JP2000231907A - ハロゲン電球、反射鏡付き電球および照明器具 - Google Patents
ハロゲン電球、反射鏡付き電球および照明器具Info
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Abstract
電球において、コイル状フィラメントのディメンション
(大きさ)を規制することによりさらに発光効率の向上
と小形化がはかれる電球および照明器具を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 バルブ1の表面に形成された可視光透過
赤外線反射膜6と、バルブ1内に封入された不活性ガス
およびハロゲン化物と、バルブ1に封着された導入部材
3に継線してバルブ1のほぼ中心軸線上に配設された、
コイル状に巻回したタングステン素線部分およびこの線
間の空間を含むコイル状部が占める仮想筒状体部Cの全
体積VCと、このコイル状に巻回したタングステン素線
部分が占める体積VWとの比率(VW/VC)×100
%=Yが、 (5/9)Mg+2≦Y≦(5/9)Mg+8.2……
…(数式1) Mg:タングステン素線重量mg/200mm の範囲内にあるコイル状フィラメント5とを備えている
ハロゲン電球L1および照明器具9である。
Description
射膜を備え発光効率を向上したハロゲン電球および反射
鏡付き電球ならびにこれら電球を装着した照明器具に関
する。
スバルブ内にアルゴンなどの不活性ガスとともに、タン
グステン素線をコイル状に巻回したフィラメントが光源
として封装されている。そして、点灯時に高温となるフ
ィラメントの蒸発を不活性ガスにより抑制させている
が、フィラメントが序々に痩せ細り、遂には断線して寿
命となる。
寿命を改善するため、バルブ内に不活性ガスとともに微
量のハロゲン族元素(I、Br、Cl、F)を封入した
ハロゲン電球がある。
発したタングステンと、バルブ内に封入したハロゲン族
元素との間の化学的な循環反応(ハロゲンサイクル)を
利用して、フィラメントに戻しバルブの黒化を防ぎ効率
を高めるとともに長寿命化を図ったものである。ハロゲ
ン電球は、ハロゲンサイクルを円滑に行うため、ガラス
バルブの温度が250℃以上になるよう小形に設計さ
れ、また、効率を高めるために封入される不活性ガスの
圧力も3.0×105 〜7.0×105 Pa(パスカ
ル)に高められている。
入り電球に比べて小形で高効率であるところから、ダウ
ンライト用やスポットライト用として、店舗や家庭など
で多く用いられるようになってきている。
エネルギー化の一環として電球分野においても種々の工
夫がなされている。このハロゲン電球においては、バル
ブのほぼ中心軸線上に沿ってコイル状のフィラメントを
配設するとともに、バルブの表面に高屈折率層を作る二
酸化チタン(TiO2 )などと低屈折率層膜を作る二酸
化ケイ素(SiO2 )などとを交互に繰り返えし所定層
積層した多層光干渉膜からなる可視光透過赤外線反射膜
を形成して、フィラメントから放射した可視光はバルブ
を透過させ、赤外線をこの反射膜で効率よく反射してフ
ィラメントに帰還させ、これによってフィラメントを加
熱して発光効率を高めることが行われている。
ロゲン電球においては、この反射膜の効果を向上すべく
種々の開発がなされている。たとえば特公平6−266
15号公報、特公平6−28152号公報、特開平5−
144419号公報、特開平7−45254号公報や特
開平8−45482号公報に記載されている。
赤外線反射膜を形成したハロゲン電球において、特開平
4−47660号公報に開示されているように回転楕円
形状を有するバルブを用い、バルブの2つの焦点間を結
ぶ線上にフィラメントを配設して、反射膜で赤外線を効
率よく反射してフィラメントに帰還させ、これによって
フィラメントを加熱して発光効率を高めることが知られ
ている。
を形成したハロゲン電球について、さらに発光効率の向
上した電球が要求されているのに鑑み種々究明した。
したハロゲン電球において、コイル状フィラメントのデ
ィメンション(大きさ)とバルブの大きさとの相対的な
寸法関係を規制することによりさらに発光効率の向上と
小形化がはかれる電球および照明器具を提供することを
目的とする。
