JP2000232070A - 高周波プラズマcvd法 - Google Patents

高周波プラズマcvd法

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JP2000232070A
JP2000232070A JP11031214A JP3121499A JP2000232070A JP 2000232070 A JP2000232070 A JP 2000232070A JP 11031214 A JP11031214 A JP 11031214A JP 3121499 A JP3121499 A JP 3121499A JP 2000232070 A JP2000232070 A JP 2000232070A
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plasma
substrate
cvd method
plasma cvd
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Satoshi Takagi
智 高木
Koji Teranishi
康治 寺西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、任意形状の大面積の基体上に、膜厚
が極めて均一で旦つ均質膜質である高品質な堆積膜を高
速度で安定に形成し、効率よく半導体デバイスを形成し
得る高周波プラズマCVD法を提供することを目的とし
ている。 【解決手段】本発明は、減圧下の反応容器内に成膜用の
原料ガスを供給し、前記原料ガスを高周波電力によりプ
ラズマ化して分解し、前記反応容器内に配される基体上
に堆積膜を形成するプラズマCVD法において、前記高
周波電力の周波数が30MHz乃至600MHzの範囲
にあり、該高周波電力によりプラズマを生成するため
に、2つ以上の棒状若しくは板状の導電性のプラズマ発
生用高周波電極をほぼ平行に配置し、該平行に配置され
た隣り合う高周波電極の給電点の反対側の先端部分にお
ける反射電力の位相を調整して、該一方のプラズマ発生
用高周波電極の定在波の腹の位置と該他方のプラズマ発
生用高周波電極の定在波の節の位置を、前記高周波電力
の波長の24分の1以内の誤差で一致させ、堆積膜を形
成することを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体デバイス、
電子写真用感光体デバイス、画像入力用ラインセンサ
ー、フラットパネルディスプレイ、撮像デバイス、光起
電力デバイス等の製造を行う高周波プラズマCVD法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体デバイス等の製造プロセス
においては、プラズマCVD装置及びプラズマCVD法
が工業的に実用化されている。特に13.56MHzの
高周波を用いたプラズマCVD装置は基板材料、堆積膜
材料等が導電体、絶縁体に関わらず処理できるので広く
用いられている。従来のプラズマ発生用高周波電極及び
該高周波電極を用いたプラズマCVD装置及びプラズマ
CVD法の一例として、平行平板型の装置について図9
を参照しながら説明する。反応容器(701)に絶縁性
の高周波電極支持台(702)を介して高周波電極(7
03)が配置されている。高周波電極(703)は、対
向電極(705)と平行に配された平板であり、この電
極間の静電容量で決まる電界によりプラズマを発生させ
る。プラズマが発生すると、実質的に導電体であるプラ
ズマと、プラズマと両電極や反応容器壁との間の等価的
に主にコンデンサとして働くシースが電極間に発生して
プラズマ発生前とは大きくインピーダンスが異なる場合
が多い。高周波電極(703)の回りには、高周波電極
(703)の側部と反応容器(701)との間で放電が
発生しないようにアースシールド(704)が配置され
ている。高周波電極(703)には整合回路(709)
と高周波電力供給線(710)を介して高周波電源(7
11)が接続されている。高周波電極と平行に配された
対向電極(705)にはプラズマCVDを行うための平
板状の被成膜基体(706)が配置され、被処理基体
(706)は、基体温度制御手段(図示せず)により所
望する温度に保たれる。
【0003】この装置を使用した場合のプラズマCVD
は以下のように行われる。反応容器(701)を真空排
気手段(707)によって高真空まで排気した後、ガス
供給手段(708)によって反応ガスを反応容器(70
1)内に導入し、所定の圧力に維持する。高周波電源
(711)より高周波電力を高周波電極(703)に供
給して高周波電極と対向電極との間にプラズマを発生さ
せる。こうすることにより、反応ガスがプラズマにより
分解、励起され被成膜基体(706)上に堆積膜を形成
する。高周波電力としては、13.56MHzの高周波
電力を用いるのが一般的であるが、放電周波数が13.
56MHzの場合、放電条件の制御が比較的容易であ
り、得られる膜の膜質が優れているといった利点を有す
るが、ガスの利用効率が低く、堆積膜の形成速度が比較
的小さいといった問題がある。こうした問題に鑑みて、
周波数が25〜150MHz程度の高周波を用いたプラ
ズマCVD法についての検討がなされている。例えばP
lasma Chemistry and Plasm
a Processing, Vo1 7,No3,
(1987)p267−273(以下、「文献1」とい
う。)には、平行平板型のグロー放電分解装置を使用し
て原料ガス(シランガス)を周波数25〜150MHz
の高周波電力で分解してアモルファスシリコン(a−S
i)膜を形成することが記載されている。具体的には、
文献1には、周波数を25MHz〜150MHzの範囲
で変化させてa−Si膜の形成を行い、70MHzを使
用した場合、膜堆積速度が、2.1nm/secと最も
大きくなり、これは上述の13.56MHzを用いたプ
ラズマCVD法の場合の5〜8倍程度の形成速度である
こと、及び得られるa−Si膜の欠陥密度、光バンドギ
ャップ及び導電率は、励起周波数によってはあまり影響
を受けないことが記載されている。
【0004】上記従来例は実験室規模の平板状の基体を
処理するのに適したプラズマCVD装置の例であるが、
