JP2000227372A - ボルト軸力の測定装置 - Google Patents

ボルト軸力の測定装置

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JP2000227372A JP11027777A JP2777799A JP2000227372A JP 2000227372 A JP2000227372 A JP 2000227372A JP 11027777 A JP11027777 A JP 11027777A JP 2777799 A JP2777799 A JP 2777799A JP 2000227372 A JP2000227372 A JP 2000227372A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シングルナット、又は反転防止用にダブルナッ
トとしたボルトのいずれであっても、透過パルスの計測
により簡易且つ正確にボルトの軸力測定ができる。 【解決手段】基筒1内のセンサー取付筒8に、探触子2
1を設けた3対の測定腕13の基端部14を取付ける。
測定腕21は先端部16に内方に向けた膨出部17を有
し、膨出部17の開口18内に、出没可能に探触子21
が遊嵌されている。基筒1の外側に測定腕13を囲うケ
ース筒28を摺動可能に配置して、ボルト軸力の測定装
置35とする。測定腕13の先端部16は、ケース筒2
8の摺動により先端部16が近づき、高分子化合物で被
覆した測定面22がナット47に当接密着できる。測定
腕13の中間部15間に障害物収容スペース44にナッ
ト48を収容する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ボルトの締め付
けの良否を判定する為の超音波を利用したボルト軸力の
測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来ボルト軸力の測定方法は、トルク法
や回転角法を用いられることが多いが、主としてトルク
係数が正確に定まらないため、正確な軸力が導入されな
い場合がある。また、ボルトの保守点検時にトルクレン
チを用いて、ボルトが回転し始めるときのトルク値か
ら、ボルト軸力を測定する方法は、前述した理由から正
確でないことが多い。
【0003】そこで、ボルトの軸方向の超音波の伝搬時
間の変化を求めボルトの軸力及び伸びを求めたり、ボル
トの軸方向の超音波の縦波と横波の音速比より軸力を求
めたり、磁気音弾性法により軸力を非破壊的に求める方
法が実現されている(図17(a)。
【0004】しかし、それらの方法では、ボルトの端面
の精密仕上・ボルト頭部のマーク削除・精密な音速測定
が必要があり、現場での測定は不可能に近い。
【0005】そこで、従来の方法に代わり、ナット対向
面の超音波の透過パルスの大きさからボルトの軸力を求
めることを試み、実用的で信頼性のある方法であること
を確認してきた(図17(b))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鉄塔に
適用する場合、測定するナット部に緩み止めのナットが
ついたりイタリングという緩み止めがついたりすること
がある。このため、センサーがナット部に挿入できず軸
力を測定するために緩み止めを外す必要があった。
【0007】また、一般に、探触子の接触媒質としてグ
リセリンが必要であり、これを供給する装置が別途必要
となっていた。また、測定後にナットからグリセリンを
除去しなければボルトナットの腐食の原因となってい
た。
【0008】また、ナット面と探触子の距離が一定にな
らず、測定誤差が生じるおそれもあった。とりわけ、塗
装膜の厚いナットでは、顕著であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】然るにこの発明では、測
定腕の先端部に探触子を設けると共にケース筒で測定腕
を可動させて測定装置を構成したので、前記問題点を解
決した。
【0010】即ちこの発明は、基筒の先端部に、先端に