のハロゲン電球は、透光性の気密容器を構成する、端部
に封止部が形成されたバルブと、このバルブの表面に形
成された可視光透過赤外線反射膜と、上記バルブ内に封
入された不活性ガスおよびハロゲン化物と、上記バルブ
の封止部に気密封着された導入部材と、この導入部材に
継線して上記バルブのほぼ中心軸線上に配設された、コ
イル状に巻回したタングステン素線部分およびこの線間
の空間を含むコイル状部が占める仮想筒状体部の全体積
VCと、このコイル状に巻回したタングステン素線部分
が占める体積VWとの比率(VW/VC)×100%=
Yが、 (5/9)Mg+2≦Y≦(5/9)Mg+8.2………(数式1) Mg:タングステン素線重量mg/200mm の範囲内にあるコイル状フィラメントとを具備している
ことを特徴とする。
外線反射膜で反射した赤外線が、フィラメント方向に戻
り一部は素線に入射し、残りの一部はコイルピッチ間を
透過して反対側のバルブ面に向かっていたのを、コイル
状部の上記体積比率を規制することにより、ピッチ間を
透過する赤外線の量を減らして素線に当たり入射する量
を多くなるようにしたもので、フィラメントの赤外線吸
収率を高めることができる。
(数式1)の範囲内にあれば、発光効率が向上でき、下
限値を下回ると発光効率の向上は望めず、また、上限値
を超えるとターン間ショートの発生などの虞がある。
状フィラメントは、単コイルであっても二重コイルなど
の多重コイルであってもよく、要するに発光をなす仮想
筒状体部の全体積VCと、この中におけるタングステン
素線部分が占める体積VWとの比率Yである。
ルブの外表面に限らず、バルブの内表面であってもある
いは内外表面の両面であってもよい。
ハロゲン電球に限らず、他の用途の電球であってもよ
く、また、バルブに形成する封止部は片端に限らず、バ
ルブの両端部に設けてあるものでもよい。また、封止部
は圧潰封止部に限らず、バルブを収縮して形成した封止
部でもよく、また、封着部材はモリブデン箔などの金属
箔に限らず、線状の部材を用いるものであってもよい。
は、透光性の気密容器を構成する、端部に封止部が形成
された回転楕円形部を有するバルブと、このバルブの表
面に形成された可視光透過赤外線反射膜と、上記バルブ
内に封入された不活性ガスおよびハロゲン化物と、上記
バルブの封止部に気密封着された導入部材と;この導入
部材に継線して上記バルブの焦点間を結ぶバルブのほぼ
中心軸線上に配設された二重コイル状のコイル状フィラ
メントとを備え;上記バルブの内容積をVBmm3 、内
径をDBmmとし、コイル状フィラメントの巻回したタ
ングステン素線部分およびこの線間の空間を含むコイル
状部が占める仮想筒状体部の全体積をVCmm3 、この
二重コイル状に巻回したタングステン素線部分が占める
体積をVWmm3 、二重コイルの外径をD2mmとした
とき、 VB/VC≦40………(数式5) (VB/VC)/(VC/VW)≦2.5………(数式6) DB/D2≦6.5………(数式7) の関係にあることを特徴とする。
する体積に対するバルブ1の内容積を規制するVB/V
C値が40を超える場合は、フィラメントの温度分布が
高温部と低温部との温度差が顕著になり、温度勾配が原
因となる断線やホットスポットの発生による短寿命やバ
ルブの中心軸に対するコイル状フィラメントの軸ずれの
影響が大きくなる。また、実験的にも赤外線がフィラメ
ントに帰還するまでのバルブへの反射回数が多くなるな
どの理由で好ましくなく、そのほか、コイル状部が占め
る仮想筒状体部の全体積に対するバルブの大きさを示す
指数VB/VCは小さい方が効率アップすることが確認
されている。
小さくなると物理的に電球の製造が困難になるとともに
バルブの表面温度が900℃以上に達し、石英ガラスが
結晶化して脆化するなどの理由で好ましくない。
度比(VC/VW)に対する上記(VB/VC)の比率
(VC/VW)/(VB/VC)は、コイル状部に対す
るバルブの大きさを示す指数と、コイルの密巻き度を示
す指数との相対関係を表し、この(VC/VW)/(V
B/VC)値が2.5を超える場合は、赤外線のフィラ
メントへの帰還率が低下し、また、バルブ中心軸に対す
るコイル状フィラメントの偏心の影響が大きくなる。そ
のほか、実験結果からみても好ましくない。