大型の生産規模の円筒状基体の表面上に堆積膜を形成す
るのに適したプラズマCVD装置の一例が、特開平6−
342764号公報(以下、「文献2」という。)に記
載されている。文献2には、周波数60MHz〜300
MHzの所謂VHF帯の高周波を用いたプラズマCVD
法及びプラズマCVD装置が開示されている。文献2の
VHFプラズマCVD装置を図面を参照しながら説明す
る。図10に示すプラズマCVD装置は、文献2に記載
されているVHFプラズマCVD装置である。図10に
おいて、100は反応容器を示す。反応容器(100)
は、ベースプレート(101)と、絶縁部材(102
A)、カソード電極(103C)、絶縁部材(121
B)、カソード電極(103B)、絶縁部材(121
A)、カソード電極(103A)、絶縁部材(102
B)、及び上蓋(115)から構成されている。105
Aは基体ホルダーであり、該基体ホルダーは内部にヒー
ター支柱(105A’)を有している。105A”は、
ヒーター支柱(105A’)に取り付けられた基体加熱
用ヒーターである。106は基体ホルダー(105A)
上に配設された円筒状基体である。105Bは円筒状基
体(106)の補助保持部材である。基体ホルダー(1
05A)は、その底部にモーターに連結した回転機構
(図示せず)を備えていて、必要により回転できるよう
にされている。107は、排気バルブを備えた排気パイ
プであり、該排気パイプは、真空ポンプを備えた排気機
構(107’)に連通している。108は、ガスボン
ベ、マスフローコントローラー、バルブ等で構成された
原料ガス供給系である。原料ガス供給系(108)は、
ガス供給パイプ(117)を介して複数のガス放出孔を
備えたガス放出パイプ(116)と接続している。原料
ガスはガス放出パイプ(116)の複数のガス放出孔を
介して反応容器内に供給される。111は高周波電源で
あり、ここで発生した高周波電力は高周波電力供給線
(118)及び整合回路(109)を介してカソード電
極(103)に供給される。図10に示したプラズマC
VD装置においては、カソード電極が円筒状基体の軸方
向に103A、103B、103Cの3つに電気的に分
割されて構成されている。高周波電源(111)で発生
した高周波電力は、高周波電力分割手段(120)によ
り3分割され、整合回路109A、109B、109C
を介して、カソード電極103A,103B,103C
に供給される。
【0005】文献2には、図10のプラズマCVD装置
を用いたプラズマCVD法についても記述されている。
即ち、図9において、円筒状基体(106)を基体ホル
ダー(105A)にセットした後、反応容器(100)
内を排気機構(107’)を作動させて排気し、反応容
器内を所定の圧力に減圧する。ついで、ヒーター(10
5A”)に通電して基体(106)を所望の温度に加熱
保持する。次に、原料ガス供給系(108)からガス供
給パイプ(117)及びガス放出パイプ(116)を介
して、原料ガスを反応容器(100)内に導入し、該反
応容器内を所望の圧力に調整する。
【0006】こうしたところで、高周波電源(111)
により周波数60MHz乃至300MHzの高周波を発
生させ、高周波電力を高周波電力分配器(120)で分
割し、整合回路109A、109B、109Cを介し
て、それぞれカソード電極103A、103B、103
Cに供給する。かくして円筒状基体(106)とカソー
ド電極に囲まれた空間において、原料ガスは高周波エネ
ルギーにより分解され活性種を生起し、円筒状基体(1
06)上に堆積膜の形成をもたらす。文献2において
は、上述のような60MHz乃至300MHzの高周波
電力を用いたプラズマCVD装置において、円筒状カソ
ード電極を分割することにより、VHF領域の高周波プ
ラズマCVDでの利点である高い膜堆積速度で、問題点
であった大面積円筒状基体での均一性の高い膜堆積を達
成できるとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
の文献1に記載の平行平板型装置での周波数25〜15
0MHzの高周波電力による成膜は実験室規模のもので
あり、大面積の膜の形成においてこうした効果が期待で
きるか否かについて全く触れるところはない。一般に、
励起周波数が高くなるにしたがって、高周波電極上の定
在波の影響が顕著になり、特に平板電極では2次元の複
雑な定在波が生じてくる。この為、大面積の膜を均一に
形成することが困難になることが予想される。従来例の
文献2に記載のプラズマCVD法及びプラズマCVD装
置においては、円筒状の大面積の堆積膜の形成におい
て、高堆積速度且つ高均一性での堆積膜の形成が期待で
きるが、円筒状基体の径が大きくなると、ひとつのカソ
ード電極に複数の給電点が必要になり煩雑になってくる
こと、及び平板状基体への対応が困難であるといったこ
とが予想される。
【0008】そこで、本発明は、上記した従来技術にお
ける課題を解決し、任意形状の大面積の基体上に、膜厚
が極めて均一で旦つ均質膜質である高品質な堆積膜を高
速度で安定に形成し、効率よく半導体デバイスを形成し
得る高周波プラズマCVD法を提供することを目的とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するために、高周波プラズマCVD法をつぎのように
構成したことを特徴とするものである。すなわち、本発
明の高周波プラズマCVD法は、減圧下の反応容器内に
成膜用の原料ガスを供給し、前記原料ガスを高周波電力
によりプラズマ化して分解し、前記反応容器内に配され
る基体上に堆積膜を形成するプラズマCVD法におい
て、前記高周波電力の周波数が30MHz乃至600M
Hzの範囲にあり、該高周波電力によりプラズマを生成
するために、2つ以上の棒状若しくは板状の導電性のプ
ラズマ発生用高周波電極をほぼ平行に配置し、該平行に
配置された隣り合う高周波電極の給電点の反対側の先端
部分における反射電力の位相を調整して、該一方のプラ
ズマ発生用高周波電極の定在波の腹の位置と該他方のプ
ラズマ発生用高周波電極の定在波の節の位置を、前記高
周波電力の波長の24分の1以内の誤差で一致させ、堆
積膜を形成することを特徴としている。また、本発明の
高周波プラズマCVD法は、前記高周波電力の周波数
