JP2000228287A - 有機電界発光素子およびその製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子およびその製造方法

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JP2000228287A
JP2000228287A JP11027134A JP2713499A JP2000228287A JP 2000228287 A JP2000228287 A JP 2000228287A JP 11027134 A JP11027134 A JP 11027134A JP 2713499 A JP2713499 A JP 2713499A JP 2000228287 A JP2000228287 A JP 2000228287A
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substrate
electrode layer
film formation
organic
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Hiroyuki Kanai
浩之 金井
Yoshiharu Sato
佳晴 佐藤
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 充分な基板への密着性を有する成膜防止層を
用いることにより、歩留まり良く有機電界発光素子を製
造する。 【解決手段】 基板1上の少なくとも一部に(1)第1
の電極層2、(2)少なくとも第1の電極層上に部分的
に設けられた成膜防止層3、(3)第1の電極層上であ
って該成膜防止層形成部とは異なる部分に設けられた有
機発光層5、及び(4)少なくとも有機発光層上に設け
られた第2の電極層6を有する有機電界発光素子におい
て、該成膜防止層のこれと接する下層に対する密着性
が、日本工業規格(JIS)K5400で規定された碁
盤目テープ法による剥離部分の面積割合で50%以下で
あることを特徴とする有機電界発光素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機電界発光素子に
係わり、詳しくは、有機化合物から成る発光層に電界を
かけて光を放出する薄膜型発光素子に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年有機電界発光素子の研究開発が活発
に行われ、パネル化検討が重ねられているが、微細な画
素の作製方法としては、例えば 基板上に第一電極層を形成した後、有機発光層を形成
し(この際、必要に応じて正孔輸送層等を積層形成す
る。)、次に、真空蒸着法等により、シャドーマスクを
用いて、第二電極層を形成する方法、 と同様に基板上に第一電極層を形成した後に、シャ
ドーマスクを用いて有機膜をパターン蒸着し、第二電極
層用のマスクに交換して第二電極層をパターン蒸着する
方法、 と同様に基板上に第一電極を形成した後に、成膜を
防止する壁(成膜防止層)をレジスト等を用いて基板上
に予め作製しておき、蒸着等により発光層および第二電
極層をパターン形成する方法(特開平5−275172
号公報)、 と同様に基板上に第一電極を形成した後に、有機層
および上部電極層を形成後にエキシマレーザーを照射す
ることによってパターニングを行う方法(特開平9−3
20760号公報) などを挙げることができる。これらのうち、等のシ
ャドーマスクを用いたパターニングの方法では、真空装
置内のチャンバー内で基板とマスクとの位置合わせを数
μmの精度で正確に行う必要があり、操作が容易ではな
い。また、繰り返し蒸着に用いたマスクに付着した物質
が厚膜化し、マスクのパターンを狭める等の問題も存す
る。このような観点から見てみると、の成膜防止層を
予め作製しておき、蒸着により、有機層、電極をパター
ニングする方法が、現状では好ましい方法といえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】成膜防止層を用いたパ
ターニングを行う方法では、その材料として、レジスト
材料がよく用いられる。これらレジスト材料は、基板と
の密着性に問題があるのが現状であるが、特にドライフ
ィルムレジストを用いて幅の狭い壁を作製する場合、密
着性が不十分であるため、成膜防止層形成後に通常行う
基板洗浄工程においてパターンの剥離等がおこり、その
後の画素形成が行えないという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記基板
洗浄工程に充分耐えうる(つまりパターンの剥離を起こ