探触子を設けた少なくとも1対の測定腕の基端部を取付
け、該測定腕を囲うように円筒状のケースを、前記基筒
に沿って摺動可能に配置してなり、前記測定腕は、対向
する先端部内面に、高分子化合物からなる皮膜を形成し
た探触子の測定面を形成し、前記ケースの先端部内側
に、ケースの摺動により前記一対の測定腕の測定面が近
づくような可動を案内できる案内手段を形成したことを
特徴とするボルト軸力の測定装置である。
【0011】また、前記において、測定腕は、基端部と
先端部との間に中間部を有し、対向する測定腕の中間部
間にに、障害物収容スペースを形成することが望まし
い。また、基筒の先端に取付鍔を形成し、障害物収容ス
ペース内に配置される補助リングを着脱容易に、取り付
けることが望ましい。また、測定腕は、先端部に内側に
膨出する膨出部を有し、該膨出部に開口を形成し、該開
口に出没する探触子を取りつけ、該探触子は内面に測定
面を形成し、外面にケース内面の案内手段に対応したロ
ーラーを取付けることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】基筒1内にセンサー取付筒8を回
動摺動自在に取付ける。基筒1内のセンサー取付筒8の
先端部10に、探触子21を設けた3対の測定腕13の
基端部14を取付ける。測定腕21は先端部16に内方
に向けた膨出部17を有し、膨出部17の開口18内
に、出没可能に探触子21が遊嵌されている。探触子2
1の内面には高分子化合物で被覆された測定面22が形
成されている。また、1対の測定腕13、13は、先端
部16が離接するように開閉自在に取り付けられてい
る。
【0013】基筒1の外側に測定腕13、13を囲うよ
うに円筒状のケース筒28を、基筒1に沿って摺動可能
に配置する。測定腕13の先端部16は、ケース筒28
の摺動により測定面22が近づくように案内される。
【0014】基筒1内で、測定腕13、13の中間部1
5、15間に障害物収容スペース44を形成し、基筒1
の先端に取付鍔4を有し、障害物収容スペース44内に
配置される補助リング37を取付鍔4に着脱自在に固定
できる。
【0015】以上のようにして、構成されるボルト軸力
の測定装置35は、ボルト45に反転防止用のナット4
8が螺合された場合であっても、障害物収容スペース4
4内にナット48を収容して、ナット47に測定面22
を押しあて軸力測定ができる。また、反転防止用のナッ
ト48が無いボルト45では、補助リング37を取付て
同様に軸力測定ができる。
【0016】
【実施例1】図面に基づきこの発明の実施例を説明す
る。
【0017】円筒状の基筒1の基端部2側に把持部を形
成し、先端側に前記基筒1の外径より内径が大きい円筒
状のセンサー取付筒8を、ボールベアリング12を介し
て、回動自在に取り付ける。
【0018】前記センサー取付筒8の基端部9内側に、
3対の測定腕13、13の基端部14を基筒1の軸に対
して、直径対称に取付ける(図3(a))。前記測定腕
13は、基端部14の軸11により、対応する両測定腕
13、13の先端部16、16が離接するように回動可
能となっている。また、前記センサー取付筒8と測定腕
13との間に介装されたバネ7により、対応する両測定
腕13、13の先端部16、16が離れる方向に付勢さ
れている。
【0019】前記測定腕13は、先端部16に内側に向
けた膨出部17を形成し、該膨出部17に基筒1の直径
方向の開口18を形成する。前記各測定腕13の開口1
8内に、測定面22が対向するように探触子(センサ
ー)21を遊嵌する。前記探触子21は、一面(測定腕
の膨出側)に密着性を高めた高分子材料(例えば、シリ
コンゴム)を貼り付けた測定面22を形成し、対向他面
23に支持片24、24を並列して突設し、該支持片2
4、24間にローラー25を架設する(図4(a)
(b))。
【0020】前記探触子21は、前記開口18から外側
に脱落しないように、前記膨出部17の外面に、平面コ
字状の制御板(弾性を有する材料からなる)19を取り
付ける。前記制御板19の開口(切欠)20から両支持