が、60〜300MHzの範囲にあることを特徴として
いる。また、本発明の高周波プラズマCVD法は、前記
反応容器の一部が誘電体部材からなり、該反応容器内に
配される前記基体が円筒状基体であり、該円筒状基体の
周囲に複数の前記プラズマ発生用高周波電極をその中心
軸が実質的に同一円周上に立設するように該反応容器外
に配列し、該複数のプラズマ発生用高周波電極上の高周
波電力を前記誘電体部材を通して該反応容器内に放射
し、該円筒状基体との間にプラズマを発生させて、該円
筒状基体上に堆積膜を形成することを特徴としている。
また、本発明の高周波プラズマCVD法は、前記反応容
器内の基体が円筒状基体であり、該円筒状基体の周囲に
複数の前記プラズマ発生用高周波電極をその中心軸が実
質的に同一円周上に立設するように該反応容器外に配列
し、該複数の前記プラズマ発生用高周波電極と該円筒状
基体との間にプラズマを発生させて、該円筒状基体上に
堆積膜を形成することを特徴としている。また、本発明
の高周波プラズマCVD法は、前記反応容器内の基体
が、該反応容器内において同一円周上に配された複数の
円筒状基体からなり、該複数の円筒状基体の周囲に複数
の前記プラズマ発生用高周波電極をその中心軸が実質的
に同一円周上に立設するように配列し、該複数の前記プ
ラズマ発生用高周波電極と該円筒状基体との間にプラズ
マを発生させて、該円筒状基体上に堆積膜を形成するこ
とを特徴としている。また、本発明の高周波プラズマC
VD法は、前記円筒状基体を回転させながら該円筒状基
体上に堆積膜を形成することを特徴としている。また、
本発明の高周波プラズマCVD法は、前記基体が平板状
基体であり、該平板状基体に対して平行に複数の前記プ
ラズマ発生用高周波電極を配列し、該複数のプラズマ発
生用高周波電極と該平板状基体との間にプラズマを発生
させて、該平板状基体上に堆積膜を形成することを特徴
としている。また、本発明の高周波プラズマCVD法
は、前記基体が成膜時に保持ロールより送り出され、巻
き取りロールにより巻き取られるシート状基体であり、
該シート状基体に対して平行に複数の前記プラズマ発生
用高周波電極を配列し、該複数のプラズマ発生用高周波
電極と該シート状基体との間にプラズマを発生させて、
該シート状基体上に堆積膜を形成することを特徴として
いる。また、本発明の高周波プラズマCVD法は、前記
堆積膜は、シリコン、ゲルマニウム、カーボン又はその
いずれかの合金であることを特徴としている。その際、
本発明においては、前記堆積膜が、電子写真感光体用の
ものであること、または、太陽電池用のものであるこ
と、薄膜トランジスタ用のものであること、を特徴とし
ている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて、本発明を完成するに至った経緯から説明する。本
発明者らは鋭意検討を行った結果、高周波電力の周波数
を30MHz以上にすると、気相での重合反応が起こり
にくい高真空領域での放電が可能となり、非常に優れた
膜特性を得ることができ、堆積速度も13.56MHz
の場合に比べて向上するが、まだ高真空領域での放電の
安定性に問題があったり膜質と堆積速度の分布は悪化す
るという知見を得た。そこで、本発明者らは、高周波電
力の周波数を30MHz以上にすると偏在的に膜質の悪
化や堆積速度の低下が発生する原因を解明すべく鋭意検
討を行った。その結果、プラズマ電位と偏在的な膜質悪
化に強い相関があり、プラズマ中の電子密度と堆積速度
にも強い相関があることが判明した。即ち、円筒状基体
の軸方向に亘ってラングミュアプローブ法によりプラズ
マ電位を測定したところ、偏在的に膜質が悪化する位置
に対応する箇所においてプラズマ電位の低下が見られ
た。
【0011】これらの検討結果から、膜質分布及び堆積
速度分布の悪化は、高周波電極上に発生する定在波およ
び高周波電極上での高周波電力の減衰に起因するものと
推察された。一般に高周波電極と対向電極間に高周波電
力を印加することによってプラズマを生成する場合、電
極に印加した高周波電力の周波数と電極の大きさとの関
係から電極上に無視できない定在波が発生する場合があ
る。即ち、高周波電力の周波数が高くなる場合や高周波
電極の面積が大きくなる場合に定在波が発生し易くな
り、この定在波が大きいと、高周波電極内での電界分布
が悪くなり、電極間のプラズマ密度、プラズマ電位、電
子温度などのプラズマ分布が乱れ、プラズマCVDの成
膜品質に悪影響を及ぼす。上述した実験においては、高
周波電極の先端で高周波電極上に反射波が発生し、入射
波との干渉により30MHz以上の周波数において膜
質、堆積速度に影響を与える定在波が発生したものと考
えられる。特に、定在波の節の位置では電界が弱くな
り、偏在的なプラズマ電位の低下を引き起こして偏在的
に膜質が悪化したものと考えられる。
【0012】本発明は以上の検討結果を踏まえて完成す
るに至ったものである。以下、図面を参照しながら本発
明を説明する。まず、本発明の高周波プラズマCVD法
に用いるプラズマ発生用高周波電極について図2を用い
て説明する。ここでは、説明を単純化する為に、プラズ
マ発生用高周波電極(3)は、円柱形の棒状のものを用
いて、その周りに円柱状の誘電体部材(4)を設置し
た。誘電体の周囲にプラズマ(図示せず)が発生する
と、内部導体がプラズマ発生用高周波電極(3)、外部
導体がプラズマ、誘電体部材(4)が伝送媒体となる同
軸導波管となる。例えば、プラズマ発生用高周波電極の
長さは、同軸導波管内での使用する高周波の周波数での
同軸導波管内の波長λの1/2とする。高周波電源(1
1)で発生した高周波電力は、負荷に効率よく高周波電
力を供給するように整合回路(10)を介して2分割し
て、それぞれさらに補助整合回路(2)を介して各々の
高周波電極(3)の個体差による整合条件の違いに対応
して、各々の高周波電極(3)に供給される。高周波電
極の長手方向をZ軸として、左側の高周波電極(以下、
電極1と略す)の先端の位相調整回路を開放端にして、
右側の高周波電極(以下、電極2と略す)の先端の位相
調整回路の先端を閉端にした場合に発生する電圧定在波
の電界エネルギー分布も図2に示している。プラズマ発
生用高周波電極からプラズマに供給するエネルギーが、
高周波の電界エネルギーに比例するとすれば、プラズマ