り小さくなると、コイル状フィラメントにホットスポッ
トが発生し易くなったり、バルブ表面の温度が異常に上
昇し、石英ガラスが結晶化して脆化するなど好ましくな
い。
ル状部外径に対するバルブ1の内径を規制するDB/D
2は、バルブの内径に対するコイルの外径の比を示し、
このDB/D2値が6.5を超える場合は、バルブの中
心軸に対するコイル状フィラメントの偏心ずれの影響が
大きくなったり、フィラメントへの赤外線帰還率が低下
するなどの理由で好ましくない。また、この下限値は
3.0程度で、これより小さいとバルブ表面の温度が異
常に上昇し、石英ガラスが結晶化して脆化するなど好ま
しくない。
は、回転楕円形部を有するバルブの内径DBが、10m
m以下であることを特徴とする。
場合は、電球の小形化が果たせず、電圧100V級(9
0〜110V)10〜150W(0.1〜1.5A)程
度の電球では、実用的には6〜12mm程度で、下限値
を下回るとバルブの表面温度が異常上昇することによる
石英ガラスの脆化やバルブ内に配設されるステムの製造
が難しくなるなどの理由で好ましくない。
は、コイル状フィラメントを形成するタングステン素線
のMgが3.0〜15の範囲内であることを特徴とす
る。
Mg(タングステン素線200mm当たりの重量mg
(素線外径WDに換算すると約0.032〜0.070
mm))で、電圧100V級(90〜110V)の場
合、10〜150W(0.1〜1.5A)程度の電球用
フィラメントに適用できる。
032mm)未満のものでは、コイルを高い精度で巻回
できないとともに強度維持も困難となって使用できな
い。また、Mg15(素線径WDが約0.070mm)
を超えたものには、Y値(図4)がMg値と比例しなく
なるため適用できない。
は、コイル状フィラメントの単コイル部のピッチ間隔P
1とタングステン素線径WDとの比率(%ピッチ)P1
/WD×100%が110〜220%で、かつ、二重コ
イル部のピッチ間隔P2と単コイル外径D1との比率
(%ピッチ)P2/D1×100%が110〜220%
であることを特徴とする。
D×100%およびP2/D1×100%が上記の下限
値未満であると、コイル巻回工程で通常発生するピッチ
のばらつきによる特性への影響が大きいため適用できな
い。
びP2/D1×100%が上記の上限値を超えると、コ
イルによる保温効果が低減するためにランプの効率アッ
プという本発明の主旨からは外れ好ましくない。
は、コイル状フィラメントの単コイル部の内径MD1と
タングステン素線径WDとの比率(%マンドレル)MD
1/WD×100%が250〜700%で、かつ、二重
コイル部の内径MD2と単コイル外径D1との比率(%
マンドレル)MD2/D1×100%が150〜250
%であることを特徴とする。
1/WD×100%およびMD2/D1×100%が下
限値未満であると、1stおよび2ndコイルの展開長
CLが長くなり、適切な発光長におさまりにくくなるた
めに適用できない。
ルMD1/WD×100%およびMD2/D1×100
%が上限値を超えると、二重コイルとしたときのコイル
強度が低下するため適用できない。
は、バルブが、球形状、円筒形状、回転楕円形状、回転
放物面形状および回転長円形状の少なくとも一つの形状
を含み構成されていることを特徴とする。
ントから放射された赤外線を、表面で反射して再びフィ
ラメントに高い帰還率で戻す形状のバルブを用いる。
回転楕円体、回転放物面体および回転長円体などからな
り、これらの形状あるいはこれらのうちの形状を少なく
とも一部に備えた複合形状を成すものであってもよい。
また、焦点を有するバルブの場合はこの焦点を通りフィ
ラメントを配設すれば、効率よく赤外線をフィラメント
に帰還させることができる。
は、基部を有する反射鏡と、この反射鏡の基部内に配設
された請求項1ないし7のいずれか一に記載のハロゲン
電球とを具備していることを特徴とする。
電球の封止部を固着して、両者を一体化したものや基部
内のソケットに電球を装着した一体的なものであって、
反射鏡を用いることにより高い発光効率や配光特性を得
ることができる。
具本体と、器具本体に配設されたソケットと、このソケ
ットに装着された請求項1ないし7のいずれか一記載の