さない)成膜防止層の密着性と、この様な成膜防止層を
有する有機電界発光素子の製造方法を見い出した。すな
わち本発明は、基板上の少なくとも一部に(1)第1の
電極層、(2)少なくとも第1の電極層上に部分的に設
けられた成膜防止層、(3)第1の電極層上であって該
成膜防止層形成部とは異なる部分に設けられた有機発光
層、及び(4)少なくとも有機発光層上に設けられた第
2の電極層を有する有機電界発光素子において、該成膜
防止層のこれと接する下層に対する密着性が、日本工業
規格(JIS)K5400で規定された碁盤目テープ法
による剥離部分の面積割合で50%以下であることを特
徴とする有機電界発光素子に存する。
【0005】また本発明は基板上に第1の電極層を形成
し、少なくとも該第1の電極層上に部分的に成膜防止層
を形成後、少なくとも該第1の電極層上の当該成膜防止
層非形成面に有機発光層および第2の電極層を順次積層
する有機電界発光素子の製造方法において、該成膜防止
層形成後に、180℃以上にて基板を加熱処理すること
を特徴とする、有機電界発光素子の製造方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の有機電界発光素子におけ
る成膜防止層のこれと接する下層に対する密着性は、J
IS K5400記載の碁盤目テープ法による密着性評
価方法において、剥離部分の面積が50%以下という密
着強度で表される。成膜防止層が接する下層としては、
後述する有機電界発光素子の構成で説明する如く、成膜
防止層の形成方法或いはその構造によって第1の電極
層、基板、下地層等があるが、具体的には後述の如く、
ガラス基板に対する密着性で代表される。
【0007】この密着性評価方法は、具体的には、まず
ガラス基板上に、液状のレジストであれば塗布・硬化、
ドライフィルムレジストであればラミネート等、材料に
適した方法で成膜防止層を形成する。次に、成膜防止層
上に、カッターを用いて1mm間隔で縦10個横10個
の碁盤目状に切り傷をつける。この碁盤目上に、接着部
分の長さが約50mmになるように、JIS Z152
2に規定されているセロハンテープを貼り付け、JIS
S6050に規定されている消しゴムでこすりテープ
を完全に密着させる。1〜2分程度後にテープの一方の
端を持って、基板に垂直に保ち、瞬間的に引き剥がす。
【0008】この様にして得られた試料の表面を、スキ
ャナーで読み込み、読み込んだ画像の2値化を行い、試
料の剥離面積の割合を計算する。この評価方法にて、剥
離面積の割合が50%以下であるような密着強度を有す
る成膜防止層は、細かくパターニングした後、基板洗浄
工程で通常用いる超音波洗浄を行ってもパターンの剥離
が起こらない。よって、その後各種の有機層や第2の電
極層を積層することにより、歩留まり良く有機電界発光
素子を製造することができる。
【0009】以下、本発明の有機電界発光素子とその製
造方法について、図面を参照して詳細に説明する。図3
は、本発明で製造される有機電界発光素子の一例を模式
的に示したものであり、1は基板、2は第一電極層(陽
極)、3は成膜防止層、4は正孔輸送層、5は有機発光
層、6は第二電極層(陰極)を各々表す。基板1は本発
明に係る有機電界発光素子の支持体となるものであり、
石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィ
ルムやシートなどが用いられるが、ガラス板や、ポリエ
ステル、ポリメタアクリレート、ポリカーボネート、ポ
リサルホンなどの透明な合成樹脂基板が好ましい。
【0010】基板1上には第一電極層(陽極)2が設け
られている。この陽極は、通常、アルミニウム、金、
銀、ニッケル、パラジウム、テルル等の金属、インジウ
ム及び/またはスズの酸化物などの金属酸化物やヨウ化
銅、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオ
フェン)等の導電性高分子などにより構成される。陽極
としての第一電極層の形成は、通常、スパッタリング
法、真空蒸着法等により行われることが多いが、銀など
の金属微粒子あるいはヨウ化銅、カーボンブラック、導
電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを用
いる場合には、適当なバインダー樹脂溶液にこれらを分
散し、基板上に塗布することにより形成することもでき
る。さらに、導電性高分子を用いる場合は、電解重合に
より直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に塗布して
形成することもできる(Appl.Phys.Let