の均一性は1つの高周波電極を用いるよりも、図2に示
した2つの高周波電極を用いた方が、Z方向のプラズマ
の均一性は飛躍的に良くなる。
【0013】このことをさらに詳しく説明する。図2に
おいて、電極1の先端の位相調整回路を開放端にして、
電極2の先端の位相調整回路の先端を閉端にした場合に
は、入射電力の位相が同じ場合、反射電力の位相は電極
1と電極2とで180°異なってくる。この場合、左電
極1の先端では電圧定在波の腹となり、電極2の先端で
は電圧定在波の節となる。すなわち、電極1の電圧定在
波の腹と電極2の電圧定在波の節の位置を同じZ軸座標
に一致させる。プラズマを完全導体で電力吸収が無いと
仮定した場合、カソード電極上の各位置での電圧定在波
の振幅は図3(a)に示される。ここで、グラフの横軸
は、カソード電極上の各位置Zを高周波の波長λで割っ
た値(Z/λ)で表している。V1、V2はそれぞれ電
極1、電極2上の電圧定在波の振幅の相対値を示してい
る。電界エネルギーは電圧若しくは電界の2乗に比例す
る為、電極1と電極2の電界エネルギー、UE1、UE2
図3(b)に示すようになり、その和(UE1+UE2)は
図3(b)に示すように各地点で全く同じになる。この
為、電極1と電極2を並べれば、Z方向に均一なプラズ
マを得ることが可能であることが分かる。
【0014】次に、電極1の電圧定在波の腹の位置と電
極2の電圧定在波の節とのZ方向の位置ずれをΔZとす
ると、ΔZはどの程度許容されるかを説明する。図4
(a)にはΔZを高周波の波長λで割った値(ΔZ/
λ)と、電極1と電極2の電界エネルギーの和(UE1
E2)のむらとの関係を示している。位置ずれΔZが大
きくなると(UE1+UE2)のむらのZ軸方向のむらは大
きくなり、λ/24では±25%程度でありかなりむら
は大きくなる。
【0015】実際には、プラズマは理想的な導体ではな
くかなりの高周波電力の吸収体であり、電界分布は上述
のものと多少のずれがある。またプラズマの拡散によ
り、電極の電界分布よりもプラズマの分布は一般に緩和
される。実際にプラズマを生成した場合の電極1の電圧
定在波の腹の位置と電極2の電圧定在波の節の位置のず
れと、プラズマ中の電子密度分布の測定結果を図4
(b)に示す。このときの放電条件は後述する実施例1
と同様である。電子密度分布はプラズマ条件によっても
依存するが同様の傾向を示す。電極1の電圧定在波の腹
の位置と電極2の電圧定在波の節の位置のずれとが、λ
/24では前述のように電界エネルギーの和の分布が±
25%程度でありかなりむらは大きいが、プラズマ中の
電子密度の分布は±10%以内になっており、実用上問
題ないことが分かった。このことからプラズマの拡散を
考慮すると、かなり許容値が大きくなることが分かる。
本発明のプラズマ発生用高周波電極は、使用する高周波
電力の周波数が30〜600MHzの範囲にあることが
好ましい。
【0016】本発明の上記構成のプラズマ発生用高周波
電極を用いたプラズマCVD法においては、以上に述べ
たように均一なプラズマを形成できるプラズマ発生用高
周波電極を用いている為、極めて均一性の良い膜質及び
膜厚の堆積膜を形成できるが、以下に詳しく説明する。
図1(A)及び図1(B)に示したプラズマCVD装置
は本発明のプラズマCVD法を実施できる装置の一例を
示すものである。尚、図1(B)は図1(A)のX−
X’断面図である。図1(A)及び図1(B)におい
て、12は反応容器を示す。反応容器(12)内には、
1個の基体ホルダー(6A)が反応容器中心に置かれて
いる。5は基体ホルダー(6A)上に配された成膜用の
円筒状基体である。それぞれの基体ホルダー(6A)の
内部にはヒーター(7)が設けられていて円筒状の被成
膜基体(5)を内側より加熱できるようにされている。
また、それぞれの基体ホルダー(6A)は、モーター
(図示せず)に連結したシャフト(図示せず)に接続し
ており、回転できるようにされている。6Bは円筒状基
体(106)の補助基体ホルダーである。3はプラズマ
生起領域の中心に位置した高周波電力投入用の高周波電
極である。
【0017】高周波電力は、高周波電源(11)で発生
し、整合回路(10)を介して分割され、補助整合回路
(2)を介して高周波電極(3)の一端に供給される。
高周波電極(3)は、反応容器(12)の一部を構成し
ている誘電体部材(4)を介して放電空間と隔離されて
おり、給電点と反対側の先端に位相調整回路(1)を介
して接地されている。ガスの排気は、排気バルブを備え
た排気パイプを介して、真空ポンプを備えた真空排気手
段(9)によって行われる。8は、ガスボンベ、マスフ
ローコントローラ、バルブ等で構成された原料ガス供給
系であり、ガス供給パイプを介して複数のガス放出孔を
備えたガス放出パイプに接続される。この装置を使用し
た場合のプラズマCVDは以下のように行われる。反応
容器(12)を排気機構(9)によって高真空まで排気
した後、ガス供給手段(8)からガス供給パイプ及びガ
ス放出パイプを介して原料ガスを反応容器(12)内に
導入し、所定の圧力に維持する。こうしたところで、高
周波電源(11)より高周波電力を整合回路(10)を
介して分割した後補助整合回路(2)を介して、高周波
電極(3)に供給して高周波電極と円筒状基体(5)と
の間にプラズマを発生させる。こうすることにより、原
料ガスがプラズマにより分解、励起され円筒状の被成膜
基体(5)上に堆積膜が形成される。
【0018】本発明において、誘電体部材(4)に使用
する誘電体材料は任意の公知のものを選択できるが、誘
電損の小さい材料が好ましく、誘電正接が0.01以下
であるものが好ましく、より好ましくは0.001以下
がよい。高分子誘電体材料ではポリ四フッ化エチレン、
ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピ
レン、ポリイミドなどが好ましく、ガラス材料では、石
英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどが好ましく、磁器材料
では窒化ホウ素、窒化シリコン、窒化アルミニウム、な
どや酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素
などの元素酸化物の中の単数または複数の元素酸化物を