片24、24が突出し、前記探触子21の他面(上面)
23と制御板19の中央部が固定されている。前記制御
板19の両端部と膨出部17の他面との距離L1 は、ば
ね26を嵌装したねじ27、27で調節できるようにな
っている(図4)。また、探触子21は、ばね26によ
り放射方向(外側。図4(b)矢示52方向)に付勢さ
れている。
【0021】また、前記基筒1の先端3には取付鍔4が
形成され、該取付鍔4には、補助筒固定用の溝5、ビス
孔(螺孔)6、6が形成されている(図3)。
【0022】また、前記基筒1の外側にケース筒28
を、軸方向に摺動自在に嵌装する。前記ケース筒28の
基端側は、前記基筒1の基端部2に沿うよう細径部29
を形成し、先端側が測定腕13、13の外側を覆うよう
に大径部30が形成されている。また、ケース筒28は
基筒1との間にバネ31が介装され、ケース筒28を基
筒1の基端部2側に(測定腕13の先端部が露出するよ
うに)付勢されている。また、ケース筒28の大径部3
0の先端側内面はテーパー32が形成され、測定腕1
3、13を中心側への押圧する際の案内となる。
【0023】以上のようにして、ボルト軸力測定装置3
5を構成する(図1)。前記において、測定腕13の膨
出部17、17内面間の距離D2 が測定できるナット径
に対応している。また、前記において、基筒1の先端3
より先であって、測定腕14の膨出部17までの間(測
定腕13の中間部15。距離L3 )が障害物収容スペー
ス44を構成し、取付鍔4の外径D1 程度の外径の障害
物(ダブルナット、イタリングなど)を回避できる(図
1、図3(a))。
【0024】また、障害物収容スペース44に配置でき
る補助リング37を組合わせる。補助リング37は、一
面38が基筒1の取付鍔4に密着できる形状であり、溝
5に対応した突条40が形成され、他面39は、溝41
を有し取付鍔4と同一に形成されている。また、取付鍔
4の螺孔6に連通する透孔42、42が穿設され、透孔
42の他面39側には作業用のドライバー類を挿通でき
る大径部43を形成してある(図5)。
【0025】この補助リングは、障害物が距離L3 より
小さい場合に、障害物収容スペース44を埋める為のも
のであり、例えば、厚さD2 は、8mm、12mm、1
4mmの3種類を用意し、単独又は複数を組み合わせて
使用する。
【0026】次に、前記実施例に基づくこの発明のボル
ト軸力測定装置35の使用について説明する。
【0027】使用しない時には、ケース筒28はバネ3
1に付勢され、測定腕13、13の膨出部17は、ケー
ス筒28の先端33から突出している(図2)。また、
測定腕13、13はバネ7により、開いた状態になって
いる。
【0028】ボルトの軸46にナット47が螺合締結さ
れた軸力を測定する。廻り防止用の補助ナット48が螺
合されている。補助ナット48の厚さが障害物収容スペ
ースと同等であれば、補助リング37は使用しない。
【0029】ナット47の外側に測定腕13の膨出部が
位置するように、測定装置35を嵌装する。この際、補
助ナット48が基筒1の取付鍔4に当設する(図2)。
【0030】続いて、ケース筒28を矢視49方向に摺
動させ(図2)、テーパー32を測定腕13のローラー
25に当設する(図4(b))。更に、ケース筒28を
摺動させると、テーパー32に沿って、膨出部17はバ
ネ7に抗して矢視50方向に移動し(図4(c))、更
に探触子21は、バネ26、制御板19に抗して、開口
18内を矢示50方向に摺動して(図4(c))、測定
面22は膨出部17の内面17aから突出して、ナット
47の表面に密着押圧される(図1、図4(c))。こ
れにより、正確なボルト軸力の測定が可能である。1対
の測定腕17の一方の探触子21から超音波を発信して
他方の探触子で受信して、透過パルスの大きさを測定し
て、予め比較しておいたひずみ測定の軸力などに対応さ
せて、ボルト軸力を求める。
【0031】また、補助ナット48が取り付けられてい
ないボルトの場合には、取付鍔4に補助リング37a、
37bを重ね、透孔42、42に細いビスを挿通して、