ハロゲン電球または請求項8記載の反射鏡付き電球とを
具備していることを特徴とする。
項1ないし8に記載の電球は、上記請求項1ないし8に
記載したと同様な作用を奏する。
を図面を参照して説明する。図1は小形投光用の定格1
00〜110V65Wのハロゲン電球L1の正面図、図
2はコイル状フィラメントを拡大して示す説明図、図3
はバルブの表面に形成した多層光干渉膜からなる可視光
透過赤外線反射膜の一部を拡大して示す断面図である。
1Aに円筒状部1Bを連接した形状のバルブで、円筒状
部1Bの端部に形成した圧潰封止部2内には導入導体の
一部を構成するモリブデンMo箔などからなる一対の金
属箔31,31が封着され、回転楕円状部1Aの他端部
には排気管4が接続されている。
部の最大内径DBが約8mm、2焦点間長さが約9m
m、楕円状部の内部長さが約10mm、封止部2を含む
全長が約40mm、内容積が約6.5ccで透光性の気
密容器を構成している。
設して封着されたそれぞれの金属箔31,31には、長
短の内部リード線32,32および外部リード線33,
33が接続され、この金属箔31、内部リード線32お
よび外部リード線33の3つの部材で導入部材3を構成
している。
る内部リード線32,32間には、二重コイル状のフィ
ラメント5の両端のレグ部5L,5Lが嵌挿、過締めや
溶接などの手段で継線され、このフィラメント5はバル
ブ1の2焦点間を結ぶ中心軸線上にほぼ沿って配設して
ある。
ングステンW線を巻回した一次コイル(1st)51を
さらに二次巻回(2nd)52したもので、従来の二重
コイル状のフィラメントと外形は両者間に変わりはない
が、細部のディメンションが後述するように異なってい
る。なお、この二重コイル状のフィラメント5の各部を
示す符号の内容はつぎの通りである。
ン)数、 P2;2ndコイルのピッチ間隔mm、 MD2;2ndコイルの内径mm、 D2;2ndコイルの外径mm、 CL2;2ndコイルの全長mm、 TPC2;2ndコイルの10mm当たりの巻回(ター
ン)数、 L2;2ndコイルの有効発光長mm、 %P(%ピッチ);P1/WD、P2/D1、 %M(%マンドレル);MD1/WD、MD2/D1、 VC;コイル端部の発光にあまり寄与しないレグ部5L
を除いた有効発光長部分が占める仮想筒状体部Cの体
積、 VW;仮想筒状体部C内に在るタングステン素線部分が
占める体積、として説明する。(なお、ピッチ間隔P
1、P2mmは、WD、TPC1およびD1、TPC2
から算出できる。) この定格100〜110V65Wの電球L1に用いたコ
イル状フィラメント5は、Mgが約9.80(線径WD
は約0.057mm)、OALが約562mmのタング
ステン素線を、ピッチ間隔P1が約0.098mm、内
径MD1が約0.3mmで、%ピッチP1/WDが約1
71%、%マンドレルMD1/WDが約527%、全長
CL1が約60mmで1stコイル51が巻回され、さ
らに、ピッチ間隔P2が約0.599mm、内径MD2
が約0.9mmで、%ピッチP2/D1が約145%、
%マンドレルがMD2/D1が約217%のレグ部5L
を含む全長CL2が約9mmの2ndコイル52として
巻回した二重コイル状のフィラメント5としてある。
電球において、電圧および電力を考慮すれば本発明品も
従来品も同じMgや長さのタングステン素線が用いられ
コイルの有効発光長部分の体積VWも同一として、仮想
筒状体部Cの体積VCを従来品より小さくしてある。
2ndコイル52のピッチ間隔P1、P2やコイル部の
内径MD1、MD2や外径D1、D2などの巻回条件、
ここではCL2、D2、MD1、P1、P2などを調整
して、仮想筒状体部Cの体積VCを変えてある。
やCH3 Brなどのハロゲン化物およびアルゴン(A
r)、クリプトン(Kr)と窒素(N2 )とを混合した
ガスが常温(25℃)で約1.5×105 Pa(パスカ
ル)封入してある。
可視光透過赤外線反射膜(以下、赤反膜と称する。)6
が形成してある。この赤反膜6は、図3にその一部を拡
大して示すようにバルブ1のガラス面に高屈折率層膜6
H,…を作る二酸化チタン(TiO2 )と低屈折率層膜
6L,…を作る二酸化ケイ素(SiO2 )とを交互に繰
り返えし所定層積層した多層光干渉膜からなる。