主成分とする磁器が好ましい。
【0019】本発明において、高周波電極(3)の形状
は円柱状、円筒状、多角柱状などの棒状のもの、長板状
のものが好ましい。また、本発明において、高周波電源
(11)の周波数は好ましくは30〜600MHz、更
に好適には60〜300MHzの範囲とするのが望まし
い。また、本発明において、装置構成は図5(A)及び
図5(B)に示すように、円筒状基体(5)の周囲の反
応容器(12)内に貫通した複数の高周波電極(3)を
配置したものでもよい。また、本発明において、装置構
成は図7に示すように平板状の被成膜基体(5)に対し
て平行に複数の高周波電極(3)を配置したものでもよ
い。こうすることにより、大面積平板状の被成膜基体上
に膜厚が極めて均一で且つ均質膜質である高品質な堆積
膜を高速度で形成することができる。また、本発明にお
いて、装置構成は図8に示すように成膜時に保持ロール
(15)より送り出され、巻き取りロール(16)に巻
き取られるシート状の被成膜基体(5)に対して平行に
複数の高周波電極(3)を配置したものでもよい。こう
することにより、大面積のシート状基体上に膜厚が極め
て均一で且つ均質膜質である高品質な堆積膜を高速度で
形成することができる。
【0020】本発明のプラズマCVD法を行うに際し
て、使用するガスについては、形成する堆積膜の種類に
応じて公知の成膜に寄与する原料ガスを適宜選択使用さ
れる。例えば、a−Si系の堆積膜を形成する場合であ
れば、シラン、ジシラン、高次シラン等あるいはそれら
の混合ガスが好ましい原料ガスとして挙げらる。他の堆
積膜を形成する場合であれば、例えば、ゲルマン、メタ
ン、エチレン等の原料ガスまたはそれらの混合ガスが挙
げられる。いずれの場合にあっても、成膜用の原料ガス
はキャリアーガスと共に反応容器内に導入することがで
きる。キャリアーガスとしては、水素ガス、及びアルゴ
ンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを挙げることがで
きる。
【0021】堆積膜のバンドギャップを調整する等の特
性改善用ガスを使用することもできる。そうしたガスと
しては、例えば、窒素、アンモニア等の窒素原子を含む
ガス、酸素、酸化窒素、酸化二窒素等の酸素原子を含む
ガス、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパ
ン等の炭化水素ガス、四フッ化珪素、六フッ化二珪素、
四フッ化ゲルマニウム等のガス状フッ素化合物またはこ
れらの混合ガス等が挙げられる。
【0022】形成される堆積膜をドーピングするについ
てドーパントガスを使用することもできる。そうしたド
ーピングガスとしては、例えば、ガス状のジボラン、フ
ッ化ホウ素、ホスフィン、フッ化リン等が挙げられる。
堆積膜形成時の基体温度は、適宜設定できるが、アモル
ファスシリコン系の堆積膜を形成する場合には、好まし
くは60℃〜400℃、より好ましくは100℃〜35
0℃とするのが望ましい。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるもので
はない。 [実施例1]実施例1に使用したプラズマCVD装置の
模式図を図1(A)に示す。図1(B)は、図1(A)
のX−X’で示した位置での断面図である。高周波電源
(11)として周波数13.56MHz〜650MHz
の電源を使用した。高周波電極(3)は、円柱状のもの
を用い、反応容器(12)外に配置しており、アルミナ
セラミックス製の誘電体部材(4)を介して放電空間と
隔離されている。高周波電極は、その一端を高周波電力
の給電点とし反対側の一端に位相調整回路(1)を介し
て接地した構成のものである。位相調整回路(1)はア
ースとのリアクタンスを調整可能なものを用いた。本実
施例では、4つの位相調整回路(1)のうち対向する1
組を内部で高周波電極(3)を直接アースに短絡し、残
りの対向する1組を接続せずに位相調整回路(1)内の
浮遊容量のみのほぼ開放端として、隣り合う高周波電極
反射電力の位相差をほぼ180°とした。。
【0024】本実験では、直径108mm、長さ358
mm、厚さ5mmのAl製円筒状の被成膜基体を反応容
器(12)内に設置して基体は回転させながら成膜実験
を行った。高周波電極(3)には、Al製の直径20m
m、長さ450mm、の円柱状のものを用いた。膜質の
評価用として、電気特性評を価用するためのCr製の2
50μmギャップの櫛形電極を蒸着したコーニング#7
059ガラス基板を電気特性評価基板として円筒状被成
膜基体表面上の軸方向の長さ358mmに亘って設置
し、以下の手順で実験を行った。
【0025】まず反応容器(12)内を排気機構(9)
を作動して排気し、反応容器(12)内を1×10-6
orrの圧力に調整した。ついで、基板加熱ヒーター
(7)に通電して円筒状基体(106)を250℃の温
度に加熱保持した。ついで以下の手順で成膜を行った。
即ち、原料ガス供給手段(8)からガス放出パイプ(1
4)を介して、SiH4ガスを500sccmの流量で
反応容器(12)内に導入し、該反応容器内を10mT
orrの圧力に調整した。こうしたところで、高周波電
源(11)により周波数13.56MHz乃至650M
Hzの高周波を1KW発生させ、該高周波を整合回路
(10)を介して4つに分割し、補助整合回路(2)を
介して均等に高周波電極(3)に供給した。ここで高周
波電源(11)としては上述した範囲の周波数が与えら
れるよう、所定の高周波電源を用いた。整合回路(1
0)は、当該高周波電源の周波数に応じて適宜調整し
た。かくして円筒状の被成膜基体(5)上及び前記の電
気特性評価基板上にアモルファスシリコン膜が形成され
た。以上のようにして形成したアモルファスシリコン膜
の膜質および膜質分布、並びに堆積速度分布および堆積
速度分布を以下の方法で評価した。
【0026】膜質及び膜質分布は電気特性評価基板の上
端から下端までに亘って約20mmおきの18箇所の位
置で明/暗導電率比((光導電率σp)/(暗導電率σ
d))を測定することにより評価した。ここでは、光導
電率σpは、1mW/cm2の強度のHe−Neレーザ
ー(波長632.8nm)の照射時の導電率により評価
している。本発明者らのこれまでの電子写真感光体作製