取付鍔4の螺孔6に螺合する(図6)。前記補助ナット
48のある場合と同様に、測定腕13、13をナット4
7に嵌装する。この状態で、ナット47と補助リング3
7bの他面39とが密着している。続いて、ケース筒2
8を摺動させ、同様にナット47に探触子21の測定面
22を密着押圧させて測定する。
【0032】
【比較例】前記実施例に基づくボルト軸力測定装置35
の有効性をボルトに貼り付けたひずみゲージで測定した
軸力と比較することによって確認した。
【0033】1.実験方法
【0034】1−1 試験片及び試験体 (1)ナット形対比試験片(材質:SM57Q、ナット
形状に切削、表面状態:25S、サイズ:M24) (2)ボルト試験体 図7に示す試験体を3組(1組に
ひずみゲージを貼り付けたM24のダブルナットボルト
を4本取付け)
【0035】1−2 使用装置等 (1)トルクレンチ (2)PTレンチ (3)超音波ボルト軸力計:自社製 MODEL BC
−01 (4)ボルト軸力計用探触子(新型):日本超音波試験
(株)製 新型M24用 ボルト軸力計用探触子(旧型):クラウトクレーマーブ
ランソン製コンポジット探触子 (5)水スプレー (6)パソコン (7)ひずみゲージ:東京測器製 FLK−6−11 (8)ひずみ測定器:東京測器製 TDS−302
【0036】1−3 実験方法 (1)試験治具にひずみゲージを貼り付けたボルト4
5、45を4本挿入し、ナット47及び緩み止めのナッ
ト48を手で締め付ける。このとき、ひずみ測定器の0
点調整を行い、超音波ボルト軸力計のデータを読み取
る。センサーをナットに挿入際はナット面に水スプレー
で水滴を付着させる。 (2)緩み止めのナット48を外し、トルクレンチによ
って、1500 kgf・cmトルクで縮め付け、緩み止めナ
ット48を取りつけ、ひずみ測定器及び超音波ボルト軸
力計のデータを読み取る。 (3)緩み止めのナット48を外し、トルクレンチによ
って3000 kgf・cmのトルクで締め付け、緩み止めナ
ット48を取りつけ、ひずみ測定器及び超音波ボルト軸
力計のデータを読み取る。 (4)緩み止めのナット48を外し、PTレンチ設定に
よって軸力8tとし、緩み止めナット48を取りつけ、
ひずみ測定器及び超音波ボルト軸力計のデータを読み取
る。 (5)緩み止めのナット48を外し、PTレンチ設定に
よって軸力14tとし、緩み止めのナットを手で取りつ
ける。このとき、ひずみ測定器及び超音波ボルト軸力計
のデータを読み取る。 (6)以上の測定を3組の試験体について行う。
【0037】2.実験結果
【0038】(1)超音波ボルト軸力計の測定結果 超音波ボルト軸力計による測定結果を表1−1、1−2
に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表1−1、1−2において、 記号CTOO1O−01〜CTOO1O−12 :軸力0t 記号CTOO11−01〜CTOO11−12 :トルクレンチでのトル
ク設定値が1500 kgf・cm 記号CTOO12−01〜CTOO12−12 :トルクレンチでのトル
ク設定値が3000 kgf・cm 記号CTOO13−01〜CTOO13−12 :PTレンチの軸力設定
8t 記号CTOO14−01〜CTOO14−12 :PTレンチの軸力設定
14t の場合を夫々表わす。
【0042】また、CH1 〜CH3 は1から3チャンネルの
透過パルスの測定値、平均値は超音波ボルト軸力計のCH
1 〜CH3 の測定値の平均値(小数点以下切り捨て)を示
す。
【0043】測定に要した時間は、ボルト締付けや段取
り替えも含み12本×5条件=60回の測定に130分
であった。
【0044】ひずみ測定による軸力値とその時に測定さ
れた超音波軸力計の透過パルスの大きさの関係を図9に
示す。透過パルスの大きさから軸力を求める近似式を求
めたグラフを図10に示す。
【0045】また、ひずみ測定による軸力値と近似式を
ボルト軸力計に内蔵できる近似式 Y=−1.68X+63.8 とし、透過パルスの大きさから求めた軸力の関係を図1
1に示す。