の圧潰封止部2を覆うようにステアタイトやコージライ
トなどのセラミック製の筒状の本体部および金属シェル
やアイレット、端子ピンなどの導電部を備えた口金が耐
熱性の接着剤を介し接合されているとともに金属シェル
およびアイレット部に外部リード線が電気的に接続され
ている。
フィラメント5は発熱して可視光とともに大量の赤外線
を放射し、フィラメント5から放射した光のうち可視光
の殆どはバルブ1および赤反膜6を透過してバルブ1外
方へと放射される。また、フィラメント5は回転楕円形
状をなすバルブ1の2焦点間を結ぶバルブ1のほぼ中心
軸線上に沿って配設してあるので、フィラメント5から
放射した780〜1500nmの波長域はもとより20
00nm位までの赤外線を、回転楕円形面に形成してあ
る赤反膜6で反射して効率よくフィラメント5に戻し、
(この赤外線のフィラメント5からの放射と赤反膜6で
の反射は反復行われる。)フィラメント5を再加熱して
発光をより高くし、この結果フィラメント5からの可視
光放射が増して、発光効率を向上できる。
ル状フィラメント5の両端側の発光にあまり寄与しない
レグ部5L,5Lを除く、二重コイル(2ndコイル)
52部分の有効発光長部分である仮想筒状体部体積VC
中に占めるタングステン素線の体積VWの比率Y(VW
/VC=1.29/18.0×100%)は約7.17
%で従来品(VW/VC=1.29/21.7×100
%=5.94%)より約1.2%増やしてある。
バルブ1表面の赤反膜6で反射した赤外線が、フィラメ
ント5方向に戻り一部は素線に入射し、残りの一部はコ
イルピッチ間を透過して反対側のバルブ1面に向かって
いたのを、本発明ではコイルピッチを密にすることによ
ってピッチ間を透過する赤外線の量を減らして素線に当
たり入射する量が多くなるようにしたもので、フィラメ
ント5の赤外線吸収率を高めることができた。その結
果、本発明の電球L1は従来品に比べ寿命を同一(30
00時間)とした場合、光束(Lm)が約5%、効率
(Lm/W)が約5%向上できることが確認できた。ま
た、バルブ1言い換えると電球L1の小形化がはかれ
た。
する回転楕円形状のバルブ1を用いた他の品種の電球に
ついて、上記実施の形態と同様に二重コイル(2ndコ
イル)部分の有効発光長部分である仮想筒状体部体積V
C中に占めるタングステン素線の体積VWの比率Y
((VW/VC)×100%)を変えた結果を下記表1
に示す。
イル(2ndコイル)部分の有効発光長部分である仮想
筒状体部体積VC中に占めるタングステン素線の体積V
Wの比率Y((VW/VC)×100%)は、単なる平
面の比率ではなく断面円形でかつ巻回したものであるた
め各品種とも揃ったほぼ同一値とはならずフィラメント
を構成するタングステン素線のMg(=線径)によっ
て、その範囲は変わり本発明者らの実験によれば、図4
に示す勾配線が描かれる。この図4において、横軸はM
g(mg/200mm)を、縦軸は仮想筒状体部体積V
C中に占めるタングステン素線の体積VWの比率Y
((VW/VC)×100%)を対比して示すグラフで
ある。
式(数式1)の範囲内にあれば、他の定格品種の電球で
も同様に発光効率の向上できることが確認できた。ま
た、実用的には下限YLは(数式2)以上であればよい
が、ばらつきなどを考慮すると下限YSは(数式3)以
上が好ましく、また、上限は密ピッチ傾向となりターン
間のショートなどを考慮すると上限YUは(数式4)以
下がよかった。
の2焦点間を結ぶ線上にフィラメントを配設すれば、バ
ルブ表面に形成した赤反膜により反射された赤外線はフ
ィラメントに効率よく戻り、発光効率を向上することが
できるが、本発明者等が究明したところによれば、さら
にバルブの大きさやフィラメント各部のディメンション
を規制することにより発光効率を高められることが分か
った。
の2焦点間を結ぶ線上にフィラメントを配設すれば、理
論上はバルブ表面に形成した赤反膜からフィラメントに
戻る赤外線の帰還率はほぼ同じである。しかし、バルブ
を小形化しこのバルブに似合ったフィラメントとする
と、大形のバルブを用いた場合より発光効率が高まっ
た。
び2焦点間の間隔が小さくなるとともにフィラメントも
その長さCL2やピッチP2が小さくなり、狭小部分に
密ピッチのフィラメントが配置される結果と推測され