からの知見によると、上記の方法による明/暗導電率比
が103以上の品質の堆積膜を得られる条件を基に最適
化して作製した電子写真感光体において実用に値する画
像が得られる。しかし、近年の画像の高コントラスト化
により、上述の明/暗導電率比が104以上のものが必
須になってきており、更に近い将来105以上の明/暗
導電率比が求められることが予想される。
【0027】このような観点から、今回の実験では明/
暗導電率比の値を下記の基準で評価した。 ◎:明/暗導電率比が105以上であり、非常に優れた
膜特性である。 〇:明/暗導電率比が104以上であり、良好な膜特性
である。 △:明/暗導電率比が103以上であり、実用上問題な
し。 ×:明/暗導電率比が103未満であり、実用に適さな
い。 堆積速度及び堆積速度分布の評価は、a−Si膜を形成
した円筒状基体の軸方向に亘って上述した明/暗導電率
比の測定位置と同様に約20mmおきの18箇所につい
て渦電流式膜厚計(Kett科学研究所製)を使用して
膜厚を測定することにより評価した。堆積速度は18箇
所における膜厚に基づいて算出し、得られた値の平均値
を平均堆積速度とした。堆積速度分布の評価は次のよう
にして行った。即ち、軸方向の堆積速度分布について
は、軸方向18箇所における堆積速度の最大値と最小値
との差を求め、該差を18箇所の平均堆積速度で割り、
堆積速度分布{(最大値−最小値)/平均値}を求め、
これを軸方向の堆積速度分布として百分率で表した。成
膜した試料の明/暗導電率比、平均堆積速度及び堆積速
度分布の評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】 13.56MHzの場合、10mTorrで放電が生起
しなかった為評価できなかった。30MHzの周波数を
持つ高周波電力により成膜したものは、全ての試料にお
いて明/暗導電率比が1×104〜3×104の範囲にあ
り良好な膜特性(〇)であった。平均堆積速度は2.0
nm/sであり堆積速度分布は3%であった。60MH
z〜300MHzの周波数を持つ高周波電力により成膜
したものは全ての試料において明/暗導電率比が1×1
5〜5×105 であり非常に優れた膜特性(◎)であっ
た(表1)。平均堆積速度は4.0〜7.1nm/sで
あり、堆積速度分布は4〜5%であった。
【0029】400MHz〜600MHzの周波数を持
つ高周波電力による試料においては、明/暗導電率比が
5×104〜8×104であり良好な膜特性(〇)であっ
た(表1)。平均堆積速度は2.0〜2.8nm/sで
あり、堆積速度分布は6〜7%であった。650MHz
の場合は、放電が不安定になり堆積膜の形成はできなか
った。以上のように本実施例においては、30MHz乃
至600MHzの放電周波数条件で、明/暗導電率比、
平均堆積速度分布共に良好なアモルファスシリコン膜が
得られており、60MHz乃至300MHzにおいては
特に優れたアモルファスシリコン膜が得られた。
【0030】(比較例1)比較例1においては、実施例
1と同様の条件で、すべての位相調整回路(1)をはず
して、全てのカソード電極(3)の先端を開放端にした
ものについても検討を行い、実施例1と同様の評価を行
った。評価結果を表2に示す。表1の実施例1の結果に
比べて、全ての放電周波数で、明/暗導電率比の落ち込
みや堆積速度分布の不均一性が大きい。
【0031】
【表2】 [実施例2]実施例2においては、図1(A)及び
(B)に示す装置を用い、実施例1で明/暗導電率比1
5以上の値が得られた条件、即ち、電源周波数60M
Hz、100MHz、200MHz、300MHzの各
々の条件で、電子写真感光体を作製した。尚、位相調整
回路(1)は実施例1で用いたものと同様のものを用い
た。電子写真感光体は、表3に示す成膜条件でAl製の
円筒状基体上に、電荷注入阻止層、光導電層及び表面保
護層をこの序で形成した。各々の電源周波数の条件で得
られた試料について、帯電能、画像濃度、画像欠陥につ
いて評価した。その結果、いずれの電子写真感光体もこ
れらの評価項目について電子写真感光体全面に亘って非
常に優れた結果を示した。このことからいずれの電子写
真感光体も電子写真特性に優れたものであることが判っ
た。
【0032】
【表3】 [実施例3]実施例3においては、図5(A)及び図5
(B)に示した装置を用い、直径108mm、長さ35
8mm、厚さ5mmのAl製円筒状基体(5)を反応容
器(12)内に配置して成膜を行った。高周波電極
(3)は実施例1と同様のものを反応容器内に入れ、円
筒形の誘電体部材(4)によりカバーしたものを用い
た。図5(B)に示すように4本の高周波電極を反応容
器に配置した。高周波電源の周波数は100MHzのも
のを用い、実施例1と同様の成膜条件で円筒状基体上に
アモルファスシリコン膜を形成し、実施例1と同様の手
順で明/暗導電率比、堆積速度及び堆積速度分布の評価
を行った。その結果、明/暗導電率は全ての位置で1×
105〜3×105であり、平均堆積速度は6.7nm/
s、堆積速度分布は4%となり、均一で優れた特性のア
モルファスシリコン膜が得られた。
【0033】[実施例4]実施例4においては、実施例
3で用いた同一の装置構成で、電子写真感光体を作製し
た。電子写真感光体は、実施例2と同様に表3示す成膜
条件でAl製の円筒状基体上に、電荷注入阻止層、光導
電層及び表面保護層をこの順序で形成した。得られた試
料について、帯電能、画像濃度、画像欠陥について評価
した。その結果、いずれの電子写真感光体もこれらの評
価項目について電子写真感光体全面に亘って非常に優れ
た結果を示した。このことからいずれの電子写真感光体
も電子写真特性に優れたものであることが判った。
【0034】[実施例5]実施例5においては、図6に
示した装置を用い、直径108mm、長さ358mm、
厚さ5mmの6本のAl製円筒状基体(5)を反応容器
(12)内に配置して成膜を行った。高周波電極(3)
の構成は実施例1と同様のものを、図6に示すように7
本の高周波電極(3)のうち6本を反応容器(12)外
に配置し、1本を反応容器内の中央に配置した。反応容
器(12)の一部は誘電体部材(4)により構成されて
おり、反応容器外の高周波電極からの高周波電力を反応
容器内に供給できるようになっている。反応容器中央に