【0046】ひずみ測定による軸力と透過パルスの大き
さ(六角形の試験片の透過パルスの大きさを基準とした
dB差)の関係はほぼ直線的な関係となり、その相関性
は、 R2 =0.8953 とかなり強い相関関係となった。
【0047】さらに、ひずみ測定による軸力を真値とし
た場合の超音波ボルト軸力計の誤差を表2−1、2−2
に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】(2)各種レンチの測定結果 各種レンチの設定値とひずみ測定による軸力測定結果を
表3−1、3−2に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】トルクレンチの場合は、トルクから軸力
を、計算式、 N=T/(d・k) より求めた。ただし、軸力N(t)、トルクT(kgf ・
cm)、ボルト径d(mm)、トルク係数 k=0.3 と
した。トルク係数kを0.3としたのはボルト締結に際
してなたね油を使用しなかったためで、通常の0.11
〜0.15の値より大きな値とした。
【0054】また、PTレンチについては、設定したボ
ルト軸力を与える油圧で動作が停止するようにし、その
設定軸力をPTレンチの軸力とした。
【0055】ひずみ測定による軸力と各種レンチの設定
値の関係は、図12に示すように、ほぼ直線的な関係と
なり、その相関性は、 R2 =0.9276 と超音波ボルト軸力計の測定軸力より強い相関関係とな
った。ただし、近似曲線はトルクレンチとPTレンチの
側定値を合わせたデータによって作成したが、グラフに
示すようにトルクレンチとPTレンチでは傾向がやや異
なった。
【0056】3.実験結果の考察
【0057】(1)超音波ボルト軸力計の判定結果 新型のセンサーと旧型センサーを比較した場合、軸力0
t以外ではほぼ同様の透過パルスの大きさとなったが、
軸力0tの場合新型センサーの透過パルスの大きさが4
0dB程度、旧型センサーの透過パルスの大きさが50dB
と、新型センサーの軸力0tの場合の透過パルスの大き
さはかなり大きくなった。
【0058】これは、図13、図14に示すように、新
型センサーの振動子(コンポジット振動子)を変更した
ため、やや波数が多く最短距離以外の透過パルスの大き
さが大きくなったことが原因と考えられる。
【0059】しかしながら、軸力0tとひずみ測定によ
る軸力5t以上では明確な差があり確実に判別できる。
【0060】測定に要した時間は、ボルト締付けや段取
り替えも含め130分であったが、各ボルトの測定のみ
の時間は3本で1分程度であり、旧型センサーと同様に
20秒程度で1本の測定が行えた。このことから、新型
センサーでも従来のセンサーと同様の時間で測定が行え
ると考えられる。
【0061】透過パルスの大きさから軸力を求める近似
式 Y=−1.63X+63.8 は従来の近似式とやや異なるが、これは軸力0tの場合
の透過パルスの大きさが旧型センサーに比較して新型セ
ンサーが10dB程度大きいためと考えられる。
【0062】この近似式から求めた軸力のひずみ測定に
よる軸力を真値とした場合の誤差を図15、図16に示
す。標準偏差は、 トルク1500 kgf・cm で、1.305t トルク3000 kgf・cm で、2.284t PTレンチ軸力8tで、1.750t PTレンチ軸力14tで、2.030t であり、各種レンチの設定と比較すると2倍程度になる
が超音波ボルト軸力計の絶対値はほぼひずみ測定による
測定値に近かった。これは、トルクレンチにおけるトル
ク係数の変動やPTレンチにおける油圧と軸力の関係の
変動が超音波ボルト軸力計では無関係であるためと考え
られる。
【0063】(2)各種レンチの測定結果 ひずみ測定による軸力と各種レンチの設定値の関係はほ
ぼ直線的な関係であり、その相関性は、 R2 =0.9276 と超音波ボルト軸力計の測定軸力より強い相関関係とな
ったが、これは絶対的なボルト軸力の正確さよりも、相
対的なバラツキが小さかったためと考えられる。
【0064】また、図12に示すようにトルクレンチと
PTレンチでは傾向がやや異なったのは、トルクレンチ