t.,60巻、2711頁、1992年)。この第一電
極層(陽極)2は、異なる物質の2層以上の積層構造と
することも可能である。第一電極層(陽極層)2の厚み
は、必要とする透明性により異なるが、透明性が必要と
される場合は、可視光の透過率が60%以上、好ましく
は80%以上透過することが望ましく、この場合、第一
電極層(陽極)2の厚みは、通常、5〜1000nm、
好ましくは10〜500nm程度である。
【0011】これらの第一電極層は所望の形状にパター
ニングされ、基板上の少なくとも一部に設けられる。次
に、この上に成膜防止層が形成される。この成膜防止層
の役割は、後述する正孔輸送層や有機発光層等、各種の
層を蒸着によって形成する際に、蒸発源から蒸発してき
た物質を基板上でパターン化することである。この目的
のためには、例えば、半導体プロセスで用いられる液体
レジストや、プリント基板作製時に用いられるドライフ
ィルムレジスト等が用いられる。
【0012】液体レジストとしては、例えば、MCPR
2000H、MCPR2200X(三菱化学(株)
製)、ODUR(東京応化(株)製)、AZ52148
(ヘキスト社製)等を挙げることができる。また、ドラ
イフィルムレジストとしては、例えば、ALPHO(日
本合成化学工業(株)製)やRISTON(デュポンM
RC(株)製)、PHOTEC(日立化成工業(株)
製)、SUNFORT(旭化成工業(株)製)等を挙げ
ることができる。
【0013】成膜防止層の材料に特に制限はないが、厚
い層を形成するのが容易である点、ラミネートにて簡単
に形成できる点、溶媒を含まないので扱い易い点等か
ら、ドライフィルムレジストを用いるのが好ましい。成
膜防止層の形状は、ストライプ状や格子状等、必要に応
じて適宜選択できる。図1に示すように、ストライプ状
にパターニングされた第1の電極層2の上に、該電極層
2と直行するようにストライプ状に成膜防止層3が設け
られている場合、成膜防止層3はガラス基板1と接して
いる部分と、第1の電極層2と接している部分がある。
が、一般に、電極層に使用される材料(金属や金属化合
物、導電性高分子など)と、液状レジストやドライフィ
ルムレジストで形成された成膜防止層との密着性は、ガ
ラス基板と成膜防止層との密着性より高い。よって、ガ
ラスに対する密着性が、本発明の基準を満たす成膜防止
層は、第1の電極層の上に形成した部分も充分な密着性
を示すこととなる。
【0014】また、図4に示すように、予め窓枠状の絶
縁体からなる下地層7を設けた上に成膜防止層3を設け
ても良い。下地層7としては一般に、成膜防止層と同様
の材料が使用できるが、V259(新日本製鐡(株)
製)などの液状レジスト(感光性組成物)が用いられる
ことが多い。下地層7上に成膜防止層3を形成する場合
は、下地層7と成膜防止層3との密着強度が問題になる
が、一般に下地層に使用される材料(樹脂が多い)と、
液状レジストやドライフィルムレジストで形成された成
膜防止層との密着性は、ガラス基板と成膜防止層との密
着性より高い。よって、ガラスに対する密着性が、本発
明の基準を満たす成膜防止層は、下地層の上に形成した
場合も充分な密着性を示すこととなる。
【0015】本発明の密着強度を有する成膜防止層を得
るには、例えば成膜防止層後、基板をホットプレートに
のせる等の方法で加熱処理するとよい。成膜防止層の材
料により異なるが、加熱温度は180℃以上、加熱時間
は通常、10秒以上好ましくは20秒以上10分以下が
好ましい。処理温度が高いほど処理時間は短くて良い
が、温度が高すぎるとレジスト材料が炭化する恐れがあ
るので好ましくない。一般的には300℃以下が好まし
い。
【0016】成膜防止層を設けられた基板の上に、必要
により正孔輸送層4が形成される。正孔輸送層4の材料
としては、陽極2からの正孔注入効率が高く、かつ、注
入された正孔を効率良く輸送することができる材料であ
ることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシ
ャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定
性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発
生しにくいことが要求される。
【0017】このような正孔輸送化合物としては、例え
ば、特開昭59−194393号公報、米国特許第4,
175,960号公報、米国特許第4,923,774
号公報及び米国特許第5,047,687号公報に解説
される、N,N′−ジフェニル−N,N′−(3−メチ
ルフェニル)−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジア
ミン:1,1′−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェ
ニル)シクロヘキサン:4,4′−ビス(ジフェニルア
ミノ)クワドロフェニルなどの芳香族アミン系化合物、
特開平2−311591号公報に示されるヒドラゾン化
合物、米国特許第4,950,950号公報に示される
シラザン化合物、キナクリドン化合物等が挙げられる。
これらの化合物は、単独で用いるか、必要に応じて、各
々、混合して用いてもよい。
【0018】上記の有機正孔輸送材料は、主に真空蒸着
法により前記陽極層2上に積層することにより正孔輸送
層4を形成される。有機正孔輸送材料を真空容器内に設
置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプ
で真空度が10-6Torr台まで排気した後、ルツボを
加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合っ
て置かれた基板上1の陽極層2上に正孔輸送層4を形成
する。
【0019】このようにして形成される正孔輸送層4の
膜厚は、通常、10〜300nm、好ましくは30〜1
00nmである。正孔輸送層4の材料としては有機化合
物の代わりに無機材料を使用することも可能である。無
機材料に要求される条件についても、有機正孔輸送化合
物と同様である。正孔輸送層4に用いられる無機材料と
しては、p型水素化非晶質シリコン、p型水素化非晶質
炭化シリコン、p型水素化微結晶性炭化シリコン、ある
いは、p型硫化亜鉛、p型セレン化亜鉛等が挙げられ
る。これらの無機正孔輸送層はCVD法、プラズマCV
D法、真空蒸着法、スパッタ法等により形成される。
【0020】無機正孔輸送層の膜厚も有機正孔輸送層と
同様、通常、10〜300nm、好ましくは30〜10
0nmである。陽極2の上、又は場合により正孔輸送層
4の上に形成される有機発光層5は、電界を与えられた
電極間において第二電極層(陰極)6からの電子注入効
率が高く、かつ、注入された電子を効率よく輸送するこ
とができる化合物により形成されることが必要である。
そのためには、電子親和力が大きく、しかも電子移動度
が大きく、更に安定性に優れトラップとなる不純物が製
造時や使用時に発生しにくい化合物を用いることが要求
される。また、正孔と電子の再結合の際に発光をもたら
す役割も求られる。更に、均一な薄膜形状を与えること
も素子の安定性の点で重要である。
【0021】このような有機発光層5の材料としては、
テトラフェニルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭
57−51781号公報)、8−ヒドロキシキノリンの
アルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194
393号公報、米国特許第5,151,629号、米国
特許第5,141,671号)、シクロペンタジエン誘
導体(特開平2−289675号公報)、ペリノン誘導
体(特開平2−289676号公報)、オキサジアゾー
ル誘導体(特開平2−216791号公報)、ビススチ
リルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、
同2−222484号公報)、ペリレン誘導体(特開平
2−189890号公報、同3−791号公報)、クマ
リン化合物(特開平2−191694号公報、同3−7
92号公報)、希土類錯体(特開平1−25658
4)、ジスチリルピラジン誘導体(特開平2−2527
93号公報)、p−フェニレン化合物(特開平3−33
183号公報)、チアジアゾロピリジン誘導体(特開平
3−37292号公報)、ピロロピリジン誘導体(特開
平3−37293号公報)、ナフチリジン誘導体(特開
平3−203982号公報)などが挙げられるが、特
に、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体から形成さ
れる金属錯体が好ましい。前記金属錯体の中心金属とし
ては、Al、Ga、In、Sc、Y、Zn、Be、M
g、Caが好ましい。これらの金属錯体は、単独で用い
ても良く、必要に応じて二種以上を混合して使用しても
よい。
【0022】有機発光層5は、これらの材料を用いて前
記正孔輸送層4と同様の方法で形成することができる
が、好ましくは真空蒸着法により形成され、その膜厚
は、通常、10〜200nm、好ましくは30〜100
nmである。なお、有機発光層には、素子の発光効率を
向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8
