沿って説明する。第五の装置例では、吸上げ
高圧ポンプで高圧タンクに原水を注入し、所定の圧力・
滞留時間以上貯蔵した後に、ノズルから噴射することで
シスト形成微生物を不活化するものである。吸上げ高圧
ポンプ2の吐出管に三又分岐管を設け、三又分岐管の三
方それぞれに第九のバルブ31,32,33を設け、そ
の先に高圧タンク41,42,43をそれぞれ設けてあ
る。高圧タンクの上端からは、吐出管が延びてそれぞれ
に第十のバルブ51,52,53が設けてあり、三方集
液管で合流している。三方集液管から延びる合流管の先
端には、単一の噴霧ノズル22を下向きに開口させて設
けてある。噴霧ノズルの直下には、噴霧液を集める受器
槽23を設け、処理液導管を受器槽23から処理液流出
部16にまで延ばしている。吸上げ高圧ポンプ2で三つ
の高圧タンク41,42,43に順次、病原性シスト形
成微生物で汚染された原水を供給し、加圧する。一のタ
ンクに原水を供給する間は、先行して供給されていた別
のタンク中の液を噴霧ノズル22から放出することによ
り、汚染液の連続的な浄化処理が可能である。そして、
加圧と急激な減圧を加えることで混入微生物を不活化す
る。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれに限定されない。 実施例 サンプルは内容量6ミリリットルのポリプロピレン製尿検査容
器にクリプトスポリジウムのオーシスト1×107 個を
精製水に懸濁させて封入したものを用いた。このサンプ
ルを処理室に水道水とともに挿入し、加圧処理を行っ
た。加圧処理後に、通常の減圧時間に比べて短時間で急
速に減圧する実験も行い、その結果を通常減圧のものと
比較した。通常、加圧圧力から大気圧までの減圧には数
秒〜10秒の時間を要するが、急速減圧では1秒以下と
した。
【0019】不活化率の測定のために、処理後、オーシ
ストを遠心沈殿により濃縮し、重症複合型免疫不全症
(SCID)マウスに1匹あたり1×106 個を経口投
与して感染させ試験群とした。また、加圧処理を行わな
いオーシストをマウス1匹あたり1×103 個を投与し
てコントロール群とした。使用マウス数は各群2〜3匹
である。オーシスト投与後、試験群マウスの糞便に排出
されるオーシスト数を計数し、1日当たりのオーシスト
排出数が1×105 個に達するまでの日数をコントロー
ル群と比較して不活化率(−3log=103/106
示)を求めた。後述のいくつかの条件では、試験群への
投与オーシスト数を107 個としたため−4log(=
103/107)表示となる。
【0020】加圧処理の実験結果を図6に示した。この
結果より、圧力が700kgf/cm2 の場合には、60分間
処理でも、不活化はほとんど認められなかった。圧力1
100kgf/cm2 では、10分間および15分間処理で不
活化率90%、30分間処理で不活化率99%となっ
た。圧力1500kgf/cm2 では、2分間処理で90%未
満、5分間処理で99.9%、15分間処理で99.9
9%以上が不活化されていた。さらに、圧力を上げ、2
000kgf/cm2 以上とした場合には、2分間処理で9
9.9%以上が不活化した。尚、図6中、※印は、試験
群への投与オーシスト数を107 個としたもので、不活
化率はすべて99.99%以上であった。
【0021】上述のように、この加圧処理方法がオーシ
スト不活化に非常に有効な方法であることを確認するこ
とができた。そして、本発明の不活化方法は、水道水な
どに生息可能なクリプトスポリジウムなどの微生物の不
活化方法であることから、水道水の安全性を考え、加圧
条件としては、99.9%以上の不活化率が得られる、
圧力1500kgf/cm2 以上で加圧時間5分以上、または
圧力2000kgf/cm2 以上で加圧時間2分以上が望まし
いことがわかった。
【0022】
【発明の効果】本発明は、病原性シスト形成微生物が混
入している液体を加圧することにより、非加熱で低コス
トであり、簡易に病原性シスト形成微生物をほぼ完全に
不活化することができる。化学薬品を使わないので例え
ば塩素などの耐性菌をつくりだす心配もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】不活化する装置例の中の第一の装置例を示す概
略図である。
【図2】不活化する装置例の中の第二の装置例を示す概