とPTレンチではボルトに軸力を与える原理が異なるた
めと考えられる。
【0065】さらに、図14、図15に示すように、各
種レンチと超音波ボルト軸力計の誤差の比較を行う各種
レンチのバラツキは小さい。そのため、標準偏差は、 トルク1500 kgf・cm で、0.724t トルク3000 kgf・cm で、1.083t PTレンチ軸力8tで、0.797t PTレンチ軸力14tで、1.038t であり、超音波ボルト軸力計の半分程度になった。しか
しながら、設定軸力の絶対値は、ひずみ測定の軸力とか
なり差があり、超音波ボルト軸力計より軸力の測定精度
は低下する。
【0066】4.まとめ ナット部の超音波の透過量からボルト軸力を求める超音
波軸力計について実験を継続してきたが、今回、鉄塔に
適用する場合問題となるダブルナットやイタリングを障
害としない新型センサーを製作し実験を行った結果、必
要な精度を確保でき、実用的であることが明らかになっ
た。
【0067】以下に明らかになったことを記す。
【0068】(1)新型センサーで旧型センサーと同様
に、透過パルスの大きさから近似式でボルト軸力を求め
ることができた。 (2)新型センサーの近似式は、 Y=−1.63X+63.8 となり、旧型センサーの近似式と比べやや異なったが、
これは軸力0tの場合の透過パルスの大きさが異なった
ことによる。 (3)新型センサーの超音波ボルト軸力計で軸力0tと
ひずみ測定による軸力5t以上では明確な差があり確実
に判別できる。 (4)測定時間は旧型センサーでも新型センサーでも変
わりはなかった。 (5)メーカーが異なった場合やボルトとナットの間が
腐食している場合やナットが腐食して表面が著しく粗い
場合同様の実験結果が得られるかどうか確認する必要が
ある。 (6)超音波ボルト軸力計はトルクレンチやPTレンチ
と比較すると2倍程度のバラツキとなったが、測定軸力
の絶対値は超音波ボルト軸力計の方が精度は高かった。 (7)各種レンチではトルク係数の変動や油圧と軸力の
関係の変動で正しい軸力を導入できない場合があるもの
と考えられる。 (8)ボルトの保守点検ではトルク係数が不明なためト
ルクレンチでの軸力測定は不可能に近い。 また、現状では超音波ボルト軸力計の透過パルスの平均
値は少数点以下を切り捨てているが、透過パルスの平均
値を少数点以下1位まで求めると全般的に標準偏差小さ
くなり精度は向上した。
【0069】
【発明の効果】測定腕の先端部に探触子を設けると共に
ケース筒で測定腕を可動させたので、測定腕の中間部付
近に、障害物収容スペースを構成でき、補助ナットを使
用したダブルナットボルトやイタリングを使用したボル
トであっても、探触子は補助ナット等を飛び越えて、締
め付けたナットに密着でき有効な軸力の測定ができる効
果がある。
【0070】また、筒状のケースの案内手段により一対
の測定腕の測定面が近づくような可動を案内できるの
で、測定腕に高剛性の材料を使用しなくとも、測定腕の
変形を防止して、探触子をナットに密着させることがで
きる。従って、ナット表面に多少のゴミや錆の付着、厚
い塗装膜、部分的な塗装の剥げが生じていても十分な超
音波の送受が可能であり、測定対象のボルトの巾を広げ
る効果がある。
【0071】また、測定面に高分子材料からなる皮膜を
形成したので、グリセリンなどの接触媒質を不要とし、
ボルトの腐食を防止できる。
【0072】よって、総じて、超音波を利用したボルト
軸力測定を簡易かつ正確に実施できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の軸力測定装置の縦断面図
で、測定前を表す。
【図2】同じく軸力測定装置の縦断面図で、測定中を表
す。
【図3】(a)は図1のA−A線における断面図、
(b)は図1のB−B線における断面図である。
【図4】(a)はこの発明の軸力測定装置に使用する測
定腕の拡大正面図で、(b)は(a)のC−C線におけ
る断面図で測定前を表し、(b)は同じく測定中を表
す。
【図5】(a)はこの発明の実施例に使用する補助リン