−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料
として、クマリン等のレーザ用蛍光色素をドープするこ
と(J.Appl.Phys.,65巻、3610頁、
1989年)も行われている。本発明においても、上記
の有機発光層にレーザ色素等の有機蛍光体を10-3〜1
0モル%ドープすることにより、素子の発光特性をさら
に向上させることができる。蛍光色素を有機発光層にド
ーピングする場合も、基板温度を60℃から150℃の
範囲にすることで、素子の安定性はさらに向上する。
【0023】有機発光層5の上には、第二電極層(陰
極)6が形成される。第二電極層(陰極)6は有機発光
層5に電子を注入する役割を果たす。第二電極層(陰
極)6として用いられる材料は、仕事関数の低い金属が
好ましく、一般にはスズ、マグネシウム、インジウム、
アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用
いられる。第二電極層(陰極)6の膜厚は、通常、陽極
層2と同程度である。但し、電界発光素子としては、第
一電極層(陽極)2及び第二電極層(陰極)6のうち少
なくとも一方は透明性が良いことが必要であることか
ら、第一電極層(陽極)2と第二電極層(陰極)6の一
方又は双方は、10〜500nm程度の膜厚で、透明性
に優れることが望まれる。
【0024】なお、図3に示す有機電界発光素子は、本
発明の有機電界発光素子の一例であって、本発明はその
要旨を越えない限り、なんら図示の構造に限定されるも
のではない。即ち、陽極と有機発光層との間には正孔輸
送性の化合物を含む層、発光層と陰極の間には電子輸送
性の化合物を含む層があってもよく、これらは有機、無
機いずれの化合物から成るものでもよく、また各々2層
以上存在してもいい。具体的には、例えば、基板上に形
成される層構成としては、次の〜等を採用すること
ができる。
【0025】 陽極/有機正孔輸送層/有機発光層/陰極 陽極/無機正孔輸送層/有機発光層/陰極 陽極/有機発光層/電子輸送層/陰極 陽極/有機正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/
陰極 陽極/有機正孔輸送層/有機発光層/界面層/陰極 陽極/有機正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/
界面層/陰極
【0026】有機発光層と陽極・陰極との間に設ける層
は、各層の持つ特徴的な性質や、他の層との積層順序の
関係等から、様々な名称で表される。上記の層構成で、
電子輸送とは素子の効率をさらに向上するためのもので
あり、有機発光層と陰極の間に積層される。この電子輸
送層に用いられる化合物には、陰極からの電子注入が容
易で、電子の輸送能力が有機発光層よりもさらに大きい
ことが要求される。この様な電子輸送材料としては、下
記化1、化2に示されるような、オキサジアゾール誘導
体(Appl.Phys.Lett.,55巻、148
9頁、1989年;Jpn.J.Appl.Phy
s.,31巻、1812頁、1992年)やそれらをP
MMA等の樹脂に分散した系(Appl.Phys.L
ett.,61巻、2793頁、1992年)、また
は、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n
型セレン化亜鉛等が挙げられる。電子輸送層の膜厚は、
通常、5〜200nm、好ましくは10〜100nmで
ある。
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】また、上記層構成において界面層とは、素
子の安定性を向上させるためのもので、有機材料として
は、芳香族ジアミン化合物(特願平5−48075
号)、キナクリドン化合物(特願平5−116204
号)、ナフタセン誘導体(特願平5−116205
号)、有機シリコン化合物(特願平5−116206
号)、有機リン化合物(特願平5−116207号)等
を挙げることができる。前記有機界面層の膜厚は、通
常、2〜100nm、好ましくは5〜30nmである。
また、無機材料としては、例えばフッ化リチウムを0.
5nm〜1.0nm蒸着し、さらにこの上にアルミニウ
ムを蒸着することにより、素子の低電圧化をはかった報
告や(p152,Appl.Phys.Lett.70
(2),1997)、アルミニウムを0.6〜1.2n
m蒸着し、一度大気に晒して自然酸化により、酸化アル
ミニウムを形成し、さらにアルミニウムを蒸着すること
により、同様に素子の低電圧化を行った結果も報告され
ている(p1233,Appl.Phys.Lett.