挿入した高周波電極(3)は誘電体部材(4)により被
覆されている。中央の高周波電極に接続している位相調
整回路(図示せず)はアースに短絡して、周囲の6本の
高周波電極(3)に接続した位相調整回路(図示せず)
は、内部で20pFの静電容量を持つコンデンサを介し
てアースに接続されている。コンデンサはセラミックコ
ンデンサ、真空コンデンサ等の任意のものが使用でき
る。高周波電源の周波数は100MHzのものを用い
た。成膜条件は、高周波電力4(kW)、SiH4流量
1500(cc)、成膜圧力10(mTorr)、基体
温度250(℃)として、6本の円筒状基体上にアモル
ファスシリコン膜を形成し、実施例1と同様の手順で明
/暗導電率比、堆積速度及び堆積速度分布の評価を行っ
た。その結果、明/暗導電率は全ての位置で1×105
〜3×105であり、平均堆積速度は6.2nm/s、
堆積速度分布は5%となり、均一で優れた特性のアモル
ファスシリコン膜が得られた。
【0035】[実施例6]実施例6においては、実施例
5で用いた同一の装置構成で、電子写真感光体を作製し
た。電子写真感光体は、表4に示す成膜条件で6本のA
l製の円筒状基体上に、電荷注入阻止層、光導電層及び
表面保護層をこの順序で形成した。得られた試料につい
て、帯電能、画像濃度、画像欠陥について評価した。そ
の結果、いずれの電子写真感光体もこれらの評価項目に
ついて電子写真感光体全面に亘って非常に優れた結果を
示した。このことからいずれの電子写真感光体も電子写
真特性に優れたものであることが判った。
【0036】
【表4】 [実施例7]実施例7においては、図7に示した装置を
用い、縦500mm、横500mm、厚さ1mmのガラ
ス製の平板状の被成膜基体(5)を反応容器に配置して
成膜を行った。図7に示すように4本の高周波電極
(3)を配置した。高周波電極の一端は補助整合回路
(2)を介してまとめられた後、整合回路(10)を介
して200MHzの発信周波数をもつ高周波電源(1
1)に繋げられている。高周波電極の他端は、位相調整
回路(1)により反射電力の位相を調整するが、今回は
4つの位相調整回路を開放端、短絡端、開放端、短絡端
の順に設定した。高周波電力4kW、SiH4流量10
00(sccm)、成膜圧力10(mTorr)、基体
温度250(℃)の成膜条件で平板状基体上にアモルフ
ァスシリコン膜を形成し、以下の手順で堆積速度及び堆
速度分布を評価した。アモルファスシリコン膜を形成し
た平板状基体縦方向に約30mmおきに線を引き、横方
向にも約30mmおきに線を引いた場合の交点256箇
所について実施例1と同様に膜厚を測定し各測定箇所に
おける堆積速度を算出し、得られた値の平均値を平均堆
積速度とした。得られた平均堆積速度は7.4nm/s
であった。堆積速度分布は、測定点256箇所における
堆積速度の最大値と最小値との差を求め、該差を平均堆
積速度で割り堆積速度分布として100分率で表した。
得られた堆積速度分布は7%であった。明/暗導電率比
も同様に評価して、全測定点において、1×105〜3
×105であり、均一で優れた特性のアモルファスシリ
コン膜が得られた。
【0037】[実施例8]実施例8においては、図8に
示した装置を用い、幅500mm、厚さ0.1mmのス
テンレス製のシート状の基体(5)を反応容器に配置し
て、保持ロール(15)から送り出し、巻き取りロール
(16)に巻き取りながら成膜を行った。高周波電極の
構成はAl製の断面が40mm×l0mm角で長さ60
0mmの長板状の高周波電極(3)に、厚み5mmのア
ルミナセラミックス製の誘電体部材(4)を覆ったもの
を用い、2本の板状の高周波電極を反応容器に配置し
た。高周波電源の周波数は300MHzのものを用い、
高周波電力2(kW)、SiH 4流量750(cc)、
成膜圧力10(mTorr)、基体温度250(℃)の
成膜条件でシート状基体上にアモルファスシリコン膜を
形成した。長さ500mmのシート状基体を切り出して
実施例6と同様の手順で明/暗導電率比、堆積速度及び
堆速度分布を評価した。明/暗導電率比は全測定点で1
×105〜3×105、平均堆積速度は4.5nm/s、
堆積速度分布は5%であり、優れた特性のアモルファス
シリコン膜を均一に形成することができた。
【0038】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
種々の形状の大面積基体、即ち、円筒状基体、平板状基
体、シート状基体などに膜厚が極めて均一で且つ均質膜
質である高品質な堆積膜を高速度で形成できる。したが
って、本発明によれば大面積高品質の半導体デバイスを
効率的に作製することができ、特に、電子写真特性に優
れた大面積堆積膜を安定して量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマCVD法に用いるCVD装置
の1例を示す模式図である。(B)は(A)図中X−
X’に沿った平面断面図である。
【図2】本発明のプラズマCVD法に用いる高周波電極
の構成を説明するための模式構成図である。
【図3】本発明のプラズマCVD法に用いる高周波電極
上の電圧定在波の位置依存を示す図である。
【図4】本発明のプラズマCVD法に用いる高周波電極
上の電界エネルギー和の分布及びプラズマ中の電子密度
分布を示す図である。
【図5】本発明のプラズマCVD法に用いるCVD装置
の1例を示す模式図である。(B)は(A)図中X−
X’に沿った平面断面図である。
【図6】本発明のプラズマCVD法に用いるCVD装置
の1例を示す模式図である。
【図7】本発明のプラズマCVD法に用いるCVD装置
の1例を示す模式図である。
【図8】本発明のプラズマCVD法に用いるCVD装置
の1例を示す模式図である。
【図9】従来のプラズマCVD法に用いるCVD装置の
1例を示す模式図である。
【図10】従来のプラズマCVD法に用いるCVD装置