略図である。
【図3】不活化する装置例の中の第三の装置例を示す概
略図である。
【図4】不活化する装置例の中の第四の装置例を示す概
略図である。
【図5】不活化する装置例の中の第五の装置例を示す概
略図である。
【図6】実施例における圧力と処理時間を変えた加圧処
理による実験結果(クリプトスポリジウムのオーシスト
不活化率)を示す図である。
【符号の簡単な説明】
1 処理前液槽 2 高圧ポンプ 3 吐出バルブ 4 高圧容器 5 放出バルブ 6 処理後液槽 7 低圧ポンプ 8 ピストンシリンダ 9 原水流入部 10 第一のバルブ 11 第二のバルブ 12 第一の濾過膜装置 13 第二の濾過膜装置 14 第三のバルブ 15 第四のバルブ 16 処理液流出部 17 第五のバルブ 18 第六のバルブ 19 第七のバルブ 20 第八のバルブ 21 排液槽 22 噴霧ノズル 23 受器槽 31,32,33 第九のバルブ 41,42,43 高圧タンク 51,52,53 第十のバルブ
フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 千秋 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 佐々木 賢一 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 黒川 憲一 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 井関 基弘 奈良県奈良市四条大路南町21−17 (72)発明者 木俣 勲 大阪府大阪市阿倍野区旭町2−2−3− 402 Fターム(参考) 4B021 LA42 LP07 LT03 4C058 AA20 AA21 BB02 CC02 DD05 DD06 JJ26 JJ30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 病原性シスト形成微生物が混入している
    液を加圧することを特徴とする液中の病原性シスト形成
    微生物の不活化方法。
  2. 【請求項2】 上記液の加圧条件が、圧力1500kgf/
    cm2 以上で加圧時間5分以上、または圧力2000kgf/
    cm2 以上で加圧時間2分以上であることを特徴とする請
    求項1に記載の不活化方法。
  3. 【請求項3】 上記液の加圧方法が、病原性シスト形成
    微生物の混入液を貯蔵容器に外部より加圧して注入し、
    この加圧注入によって容器内の圧力を上昇させることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の不活化方法。
  4. 【請求項4】 上記液の加圧方法が、病原性シスト形成
    微生物の混入液を貯蔵容器に外部より注入し、該貯蔵容
    器内の容積を外部からの加圧力により圧縮することを特
    徴とする請求項1又は2に記載の不活化方法。
  5. 【請求項5】 上記液を加圧後、容器内を急激に減圧す
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の不活化方
    法。
  6. 【請求項6】 上記液を加圧後次いで減圧し、加圧と減
    圧を1回以上繰り返すことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の不活化方法。
  7. 【請求項7】 上記病原性シスト形成微生物の混入液を
    濃縮し、該濃縮液を加圧することを特徴とする請求項1
    又は2に記載の不活化方法。
  8. 【請求項8】 濾過分離膜を用いて濃縮を行うことを特
    徴とする請求項7に記載の不活化方法。
  9. 【請求項9】 濾過分離膜を備えた容器中の液全体を加
    圧することを特徴とする請求項7に記載の不活化方法。
  10. 【請求項10】 病原性シスト形成微生物の混入液を高
    圧タンクに貯蔵し、加圧後、該高圧タンクの流出管先端
    に設けたノズル先端から、高圧状態の混入液を常圧下に
    放出し、急激な減圧を行うことを特徴とする請求項1に
    記載の不活化方法。
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