70(10),1997)。
【0030】また、アルミニウム陰極の上部にさらに、
電極の抵抗を低減するために、電気抵抗低減層を設ける
ことができる。電気抵抗低減層としては、電気抵抗率が
10μΩ・cm以下の金属が好ましく、金、銀、銅など
の金属を挙げることができる。電気抵抗低減層の膜厚
は、通常20nm〜10μmであり、好ましくは30n
m〜2μmである。また図3とは逆の構造、すなわち、
基板上に第一電極層(陰極)2、有機発光層5、正孔輸
送層4、第二電極層(陽極)6の順に積層することも可
能であり、前記〜についても各々逆の構造が可能で
ある。
【0031】
【実施例】以下に、実施例、比較例を挙げて、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えな
い限り、以下の実施例により限定されるものではない。
【0032】参考例1 15cm角のコーニング1737ガラス基板(コーニン
グ社製)上に、ドライフィルムレジストであるNIT−
615(日合モートン(株)社製)を2度ラミネート
し、厚さ30μmの成膜防止層を形成した。この基板の
中央部分に、紫外線露光により、幅40μm、ピッチが
300μm、長さ5cmのストライプ状パターンを48
本焼き付けた後、現像を行ってパターンの形成された成
膜防止層を作成した。
【0033】この基板をホットプレート上にて、210
℃で1分間加熱処理した。次に、成膜防止層上の、パタ
ーン作成箇所とは別の箇所に、カッターを用いて1mm
間隔で縦10個横10個の碁盤目状に切り傷をつけた。
この碁盤目上に、接着部分の長さが約50mmになるよ
うに、JIS Z1522に規定されているセロハンテ
ープを貼り付け、JIS S6050に規定されている
消しゴムでこすり、テープを完全に密着させた。2分後
にテープの一方の端を持って、基板に垂直に保ち、瞬間
的に引き剥がした。
【0034】この様にして得られた試料の表面を、スキ
ャナーで読み込み、読み込んだ画像の2値化を行い、試
料の剥離面積の割合を計算したところ、成膜防止層の剥
離面積割合は、36%であった。その後、この基板の超
音波洗浄を行ったところ、40ミクロン幅のストライプ
状成膜防止層は、全く剥離しなかった。
【0035】実施例1 コーニング1737ガラス基板(コーニング社製)上
に、表面抵抗が20Ω/□のITO膜を形成し、薬液を
用いたエッチング法により、幅280μm、ピッチ20
μmのストライプ状の電極層を形成した。この上に、参
考例1と同様に、NIT−615(日合モートン(株)
社製)をラミネートし、露光、現像を行い、先に形成し
たストライプ状ITO膜と直交する、厚さ30μm、幅
40μm、ピッチ300μmのストライプ状の成膜防止
層を形成した。
【0036】この基板を、参考例1と同様に、210℃
で1分間加熱処理した後、超音波洗浄、超純水洗浄、温
水洗浄後ヒーター加熱乾燥によって基板の洗浄を行った
後、さらに、エキシマランプを用いた紫外線洗浄し、プ
ラズマ洗浄を行って基板をクリーニングした。得られた
基板を真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が2
×10-6Torr以下になるまで真空ポンプを用いて排
気した後、有機正孔注入層材料として、下記化3に示す
銅フタロシアニンを基板上に20nmの厚さに成膜し
た。この時の蒸着速度は0.3nm/secであった。
【0037】
【化3】
【0038】次に有機正孔輸送層材料として、下記化4
に示すN,N′−ジフェニル−N,N′−(α−ナフチ
ル)−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミンをセ
ラミックルツボに入れ、ルツボの周囲のタンタン線ヒー
ターで加熱して蒸着を行った。この時のルツボの温度
は、160℃〜170℃の範囲で制御した。蒸着時の真
空度は2×10-6Torrで、蒸着時間は3分10秒で
膜厚60nmの有機正孔輸送層3を得た。
【0039】
【化4】
【0040】次に、有機発光層の材料として、下記化5
に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体、A
l(C9 6 NO)3 、を用いて、上記有機正孔輸送層
の上に同様に蒸着を行なった。この時のルツボの温度は
230〜270℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は
2×10-6Torr、蒸着時間は3分30秒、膜厚は7
5nmであった。
【0041】
【化5】
【0042】さらに界面層として、フッ化マグネシウム
からなる層を約1.5nm形成し、さらに、陰極とし