の1例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:位相調整回路 2:補助整合回路 3:高周波電極 4:誘電体部材 5:被成膜基体 6A:基体ホルダー 6B:補助基体ホルダー 7:基体加熱ヒータ 8:ガス供給手段 9:真空排気手段 10:整合回路 11:高周波電源 12:反応容器 13:アースシールド 14:ガス放出パイプ 701:反応容器 702:高周波電極支持台 703:高周波電極 704:アースシールド 705:対向電極 706:被成膜基体 707:真空排気手段 708:ガス供給手段 709:整合回路 710:高周波ケーブル 711:高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H068 DA23 EA25 EA30 4K030 AA06 AA10 AA17 AA24 BA09 BA27 BA29 BA30 CA02 CA06 CA16 CA17 FA03 FA10 GA06 GA14 JA18 JA19 KA15 LA15 LA16 LA17 5F045 AA08 AB02 AB04 AB05 AB07 AC01 AC02 AC07 AC11 AC12 AC15 AC16 AC17 AC19 AD06 AE11 CA13 CA15 CA16 DP22 DP25 EH04 EH14

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】減圧下の反応容器内に成膜用の原料ガスを
    供給し、前記原料ガスを高周波電力によりプラズマ化し
    て分解し、前記反応容器内に配される基体上に堆積膜を
    形成するプラズマCVD法において、 前記高周波電力の周波数が30MHz乃至600MHz
    の範囲にあり、該高周波電力によりプラズマを生成する
    ために、2つ以上の棒状若しくは板状の導電性のプラズ
    マ発生用高周波電極をほぼ平行に配置し、該平行に配置
    された隣り合う高周波電極の給電点の反対側の先端部分
    における反射電力の位相を調整して、該一方のプラズマ
    発生用高周波電極の定在波の腹の位置と該他方のプラズ
    マ発生用高周波電極の定在波の節の位置を、前記高周波
    電力の波長の24分の1以内の誤差で一致させ、堆積膜
    を形成することを特徴とする高周波プラズマCVD法。
  2. 【請求項2】前記高周波電力の周波数が、60〜300
    MHzの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の
    高周波プラズマCVD法。
  3. 【請求項3】前記反応容器の一部が誘電体部材からな
    り、該反応容器内に配される前記基体が円筒状基体であ
    り、該円筒状基体の周囲に複数の前記プラズマ発生用高
    周波電極をその中心軸が実質的に同一円周上に立設する
    ように該反応容器外に配列し、該複数のプラズマ発生用
    高周波電極上の高周波電力を前記誘電体部材を通して該
    反応容器内に放射し、該円筒状基体との間にプラズマを
    発生させて、該円筒状基体上に堆積膜を形成することを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の高周波プラ
    ズマCVD法。
  4. 【請求項4】前記反応容器内の基体が円筒状基体であ
    り、該円筒状基体の周囲に複数の前記プラズマ発生用高
    周波電極をその中心軸が実質的に同一円周上に立設する
    ように該反応容器外に配列し、該複数の前記プラズマ発
    生用高周波電極と該円筒状基体との間にプラズマを発生
    させて、該円筒状基体上に堆積膜を形成することを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の高周波プラズマ
    CVD法。
  5. 【請求項5】前記反応容器内の基体が、該反応容器内に
    おいて同一円周上に配された複数の円筒状基体からな
    り、該複数の円筒状基体の周囲に複数の前記プラズマ発
    生用高周波電極をその中心軸が実質的に同一円周上に立
    設するように配列し、該複数の前記プラズマ発生用高周
    波電極と該円筒状基体との間にプラズマを発生させて、
    該円筒状基体上に堆積膜を形成することを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の高周波プラズマCVD
    法。
  6. 【請求項6】前記円筒状基体を回転させながら該円筒状
    基体上に堆積膜を形成することを特徴とする請求項3〜
    5のいずれか1項に記載の高周波プラズマCVD法。
  7. 【請求項7】前記基体が平板状基体であり、該平板状基
    体に対して平行に複数の前記プラズマ発生用高周波電極
    を配列し、該複数のプラズマ発生用高周波電極と該平板
    状基体との間にプラズマを発生させて、該平板状基体上
    に堆積膜を形成することを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の高周波プラズマCVD法。
  8. 【請求項8】前記基体が成膜時に保持ロールより送り出
    され、巻き取りロールにより巻き取られるシート状基体
    であり、該シート状基体に対して平行に複数の前記プラ
    ズマ発生用高周波電極を配列し、該複数のプラズマ発生
    用高周波電極と該シート状基体との間にプラズマを発生
    させて、該シート状基体上に堆積膜を形成することを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の高周波プラズ
    マCVD法。
  9. 【請求項9】前記堆積膜は、シリコン、ゲルマニウム、
    カーボン又はそのいずれかの合金であることを特徴とす
    る請求項1〜8のいずれか1項に記載の高周波プラズマ
    CVD法。
  10. 【請求項10】前記堆積膜は、電子写真感光体用のもの
    であることを特徴とする請求項9に記載の高周波プラズ
    マCVD法。
  11. 【請求項11】前記堆積膜は、太陽電池用のものである
    ことを特徴とする請求項9に記載の高周波プラズマCV
    D法。
  12. 【請求項12】前記堆積膜は、薄膜トランジスタ用のも
    のであることを特徴とする請求項9に記載の高周波プラ
    ズマCVD法。
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