グの正面図で、(b)は(a)のD−D線における断面
図である。
【図6】この発明の実施例で、補助リングを使用した実
施例の軸力測定装置の縦断面図である。
【図7】この発明の比較例で、ナット対比試験片を表
し、(a)は平面図、(b)は正面図を表す。
【図8】同じく比較例で、測定システムを表す概略した
構成図である。
【図9】同じく比較例で、軸力と透過パルスの関係を表
すグラフである。
【図10】同じく比較例で、透過パルスから軸力を求め
る近似式のグラフである。
【図11】同じく比較例で、ひずみ測定による軸力と近
似式による軸力を表すグラフである。
【図12】同じく比較例で、ひずみ測定による軸力と近
似式による軸力を表すグラフである。
【図13】同じく比較例で、新型センサーを使用した場
合の超音波波形(透過パルス)で、(a)は六角形試験
片、(b)は軸力0t、(c)は締付けボルトを夫々表
す。
【図14】同じく比較例で、旧型センサーを使用した場
合の超音波波形(透過パルス)で、(a)は六角形試験
片、(b)は軸力0t、(c)は締付けボルトを夫々表
す。
【図15】同じく比較例で、発明の実施例の超音波ボル
ト軸力計とトルクレンチの誤差を表すグラフで、(a)
は設定トルク1500 kgf・cm 、(b)は設定トルク
3000 kgf・cmを夫々表す。
【図16】同じく比較例で、発明の実施例の超音波ボル
ト軸力計とPTレンチの誤差を表すグラフで、(a)は
設定トルク1500 kgf・cm 、(b)は設定トルク3
000 kgf ・cmを夫々表す。
【図17】(a)は従来例の測定方法を説明する概念図
で、(b)この発明の測定装置の測定原理を説明する概
念図である。
【符号の説明】
1 基筒 2 基筒の基端部 3 基筒の先端部 4 取付鍔 5 溝(取付鍔) 6 螺孔(取付鍔) 8 センサー取付筒 13 測定腕 14 測定腕の基端部 15 測定腕の中間部 16 測定腕の先端部 17 測定腕の膨出部 21 探触子 22 測定面 25 ローラー 28 ケース筒 31 ばね 32 ケース筒のテーパー 33 ケース筒の先端 35 ボルト軸力測定装置 37 補助リング 44 障害物収容スペース 46 ボルトの軸 47 ナット 48 補助ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 進 愛知県名古屋市東区東大曽根町12−19 株 式会社ヒメノ内 Fターム(参考) 2F051 AA00 AB04 AC01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基筒の先端部に、先端に探触子を設けた
    少なくとも1対の測定腕の基端部を取付け、該測定腕を
    囲うように円筒状のケースを、前記基筒に沿って摺動可
    能に配置してなり、前記測定腕は、対向する先端部内面
    に、高分子化合物からなる皮膜を形成した探触子の測定
    面を形成し、前記ケースの先端部内側に、ケースの摺動
    により前記一対の測定腕の測定面が近づくような可動を
    案内できる案内手段を形成したことを特徴とするボルト
    軸力の測定装置。
  2. 【請求項2】 測定腕は、基端部と先端部との間に中間
    部を有し、対向する測定腕の中間部間にに、障害物収容
    スペースを形成した請求項1記載のボルト軸力の測定装
    置。
  3. 【請求項3】 基筒の先端に取付鍔を形成し、障害物収
    容スペース内に配置される補助リングを着脱容易に、取
    り付けたことを特徴とした請求項2記載のボルト軸力の
    測定装置。
  4. 【請求項4】 測定腕は、先端部に内側に膨出する膨出
    部を有し、該膨出部に開口を形成し、該開口に出没する
    探触子を取りつけ、該探触子は内面に測定面を形成し、
    外面にケース内面の案内手段に対応したローラーを取付
    けたことを特徴とする請求項1記載のボルト軸力の測定
    装置。
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