て、アルミニウムを約40nm積層した。さらにこの上
に、電気抵抗低減層として銅から成る層を40nm形成
した。この時の真空度は1.5×10-5Torrであっ
た。このようにして作製した素子は短絡のないきれいな
発光をした。
【0043】比較例1 加熱処理を行わない以外は、参考例1と同様にして作製
した基板について、参考例1と同様の方法で密着性を検
査したところ、剥離面積割合は95%であった。この基
板の超音波洗浄を行ったところ、40ミクロン幅のスト
ライプは、ほぼ全て基板から剥離した。
【0044】比較例2 加熱処理の条件を150℃、1分とした他は、参考例1
と同様にして作成された基板について、参考例1と同様
の方法で密着性を検査したところ、剥離面積割合は95
%であった。この基板の超音波洗浄を行ったところ、4
0ミクロン幅のストライプは、ほぼ全て基板から剥離し
た。このように、比較例1および2で形成した密着性の
不充分な成膜防止層は、基板洗浄工程にてパターニング
した部分が剥離してしまうため、その上に各種有機層や
電極を形成して素子にすることができないことは明らか
である。
【0045】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の密着強度を
有する成膜防止層を用いることにより、基板の洗浄方法
として、超音波洗浄を用いることが可能となる。超音波
洗浄を用いると基板上の異物が効率良く除去できるた
め、画素の欠陥が大幅に低減されるようになる。これに
より、生産工程の歩留まりに貢献することが可能とな
り、低価格の商品を提供することが可能となる。また、
成膜防止層形成後、基板を加熱処理することにより、こ
の様に密着性の良い成膜防止層を容易に形成することが
できる。本発明による有機電界発光素子はフラットパネ
ル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛け
テレビ、カーナビゲーション等)や表示板、案内板、標
識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子において、基板上に
第一電極層(陽極)および成膜防止層を形成した段階で
の平面図。
【図2】図1のX−Xにおける断面図。
【図3】図1の構造物上に正孔輸送層、有機発光層およ
び第二電極層(陰極)が積層されてなる本発明の有機電
界発光素子の一例の、X−Xにおける断面図。
【図4】本発明の有機電界発光素子において、基板上に
第一電極層(陽極)、下地層および成膜防止層を形成し
た段階での平面図。
【図5】図4のY−Yにおける断面図。
【図6】図4の構造物上に正孔輸送層、有機発光層およ
び第二電極層(陰極)が積層されてなる本発明の有機電
界発光素子の一例の、Y−Yにおける断面図。
【符号の説明】
1 基板 2 第一電極層(陽極) 3 成膜防止層 4 正孔輸送層 5 有機発光層 6 第二電極層(陰極) 7 下地層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の少なくとも一部に(1)第1の
    電極層、(2)少なくとも第1の電極層上に部分的に設
    けられた成膜防止層、(3)第1の電極層上であって該
    成膜防止層形成部とは異なる部分に設けられた有機発光
    層、及び(4)少なくとも有機発光層上に設けられた第
    2の電極層を有する有機電界発光素子において、該成膜
    防止層のこれと接する下層に対する密着性が、日本工業
    規格(JIS)K5400で規定された碁盤目テープ法
    による剥離部分の面積割合で50%以下であることを特
    徴とする有機電界発光素子。
  2. 【請求項2】 成膜防止層がドライフィルムレジストを
    用いて形成されている、請求項1記載の有機電界発光素
    子。
  3. 【請求項3】 基板上に第1の電極層を形成し、少なく
    とも該第1の電極層上に部分的に成膜防止層を形成後、
    少なくとも該第1の電極層上の当該成膜防止層非形成面
    に有機発光層および第2の電極層を順次積層する有機電
    界発光素子の製造方法において、該成膜防止層形成後
    に、180℃以上にて基板を加熱処理することを特徴と
    する、有機電界発光素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 成膜防止層をドライフィルムレジストを
    用いて形成する、請求項3記載の有機電界発光素子の製
    造方法。
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