る。
ト5の仮想筒状体部Cの体積VCに対し回転楕円形状を
なすバルブ1の内容積VBが大きいことおよびフィラメ
ント5の外径D2に対しバルブ1の内径DBが大きいこ
とは、フィラメント5とバルブ1との間隔が離れてい
て、フィラメント5の発光熱がバルブ1に伝り難く温度
上昇が抑制され発光特性を高められないことなどのこと
から、下記条件を規制することによって、さらにの特性
の向上と小形化をはかることができた。
Cの体積VCmm3 に対するバルブ1の大きさを示す内
容積VBmm3 (VB/VC)、タングステン素線の密
度比(VC/VW)に対する上記(VB/VC)の比率
(VC/VW)/(VB/VC)およびフィラメント5
の外径D2mmに対するバルブ1の内径DBmm(DB
/D2)を規制した。
(90〜110V)10〜150W(0.1〜1.5
A)程度の電球に用いられる、Mgが3.0〜15のタ
ングステン素線(素線径に換算すると約0.032〜
0.070mm)で形成し、このフィラメント5を小形
化した回転楕円形状をなすバルブ1内に封装しハロゲン
電球を製作した。なお、使用したフィラメント5のディ
メンションは表1に示すものを用いた。
示す。表1および2中の左端のNo(番号)は共通した
同一のものである。
内径mmを示す。
ルブの小形化がはかれた。
積に対するバルブ1の内容積を規制するVB/VC値は
小さいほどよく40を超える場合は、フィラメントの温
度分布が高温部と低温部との温度差が顕著になり、温度
勾配が原因となる断線やホットスポットの発生による短
寿命やバルブの中心軸に対するコイル状フィラメントの
軸ずれの影響が大きくなる。また、実験的にも赤外線が
フィラメントに帰還するまでのバルブへの反射回数が多
くなるなどの理由で好ましくなく、そのほか、コイル状
部が占める仮想筒状体部の全体積に対するバルブの大き
さを示す指数VB/VCは小さい方が効率アップするこ
とが確認されている。
小さくなると物理的に電球の製造が困難になるとともに
バルブの表面温度が900℃以上に達し、石英ガラスが
結晶化して脆化するなどの理由で好ましくない。
度比(VC/VW)に対する上記(VB/VC)の比率
(VC/VW)/(VB/VC)は、コイル状部に対す
るバルブの大きさを示す指数と、コイルの密巻き度を示
す指数との相対関係を表し、この(VC/VW)/(V
B/VC)値が2.5を超える場合は、赤外線のフィラ
メントへの帰還率が低下し、また、バルブ中心軸に対す
るコイル状フィラメントの偏心の影響が大きくなる。そ
のほか、実験結果からみても好ましくない。
り小さくなると、コイル状フィラメントにホットスポッ
トが発生し易くなったり、バルブ表面の温度が異常に上
昇し、石英ガラスが結晶化して脆化するなど好ましくな
い。
ル状部外径に対するバルブ1の内径を規制するDB/D
2は、バルブの内径に対するコイルの外径の比を示し、
このDB/D2値が6.5を超える場合は、バルブの中
心軸に対するコイル状フィラメントの偏心ずれの影響が
大きくなったり、フィラメントへの赤外線帰還率が低下
するなどの理由で好ましくない。また、この下限値は
3.0程度で、これより小さいとバルブ表面の温度が異
常に上昇し、石英ガラスが結晶化して脆化するなど好ま
しくない。
ハロゲン電球について、たとえばR,S,Bergma
nが‘COMPACT QUARTS HALOGEN
LAMPSWITH INFRARED FILTE
R’ FIFTH INTERNATIONAL SY
MPOSIUM ON THE SCIENCE AN
D TECHNOLOGY OF LIGHT SOU
RCE に、コイル状フィラメントが吸収する赤外エネ
ルギーFを高めれば、発光効率が向上することが記載さ
れている。すなわち、 F=a・G・R/(1ー(1ーa)・G・R) F:フィラメントが吸収する赤外エネルギー G:形状係数(gain factor) R:平均赤外線反射率 a:フィラメントによる赤外吸収率 したがって、上式によればフィラメントが吸収する赤外
エネルギーFはG・R・aによって決定される。上記G
はバルブとフィラメントの形状によって決定される。ま
た、Rはバルブに形成される赤外線反射膜によって決定
される。さらに、aは通常定数として扱われており0.
4程度とされる。
吸収エネルギーFを高められるもので、この論理に矛盾
するものではない。
反膜)6の形成は、たとえば以下に述べる浸漬法により
行うことができる。まず、バルブ1内にフィラメント5
を封装して排気し、ハロゲンおよび不活性ガスなどを封
入した電球を用意する。また別途に、高屈折率層6H,
…を形成する物質としてはたとえばテトライソプロピル
チタネートなどの有機チタン化合物をアセチルアセト
ン、ポリエチレングリコールに反応させエタノール系の
溶剤に溶かしたチタン含有量が2〜10重量%、粘度約
2.0cpsに調整したチタン溶液と、低屈折率層6
L,…を形成する物質としてたとえばエチルシリケート
重合体などの有機けい素化合物を有機溶剤に溶かし、け
い素含有量が2〜10重量%、粘度約1.0cpsに調
整したけい素溶液とを用意する。
雰囲気中で排気管4側から上記のチタン溶液中に封止部
2側近くまでを浸漬して所定速度で引き上げ、乾燥後空
気中約800℃(700〜900℃)で約10分間焼成
して第1層目の酸化チタン(TiO2 )膜からなる高屈
折率層6Hを形成する。
O2 )膜からなる高屈折率層6Hを形成したバルブ1を
恒温恒湿の雰囲気中で上記のけい素溶液中に浸漬して所
定速度で引き上げ、乾燥後空気中約800℃(700〜
900℃)で約10分間焼成して第1層目の酸化けい素
(SiO2 )膜からなる低屈折率層6Lを形成する。以
下、上記と同様にして第3層目以降の高屈折率層6H、
低屈折率層6Lを交互に積層して、ここでは全部でたと
えば計8層形成して赤反膜6を得ることができる。
膜)6の形成は、浸漬法に限らず真空蒸着、PVD、C
VD、イオンプレーティングなどの方法によるものであ
ってもよい。また、被膜形成材料も酸化チタン(TiO
2 )、酸化けい素(SiO2)に限らない。
示す電球L2で、バルブ以外の構成は上記第1の実施の
形態と同じで、図中、第1の実施の形態と同一部分には
同一の符号を付してその説明は省略する。
状をなし外表面に上記第1の実施の形態と同様な赤反膜
6が形成してある。また、図中7はバルブ1端部の圧潰
封止部2を覆うようにして耐熱性接着剤71を介し接合
された口金である。
L2は、回転楕円状のバルブ1よりもフィラメント5へ
の赤外線の帰還率は少々低下するが、フィラメント5の
赤外線吸収率を高めることができ発光効率の向上を図る
ことができる。
円筒形状に限らず、球形状、回転放物面形状や回転長円
形状などあるいはこれらの少なくとも一つを含み構成さ
れたものであってもよい。
示す反射鏡付(ハロゲン)電球RLで、電球L1は図1
ないし図3に記載のものと同じものなので、図1〜図3
と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略す
る。
や金属体などで形成された回転放物面、回転楕円面など
の形状の反射面を有する反射鏡で、内面にはアルミニウ
ム、クローム、銀などからなる光・熱反射膜81あるい
はダイクロイック膜などの可視光反射赤外線透過膜81
が形成され、その中央背面の基部82には上記電球L1
の圧潰封止部2が収容される透孔(図示しない。)を有
している。そして、この透孔内に電球L1の圧潰封止部
2が置かれた状態でシリコン系などの耐熱性接着剤が注
入され、反射面81に対するフィラメント5位置の焦点
合わせが終了したらこの接着剤を固化して、両者を一体
化している。
灯すると、ハロゲン電球L1は上記実施の形態と同様の
光放射作用を奏し、反射鏡8と一体化されていることか
ら光放射特性も一段と向上でき、さらに高い発光効率を
得ることができる。なお、この反射鏡付電球RLにおい
ては、反射鏡8の前方開口部を覆うようにレンズなどの
制光体83や保護のためにカバー部材を設けることは構
わない。
示す照明器具9である。この図7中、91は天井面など
に取着される基台、92は支持ポール、93はポール9
2の先端に回動自在に取付けられた自在継手、94はこ
の自在継手が設けられた器具本体、95は器具本体の前
方開口部内に設けられた反射体で、この反射体95の部
分にはソケット(図示しない。)が配設され、このソケ
ット(図示しない。)にハロゲン電球L1やL2の口金
を装着することにより照明器具9が構成される。
した電球L1やL2を点灯すると、電球L1やL2は上
記実施の形態と同様の作用を奏し、高い光放射特性が得
られる照明器具9を提供することができる。なお、この
照明器具9においては、制光や保護のために反射体95
の前方開口部を覆うようにカバー部材を設けることは構
わない。また、第3の実施の形態に示す反射鏡付電球R
Lをソケット(図示しない。)に装着して使用すること
も構わない。
ラメントから放射されてバルブ表面の赤反膜で反射した
赤外線の、フィラメントへの帰還率を上げ赤外線の吸収
率を高めることができた。その結果、従来品に比べ寿命
を同一(3000時間)とした場合、光束(Lm)が約
5%、効率(Lm/W)が約5%向上するとともにバル
ブの小形化がはかれたハロゲン電球を提供できる。
して、ハロゲン電球の小形化がはかれる。
〜110V)級0〜150W程度の比較的低出力のハロ
ゲン電球に適用して電球の小形化がはかれる。
状フィラメントの%ピッチおよび%マンドレルを数値規
制することにより上記請求項1に記載したと同様な効果
を奏する。
限定することにより上記請求項1に記載したと同様な効
果を奏する。
いし7に記載の効果を奏する電球が設けてあるので、発
光特性の向上した反射鏡付き電球を提供できる。
いし8に記載の効果を奏する電球が設けてあるので、発
光特性の向上した照明器具を提供できる。
の正面図である。
ある。
可視光透過赤外線反射膜の一部を拡大して示す断面図で
ある。
m)を、縦軸は仮想筒状体部体積V中に占めるタングス
テン素線の体積Vwの比率Y((Vw/V)×100
%)を対比して示すグラフである。
の一部断面正面図である。
ロゲン電球の一部断面正面図である。
視図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 透光性の気密容器を構成する、端部に封
止部が形成されたバルブと;このバルブの表面に形成さ
れた可視光透過赤外線反射膜と;上記バルブ内に封入さ
れた不活性ガスおよびハロゲン化物と;上記バルブの封
止部に気密封着された導入部材と;この導入部材に継線
して上記バルブのほぼ中心軸線上に配設された、コイル
状に巻回したタングステン素線部分およびこの線間の空
間を含むコイル状部が占める仮想筒状体部の全体積VC
mm3 と、このコイル状に巻回したタングステン素線部
分が占める体積VWmm3 との比率(Vw/VC)×1
00%=Yが (5/9)Mg+2≦Y≦(5/9)Mg+8.2 Mg:タングステン素線重量mg/200mm の範囲内にあるコイル状フィラメントと;を具備してい
ることを特徴とするハロゲン電球。 - 【請求項2】 透光性の気密容器を構成する、端部に封
止部が形成された回転楕円形部を有するバルブと;この
バルブの表面に形成された可視光透過赤外線反射膜と;
上記バルブ内に封入された不活性ガスおよびハロゲン化
物と;上記バルブの封止部に気密封着された導入部材
と;この導入部材に継線して上記バルブの焦点間を結ぶ
バルブのほぼ中心軸線上に配設された二重コイル状のフ
ィラメントとを備え;上記バルブの内容積をVBm
m3 、内径をDBmmとし、コイル状フィラメントの巻
回したタングステン素線部分およびこの線間の空間を含
むコイル状部が占める仮想筒状体部の全体積をVCmm
3 、このコイル状に巻回したタングステン素線部分が占
める体積をVWmm3 、二重コイルの外径をD2mmと
したとき、 VB/VC≦40 (VB/VC)/(VC/VW)≦2.5 DB/D2≦6.5 の関係にあることを特徴とするハロゲン電球。 - 【請求項3】 上記回転楕円形部を有するバルブの内径
DBが、10mm以下であることを特徴とする請求項2
に記載のハロゲン電球。 - 【請求項4】 コイル状フィラメントを形成するタング
ステン素線のMgが3.0〜15の範囲内であることを
特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン電球。 - 【請求項5】 コイル状フィラメントの単コイル部のピ
ッチ間隔P1とタングステン素線外径WDとの比率(%
ピッチ)P1/WD×100%が110〜220%で、
かつ、二重コイル部のピッチ間隔P2と単コイル外径D
1との比率(%ピッチ)P2/D1×100%が110
〜220%であることを特徴とする請求項1または2に
記載のハロゲン電球。 - 【請求項6】 コイル状フィラメントの単コイル部の内
径MD1とタングステン素線径WDとの比率(%マンド
レル)MD1/WD×100%が250〜700%で、
かつ、二重コイル部の内径MD2と単コイル外径D1と
の比率(%マンドレル)MD2/D1×100%が15
0〜250%であることを特徴とする請求項1または2
に記載のハロゲン電球。 - 【請求項7】 バルブが、球形状、円筒形状、回転楕円
形状、回転放物面形状および回転長円形状の少なくとも
一つの形状を含み構成されていることを特徴とする請求
項1、4ないし6のいずれか一に記載のハロゲン電球。 - 【請求項8】 基部を有する反射鏡と;この反射鏡の基
部内に配設された請求項1ないし7のいずれか一に記載
のハロゲン電球と;を具備していることを特徴とする反
射鏡付き電球。 - 【請求項9】 器具本体と;器具本体に配設されたソケ
ットと;このソケットに装着された請求項1ないし7の
いずれか一に記載のハロゲン電球または請求項8に記載
の反射鏡付き電球と;を具備していることを特徴とする
照明器具。
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-
1999
- 1999-03-31 JP JP09268899A patent/JP3915310B2/ja not_active Expired - Fee Related
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